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Ⅱ. - 経済産業省
Ⅱ.FS事業実施対象案件の評価 1.評価運営委員会の設置 財団法人クリーン・ジャパン・センターが定めた委員会規程により、本委員会が設置された。 この委員会は「平成21年度 3Rシステム化可能性調査事業」を円滑に推進させることを目的 としたもので、次の事項を所掌している(委員会名簿は前掲)。 ① 分別、収集、運搬等の3Rシステムに関する事項 ② 試作品の製造、品質評価に関する事項 ③ 再資源化製品の社会受容性等と試作品の普及等に関する事項 2.評価運営委員会の運営 評価運営委員会が3回開催され、委員からテーマ遂行上の指導、評価が行われた。3回の評価 運営委員会はクリーン・ジャパン・センター会議室にて開催された。開催日は下記の通り。また 委員会の内容については2.2に議事概要を示した。 2.1 開催日 第1回評価運営委員会:平成21年10月26日(月)13:30~16:00 第2回評価運営委員会:平成21年12月18日(金)13:00~15:30 第3回評価運営委員会:平成22年 3月 8日(月)13:30~16:00 -9- 2.2 議事概要 (1)合わせガラスのリサイクルに関する調査研究 【調査実施者】財団法人製造科学技術センター 【FS事業概要】 自動車フロントガラスやビル等の建築物に使用され、使用済みとなった合わせガラス(年間 生産75万トン)は、現在、中間膜とガラスを効率よく分離することが困難となっている。 中間膜とガラス分離手法を確立するため、ガラスメーカーや回収業者、自動車業界関係者等 と協力し、分離装置等に係る調査研究を行う。 (対象物):使用済み合わせガラス 中間膜とガラスを分離し、それぞれ中間膜とガラス原料として再利用する。 <第1回評価運営委員会> 《委 員》水平リサイクルは、ガラスはガラスに、中間膜は中間膜にあるいはその原料にすると いうこととのことだが、合わせガラスのリサイクルはコスト的には合わないということ かと認識している。 《事業者》PVCリサイクルは中間膜としてリサイクルできていないのが現状。質の良い分離を して、ガラスと膜が混じらない技術が必要。技術的には出来てきているが、事業にできる 大量に処理するまでに至っていない。可能性ありということで実証プラントぐらいで取り 組む。 《委 員》最適な分離方法とあるが、やはり膜をとりたいのではないか。 《事業者》引き取り価格は膜の方が高い。小さくなったガラスの方は、カスケードを含め100% リサイクルするが、どれくらい水平リサイクルの率を高められるかと考えている。 《委 員》最適性というなら、何に鑑みて最適化を明確にすべき。理論武装していただきたい。 《委 員》膜とガラスの価格差はどのくらいか。 《事業者》桁が違う。 《委 員》この調査は可能性調査である。いくつかのケースを設定して、損益を試算が欲しい。 《委 員》剥離効果を高める外力の負荷とはどのような方法か。 《事業者》板と板の間に挟むとか捻るような動きをさせ、ガラスに亀裂を作り、沁みこむのを促 進させる働きである。 《委 員》合わせガラスは、製造する際にバインダーは入れているのか。 《事業者》使用しない。 《委 員》最初の破砕機でどれくらい亀裂を入れるか、亀裂が入り易い刃とかオペレーションは あるのか。溶液のところにフォーカスされているが、剥離液の働きを助ける破砕機が効 いてくる気がする。 《委 員》破砕機に興味がある。結局細かくすればするほど時間がかかり、細かくしすぎるとリ サイクルすべきカレットの質が下がることは確かである。バランスをどうとるかが重要 と思う。破砕機は既存の物を使うのか。 《事業者》既存のものを使用する。基本は確立されているので、調整程度である。 《委 員》一枚ずつ破砕するとのことだが、どのように調整するのか、時間か。 《事業者》時間と刃と刃の隙間の調整もある。意外と因果関係が単純であり、後はどの程度力を 加えればよいかが課題である。 -10- <第2回評価運営委員会> 《委 員》 「OMB-100 による剥離テスト(4)温度・濃度・処理時間の結果(平均ガラス残留率(重 量%))の一覧表」について、大型装置のときに、例えばエネルギー消費はこれくらいで、 例えばエネルギーの面から見ると、どれが最適か等わかってくるのか。 《事業者》エネルギーと濃度の濃さのバランスを見ていく。 《委 員》そうすると、大型装置での試験では、ガラス残留量を指標としてコストとエネルギー 消費量の2つで最適条件を探っていくということですね。 《委 員》中間膜の剥離を目的とした薬品の、現在の使用状況はどうか。 《事業者》現在も使用されているが、剥離自体が事業として成立しないので、事業に耐えうる効 率的な方法を確立する必要がある。 《委 員》エネルギー収支等を考えるのであれば、OBM-100 を作るためのエネルギー投入量も考 慮する必要がある、是非とも先方からデータを提供してもらって欲しい。 《事業者》全体のLCAということなら、必要と思う。 《委 員》報告書には、剥離の原理まで書けるか。 《事業者》細かい成分は出せないと思うが、界面活性剤としての働き等は書くことになる。 《委 員》膜の品質は、そのままリユースできるのか、 《事業者》基本的には、そのまま使用できるものを目指している。 《委 員》今回の実験では、そのまま使用できるか、まだわからないのか。 《事業者》実験レベルでは、そのまま使用できることがわかっている。ただ、事業的に見合うコ ストでできるか、その条件を求めたい。 《委 員》OMB-100 による剥離テスト(4)の温度・濃度・処理時間の結果(平均ガラス残留率 (重量%))テーブルの濃度が薄くて時間が早いところがある。実験は 1 回なのか。 《事業者》多分 1 回と思う。そのばらつきがでていると思う。 《委 員》傾向としては濃度が濃くて時間をかければ、残留率が下がるが、逆転しているところ がある。そのあたりに最適な解があるかもしれないという気がする。そのあたりを調べ るのも面白い。実験計画法を使えば、感度の高いところがわかり、実験の数を減らせる。 例えば、55 度の5分と3分は本来やらなくとも良い実験と思う。 《事業者》小型の実験装置では簡単にできるので、あくまでも条件出しの実験。ここで搾った分 について、大型装置で実験する。 《委 員》実験の数を減らすために、少しパラメータのとり方を工夫された方が効率的と思う。 《委 員》3社のメーカーにより品質が異なることはないか。 《事業者》受入品質という面では3社に違いはない。 《委 員》リサイクルする場合に、3社の製品が混っている場合に、分ける方法はあるか。 《事業者》基本的にはそこまで求められることは少ないと思っている。ただ、自動車ガラスに戻 そうとすると、透明度が求められるので非常に品質が厳しい。建材用はそこまででない。 どこに戻すかにより、色々な関係がでてくる。入口のところでどこまで仕分けできるか。 どこまでコストをかけてやれるかという問題になる。これは剥離のメカニズムの問題と はちがう問題と考えている。 《委 員》3社のガラスごとに剥離のメカニズムとか薬品の条件も変わってくることはないか。 《事業者》そこまでは変わらないと思う。 《委 員》剥離テストの実験装置はどういうものなのか。 《事業者》いままでやったのは、小型の装置である。合わせガラスと鉄片を、半分ぐらい剥離液 -11- の中に浸るように入れてぐるぐる回すものである。 《委 員》パンチングメタルの目によっても違いが出るのではないか。スケールアップは、実用 化ということを考えた上で実験すべき。この仕組みの装置の効率はどうなのか。これし か無いのか。この方式が本当に良いのかが問題。例えば、同じ比重分離でも連続的にや るとか、色々方法がある。例えば、2段にしてやるとか、返ってその方が効率が良いか もしれない。 《事業者》バッチ的に入れてぐるぐる回す方式と、らせん状に連続的に出てくる方式もできてい るが、らせん状に連続的に出てくる方式は、品質よりも大量処理に向いているもの。本 来はそこまでやりたいが、費用と期間の問題がある。装置をこれから作るわけにもいか ず、今までの装置で良いものを出す。 《委 員》装置の回転数は効いてこないのか。中でぶつかるメタルの衝撃程度など。 《事業者》それは、回すときに、機械特性として把握することにしている。 《事業者》この調査で使用している剥離液の情報の開示等は考えられないのか。 《事業者》液そのものの情報は全部を明らかにするのは難しい。 《委 員》分離の律速というか、分離を一番決めているファクターは何か。 《事業者》界面活性剤を主にした剥離液が膜の間に浸透して、膜が膨れて自然にはがれることが 一番大事なところ。自然にはがれるのを待つと、非常に時間がかかるので、装置で壊す。 《委 員》最適回転数とか最適な揺すり方があると思う。 《委 員》剥離に最適な力加減はあるはずと思う。 《委 員》今回は建材ガラスのみを狙うのか。もし必要ならリサイクル料金に組み入れてもやる べきだ。どっちを狙ってやるかで、採算取りが変わってくる。 《事業者》区別はしていない。現実には自動車のフロントガラスが多い。 《委 員》取りたいのは膜ではないのか。 《事業者》カレットが不足してきているので、ガラスも重要と考えている。 《事業者》建材は大量に出てくるのはこれから。今は自動車ガラスの方が多い。 《委 員》自動車は難しい。 《事業者》戻し先として自動車は難しい。それで難しいからやらないのでなく、建材としては戻 る。 <第3回評価運営委員会> 《委 員》時間は 15 分と 30 分でそれほど差がないと思われるが、時間に関しては、最適値はな いのか。 《事業者》時間に関しては、量産の観点から 30 分以内が望ましいと考え、それで大丈夫という 目途が付いた。確かに、最適値という意味では得られていない。 《委 員》総合的に見てというが、最適値を求めるときの評価関数はなにか。例えば、収量最大、 あるいは収量は多少犠牲にしてもコストなのか。 《事業者》剥離液濃度2%、液温度 50 度を最適としているが、コストも勘案している。 《委 員》総括では、剥離液(薬剤)も中間膜については触れていない。実際の事業面でも環境面 でもわからないということだ。膜のメーカーの協力は得られていないのか。 《事業者》中間膜製造メーカーに協力いただいているが、この段階ではエネルギーのデータはと っていない。 《委 員》膜の品質により、使い方も変る。そのままリユースなのか、あるいは混ぜて使うのか。 そのへんをどういう出口に持っていけばよいのか。それが見えないと、どういう方向に -12- 行くべきかわからない。 《事業者》中間膜メーカーもどこに持っていくのが良いか、つかんでいないのが現状。技術開発 の度合いもある。その技術開発に要するコストを考えて、どこが最適化かを見極めてい くことになる。ただ、内容が守秘性が高く、結論ができていない上に、その過程もオー プンにしにくい状況にある。 《委 員》報告書にも限られたものしか出せないということか。 《事業者》そうです、残念ながら。 《委 員》ちょっと気になるのは、温度は 30、40、50 と出ているがピークが出たところより上 の結果があればわかりやすいが、どこに出るのか、例えばその上の 60 度ならどうなる のかという疑問がわいてくる。その上があれば、そこで飽和状態になっていることがわ かる。 《事業者》小型施設で 50 度、55 度で余り差がなかったため、そこまで求めなかった。 《委 員》濃度に関してもそうか。 《事業者》濃度に関しても同様である。 《委 員》最後にデータを整理する際にも、データが飽和叙地になっていて、これで十分だとい うことがわかるデータにした方が良い。 《委 員》剥離するメカニズムについて、基礎的なことをしっかり掴む、膜とガラスは何故くっ ついているのかがわかれば、効いているのは液温度ということだが、膨張するとか膨潤 するとか、ふやけるとか、界面の部分でどういうくっつき方をしているのかわかれば、 電子顕微鏡でみて、温度による変化も含めて違いを調べた方が、しばしば近道になる。 《事業者》PVC自体が接着剤のようなものである。水と界面活性剤が浸透すると、接着効果が 弱まる。時間をかければ、水を掛けるだけで剥離してくる。それを加速させるために、 色々やっている。一方、中間膜再利用する場合には含水率の制限がある。余り水を含ん でいると乾燥させなくてはいけない。その手間のことも踏まえて、進めているつもりだ。 《委 員》アルカリとか使うと劣化と変性はないのか。 《事業者》余り強いものを使うと、膜の変性が起きるので、使えない。 -13- (2)樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な技術や仕組み等に関する調 査 【調査実施者】日本資源技術株式会社 【FS事業概要】 現状、処理困難であり、大量発生が予想される廃樹脂サッシの発生量予測、効果的・効率的 なリサイクルを行うための課題抽出および有効技術等についての調査等を行い、当該事業の事 業化可能性について検討する。 (対象物):建築物の解体に伴い発生する廃二重サッシの内側に使用される樹脂サッシ 金属及びその他プラスチックを分別して純度の高い樹脂(PVC)を回収し、サッシ 原料、塩ビ管原料その他に再利用する。 <第1回評価運営委員会> 《委 員》手解体とスクリューコンベアの関係がよく分からない。何がこのスクリューコンベア の中に入り込むのか。 《事業者》スクリューコンベアは破砕機で、ガラスを除いたものを破砕し、鉄、ステンレス、軟 質のPVCと硬質のPVCを回収する。 《委 員》ガラスを取り、解体して、破砕したら金属は売れる。調査の目的は何か。 《事業者》手解体は非常に作業性が悪い。安く効率よく大量に処理して資源化できないか、そこ で有効な技術とは何であるかを調査する。 粗破砕後、ジグ選別で非鉄金属、樹脂等を回収。樹脂はPVCが大部分だが、それ以 外の樹脂(ABS、POM 等その他樹脂。サッシの中側に留具に使用される)が入ると、 再生ペレット化しにくい。効率的にコンタミを減らせるかが調査の目的である。 《委 員》既に解決しているのではないか。 《事業者》今、90ppm 以下という基準を設定して、試験を行っている最中で、この結果は 11 月 に出る予定。 《委 員》集荷の仕組みの調査の目的は何か。 《事業者》混合廃棄物のものが多いので、広域物流で、ある一定のところへ集めるのが可能かど うか調査している。 《委 員》樹脂サッシの排出元は一般家庭なのか、それとも集合住宅なのか 《事業者》一般家庭もあり集合住宅もある。内側の窓に樹脂サッシを使っている。 《委 員》集合住宅の方が効率が良い。従って、攻めるとしたら、先ず効率の良い集合住宅の方 からと理解していた。 《事業者》殆んどは解体業者が解体して、混合廃棄物としてあるいは単体で最終処分場に持って くるのが現状。従って、これらの業者を対象にアンケートを行っている。 《委 員》解体のときにどの程度のきれいさで来るかが重要。その調査はどうしているのか。 《事業者》混合廃棄物の場合について、どんな状態で入ってくるかを調査し、これをもとに、不 明な点についてヒアリング調査を行い、精度を高めていく。 《委 員》手解体に要する時間の一枚あたり30分は長い気がする。作業に慣れた方で 30 分な のか。 《事業者》作業に慣れた人間が、それだけかかっている。 《委 員》ガラスを外したものを投入して、破砕と選別とあるが、残りの金属等 5 種類の選別方 法は。 -14- 《事業者》粗破砕機で、樹脂、鉄、非鉄金属、アルミ等を粗々に分け、鉄は磁選、非鉄は非鉄専 用選別槽で回収。軽い樹脂は、更に破砕、10mm 程度にし、中で PVC をより濃度を濃 く分別する。 《委 員》手解体は工夫して 30 分を短縮される努力が必要だ。また、再生ペレットをサッシメ ーカーに限定せず、他の部材への用途も考えた方が良い。 《委 員》従来のアルミサッシの処理プロセスは参考にならないのか。 《事業者》アルミサッシは若干不純物が付着していても問題にならないが、PVC 樹脂、特に硬質 PVC は純度が高くないとペレット化して再使用できない。 《委 員》易分解設計という考え方も最近はあるので、現場を踏まえて、認識があるなら、その 観点からも検討されて報告書に入れて欲しい。 《事業者》わかりました。 《委 員》広い北海道で 2 万トンとのことだが、これで採算がとれるのか。 《事業者》大量に 20t トレーラーで、例えば札幌に運ぶというように、広域的な回収体制が構築 されれば採算はとれると思う。 <第2回評価運営委員会> 《委 員》「リサイクル率の向上に向けて」の資料で、『運搬距離 100km 以下、運搬費が1万円/ t以下、処理費2万円/t以下』の3点をクリアするとリサイクル率の向上とあるが、こ れは産廃業者からの回答に基づくものなのか。また、これで「リサイクルが向上」する とは、どういう意味か。 《事業者》解体現場、収集運搬、中間処理、最終処分の4つの業者に補足的なヒアリングを行っ た。それを踏まえてのものであるで、運び込むリサイクル拠点までが 200km、300km 先で はコストが高くなるので無理、100km 以内ならばリサイクル施設に持ち込可能。リサイ クル率が向上するという意味。今はそういう距離に施設がないので近場の埋立地で処分 が現状。 《委 員》ここで言っている処理費とは何をさしているのか。 《事業者》リサイクルを行うための中間処理費のこと。この処理費が2万円以内なら、業者が持 込可能であるとの意味である。 《委 員》サッシにいくよりも、既に塩ビ管として台湾で使用されている。更に需要が見込まれ ているとのことだが。 《事業者》台湾では、PVCのフレークをヨーロッパから受入れているが、日本からなら安く購 入できるので、輸入の要望が強く出ている。ところが、フレークにできる施設が近郊に なければ、不可能。フレークにする施設が 100 キロ圏に欲しい。アンケートに要望が出 てくる。 《委 員》問12は、各社がこれ以上だと活用できないという上限を聞いた上での回答のはず。 施設活用に関するコスト等についてBの他社運搬の場合の運賃の上限を見ると、64%が 5,000 円未満でないと駄目と回答しており(3000 円未満が 42.5%、3,000 円が 7.5%、 5000 円が 15%)という結果になっている。これを1万円と解釈するのはまずいのでない か。また、Cのリサイクル料金の上限(逆有償)では、1万円以下が 45%を占めており、 2万円をするには、それより低い額としている回答の比率がかなり高い。 《事業者》これは、トン(重量)で全部換算したプラスチックの場合、重量でなく容積(㎥)で、 取引している場合が非常に多い。それをトン(重量)に換算して、このような結果にな った。どう換算するか。その過程で混乱した面がある回答である。ヒアリングの結果、 -15- 現状でも運賃に1万円、埋立に2、3万円かかっており、運搬費と処理費で2万から3 万の範囲なら、出しても良い、という回答を口頭でいただいたケースが多かった。この ようなヒアリングの結果と総合して、上記の結論にしている。 《委 員》問12の表は、データがこのままでは、誤解を生む。どういうロジックでこの結論が 出て来たか、もっと明確に整理して欲しい。 《委 員》機械化するとのことだが、プラントの規模はどの程度だと良いと考えられるのか。 《事業者》今回そのデータを持ってきていない。 《委 員》規模を大きくしなければ成り立たないと思う。当然、収集する距離を広げないとトレ ードオフになるはず。100㎞で集められる量とプラントの規模が合うかどうかの検討 が絶対必要だ。また、処理は一次破砕、磁力選別、手選別、非鉄比重選別等プロセスが 多いが、このプラントの処理能力はどのくらいか。 《事業者》日量(8時間稼動)で 20 トンである。 《委 員》日量 20 トンなら年間では相当な量になる。それを 100 ㎞圏内で集めるのは考えにくい。 《事業者》収集ストックポイントを設け、業者の協力を得て。積替え保管を考えている。道東で は、大きな町は 100 キロ以上離れており、集約していくためには保管施設が必要。処理 施設が少ないのであれば、保管施設に集めて、一回の輸送ロットを大きくすることを考 えている。但し、廃掃法の制約があり検討課題である。 《委 員》前回2万トンで採算が合うのかという質問をした。今回の取扱量は年間で 1186 トンと あるが、単純に考えて 1200 トンとしても、年限が来て年間出てくる量はマックス 1000 トン程度と思われる。 《事業者》サッシが普及し始めた頃から、サッシ工業会が持っている製品の出荷量データに基づ き平成 14 年に推計したデータがある。14 年の段階では 2009 年の廃サッシの発生が 900 トン。2011 年で 2000 トン、2014 年で 5000 トンである。約30年前に出された販売量の 予想、10 年経った現時点から見て約 20 年先、それが 5000 トン、2016 年で 8000 トンに なる。 《委 員》1086 トンは何か。 《事業者》今回のアンケートの集計結果の数値で、処理業者が処理・処分として取り扱った量で ある。今回のアンケートの数値と、サッシ協会が行った予測の数値とつき合わせて見て いる。 <第3回評価運営委員会> 《委 員》表面異物は何なのか。異物があると市場には出せないものか。 《事業者》出せないものである。 《委 員》にもかかわらず、メーカーで大丈夫といっているのはなぜか。 《事業者》調べた結果、耐火サッシに使用される耐火樹脂らしい。溶融温度等 PVC と違うが、 耐火樹脂を破砕の前に選択的にとれば解決可能とのこと。ただしメーカーにより使い方 違うので事前の取り外し方等も変えざるを得ないが、何とか大丈夫そうである。 《委 員》自社製品以外のものもサッシメーカーとして受け入れる意向はあるのか。 《委 員》ペレット化に失敗したものは使えないのか。 《事業者》やってやれないことはないとの。フレークでやれば、コスト的に有利になる。 《委 員》解体のコストはサッシ向けの場合か。 《事業者》あくまでサッシ向けのものである。 《委 員》表に示している樹脂のデータは、新品のデータだ。再生樹脂とは違う。再生樹脂の使 -16- 用が伸びていくということの根拠になるのか。 《事業者》再生塩ビは国内では買い止めの状態にあるが、例えば台湾では、下水管でも短尺物の 管は、の本のように規格も厳しくないので、いくらでも需要がある。中国も同様。 《委 員》下水用配管は、長期耐久性が必要だが。保証がないと厳しいと思うが。 《事業者》増量材として使用しても品質に問題ないとされている。 -17- (3)製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査 【調査実施者】JFEテクノリサーチ株式会社 【FS事業概要】 製鋼スラグからリン等不純物を取除く事で高炉への循環利用を可能にするとともにスラグ製 品の高付加価値化を図る。 (対象物):製鋼スラグ 製鋼スラグからリンを回収し、リンを除去した製鋼スラグを、石灰代替として高炉操 業に利用するとともに、回収したリン化合物を燐酸肥料原料化する <第1回評価運営委員会> 《委 員》高炉スラグと製鋼スラグ何が違うのか。先の説明では製鋼スラグのリンが高い、その ほか何が違うのか。 《事業者》金属分が違う、転炉スラグが高い。 《委 員》高炉スラグにリンが少ないなら、なぜ高炉に戻せないのか、要するに片方はリンをの ぞいて石灰として高炉に戻す、片方はセメントに使うということでないか。 《事業者》高炉スラグもカルシウム源になるなら高炉に戻すことも可能だが、現状ではなってい ない。製鋼スラグにもシリカ等若干はあるが高炉スラグに比べ少ない。 《委 員》要は、高炉スラグはセメントで売れているから手をつけない、製鋼スラグはどうしよ うもないから何とかする。 《事業者》それが基本にあります。 《委 員》要するにリンを取りたいということか。リンは国際資源で、石灰は国内資源であるわ けだから。色々技術が掲載されているが、利用できるリンの形で回収するには、どの技 術が有望か。 《事業者》直接肥料として使えれば一番良いが、燐酸カルシウムを主体とした形態になっていれ ば扱い易いといわれている。 《委 員》いくつか技術が示されているが、目的に一番近いのはどれか。 《事業者》磁気によるものは別として、熱をかけたものは似たような状態である。リンの濃度が それほど高くなかったものもあり、ばらつきはある。 《委 員》メタル側の湯の方のスラグを絞ることと肥料とどういうふうに繋がるのか。 《事業者》スラグ中の多様な酸化物を還元して鉄を主体としたメタルを分離すると、リンと鉄の 塊になる。更にそれを製錬してリンと鉄を分けるということです。 《委 員》これは文献研究か、それとも実際に試験を行うのか。 《事業者》文献調査で技術の調査を行うことも一つ、協力しているJFEスチールの研究所で、 まだ小規模な実験だがやっている。 《委 員》リン鉱石の価格が急激に動いているが、何の影響で変動するのか。 《事業者》リン鉱石は偏在している。特に中国、モロッコ、ロシアに。価格高騰は、中国が 2008 年 5 月頃輸出関税をかけたことが大きな要因である。 《委 員》 かなり高温で分離することになるが、CO2を考えなければならない時代になってき ていることから、リンを節約する効果とCO2の排出のマイナスの効果とをバランスを 考えながら進めて欲しい。 《委 員》今年度末までに、肥料の試験はやるのか。 《事業者》JFEの研究所で実験室的に作った鉄とリンを分けたもののサンプルを用いて肥料検 -18- 査を行う。通常の肥料と違うので、鉄分やマンガンが多いことの影響を試験する「植害 試験」という約一ヶ月半で結果が出る試験である。 《委 員》リンは戦略物質で、アメリカはもう鉱石では国外に出さず、製品の形でしか出さない と記憶している。そういう点からリンを取りたいということか。 《事業者》背景には昨年来リンの入手に困ったという現実があったと聞いている。 それとは別に、高炉循環ということで、スラグをどうにかしたいということもあり、 両方を合体できるような開発に持っていきたい。 <第2回評価運営委員会> 《委 員》LCAで効果を比較するときには、燐酸資源を新たに得られためにプロセスを追加す る前の高炉プロセス(鉄を作る機能)に、バージンの燐酸の製造プロセスを加えて比較す るなど、色々な機能を整理して行って欲しい。 《委 員》リンのリッチ層の強磁場による分離はどういうものか。 《事業者》これは平均的にリンの高いスラグを分離する実験の話である。平均的には8%ある。 それを分離して、リンの低い側は、鉄を多く含んでいることになるので、磁石で付く側 になる。着磁物というのはリンの低い方になる。これが3~6ということになる。磁石 に付かなかったもの、これはリンが高いということで、リンリッチ層が分離されること になる。 《事業者》今の8%というのは6枚目の東北大学の長坂先生の実験である。実験で使用している 磁気分離と、ケース1で使っている磁気による分離は別物。東北大学の長坂先生の実験 では、非常に強い磁気を使っており、通常の磁気では付かないような酸化物の鉄、弱い 磁性のものでも分けてしまう実験である。一方、ケース1は、いわゆる磁選で、単に磁 石でメタルとメタルでないものを分けている。 《委 員》新しい技術を適用する場合、ケース1で磁気分離と書いてあるところに適用するとい うことか。 《事業者》ここでは従来の磁選程度のものを考えている。その前段にある還元処理と酸化精練を 新たに導入していこうというもの。強磁場でやろうとしているものは、これからである。 《委 員》指摘事項については、よく回答いただいた。 <第3回評価運営委員会> 《委 員》二酸化炭素の削減量という点では大きくないと考えて良いか。 《事業者》リンの回収とスラグの有効利用が目的である。 《委 員》植害試験は問題なし、というが、植害とはどの程度のことを言うのか 《事業者》今回の試験は種を蒔いて 3 週間目の発芽の状況を重さで、対照肥料との比較で評価す る方法。今回は差が出なかったが、長い期間の試験も今後やっていく必要あり。 《委 員》中に Mn が入っていること自体は評価外か。 《事業者》Mnは生育障害を起こすといわれているが、3 週間では問題なかった。 《委 員》植物の生育影響だけではなく、食べたときの安全性はどうするのか。 《事業者》成分に関しては、肥料取締法で肥料の種類ごとに有害成分の限度を規定。ものが固ま ってきた時点で、成分分析を行い、評価したい。 《委 員》ケースⅠでの循環システムで、循環させるメリットは何か。 《事業者》製鋼スラグは、主として製鉄所外で土木材料等にリサイクルされている。これを循環 利用して、高炉に戻すようになれば、リンを濃縮したスラグだけが外に出て行くことに -19- なる。 《委 員》製鋼スラグを、一間掛けてリンだけを取り出すことか。 《事業者》リンを取り出すとともに、残った製鋼スラグを石灰の代替として高炉で使用する。 《委 員》石灰の代替になるのか。 《事業者》製鋼スラグを石灰の代替として使用する。 《委 員》何年後くらいに肥料化が達成できるのか。 《事業者》まだ具体的な目途は立たないが、通常は始めると応用研究に2~3年、実証研究2~ 3年、計 5 年程度である。その間に、肥料について検討していく。 《委 員》磁気による分離の仕掛けを入れること高炉プロセスへの影響はないのか。 《事業者》製鉄プロセスを改造する必要はない。 《委 員》ケースⅠと ケースⅡどちらが有利か。 《事業者》どちらが有利というより、製鉄所で、現状、溶銑予備処理での脱リンに力点を置いて いる製鉄所の場合は、磁気による分離が有効、一方、溶銑予備処理で脱リンをそこそこ やり、転炉でまた脱リンをする場合は、ケースⅠの方が向いていることになる。 -20- (4)超硬工具スクラップの回収促進事業 【調査事業者】三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 【FS事業概要】 超硬工具スクラップのリサイクルは有効な対策であるものの、回収率が悪い状況。回収率を 上げるためモデル地域でリサイクル普及事業を行い、その成果を分析、検討し、有効な対策を 研究する。 (対象物):超硬工具スクラップ <第1回評価運営委員会> 《委 員》デポジット制度か。 《事業者》超硬工具スクラップは、通常有価で市場に流通されている、あくまで有価金属として なるべくメーカー経由で直接回収しようという仕組みである。 引き取った際に、タングステン純分の相場に応じて支払う仕組みである。 《委 員》メーカーが売るときに価格を上乗せして売るということか。 《事業者》メーカーからは売り切りである。 《委 員》そうすると広報が大事だ。 《事業者》本事業でも協会等による小口ユーザーに対する広報が課題である。 《委 員》タングステンの価格は今後も高騰が予想されるのか。 《事業者》読みは難しいが、中国が主導権を握っている限りは、しばらくはそうだろうと予想さ れる。 《委 員》価格が上がれば、このシステムも劇的に変わる可能性もあるのか。 《事業者》価格が上がることは、リサイクルには追い風になるという認識がある。 《委 員》仕組みが不要なる可能性もあるといえる。将来予測は難しいと思うが、シナリオ1と 2を検討していただきたい。 《委 員》海外ルートの方が、高く買い取ってもらえるのが現実。これを解決しないといくら仕 組みを作っても難しいのではないか。 《事業者》ペットボトルと同じ問題がおきている。海外ルートは、一つは工具のまま研削して工 具で売るという、これはまたグレーなところがある。この問題はどう対処していいかわ からないが、マテリアルリサイクルに関して言えば、日本の製錬所のコスト競争力を高 めるための技術の向上が鍵になってくる。中国の方が、より安い値段で製錬できるので、 より高い値段で買い取れる。放置すれば、多分中国に流れてしまうだろう。今回の事業 の枠外だが、JOGMECで製錬所のコスト低減を研究開発されているので、その兼ね 合いを考える必要もある。 《委 員》そこが大問題だ。スクラップ業者も、ユーザーも、高く買い取ってくれることがわか ってさえいれば自動的に日本の中でリサイクルする。日本でこれだけ必要なのに海外に 行くのはおかしいと、だから仕組み上、囲ってしまおう、という意識。何とか安い価格 で回収したいという思いが透けて見える、自らやるべきことを放棄して、リサイクル意 識に頼っているのが気になる。そこに触れてもらわないと、片手落ちだ。輸出するのが 悪者になるだけじゃないか。 《事業者》おっしゃっていることは真実だと思う。 《委 員》実際に危機意識があるのか、実際にマテリアルをつくっている方、Mマテリアルとか、 或いは使っている方の危機意識はどうなのか。 -21- 《事業者》国内リサイクル率を20%まで高めようということが大々的に報道されている。Mマ テリアルもやっていこうという方針を掲げている、ほかのメーカー、工具協会のメーカ ーもその方向にある。ただ、まだ始めたばかりの段階で、技術がまだ製錬プラントの中 に入る段階にいっていない。途上の段階にある。 《委 員》20 キロの回収ボックスに、貯まると中国から買いに来るという図式になる。これも地 球規模でのリサイクルだ。選り分けなくてもよいのだから。お金だけで勝負すればいい のだから。意図に反する結果が出てくる可能性もある。 《事業者》リサイクルは資源の安全保障的意味も込めていっている。 《委 員》そうなると囲い込みになる。国が資源の安全保障を言うなら、予算をつけてその費用 を税金で賄うことを考えないと。いい仕組みになればなるほど買い易くなる。 《事業者》タングステンの鉱山の開発とリサイクルに税金をどこまで投入すればよいのかという バランスの問題も多分出てくる。そこまでは議論しきれない面があるが、仰っている問 題があることは、我々も認識している。 《委 員》日本の銅の精錬所が銅の含有率で買い取っているが、あのような仕組みを念頭におい ているのか。 《事業者》できれば銅精錬所並みの競争力のある精錬所を作りたいと考えている。 <第2回評価運営委員会> 《委 員》アウトプットとして何が出てくるのか若干不明確。何がわかるのか、また何を提案し たいのか。 《事業者》従来、大口ユーザーからの回収は超硬工具メーカーが独自に行ってきた。メーカーが 直接回収していない小口ユーザーからは回収できていなかった。今回は、小口ユーザー からどうすれば回収できるのかを考えること。何が課題なのかを考えましょう。今回見 えてきたのが、直接やり取りする仕組みをメーカーとしても確立する必要があること。 例えば、20kgまで最低受取量を下げる。これは結構良かったことと思う。後は、や はり選別していただくことへの普及啓発。これだけの価格で引き取るので、一般廃棄物 とか鉄くずとして捨てていた方は分けてください。そうすれば、メーカーで然るべき価 格で引き取ります。 《委 員》提供すべき必要情報の明確化とその提供方法、もう一つ回収システムの提案というの もあるのか。 《事業者》今までの、大口のユーザーと違い、小口ユーザーでは宅配便とかそういう仕組みを使 わなければいけないということでの調査である。 《委 員》環境情報を与える場合に、実施者が実行に移す場合に、例えば費用対効果、実行可能 性、社会規範、この3つが環境心理学では重要。この3つの観点で、情報を整理してい ただくとありがたい。与える情報の抜けがなくなる。 《事業者》ありがとうございます。 《委 員》今は適切な情報がまわっていないから。適切な情報さえ与えれば自然に動くという仮 説・前提があるわけか。 《事業者》それが一つと、後は、メーカーの方でも、サービスを提供してこなかった。たとえば 20kgでも引き取れるというサービスを準備してこなかった。 超硬工具以外のスクラップの購買力が違うのでは、スクラップ市場の構造的な問題も 考えなくてはと思っている。 《委 員》超硬工具は、切削工具だから、ダライ粉と一緒に発生する。ネットワークからすれば、 -22- 鉄スクラップ業者のネットワークの利用が一番手っ取り早いと思う。ある程度まとまれ ば、あとは簡単。わかって引き取っている場合は、お客さんが知らないことをいいこと に、ごみとして或いは鉄くず並みに引き取って分けている。先ほどの3つの啓発先は、 メーカーとかエンドユーザーだけでなく、一番手っ取り早いのは、鉄スクラップ業者だ。 《事業者》問屋さんに対しての協力をお願いするとか。 《委 員》スクラップ業者も幅広い。そんなことみんなに知らせないで欲しいという業者もいる かもしれない。 《委 員》超硬工具スクラップをリサイクルする社会的な意味とか、全体像が良く見えない。ス クラップを集めるだけの話になる。集めた後、どう回れば、例えばレアな資源が節約で きるとか、この社会的な意義というものをもう少し明確に示して欲しい。 《事業者》社会的な意義等について簡単に紹介すると、世界の8割の生産国である中国の輸出規 制品目になっているので、輸出関税もかかる。メーカーとしては、原材料の調達に不安 になるので、リサイクルもやらねばならない。3年前の調査で明らかになったのは、国 内のリサイクル率はドイツへの委託精錬を含めても2割5分しかない。リサイクル率を もう少し上げられないかというのが事の発端である。 《委 員》意義があるなら、社会的仕組みを作ったり、公的資金を入れてでもやらなくてはなら ない。社会的な意義をもっと積極的に説明して欲しい。そうでなければ、集めたものが 中国に行ってしまってもOKという話になりかねない。 《事業者》資源の安全保障的な観点からも国内でやりたい。 《委 員》だとすると、当然税金を使わざるを得ない。それを納税者に説得させねばならない。 損得勘定だけで良いことになる。 《事業者》その点は別途、説明いたしたい。 《委 員》意識ということが出ているが、リサイクルでは意識の高い低いはあまり意味がない。 良い仕組みを作れば、こっちの方が得だということでみんないく。やっても労多くして 益少ない仕組みなら、幾ら啓発活動してもうまくいかない。意識の問題でなく仕組みの できの良さだと思う。 《委 員》この場合、情報の非対称というか、小口のユーザーは知らないでいるという問題があ る。 《委 員》もちろんそれもあると思う。 《事業者》そこをターゲットにした。 《委 員》これをやれば、得になりますよということを明確に提案すれば、皆が気がついて、全 体としては、社会的公正さが増すからそれでよい。 《事業者》今回ターゲットではないが、大口ユーザーは、今まで入札で高いところに出していた。 それが結果的に中国に出てしまう、広い意味でメーカーに戻らないのは良くないのでは ないか、ということで、値段には関係なく、メーカーに戻るような問屋に出すというよ うな動きも出てきている。まさに委員の仰るとおりだ。そういうことを強調する必要が ある。 《委 員》細かい話だが、タングステンは備蓄の対象物品か。 《事業者》はい。 《委 員》20kgの箱は今回どこに置かれているのか。 《事業者》ユーザー(小口のモニター)の工場の切削現場である。 《委 員》20kgは、何故 20kgなのか、小口だともっと小さいのではないか。 《事業者》1 回の運搬コスト当たりの回収量を考えると、本当はもっと大きくしたいが、逆に余 -23- り大きくすると、宅配業で扱えないという問題もある。 《委 員》アンケートの内容「その他」とは、具体的にどんな回答なのか。 《事業者》自由回答を整理したものである。 《委 員》 「これまでの超硬スクラップ処理状況」では、22%がその他となっている。この回答 から見ると、埋立に回るような状況にないような感じがする。何故まわってないとおっ しゃるのか。この回答から見る限り、結構、7割以上、分別しているように見える。だ から延び代はどのくらいあるのか。メーカー主導で回収を進めていきたいという主張だ が、グラフのあるべき姿を検討いただきたい。 《事業者》原因として、一部が事業系一般廃棄物に流れるものがある。 《委 員》ただ鉄くずが混じっている。 《事業者》特殊鋼向け鉄スクラップに流れている可能性がある。 《委 員》特殊鋼向けには売れないはず。成分がわからないから。 《事業者》電炉で買い入れてから、1回溶かしてインゴットにして成分調整ということを聞いた ことがある。 《委 員》わかっている業者は分けて処理する。 《委 員》20kgでは、平均して 1 ヶ月でいっぱいになるのか。集める方からすると。大きい のか小さいのか。 《事業者》1ヶ月では全然たまらないのが現状である。 《委 員》1年くらいかかるのではないか。 《委 員》必要性から見るともっと小さいはず。どちらの都合で決めたのか。 《事業者》20kgはメーカーサイドの都合で決めた。 《委 員》3年前の調査と今回どこが新しいのか後で教えて欲しい。前の調査の成果と今回の成 果を比較してほしい。 《事業者》今回は前の調査の続きである。前の調査で、小口ユーザーについて、手が届いていな いとの評価だった。その後、小口ユーザーへもかなり営業をかけてきてはいるが、今回 は小口ユーザーに力点を置いている。 <第3回評価運営委員会> 《委 員》最後のまとめで、中国の輸出関税も無視できないので、政府や WTO に働きかける必 要ありとのことだが、外交に頼もうということか。 《事業者》アメリカと欧州で、輸出関税は WTO 違反でないかと提訴したが、日本もそこに入っ てもらいたいとのメッセージである。 《委 員》回収は有価で買い取っているのか。 《事業者》全く同じ市価で買い取っている。 《委 員》それでも協力できないところがある。 《委 員》月に 1 ㌔なら、月に千円以下ということですね。 《事業者》CIF(運賃・保険料込み条件)なら、もう少し高くなるかもしれない。今回実際にメ ーカーが買い取った金額は㌔千円とか 850 円とか、時期により 100 円くらいの変動があ る。 実際問題として 20 キロ入りの箱だが、いっぱいになるには四五年かかってしまう。4 年間箱を置いておくのはちょっとシンドいということで、協力に消極的な直接モニター の意見にもあった。ただ、貯めていないわけではないので、箱を配るのではなくて、最 初に五年後でも貯まった段階で声をかけてもらえるような、名前を覚えても合えるよう -24- なやり方の方がむしろ効果的だったかもしれない、との意見も委員会で出た。 《委 員》小口ユーザーまで回収しなければいけないほど、メーカーでは材料確保が切迫してい るのか。 《事業者》今現在、材料がショートしている等の状況にはない。また何か起きたとき、そのとき の状況をどう考えるか、保険をどう考えるかという話である。 《委 員》国内精錬の国際競争力を強化すべきとのメッセージになるのですね。 《事業者》保険をリサイクル率50%までの保険をかけるのか、25%の保険でよいとメーカー が考えるのかで変ってくる。委員会でも、まだ回収されていない余地がまだある。ロー ドマップでは40%を目標にしている。そこが最大限の保険の掛け方かなと思う。 《委 員》山口県岩国市の喜和田鉱山(1992 年閉山)の再開は考えられないか。 《事業者》雇用への影響等を考えると、日本から精錬や工具産業が、中国に行ってはいけないと いう前提でこの事業に取り組んでいる。価格決定を中国に握られたり、供給ストップと か考えると、保険としてどちらが安いか不明だが、鉱山再開も一つの選択肢ではある。 《委 員》国の資源の確保という面では、輸出は抑えたいということになる。ペットボトルでも 海外に行ってしまうという同じ構図がある。 《委 員》どうしても、高値買いに流れるのは仕方がない。それをどう理論武装して立ち向かわ なくてはいけない。 《事業者》一つは、国内精錬業者が精錬コストの圧縮をどの程度がんばれるか、JOGMEC でや っているが、継続して、もう少し深堀してもらい、並行して、国内でどのくらい集めら れるかの検討を進めたい。 -25- (5)ASR再資源化技術開発等の可能性及び使用済自動車由来のガラス・バンパーのリサ イクルの現状調査 【調査事業者】財団法人日本生産性本部 【FS事業概要】 ASRについては、法施行以降再資源化率は上昇してきているが、中長期的にみて頭打ちが 見込まれる。更なる再資源化率の向上を図るためにASRの処理技術に関し調査を行い、新技 術等の開発、実用化についての調査を実施し、制度の方向性の一指標とし、併わせて自動車バ ンパー等の3Rの現況調査を行う。 (調査対象物):使用済自動車のシュレッダーダスト及びバンパー、ガラス <第1回評価運営委員会> 《委 員》 豊田メタルが例示に上がってない理由は何か。 《自動車課》豊田メタルは、豊田系列なので、豊田へのヒアリングの一環として豊田メタルと豊 田メタルの試験場は当然調査の対象として当然抽出されると思う。 《委 員》これからはガラス・バンパーが問題だ。新たな成果が出てくれば、自動車リサイクル は、当然変わる。例えば、事前処理項目、あるいはASRのリサイクル率の計算が変 わる。法律変更の繋がる可能性がある。 《自動車課》成果が出れば、法律の変更を行う可能性がある。 《委 員》 いい成果が出たら、公表して、法律、少なくとも運用を変えることなど検討すべき だ。 《委 員》 この調査と、「合わせガラスの調査」とどう棲み分けされるのか。 《自動車課》その点は、予算要求の際に、省内からも、ちゃんと整理して重複のないようにとの 注文があった。 「合わせガラス」の方は、調査物ではあるが、実証的なものが含まれて いる。こちらの方は、現状の状況の調査という違いがある。情報交換をしながら、進 めたい。 《委 員》 かなり密に情報交換して欲しい。このテーマでもたぶん現状調査と重なるのではな いか。 《自動車課》実施する際の条件であると言われている。 《委 員》 印象だが、国内については、いろんな関係機関が車一台一台トレースしている。リ サイクル率の定義とかASR、現状調査については、パターンを5つくらいにわけて かなりはっきりしているはず。だから、現状調査についてはそれ程時間がかからない と思う。海外については、色々な資料にばらばらに出ているものを、まとめることは 意義あることと思う。調査対象に上げられているガラス、バンパーについては、総論 としては難しいとなっている。それをブレークスルーするためにはどうするのか。 《自動車課》国内についての状況はかなり把握されている。海外についてはまだまだだ。 <第2回評価運営委員会> 《委 員》フォルクスワーゲンの技術、あまりにすばらし過ぎて、額面どおりにとってよいのか という気がする。高炉還元に放り込めばよいと、JFE 等やっているようだが、いろいろ 問題はあると聞いているが。額面どおりとって良いか。 《事業者》具体例は少ない。25 頁のオーストリアのリンツ近郊にあるフォルクスワーゲンの工場 程度である。 -26- 《委 員》実際に高炉還元に行っているのか。 《事業者》樹脂の粒状物については全量、高炉還元にいっているとのことだった。 《委 員》まだ実験段階。ポスト・シュレッダー・テクノロジーは言葉として随分もてはやされ ているが、実態はわからない。 《事業者》現地で見たが、粒状物がしっかり出てきて、トラックで運ばれていくのを見た。稼動 し始めて何年か経つ施設だが、継続的に稼動している。 《委 員》日本の高炉メーカーに話を聞いているか。 《事業者》今回のヒアリングでも、新日本製鉄に話しを聞いたが、非常に課題があるのでは、と のことだった。 《委 員》新日本製鉄は、高炉に入れずにコークス炉に入れている。 《事業者》はい。 《委 員》結論はネガティブだが、状況をはっきり聞けてよかった。 <第3回評価運営委員会> 《委 員》海外というのは欧州を指していて、韓国・中国は ASR に関する情報はないのか。 《事業者》韓国については、入手できた ASR に関する情報を記載している。 《委 員》韓国の ASR に関する情報については、3 章にも触れていただきたい。 《委 員》海外でうまくいているのに、日本ではうまくいかないなら何が違うのか、海外でも日 本でもうまくいってないなら共通の問題ということがわからない。 《委 員》欧州は、統計資料すら揃えられないレベル。確かにいろんなことを情報発信するが、 大したことないこともある。 是非要望したいのは、環境省、国土交通省との情報の共有化をどんどん進めていただ きたいことだ。 《委 員》ガラスリサイクルがうまくいかなくて、誰が困るのか。言い換えれば、どうしてもや らなくてはいけない理由はあるのか。 《事業者》やらなくてはならないなら、無理な支援をしてでもやるべきだが。 《委 員》自動車リサイクル法により、ユーザーから処理料金をもらっている。もし、ガラス・ バンパーが採算の取れる形でリサイクルできれば、処理料金の軽減に寄与する。バンパ ーはサーマルリサイクルが可能だが、ガラスは重量も大きく、最終処分に行くものも大 きいもの。その面では処分場への負荷は軽減される。では、誰が困っているかというと、 大筋ではうまく回っているといって良い状態だ。 今回の調査で、熱源としてバンパーが無くなると困るという意見があったのは目から うろこだった。必ずしもマテリアルリサイクル万能というわけでもないということもあ りうる。 -27- 3.評価運営委員会における指導・評価の概要 3回開催された評価運営委員会において委員から発言がなされた各 FS 事業に対す る指導及び評価については以下のとおりである。 (1)合わせガラスのリサイクルに関する調査研究 第 1 回評価運営委員会 指摘事項 3Rの観点からの最適化、温暖化への貢献等 の観点を取り込んで理論武装して欲しい。 事業者回答 中間膜のリサイクルによる省エネ量のデータ が得られれば報告書に盛り込むべく進める。 (第2回委員会) 処理コストの損益の予測データ。例えば、拠 少なくとも剥離処理のコスト及び実験装置で 点化した場合、ある程度まとめて処理する場 の処理能力を報告書に盛り込むべく進める。 合、その中間の場合等に分けて予測。 (第2回委員会) 膜とガラスの価格差に関するデータが欲し い。 確立した価格はないため口頭で報告する。(第 2回委員会) 第2回評価運営委員会 指摘事項 事業者回答 エネルギー収支等を考えるのであれば、 OMB-100 は海外のメーカー製造の洗浄液に OBM-100 を作るためのエネルギー投入量も考 オメガテクノモデリングが特別に成分変更を えないといけない。是非とも先方からデータを 加えた液であり、元の液を作るためのエネルギ 提供してもらって欲しい。 ー投入量が開示されていないため、指摘のあっ たエネルギー投入量は算出できない。 (第 2 回指摘事項に対する事前回答) 報告書には、どういう原理で剥離するするの か等の情報を可能な限り記載して欲しい。 ご指摘に沿い、開示可能な限りの成分名を含 めた剥離のメカニズムを報告書に記載した。 (成分名として Sodium Phosphate、Sodium Metasilicate を記載) パラメータを絞り込んでいる。 (第 2 回指摘事項に対する回答) 大型装置の実験では、実験の数を減らすため 指摘内容を踏まえ、実施している。小型装置 に、少しパラメータのとり方を工夫された方が で行った、少量サンプルを用いた基礎の条件出 効率的と思う。 しの評価結果を参考にし、量産に適する条件を 求めていくという観点で大型装置での実験パ ラメータを絞り込んだ。 (第 2 回指摘事項に対する回答) -28- (2)樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な技術や仕組み等に関 する調査 第1回評価運営委員会 指摘事項 手選別から始まる回収の一貫した流れ(破砕 と選別)の現状がわかりにくい 再生ペレットを再生ペレット(サッシ材)以 外の用途の検討を考えて欲しい 事業者回答 図により回収の流れを説明 (第 2 回委員会) 既に塩ビ管等、再生ペレット(サッシ材)以 外の用途については既に検討されており、使用 もされている。(第 2 回委員会) 手解体の樹脂サッシに関する易分解設計の 適用可能性 解体時の問題点、時間短縮の工夫等、本調査で 得られる成果は、易分解設計の参考となるよ う、サッシメーカーにフィードバックしたい。 但し、現在、発生・処分している廃樹脂サッシ は、製造から 30 年を経過したもので、構造の 変遷も考えられることから、現在の樹脂サッシ の構造については検討委員会等を通じ、サッシ メーカーに確認することとしたい。 (第 2 回委員会) 第2回評価運営委員会 指摘事項 問12の結論として、結論として、100km 以 内で、運搬コストが1万円以内で、リサイクル 事業者回答 委員ご指摘の通りと考え、これを「5千円/ t未満」と訂正したい。 処理費が2万円以内、要するに3万円以内だ なお、この設問は積荷の比重や運搬車両の想 が、問12の表はデータとしては施設活用に関 定が回答者個々に著しく異なるため、広域流通 するコスト等について例えば、B 他社運搬の をシステム化する際には改めて綿密な調査が 場合の運賃の上限を見ると、64%が 5,000 円未 不可欠と考えている。 満でないと駄目と回答しており、これを1万円 (第 2 回指摘事項に対する回答) と解釈するのはまずい。そうでないなら、どう いうロジックでこの結論が出て来たか、もっと 明確に整理して欲しい。 発生量の正確な予測は、装置の建設、システ 樹脂サッシは今後、我が国での使用量は全国 ムの構築に必要である。アンケート回答との整 的に増加の一途を辿っていくものと思われ、今 合性の有無も含め、わかり易く整理して欲しい 後老朽化し解体・リフォームされる戸建住宅が 増加し「樹脂サッシ」は、このままでは、建設 混合廃棄物としての埋立処分されることが予 測される。 平成14年時の推計では、2007 年から樹脂 サッシの建築廃材の排出が本格化し、2021 年 には2万tに達する。 (第 2 回指摘事項に対する回答) -29- (3)製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査 第1回評価運営委員会 事業者回答 指摘事項 高炉スラグと製鋼スラグの違い:組成等を整 理したデータが欲しい 高炉の安定操業には 1.3 以上の塩基度を保つ 必要がある。そのため石灰を投入するが、高炉 スラグはシリカ含有率が製鋼スラグに比べ高 いため、石灰代替として使用できない。 CaO SiO2 塩基度 (CaO/SiO2) 高炉スラグ 41.7 33.8 1.23 製鋼スラグ 45.8 11.0 4.16 (第 2 回委員会回答) リンを節約する効果とCO2の排出のマイ ナスの効果とをバランスに関するデータ 石灰石使用量削減、鉄源回収利用、リン資源 化によるリン鉱石使用量削減等のエネルギ ー・CO2 収支試算前提条件を整理した。 (第 2 回委員会で回答) 第2回評価運営委員会 指摘事項 事業者回答 LCAで効果を比較するときには、燐酸資源 回収されるリン資源の性状については、現 を新たに得られためにプロセスを追加する前 在、小規模の実験室レベルのサンプル試作であ の高炉プロセス(鉄を作る機能)に、バージンの り、回収されるリン資源を用いることによるリ 燐酸の製造プロセスを加えて比較するなど、 ン酸製造時におけるLCAでの効果やマイナ 色々な機能を整理して行って欲しい。 ス面の定量化を行える段階ではない。 また、この検討にはリン酸メーカーが参画す る開発体制の構築が必要と思われるが、現時点 ではそこまでには至っていない。 このため、本調査では、回収リン資源がリン 鉱石の代替に利用される(サンプルのような組 成の生成物であれば、使用可能性があることを リン酸メーカへのヒアリングから得ている。) と仮定して、リン鉱石の採掘と輸送に係るエネ ルギーの削減量についてだけ検討するに留め ている。 今後、開発が進み、回収リン資源の性状が固 まってきた段階で、リン酸メーカによる検証を 行う必要があると考えている。 (第 2 回指摘事項に対する回答) -30- (4)超硬工具スクラップの回収促進事業 第1回評価運営委員会 指摘事項 タングステンの価格変動によるシナリオ1 と2の検討 事業者回答 回収・分解・選別コストを確保可能なスクラッ プ相場を想定して説明。 (第 2 回委員会回答) 第2回評価運営委員会 指摘事項 事業者回答 環境情報を与える場合に、実施者が実行に移 指摘に基づき、以下の取り組みが今後重要で す場合に、例えば費用対効果、実行可能性、社 ある旨を「超硬合金スクラップのリサイクル率 会規範、この3つが環境心理学では重要。この 拡大に向けたロードマップ」の取り組みメニュ 3つの観点で、情報を整理していただくとあり ーとして取りまとめた。 がたい。与える情報の抜けがなくなる。 ・費用対効果の観点:超硬工具ユーザーに向け た情報発信の必要性として、スクラップ相場の 情報や一般的・例外的な選別基準の紹介(どの ような手間を要するのかがわかる情報)を、今 後必要な対策メニューとして盛り込んでいる。 ・実行可能性の観点: 超硬合金スクラップの 選別・保管に慣れていない超硬工具ユーザーで も取り組みの内容を具体的にイメージできる ような情報提供(スクラップの選別ノウハウや 最低回収量といった実行の可否を判断するに 足る情報提供)を今後必要な対策メニューとし て盛り込んでいる。 ・社会規範の観点: 資源循環や資源確保の重 要性に関する情報提供を今後必要な対策メニ ューとして盛り込んでいる。 システムの構築は、小口のユーザーにとって 我が国における超硬合金スクラップのリサ も得になることについて、納得できる説明をし イクル率(国内メーカー主体によるリサイクル て欲しい 率)は1割程度に過ぎず、超硬工具メーカーへ の還流ルート整備が必要であること(平成 18 年度3Rシステム化可能性調査) 。 各事業者から発生する超硬合金スクラップ は少量かもしれないが、日本全国でみた場合に は無視できない量となり(関係者ヒアリングに よれば、全体の1~2割ほどとの意見あり)、 鉄くずに埋もれていたりする超硬合金スクラ ップを超硬工具のリサイクル向けに回収する ことができれば、わが国の超硬工具向けタング ステンを安定供給することにつながる。タング ステンの安定供給に貢献することで、自らが超 -31- 硬工具を利用できなくなってしまうリスクを 間接的に低減することができること。 アンケートの内容「これまでの処理状況」 (円 ご指摘のとおり、小口ユーザーから排出される グラフ)から見ると、小口ユーザーからの排出 超硬合金スクラップは、鉄くず問屋などに何ら はかなり適正にされている印象を受けた。だか かの形で回収はされるが、結果として鉄くずか ら延びしろはどのくらいあるのか。小口のユー ら取り出されずに廃棄されたり(電炉スラグ ザーからの回収を、メーカー主導で回収を進め 化) 、海外の精錬事業者などに向けて輸出され、 ていきたいという主張だが、円グラフの内容を 結果として国内の超硬工具メーカーにはあま 再整理して欲しい り還流していない状況。 既往調査(平成18年度3Rシステム化可能 性調査)同様、国内の製精錬事業者における再 生処理技術の高度化及び処理能力の拡充が最 大の課題であるが、国内の製精錬事業者に還流 させる超硬合金スクラップの少なさも課題で、 超硬工具メーカーが有する工具販売店とのネ ットワークなどを活かすことで、超硬工具メー カーや工具販売店による超硬合金スクラップ の回収量を拡大できる可能性がある。 2008 年データに基づく推計では、国内で製 造・販売される超硬工具および工程スクラップ 中のタングステン、また海外から輸入される超 硬工具中のタングステンを合計して 100 とし た場合、超硬工具ユーザーから鉄くず問屋や非 鉄専門問屋に引き取られる超硬合金スクラッ プの量は 60 近くを占める。このうち製精錬事 業者に還流するのは 10 前後に過ぎず、超硬工 具メーカー主体による還流ルートを構築する ことで、現在のリサイクル率を最大で4倍程度 (約4割)まで拡大できる可能性がある。 (第 2 回指摘事項に対する回答) (5)ASR再資源化技術開発等の可能性及び使用済自動車由来のガラス・バンパー のリサイクルの現状調査 第 1 回評価運営委員会、第2回評価運営委員会においても、特に指摘事項はなかった。 -32- 4.FS事業者の調査実施内容と成果、評価 平成21年2月より各テーマについて調査が開始され、平成22年3月まで鋭意実施された。 それぞれのFS事業者の成果を次ページ以降に概説するとともに、3Rシステム化の観点から の評価を行った。 併せて、それぞれのFS事業に対する評価運営委員による意見を整理した。 -33- -34- -35- <FS事業者の実施内容と成果、評価> 実施内容 研究成果 評価運営委員の意見等に基づく評価 合わせガラスの効率的・実用的なリサイクルシステムの構築に向け、合わせガラスにおけるガラスと中間膜の ○ ガラスと中間膜の分離について、量 産に適する液温度と濃度の組み合わ 最適な分離手法についての調査 せを明らかにしたが、中間膜のデー ○ 剥離液の分離性能及び剥離装置に要求される機械特性の ○ 剥離液の調査選定:他の剥離液、剥離液の タが無く、事業化の可能性を判断す 把握 代替品調査(洗剤等)を実施した結果、オメ るには不十分である。中間膜メーカ ガテクノモデリング社の OMB-100 を選 ーの協力を得て更に検討することが 定した。 必要である。 ○ 分離後のガラスと中間膜が再生利用可能性に関する分析 ○ 量産に適する液温度と液濃度が明らかに なった。 及び評価 液濃度: 5%、液温度: 50% ・ ガラスの粒度と剥離処理時間の関係 ○ 自動車用合わせガラスをガラスとPVB 中 ・ 剥離液として効果的な溶液の種類 間膜に剥離し、それぞれを板ガラス原料、 ・ 効率的な温度と濃度の関係 (温度-濃度プロファイル) ガラスビーズ原料、PVB 中間膜原料に再 ・ 剥離液の劣化因子による交換時期の指標 生利用できる可能性が大きいことが判明 ・ 剥離効果を高めるための外力付加等の機械特性 した。 (100%リサイクル可能) ○ 委員会関係者との意見交換によって、 ガラ スカレットへの量的なニーズも十分にあ ることが確認された。 (1)合わせガラスのリサイクルに関する調査研究 -36- <評価運営委員からのコメント> ○ 最終的にはコストが合うかが重要であり、自動車リサイクル法の議論の中ではガラスのリサイクルはコストが合わないとされている状況下で、この 手法が実現可能なのかどうかを判断できる材料が少なく、膜製造メーカーの評価も分からない中ではこのプロセスが実際に有効なのかどうか判断が 難しい。 ○ 制度と技術とマッチング、技術の難易度にあわせた仕組み、技術で無理やり解決しようとするとしばしば袋小路にはいってしまう。 ○ 薬剤メーカーとの共同作業も、中身がわからないので、守秘義務を何らかの形で担保するにしても、ある程度踏み込んでいくべき。 <今後の課題> ○ ガラスと中間膜の分離について、量産に適する液温度と濃度の組み合わせが明らかになったが、中間膜のデータが無く、事業化の可能性を判断するこ とは難しい。中間膜メーカーの協力を得て更に検討することが必要である。 -37- 3.再生素材のマーケティング等調査 ○ 金属・ガラス市場動向調査 ○ 台湾加工業者調査 ○ 再生ペレット成型評価 2.リサイクルに係る技術的課題の把握及び有効技術等 ○ 樹脂サッシ手解体性の調査 ○ マテリアルリサイクル有効技術実証試験 ○ 樹脂サッシ廃棄状況の実態把握 ○ 広域物流を含めた経済性のある回収体制の在り方の検 討 評価運営委員の意見等に基づく評価 ○ 現地ヒアリング調査等により、再生ペレ ットは、アジア圏において、当面は安定 的な市場確保が可能であることを確認で きた。 ○ 技術的には『機械破砕-湿式比重選別』 システムが十分に実用段階であることが 検証できた。 ○ 再生塩ビの品質ランクによっては管材原 料やサッシ原料等に対応できることも確 認できた。 ○ 解体業者、中間処理業者等へアンケート ○ 事業としての採算性をどのよう とヒアリングを実施し、再生処理施設ま に確保するのか。再生処理施設ま での距離が 100 キロ以内で、運搬コスト での距離が100 キロ圏内にないの が5千円以内、リサイクル処理費が2万 が現状であり、広域物流を含めた 円以内であれば、持ち込んでも良いとの 経済性のある回収体制の在り方 回答を得た。 について、更に検討が必要であ ○ 100 キロ圏に再生処理プラントがない場 る。 合、保管施設の必要性が認識された。 <FS事業者の実施内容と成果、評価> 実施内容 研究成果 1.樹脂サッシの普及状況及び廃樹脂サッシの発生状況等 2009 年現在の樹脂サッシ廃棄状況の実態調査 (2)樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な技術や仕組み等に関する調査 -38- <評価運営委員のコメント> ○ 再生用フレークの製品化の評価では、表面の状態が問題にされたことを勘案すると、サッシ TO サッシは、かなりハードルが高いと想像される。 <今後の課題> ○ 廃樹脂サッシの発生量が年々増加し、10 年後に北海道地区で 2 万トン発生するとしても、足元では千トン程度であり、処理量と処理コストを発生量の 増加に合わせて、計画的に調整する必要がある。 ○ 事業としての採算性を確保するための大量物流システムを構築することが最大の課題として残されている。 -39- 3.改質製鋼スラグの高炉循環システム評価 ○ 製鋼スラグ高炉循環システム構築と検討 ○ 高炉循環システムの実用化評価 2.製鋼スラグからのリン分離・回収技術に関する技術調査 ○ リン分離回収技術調査 ○ リン分離回収要素技術の実用性評価 ○ その他有用物回収の可能性検討 ○ 製鋼スラグの高炉循環システム構築における 現行製鉄プロセス上の技術的課題を抽出し、 整理。基本的には現行の製鉄プロセスで適応 可能と判断された。 ○ システムの中核となる製鋼スラグからのリン 分離回収技術について適用可能性のある以下 の新技術を抽出し、今後の研究課題を整理。 ⅰ)「固体還元+酸化精錬」法 ⅱ)「強磁場によるリン分離」法 更に、上記の2技術手法について適用プロセ スの実用化検討を行い、現時点での技術的実 現性を確認。 <FS事業者の実施内容と成果、評価> 実施内容 研究成果 評価運営委員の意見等に基づく評価 ○ 製鋼スラグからのリン分離回収 高炉循環システム実用化検討調査 技術については、技術的実現性 1.製鋼スラグの高炉循環システムにおける課題の抽出と技術開発方針の策定 は確認されたが、実用化に向け ○ 現状の高炉投入副原料や製鋼スラグの性状調査 ○ 製鋼スラグの高炉循環システム構築における ては、更に課題が残されている。 ○ 高炉循環システム構築上の課題抽出 現行製鉄プロセス上の技術的課題を抽出し、 ○ 技術的課題解決の技術開発基本方針策定 整理。基本的には現行の製鉄プロセスで適応 可能と判断された。 (3)製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査 -40- <評価運営委員からのコメント> ○ 技術的な検討として完成度が高く、話としては非常に興味深い。 ○ スペック、目標に対して、どの程度実態はどうなっているのか知りたい。 ○ 実機に向けて期待したい。FS としては面白い。 <今後の課題> ○ 製鋼スラグから分離したリン資源の技術的実現性は確認されたが、実用化に向けては、更に課題が残されている。 4.製鋼スラグから分離したリンの資源化についての課題設定 ○ リン資源の需給状況の整理 ○ リン資源の国内外の需給状況について統計情 ○ リン濃化スラグの実用性評価 報の調査と専門家へのヒアリングからわが国 ○ 課題の整理 のリン資源確保におけるリスクと対策につい て検討し、製鋼スラグに含有するリンの資源 としての有効性を確認。 ○ リン資源の利用普及を図るために主たる利用 先と見られる肥料又は肥料原料に着目してヒ アリング及びサンプル試験を実施し、利用可 能性を確認し、回収リン生成に関する課題を 整理した。 -41- <FS事業者の実施内容と成果、評価> 実施内容 成果 評価運営委員の意見等に基づく評価 ○ 関東地域、関西地区で事業説明会を ○ スクラップ発生量の多少にこだわ ○ セミナー(説明会)開催、パンフレット、回収ボックスの配布 開催し、超硬合金スクラップの選別 らずに参加できる回収サービスの ・事業の枠組みに関する検討、超硬工具協会関係者、特殊金属卸問 方法やリサイクルの重要性に関する あり方や選別や保管に要する人手 屋、超硬工具ユーザー組合等に対する協力依頼 情報を提供し、アンケートでは、理 を軽減させるような回収サービス ・事業実施計画の立案、パンフレット・回収ボックスの仕様決定お 解が深まったとの回答が過半数から のあり方を今後の検討としている よび作成セミナー開催(3地域)およびパンフ・ボックスの配布 得られた。 が、根本的には、ユーザーが超硬合 金スクラップを分別して保管する ○ 既往調査を踏まえた仮説検証(ユーザー事前調査) ○ モニターへのアンケート結果 ことがインセンティブになるよう ○ 事後のユーザー調査(ヒアリング/アンケート) ・保管を続けても良いと回答するモニタ な制度の構築が重要である。 ーは4割程度。条件次第で続けてもよ いとのモニターが3割程度。 <販売店の回答> ・顧客の多くが、超硬合金スクラップの 選別や保管に応じそうにもなく(手間 がかかるのを嫌う) 、通常の営業活動以 外に手間を投じたくはないとの回答。 ・スクラップの選別以前に、工場内の整 理整頓から指導し始めなければならな い顧客が多く、販売店側に選別の負担 や指導の手間が転嫁されることを懸 念。 ○ 超硬合金スクラップのリサイクル率 拡大に向けたロードマップを策定。 (国内回収率40%を目標) (4)超硬工具スクラップの回収促進事業 -42- <評価運営委員のコメント> ○ ペットボトルと違い、超硬工具のユーザーは限られている。従って、インセンティブさえあれば、集荷網の構築は可能と思われる。 ○ 資源戦略での保険としてどの程度国内リサイクルさせるべきなのかという政策的な議論が必要。 <今後の課題> ○ スクラップ発生量の多寡にこだわらずに参加できる回収サービスあり方や選別や保管に要する人手を軽減させるような回収サービスのあり方が今後 の検討課題である。 ○ 分別することがインセンティブになれば、集荷網の構築は可能であるが、ポイントとなる買い取り価格は、国内における精錬価格に依存する。本事業 とは異なる問題であるが、国内でのリサイクル率の向上には、競争力のある国内処理体制の確立が不可欠である。 -43- 研究成果 評価運営委員の意見等に基づく評価 ○ バンパー・ガラスの事前回収につ <メーカーヒアリング結果の概要> いての、自動車メーカー、解体業 ・バンパーの回収:採算とれていない 者、ASR処理業者の意見等が整 ・ガラスの回収:全く採算が合わない。 理されており、今後の自動車リサ <自動車解体業ヒアリングの概要> イクル法の在り方に関する議論 ○ ガラスの事前回収・リサイクル に資するものである。 ・経済合理性に見合う引取ルートが現時点で はないので、事前回収したガラスをリサイ クルルートに乗せられていない。 ・現実的にガラスの事前回収及びリサイクル は他の経済的な支援なしには実施が困難で あると推察される。 ○ バンパーの事前回収・リサイクル ・ ガラスよりは経済的な実行可能性を有望 視する意見が多かった。ガラスとは異な り、 事前回収・リサイクルの可能性がある。 ○ 国内 9 社に、バンパー・ガラスの事前回 <ASR 処理施設ヒアリング> 収の影響についてヒアリングを行った。 ○ バンパーの事前回収の可能性と ASR 処理施設への影響につい <ASR 処理施設ヒアリングの概要> て ・ガラスの事前回収:ASR 処理事業者むしろ ○ バンパー・ガラスの事前回収の影響について 歓迎。 ・バンパーの事前回収:ほとんど全ての ASR 処理事業者が反対。(熱源として必要) <FS事業者の実施内容と成果、評価> 実施内容 ○ 国内のASR処理技術に関する調査 ・バンパーの事前回収の可能性と ASR 処理施設への影響について ・バンパー・ガラスの事前回収の影響について <自動車解体業ヒアリング> ○ バンパーの事前回収の可能性と ASR 処理施設への影響につい て ○ ガラスの事前回収の実行可能性について (5)ASR 再資源化技術開発等の可能性及び使用済み自動車由来のガラス・バンパーのリサイクルの現状調査 -44- <評価運営委員コメント> ○ 貴重な情報集積であり、特に解体の段階でバンパー等を事前に取り外しASRに混在させない場合、既存のASR処理に支障をきたすおそれがあるこ とが指摘されている点は、新たな知見の一つだと思われる。 ○ 本調査結果は、合わせガラスのリサイクルに関する調査研究の調査結果と合わせて検討されるべきである。 ○海外のASRの処理技術 欧州における代表的なPST(Post Shredder Technology) ・施設活用率及びリサイクル率の扱い:疑問 を呈する声が多い。 ○ ASR の成分調査や監査:簡素化及び実施 回数の削減を望む声がある。 ○ 海外(欧州)における ASR の再資源化技 術とその動向を調査し、ASR処理の現 状を把握するとともに、ASRリカバリ ーの新技術の現状を把握した。また、中 国及び韓国における自動車リサイクル制 度の動向を調査した。