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⑪250MHzまで測れる『周波数カウンター』 - So-net
初歩のラジオ 1980 年 11 月号 154∼159 頁 というのが持論です。 でも、測定器はそう安価ではあり ませんから、自作すると安くなり精 度が保証されるならば自作してもい いと思っています。 最近では、測定器用の LSI なども 出まわり、さらに心臓部をユニット 化したものも発売されていて、これ らを利用すると測定器を自作するメ リットも出てきます。 そのようなわけで、今月は 1 万円 とちょっとで出来る 250MHz まで 測れる周波数カウンターを製作して みることにします。 イーグル EF-85 周波数 カウンターの利用 測定器を作るメリット 私たちがいろいろなセットを自作 するとき、どうしてもほしくなるの が測定器です。 たとえば、本誌 8 月号と 9 月号で 作った 144MHz トランスバーター では、RF 電圧計や周波数カウンタ ーを使って調整するというところが あり、これらの測定器がないとトラ ンスバーターは作れないのかという 質問が編集部にあったと聞きます。 154 144MHz トランスバーターの場 合、RF 電圧計や周波数カウンター がなくてもなんとか 144MHz 帯の SSB が出るようにはなるでしょう。 でも、これらの測定器があれば成功 率はぐんと高くなりますし、出来上 がったものに対する信頼感も一段と 増すことは当然です。 さて、私は測定器を買うというの はハードウェア(金物)を買うので はなく、その精度(正確さ)を買う ものだと思っており、測定器は自作 するものではなく買ってくるもの、 周波数カウンターの心臓部を LSI 化したものはありますが、これを利 用するにしても周波数カウンターそ のものから自作するとこれはけっこ うやっかいです。そこで、市販され ている周波数カウンターのユニット の利用を考えてみることにします。 市販の周波数カウンターのユニッ トにもいろいろありますが、ここで はイーグル企画通商の EF-85 とい う周波数カウンターを使ってみます。 この EF-85 は、FCZ 研究所から 8,500 円で発売されており、私たち がこれと同じ物を作ろうとすると部 品代だけでもこの値をこえてしまい ます。 周波数カウンターEF-85 は、三菱 電機のラジオカウンター用の LSI、 M54821P とそのファミリーを使っ てまとめられたもので、規格は第 1 表のように、また構成は第 1 図のよ うになっています。 ラジオカウンターというのは、中 波や FM の放送を受信するラジオ受 信機の受信周波数を表示するための 初歩のラジオ ものということです。そのための機 基準周波数(Fref.)は、1.25MHz 能が第 1 図の IC2 の A∼F と示した です。 端子に用意されており、具体的には カウンターのほうは、ピン 8 と 11 第 2 表と第 3 表のようになっていま の 2 つの入力端子があり、これをピ す。 ン 9 で切り替えられるようになって 第 2 表をみると、A∼D の端子は います。 受信機の局発の周波数をカウントし これらの出力は、 ピン6 にFcount. て受信周波数を表示させるために周 となって現われますが、この間にピ 波数を引いたり足したりする機能を ン 11 の入力からは 1/32 出力、ピン 選択するものだということがわかり 9 からは 1/8 出力に分周されます。 ます。これから作る周波数カウンタ EF-85 についてのその他の細かい ーではこの機能は不用ですから、オ ことは、付属のマニュアル(英文) フセット・ゼロの太字で示したとこ にくわしく書いてありますからみて ろだけを使います。 ください。 第 3 表をみると、E と F の端子は LED の表示モードを選択するもの だということがわかります。これか ら作る周波数カウンターでは、小数 点の位置は別個に表示させますので、 E と F についてはとりあえず小数点 の出ない太字で示したところを利用 します。 なお、第 2 表と第 3 表の H とか L というのは、H はハイ・レベル、L はロー・レベルのことです。 では、第 1 図にもどって、EF-85 周波数カウンターをもう少し調べて みることにしましょう。 IC1 はカウンターと基準発振で、 基準発振は 10MHz の水晶発振を 1/8 に分周しています。ですから、 November 1980 周波数カウンター の計画 では、この EF-85 を使って周波数 カウンターを作ってみましょう。と ころが、この場合にいくつかの問題 点が出てきます。 まず、EF-85 では、第 3 表でわか るように最小読み取り桁は kHz で す。これでは、アマチュア無線用と してはちょっと不足です。 周波数カウンターで最小読み取り 桁を下げるにはタイム・べース、す なわち基準周波数を変えればよく、 155 実際には第 2 図のようにします。 この場合、分周を 1/10 ずつくりか えすことにより、最小読み取り桁は 1 つずつ下がります。すると、最小 読み取り桁を Hz まで下げるには分 周を 1/1000 にすればよく、これは 簡単に出来ます。 ところが、残念なことに EF-85 で はサンプリング周波数やダイナミッ ク・スキャンのスキャン周波数など がみんなこの基準周波数から作られ ており、 外からはいじれないのです。 …ということは基準周波数はそう大 幅にはいじれないということです。 この点については 1/10 の分周器 を 3 段つないだ 1/1000 の分周器を 作って実験してみた結果、1/10 はま あ何とか使え、1/100 以上は NG と いう結果になりました。 156 分周が 1/10 なら LED の表示は正 常で、サンプリング時聞も 1.6∼1.7 秒なのでちょっと使いにくい感じも しますが、まあ何とか使えます。 そこで、基準周波数を 1/10 に分周 することにしました。これで最小読 み取り桁は百 Hz になったわけで、 ここまで測れれば SSB のキャリア 発振の周波数の調整くらいまでは十 分にやれそうです。 つぎに、EF-85 の動作周波数は第 1 表でわかるように最大 50MHz で すから、これ以上の周波数を測るに は第 1 図の点線で示されたようにプ リスケーラーが必 要です。 これから作る周 波数カウンターで も、プリスケーラ ー を 入 れ て 250MHz ま で 測 れるようにするこ とにします。 こうして出来上 がったのが、第 3 図です。 まず、プリスケ ーラーのところが 1/10 で は な く 1/40 になってい るのは、前に説明 したように IC1 の ピン 11(MW/SW の IN)が 1/32 になっているのに対 して、ピン 8 の FM IN では 1/8 に なっているからです。 基準発振の分周の切り替えスイッ チの kHz と MHz は、小数点のとこ ろを示しています。したがって、こ のスイッチと表示の関係は第 4 図の ようになります。 第 4 図からわかるように、測定周 波数が 250MHz となるプリスケー ラーを入れた場合には、最小読み取 り桁は、kHz になってしまいます。 これは、仕方のないことです。 周波数カウンター の作り方 まず、EF-85 の改造から始めまし ょう。カウンター基板では、つぎの ところを改造します。 ①A∼F の端子のうち、購入したと きには E が GND におちている。 これを F につなぎかえる(第 3 表) 。 ②B、C(輝度調整)端子を GND に つなぐ。これで、LED の輝度が 上がる。 ③プリント板の裏側で、第 2 図の× 印のところを切りはなす。 つぎに、表示基板を改造します。 表示基板では、デシマル・ポイント (D.P、小数点)が第 1 図に示した 2 個(小数点の印の入っているもの) 初歩のラジオ だけがジャンパー線を通して端子に 出ています。そこで、このジャンパ ー線を切って独立させます。 では、第 3 図のプリスケーラーを 作ってみましょう。 第 5 図が、1/40 プリスケーラーの 回路です。このプリスケーラーを使 って、50∼250MHz を測定します。 まず、50/250MHz の測定周波数 の切り替えは、リード・リレーで行 います。こうすることにより、1 つ の 測 定 入 力 端 子 で 150kHz ∼ 250MHz まで測定出来ます。 IC1 の HD10551 は、1/10 プリス ケーラー用の ECL で、250MHz ま で動作します。このあと、フリップ フ ロ ッ プ が 2 個 入 っ た IC2 の SN74LS73 で 1/4 に分周します。 では、部品を集めましょう。実は このプリスケーラーは秋月電子通商 で、 “VHF プリスケーラー・キット” として売られているものを買ってき て利用したものです。 このキット以外で必要なものは、 Ry、IC2、それに 2 個のダイオード くらいです。このうち手に入りにく いのは、リード・リレーの UZT-10305 でしょう。これは、東 京・秋葉原のラジオストアーの中の (有)ナリタ(電話 03-251-3918) で求めました。 第 6 図に、プリスケーラーのプリ ント板のプリント・パターン図を示 しておきます。 なお、ここで 1/10 の分周に使った November 1980 HD10551 は、 5∼250MHz の間では 40mVpp の入力があれば働きます。 プリスケーラーが出来たら、つぎ は第 3 図の基準発振の分周のところ を作ってみましょう。 第 7 図がその回路図で、第 3 図の kHz と MHz を切り替えるスイッチ はIC2 のSN74LS00におきかわって います。 この回路では、SW の端子が OPEN(L)⇒1/1(MHz) +5V(H)⇒1/10(kHz) となります。この回路は、NAND ゲ ート 4 個で構成されていますが、こ れでどうして第 3 図のようになるか は、ひとつみなさんで考えてみてく ださい。 なお、このようにディジタル回路 でスイッチを構成したのは、基準発 振の信号回路をスイッチのところま で引っ張ってきたくなかったためで す。また、SW の端子に+を加えて スイッチを切り替えるようにしたの は、切り替え用の信号がこのほうが 得やすかったからです。 第 8 図に、この部分のプリント・ パターンを示しておきます。 157 ←プリスケーラー 部の基板 それぞれのプリント板が出来上が ったら、全体をケースの中に組み立 ててみましょう。 ケースにはアイデアルの TC-160 (大きさは幅 160×高さ 56×奥行 き 160mm)を使ってみましたが、 ちょうどいい大きさです。 ケースの中の全体のつなぎ方は、 第 9 図のようになります。 電源部については、特に作り方は 説明しませんでしたが、この部分は 8P の平ラグ板の上に組み立てまし た。なお、電源は 5V の 3 端子レギ ュレーター7805 で定電圧化します。 7805 は、 放熱のためにケースの後面 パネルに取り付けます。このあたり のようすは、 第 10 図の実体図をみて ください。 ケースの中の組み立てがおわった ら、最後に測定用の接続コードを作 ります。第 11 図に、その作り方を示 しておきます。 さて、周波数カウンターが完成し たところで実際に働かせてみたら、 基準発振の信号が外部にもれてちょ っと誤動作するようなのです。たと えば、MHz/kHz 切り替えスイッチ をkHz にして455.8kHz とカウント し て い た の が 、 MHz に す る と 456kHz とはならずに 458kHz とい うようになってしまうのです。 このトラブルは、第 9 図に示した 基準発振の分周の IN と OUT のと ころに 1000pF のコンデンサーを入 れることと、EF-85 の G 端子を太い 導線でケースにアースすることによ って解決しました。 これで、周波数カウンターの完成 です。 早速 144MHz トランスバータ 158 初歩のラジオ ーを相手に使ってみましたが、 っていますが、実際にはこれよりも 94MHz の 局 発 は も ち ろ ん 、 広い周波数範囲で働きます。周波数 144MHzの周波数 (CWにして測る) の高いほうでは 70∼80MHz はもち もちゃんと測ることが出来ました。 ろん、 たまには 100MHz 近くまで動 最後に、この周波数カウンターで 作するものもあるようです。 は、入力がなにも入らないときに最 下位桁がゼロにならないことがあり ます。試作機でも 1 か 2 が出てしま い、ゼロにはなりませんでした。こ れは故障ではなく実際に周波数をカ ウントする場合には問題はないので すが、もし気になる場合にはあまり 性能を落とさずに改善する方法もあ ります。 その方法をイーグル企画の JA1WMV 柴田さんがTHE FANCY CRAZY ZIPPY 誌(FCZ 研究所発行) のNo.62に紹介しておられますので、 興味のある方はごらんになるといい でしょう。 それから、 EF-85 の動作周波数は、 第 1 表では 150kHz∼50MHz とな November 1980 これらはもちろん保証されたもの ではありませんが、機会があったら どれくらいの周波数まで働くかを調 べておくといいでしょう。 End 159