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もはや「環境配慮」は建設業の義務! 技術と情熱でエコ建材を開発

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もはや「環境配慮」は建設業の義務! 技術と情熱でエコ建材を開発
平成 18 年度
1851
事例●051 エーティー技研株式会社(岐阜県多治見市)
平成18年度
地域における中小・中堅建設業の
新分野進出定着促進モデル構築支援事業
もはや「環境配慮」は建設業の義務!
技術と情熱でエコ建材を開発
岐阜県多治見市のエーティー技研(株)は、ものづくりの技術開発をコアコンピタン
スとする企業である。環境に配慮した持続可能な循環型建材の使用は、建設業に
とって重要な課題であり、義務であるとの問題意識の下、既製品に負けないエコ建
材の開発に着手した。
1.事業の背景と動機
試作品の不燃性をチェックする榊原昭義社長
環境配慮は建設業の義務
開発者魂をかき立てる取組
建築物の解体時に発生する廃石膏ボ
ードの最終処分場は、数年後には満杯に
なるといわれている。環境に配慮した持
続可能な循環型建材の使用は、今後建
設業にとっての重要な課題であり、義務
といえる。そこで、植物原料で有効利用さ
れていない原料として、サトウキビの搾り
かすである「バカス」を原料候補として注
目した。
これまで、榊原聖取締役が中心となっ
て、組成開発、プロセス開発を、(株)フォ
ーエス(内装施工会社)のアドバイスを受
けながら実施してきた。ものづくりの技術
開発をコアコンピタンスとする同社ではあ
るが、今回のような、自然原料を活用した
内装ボードの開発は新しいチャレンジで
あり、社員の士気高揚にも貢献している。
2.進出時の苦労やその対応
原料の安定調達と製造面の課題
「バカス」の原料を説明する(株)フォーエスの
内田社長
エーティー技研株式会社
代表者●榊原 昭義(代表取締役)
所在地●岐阜県多治見市
資本金●4,000 万円
従業員数●70 名
事業内容●建設業としては、管・熱絶縁の知
事許可を有するが、メインは断熱材製造加
工、機械設計・製造開発。岐阜県内外に 4 箇
所の工場を持ち、JR東海やANAなどの公共
交通機関に断熱ボードが採用されるなど、技
術水準の高さには定評がある。
URL●-
4.事業の推進体制
沖縄のバカスは、サトウキビ圃場に堆
肥に還元されたり、重油の代替エネルギ
ーとして焼却処分されたりしている。今後
バカスボードの生産拡大時における、量
的・質的両面での原料の安定的確保が
課題である。また、低コストで安定的な製
造プロセスの開発、バカスとの相性(混合
性)の良い素材の発掘など製造面での課
題もある。
3.新事業の概要
石膏ボードに劣らぬ
自然素材ボードの開発
沖縄の製糖工場からバカスを入手し、
乾燥、粉砕する。同社工場にてバカス粉
砕品の繊維質に骨材を混合し、熱プレス
することで硬質ボードを製造する。製品を
安定化させるため、両面に 100%パルプ
紙を使用するなどにより石膏ボードに劣
らぬ特性を有する燃えない新建材「バカ
スボード」として販売することを検討して
いる。
5.差別化戦略・競争戦略
環境負荷の小ささが売り
原料素材は、サトウキビの搾りかすが
主体であり、100%リサイクル可能で、環
境負荷が小さい。石膏ボードより軽量で、
強度は石膏ボード並みである。価格面で
石膏ボードに劣るものの、建材特性は同
等であり、建設廃棄物が産業廃棄物の最
終処分量の 30%以上を占める現状を改
善するためには、環境と人に優しい次世
代型エコ建材は、我が国において必要不
可欠な建材であり、今後欧州を始め海外
へも輸出可能である。
6.成果と今後の課題
試作品の公的実証と
販売用ツールの整備
実使用に耐える試作品の開発、その建
材としての特性評価を専門機関で試験
し、販売用データとするなど、販売に向け
た情報収集、販売用ツールの整備を早急
に行い、販売体制を構築することがポイ
ントとなる。
多治見市
新分野進出一覧
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