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水俣病問題の解決への取組

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水俣病問題の解決への取組
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第 7 章
水俣病問題の解決への取組
水俣病問題は、水俣病被害者が裁判やチッソとの自主交渉により救済を求めるなど紛
争状態が続いていましたが、東京地裁は平成2年(1990)9月、「水俣病問題の早期解
決のためには、話し合いによるほかはない」として、水俣病事件史上初めて和解を勧告
しました。この後、各裁判所から相次いで和解勧告が出されましたが、和解や自主交渉
で解決するには多くの課題があり、水俣病問題の解決は見通しも立たない状況でした。
このような中で、水俣病被害者の高齢化も進み「生きているうちに救済を」という声
32
が高まり、平成6年(1
994)10月頃から水俣病問題の早期解決を図ろうとする政治的な
動きが活発化し、12月、与党3党は水俣病問題の解決について本格的な検討に入りまし
た。平成7年(1995)に入ると、被害者団体、熊本県、関係省庁など関係者間の調整が
進み、9月28日、関係者の意見を踏まえ、与党3党による水俣病問題についての最終解
決案が提示され、12月までに関係当事者間で合意が成立しました。
合意の基本的考え方
水俣病に関する様々な紛争については、次の枠組みにより、早期に最終的かつ全
面的な解決を図る。
① 原因企業は、救済対象者(現に総合対策医療事業の対象である者等)に一時金
(260万円)を支払う。
② 国及び熊本県は、水俣病問題の最終的かつ全面的な解決に当たり、遺憾の意な
ど何らかの責任ある態度を表明する。
③ 救済を受ける者は、紛争(訴訟、自主交渉、認定申請、行政不服審査請求及び
行政訴訟)を取下げ等を行うことにより終結させる。
国及び熊本県は、紛争の終結に際し、総合対策医療事業の継続及び申請受付再開、
チッソ支援、地域再生・振興のための施策を行う。
政府は平成7年(199
5)12月15日、関係当事者間の合意を踏まえ、国が行う施策を定
めた最終解決策を閣議で了解するとともに、内閣総理大臣談話を発表し、これら施策に
ついて実施しました。−資料参照
平成8年(1996)2月から5月にかけて、合意に基
づき、被害者5団体それぞれとチッソとの間で、一時
金支払と紛争終結の協定が締結されました。
また、同年5月、協定締結を受けて、熊本、福岡、
被害者団体とチッソとの協定締結(中央
公民館)
大阪、京都、東京の3高裁4地裁で争
われていた関西訴訟を除く国家賠償等
請求訴訟は、原告とチッソとの和解、
原告による国と熊本県に対する訴訟取
り下げにより決着しました。
被害者団体とチッソとの協定締結(市体
育館)
%
水俣病問題の解決への取組
] 現に総合対策医療事業の対象である者(熊本県3,
374人、鹿児島県873人)、新たに総合対策医療事業
の対象となった者(熊本県3,
851人、鹿児島県1,
340人)並びに総合対策医療事業対象者であった者で死
亡したもの(熊本県162人、鹿児島県59人)及び新たに対象となった死亡者(熊本県605人、鹿児島県89
人)をあわせて一時金の支給を受けた救済対象者は、熊本県7,
992人、鹿児島県2,
361人の合計10,
353人
に上りました。
なお、このうち死亡者を除いた9,
438人は、総合対策医療事業の医療手帳の対象者となり、療養費等
が支給されることになりました。また、一時金の対象にならなかった人のうち1,
187人(熊本県842人、
鹿児島県345人)は、はり・きゅう施術療養費等が支給される保健手帳の対象者となりました。
また、国と熊本県の行政責任が確定した平成16年(2004)10月の水俣病関西訴訟最高裁判決を受け、
水俣病未認定患者に対する新たな救済事業として、平成17年(2005)10月から新保健手帳の申請受付を
開始しました。新規に申請し交付された者は平成19年(2007)3月末現在で、9,
068人(熊本県7,
321人、
34
鹿児島県1,
637人、新潟県110人)です。
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