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本編 第6章 - 上伊那広域連合

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本編 第6章 - 上伊那広域連合
第6章
施設の安全対策
ごみ処理施設は住民の日々の生活に直結したものであり、構造上の欠陥や事故等により休止せ
ざるを得ない事態を発生させないように安全対策を講じる必要がある。施設の安全対策として、
「6.1 施設全般に対する安全対策」
「6.2
火災・爆発対策」
「6.3
洪水・浸水対策」
「6.4 地震
対策」について整理を行った。
6.1
施設全般に対する安全対策
施設における事故は、
「設備の不安全状態」と「人の不安全行動」が重なって起きるとされて
いる。ごみ処理施設の建設に当たっては、「設備の不安全状態」をなくすとともに、「人の不安
全行動」に対しても安全を確保できるシステムを作りに取り組まなくてはならない。具体的に
は、
「フェイルセーフ化(障害が発生することをあらかじめ想定し、起きた際の被害を最小限に
とどめる仕組みや構造)
」と「フールプルーフ化(人が操作ミスをしても災害にならない仕組み
や機構)」を施設全般に取り入れる必要がある。設計要領に基づき、施設全般に対する安全対策
の方針について整理を行った。以下に施設全般に対する安全対策の方針を示す。
(1)
ごみ搬入時の安全対策
ごみ搬入時においては、ピットへの転落事故、車両同士の事故や車両と人との接触事故
といったことを考慮し、安全対策を図る。
(2)
点検通路・動線についての安全対策
点検通路・動線については、作業者が安全に歩行できる通路・動線を確保することや緊
急時に安全に避難できることを考慮し、安全対策を図る。
(3)
高温部対策
点検作業時に高温となる部分(マンホールや蒸気・高温水配管、高温水ポンプ等)に触
れて火傷をおこす可能性があり高温部に対して安全対策を図る。
(4)
感電対策
施設内においては、受電設備や発電設備、計装設備など高電圧となる設備があるため、
感電に対して安全対策を図る。
(5)
酸素欠乏対策・有害ガス等対策
酸素欠乏危険場所及び有害ガス発生危険場所には、必要に応じ施錠などを行うとともに
安全標識を設置するなどの対策を図る。
(6)
プラントの安全停止対策
緊急時において、冷却装置を十分に作動させるなどの対策を講じ、二次災害を防ぐため
にプラントの安全停止対策を図る。
(7)
非常時の対策(地震、停電、断水等)
地震、停電、断水時においても、施設の安全確保ができるように対策を行う。
以上の種類と程度により安全確保の方法は異なるが、基本的には二次災害を防止するための
保安設備を設置することとし、施設の規模や構造、運転管理からみた必要性などを十分考慮し
て安全対策を進めていく必要がある。
37
6.2
火災・爆発対策
火災・爆発対策について、ごみピットにおける火災等の事故・トラブル事例があることから
火災等の対策を講じる必要がある。本施設における火災等の対策の方針について、過去の事故
事例および「廃棄物処理施設事故対策マニュアル作成指針について(環境省)」、
「設計要領」に
基づき整理を行った。
(1)
ごみピット
ごみピットにおける、火災が想定される要因としてはピット内への火種の投入、ごみの
発酵・発熱、処理不適物の混入(可燃性ボンベ・引火物)といったものが挙げられる。
ごみピットにおける対策としては、ごみピット天井面に走査型の赤外線式火災検知器を
設置することによりごみの異常温度上昇を早期に検出して警報を発して知らせる対策や放
水銃や側壁型散水ノズル、高発泡消火設備などの消火設備の設置を行う。
(2)
危険物の貯蔵対策
危険物貯蔵所の設置に際しては、関係法令を遵守するとともに、防災対策を考慮した配
置とする。特に、ごみ処理施設においては重油、灯油、軽油などの危険物貯蔵所を設置す
る必要があるため、施設内配置計画上、万が一火災が発生した場合でも、近隣や避難路へ
の影響が少なく、消火活動が効率良く行えるよう設計する必要がある。
(3)
爆発対策
溶融施設では、極めて高温のガス、スラグを扱うことから安全対策を十分に行う。また、
処理対象ごみに可燃性ボンベ等の混入を防ぐ等の対策を十分に行う必要がある。
(4)
その他主要機器
異常時には警報を発し、迅速な消火活動をとることができ、二次災害を防止することが
できる設備機器を設置する。
スラグに関しては、流動性を適切に管理し、出滓口における閉塞を防止するとともに、
炉底、炉壁ケーシングの温度を適切に管理することにより耐火物の損耗状態を的確に把握
し、流出を防止するものとする。これらの対策としては、特に温度計やセンサー、監視装
置を適切に配置することが重要であるとともに、万が一、流出した場合においても溶融炉
下部へ堤防を設け、外部へ流出させない構造とすることで、二次的な被害を防止する。
38
6.3
洪水・浸水対策
洪水・浸水対策について、まず想定対象事業実施区域周辺の概要および過去に発生した水害
について整理を行った。また、過去の水害等発生に基づき国土交通省や県が実施した洪水対策
について整理を行い現況把握し、本計画における洪水・浸水対策の方針についてとりまとめた。
(1)
想定対象事業実施区域の概要
想定対象事業実施区域は天竜川水系である三峰川の左岸の新山川合流点西側に位置する。
想定対象事業実施区域周辺の河川の位置関係について、図 6-1 に示す。北側は想定対象事
業実施区域境界に沿って三峰川が東から西へ流れている。想定対象事業実施区域東側は最
終候補地境界に沿って、新山川が南から北に流れて三峰川に流入している。河川の流下機
能が確保されていて、三峰川上流の美和ダムで洪水を調節している状況である。
三峰川
新山川
凡例
想定対象事業実施区域
最終候補地
図 6-1 想定対象事業実施区域の概要
39
(2)
①
国土交通省・県による対策
過去に発生した水害について
三峰川・新山川に関する過去に発生した大雨やそれに伴う水害について、天竜川水系
河川整備計画(国土交通省中部地方整備局)や天竜川上流河川事務所ホームページ、
「三
峰川ものがたり」等の資料を参考として整理を行った。表 6-1 に過去の主な水害・被害
状況について示す。三峰川については、1959 年(昭和 34 年)、1961 年(昭和 36 年)、1970
年(昭和 45 年)の洪水の被害が大きい。
表 6-1 過去の主な水害・被害状況(1947 年~2006 年)
西暦
年号
天竜川上流部(長野県)
三峰川・新山川
※1
1947
昭和 22 年
カスリン台風
1948
昭和 23 年
アイオン台風。天竜川改良工事着手※1。
1949
昭和 24 年
美和ダム総合開発局設置※1
1950
昭和 25 年
6 月ジェーン台風。
1951
昭和 26 年
10 月ルース台風※1。
1953
昭和 28 年
7 月大洪水※1。
1959
昭和 34 年
8 月 14 日、7 号台風による大洪水。下流部では被
害がなかった※1。
1961
昭和 36 年
1970
昭和 45 年
1983
昭和 58 年
1999
平成 11 年
2006
平成 18 年
桜井堤防・六軒屋堤防・榛原堤防決
壊。新田堤防決壊※1。
8 月 14 日、7 号台風による大洪水。
ダムの上流で戸台分校流失、家屋流
失 39 戸などの被害があった※1。
流失:819 戸、全壊・半壊:184 戸、床上浸水:3,333 6 月梅雨前線豪雨(36 災)。六軒屋
戸、床下浸水:4,498 戸、浸水面積:2,626ha と 堤防決壊。南割・中県堤防決壊。三
いう被害状況である※2。
峰川流域のみならず、諏訪から伊那
谷全体が大水害となった。三峰川流
域では山地の崩壊が 224 ヶ所にの
ぼった※1。
※1
6 月 16 日大洪水 。
富県桜井の三峰川左岸堤が破堤し
全壊・流失:90 戸、床上浸水:47 戸、床下浸水: た※2。
495 戸、浸水面積:635.2ha という被害状況である
※2
。
9 月 28 日大洪水。36 災を上回る出水であったが、 新山川:台風 10 号の豪雨により右
被害は少なかった※1。
岸側に浸水した※4。
全壊・流失・半壊:60 戸、床上浸水:2,312 戸、
床下浸水:4,183 戸、
浸水面積:1977.9ha という被害状況である※2。
6 月 30 日洪水。36 災と同程度の出水であったが、
天竜川上流工事事務所管内で 38ha の農地が浸水
床上浸水:17 戸、床下浸水:154 戸、
浸水面積:29.3ha という被害状況である※2。
7 月豪雨で三峰川サイクリングジ
7 月豪雨※3
全壊・半壊:12 戸、床上浸水:1,116 戸、床下浸 ョギングロード平岩周辺が被災し
た。※4
水:1,807 戸、
※2
浸水面積:661ha という被害状況である 。
※1北原優美:三峰川ものがたり
※2地方整備局:天竜川水系河川整備計画、天竜川上流河川事務所報告
※3天竜川上流河川事務所ホームページ、過去の災害情報より作成
※4伊那市資料
40
②
現在の対策状況
天竜川上流部は 36 災と呼ばれる昭和 36 年 6 月の梅雨前線豪雨による未曾有の大災害
により上流部改修計画の再検討を行い、昭和 40 年に小渋川に新たに小渋ダムを建設して、
既設の美和ダムと合わせて洪水調節を行う、とする工事実施基本計画を策定した。
昭和 43、44、45 年の相次ぐ出水や流域の開発を鑑み、工事実施基本計画を昭和 48 年
に全面改定し、これらの計画に基づき築堤等の必要な河川事業を実施している(天竜川
上流河川事務所ホームページ)。
想定対象事業実施区域周辺において、三峰川では昭和 48 年策定の工事実施基本計画で
の計画流量で整備されており、美和ダムで洪水調整を行っている。新山川では昭和 58 年
の台風 10 号の豪雨の後に長野県により護岸のかさ上げが実施されている。
図 6-2 天竜川計画高水流量
※天竜川上流河川事務所ホームページ、事業所の事業概要工事状況
(3)
河川事業より
洪水・浸水対策における一般的な対策概要
洪水・浸水対策について、環境省では平成 16 年度に新潟県・福井県における集中豪雨や
台風 16 号、台風 23 号の水害の発生により、水害廃棄物対策指針を示している。また、設
計要領 p.78 より、風水害に関しての対策については、「機器配置については、できるだけ
屋内配置とし、特に浸水が懸念されるような地区にあっては、施設の機能を確保するため
の重要機器や受配電設備等は地下階への設置を避けると共に、1階レベルを予め高く設計
する等の配慮が必要である」と示されている。
(4)
本施設における洪水・浸水対策の方針
想定対策事業実施区域周辺における国・県での護岸等の整備及び美和ダムにおける洪水
調整など洪水対策が講じられているが、万が一を考慮し本施設側でも洪水・浸水対策を講
じ、本施設における洪水・浸水対策の方針について、
「水害廃棄物対策指針(環境省大臣官
房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課)」および「設計要領」より整理を行った。以下
に洪水・浸水対策の方針について示す。
41
①
水の浸入を防ぐために造成計画において、想定対象事業実施区域における地盤のかさ
上げや防水壁の設置等を行う。例えば以下の図に示すとおり、造成高を高くするととも
に掘削深を浅くすることで、ごみピット・プラットホーム高を高くし、ごみピットや重
要機器への浸水を防止する。
②
洪水が発生しても施設の機能を確保するため、重要機器や電気設備等を浸水被害の影
響の少ない場所へ配置する。焼却施設は1階(及び地階)に重要機器を配置せざるを得
ないため、その対策を講じる必要がある。機械基礎のかさ上げ、電気機器の高位置設置
等の検討を行う。電気室を2階以上におく場合は機器交換等のメンテナンス性(特に重
量の大きな設備)を低下させないように検討を行う。
③
施設が浸水しない場合でも、電気や水道の供給が停止することがあるので、必要に応
じ施設保全用の非常用ユーティリティ設備として、非常用発電機、冷却水予備タンクな
どの整備を行う。
④
防水扉を設置し、施設内に浸水しない対策を行う。万が一の場合を考慮して地下排水
ポンプ設置の検討を行う。
機器類
堤防
機器類
地下水位
ご
み
ピ
ッ
ト
現況
地盤高
堤防
プラットホーム
河川
管理
道路
地下水位
(1)水害対策 (造成により敷地高をかさ上げ)
ご
み
ピ
ッ
ト
現況
地盤高
河川
管理
道路
(2)水害対策 (プラットホームおよび機器類を高い位置に設置)
図 6-3 エネルギー回収推進施設における水害対策
42
6.4
地震対策
地震対策に関して、伊那市においては大規模地震対策特別措置法(昭和 53 年 6 月 15 日公布)
により、東海地震に係る地震防災対策強化地域に指定されており震度6弱以上の揺れが予測さ
れている。また、長野県地震対策基礎調査によると伊那谷断層帯の地震により、南信地域の天
竜川周辺および諏訪湖周辺で震度6強~7の地震が予測されている。このことから地震対策を
十分に講じておく必要がある。
ここでは、阪神・淡路大震災による被害状況と阪神・淡路大震災を受けて国が震災対策とし
て制度や指針の見直しを行ってきたことについてまとめ、平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日
本大震災でのごみ処理施設の被害状況を調査し、ごみ処理施設における地震対策の整理を行っ
た。そこから、本施設における地震対策について示す。
(1)
阪神・淡路大震災の被害状況
阪神・淡路大震災の被害状況に関して、
(社)全国都市清掃会議にて発行された「都市清
掃 第 48 巻 第 207 号」に、京都大学工学部 武田信生教授による阪神・淡路大震災におけ
る一般廃棄物処理施設の被害状況が、報告されているので、一部引用し以下のとおり示す。
緊急事態に対する混乱や断水や停電などライフラインの途絶による運転停止はあったも
のの、プラント自体への致命的な被害はなく比較的早い時期に機能が回復していることが
わかる。
【都市清掃(第 48 巻
第 207 号(平成 7 年 8 月)) 引用】
平成7年1月17日未明に発生した兵庫県南部地震による被害状況は、公式に発表される資料
には必ずといってよいくらいに日付のほかに時間まで記されていたことから分かるように、状
況の把握そのものの困難さや連絡網の寸断による情報流通の阻害や混乱から確実な情報の入
手が極めて困難であった。表 6-2 は地震から約1か月のちの厚生省調べによる一般廃棄物処理
施設の被害状況を示している。この表によれば、ごみ焼却施設20か所、粗大ごみ処理施設3
か所、ごみ再生施設1か所、ごみ積み出し施設1か所、し尿処理施設3か所において何らかの
被害が発生したことになっている。それらの施設のほとんどに復旧運転中との措置状況が示さ
れているように、交通施設等に比較すれば、被害の程度はおおむね小さく、早期に復旧が可能
であったことが読み取れる。
神戸市内のごみ処理場についてはのちに述べることとして、その他のところでの被害は、レン
ガの脱落、クレーンや電気集塵機の故障などプラント内の部分的な故障と煙突の倒壊や破損が
目立つ。また、プラントはほぼ正常であっても、断水や停電など、いわゆるライフラインの断
絶によってプラント運転の停止を余儀なくされたところが多いことが推察される。地震被害が
最も大きかった神戸市についてのより詳細なデータは表 6-3 である。被害の程度が小さかった
落合および西クリーンセンターでは1月中に運転が再開されており、最も被害が大きかった東
クリーンセンターでも約1か月後に運転が再開されている。このようにプラント自体の崩壊と
いったような致命的な被害はなく、関係者の努力によって比較的早い時期に機能が回復してい
ることが見て取れる。
43
表 6-2 兵庫県南部地震による廃棄物処理施設被害状況(平成 7 年 2 月 13 日(月)15 時 30 分現在)
設置自治体
兵庫県
措置状況
現ごみ処理
能力(t/日)
復旧運転中(一部)
300
復旧運転中(一部)
2月末補修可
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中(一部)
復旧運転中(一部)
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
400
450
450
345
300
450
240
150
150
75
30
60
-
ごみ 計量器故障
復旧運転中
60
し尿
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
10
10
7
11
復旧運転中(一部)
2月末補修可
225
近隣市において処理
-
復旧運転中
450
復旧運転中
-
復旧運転中
-
復旧運転中
復旧運転中
復旧運転中
16
30
復旧運転中
100
受け入れ不能
-
施設
神戸市(港島)
ごみ
〃 (苅藻島)
〃 (東)
〃 (西)
〃 (落合)
尼崎市(第1工場)
〃 (第3工場)
西宮市(東部)
〃 (西部)
芦屋市
明石市
川西市
加古川市
〃
稲美町
播磨町
〃
加古郡衛生事務組合
小野市社町東条町
環境施設組合
北播衛生施設組合
北淡町
淡路町
一宮町
五色町
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
ごみ
粗大
し尿
ごみ
ごみ
粗大
し尿
大阪府
豊中市伊丹市
クリーンランド
〃
吹田市
〃
〃
八尾市
香川県 香川町
三木町
滋賀県 湖北広域行政事務
センター
大阪湾広域臨海環境センター
※震災廃棄物対策指針
被害状況
断水や橋不通のため収集不可、スロープに
段差
断水や橋不通のため収集不可
地下浸水
断水のため焼却不能、クレーン故障
断水のため焼却不能、1炉蒸気漏れ
1炉に被害
第3工場に被害
断水のため焼却不能
建屋一部崩壊
断水のため焼却不能、収集不能
クレーン、EP故障
炉のレンガが脱落、煙突破損
排水処理施設の配管一部破損
配管3カ所破損
操作盤一部脱落
進入路6~7m陥没
〃
〃
脱臭用ブロア故障
水道断水
煙突破損
炉内のレンガ脱落、搬入路のひび割れ
煙突、投入口のひび割れ
1・2号炉煙突倒壊、1号炉煙突破損
苛性ソーダ原液及び調整タンク破損
洗煙排水冷却装置破損
ごみ 排水処理設備破損
(電源線、制御線、計装用空気配管、工水・
市水配管)
燃料系統、LPガス配管破損
粗大 市水受水槽漏水
プラント用高架タンク出口管漏水
ごみ 排ガス洗浄設備冷却塔温水管漏水
EPシャフトスリーブ破損
壁・床クラック発生、空調ダクト・温水管のズ
粗大
レ
壁クラック発生
再生 照明器具、空調換気器具の取付部の変形・
脱落
粗大 計量器故障
ごみ 焼却炉のひび割れ
ごみ 煙空のひび割れ
ごみ 炉内等のレンガ脱落
・神戸基地の進入車路のステージとの分離
ステージのジョイントの破損等により受け入
ごみ
れ不能
・その他の基地は応急復旧により使用可能
資料編(厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課)、平成 10 年 10 月より
44
表 6-3
兵庫県南部地震によるクリーンセンターの被害状況
(神戸市)平成 7 年 4 月
690t/日(230t×3)
昭和50年5月
落合クリーン
センター
450t/日(150t×3)
昭和54年11月
港島クリーン
センター
450t/日(150t×3)
昭和59年3月
苅藻島クリーン
センター
600t/日(200t×3)
平成2年3月
600t/日(200t×3)
平成7年1月
プラント
やや大
中
小
小
小
建物
大
中
中
中
大
屋外関係
大
小
中
中
小
①各種配管の漏れ
②計量器故障
③電気集塵機碍子パッ
キン破損・集塵板等変
形
④高圧引き込みケーブ
ル損傷
①ごみ計量器ピット破
損
②計量棟送り電源断
線
③高架水槽漏れ
④高圧引き込みケー
ブル損傷
①ごみクレーンレール
の曲がり
②低圧コンデンサーフィ
ンチューブ一部変形
③ボイラー受水槽漏水
④放流水槽ひび割れ
①エキスパンション金
物破損
②食堂損壊
渡り廊下受梁破損
①渡り廊下等の受梁
エキスパンション金物
破損
②食堂損壊
③ランプウェイ基礎ひ
び割れ
④エレベーター故障
①外壁(ALC板)の一部
脱落
②ごみピット、炉室等壁
の一部破損
③炉室トップライト破損
①構内全体に40~50c
①構内全体に40~50
mの地盤沈下
①構内全体に40~50c cmの地盤沈下
②護岸沈下・1mずれ
mの地盤沈下
②上水・工水埋設管
屋外関係 ③上水・工水埋設管破 ①煙突横の石積部沈下 ②上水引き込み管漏れ 破損
損
③屋外・土間下排水管 ③屋外排水管破損
④土間下排水管破損
破損
④井戸ケーシングの
便所浴室使用不能
折損
①搬入路アスファルト舗
装一部割れ
②場内インターロッキン
グずれ
③外灯等破損
施設名
東クリーンセンター
施設能力
竣工年月
被
害
の
度
合
プラント
被
害
の
概
要
引
き
復
込
旧
み
日
関
係
①ごみ・灰クレーンレー
ルの曲がり
①計量器故障
②温水タンクひび割れ
②助燃バーナー用灯油
③ガス冷後部鉄骨プレス
タンクの傾き
曲がり
③放流水配管破断
④EPバイパスダクト点検
④特高引き込みケーブ
口落下
ル地盤沈下による損傷
⑤苛性貯槽排水配管ひ
び割れ
①煙突ひび割れ
②玄関ひさし変形
③ごみ積み出し場破損
④食堂一部破損
⑤投入ステージ鉄骨プ
レス曲がり
建物
①炉質鉄骨プレス曲がり
②冷却塔ヤードALC板一
部脱落
③煙突ひび割れ
西クリーンセンター
電話
1/17
1/17
1/17
1/20
1/17
電気
1/19
1/17
1/17
1/17
1/17
ガス
4/30(1/29:灯油)
1/17
2/10
2/6
1/24
上水道
2/19(4/12:工水)
1/22
2/10
2/6(3/1:工水)
1/23
2/20
1/23
2/11
2/6
1/24
運転再開日
※1都市清掃、
(社)全国都市清掃会議、第 48 巻
第 207 号(平成 7 年 8 月)より
※2廃棄物学会「災害廃棄物フォーラム講演論文集」1996 年 4 月 25・26 日より
(2)
震災廃棄物対策指針について
阪神・淡路大震災をうけて、国が震災対策として制度や指針の見直しを行っている。一
般廃棄物処理施設に関連する震災対策の指針や制度を挙げると、平成 8 年に官庁施設の総
合耐震計画基準、平成 10 年 10 月に震災廃棄物対策指針が示されている。官庁施設の総合
耐震計画基準においては建築物本体の十分な耐震力の確保を行うこと、震災廃棄物対策指
針においては一般廃棄物処理施設の耐震化や非常用電源の整備といった震災時における応
急対策を実施することが地震対策の指針としてあげられている。
45
(3)
東日本大震災の被害状況
平成 23 年 3 月 11 日、宮城県牡鹿半島沖を震源として発生した東北地方太平洋沖地震は、
日本の観測史上最大のマグニチュード(Mw)9.0 を記録し、震源域は岩手県沖から茨城県
沖までの南北約 500km、東西約 200km の広範囲に及んだ。この地震により、場所によって
は波高 10m 以上、最大遡上高 40.5m にも上る大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平
洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。(社)全国都市清掃会議がまとめた東日本大震災に
よる施設被害状況調査集計表を以下に示す。
東日本大震災の場合は、地震や津波の直接的な被害だけでなく、被害が広範囲に及んだ
ことから、燃料や補修資材の調達や業者の手配が困難となったことが大きな特徴である。
ただし、津波の被害を除いた場合、建物構造や設備自体への影響は少なく比較的早急に復
旧できていることが分かる(表 6-4 参照)。
【(社)全国都市清掃会議による被害状況調査の抜粋】
(1)平成 23 年 3 月 25 日から平成 23 年 4 月 11 日までの回答であり、状況が変化している場合がある。
(2)回答団体は144団体(し尿処理施設、該当施設なしを含む)【照会数280団体】
(3)地震により被害を受けた施設は103施設
(4)地震により運転を停止した施設は87施設
このうち停電により運転を停止した施設は39施設
(5)運営上困っていること(主な意見)
・燃料、薬品の調達が不透明
・燃料不足による収集車、搬出車両への影響
・施設補修資材が入手困難
・修繕業者の手配が難しい
・計画停電時の施設運転対応が難しい
・専門技術が必要な施設点検ができない
・福島第一原子力発電所の風評被害で作業員の派遣が遅れた
・被災ごみ(家屋解体)の搬入が徐々に多くなってきている
46
表 6-4
東日本大震災による施設被害状況調査集計表(ごみ焼却施設)
回答団体数
地震被害を 運転を停止
(照会数 280) 受けた施設
した施設
うち停電により運
転を停止した施設
北海道
10
1
0
0
青森県
3
2
2
1
岩手県
9
6
5
4
秋田県
7
1
2
1
宮城県
6
9
10
3
山形県
5
2
3
3
福島県
6
6
4
1
茨城県
4
2
1
0
栃木県
4
3
3
1
群馬県
3
2
1
0
千葉県
13
12
7
1
東京都
10
4
4
2
埼玉県
5
5
3
0
神奈川県
7
0
0
0
新潟県
3
0
0
0
長野県
5
1*
1*
0
山梨県
2
0
0
0
102
56
46
17
計
※長野県については、平成 23 年 3 月 12 日に発生した長野県北部地震により稼働を停止した。
(参考文献)
:
『東日本大震災による施設被害状況調査』
(社)全国都市清掃会議、平成 23 年よりごみ焼
却施設の被害状況を抽出した。
【該当施設なしと回答した団体】10団体
群馬県渋川市、東京都品川区、杉並区、江戸川区、北区、台東区、中央区、文京区、葛飾区、長野県千
曲市
47
表 6-5 東日本大震災により10日以上停止したごみ焼却施設
県名
施設
停止理由
停止期間
処理方式
稼働年
推定
震度
立地
青森県
A
梨の木清掃工場において地震後、焼却施設工場棟受電室の
VCB(遮断器)が故障。応急処置として同工場内にある破砕
設備の同型VCBと入れ替えを行った。
3月11日~21日
ストーカ
S51
4
内陸部山間地
岩手県
B
電気設備破損及び停電による。
3月11日~23日
ストーカ
S56
6弱
内陸部山間地
岩手県
C
施設破損のため(炉耐火物の損傷、ごみ移動クレーンの損傷、
ダクトの損傷等)
施設点検整備に時間を要したため
3月11日~24日
流動床
H11
6弱
内陸部山間地
宮城県
D
ごみクレーン脱輪、蒸気系統配管
ストーカ+灰溶融
(プラズマ)
H16
6弱
内陸部平地川沿い
宮城県
E
地震及び津波の影響により、施設全部が停電した。
H7
6弱
内陸部山間地
宮城県
F
大津波による地下室及び1階部の水没のため設備損傷。
H14
6弱
海沿い埋立地
宮城県
G
煙突、火格子冷却系等が破損、18日未明復電し応急処置をし
ながら21日より試運転。その後通常運転。
3月11日~21日
ストーカ
H3
6強
内陸部平地
宮城県
H
工業用水の配管が破損したこと等により仙塩工業用水道事務
所からの工業用水の供給がストップしたため。
3月11日~25日
ストーカ
H6
6弱
内陸部平地川沿い
宮城県
I
3月11日~25日
(一号炉)
ストーカ
S58
6強
内陸部山間地
3月11日~現在に至る ストーカ
H6
6弱
海岸から約1km平地
S63
5強
内陸部平地川沿い
3月11日~4月15日
(1炉)
3月11日~23日
3月11日~7月11日
宮城県
J
2階まで津波をかぶり、崩壊状態 どれくらいの期間で修理が
完了するか見通しは立っていない。
福島県
K
断水
茨城県
L
茨城県
M
2号炉排ガスダクト(空気予熱器~第二ガス冷却室間)の支持
金具脱落によりダクトの一部変形、エキスパンション損傷、保
温カバーの脱落等により運転不能になる。
焼却炉2炉のうち1炉停止1炉で、8割程度の処理能力で焼却
処理。
ストーカ
流動床式ガス化
溶融
3月11日~23日
ストーカ
3月11日~20日
流動床
H1
6弱
内陸部平地
3月11日~7月11日
(1炉)
ストーカ
H4
6強
内陸部平地
H12
6強
内陸部平地
栃木県
N
蒸気ボイラー安全弁の故障により3炉中1炉を停止。
3月13日~4月20日
ストーカ+灰溶融
(アーク)
栃木県
O
クレーン電気ケーブル脱落により運転停止。
3月11日~4月30日
ストーカ
S54
6強
内陸部平地
東京都
P
エア抜き配管より蒸気漏れのため
3月11日~25日
ストーカ
S57
5強
内陸部平地
※(社)全国都市清掃会議「東日本大震災による施設被害状況調査一覧」のうちごみ焼却施設を基本に把握した情報を加えた。
表 6-5 東日本大震災により 10 日以上停止したごみ処理施設の停止理由をみると、①津波に
よる水没、設備の損傷、②小配管破損、③クレーンの脱輪・損傷、④電気設備破損等が挙げ
られる。
津波による水没の被害(施設 F、施設 J)については停止期間が長期にわたっているが、津
波による被害を除くと地震による被害は、津波よりも比較的小さく 1 ケ月前後で復旧してい
る。被害を受けた施設においても官庁施設の総合耐震計画基準と震災廃棄物対策指針に基づ
いて整備されていることから、地震対策については官庁施設の総合耐震計画基準と震災廃棄
物対策指針に基づき建築物本体の十分な耐震力の確保を行うことや非常用電源の整備等震災
時における応急対策の実施といった地震対策を図ることが重要である。
48
(4)本施設における地震対策の方針
本施設における地震対策の方針については、
「震災廃棄物対策指針(厚生省生活衛生局水道
環境部環境整備課)」および「官庁施設の総合耐震計画基準(国土交通省)
」、
「設計要領」と、
阪神・淡路大震災、東日本大震災の被害状況に基づき地震対策の方針について整理を行った。
以下に本施設における地震対策の方針を示す。
①
万全の耐震性能を備えた構造計画および可能な限り機能確保を行う対策
1)
建築物本体について、十分な耐震力の確保
・建築物本体について、官庁施設の総合耐震計画基準に基づき設計を行い、耐震安全性の
分類をⅡ類(構造体)、A 類(建築非構造部材)、甲類(建築設備)とし、重要度係数を 1.25
として設計を行う。
・本施設は、溶融炉関連設備を収納する特殊な建築物であることから、建築物は十分な構
造耐力を持つ構造とする。重量の大きい設備は剛強な支持架構で支持を行う。
・剛強なブレースや耐震壁を釣合よく設置する。
2)
配管やダクト、施設機器の支持架構について耐震力の確保
・配管類は接手部にフレキシブルを用いる。建物貫通部分は十分な余裕を設け、埋設部分
は直埋設を避けて、トラフ内の配管等とする。
・自立盤類は、単独設置より列盤の方が転倒しない。盤類に限らず、トップヘビーの機器
類は、上部に建物との支持金物を設けるなどの転倒防止対策を行う。
3)
一定以上の揺れに対して、施設運転を安全に停止するシステムの採用
4)
震災に伴う停電時にも安定的な施設運転をするために、発電した電力により運転可能な
システムの採用
②震災時における二次災害の防止
1)
保安距離や保安空地等を確保した各設備の配置
2)
避難経路の確保(2方向、3方向以上の避難経路を確保)
3)
主要プラント機器を安全に停止させるための制御システムの採用
・停電、震度5もしくは震度6以上の地震、その他緊急時において、人身の安全確保のた
めに自動停止するシステムの採用および非常停止ボタンの設置を行う。
4)
危険を回避するための保安設備(保安装置)の設置
・押込送風機、ごみ供給設備および燃焼設備を緊急停止させるとともに、押込送風機が停
止していなければ誘引送風機が停止しないインターロックシステムの採用
・電源および計装空気源が断たれた際に各種バルブ、ダンパ等が安全サイドに作動する設
備の採用
49
第7章
7.1
エネルギー利用の方針
熱利用の基本的な考え方
ごみを溶融する時に発生する高温排ガスの持つ熱エネルギーは、ボイラ等の熱交換器を設け
ることにより、蒸気、温水あるいは高温空気等の形態のエネルギーに変換することができる。
本計画ではごみのエネルギーを最大限に利用することを目的に廃熱ボイラを設け、蒸気エネ
ルギーとして回収する。
図 7-1 に蒸気エネルギーの基本的な利用形態を示す。蒸気エネルギーは、空気予熱設備等、
プラント運転に必要なプロセス系への利用のほか、エネルギー回収推進施設内に設置したター
ビンを駆動させることにより発電を行い、電力に変換することができる。この電力は施設内の
動力源として使用するほか、余剰分については外部電力系統への送電(売電)も可能である。
一方、発電以外の用途としては、蒸気、高温水等を配管で移送し、供給先で熱交換すること
による施設外熱利用も可能である。
燃焼設備
発電
・場内利用
(エネルギー回収推進施設)
熱エネルギー
・電力会社への売電
・行政による電気自動車での利用等
場内
熱利用
廃熱ボイラ
熱利用
(蒸気の形での
熱エネルギー回収)
・プロセス系
(空気予熱設備、脱気器等)
・生活系
(工場・管理棟用給湯設備等)
場外
熱利用
・福祉施設給湯、冷暖房
・温水プール
・園芸 等
図 7-1 蒸気エネルギーの基本的な利用形態
50
7.2
熱利用形態
7.2.1
施設内熱利用の種類
施設内熱利用の種類は、発電利用と熱そのものでの利用があり、熱そのものでの利用はさ
らにプロセス系、生活系に分けられる。発電以外の施設内熱利用の形態を次に示す。
(1)
プロセス系
プロセス系の施設内熱利用として、ごみ処理施設の運転や機能を維持するために蒸気が
利用される。主なものは下記に示すとおりであり、蒸気駆動設備の他、燃焼用空気を加熱
するための空気予熱設備などに利用され、施設運転上、必要不可欠なものである。
(熱利用形態)
① 空気予熱設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気
② ボイラ付属設備(スートブロワ、脱気器加熱等)・・・・・・・・・・・・ 蒸気
③ 配管・タンク加温設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気
④ 排ガス再加熱設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気
(2)
生活系
生活系の施設内熱利用としては、以下に示すとおり施設内管理諸室や管理棟などへの給
湯が該当する。
(熱利用形態)
① 工場・管理棟用給湯設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、温水
7.2.2
施設外熱利用(施設内に設置する場合もある)
施設内熱利用以外での余熱利用形態としては、以下に示すとおり様々な用途が考えられる。
従来のエネルギー回収推進施設では上述した施設内熱利用に限定されている例が大部分であ
ったが、最近では、サーマルリサイクル推進の高まりとともに、福祉施設、温水プールや地
域給湯・冷暖房などの施設外熱利用を行う例が、施設規模の集約化(大型化)とともに増加
している。なお、基本的には供給先において熱交換し利用される事例が多い。
余熱利用施設の実例を表 7-1 に示す。施設外熱利用は地域の要望等を参考に今後検討して
いく必要があると考える。
51
(熱利用形態)
① 福祉施設給湯設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
② 福祉施設冷暖房設備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
③ 温水プール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
④ 浴場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
⑤ 保養施設・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
⑥ 熱帯動植物用温室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
⑦ 園芸など・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
⑧ その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 蒸気、高温水等
表 7-1 焼却施設規模別施設外余熱利用の用途実績(発電以外)
規模[t/日]
50未満
利 用 例
福祉施設
10
50以上 100以上
200以上
100未満 200未満
17
31
割合[%]
(合計÷998×100)
合計
51
109
10.9%
10.0%
温水プール
0
2
18
80
100
保養施設
3
5
8
22
38
3.8%
地区集会所、コミュニティセンター
1
5
9
13
28
2.8%
下水汚泥処理施設
0
0
5
16
21
2.1%
園芸など
0
1
5
11
17
1.7%
スポーツ関係施設
1
1
2
13
17
1.7%
浴場
1
3
4
2
10
1.0%
文化関係施設
0
0
0
6
6
0.6%
その他
0
3
4
14
21
2.1%
※割合とは、各々の回答の合計が、全施設(998 施設)に占める割合を表している。
(出典)
「設計要領」((社)全国都市清掃会議
より抜粋、編集)
52
7.3
発電効率向上の検討
環境省は平成 21 年度より、エネルギー回収能力を増強するために必要な設備等を追加するな
どして、発電設備での発電効率を向上することが可能な高効率ごみ発電を行う施設に対して、
交付率 1/2 の積極的な拡充支援を行うことを「循環型社会形成推進交付金」のメニューに追加
した。また、高効率発電に向けての施策が「高効率ごみ発電施設整備マニュアル(平成 21 年 3
月)」として取りまとめられ、交付要件としての発電効率が施設規模ごとに定められた。
なお、交付率 1/2 については平成 25 年度までの時限措置となっている。施設規模ごとの交付
要件は表 2 に示すとおりであり、現計画では施設規模が 141t/日であるため、交付要件となる
発電効率は 14%となる。
交付率 1/2 が可能かどうかについては
・制度的な制約(平成 25 年度までの時限措置)
・発電効率 14%達成が可能か(メーカーアンケート調査結果)
等を踏まえながら検討していくものとする。
表 7-2 施設規模ごとの交付要件
施設規模[t/日]
100 以下
100 超~150 以下
150 超~200 以下
200 超~300 以下
300 超~450 以下
450 超~600 以下
600 超~800 以下
800 超~1,000 以下
1,000 超~1,400 以下
1,400 超~1,800 以下
1,800 超
表 7-3
発電効率[%]
発電効率[%]
12
14
15.5
17
18.5
20
21
22
23
24
25
メーカーアンケート結果(H23.12 実施)
ガス化溶融方式
(流動床式)
ガス化溶融方式
(シャフト炉式)
(コークスベッド式)
16.2
13.7(14.5)
※メーカーアンケートではタービン型式を抽気復水タービン(タービン排圧:30kPa)から復水
タービン(タービン排圧:23kPa)にすることで発電効率を 14.5%に向上できるという提案が
あった。
高効率ごみ発電マニュアルでは、発電効率向上に向けた具体的な方策として以下の事項が記
載されており、交付率 1/2 が可能かどうかにかかわらず、今後以下のような方策について検討
していく。検討にあたっては周辺環境の状況を勘案する必要がある。また、項目によっては相
反する方策もあるので、検討には留意する必要がある。
53
【発電効率向上に向けた具体的方策】
(高効率ごみ発電マニュアルより抜粋)
(1)
熱回収能力の強化
①低温エコノマイザの採用
②低空気比燃焼システムの採用
(2)
蒸気の効率的利用
①低温脱硝触媒の採用
②高効率乾式排ガス処理
③白煙防止条件の設定なし、あるいは、白煙防止装置の運用停止
④排水クローズドシステムの導入なし
(3)
蒸気タービンシステムの効率向上
①高温高圧ボイラの採用
②抽気復水タービンの採用
③水冷式復水器の採用
7.4
熱利用計画の基本方針
以上のことを踏まえ施設計画を策定する際における熱利用計画の基本方針を以下の2点とする。
なお詳細については、この基本方針に配慮しながら今後検討していくものとする。
○
ごみの持つエネルギーを最大限利用する
○
地域の要望、費用対効果等に考慮し、効率的な熱利用を決定する
54
第8章
8.1
施設配置・動線計画
導入路の検討
新ごみ中間処理施設建設に係る環境影響方法書ではA案~D案の4案を想定している。
8.1.1
導入路A~D案
図 8-1 導入路
55
8.1.2
導入路に関する基本方針
(1)
基本的な考え方
市町村計画ごみ収集車及び事業系許可業者などの搬入車両及び副生成物運搬車両等は三
峰川右岸道路から導入路を通り搬入することを基本とする。
家庭からの直接搬入車は多方面より搬入する可能性が想定されるが、導入路を通り搬入
し、最終候補地内の既存市道は使用しないこととする。
導入路を一本化することは、場内での建物の配置や敷地内動線などが明確となり安全で
効率的であり、導入路を複数設けることは経済性の観点からも先進地での事例が少ない状
況となっている。
(2)
危機管理の考え方
三峰川右岸道路が修繕工事及び万が一での災害等で使用不可能となった場合は、三峰川
右岸道路と並列している国道361号から搬入する等その時の状況に応じて対応する。
また、導入路が何らかの起因により万が一通行不可能となった場合のごみの搬入は、最
終候補地内の既存市道を使用し、施設からの副生成物は場内でのストックヤード等を活用
するよう検討する。
ただし、三峰川右岸道路及び導入路が使用不可能になる期間は一時的と想定される。
8.1.3
導入路の検討・比較
導入路の検討比較表を表 8-1 に示す。正式な導入路については、事業実施区域が決定し
た後に検討を行う。想定事業実施区域において導入路案の検討・比較を行ったところ、D
案の評価が最も高いことから、環境影響評価を行う際はD案を導入路と設定して検討を行
う。
56
表 8-1 導入路検討比較表
凡例
A案(東側より)
・延長約L=240m、道路縦断勾配2.0%~2.5%位
・県道西伊那線から進入し、既存市道沿道の耕作地
に拡幅を行い、県管理の一級河川新山川を橋梁に
て横架して想定対象事業実施区域東側中央部に
至る
・新山川を橋梁で横架するため現市道の高さが現状
より高くなり最終候補地中央の耕作地で拡幅を行
なう
B案(南側より)
・延長約L=230m、道路縦断勾配は一部2.5%で主な勾
配は8.0%位
・県道沢渡高遠線から進入し、一段目の段丘の農地
に新道を構築して、山林の河岸段丘から想定対象
事業実施区域西側中央部へ至る
・県道沢渡高遠線から最終候補地までの高低差約1
7mの耕作地に盛土を行なう
○専用道路となる(既設市道に接続した場合)
●道路が一般車両等と共有となることから、一般車
両の交通に影響を及ぼす恐れがあると共に、工事
車両及び搬入車両のアクセスにも制限が出る
渋滞スペース
景観
●専用道路とならない(アクセスと兼用となり渋滞
が懸念される)
●道路が一般車両等と共有となることから、一般車
両の交通に影響を及ぼす恐れがあると共に、工事
車両及び搬入車両のアクセスにも制限が出る
●場内渋滞スペースの確保がやや困難
○景観は特に問題がない
安全面
○安全面に特に問題がない
概
要
道路専用性
アクセス制限
ー
アプ
ンラ
ケン
ト
トメ
の
提カ
案
ー
ー
周辺影響
●現農地の中心部に進入道路を通すことになり、工
事中においても農地への影響が大きい
●新山川に橋梁を架設するため計画道路高さが現況
より高くなる。耕作田との段差が多くなり馬入れ
周
辺
へ
の
影
響
性
施
工
性
●県道沢渡高遠線と導入路の交差部での車両進入が
急角度となる
●県道沢渡高遠線から敷地に入る際に高低差が大き
く収集車の安全上配慮が必要となる
●用地に下り坂でアクセスすることになる
○:メリット、●:デメリット
D案(北側より)
・延長約L=270m、道路縦断勾配は1.0%位
・県道西伊那線の三峰川橋南の交差点から三峰川左
岸(既設市道)へ進入し、新山川を橋梁で横架、
国管理の左岸堤防上に兼用道路として想定対象事
業実施区域北側へ至る
・信号機のある交差点から三峰川左岸堤防上に河川
管理道路と兼用となるため耕作地には影響しない
○専用道路となる
○候補の中で東側集落から最も遠いルートであるた
め工事期間中及び運転開始後の周辺地域への影
響が候補案の中で最も少ない
○場内渋滞スペースの確保が容易
●用地の南側に施設を配置すれば北側からの景観の
圧迫感を軽減できる
○安全面に特に問題ない
○高低差もなく他案と比較し、相対的により安全性
が確保できる
○敷地を有効利用した合理的な施設配置ができる
○県道西伊那線の三峰川橋南交差点から建設用地ま
で遮る物がなく、農地とも干渉しない
●農地に新道を構築するため、耕作面積が減り、道
路法線が複雑なため農地残地の発生等農地への影
響がある
●農地への新道の構築及び道路拡幅により耕作面積
が減る。農地残地の発生及び計画道路高が現状よ
り上がり耕作田との段差が多くなるため、馬入れ
の延長等の農地への影響がでる
○堤防の整備が施され背後地の水害に対する保全が
確保され、農作等(農地の用地取得がない)の影
響がない
●計画ごみ収集車が周辺住居を通行してくるため騒
音・振動等の影響がある
●計画ごみ収集車が周辺住居を通行してくるため騒
音・振動等の影響がある
○計画ごみ収集車が三峰川橋南よりのため周辺住居への
騒音・振動等の影響はない
○影響はない
○影響はない
●本線の縦断勾配が緩いため走行性は良好になるが
取り付け道路及び、馬入れの勾配が急になり安全
性が劣る
●縦断勾配が急なため、凍結期間での安全性が損な
われる
●三峰川サイクリング・ジョキングロード利用者
への安全確保が必要。又は一時使用不可能となる
○本線の縦断勾配が緩いため、走行性は良好になる
走行性
●天伯社の東側に天伯社より高い盛土の法面ができ
る
●縦断勾配が急なため、凍結期間での安全性が損な
われる
県道交差点部
等の安全性
●県道西伊那線に右折レーンがなく、北側の信号器
のある交差点に近いため、搬入車の縦列が予想さ
●県道沢渡高遠線との交差部に右折レーン等の安全
を確保する対策が必要になる
●県道沢渡高遠線との交差部に右折レーン等の安全
を確保する対策が必要になる
れる
○三峰川橋南の信号機のある交差点より進入するた
め安全が確保され、三峰橋上に右折車線のスペー
スが確保されている為、交通渋滞等は緩和される
●最終候補地の東側中央部で橋梁、道路築造工事を
行うため農業用水の確保も含めた農作業への影響
が大きい
●農地内で盛土高が大きい盛土工事を行うため農作
業への影響が大きい
●最終候補地中央部と盛土高が大きい盛土工事を行
うため農作業への影響が大きい
○農作業等には影響がない
施行による
影響
施行安全性
●橋梁工事における時期が渇水期に限定され、降雨
時の安全対策が必要となる。
●段丘斜面上での盛土高及びも盛土量が大き工事とな
り、周辺への安全対策が必要になる
●段丘斜面上での盛土高及びも盛土量が大き工事とな
り、周辺への安全対策が必要になる
●橋梁工事における時期が渇水期に限定され、降雨
時の安全対策およびサイクリング・ジョキング
ロード使用者への安全対策が必要となる
○概算工事費は4案の内いちばん安価、道路拡幅のた
めの敷地が現市道以外の農地が必要になる
●概算工事費は法面保護工法で変動しやや高価、新
道を作るため農地が必要になる
●概算工事費は法面保護工法で変動し高価、道路拡
幅のために敷地が現市道以外の農地が必要になる
●概算工事費は橋梁工事で高価
農地等への影響 の延長が伸びるもしくは側道が必要となり、耕作
面積が減り耕作田の形状が複雑になる等の農地へ
性
の影響がある
周辺住居への影 ○計画ごみ収集車での周辺住居等における騒音・振
響性
動等の影響は少ない
その他
安
全
性
○場内渋滞スペースの確保が容易
●用地の北側に施設を配置すると北側からの景観に
圧迫感がある
●県道沢渡高遠線と敷地の間の段差が大きいため、
斜路が必要
●県道沢渡高遠線から敷地に入る際に高低差が大き
く収集車の安全上配慮が必要となる
●県道沢渡高遠線と想定事業実施区域の高低差が大
きく、直線道路でアクセスできない(安全な傾斜
(勾配)を確保する必要がある)
C案(西側より)
・延長約L=290m、道路縦断勾配は一部2.5%で主な
勾配は8.0%位
・天伯社東側、県道沢渡高遠線から進入し、一段目
の段丘の市道北側の農地に新道を構築して、山林
の河岸段丘から最終候補地内市道沿道の耕作地に
拡幅を行い、想定対象事業実施区域西側中央部へ
至る
・県道沢渡高遠線から最終候補地中央部までの高低
差約17mの耕作地に高所部で10m以上の盛土を行
なう
●専用道路とならない(アクセスと兼用となり渋滞
が懸案される)
●道路が一般車両等と共有となることから、一般車
両の交通に影響を及ぼす恐れがあると共に、工事
車両及び搬入車両のアクセスにも制限が出る
●場内渋滞スペースの確保がやや困難
○景観について特に問題ない
経
済
性
総
合
評
価
建設費はもっとも安価だが、最終候補地の東側中央部で 農地内で工事を行うため農作業への影響及び耕作形状の 上段部農地内及び最候補地の西側中央部で工事を行うた 農作業への影響がなく、県道との交差点部に信号機や右
工事を行うため農作業への影響及び耕作形状の変動が大 変動が大きく、縦断勾配が急なため走行の安全が確保さ め農作業への影響及び耕作形状の変動が大きく、縦断勾 折レーン等の安全が確保されていて、周辺住居への影響
きい。県道との交差点の安全対策が必要となり、北側の れない
配が急なため走行の安全が確保されない
もない
交差点に近いため主要幹線交通への影響が大きい
57
8.2
施設配置計画
想定対象事業実施区域における施設配置計画は今後検討していくこととするが、プラントメ
ーカーからの技術提案資料及び施設配置計画の基本的な考え方を以下に示す。
8.2.1
施設配置計画(参考)
絞り込みを行った、2方式
・ガス化溶融方式(流動床式)
・ガス化溶融方式(シャフト炉式)
(コークスベッド式)
のプラントメーカーからの技術提案資料を参考として示す。
58
図 8-2 施設配置計画(参考)
プラントメーカーからの技術提案資料(ガス化溶融方式(流動床式))
59
図 8-3 施設配置計画(参考)
プラントメーカーからの技術提案資料ガス化溶融方式((シャフト炉式)(コークスベッド式))
60
8.2.2
施設配置計画・動線計画の基本的な考え方
施設配置計画・動線計画は、機能面、環境保全面、景観面、経済面等の様々な観点から検
討し策定する必要がある。その策定の前提となる基本方針は以下に示すとおりとする。
(1) 工場棟と管理棟の検討
工場棟と管理棟を合棟とする場合は、施設全体をコンパクトにすることができるととも
に建設費の低減の可能性もある。
一方で別棟とする場合は、目的ごとに施設を区分できること、車両動線を分離できるこ
と等の長所がある。
今後、両棟を合棟とするか別棟とするかは、それぞれの長所・短所を考慮し検討を進め
ていく。
(2) 工場棟はごみ収集車等の待機長や待機スペースが十分確保できるよう配置する
ごみ収集車等が新ごみ中間処理施設への搬入時に集中することが想定されるため、ごみ
搬入口から計量棟までの待機長や待機スペースが十分確保できるよう配置する。
(3)
ごみ収集車等を搬入時と搬出時の2回計量できるよう計量設備の台数ならびに配置を
考慮する
新ごみ中間処理施設には、ごみ収集車だけでなく直接搬入車両も搬入する。直接搬入車
両は、事前に車両重量を登録していないため、搬入時と搬出時に2回計量する必要がある。
そのため、ごみ収集車等を搬入時と搬出時の2回計量できるよう2回計量できるよう計
量機を2基(入口1基+出口1基)以上設置することを基本とする。
(4) ごみ収集車等の車両動線は、一般車両への安全を考慮する
ごみ収集車や一般車両の安全を確保するために、工場棟に出入りするごみ収集車等の車
両動線は、一般車両およびごみ収集車両、メンテナンス車両、灰搬出車等を考慮し、安全
性を確保する。車両動線と歩行者動線を明確に分離し安全性を確保する。
(5) 敷地を可能な限り緑化するとともに、周辺環境との調和に配慮する
周辺環境との調和に配慮し、駐車場と一体的に緑地整備を行うなど、可能な限り敷地内
の緑地整備を行う。
61
8.2.3
車両の搬出入条件(参考)
動線計画にあたっては以下に示す車両を前提に計画を行うものとする。
(1)
現状の車両条件
①
搬入形態別月別台数の実績値(平成 22 年度)
広域連合の平成 22 年度における各月別搬入形態別の搬入台数を整理すると、表 8-2 に
示すとおりとなる。平成 22 年度合計の搬入台数は 41,166 台となり、このうち最も多い
のは直接搬入による家庭系直接搬入ごみで 16,763 台となる。また、1 日あたりの搬入台
数が最も多かったのは、8 月で、1ヵ月当たりの搬入台数は 4,133 台であった。表 8-3
に平成 22 年度 8 月における伊那中央清掃センター及びクリーンセンターたつのにおける
搬入台数を示す。
表 8-2 平成 22 年度月別搬入台数
搬入車両(台/月)
月
4 月
5 月
6 月
7 月
8 月
9 月
10 月
11 月
12 月
1 月
2 月
3 月
合計
収集
ごみ
市町村
収集
ごみ
632
624
620
645
691
597
607
637
626
604
535
642
7,460
直接搬入ごみ
合計
事業系
許可
業者
家庭系
不法投棄
災害等
指定袋
548
451
552
584
548
511
560
540
628
446
448
577
6,393
651
635
661
687
698
668
668
689
719
691
640
723
8,130
1,206
1,443
1,643
1,918
1,955
1,431
1,616
1,634
1,502
632
646
1,137
16,763
43
28
68
19
43
23
35
31
33
16
31
35
405
181
170
165
188
198
171
147
156
202
145
109
183
2,015
3,261
3,351
3,709
4,041
4,133
3,401
3,633
3,687
3,710
2,534
2,409
3,297
41,166
表 8-3 伊那中央清掃センター・クリーンセンターたつの 平成 22 年 8 月搬入台数
搬入車両(台)
8 月総台数
(内、市町村計画収集台数)
8 月中の 1 週間最多搬入台数
8 月 9 日~13 日
(内、市町村計画収集台数)
※
伊那中央清掃センター
3,688
(514)
クリーンセンターたつの
445
(114)
2施設合計
4,133
(628)
960
(111)
132
(25)
1,092
(136)
伊那中央清掃センター及びクリーンセンターたつの共に平成 22 年度においては、8 月の搬入台数が最大である。
(2)
新ごみ中間処理施設での計画
新ごみ中間処理施設稼働後は車両の更新、収集体系の変更等に伴い、搬入車両の車種、
積載重量等が変化することが想定されるため、これらの車両に対応できる施設計画とする。
62
①
搬入車両の種類
搬入車両は、将来的な計画を踏まえて次のとおりとする。
表 8-4 計画搬入車両
ごみの種類
搬入形態
収集
燃やせるごみ(家庭系・事業系)
直接搬入
不燃ごみ、粗大ごみ処理施設からの残渣
最終処分場の掘り起こし残渣
災害廃棄物
②
直接搬入
直接搬入
直接搬入
車種
パッカー車(現在)
ダンプ車等(現在)
一般車両(現在)
ダンプ車等(現在)
ダンプ車等
ダンプ車等
搬出車両の種類
搬出車両は、将来的な計画を踏まえて次のとおりとする。
表 8-5 計画搬出車両
搬出する副生成物の種類
溶融飛灰
溶融スラグ
金属類
処理形態
最終処分場に埋立
有効利用
有効利用
63
車種
ダンプ車
ダンプ車
ダンプ車
第9章
9.1
残渣処理計画・スラグ有効利用計画
残渣・スラグ等のフロー
ガス化溶融方式において、残渣やスラグ等が発生するまでのフロー整理した(図 9-1)。
ガス化溶融炉で発生したスラグ・金属類については、冷却装置で冷却し、場内に一時貯留後
搬出する。溶融飛灰については薬剤処理し、埋立処分を行う。溶融飛灰については可能であれ
ば、山元還元を行うことを今後検討する。ごみから排出される溶融不適物については埋立処分
を行う。
ごみ
ガス化溶融炉
スラグ・金属類
有効利用
溶融飛灰
山元還元
(有効利用)
埋立処分
(キレート処理)
図 9-1 ガス化溶融炉における残渣・スラグ発生フロー
※山元還元 とは
被処理物の溶融処理によって発生する溶融飛灰から、非鉄金属を回収し再使用する一連の操作をいう。廃棄物処理中に発生す
る飛灰は溶融飛灰の形で集められる。溶融飛灰中には鉛、カドミウム、亜鉛、銅などの非鉄金属が 2~12%の高濃度で含まれて
いる。これを非鉄金属の原料と見なし鉱山(精錬所)に還元し、非鉄製錬技術で鉛、亜鉛などの単一物質に還元、回収する。
((社)
プラスチック処理促進協会ホームページ 用語集より)
9.2
残渣処理計画(溶融飛灰の処理計画)
現在、既設のごみ焼却施設から発生する焼却残渣については民間の最終処分場に委託し、適
正な処分が行われている状況である(図 9-2)。
新ごみ中間処理施設稼働時においては、クリーンセンター八乙女内最終処分場の掘り起こし
残渣を溶融することにより、同最終処分場の再生を行い、新ごみ中間処理施設から発生する残
渣を埋立処分する(図 9-3)。
溶融飛灰については山元還元の可能性について今後検討していく。
64
排
出
中 間 処理
一般廃棄物
[49,202]
資
源
化
最 終 処 分
最終処分率:12.7%
上伊那広域連合
燃やせるごみ
[31,840]
家庭系
[39,935]
事業系
[9,267]
伊那中央清掃センター
120t/日[25,610]
クリーンセンターたつの
30t/日[6,329]
(最終処分量÷総排出量)
民間委託
[3,154]
焼却残渣
リサイクル率:26.5%
(資源化量÷総排出量)
※家庭系は集団回収を含む
直接資源化
[11,379]
可燃残渣[862]
資源化率:25.6%
中間処理後資源化
伊那市
資源物
[12,613]
伊那市
[1,673]
(資源化量÷総排出量)
鳩吹クリーンセンター
40t/日[2,299]
横山不燃物処理場
不燃・プラスチックごみ
[1,317]
※民間委託を含む
伊北環境行政組合
燃やせないごみ
[4,239]
クリーンセンター八乙女
40t/日[2,105]
粗大ごみ
[511]
大田切不燃物処理場
7t/日[1,054]
民間委託
[1,015]
不燃・プラスチックごみ
伊南行政組合
民間委託
[759]
不燃・プラスチックごみ
民間処理(伊南行政組合分)
[39]
排
出
中 間 処理
資
源
化
最 終 処 分
※数値は平成 20 年度の実績値を示す。単位:t/年。
※燃やせるごみ、燃やせないごみ、資源物及び粗大ごみの合計は整数表記のため、一般廃棄物の合計と合わない。
図 9-2 ごみ処理のフロー(現在の処理フロー)
(出典)上伊那広域連合一般廃棄物(ごみ)処理基本計画(第三次改定版)より
※1事業系一般廃棄物とは、事業所から排出される廃棄物のうち、一般廃棄物として合わせ処理することができるものをいう。
図 9-3 新ごみ中間処理施設稼働時における広域連合のごみ処理体制
※上伊那広域連合一般廃棄物(ごみ)処理基本計画(第三次改定版)より加筆修正
65
9.3
スラグの有効利用計画
9.3.1
スラグの有効利用状況
近年、スラグは積極的な有効利用が進んでおり、統計データによると8割以上が有効利用
されている。また、有効利用用途としては道路用骨材、コンクリート用骨材、地盤・土壌改
良材、最終処分場の覆土としての利用が多い(図 9-4、表 9-1、図 9-5 参照)。
図 9-4 エコスラグ生産量(ごみ+下水)
(出典)
「エコスラグ有効利用の現状とデータ集 (2009 年度版)」
(社)日本産業機械工業会、
エコスラグ利用普及センターより
表 9-1 エコスラグ用途別利用状況(ごみ+下水)
(出典)
「エコスラグ有効利用の現状とデータ集 (2009 年度版)」
(社)日本産業機械工業会、
エコスラグ利用普及センターより
66
図 9-5 エコスラグ有効利用率(ごみ+下水)(2008 年度)
(出典)
「エコスラグ有効利用の現状とデータ集 (2009 年度版)」
(社)日本産業機械工業会、
エコスラグ利用普及センターより
9.3.2
スラグの有効利用計画
スラグの有効利用に関しては、スラグ品質の確保、有効利用用途先の確保、有効利用に関
する啓発等が重要である。
また、信州リサイクル認定製品といったリサイクル製品認定品制度など、県が定める制度
の認定を受けることにより、より積極的なリサイクルが行えるようなことも考慮する。
以下に溶融スラグの有効利用方法を示す。
表 9-2 溶融スラグ有効利用方法
利用用途
利用先等
アスファルト合材用細骨材(天然砂、砕砂)の代替として長年の流
アスファルト合材用骨材
通実績がある。
コンクリート二次製品用骨材(天然砂、砕砂)の代替として長年の
コンクリート二次製品用骨材
流通実績がある。
路盤材は天然または再生砕石との配合使用、配管敷設時の配管周り
路盤材、埋め戻し材
の埋戻し用は天然砂の代替としての使用が可能。
9.3.3
スラグ有効利用における行政間の連携
詳細な有効利用については今後検討していくこととなるが、行政と民間の連携、行政間の
連携が重要となることから、官民一体となって有効利用に取り組んでいく必要がある。行政
間の連携においては、スラグの有効利用を進めていく組織の設置、環境部門と土木・建築部
門との部局との連携、官民との連携を図ることとする。
67
9.4
金属類の有効利用計画
溶融方式では、溶融スラグの他に金属類が副生成物として生成される。金属類は付加価値が
高く、重量骨材(カウンターウェイト)、製鉄原料等での有効利用が進んでいる。現状では下記
に示す用途を優先的に考慮していくが、新たな用途への代替利用の可能性も検討していく。流
動床式ガス化溶融炉のように処理方式によってはアルミや鉄が分別されて排出される場合があ
り、その場合は排出された鉄やアルミなどの金属類をそのまま有効利用する方針とする。以下
に金属類の有効利用方法を示す。
表 9-3 金属類の有効利用方法例
利用用途
利用先等
鉄(分別されて排出される場合)
売却、有価物として有効利用。
アルミ(分別されて排出される場合) 売却、有価物として有効利用。
溶融炉から生成される金属類は嵩比重が大きく成型性が良いことな
カウンターウェイト充填材
どの特長を生かして、カウンターウェイト等の重量骨材として利用。
溶融炉から生成される金属類は金属鉄を多く含み、粒状物で比表面
非鉄金属精錬用還元剤
積が大きいため溶解性が良好である特徴を生かして、非鉄金属精錬
所の精錬工程での還元剤として利用。
溶融炉から生成される金属類は金属鉄を多く含むため、製鉄所の製
製鉄原料
鋼工場(転炉)でスクラップ鉄と共に一定量使用し、スクラップ鉄
の代替として利用。
68
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