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Instructions for use Title アカエゾマツ樹皮の化学成分:1

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Instructions for use Title アカエゾマツ樹皮の化学成分:1
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アカエゾマツ樹皮の化学成分:1.化学成分の分布
佐野, 嘉拓; 田中, 憲次
北海道大學農學部 演習林研究報告 = RESEARCH
BULLETINS OF THE COLLEGE EXPERIMENT FORESTS
HOKKAIDO UNIVERSITY, 33(1): 223-233
1976-03
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/20962
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
33(1)_P223-233.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
アカエゾマツ樹皮の化学成分*
1.化学成分の分布
佐野嘉拓柿田中憲次*判
Studies onChemical Components o
f Akaezomatsu
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1
. Distribution ofChemicalComponents
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Yoshihiro SANO
andKenji TANAKA*
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目 次
1.緒言...・ ・
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4
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. 実験方法…・ ・・
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4
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1 供試木と試料の調製…...・ ・
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・ ・・
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・ ・
.225
2
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2 アルコールーベンゼン抽出物…・..…...・ ・
2
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3 熱
水
, アノレコーノレ抽出物・ ・・・・
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2
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6
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4 フェノーノレ酸, リグニン…・ ・・
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5 ホロセノレロース・ ・・
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. 結果と考察・ ・・
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6
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1 試料の調製・ ・・
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2 アルコーノレーベンゼン抽出物ぃ・ ・・
水
, アルコーノレ 抽出物…・ ・・
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.229
3
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3 熱
3
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4 骨格成分・ ・・
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・ ・・・
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・ ・・・
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2
3
0
4
. 結
論…-・・ ・・
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・ 231
5
. 謝
辞・ ・・
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3
2
参考文献...・ ・
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・ ・232
Summary ・・・
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・ ・・・
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… 233
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1
. 緒 言
パルプ工場等から多量に放出される樹皮の利用は多年の念願であり,その意味からも樹皮
の化学成分に関する研究は興味ある課題である。樹皮は樹木の生活に密着した位置を占めるこ
キ
判
1
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5年 6月 2
2日受理
北海道大学農学部林産学科木材化学教室
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*材現京都大学木材研究所
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2
2
4
北海道大学農学部演習林研究報告第
3
3巻 第 1号
とから,その化学成分は生態的,季節的変動で異なり,樹齢,生育条件,部位などによって含
有量のみならず,成分組成にも大きな変化を温じる。樹皮を風乾,粉砕し,有機溶媒又は水で
抽出される,高級脂肪酸,アルコール,樹脂酸,ワックス,炭化水素,テルベン,アルカロイ
ド¥ステロイド,蛋白質,色素,タンニン,フロパフェン,配糖体などの抽出成分は化学的組
成において木材の抽出成分のものとはかなり類似している場合が知られているが,その抽出量
(20-40%)は材部の抽出量 (2-5%) に比べてかなり大きい。
しかしながら個々の異なる物質
は経済的な単離が可能なほどに多量には存在しない。樹皮は各種の組織上の構成要素を持ち,
師部繊維では化学成分が木材とほとんど変らない 1)。 しかし,コルク細胞は抽出成分に富み,そ
の大部分は木材には存在しない,コルク細胞壁に梼徴的なスペリンから構成されているヘス
ペリンが生成,沈着されるメカニズムや他の成分との結合状態などは不明である。樹皮粉末は
8
1
0にも達する 2)。樹皮の骨格成分
大部分がアルカリ可溶部に属し, redwoodでは樹皮粉末の 8
4,
5
)。樹皮リグニンを 7
2%硫酸法で定量
である樹皮リグニンに関する研究も幾多行われている 3,
する時に,調製されたリグニンはメトキ、ンル基が木材のリグニンに比べて著しく低い。この低
いメトキシル基含量は材のリグニンと性質の異なるフェノール酸の混在するためと考えられて
いる。フェノール酸は樹皮に特徴的成分で,リグユンよりもフェノール性水酸基,カルボキシル
基が多く,塩酸ーフロログ、ルシン反応が陰性で, 1%水酸化ナトリウムにより加熱抽出される九
フェノール酸の化学構造は明らかでない。純粋なりグニンを樹皮から単離する最も適当な方法
ベ BJORKMAN法により抽出する方法である ,。
はジオキサ γ一塩酸でリグユンを抽出するか 1
89
)
前者は鉱酸によるリグニンの変質が避けられないし,後者は収量が低く,混在するフェノール
酸の除去が困難である。樹皮リグユンのより適当な単離法がないために,構造研究は進展して
いない。樹皮リグニンの呈色反応は材リグユンの呈色反応には見られない興味ある結果を与え
る。呈色反応は形成層から外樹皮に向って漸次増加し,異なる組織の細胞要素や同一細胞中に
も呈色反応の相違が示される 10)。これらの結果などから,
リグニンの生合成過程を従来の形成
層に存在するリグニン前駆物から合成されるのでなく,分化した細胞内に生じた前駆物から合
成されると推定されている 11) が,なお議論の余地がある。
樹皮は有機化合物の宝庫であるが,樹皮の化学の十分な解明はなされていない。本研究は
樹皮中のフェノール配糖体と高分子量フェノール(タンニン,フロパフェン,フェノール酸,リ
グニン)との相互関係を解明し,高分子量フェノールの生合成過程に光明を見い出すために計画
され,今回は樹皮中の化学成分の分布を検討した。
2.実験方法
2
.
1 供試木と試料の調製
1
9
7
4年 5月上旬に北海道大学雨竜地方演習林から樹齢 1
2
0年,樹高 24.9m,胸高直径 3
8
.
5
cmのアカエゾマツ (
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iMAST.)を供試本としてえた。供試木より 2.8m間隔で B枚
アカエソマツ樹皮の化学成分
2
2
5
(佐野・田中)
の円盤を採取し,円盤より樹皮を剥離した。内樹皮の表面にアルコールを噴霧し,樹皮をポリ
1,内樹皮 -2をナイフで剥離した。最外部の
袋に入れて密閉し,数日後に形成層側より内樹皮 空気と接する褐色又は黒褐色のリン片状の外樹皮←2を手で取り,
残りの内樹皮 1,2よりも硬
1とした。分画された 4つの樹皮試料は一週間風乾し,ウイレーミル
い向っぼ L、部分を外樹皮 で粉砕し,
0メッシュにとどまるコルク部 (Corkparticles),40-100メ y シ
ふるいに掛けて 4
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),100メッシュを通過する樹皮粉末部 (
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) に分別した。
ュの師部繊維部 (
~:.
2 アルコールーベンゼン抽出物
0gをアルコールーベンゼン
樹皮の化学成分は Flowsheetにもとづき分別した。樹皮試料 1
(アルベン)(
1
:2
) の混液で 6時間ソックスレー抽出器を使い抽出した。抽出液は減圧濃縮し,
0
50Cで 1時間乾燥してアルベン
残存する水をアルコールとの共沸混合物として減圧除去し, 1
抽出物とした。
0倍量のエーテルに撹持下
アルベン抽出物は更に 90%ジオキサンに溶かし, 1
そそいだ。エーテル可溶物をロ別し,沈般は水を加えて水可捺物と不溶物に分別した。水可溶
物は酢酸エチルで 3回抽出し,酢酸ェチル可溶物と水可溶物に細分した。樹皮試料lOgは別個
に抽出溶媒をヘキサン,ベンゼン,エーテル,アルペン, 95%エタノールに順次変えて,
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北海道大学農学部演習林研究報告第 3
3巻 第 1号
時間ソックスレー抽出器を使って抽出し,各抽出量を求めた。
2
.3 熱水,アルコー J(.,抽出物
アルペン抽出残澄樹皮試料 19を 300mi容三角フラスコに取り,水 100miを加えて 3時
間還流した。放冷し,熱水抽出残潰を遠心分離した。分離液を予め秤量した 1G3のガラスフ
ィルターで口別し,更に遠心分離残澄を少量の水で定量的にガラスフィルターに移した。熱水
0
抽出残潰を 1
0
5C で一昼夜乾燥し,抽出量を算出した。
アルコール, 1%ヵ性ソーダ抽出のた
めの熱水抽出残澄試料は別個に調製した。すなわちアルベ γ 抽出残誼 5gを水 300miで 4
8時
∞
間室温で抽出した。抽出液を口過し,残澄を水 3 miで 3時間還流した。放冷し,熱水抽出液
を吸引口過し,抽出残澄を熱水でよく洗浄し,風乾して以下の試料とした。
は 95%アルコールで 6時間ソ
y
熱水抽出残澄 4g
O
クスレー抽出器を使い抽出した。抽出液を減圧乾回し, l
O
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jC
で 1時間乾燥し,アルコール抽出量を求めた。
2
.
4 フェノール酸, リグニン
0
0
C,1時間加熱した。放冷し,水,
アルコール抽出残澄1.5gを 1%カ性ソーダ 150msで 9
5%酢酸水溶液,水,アセトン,エーテルによりアルカリ抽出残漬を十分に洗浄し, 105C
。で 2
時間乾燥した。
アルカリ抽出残澄を
72%硫酸法で処理してクラーソンリグニン量とした。 ア
2%硫酸法で処理し,酸不溶性残澄を求めた。酸不溶性残j
査からク
ルコール抽出残澄は別個に 7
ラーソンリグニン量を差しヲ│いたものをフェノール醜とした。
2
.
5 ホロセルロース
アルベン抽出残澄試料 2
.
5
gを時々撹持しながら,亜塩素酸塩法で 4回反復処理した。ポロ
セルロースは残存リグニンを補正して求めた。
3
. 結果と考察
3
.
1 試料の調製
アカエゾマツから 8個の円盤を採り,樹皮を剥離した。 T
able1に円盤の樹高,年輪数等
を示した。 No.1の円盤の樹皮は雪による凍結のために剥離出来なかった。剥離した樹皮は内
樹皮 -1,2と柔かい内樹皮を除いたのちに現れる硬質の白色の外樹皮 -1および褐色のりン片状
2に分画された。
外樹皮-
KURTH12)は樹皮を粉砕,ふるい分けし, 4
0メッシュより大きな粒子
のコルク部, 40-100メッシュの師部繊維部(繊維部)と 1
0
0メッシュよりも細かい微粉末部に
分別した。繊維部は更に水による浮沈法で精製し,水に浮遊するコルク部を除去した。アカエ
ゾマツの 4分画した樹皮を十分に風乾し,粉砕し, KURTH12)らの方法に準じてコルク部,繊維
部,微粉末部に各々ふるい分けした。各分画からのコルク部は 3回以上の粉砕の繰り返しで,
95%以上がコルク部として回収された。 l回の粉砕で得られた内樹皮1,2のコルク部は水に
完全に沈降したのに対して,外樹皮 1,2のコルク部は各々約四%, 50%が水に浮遊した。繊
維は水に沈降し,
1,2のコルク部
コルク質は水に浮遊するという従来の知見 12)から,内樹皮-
アカエゾマツ樹皮の化学成分
2
2
7
(佐野・田中)
Table1
. Dataon~ark Sampleso
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,2にもかなりの繊維が混入していると考えられる。本研究の分析
試料として
1回の粉砕で得られた繊維部を主に使用した。水による浮沈法にもとづく繊維部
の精製は水による分析結果への影響を考慮し,行わなかった。
1
:
.
2 アルコールーベンゼン抽出物
アルコールとベンゼンの混液(アルベン)による抽出で低分子量の化学成分が溶出する。
Table2に No.3(樹高 7m,Bottom),No.5 (樹高 13m,Middle),No.7(樹高 19m,Top) の
1,2のコルク部は水によ
各部位の円盤より剥離した樹皮のアルペン抽出量を示した。内樹皮る沈降から,繊維の塊と考えたが,アルペン抽出量はその判断を支持する結果を与えた。外樹
皮1,2から調製したコルク部,
繊維部,徴粉末部聞のアルベン抽出量に明白な違いが認めら
北海道大学農学部演習林研究報告第 3
3巻 第 1号
2
2
8
れた。アルベン抽出量はコルク部,繊維部,微粉末部の順に増加し,微粉末部ではコルク部の
およそ 2倍の抽出量を示した。この抽出量の相違は各試料の粒子の大きさによる抽出の難易さ
,2のアルペン抽出量の結果は各試料とも近似する抽出
に基因するとも考えられるが,内樹皮ー1
量を示したから,その推定は否定された。内樹皮と外樹皮のアルペン抽出量を比較検討した。
アルペン抽出量はコルク部と繊維部では成熟した内樹皮 2で最高値を示し,空気と接する褐色
の外樹皮 -2では前者のおよそ半分以下に減少した。微粉末部では外樹皮 -1のアルベン抽出量
が最高で、,以下内樹皮2,内樹皮 1,外樹皮 2の順で減少した。
であった。
3)は
KURTH1
これらの傾向は各部位に共通
CedarBarkの Bottom,Middle,Topの各部位から調製した繊維部
のアルベン抽出量が Bottomから Topに向かつて増加すると報告している。
アカエゾマツの
Bottom,Middle,Topの各部位から得た繊維部のアルベン抽出量は内樹皮と外樹皮により量
的相対関係が異なった。内樹皮 -2と外樹皮 -1の繊維部のアルベン抽出量は Bottomか ら でop
に向かつて漸次増加したのに対して,外樹皮 -2の繊維部ではその傾向が逆転した。
Middleと
Topの内樹皮 -1から得たコルク部と繊維部のアルベン抽出量は各々 2
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と近似したが Bottomの 内 樹 皮 -1からのコルグ部と繊維部では各々 22.2%,25.4%に減少し
た
。
1,2,外樹皮ー1
,2の 4分別間で観察されたアルベン抽出量の増減に及ぼす化学成
内樹皮-
分を詳細に検討するために,樹高 16mの円盤 (NQ.6) から剥離した樹皮の繊維部をヘキサン,
ベンゼン,エーテル, アルベン, 95%アルコーノレ,熱水の順に連続抽出した。 Table3の結果
はエーテル,アルベンによる抽出量に前記のアルベンによる抽出量と類似した傾向が認められ
た。連続抽出において,アルベンに可溶な化学成分の量が他の有機溶媒による抽出量よりも圧
2の繊維部はヘキサンとエーテル
倒的に多かった。外気と接し,風雨にさらされている外樹皮抽出物が他の樹皮よりも少なく,
水溶性成分(熱水抽出物とアルペン抽出物の一部)が急激に
減少し,ベンゼンとアルコール抽出物が増加した。 Table2に示したアルベン抽出物の内容を
抽出物の溶解度特性の面から検討した。アルベ Y 抽出物をエーテル可溶部,酢酸ェチル可溶
1,2および外樹皮]の
部,水可溶部,水不溶部に分別した。抽出量が比較的類似する内樹皮-
2の繊維部のアルベン抽出物と比較した。前者の
繊維部のアルペン抽出物を一緒にし,外樹皮Table3
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(佐野・田中)
アルベン抽出物には水溶性成分(酢酸エチル可溶物と水可溶物)が 87%含まれ,外樹皮ー2の繊
維部のアルベン抽出物で、は水溶性成分が 23%含まれるに過ぎない。このように両者のアルベ
ン抽出物の化学組成には顕著な相違が認められた (Table4
)
。
アルベン抽出量とその分別フラクションの各収量から,外樹皮ー2の繊維部は水溶性成分を
痕跡程度しか含まない。これは外樹皮ー2の水溶性成分が風雨により流失したとも考えられる
2において急
が,後述するようにフェノール酸,リグニンなどの高分子量フェノールが外樹皮激に増加する結果を加味すると興味深い。
3.3 熱水とアルコール抽出物
熱水抽出によりタンニンと水溶性炭水化物が溶出し, 95%アルコール抽出により縮合タン
ニンの重合物と推定されるフロバフェンが溶出する。熱水抽出ではアルベン抽出量に匹敵する
量の化学成分が溶出した。熱水抽出物は内樹皮から外樹皮に向かつてほぼ直線的に減少した
(Table5,Fig.1
)
0 Bottom,Middle,Topの各部位の間では同様な傾向が認められた。
アルコ
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ール抽出は操作の簡便さを計るために熱水抽出の残濫試料について行った。連続抽出の際に認
められたアルコール抽出物の明白な傾向はこのアルコール抽出物には存在しなかった。内樹
1,内樹皮2から得た繊維部のアルペン,熱水,アルコールの各抽出物の合計量はほぼ同じ
皮数値を示し,
これは Bottomから Topに向かつて増加する傾向を示した。
この合計量は外樹
皮-1と 2になるにつれて減少し,減少量は Topになるに従って著しかった。
3
.
4 骨格成分
アルベン,熱水, アルコールで、順次抽出した樹皮の繊維部を
ノール酸,可溶性炭水化物,
リグ、ニ
1%アルカリで煮沸し,
γ のアルカり分解低分子量物質を抽出した。
フェ
フェノール酸
は化学構造がタンニンと類似しているが,熱水に不熔性の高分子量フェノールで、ある。酸処理
により不溶性沈般を生成し,生活機能を持った細胞には存在しない点で、はリグニンと似ている
アカエゾマツ樹皮の化学成分
{佐野・問中)
が,ブェノール酸は塩酸ーフロログルシン反応が陰性である。
ロメフェン,フェノール酸,
2
3
1
KURTH1) と幡 8.9) らはタンニン,フ
リグニンに代表される樹皮の高分子量フェノールをそれらの溶解
度特性を利用して分別定量した。
able5に示した。
し,その結果を T
アカエゾマツ樹皮の繊維部を
KURTH1) らの方法で分別定量
生活機能を有する内樹皮 1,2の繊維部に微量のフェノー
ル酸とりグニンが定量された。この定量値の一部は内樹皮に含有する蛋白質に由来する。外樹
2の
皮一1の繊維部になるとフェノール酸とリグニンは急激に増加し始め,空気と接する外樹皮繊維部では更に増加した。
Bottom,Middle,Topの各部位間では明白な定量値の傾向は認め
られなかった。アルベン抽出残澄から亜塩素酸塩法により,ホロセルロースを調製した。内樹
皮1,2の繊維部から得たホロセルロースは純白であったのに対して,外樹皮1,2の繊維部よ
り得たホロセルースは特有の強い黄味を帯びていた。この黄味はリグニンを含む木材からえた
ホロセルロースでも認められなかった。樹皮のホロセルロースの残存リグニン量を測定すると
黄味のより強い外樹皮2のホロセルロースはおよそ 4.0%の残存リグニンを含み,内樹皮の純
白なホロセルロースは 1%以下のリグニンを含む。残存リグニンを 5%以下にすると,脱リグ
ニンよりも炭水化物の崩壊,溶出が起ると報告されているから,亜塩素酸塩で 4回処理して得
られた,これらホロセルロースは一部炭水化物の崩療が起きていると考えられる。繊維部のホ
ロセルロースは内樹皮から外樹皮に向かつて増加し,内樹皮のホロセルロースは Topよりも
Bottomに多く見られた。樹皮の骨格成分を総括すると,フュノール酸, リグニン,ホロセル
2に向かつて漸次増加する。この傾向はアルベンや熱水で抽出される低
ロースはすべて外樹皮分子量化合物の傾向と相反する。内樹皮1,2と外樹皮1のアルペン抽出物は 87%の水溶性
成分を含むのに対して,
2のアルベン抽出物は 23%の水溶性成分を含むに過ぎない。
外樹皮-
2で急激に減少し,熱水抽出量も減少するから,内樹皮1,2
全体のアルベン抽出量も又外樹皮外機皮一1に含まれる水溶性成分は外樹皮 2に移行する段階で水に不溶性の高分子量成分に変
,Middle(樹高 1
3m)
,Top(樹高 19m)の各部位から
化したと考えられる。 Bottom(樹高 7m)
2から外樹皮ー1と外樹皮ー2に移
得た繊維部のアルベン抽出物と熱水抽出物は成熟した内樹皮行する段階で両抽出量が外樹皮1で 1
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るほど増加した。アルベンと熱水抽出量の減少量と骨格
行することにより各々 26
成分の増加量の絶対値は比較的よく一致した。
4~
結論
アカエゾマツの Bottom(樹高 7m)
, Middle(樹高 1
3m),Top(樹高 19m)の各部位から
剥繭した樹皮を内樹皮1,2と外樹皮ー1
,2の 4つの部分に分離し,各々をコルク部,繊維部,
徴粉末部の 3フラクションに粉砕分別した。これらの樹皮の化学成分の分布を繊維部を中心に
2
3
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北海道大学農学部演習林研究報告第 3
3巻 第 1号
検討した。
1
) 繊維部のアルベン抽出量は成熟した内樹皮2に最も多く,空気と接する褐色のりん片
2の繊維部では内樹皮一2の抽出量の半分以下に減少した。
状外樹皮-
アルベン抽出量の比較的
近似する内樹皮1,2と外樹皮ー1のアルベン抽出物を一緒にし,分別沈股すると,アルベン抽出
物の 87%が水溶性成分であった。外樹皮 -2のアルベン抽出物で、は 23.0%が水溶性成分であっ
た。熱水抽出物は形成層と接する内樹皮ーlから外樹皮2に向かつてほぼ直線的に減少した。
2
) 繊維部の骨格成分(フュノール酸,リグニン,ホロセルロース)の分布は Bottom,Mid
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Topの各部位に共通し,内樹皮 -1から外樹皮-2に向かつて漸次増加した。
フュノール酸
とリグニ γ は内樹皮-1と 2に痕跡程度定量された。外樹皮 -2の骨格成分は Bottomからでop
の部位に向かつて増加し,内樹皮-1,2と外樹皮ーlのホロセルロースは Topの部位に向かつて
減少した。
3
) コルク部,繊維部,微粉末部のアルベン抽出量は内樹皮ー1と 2においてほとんど一致
したが,外樹皮1と2では微粉末部,繊維部,コルク部の順に減少した。内樹皮-1と 2のコル
ク部は完全に水に沈降し,未粉砕の繊維の塊と思われる。
1と 2の繊維部のアルベン抽出物と熱水
アカエゾマツ樹皮の化学成分の分布から,内揖皮抽出物とが外樹皮へ移行する段階でアルペンと熱水にもはや溶解しない高分子量化合物に一部
分変化することが示唆された。種々雑多な化学成分より構成されている抽出物がし、かなる条件
下でリグニン,フェノール酸,コルク細胞に多量に存在するスベリンなどの高分子量化合物に
選択的に変化するかは今後の興味ある課題であり,この課題の解明のために抽出物に含まれる
化学成分の検討が望まれる。
5
.
謝 辞
本研究にあたり,種々ご指導いただいた北海道大学農学部木材化学教室榊原彰教授,笹谷
宜志助教授に感謝します。なお,本研究の費用の一部は北海道科学研究費補助金で支弁した。
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