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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title Burkitt腫瘍の一剖検例特にstarry skyの動態について Author(s) 中, 英男; 神田, 哲郎 Citation 熱帯医学 Tropical medicine 17(1). p41-45, 1975 Issue Date 1975-03-25 URL http://hdl.handle.net/10069/4178 Right This document is downloaded at: 2017-03-29T05:25:30Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp 41 熱帯医学 第17巻 第1号41−45,1975年3月 Burkitt腫瘍の一剖検例 特に"starry sky"の動態について 中英男,神田哲郎 長崎大学熱帯医学研究所病理学部門 d主任:板倉 英世 教授〕 An autopsy case of Burkitt's pattern. Hideo tumor with ATARI and Tetsuro Nagasaki special KANDA(Department on the histological primary autopsy, aspects portion systemic were intact. of "starry of Pathology, aspects Institute tumor, 6-year-old sky" pattern. of the tumor had been enlargement of lymph resected of "starrysky" for Tropical Medicine, glands, heart, liver systemic proliferation of organs. The feature of the and lungs. "starry sky" cell of "starry series sections. We may suppose diagnosis of Burkitt's tumor. that in other Histological in primary was studied, before the patient は じ め に バーキット腫瘍ほ1958年にバーキット(1)によってウ ガソダ国の子供の下顎骨に発生する肉腫として初めて 報告がなされた・その後ルバーキット(2)は1961年にその 疾患の地理病理学的検索を行い年令頻度別や地域別に その特徴のあることを指摘した,この腫瘍の分布ほ世 界中の殆んどの地域に及び,特に赤道アフリカ”パプ died. to be At in the ovary and also in lymph organs such as kidneys, findings of this organ and in lymph pattern of "starry Tropical Medicine, sky" 17(1), pancreas, case is characterized nodes, sky" were examined by several the especially was considered However, the lower jaw and orbits in tumor tissue foci girl, ovary which 2 months nodes was noted. but not in metastatic African The right Numerous "starry sky" formations nodes could be observed, adrenal to histological University) ABSTRACT: An autopsy case of Burkitt's the reference staining methods is significant 41-45, by but not in other and to make March, 1975 究は多くなされ(7”8”9,11”12〕”成因につい てはEpstainやLevineら〔3”4”5)のビールス との関係が注目されている・著者自身が東アフリカ. ケニア共和国で1973年に卵巣原発と考えられるノバ山キ ット腫瘍の病理解剖を経験L%,特に組織学的にStarry skyの動態について吟味したのでここに報告する, 症 例 6才 女性 ルオ族 アニューギニア,南米の一部に多発地帯がある㈹ と 報告されている・日本国に於いても,散発的にみとめ られ”大星ら(6)の最初の報告がある.この腫瘍につい ての臨床的,病理組織学的”細胞学的な立場からの研 長崎大学熱帯医学研究所業績第725号 Received for publicationyFebruary20,1975. 臨 症 病 歴 1972年10月初旬から腹部膨満が出現L”同年12月15 42 :÷ ■} 観庭先感 (謀謀)議蛙紆 諫蜃 (勉) 戦 離袈漂 摸確鮎揖 葺く 牡 ○ 控強 襲着筆 華誌辞距 諫鮎 珊 警越 祝 覧 粧雲担 措 ヽ ヾ 、5㍉、 ○ 杜 ∧ 許許折鶴花環折魁守 鮎鵜啓 −団 博 敲 ル μ︵、、︶ 踪節欝攣蠣 撃卜二。バい :鞋ぷ専よ膏準 讃痘禦讃鞋葦豆鞋謹覧葦憲璧薫慧(、ヽ、ふチ) 鞋覧 茹薫 詣誕 鞋藍 泣薫 訴誌 泡吾 踪︵ ︵複 汁︶ ︶ 葉 試 詰責 草堂 誓説 ㌧㌧㌧∵︵ ㌧ヾ ル, ヾ・ ・、、︶㌧∴ゝ ・i 、・.、︵n ︶ 、5 、、 , 日.巴丘四 声i岳=− ̄ >÷ ㌣十針㍉隼り甥㍉り(七)十拍予頼十再十再∴擁立再十轟∴轟∴轟卜轟∴轟卜泣卜轟※轟 Ph℃tO・1.Burkitt’stum℃rOfrightovary in a6,year−01d African glrl− 鞄 瀞 聾 麹藩 撃萄 、ミ 閥×顧 惑 、さ 蕃 鴇寵莞層 r l ¥ 沖 覧笹 ≡ n職 、ト、,、・し 、㌧ ヾヾ n 、.へ 八..∼・, エ 著碍常襲野 覧墓 誌諸≡敵 、.ヾ 草肇薫迎斎 覧群議 (廼憩 )㌣薄紫守㍗†㌢ヤ軒墾章鱒薄綿蔦諸事率薄軒藩鱈腹綜妾 Ph0t0.2.Multipleandconfluentmetastatic masseslnthekldneys. Burkltt,stumor・Hematoxylin and E℃Sin staln”×160 諾拒覿∧ 触彗聯甜義盛攣鮭惑 当・∨ 祐 範 許 艶騨 鵜澤 空音許 、ゝ心 、、■ ,,・、■ ・、、、■,、・、,、・’.、,、 、・、、,,、..・こ■■、■、,、、.、、こ、 ○ く 蕪賞辞# ○上 、 ヾ■ ル∴■ や (・・、、) Photo.3・Systemic enlangement of retr0− Perlt℃neallymph n℃des− m沼 ド︶ l㌔ 帖■ ︰卜 ll 一h = ︵ 豪μ 、“■、破 準拠 整 鯨 †鯖 姦完蘭 棄 :、・、 ■■■私’.∴、、..ふ漸 、 逮 l ■ヾ・..き 宣 嘩 。 獲果 断 掌” 蝕弼弼粍∧_ Photo.5.MagnificatlOn℃f Ph0tO.41. Hemat, 0Ⅹylln and Eosinstain,×733 43 目にケニア国ナクル病院で腹部腫瘍診断のもとで両側 血が強く”グリソン鞘に軽度腫瘍細胞の浸潤をみとめ の卵巣摘出術を受けた.その後”全身状態は悪化し約 る8脾臓でほ中等度のうっ血と赤脾髄に軽度の腫瘍細 2ケ月後に死亡・ 胞浸潤をみとめる.骨髄では腫瘍細胞の浸潤はなく, 赤芽球系細胞の中等度の増加をみとめた・ 病理解剖学的所見 剖検番号Ⅳak.160体重14kg.身長104cm全身状 如乱rry−ky像の分布について Tablel.Gradeofstarry skyin tumor tissue of severalorgans 態ほ著明なるい痩と脱水を認めた・下顎骨”眼球にほ Distributi℃n Of the Organs starry sky 又剖検時にほ系統的なリンパ節腫脹がみとめられ”後 R−aXillarlymph node 腹膜領域〔Ph℃tO.3.〕,腸間膜リンパ節,両側鼠径部及 び両側下腹部にそれぞれ最大拇指頭大の大きさでお互 R−SuPraClavicularlymph node いに癒合して種々の腫瘍塊を形成していた.左側卵巣 にほ著変はみとめられなかった.右卵巣腫瘍の表面は 平滑で”黄赤色を望し弾性硬で,割面では黄赤色で粘 液性光沢をまじえた混濁腫脹をみとめた・リンパ節の 割面ほ灰白色ないL灰赤色で混濁腫脹し,所によって 出血を混在しながら壊死に陥っている1. 腸管のバイエ ル仮の睦夫ほ存在しなかった・骨盤脛内側壁には著明 な肥厚がみとめられた.腹水ほ淡黄色透明で250mlみ とめた,そのほか肉目艮的にほ心臓〔8鴨〕でほ拇指頭大 の腫瘍結節を両心室前壁と左心室乳頭筋にみとめた8 Media−tinalnode L−aXillarlymph node L−SupraClavicularlymphnode Lymphn0de℃fbifurcation℃f trachea Retr℃peritoneallymphnode R−inguinallymph node L−inguinallymph n℃de Diaphragma Heart H︵ ︶L +u +n 廿g +±榊≠l廿一︻1− 著変は認められなかった.腫瘍性病変は手術時に摘出 された小児頭大の右卵巣腫瘍を最大〔Ph℃tO・1,〕として, Kidneys PancreaS Adrenalglands Liver 腎臓〔左140g”右60g)でほ両側性に数個の小指頭大 の睦瘍結節を表面にみとめたが被膜との癒着は存在L なかった(Ph℃tO.2.〕,膵臓でほ周岡リソパ節の腫脹 と膵実質内への浸潤を強くみとめた・副腎においても −:negative,±:minimal +:Slight,†卜moderate, 十ト:marked 皮質領域に浸潤をみとめた・脾括”肝月諫肺に肉眼的 各臓器における starryskyの分布ほTablel・に に著変はなかった.骨髄は胸骨,腰椎,大腿骨におい て,全長にわたり赤色髄がそれぞれに認められた. 示す如くである_ 原発臓器〔卵巣〕のStarry−kyは種 々な分布を示している1.StarrySkyを呈している細胞 第軸こほ過ヨウ素酸シップ反応と過ヨウ素酸メセナミ 病理組織学的所見 ソ銀染色法によって陽性を示す細顆粒が多数出現Lて いる.0ヨト赤0染色陽性物質ほ認められなかった・ 原発部位と思われる右卵巣の腫瘍細胞は円形又は類 リン㌧パ節に於いてもーtafry Skyの分布にほ種々な差 円形のほぼ一様な大きさの細胞からなり,細胞第は少 なく,核は円形又ほ額円形で核小休も明瞭で,リンパ がみとめられ”中にほ全く −tarrySkyの不明瞭なも 芽球様の細胞であり,分裂や増殖も著明である・一方 肝,肺〕ではstarryskyほ明らかでなかった■ のも存在した.その他の臓器(心,腎”第副腎,牌” それらを背景に大きな胞体を持ち,横は不整形で大き く,喰食能を有する細胞が散在性にみとめられyいわゆ 考 察 るstarryskyの像を望Lている〔Ph℃tO・4,5.〕−リン% パ節に於いてほ全般的に睦瘍細胞の増殖と被膜への浸 ルバーキット腫瘍における−tarry−kyの動態を追求 潤がみられ”StarrySkyも明らかである.心臓におい てほ肉眼的所見と一一致して睦癌細胞の浸潤をみとめ, することによって,ルバーキット腫瘍とstarryskyとの 心筋は圧迫萎縮に陥っている1. 腎臓では問質組織に著 呈する細胞が%バーキット腫瘍を特徴づける上にいかな しい瞳癌細胞の浸潤,増殖がみられ,同様な所見を膵 る意義を有するかを検討することはこの腫瘍の診断及 臓”副腎”肺にも認められた.肝臓でほ全般的にうっ び原因を追求する上で大切なことと考えられる_ この 関係を明らかにLようと試みた・即ちstarryskyを 44 −tarrySkyを塁Lている細胞については非腫瘍性細胞 軌 そこには→致して萎縮Lた非腫瘍性の細網系細胞 として次のような理由で異論はない.核の異型性がな をみとめることから,以前にstarryskyの存在した いこと”細胞ほ常に単一に存在して”隣接L%たり”結節 状の増殖をLないこと”喰食能を有することが主な理 ことを推測できる.今後の研究によってこれらの顆粒 がmacrophageとしての特徴なのか,それとも異な 由である・−tarrySkyの分布を原発臓器〔卵巣〕,リン ったものなのかを結論づけたい.starryskyを呈して パ第浸潤臓器において”それぞれ吟味した.その分布 いる細胞は胞体が広く,核も概Lて大きく,不整形を ほTablel・に示すように各臓器によって種々でありy とりy 喰食能も存在L,前述のような出現臓器から考 原発臓器においても場所によってその分布に差がみと えると細網内皮系の細胞と考えたい8StarrySkyの出 められる,浸潤臓器である心”腎”第副第肝”肺な 現ほstarryskyを構成する細胞のリン%ルバ節や原発巣 どではstarryskyほ明らかでない・StarrySkyほ本 における喰食能と密接な関係があり”活動が盛んにな 来細網組織の豊富な臓器における腫瘍組織の方がより ることにより明瞭になるものと考えられる1. W8 H. 明瞭に認められる債向にあるz腫瘍細胞の浸潤をきた 0・のバーキット腫瘍委員会12)によるとルバーキット腫 Lた臓器においては細網内皮系の細胞が見られるが腫 瘍の診断基準にStarry−kyを積極的には取り上げてい 瘍細胞の中に埋没Lstarryskyもみとめられない,喰 ない.しかLながら本例でほstarryskyの動態ほリ 食能も認められなかった_ このことはstarryskyの ンパ節において系統的にみとめられ,本腫瘍の発生や 分布は原発臓器やリン㌧ぺ節の組織と深い関係を持って 増殖と深い関係があるものと考えられる.対照とLて いるものと考えられる・このStarrySkyを呈してい 悪性リンパ腫の26例を検討Lたが一部のリンパ節に る細胞の性格を追求するために”原発臓器(卵巣)と StarrySky優に似た組織像がみとめられる2例を得た リンパ節組織標本の連続切片による再構築を試み,リ が系統的にほstarry skyをみとめなかった− それ故 ンパ洞との位置関係を調べたが明らかでほなかった・ に原発臓器及びリンパ節の腫瘍組織に全般的にみとめ 更にこの細胞を過ヨウ素酸・シッフ反応や過ヨウ素酸 られる本例は悪性リンパ腫の中の一つのタイプと考え メセナミソ銀染色法によって調べると胞体内多数の陽 性顆粒をみとめた1. られる1. このようなことから”系統的なstarryskさ∼ 像の出現は悪性リンパ腫のタイプを知る上で大切な所 見と考えられる, しかL O”Con℃rら(8〕が報告しているような中性脂 肪はみとめられなかった.又リンパ節において, StarrySkyの明らかでない所でも”過ヨウ素酸メセナ 御指導いただきまLた板倉英世教授に深謝いたLま す. ミソ銀染色法によって陽性を示す細顆粒の集旗をみと REFERENCES 1) Burkitt, 2) Burkitt, D. (1962): Brit Med. J., 20, D. 3) Epstein, Epstein, nuclear Cancer, A sarcoma involving Determining 1019-1023. M. A. & Achong, Established 4) (1958): facts and M. 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