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March 2009 - Linear Technology

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March 2009 - Linear Technology
LINEAR TECHNOLOGY
MARCH 2009
本号の内容…
トップ記事
ハイブリッド電気自動車の
リチウムイオン・バッテリの寿命を延ばす
バッテリ・スタック・モニタ ...............................1
Michael Kultgen and Jon Munson
リニアテクノロジーの最新ニュース….............2
デザイン特集
4.75V∼400Vから入力を取るDC/DC
コンバータ、
コンデンサ・チャージャ................9
Robert Milliken and Peter Liu
電圧リファレンスの選び方 ............................14
Brendan Whelan
プログラム可能な出力電流制限によって
電源のサイズとコストを削減する1.2A
モノリシック降圧レギュレータ ......................20
Tom Sheehan
静止電流がわずか8.5μAのキープアライブ
回路向け昇圧コンバータ ..............................22
Xiaohua Su
3.6V∼36Vを受け入れ、
パワーオン・リセットとウォッチドッグ・
タイマを3mm 3mm QFNに収めた
産業用/車載用降圧レギュレータ..................24
Ramanjot Singh
動作中に調節可能な電流制限と調節可能な
VAPDを備えた60mm2の完全なAPD
バイアス・ソリューション.................................... 27
Xin (Shin) Qi
VOLUME XIX NUMBER 1
ハイブリッド、
電気自動車の
リチウムイオン・バッテリの
寿命を延ばすバッテリ・
スタック・モニタ
by Michael Kultgen and Jon Munson
はじめに
電気で自動車を走らせるコストは、
ガソリン
換算で0.75ドル/ガロンの支払いに相当しま
す。
この電気が非炭素エネルギー源から得
られるとすると、自動車の所有者はお金を
節約し、環境を保護することができます
(ガ
ソリンを燃焼するとUSガロン当り9kgのCO2
を発生します)
。
バッテリ・テクノロジーの前進
(囲み記事を参照)、特にリチウムイオンを
ベースにしたタイプが、
自動車のハイブリッ
ド車または完全な電気自動車への世界規
模の移行を大きく約束しています。
デザイン・アイデア
耳障りですか?20kHzを超える
周波数のPWM LED調光による
オーディオ帯域の回避...................................30
Eric Young
+
12-CELL BATTERY
MODULE
12-CELL BATTERY
MODULE
12-CELL BATTERY
MODULE
12-CELL BATTERY
MODULE
+
+
+
+
CURRENT
SENSOR
4.5V∼36V VINから0.8V∼34V VOUTの
(ほぼ)完全な昇降圧ソリューションを
15mm 15mm 2.8mmに収めた
μModuleレギュレータ....................................39
Judy Sun, Sam Young and Henry Zhang
注目の新製品 .................................................41
デザイン・ツール.............................................43
セールスオフィス ............................................44
CAN
–
HOST
CONTROLLER
SPI
–
–
–
–
–
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
DATA BUS
DATA BUS
DATA BUS
DATA BUS
DATA BUS
DATA BUS
DATA BUS
DATA BUS
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
BATTERY
MONITORING
& BALANCING
+
12-CELL BATTERY
MODULE
–
+
12-CELL BATTERY
MODULE
–
+
12-CELL BATTERY
MODULE
–
SERVICE SWITCH
EMIの悩みを取り去る、2A、
15mm 9mm 2.82mm μModule™
降圧レギュレータ...........................................33
David Ng
ダイオードのターンオン時間によって誘起される
スイッチング・レギュレータの動作不良 ...........34
Jim Williams and David Beebe
リチウムイオン・バッテリ・パックは現在の
バッテリ・テクノロジーの中でエネルギー密
度は最高ですが、単純に設計によって高性
能が保証されるわけではありません。実際
の使用状況では、
( 議論の余地はあります
が、
バッテリ自体の設計によるよりも)
バッテ
リ・マネージメント・システム
(BMS)
により、
リチウムイオン・バッテリの性能と寿命に大
きな差が生じます。
3ページに続く
+
12-CELL BATTERY
MODULE
図1.96セル・バッテリ・パック
LL、LT、LTC、LTM、Burst Mode、OPTI-LOOP、Over-The-TopおよびPolyPhaseはリニアテクノロジー社の登録商標です。
Adaptive Power、Bat-Track, BodeCAD、C-Load、DirectSense、Easy Drive、FilterCAD、Hot Swap、LinearView、μModule、Micropower
SwitcherCAD、Multimode Dimming、No Latency ΔΣ、No Latency Delta-Sigma、No R SENSE、Operational Filter、PanelProtect、
PowerPath、
PowerSOT、
SmartStart、
SoftSpan、
Stage Shedding、
SwitcherCAD、
ThinSOT、TimerBlox、
True Color PWM、UltraFastお
よびVLDOはリニアテクノロジー社の商標です。他の製品名はその製品を製造する会社の商標であることがあります。
L 最新ニュース
リニアテクノロジーの最新ニュース…
EDN誌、
イノベーション賞でニアテクノロジーをハイライト
EDNマガジンは2月号でリニアテクノロジーのいくつかの製品を、3
月末に発表される本年度のイノベーション賞の最終候補に選出し
ました。
これらの候補は次のとおりです。
ベスト寄稿記事 - High Voltage, Low Noise, DC/DC Converters
(高電圧、低ノイズDC/DCコンバータ) by Jim Williams
EDN誌のウェブサイトwww.edn.com/jimwilliamsでこの記事全部を
閲読することができます。
リニアテクノロジー社のCEOが成長市場について発言
先月のEE Times 紙で、
リニアテクノロジー社のCEOであるLothar
Maierはチャレンジングな市場状況および水平線上の明るいスポッ
トについて論評しました。
「この時節に、
当社の顧客は新製品と新
製品開発への投資を継続している。技術革新により、半導体市場
(特にアナログ市場)
は再び成長を開始するだろう。今こそ新製品
を出し、市場に最初に登場し、
出現しつつある成長市場をターゲッ
トにした製品を用意すべきときである。」同氏はいくつかの主要市
場について語りました。
バッテリIC部門 - LTC6802バッテリ・スタック・モニタ
「自動車メーカーは車載電子部品の成長をここ数年で
q 自動車。
パワーIC部門 - LTC3642 50mA同期整流式
降圧コンバータ
「 省エネルギーまたはエネルギー収穫に
q グリーン成長市場。
LTC6802は高度に集積化されたマルチセル・バッテリ・モニタICで
す。最多12個の直列接続されたバッテリ・セルの電圧を精密に測
定することができます。LTC6802の斬新なスタック構成手法を使っ
て、
オプトカプラやアイソレータを使わずに、複数のLTC6802を直
列に配置することができます。
このデバイスの概要については、本
号のトップ記事をお読みください。
LTC3642は独自の高電圧同期整流器デザインを使い、45Vの連続
入力電圧が可能で、最大60Vの過渡保護を備えています。
その内
部同期整流とそのプログラム可能なピーク電流モード制御機能に
より、最大93%の効率を与え、
バッテリの動作時間を最大にするこ
とができます。
パワーIC:モジュール - LTM4606超低EMI、6A DC/DC
μModuleレギュレータ
LTM4606 DC/DC μModule™レギュレータは、
ソースの導通および
放射エネルギーを減衰させることにより、
スイッチング・レギュレー
タのノイズを大幅に減らします。μModuleデバイスは、
インダクタ、
コ
ントローラIC、MOSFET、入力と出力のコンデンサおよび補償回路
をICに似た封止された表面実装プラスチック・パッケージに収め
た、完全なDC/DCシステムインパッケージです。
2∼3倍と予測しているので、
自動車分野に新製品を引き続き供
給していく。
さらに、世界の全ての主要な自動車メーカーは現在
ハイブリッド車を手がけており、
これは車載電子部品をさらに増
す。
われわれはつい最近革新的デバイスLTC6802を発表した。
これは高度に集積化されたバッテリ・スタック・モニタで、
ハイブ
リッド車/電気自動車のバッテリ・モニタ・システムの設計を大幅
に簡素化する。」
ターゲットを設定した製品には成長の機会が与えられるだろう
し、
現在の市場状況から隔離されている。
モバイル製品のバッテ
リ寿命を延ばすことの必要性とともに、
エネルギーのコストと環
境問題は、電力最適化に注力することを促してきている。
当社の
エネルギー効率の高い製品により、
顧客は電力をもっと効率よく
変換し、
電力消費を減らし、
バッテリ寿命を延ばすことができる。
当社のLEDドライバは、
自動車や医療計測器からラップトップ
やオフィスの照明に至るまで、様々なアプリケーションで新世代
の低消費電力照明を可能にする。
われわれの効率の良いアナロ
グ・ソリューションは、
ソーラーや風力発電システムなど革新的
なクリーン・テクノロジー市場を推進するのに役立つ。
」
「ワイヤレス・システムは、
ワイヤレス
q 通信インフラストラクチャ。
およびネットワーク・インフラストラクチャの製品の大きな市場
機会を引き続き生み出す。
われわれの高速データ・コンバータと
高周波数製品は次世代の携帯電話基地局向けに設計されて
いる。
われわれのHot Swap™とPower over Ethernetの製品はネッ
トワークで急増している。」
「 広大な産業用市場は引き続きビジネスの
q インダストリアル。
確固とした核を与え、市場変動からある程度隔離されている。
リ
ニアテクノロジーのアナログ製品は、工場の自動化、産業用プロ
セス制御、医療、計測器、
セキュリティなど、広い範囲の産業用
システムに使われている。」
LTM4606はスイッチング・レギュレータのノイズを発生源で減らす。
2
Lothar Maierは次のように結んでいます。
「最後に、
私はリニアテクノ
ロジーの顧客、市場および地理的多様性に関する戦略は現在の
市場条件に対する防衛策となり、将来の成長への導水路を与える
と思う。」L
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
にパックのエネルギー密度を下げます。
これ 状態(SOC)
を精確に知るほど、
セルの寿命
は問題です。
バッテリの寿命の増加はできる を最大化しながらもっと多くのセル容量を
だけ重量の少ないバッテリを使う必要性と 使うことができます。
ラップトップ・コンピュー
取り引きされます
(バッテリはどのEVでも最 タでは、
ガスゲージはセル電圧のモニタと、
も高価な部品です)。
うまく設計されたBMS 4∼8セルのスタックの入と出のクーロンカ
だけが200Aのピーク充電電流と放電電流 ウントによって得られます。電圧、電流、時間
に対してバッテリの性能と寿命を最大化す および温度は堅牢なアルゴリズムで結合さ
ることができます。
れ、SOCの表示を与えます。残念なことに、
自動車のクーロンをカウントするのはほとん
ど不可能です。
バッテリはマザーボードでは
たとえば、15年、5000充電サイクルの目標を リチウムイオンの動作時間と寿命を
達成するには、バッテリ・パックのセル容量 最適化するバッテリ・マネージメント・ なく電気モータをドライブするので、200Aの
電流スパイクと、
それに続く低レベルのアイ
の一部(たとえば、40%)
しか使えません。
も システム
ちろん、容量の40%だけ使うことは、本質的 どんなバッテリ・スタックでも、各セルの充電 ドリングを扱う必要があります。
LTC6802、1ページから続く
LTC6802マルチセル・バッテリ・スタック・モ
ニタは、電気自動車(EV)やハイブリッド車
(HEV)に一般的な大型バッテリ・スタック
のどんなBMSでも中心となります。
その堅牢
なデザインと高精度により、高価なバッテリ・
パックの性能と寿命をフル活用するのを助
けます。
電気自動車とハイブリッド車のリチウムイオン・バッテリ
加速時にトルクを与え、
ブレーキによる再
では、
なぜ全ての自動車が電気自動車では
表1.
エネルギー密度の比較
生減速時にジュールを回収するのにバッ
ないのでしょうか? 1つの理由はエネルギー
手段
Wh/kg
テリを使用することは、
ガソリンエンジンの
密度です。
ガソリンはkg当りリチウムイオン・
使用頻度を下げ、
高い効率で使用し、
実
バッテリの80倍のエネルギーを蓄えており
ディーゼル燃料
12,700
効的にmpgを倍にすることを意味します。
(表1)、3分間でタンクを満たすことができ、
ガソリン
12,200
基本的に無限にドライブできます。大きなリ
リチウムイオン・バッテリ
150
1970年代、利用可能な高電力バッテリの
チウムイオン・パックであっても、8時間の充
電サイクルの後、乗用車で約100マイル走れ
種類は鉛蓄電池だけであり、
ゴルフカー
NiMhバッテリ
100
るだけです。100マイルより遠くまで乗用車を
トより大きなものを実用的に駆動するに
鉛蓄電池
25
ドライブするには、依然ガソリンエンジンが
は重すぎました。次いでNiMhバッテリが
必要ですが、
それでもバッテリによりハイブ
登場し、エネルギー密度を十分改善し、
リッド車(HEV)
の走行距離は改善されます。
オットーサイクルエン トヨタのプリウスやフォードのエスケープなど初めて商業的に成
ジンのピーク効率は高RPMでわずか30%で、平均効率は約12% 功したHEVが可能になりました。
リチウムイオン・バッテリは、
さら
です。
に50%改善してエネルギー密度を一歩前進させました。
リチウム
イオンの安全性が懸念されましたが、A123 Nanophosphateセル、
EnerDelのSpinel-Titanateケミストリ、GS YuasaのEH6デザインなど
MG1インバータ
バッテリ
MG2インバータ
はNiMhと同様に安全であり、非常に高い電力
(200Aのピーク放
電レート)
を与え、適切に充電を管理すると10∼15年の寿命があ
ります。2012モデル年までに、
ハイブリッド車とトラックの大半はリ
チウムイオン
・
バッテリ
・
テク
ノロジーを使うでしょ
う。
ガソリン・
サイレント
エンジン
動力
分割機
チェーン
電気モータ/
発電機1(MG1)
電気モータ/
発電機2(MG2)
減速ギア
前輪
車軸
差動装置
図1はBMS付きバッテリ・パックのブロック図を示しており、図2は
標準的HEVの駆動列を示しています。バッテリ・パックのビルディ
ング・ブロックは、2.5V∼3.9V、4Ahr∼40Ahrのリチウムイオン・セ
ルです。100∼200セルが直列に接続され、
バッテリ・パックの電圧
は数百ボルトになります。
このDC電力源が30kW∼70kWの電気
モータをドライブします。特定の電力レベルの平均電流が低くなる
ようにパックの電圧は高くしてあります。電流が低いほどI2R電力
損失が減少するので、
ケーブルを細くすることができ、重量とコスト
を下げることができます。
パックはピーク条件で200Aを供給でき、
短時間で再充電できるようにします。
つまり、
バッテリはリチウムイ
オン・バッテリが満たすことができる高エネルギー密度と高電力
密度の仕様を与える必要があります。
バスやトラック・トレーラのシ
ステムは、
それぞれ640Vのパックを最多4個並列に使います。L
図2.
トヨタ プリウスの
「分割動力」
のハイブリッド駆動列
Linear Technology Magazine • March 2009
3
4.5
4.5
4.0
4.0
3.5
3.0
1C
2C
5C
10C
20C
50C
2.5
2.0
そのため、BMSはセル電圧に焦点を絞りま
す。全てのセルの電圧を精確に測定できれ
ば、セルのSOCを妥当な精度で知ることが
できます
(図3)。秘訣はバッテリのESRと容
量に対する温度の影響を考慮に入れて電
圧測定の精度を改善することです。各セル
の電圧を常時測定することにより、各セルの
充電レベルを常時推定します。
いくつかのセ
ルが過充電になり、いくつかのセルが充電
不足になる場合、電荷を流出させるか
(受動
バランシング)、
または電荷を再配分して
(能
動バランシング)、
それらをバランスさせるこ
とができます。
CELL VOLTAGE (V)
さらに、10または12のグループで、直列に96
∼200セルを使います。
セルは異なった速度
で経時変化し、多数のロットから製造されて
おり、温度が異なります。
それらの容量は常
に変化します。
クーロンカウントが同じでも
異なったセルの充電レベルは大きく異なるこ
とがあります。
CELL VOLTAGE (V)
L デザイン特集
1.5
0
3.5
3.0
2.5
–20°C
0°C
30°C
60°C
2.0
1.5
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
DISCHARGE (%)
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
DISCHARGE (%)
図3.標準的リチウムイオン・セルの充電状態と電流および温度
上方に隣接する
12セル・パック
LTC6802-1
V+
DIE TEMP
REGISTERS
AND
CONTROL
12セル・
バッテリ・
ストリング
MUX
12-BIT
ADC
コストを下げつつバッテリ性能を
上げる鍵は精確なモニタ
EXTERNAL
TEMP
下方に隣接する
12セル・パック
下方の
LTC6802-1への
シリアル・データ
図4.LTC6802の簡略ブロック図
4mVの測定誤差はSOCの推定値の精度が
3%であることを意味します。15年の寿命を
保証するには、BMSはセル容量の37%(40%
­3%)
を超えないようにセルを充電する必要
があります。
次に、同様の条件で誤差が10mVのモニタ
ICについて検討します。
この場合、15年の寿
命を保証するには、BMSはセル容量のわず
か32%
(40%­10mV • 1%/1.25mV)
しか使う
ことができません。
この一見無視できる測定
誤差の増加が、利用可能な容量の14%の大
きな減少をもたらします。
9k
0.30
0.25
7 REPRESENTATIVE
UNITS
0.20
0.15
0.10
0.05
0
–0.05
–0.10
–0.15
–0.20
–0.25
–0.30
–50
–25
0
25
50
75
TEMPERATURE (°C)
100
125
図5.7個のサンプルの標準的測定精度と温度
4
VOLTAGE
REFERENCE
100k
100k NTC
COST OF TYPICAL BATTERY PACK ($)
次の例で示されているように、測 定 精 度
の 向 上 はバッテリのコストを下 げます。
図5はLTC6802の標準的性能を示しており、
­20℃∼60℃での0.1%の合計誤差は3.7V
のセルでは4mVの精度に換算されます。15
年のバッテリ寿命を達成するには充電サイ
クル当り40%のセル容量に制限されると想
定し、
バッテリのセル電圧と充電レベルが非
常にフラット
(たとえば1.25mV/%SOC)
であ
ると仮定します。
V–
MEASUREMENT ERROR (%)
LTC6802(図4)
は高精度データ収集ICで、
直列接続されたバッテリの大きなストリング
の各セルの電圧測定に最適化されていま
す。BMSでは、LTC6802はアナログ機能の力
仕事を担い、SOCの計算のために電圧と温
度のデジタル測定値をホストプロセッサに
送ります。LTC6802は、高精度、優れたノイズ
除去、高電圧耐性、
および広範な自己診断
を特長とし、堅牢で使いやすいデバイスで
す。高度に集積化されているので、
ディスク
リート部品によるデータ収集デザインに比
べて、顧客にとっては大きなコストの節約に
なります。
上方の
LTC6802-1への
シリアル・データ
8k
7k
6k
5k
4k
3k
0
5
20
25
10
15
MEASUREMENT ERROR (mV)
30
図6.
このコストと測定誤差のモデルに示されてい
るように、
バッテリのコストを抑えるにはBMSの高
い精度が重要。
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
6µs
TP0610K
CELL12
370V
1M
2.2M
LTC6802-1
GPIO2
GPIO1
270V
0 = REF_EN
0 = CELL1
WDTB
1M
1M
VREG
1M
図8.
インバータ・ノイズの例
LT1461A-4
10M
DNC DNC
VIN
DNC
SD VOUT
GND DNC
2N7002
1µF
10kHz
VSTACK12
90.9k
2N7002
V−
150Ω
TP0610K
TP0610K TP0610K
100Ω
VDD CH0 CH1 SEL
SD LT1636
100nF
TC4W53FU
–
CELL1
2.2µF
+
C1
4.096V
COM INH VEE VSS
1M
ル当り1個)
には最大12Vの同相過渡と、セ
ル当り1Vの差動過渡が現れます。
この過渡
は10kHz∼20kHzのPWM周波数で生じま
す。LTC6802の同相除去は優れており
(図
9)、
この誤差項を除去します。
デルタシグマ
ADCに本来備わっているSINC2フィルタによ
り、差動ノイズは40dB減衰します
(図10)。外
部フィルタまたは測定値の平均化を使って、
差動ノイズをさらに減らすことができます。
LTC6802の診断機能による
堅牢さの改善
図7.較正による精度の改善
自動車システムは「どの不良セルの測定値
つまり、
もっと精度の高いBMSを搭載した自 バッテリ・スタックを12セルのモジュールに も問題のないセルの測定値と誤って解釈さ
動車と同じ距離を走るのに、少なくとも14% 分割すると同相電圧がさらに減少します。図 れない」
ことを要求します。誤った読取り値
追加の(つまり14%重い)バッテリ、
コスト、 2のようなパックでは、各LTC6802(モジュー を生じる可能性のある最も一般的な2つの
電子部品を必要とします。バッテリは高価
フォールトは、
オープン回路とICの動作不良
です。50マイル走るのに約4000ドルのバッテ
です。
ワイヤハーネスにオープン回路があり、
LTC6802の­20℃∼60℃での0.1%の
リが必要なので、測定誤差の増加は560ド
ADCの入力にフィルタ・コンデンサがあると
ル分の追加セルを意味します。だからこそ、
(図11)、
コンデンサは入力電圧を隣接する
合計測定誤差は3.7Vのセルでは
BMSの設計者は測定誤差の0.01%まで綿
セルの間の中間に保つ傾向があります。
何
4mVの精度に換算される。
密に調べるのです。BMSの精度の関数とし
らかのオープンワイヤ検出またはセル抵抗
バッテリは高価である。
てのバッテリ・コストの簡単なモデルを図6に
測定機能が必要です。LTC6802はセル入力
50マイル走るのに約4000ドルの
示します。
に負荷を与える100μAの電流源を備えてい
バッテリが必要なので、測定誤差の
ます。ハーネスにオープン回路があると、電
低ドリフトのリファレンスの追加、製造時の
流源はセルの読取り値に大きな変化を生じ
わずか10mVへの増加が560ドル分の
初期較正、
および周期的自己較正のルーチ
させます。
追加セルを意味する。
だからこそ、
ンにより、LTC6802の測定精度を0.03%に改
BMSの設計者は測定誤差の
善することができます。たとえば、図7では、
0.01%まで綿密に調べる。
LT1461A-4が周期的にチャネルC1に与えら
れます。温度に対して安定なLT1461の測定
値を使ってLTC6802の温度ドリフトを補正す
ることができます。LTC6802とLT1461Aの初
期誤差は、
基板組立後に較正リファレンスを
測定し、
保存することによって補正します。
Linear Technology Magazine • March 2009
0
VCM(IN) = 5VP-P
72dB REJECTION
–10 CORRESPONDS TO
LESS THAN 1 BIT
–20 AT ADC OUTPUT
–10
–20
REJECTION (dB)
REJECTION (db)
インバータのノイズはセル電圧の測定に深
刻な干渉を生じることがあります。100セル・
スタックに電気モータの負荷がかかると、
それには370Vのオープン回路電圧と100V
のスイッチング過渡が加わることがあります
(図8)。過渡を均等に100セルに広げると、
トップ・セルには370Vの同相電圧、100Vの
同相過渡、1Vの差動過渡および3.7Vの平
均DC値が加わることを意味し、
それを4mV
の精度で測定する必要があります。
0
–30
–40
–30
–40
–50
–50
–60
–60
–70
10
100
1k
10k 100k
FREQUENCY (Hz)
1M
図9.
セル測定の同相除去
10M
–70
10
100
1k
10k
FREQUENCY (Hz)
100k
図10.
セル測定のフィルタ処理
5
L デザイン特集
ホストコントローラは通 常動 作 時に全モ
ジュールの診断を行ってICの動作不良を
検出する必要があります。
これらの周期的自
己テストで不合格が生じたら、制御アルゴリ
ズムが疑わしく、バッテリ・パックをラインか
ら外す必要があります。LTC6802は外部サ
ポート回路と組み合わせる自己テストを内蔵
しており、BMSがデータ収集システムを完全
に検証することを可能にします。詳細につい
ては、LTC6802のデータシートを参照してく
ださい。
LTC6802-1
C4
B4
CF4
B3
CF3
C3
C2
MUX
C1
V–
グランド電位の変動からの
影響を絶縁するLTC6802
100µA
図11.
オープン回路の検出を助ける電流源
約100セルのパックをモジュールに分割する
と、
アナログ回路を集積化しやすくなります。
ただし、
グランド電位の差が300Vを超える
状態で、測定用ICからホストコントローラに
データを渡す作業が残されます。LTC6802
は、
アプリケーションの特定のニーズに依存
して、
この問題をいくつかの方法で解決する
ことができます。
タは高価であり、バッテリ・セルがセル側の
アイソレータに電力を供給する必要がない
ように、絶縁された電源を必要とします。
ともできます。
3つの方式全てについて以下説明します。
LTC6802-1を使ったSPIインタフェース
アドレス指定可能なLTC6802-2と
デジタル・アイソレータを使った
SPIバス通信
のデイジーチェーン接続
最も簡明なアプローチはバス通信方式の
LTC6802は、望みのデータ通信方式に依存 使用で、各モジュールとホストコントローラ
して、2つの種類で提供されます。LTC6802-1 の間にデジタル・アイソレータを使用します。
は、
インタフェースの簡単なデイジーチェー LTC6802によってモニタされる8つのマルチ
ン接 続 向けに設 計された、スタック構 成 セル・モジュールを使った96セル・パックを
可能な内蔵シリアル・ペリフェラル・インタ 図12に示します。物理層は4線式SPIバスで
フェース
(SPI)
ソリューションを提供します。 す。
アドレス指定方式により、
コントロール・
アドレス指定可能なLTC6802-2は、バス指 モジュールは個別に、
または一斉にバッテ
向の
(並列)SPI通信向けに設計されていま リ・モジュールに語りかけることができます。
すが、堅牢で比較的安価なソリューション モジュールのデータ・バスは相互に分離され
向けに、並列アドレス指定可能なデイジー ています。
これは堅牢な方式ですが、1つの
チェーン接続されたインタフェースに使うこ 大きな弱点があります。
デジタル・アイソレー
LTC6802-1はスタック構成されたデバイス
間に固定1mAの信号を与えて、安価なサ
ポート回路を使ってデイジーチェーン接続
されたSPIインタフェースを簡単に実装する
ことを可能にします。図13に示されているよ
うに、デジタル・アイソレータは除かれてい
ます。
このインタフェースはモジュールNの正
電源はモジュールN+1のグランドと同じ電
圧であるという事実を利用しています。1mA
の電流を使ってデータを隣接するモジュー
ル間で転送します。
アナログ回路と同様、
モ
ジュラー方式はデータ・バスが全パック電圧
の一部を扱う必要があることを意味します。
BATTERY MODULE 8
LTC6802
12 Li-Ion
SERIES
BATTERIES
BATTERY
MONITOR
DIGITAL
ISOLATOR
BATTERY MODULE 1
CONTROL MODULE
GALVANIC
ISOLATOR
LTC6802
µCONTROLLER
12 Li-Ion
SERIES
BATTERIES
BATTERY
MONITOR
DIGITAL
ISOLATOR
SPI
CAN
CAN
TRANSCEIVER
TO VEHICLE
CAN BUS
図12.
デジタル・アイソレータを使ったLTC6802との通信
6
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
BATTERY MODULE 8
LTC6802
12 Li-Ion
SERIES
BATTERIES
BATTERY
MONITOR
CONTROL MODULE
BATTERY MODULE 1
GALVANIC
ISOLATOR
LTC6802
µCONTROLLER
12 Li-Ion
SERIES
BATTERIES
BATTERY
MONITOR
SPI
CAN
CAN
TRANSCEIVER
TO VEHICLE
CAN BUS
図13.
デジタル・アイソレータを除くためにデイジーチェーン接続されたSPIを使用
純粋のデイジーチェーンの弱点は、1つのモ
ジュールのフォールトにより、
スタック内のそ
れより上の全モジュールとの通信が失われ
ることです。
また、モジュール間が電気的に
絶縁されていないので、
フォールト状態の間
生じる大きな電圧をインタフェースが処理す
る必要があります。
たとえば、図1の「サービ
ス・スイッチ」がオープンし、パックに負荷が
与えられていないと、
モジュール4とモジュー
ル5の間のデータ・バス接続には合計パッ
ク電圧に等しい逆電圧(­300V∼­400V)
が現れます。LTC6802のインタフェースは、
フォールト状態の間、外部ディスクリート・ダ
イオードに頼って逆電圧をブロックします。
両方の世界の最良のもの:LTC6802-2を
使った、
デイジーチェーン接続された
アドレス設定可能なインタフェース
安 価 な 外 部 回 路 で は 、LT C 6 8 0 2 - 2 は
LTC6802-1のようにスタック構成のSPI構成
設定で使うこともできますが、動作パラメー
タがもっと柔軟性をもちます。
36セル・アプリケーションのための完全なス
タック構成のLTC6802-2のSPIインタフェー
スを図14に示します。
スタックは、中央のIC
の回路を複写することにより、規模を拡大
することができます。図14では、スタック構
成の各ICのVREGピンとV­ピンを使って、共
通ベース接続されたトランジスタをバイアス
し、各SPIデータ・ラインの信号変換電流を
発生します。
VBATT
LTC6802-2
IC #3
VREG
1M
1.8k
WDT
2.2k
2.2k
2.2k
NDC7002N
ALL NPN: CMPT8099
ALL PNP: CMPT8599
ALL PN: RS07J
ALL SCHOTTKY: CMD5H2-3
SDI
SCKI
CSBI
SDO
V−
LTC6802-2
IC #2
VREG
100Ω
2.2k
2.2k
2.2k
100Ω
2.2k
2.2k
2.2k
SDI
SCKI
CSBI
SDO
LTC6802-2のSPIポートは4線接続です。
チッ
プ選択入力
(CSBI)、
クロック入力
(SCKI)、
データ入力
(SDI)
およびデータ出力
(SDO)
です。入力は普通のCMOSレベル、出力は
オープン・ドレインのNMOSです。SDOピン
は意図するデータ・レートに適した外部プル
アップ電流または追加抵抗を備えている必
要があります。
ICは多用途の常時オン5V出力
(V REG)
も与え、
これは最大4mAを発生して
低消費電力の補助回路に給電することがで
きます。
Linear Technology Magazine • March 2009
V−
LTC6802-2
IC #1
VREG
SDI
SCKI
CSBI
SDO
V−
R12
2.2k
CS
CK
DI
DO
HOST µP
500kbps MAX DATA RATE
図14.並列アドレス指定されたLTC6802-2の安価なSPIデイジーチェーン
7
L デザイン特集
各LTC6802は、場合によっては合計60Vに
達することがある最多12セルの電位をモニ
タすることができるので、SPI変換のために
選択されるトランジスタはVCBOが60Vを超
えている必要がありますが、
それらは利用可
能な最高fTのものにして、
ロジック信号が過
度に遅くなるのを防ぎます。適したNPNの候
補はCMPT8099であり、CMPT8599はその
PNPの相補デバイスです。両方ともCentral
Semiconductorから供給されます。
これらは
高速80Vデバイスです
(fT > 150MHz)
。
上方への信号の送信
スタックのボトムのICでは、
マイクロプロセッ
サであれ、SPI絶縁デバイスであれ、
ロジッ
ク信号はホスト接続によって与えられます。
ベース電位がV REGであるNPNのエミッタ
端子を既知の抵抗を介して単にプルダウン
することにより、
ロジック L の入力信号の
特定の電流が発生します。示されている部
品値の場合、
ロジック L の電流は約2mA
です。逆に、
ロジック H ではトランジスタは
基本的にオフします(5Vロジックではほぼ
0mA)。
コレクタ電流はエミッタ電流にほぼ等しい
ので、
同じ電流が上に続くカスコード回路に
流れます。
その次の回路は最初の回路と同
じなので、上のエミッタ抵抗の電圧は下の
回路のロジック・レベルを上のICに再生しま
す。
これがデイジーチェーンの上方に向かっ
て続き、最終的にバッテリ・スタックのトップ
の電位で終了します。各ICはスタック内で異
なった電位で動作するとはいえ、各ICは同
じ入力波形を与えられるので、
この構造はロ
ジックの視点からは並列バスを形成します。
の場合も、
コレクタ電流は基本的にエミッタ
電流に等しいので、電流は後続の各PNPを
通して下に向かって流れ、
スタックのボトム
の抵抗で終端します。
この場合、示されてい
る部品値では約2mAの電流が終端抵抗に
流れるので、
ホスト・インタフェースのための
ロジック H の電位が発生します。
ショットキー・ダイオードが各SDOピンから
ローカルのPNPのエミッタに接続されてい
るので、
スタック上のどのLTC6802もロジッ
ク L を出力するときプルアップ電流をロー
カルのV­に振り向けることができます。
これ
は実効的にローカルのPNPトランジスタと
スタック内のそれより低い全ての点のエミッ
タ電流をオフするので、ボトムの終端抵抗
の電圧はロジック L レベルに下がります。
各SDOピンは L レベルを強制することが
できるので、
これは、
ホストのインタフェース
に関する限り、並列接続に等価なワイヤOR
機能を形成します。
スタックのボトムのSDO
ダイオードはいくらか異なった接続になっ
ており、
ホスト・インタフェースで直接ワイヤ
ORを形成していることに注意してください。
LTC6802-2はアドレスを指定した読出しコマ
ンドを使うように設計されているので、
この
ラインは適切に多重化されており、IC相互
の競合は生じません。
外部SPIの利点
LTC6802-2はアドレス指定可能な並列SPI
プロトコルを使っているので、複数のデバイ
スをスタック状に接続する従来の方法は各
SPI接続に絶縁を与えるためであり、
その後
ホスト側で信号を並列にします。
アイソレー
タは比較的高価であり、多くの場合追加
の電源回路が必要なので、全体のソリュー
ションのコストがかなり増加します。
ここに
示されているトランジスタ回路は全く安価で
あり、設計上のトレードオフのオプションも
与えます。伝播遅延があり、電力をかなり低
く抑えようとしていますが、
この回路は示さ
れているままでも500kbpsを超えて通信しま
す。高いデータ・レートを必要としないアプリ
ケーションでは、単に抵抗値を必要に応じ
て上げることにより、
もっと低いSPI電流を選
択することができます。
トランジスタを使用するSPIバスの主な特
長は、制約されないトランジスタのコレクタベースの動作範囲によって与えられる広い
適応範囲です。通常動作では、転送される
ロジックレベルに依存して、V CBはLTC6802
に接続されたセルのちょうど下から、
それよ
り5Vほど下まで変化します。
これは重要に
なります。
というのは、
負荷の動特性やスイッ
チング過渡によるバッテリ電圧の変動が、
(V+およびADCのセル入力をフィルタするこ
とはできますが)
トランジスタのV CBに影響
を与えるからです。
自動車メーカーによって
は、
スタックの1セル当りの立上り/立下り時
間が200nsの1VステップをBMSが耐えるこ
とを要求しており、
これは標準的アプリケー
ションのトランジスタから見ると12Vの波形
エッジになります。
トランジスタ・チェーンの
コレクタの容量が小さく、
ロジック・レベルが
2mAなので、
この高いノイズ・レベルでさえ
SPI転送はエラーを生じない状態に保たれ
ます。
スタンバイ時にプルアップ電流を除去するた
め、
ウォッチドッグ・タイマ・ビットが L にな
ると汎用NチャネルMOSFETを使ってトップ
PNPのエミッタ電流を遮ります。
クロックが
動作しているとウォッチドッグ・タイムアウト
がリリースされるので、SDOラインが必要に
応じて再度アクティブになります。
この場合
も、
プルアップ電流がVREGからではなくバッ
トップICのNPNトランジスタはロジック電流 テリから直接供給されるようにするため、
ス
を直接バッテリ・スタックからソースします。 タックのトップのNPNが使われます。
小さなベース電流だけがV REG出力から流
れます。600Vコレクタ・ダイオードは、
サービ コレクタのダイオードはここにも追加されて
ス作業中などにバッテリ・グループの相互 おり、高い逆電圧に対する保護能力を与え まとめ
さらに直列抵抗が追加されており、下 電気自動車とハイブリッド車はすっかり定着
配線が失われたとき逆電圧保護を与えます ます。
(これらは機能としては不要であり、状況に 側のトランジスタのエミッタを過渡エネル しました。本質的に安全なリチウムイオン・
ギーから保護します(ここでも、
これらの保 バッテリは、
よっては省くことができます)。
エネルギー密度、電力密度およ
護デバイスは何も他の機能をデータ転送に びサイクル寿命を結合しており、
引き続き進
追加せず、状況によっては省くことができま 化してこれらの車の性能を改善するでしょ
スタックの下方へのデータの送信
う。LTC6802を使用したバッテリ・マネージメ
SDOのカスコード・チェーンは、電流がス す)。
ント・システムは、バッテリ・パックから最大
タックのトップから始まって下に向かって流
の走行距離と寿命を引き出し、
れる点以外、
コンセプトが似ています。
トッ
システム・コ
プのICでは、ベースをローカルのV ­ピンに
ストを下げます。L
接続したPNPトランジスタのエミッタに、
プル
アップ抵抗によって電流が注入されます。
こ
8
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
4.75V∼400Vから入力を取るDC/DCコンバータ、
コンデンサ・チャージャ
by Robert Milliken and Peter Liu
はじめに
高電圧電源とコンデンサ・チャージャは、
プ
ロ用フォトフラッシュ、セキュリティ管理シス
テム、
パルスレーダー・システム、衛星通信シ
ステム、起爆装置など、多くのアプリケーショ
ンでよく見られます。LT3751により、設計者
は、高信頼性、比較的低いコスト、安全動
作、最小基板スペース、高性能など、
これら
のアプリケーションの厳しい要件を満たすこ
とができます。
ループは内部で補償され、安定性を確保
します。LT3751は20ピン露出パッドQFNま
たは20ピン露出パッドTSSOPの2つのパッ
ケージで供給されます。
2V/DIV
外部部品を必要としない、
内部クランプ
付きの新しいゲート・ドライバ
GND
ゲート・ドライバを使うとき4つの主な問題
があります。出力電流ドライブ能力、
ピーク
出力電圧、電力消費および伝播遅延です。
LT3751は+80nCのゲートをドライブするの
に十分な1.5Aプッシュプル・メイン・ドライバ
を備えています。補助0.5A PMOSプルアップ
のみのドライバもLT3751に内蔵されており、
8V以下のVCC電圧で主ドライバと並列に使
われます。
このPMOSドライバはレール・トゥ・
レール動作を可能にします。8Vより上では、
PMOSドライバはそのドレインをV CCに接続
することにより、無効にする必要があります。
250ns/DIV
図1.標準的な応用例の
ゲート・ドライバの波形
LT3751は汎用フライバック・コントローラ
で、電圧レギュレータとしても、
コンデンサ・ で実現され、可聴トランス・ノイズを大幅に
チャージャとしても使うことができます。 削減します。
LT3751は連続導通モードと不連続導通
モードの間のバウンダリ・モードで動作しま LT 3 7 5 1 は 、2 組 の 低 電 圧ロックアウト
す。バウンダリ・モード動作は比較的小さな ( U V L O )、2 組 の 過 電 圧 ロックアウト
トランスと全体として小さなPCBフットプリン (OVLO)、無負荷動作、過温度ロックアウ
トを可能にします。バウンダリ・モードは、電 ト
(OTLO)、全ての高電圧ピンの内部ツェ
圧モードやPWM手法の使用から生じるこ ナー・ダイオード・クランプ、選択可能な5.6V
とのある大信号の安定性の問題も緩和しま または10.5V内部ゲート・ドライバ電圧クラ
す。
ンプ(外部部品は不要)
など、多くの安全性 ほとんどのディスクリートFETのVGSのリミッ
や信頼性の機能を備えています。LT3751は トは20Vです。FETを20Vより高くドライブす
レギュレーションは、
ピーク1次電流変調と 起動/短絡保護回路も追加して、
トランスや ると内部ゲート酸化膜に短絡を生じ、永久
デューティ・サイクル変調の両方を使った新 外部FETの損傷に対して保護します。
レギュ 的損傷を与えるおそれがあります。
しいデュアル、
オーバーラッピング変調手法 レータとして使用するとき、LT3751の帰還
危険! 高電圧技術者のみ取扱可の高電圧動作
VTRANS
10V TO 24V
T1*
1:10
+
OFF ON
C1
10µF
TO µP
R1, 154k
VTRANS
R2, 475k
VCC
C2
2.2µF
×5
R6
40.2k
C3
680µF
RVTRANS
CHARGE
CLAMP
RDCM
R7
18.2k
VCC
R8
40.2k
LT3751
RVOUT
D1
D2
•
C4
100µF
•
VOUT
50V TO 450V
+
C5
0.47µF
VOUT
100V/DIV
GND
DONE
HVGATE
LVGATE
CSP
FAULT
UVLO1
OVLO1
CSN
UVLO2
FB
VCC
R5
6mΩ
1W
特に注記のない限り、
全ての抵抗が0805、
1%抵抗
D1,D2: VISHAY MURS260
M1: IRF3710Z
T1: WURTH 750310349
OVLO2
GND RBG
M1
4.7nF
Y RATED
* 65℃のT1最大周囲温度動作の
出力電力を40Wに制限
IIN(AVG)
2A/DIV
0
VIN = 24V
COUT = 100µF
20ms/DIV
図3.絶縁された高電圧コンデンサ・
チャージャの充電波形
R9
図2.10V∼24V入力の絶縁された高電圧コンデンサ・チャージャ
Linear Technology Magazine • March 2009
9
L デザイン特集
危険! 高電圧技術者のみ取扱可の高電圧動作
VTRANS
10V TO 24V
T1**
1:10
+
C3
680µF
OFF ON
C1
10µF
TO µP
R1, 154k
VTRANS
R6
40.2k
R2, 475k
VCC
C2
2.2µF
×5
RVTRANS
CHARGE
CLAMP
RDCM
R7
18.2k
VCC
R8
40.2k
LT3751
DONE
RVOUT
HVGATE
LVGATE
CSP
FAULT
UVLO1
CSN
OVLO1
VCC
D1
D2
•
C4
100µF
•
VOUT
400V
特に注記のない限り、
全ての抵抗が0805、
1%抵抗
+
C5
0.47µF
C4: CDE 380LX101M500J042
C5: TDK CKG57NX7R2J474M
D1,D2: VISHAY MURS260
M1: IRF3710Z
T1: WURTH 750310349
M1
* R10には2個の
直列1206抵抗を使う
R10: 249k 2
R5
6mΩ
1W
** 65℃のT1最大周囲温度動作の
R10*
499k
UVLO2
FB
OVLO2
C6
10nF
GND RBG
R9
787Ω
出力電力を40Wに制限
R11
1.54k
図4.10V∼24V入力の400Vに安定化された電源
この問題を緩和するため、LT3751は内部に
選択可能な5.6Vまたは10.5Vのゲート・ドラ
イバ・クランプを備えています。外部部品は、
コンデンサさえ不要です。単にCLAMPピン
を10.5V動作ではグランドに、5.6V動作では
V CCに接続します。24VのV CC電圧で10.5V
にクランプするゲート・ドライバを図1に示し
ます。
10V∼24V入力の絶縁された高電圧
10V∼24Vの入力電源範囲でドライブされ
る高電圧コンデンサ・チャージャを図2に示
コンデンサ・チャージャ
LT3751は、
(バウンダリ・モード条件を検出 します。LT3751をコンデンサ・チャージャとし
する)新しい差動不連続導通モード
(DCM) て動作させるには5個の抵抗だけが必要で
コンパレータと新しい差動出力電圧(VOUT) す。出力電圧のトリップ・ポイントは、次式で
コンパレータを使った、完全に絶縁された 与えられるR9を調節することにより、50V∼
スタンドアロン型コンデンサ・チャージャとし 450Vで連続的に調節することができます。
て構成設定することができます。DCMコンパ


0.98 • N
R9 = 
レータの差動動作とVOUTコンパレータによ
 • R8
 VOUT(TRIP) + VDIODE 
内部クランプはFETをダメージから保護する り、LT3751は400Vを超える高電圧入力電
だけでなく、
ゲートに注入されるエネルギー 源で精確に動作可能です。同様に、LT3751 LT3751はプログラムされた出力電圧トリッ
量を減らします。
これによって全体の効率 のDCMコンパレータとV OUTコンパレータ プ・ポイント
(VOUT(TRIP))
に達すると、
出力コ
が改善され、
ゲート・ドライバ回路の電力消 は、低い方では4.75Vまでの入力電源で動 ンデンサの充電を停止します。充電サイクル
費が減少します。図1に示されているように、 作可能です。
これにより、
比類のない広い範 はCHARGEピンをトグルすることにより繰り
ゲート・ドライバのオーバーシュートは微小 囲の電力ソースを受け入れます。
返されます。
です。外部FETをLT3751のHVGATEピンに
近づけて配置するとオーバーシュートが減
少します。
402
90
EFFICIENCY
VDRAIN
20V/DIV
GND
GND
IPRIMARY
5A/DIV
0
IPRIMARY
5A/DIV
0
10µs/DIV
a. IOUT = 100mAのスイッチング波形
401
80
75
VOUT (V)
VDRAIN
20V/DIV
EFFICIENCY (%)
85
LOAD REGULATION
400
70
65
10µs/DIV
b. IOUT = 10mAのスイッチング波形
60
0
20
40
60
80
LOAD CURRENT (mA)
399
100
c. 効率と負荷レギュレーション
図5.高電圧レギュレータの性能
10
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
出力コンデンサの最大充電/放電レートはト
ランスの温度上昇によって制限されます。図
2のトランスの表面温度をエアフローなしで
65℃に制限するには、平均出力電力を次式
に従って ≤ 40Wにする必要があります。
VOUT AC RIPPLE
10V/DIV
IIN(AVG)
20mA/DIV
0
PAVG =
1
C
• FREQUENCY •
2 OUT
2VOUT(TRIP) • VRIPPLE – VR2IPPLE
(
に、LT3751はピーク1次電流とスイッチング・
サイクル数の両方を変調します。図4のアプ
リケーションの重負荷と軽負荷の波形をそ
れぞれ図5aと図5bに示し、動作範囲のほと
んどにわたる効率を図5cに示します。
)
2s/DIV
図6.無負荷状態の間出力を保護するLT3751
≤ 40 W
ここで、V O U T ( T R I P ) は出力トリップ 電 圧 、
V R I P P L E は出 力ノードのリップル 電 圧 、
FREQUENCYは充電/放電の頻度です。利
用可能な出力電力を増やすのに2つの手法
が使われます。
トランスを横切るエアフロー
を増やすか、
またはトランス自体のサイズを
大きくします。100ms以内に400Vまで充電さ
れる100μF出力コンデンサの充電波形と平
均入力電流を図3に示します
(R9 = 976Ω)。
10V∼24V入力から安定化された
高電圧電源
クロックは周期ごとに少なくとも1スイッチ・
サイクルを強制し、無負荷状態の間出力コ
ンデンサを過充電します。LT3751は無負荷
状態を処理して出力ノードの過充電に対
して保護します。無負荷状態の間保護する
LT3751を図6に示します。
LT3751は低電圧電源をはるかに高い電圧 抵抗をRVOUTとRBGに追加して、保護の第2
またはRVOUTとRBGをグラ
に変換するのにも使うことができます。抵抗 層を追加するか、
分割器を出力ノードからFBピンとグランド ンドに接続してそれらを省いて部品点数を
に配置すると、LT3751は電圧レギュレータと 減らすことができます。VOUTコンパレータの
して動作します。10V∼24Vの入力電源範囲 トリップ・レベルは一般に公称安定化電圧
で動作する400Vに安定化された電源を図4 より20%高く設定します。抵抗分割器がうま
くいかない場合、出力が公称値の20%上に
に示します。
上昇するとVOUTコンパレータはスイッチング
450Vより高い出力電圧では、図2のトランス LT3751はレギュレーション制御方式を使っ をディスエーブルします。
トランスと入力および出力のセラミック・
は、1次側インダクタンスがもっと高く、巻数 て、
比がもっと大きいトランスで置き換える必要 バルク・コンデンサの可聴ノイズを大きく
これは内部の26kHzクロックを
があります。
トランスの正しい設計手順に関 減らします。
しては、LT3751のデータシートを参照してく 使って1次巻線のスイッチ・サイクルを同期さ
せることにより実現されます。
クロック周期内
ださい。
危険! 高電圧技術者のみ取扱可の高電圧動作
T1*** D1
1:3
F1, 1A
C3
100µF
450V
+
R7
88.7k + 7.5k
OFF ON
VCC
C1
10µF
R2**, 9M
R3, 154k
4.7nF
Y RATED
RVOUT
FAULT
R1**
1.5M
VCC
LT3751
DONE
TO µP
VTRANS
RVTRANS
CHARGE
RDCM
CLAMP
R4, 475k
HVGATE
LVGATE
•
•
R8
137k ×3
R9
66.5k
R10*
208k
VCC
M1
FQB4N80
UVLO1
OVLO1
CSP
UVLO2
CSN
OVLO2
GND RBG
R5
1.11k
FB
+
C5
0.47µF
630V
特に注記のない限り、
全ての抵抗が0805、
1%抵抗
R11
14.7k +
17.4k
R13,20Ω
C4
220µF
550V
VOUT
500V
R12
68m
1/4W
C4: HITACHI PS22L221MSBPF
C5: TDK CKG57NX7R2J474M
T1: COILCRAFT HA4060-AL
D1,D2: VISHAY US1M
F1: BUSSMANN PCB-1-R
* R6とR10には3個の直列1206、
0.1%抵抗を使う
R6: 249k 2 + 127k
R10: 66.5k 2 + 75k
** R1とR2には2個の直列1206、
1%抵抗を使う
R1: 750k 2
R2: 4.53M 2
530
1000
520
850
CHARGE TIME (ms)
VCC
10V TO 24V
C2
2.2µF
630V
×5
R6*
625k
D2
VOUT,TRIP (V)
VTRANS
100V TO 400V DC
VOUT,TRIP
700
510
500
490
100
CHARGE TIME
200
300
INPUT VOLTAGE (V)
550
400
400
図8.入力電圧に対する絶縁されたコンデンサ・
チャージャのVOUT(TRIP)および充電時間
*** 65℃のT1周囲温度動作の
出力電力を20Wに制限
図7.100V∼400V入力、
500V出力の絶縁型コンデンサ・チャージャ
Linear Technology Magazine • March 2009
11
L デザイン特集
危険 高電圧! 高電圧技術者のみ操作可
VTRANS
100V TO 400V DC
T1*** D1
1:3
F1, 1A
+
R7
95.3k
C3
100µF
OFF ON
VCC
10V TO 24V
C1
10µF
TO µP
R6*
615k
C2
2.2µF
×5
RVTRANS
CHARGE
RDCM
CLAMP
VCC
LT3751
VTRANS
R2**, 9M
R3, 154k
VCC
R4, 475k
•
C4
100µF
•
VOUT
400V
特に注記のない限り、
全ての抵抗が0805、
1%抵抗
+
R8*
411k
C5
0.47µF
C4: CDE 380LX101M500J042
C5: TDK CKG57NX7R2J474M
T1: COILCRAFT HA4060-AL
D1,D2: VISHAY US1M
F1: BUSSMANN PCB-1-R
R9
66.5k
RVOUT
* R6とR8には3個の直列1206、
1%抵抗を使う
R6: 205k 3
R8: 137k 3
DONE
FAULT
HVGATE
LVGATE
R1**, 1.5M
D2
R13,20Ω
VCC
** R1、
R2およびR11には
2個の直列1206、
1%抵抗を使う
R1: 750k 2
R2: 4.53M 2
R11: 249k 2
M1
FQB4N80
UVLO1
OVLO1
UVLO2
OVLO2
GND RBG
*** 65℃のT1周囲温度動作の
出力電力を20Wに制限
R10
68m
¼W
CSP
CSN
R11**
499k
FB
R12
1.54k
C6
10nF
図9.100V∼400V入力、400V出力のコンデンサ・チャージャと電圧レギュレータ
OUTPUT VOLTAGE (V)
EFFICIENCY (%)
LT3751のFBピンはコンデンサ・チャージャ る充電によってコンデンサを満充電に保ち 縁を与えます。追加の磁気部品は不要です。
にも使うことができることに注意してくださ ます。
80Vを超える入力電圧では、DCMコンパ
い。LT3751はFBピンが1.225Vに達するまで
コンデンサ・チャージャとして動作します。
そ 高入力電源電圧の絶縁型コンデンサ・ レータとVOUTコンパレータに抵抗分割器を
の後、
LT3751は電圧レギュレータとして動作 チャージャ
使う必要があります(チャージャ・モードの
します。
これにより、
アプリケーションがコン 上述のように、LT3751の差動DCMコンパ み)。VOUTのトリップ・スレッショルドの精度
デンサのエネルギーを必要とするまで、
コン レータとV OUTコンパレータにより、
デバイス はR10とR11を流れる電流IQを増やすことによ
デンサは満充電に保たれます。出力抵抗分 は非常に高い入力電源電圧で精確に動作 り高められます。
ただし、R6/R7の比はR10/R11
割器は出力コンデンサからグランドへのリー することができます。図7に示されているオフ と0.1%に近い誤差で厳密にマッチさせます。
ク電流経路を形成します。出力電圧が垂下 ライン・コンデンサ・チャージャは、100V∼ 巧妙な手法として、抵抗アレイを使って望み
すると、図6に示されているように、LT3751の 400VのDC入力電圧で動作可能です。
トラン の比を実現します。0.1%の精度の比を達成
帰還回路が、低電流の小さなバーストによ スは入力電源から出力ノードへの電気的絶 するのは困難ではなく、個別の0.1%表面実
装抵抗を使うのに比べて全体のコストを下
げるこ
とができます。個々の抵抗の絶対値は
90
398
重要ではなく、R6/R7とR10/R11の比だけが重
要です。DCMコンパレータの精度はそれほ
80
ど重要ではなく、1%より大きい抵抗の変動
397
70
を許容します。
60
VIN = 100V
VIN = 250V
VIN = 400V
50
40
0
25
50
75
396
IOUT = 10mA
IOUT = 25mA
IOUT = 50mA
395
100
OUTPUT CURRENT (mA)
200
300
INPUT VOLTAGE (V)
a. 全体効率
b. ライン・レギュレーション
400
100V∼400VDC入力のコンデンサ・チャー
ジャのV OUT(TRIP)の全体的精度は、0.1%の
抵抗分割器を使うと全動作範囲にわたって
6%より良くなります。図7の回路のVOUT(TRIP)
の標準的性能と充電時間を図8に示します。
図10.高電圧の入力と出力のレギュレータの性能
12
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
危険 高電圧! 高電圧技術者のみ操作可
D2
絶縁境界
R2, 10Ω
T1
•
Npb
VTRANS
100V TO 200V DC
F1, 2A
+
R1
49.9k
1/2W
M1
C2
1µF
D1
1
1
TO µP
ALL RESISTORS ARE 0805,1% RESISTORS
UNLESS OTHERWISE NOTED
C7: 330FK400M22X38
D1: 12V ZENER
D2: MURS140
D3: P6kE200A
D4, D5: STTH112A
D6: BAT54
D7: BAS516
M1: IRF830
M2: STB11NM60FD
T1: TDK SRW24LQ-UxxH015
(Np:Ns:Npb:Nsb=1:2:0.08:0.08)
U1: PS2801-1
U2: LT4430
R9, 2.7M
VTRANS
R10, 4.3M
R11, 84.5k
VCC
R12, 442k
RVTRANS
VCC
RDCM
DONE
RVOUT
FAULT
HVGATE
LVGATE
CSP
UVLO1
OVLO1
2
Ns
•
M2
C5
0.01µF
630V
R6
40mΩ
1/4W
R16, 1k
C9
3.3µF
R13
5.11Ω
R7
475Ω
U1
C10
0.47µF
D7
VIN COMP
C8
22nF
LT4430
OC
R17
3.16k
FB
OPTO GND
VCC
1
2
U2
D6
2
1
R14
249k
R15
221k
Nsb
VCC
C7
400µF
330V
VOUT
282V
225mA
2
2
D4
1
R8
2.49k
•
+
C6
0.1µF
630V
2
R5, 210k
UVLO2
FB
Np
D5
R4, 105k
CSN
OVLO2
•
D3
LT3751
GND RBG
4.7nF
Y RATED
1
C4
1µF
250V
1 ×2
R3
210k
CHARGE
CLAMP
OFF ON
1
C1
100pF
1
C3
22µF
350V
1 ×2
R18
274Ω
2
2
1
図11.完全に絶縁された高出力電圧レギュレータ
高入力電源電圧の非絶縁型
コンデンサ・チャージャ/レギュレータ
図10bに示します。
OVLO1またはOVLO2により、
目標出力電
圧(V OUT(TRIP) )に達すると、FAULTピンが
LT3751のFBピンは高い入力電源電圧か 代わりに、抵抗をVOUTからOVLO1ピンまた フォールトを表示することに注意してくださ
らコンデンサを充電するように構成設定す はOVLO2ピンに接続することができます。
こ い。
ることも可能です。抵抗分割器を出力ノー れはVOUTコンパレータを真似て、
目標電圧
ドからFBピンに接続します。RVTRANSピンと に達すると充電を停止します。FBピンはグ 絶縁型高電圧入力/出力レギュレータ
R DCMピンの抵抗分割器は5%抵抗を許容 ランドに接続します。別の充電シーケンスを 出力ノードからFBピンに抵抗分割器を使う
し、RV(OUT)とR BGピンの全ての抵抗は除か 開始するにはCHARGEピンをトグルする必 と、
レギュレーションが可能ですが電気的
れます。
これにより、必要な部品の個数が減 要があるので、LT3751はコンデンサ・チャー 絶縁が与えられません。図11に示されている
り、許容誤差が下がり、基板面積と全体的 ジャとしてだけ動作します。図9から抵抗R12 回路のトランスに2つの補助巻線が追加さ
設計コストが減少します。出力電圧の抵抗 が省かれ、抵抗R11はVOUTから直接OVLO1 れ、FBピン、LT3751コントローラ、および帰
分割器を使うと、図9の回路は完全に機能 またはOVLO2に接続されます。R11は次式を 還抵抗分割器のオプトカプラをドライブしま
す。
する高効率電圧レギュレータでもあり、
負荷 使って計算します。
42ページに続く
レギュレーションとライン・レギュレーション
VOUT(TRIP) − 1.225
は1%より良くなります。図9の回路の効率と
R11 =
50µ A
ライン・レギュレーションをそれぞれ図10aと
VDRAIN
100V/DIV
VDRAIN
100V/DIV
GND
IPRIMARY
2A/DIV
0
GND
IPRIMARY
2A/DIV
0
20µs/DIV
20µs/DIV
a. IOUT = 225mA
b. IOUT = 7.1mA
Linear Technology Magazine • March 2009
図12.
スイッチング波形
13
L デザイン特集
電圧リファレンスの選び方
by Brendan Whelan
なぜ電圧リファレンスなのか?
世界はアナログの世界です。
全ての電子機器
は、
それらが自動車、電子レンジ、携帯電話
など何に使われていようとも、
何らかの仕方で
「現実の」世界と相互に応答する必要があり
ます。
そうするためには、
電子装置は、現実世
界の測定値
(速度、
圧力、
長さ、
温度)
を電気
の世界の測定可能な量(電圧)
に対応付け
る能力がなければなりません。
もちろん、
電圧
を測定するには、
それを規準にして測定を行
う標準が必要です。
その標準が電圧リファレ
ンスです。
どのシステム設計者の問題も、
電圧
リファレンスが必要かどうかではなく、
どの電
圧リファレンスが必要かということです。
電圧リファレンスは単純に、回路が必要とす
る限り、既知の電位を与える回路または回
路素子です。
これは、数分、数時間、
さらに数
年のことがあります。
5V
VIN
18k
LTC1286
1
2
LT1634-4.096
0.1µF
3
4
VREF
VCC
+IN
CLK
–IN
DOUT
GND CS/SHDN
8
5V
7
6
5
0.1µF
µC/µP
SERIAL
INTERFACE
図1.電圧リファレンスのADCへの標準的応用
ある製品が、
バッテリの電圧や電流、電力消
費、信号の大きさや特性、
フォールトの識別
など、現実世界についての情報を必要として
いるとすれば、対象となる信号を標準と比較
する必要があります。各コンパレータ、ADC、
DAC、
または検出回路は、
その仕事を遂行
するために電圧リファレンスを備えている必
要があります
(図1)。対象となる信号を既知
の値と比較することにより、
どんな信号でも
精確に数量化することができます。
リファレンスの仕様
電圧リファレンスは多くの形式で供給され、
異なった特長を備えていますが、
リファレン
スの主目的が既知の出力電圧を与えること
なので、結局は精度と安定性が電圧リファ
レンスの最も重要な特長となります。
この既
知の値からの変動が誤差です。電圧リファ
レンスの仕様は、以下の定義を使って、特定
の条件でのリファレンスの不確実性を通常
予測します。
表1.高性能電圧リファレンスの仕様
LT1031
Temperature Initial
Coefficient Accuracy
5ppm/°C
0.05%
IS
Architecture
VOUT
1.2mA
Buried Zener
10V
2.5V, 4.5V,
5V, 10V
Voltage
Noise*
0.6ppm
Long-Term
Drift
15ppm/kHr
Package
H
LT1019
5ppm/°C
0.05%
650µA
Bandgap
LT1027
5ppm/°C
0.05%
2.2mA
Buried Zener
5V
0.6ppm
20ppm/
month
SO-8, PDIP
LT1021
5ppm/°C
0.05%
800µA
Buried Zener
5V, 7V, 10V
0.6ppm
15ppm/kHr
SO-8, PDIP,
H
LTC6652
5ppm/°C
0.05%
350µA
Bandgap
2.1ppm
60ppm/√kHr
MSOP
LT1236
5ppm/°C
0.05%
800µA
Buried Zener
0.6ppm
20ppm/kHr
SO-8, PDIP
LT1461
3ppm/°C
0.04%
35µA
Bandgap
8ppm
60ppm/√kHr
SO-8
LT1009
15ppm/°C
0.2%
1.2mA
Bandgap
20ppm/kHr
MSOP-8,
SO-8, Z
LT1389
20ppm/°C
0.05%
700nA
Bandgap
LT1634
10ppm/°C
0.05%
7µA
Bandgap
LT1029
LM399
LTZ1000
20ppm/°C
1ppm/°C
0.05ppm/°C
0.20%
2%
4%
700µA
15mA
Bandgap
Buried Zener
Buried Zener
1.25V, 2.048V,
2.5V, 3V, 3.3V,
4.096V, 5V
5V, 10V
2.5V, 3V, 3.3V,
4.096V, 5V
2.5ppm
2.5V
1.25V, 2.5V,
4.096V, 5V
1.25V, 2.5V,
4.096V, 5V
5V
7V
7.2V
SO-8, PDIP
20ppm
SO-8
6ppm
1ppm
0.17ppm
20ppm/kHr
8ppm/√kHr
2µV/√kHr
SO-8,
MSOP-8, Z
Z
H
H
*0.1Hz–10Hz, Peak-to-Peak
14
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
与えられた温度(通常25℃)で測定された
出力電圧の相違。
温度ドリフト
この仕様は温度範囲にわたる出力電圧の変
化を示すので、電圧リファレンスの性能を評
価するのに最も広く使われています。温度ド
リフトは回路素子の不完全性および非線形
性によって生じ、
その結果多くの場合線形で
はありません。
多くのデバイスでは、ppm/℃で規定される
温度ドリフト
(TC)が支配的誤差源です。
ド
リフトに一貫性のあるデバイスでは、較正が
可能です。温度ドリフトに関する一般的な誤
解はそれが線形であるというものです。
これ
は、
「温度範囲が狭いほどデバイスは少しし
かドリフトしない」
という想定に導きます。多
くの場合、
この反対のことが真です。全温度
範囲にわたる誤差のありそうな値の理解を
与えるため、TCは一般的に
「ボックス法」
で
規定されます。
それは電圧の最小値と最大
値だけに基づいて計算された値であり、
これ
らの両極端が生じる温度は計算に入れてい
ません。
1.003
OUTPUT VOLTAGE (NORMALIZED) (V)
初期精度
1.002
10ppm/ C
全温度範囲の
「ボックス」
1.001
LT1019
CURVE
1.000
0.999
0.998
5ppm/ C
0 C TO 70 C BOX
補償されていない
「標準的」
バンドギャップの
ドリフト曲線
温度ドリフトの規定の最良の利用法は規定
温度範囲にわたる最大合計誤差を計算す
ることです。温度ドリフトの特性がよく分って
いない限り、規定されていない温度範囲に
わたる誤差を計算することは一般に推奨で
きません。
長期安定性
これは長期間にわたるリファレンス電圧の
0.997
変化傾向の尺度で、他の変数に依存しませ
50
100 125
25
75
–50 –25
0
ん。初期シフトは
(通常、
リードフレーム、
ダ
TEMPERATURE (˚C)
イおよびモールド材の膨張率の違いによる)
図2.電圧リファレンスの温度特性
機械的応力の変化によって主に生じます。
こ
対照的に、5ppm/℃として規定されたリファ の応力の影響は大きな初期シフトを生じる
レンスの温度ドリフトは非線形性によって支 傾向がありますが、時間の経過とともに急速
に減少します。初期ドリフトには、素子の原
配されます。
子レベルの特性のセトリングを含む回路素
子の電気特性の変化も含まれています。
もっ
と長期のシフトは、
「経時変化」
と呼ばれるこ
電圧リファレンスは
とが多い回路素子の電気的変化によって生
じます。
このドリフトは初期ドリフトに比べる
多くの形式で供給され、
と小さな率で生じる傾向があり、時間経過と
異なった特長を備えているが、
ともにさらに減少します。
したがって、多くの
リファレンスの主目的が既知の
場合、
ドリフト/√kHrとして規定されます。電
圧リファレンスは温度が高いほど速く経時
出力電圧を与えることなので、
変化する傾向があります。
結局は精度と安定性が電圧
リファレンスの最も重要な特長となる。
規定温度範囲にわたって非常にリニアな
熱ヒステリシス
この既知の値からの変動が
電圧リファレンスの場合、
または注意深く微
よく見過ごされるこの仕様も支配的誤差源
調整されていない電圧リファレンスの場合、
になることがあります。本来機械的なもので、
誤差である。電圧リファレンスの
ワーストケース誤差は温度範囲に比例する
サーマル・サイクルによるダイの応力変化に
仕様は、特定の条件でのリファレンスの
と仮定することができます。
これは、最大と
よって生じます。
ヒステリシスは、大きな温度
不確実性を通常予測する。
最小の出力電圧は最大と最小の動作温度
サイクルの後に特定の温度での出力電圧の
で見られる可能性が高いからです。
ただし、
変化として観察することができます。温度係
多くの場合それらの非常に低い温度ドリフ
数や時間ドリフトには依存せず、初期電圧
トによって見分けられる、非常に注意深く微 これは、図2の出力電圧と温度の特性で容 較正の効果を減らします。
調整されたリファレンスの場合、
リファレンス 易に見て取ることができます。可能性のある
の非線形性が支配的になることがあります。 代表的な2つの温度特性があることに注意 ほとんどのリファレンスは後続の温度サイク
してください。補償されていないバンドギャッ ルの間公称出力電圧の周りで変化する傾
たとえば、100ppm/℃として規定されたリファ プは放物線に見え、最小値が温度の両極 向があるので、熱ヒステリシスは通常予測可
レンスは、部品のミスマッチによるドリフトが 端に、最大値が中央にあります。
ここに示さ 能な最大値に制限されます。各メーカーは
本来の非線形性を完全に隠しているので、 れているLT1019のような温度補償されたバ このパラメータを独自の方法で規定するの
どの温度範囲でも非常に線形であるように ンドギャップはS字状の曲線に見え、温度範 で、標準値が誤解を与えやすいことがありま
見える傾向があります。
囲の中心近くで勾配が最大になります。後 す。LT1790やLTC6652などのデータシート
者の場合、全温度範囲にわたる全体的不確 で与えられている分布データは、出力電圧
実性を減らすため非線形性は強まります。
誤差を推定するのに非常に便利です。
Linear Technology Magazine • March 2009
15
L デザイン特集
5V
4.7M
VOUT
1.25V
2.6V ≤ VIN ≤ 18V
LT1389-1.25
図3.
シャント電圧リファレンス
VOUT = 2.5V
LT1790-2.5
0.1µF
1µF
図4.
シリーズ電圧リファレンス
他の仕様
抵抗に接続します。抵抗の他端は電源に接
続します。
これは本質的に3端子回路になり
ます。
リファレンスと抵抗の共有端子が出力
です。抵抗はリファレンスを流れる最小電流
と最大電流が全電源範囲および負荷電流
範囲にわたって規定範囲に入るように選択
する必要があります。電源電圧と負荷電流
が大きく変化しない限り、
これらのリファレン
スを使って設計するのは全く容易です。
どち
らか、
または両方が大きく変化する可能性
がある場合、
この変化に適応するように抵抗
リファレンスの種類
電圧リファレンスの2つの主な種類はシャ を選択する必要があり、多くの場合、回路は
ントとシリーズです。
リニアテクノロジーのシ 名目上必要な電力よりかなり大きな電力を
その意味では、
リーズとシャントの電圧リファレンスについ 消費せざるをえなくなります。
これはクラスAのアンプのように機能すると
ては、表2のリストを参照してください。
考えることができます。
アプリケーションの要件によっては重要にな
る他の仕様には以下のものがあります。
q 電圧ノイズ
q ライン・レギュレーション/PSRR
q 負荷レギュレーション
q 損失電圧
q 電源範囲
q 電源電流
シャント・リファレンス
ジーは、LT1004、LT1009、LT1389、LT1634、
LM399、
LTZ1000などのシャント製品を提供
しています。標準的シャント回路を図3に示
します。
シリーズ・リファレンス
シリーズ・リファレンスは3端子(またはそれ
以上の)
デバイスです。低損失(LDO)
レギュ
レータに似ているので、
同じ利点の多くを備
えています。特に、広い電源電圧範囲にわ
たって消費電流が比較的一定であり、負荷
が要求するときだけ負荷電流を流します。
こ
のため、電源電流や負荷電流が大きく変化
する回路に最適です。
リファレンスと電源の
間に直列抵抗が存在しないので、
負荷電流
が非常に大きな回路で特に有用です。
シンプルな リニアテクノロジーが提供するシリーズ製品
シャント・リファレンスは2端子タイプで、規 シャント・リファレンスの利点は、
定電流範囲で動作するように通常設計され 設計、小型パッケージ、および広い電流お には、LT1460、LT1790、LT1461、LT1021、
さら LT1236、LT1027、LTC6652、LT6660など
ています。
シャントの大半はバンドギャップ よび負荷条件で安定していることです。
のタイプであり、様々な電圧で供給されます に、簡単に負電圧リファレンスとして設計す が含まれ、他にも多くの製品があります。
また、外部抵抗が電圧の大 LT1021やLT1019などの製品は、
シャントま
が、
それらはツェナー・ダイオードと見なすこ ることができ、
どち
半を担うので非常に高い電源電圧で使う たはシリーズの電圧リファレンスとして、
とができ、実際同じように簡単に使えます。
シリーズ・リファレンス
ことができ、
または、出力を電源の数ミリボ らでも動作可能です。
最も一般的な回路では、
リファレンスの一方 ルト下にすることができるので非常に低い 回路を図4に示します。
リニアテクノロ
の端子をグランドに接続し、他方の端子を 電源で使うことができます。
+
7.5k
Q13
200k
Q12
Q4
240mV, +0.8mV/°C
Q3
20pF
20pF
–
+
Q11
Q1
50k
600k
Q10
300k
Q5
Q9 Q14
500k
500Ω
–
+
–
+
Q8
Q6
2.8k
60mV, +0.2mV/°C
Q1
360mV, +1.2mV/°C
Q2
135k
82.4k
575mV, –2.2mV/°C
2.5k
60k
–
図5.理論的に温度係数がゼロに設計されたバンドギャップ回路
16
VREF
1.235V, 0mV/°C
14.9k
2k
図6.200mVリファレンス回路
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
リファレンス回路
電圧リファレンスICを設計する多くの方法
があります。
それぞれ固有の長所と短所があ
ります。
表2.
リニアテクノロジーの電圧リファレンス
Type
この安定性は、注意深く作られたツェナー
素子の構造とともに、他のタイプのリファレ
ンス回路に比べて比較的少数の部品数と
ダイ面積によるものです。ただし、初期電圧
の不一致が比較的大きく、温度ドリフトが
一般的です。
これらの不完全性を補償する
ため、
または多種の出力電圧を与えるため、
追加回路を追加することができます。シャ
ントとシリーズの両方のリファレンスがツェ
ナー・ダイオードを使います。
Shunt
埋め込みツェナー・ダイオード・タイプのリ
ファレンスは比較的設計が簡単です。
ツェ
ナー(またはアバランシェ)
ダイオードの逆電
圧は予測可能で、温度変化に対して比較的
一定であり、時間経過に対しては非常に安
定しています。
これらのダイオードは多くの場
合ノイズが非常に低く、狭い温度範囲に保
つと時間経過に対して非常に安定している
ので、
リファレンス電圧の変化をできるだけ
小さくする必要のあるアプリケーションで有
用です。
Series
ツェナー・ダイオードをベースにした
リファレンス
Part
説明
LT1019
精密バンドギャップ
LT1021
精密低ノイズ埋め込みツェナー・ダイオード
LT1027
精密5V埋め込みツェナー・ダイオード
LT1031
精密低ノイズ/低ドリフト10Vツェナー・ダイオード
LT1236
精密低ノイズ埋め込みツェナー・ダイオード
LT1258
マイクロパワーLDOバンドギャップ
LT1460
マイクロパワー精密バンドギャップ
LT1461
マイクロパワー超精密バンドギャップ
LT1790
マイクロパワー低損失バンドギャップ
LT1798
マイクロパワーLDOバンドギャップ
LT6650
マイクロパワー400mV/調整可能バンドギャップ
LTC6652
精密低ノイズLDOバンドギャップ
LM129
精密6.9V埋め込みツェナー・ダイオード
LM185
マイクロパワー1.2V/2.5Vツェナー・ダイオード
LM399
精密7V温度安定化ツェナー・ダイオード
LT1004
マイクロパワー1.2V/2.5Vバンドギャップ
LT1009
精密2.5Vバンドギャップ
LT1029
5Vバンドギャップ
LT1034
マイクロパワー・デュアル
(1.2Vバンドギャップ/7Vツェナー・ダイオード)
LT1389
ナノパワー精密バンドギャップ
LT1634
マイクロパワー精密バンドギャップ
LT1021、LT1236、LT1027のようなデバイス
は、
内部電流源とアンプを使ってツェナー電
LTZ1000
超精密過熱ツェナー・ダイオード
圧と電流を安定化して安定性を増し、5V、
7V、10Vなど多種の出力電圧を与えます。
こ
の追加回路はツェナー・ダイオードを多様な 1ヶ月当り1ppmの数分の1を加えたものです。 プ)
を図5に示します。1対の整合していない
アプリケーション回路に適合しやすくします
バイポーラ接合トランジスタのVBEの差は温
が、電源の追加の空き高を必要とし、追加 バンドギャップ・リファレンス
度に比例することを示すことができます。
この
の誤差を生じる可能性があります。
ツェナー・ダイオードを使って非常に高性能 差を使って温度とともに直線的に上昇する
この電流が
のリファレンスを作ることができますが、
それ 電流を発生することができます。
代わりに、LM399とLTZ1000は内部ヒーティ らは柔軟性を欠きます。特に、7Vを超える電 抵抗とトランジスタを通してドライブされると
ング素子と追加のトランジスタを使ってツェ 源を必要とし、比較的少数の電圧しか与え き、抵抗の大きさが適切に選択されていれ
ナー・ダイオードの温度ドリフトを安定化し、 ません。対照的に、バンドギャップ・リファレ ば、
トランジスタのベース-エミッタ電圧の温
温度安定性と経時安定性の最良の組合せ ンスはわずかな電源空き高で(多くの場合 度による変化が抵抗両端の電圧の変化を
を実現します。
さらに、
これらのツェナー・ダ 100mV未満)、多種の出力電圧を発生する キャンセルします。
このキャンセルが完全に
イオードをベースにした製品はノイズが並 ことができます。
バンドギャップ・リファレンス 線形でなくても、追加回路で補償して、非常
外れて低く、可能な最良の性能を与えます。 は、非常に精密な初期出力電圧と低温度ド に低い温度ドリフトにすることができます。
LTZ1000は、0.05ppm/℃の温度ドリフト、 リフトを与えるように設計することができ、時
2μV/√kHrの長期安定性、
および1.2μVP-Pの 間のかかるアプリケーション内の較正が不 基本バンドギャップ電圧リファレンスの背後
要になります。
の数学は、
既知の温度係数を固有の抵抗比
ノイズを示します。
と組み合わせて、理論的には温度ドリフトが
たとえば、
ラボ用装置では、
ノイズおよび温度 バンドギャップ動作はバイポーラ接合トラ ゼロの電圧リファレンスを実現するという意
によるLTZ1000リファレンスの電圧の全不確 ンジスタの基 本 特 性に基づいています。 味で興味深いものです。
実性は、
わずか約1.7ppmに、
経時変化による LT3751回路の簡略回路(基本バンドギャッ
Linear Technology Magazine • March 2009
17
L デザイン特集
図5は、Q10のエミッタの面積をQ11のエミッ
タの面積の10倍にした2つのトランジスタを
示しており、Q12とQ13のコレクタ電流は等し
くしてあります。
これにより、2つのトランジス
タのベースの間には次のような既知の電圧
が生じます。
∆VBE =
VS
LT6700-1
LT6700HV-1
–INB
この電圧をベースの間に接続した50k抵抗
に加えると、温度に比例した電流が生じま
す。
この電流がダイオード
(Q14)
を、温度係
数が­2.2mV/℃の、25℃で575mVの電圧で
バイアスします。抵抗を使って正の温度係数
の電圧降下を発生し、
それがQ14ダイオード
電圧に追加され、
こうして温度係数が理論
的には0mV/℃の約1.235Vのリファレンス電
圧の電位が発生します。
これらの電圧降下
を図5に示します。回路の残りの部分がバイ
アス電流と出力ドライブを供給します。
COMP B
OUTB
+
 AREA Q10 
kT
• ln 
q
 AREA Q11 
ここで、kはJ/ケルビンで表したボルツマン定
数(1.38 10­23)、Tはケルビンで表した温
度(273+T(℃))、qはクーロンで表した電子
の電荷(1.6 10­19)
です。25℃では、kT/qの
値は25.7mVで、正の温度係数が86μV/℃で
す。ΔVBEはこの電圧にln(10)、
つまり2.3を掛
けたものであり、25℃での電圧は約60mV、
温度係数は0.2mV/℃です。
–
400mV
REFERENCE
–
VS
COMP A
OUTA
+INA
+
GND
図7.
わずか400mVのスレッショルドとの
比較を可能にするLT6700
ノイズおよび長 期 安 定 性に関してはツェ
ナー・ダイオードの方が多くの場合良い性能
を示しますが、LTC6652のような最新のバン
ドギャップ・リファレンスはピーク・トゥ・ピー
ク・ノイズが2ppmであり
(0.1Hz∼10Hz)、
そ
の差を縮めています。
フラクショナル・バンドギャップ・
リファレンス
図6はLM10のコア回路を示しており、温度
に比例する素子と反比例する素子を、通常
のバンドギャップ・リファレンスと同様の方
法で組み合わせ、
一定の200mVリファレンス
を得ています。
フラクショナル・バンドギャッ
プは通常ΔV BEを使って温度に比例する電
流を発生し、V BEを使って反比例する電流
を発生します。
これらは適切な比の抵抗素
子と組み合わされ、温度によって変化しな
い電圧を発生します。温度特性に影響を与
えることなく、抵抗の大きさを変えてリファレ
ンスの電圧を変えることができます。
これは、
フラクショナル・バンドギャップ回路は電流
を組み合わせるという意味で、従来のバンド
ギャップ回路と異なります。従来の回路は電
圧を組み合わせる傾向があります(通常は
ベース-エミッタ電圧とTCが反対のI • R)。
LM10回路のようなフラクショナル・バンド
ギャップは、部分的には減算処理にも基づ
いています。LT6650はこのタイプの400mVリ
ファレンスを備えており、
アンプと組み合わ
されています。
これにより、
アンプの利得を変
えてリファレンス電圧を変えることができ、
バッファされた出力を与えます。
この簡単な
回路を使って、0.4Vから電源電圧の数ミリ
ボルト下までのどんな出力電圧でも発生す
ることができます。
これらはバイポーラ・トランジスタの温度特
性に基づいたリファレンスですが、
出力はわ
ずか数ミリボルトのことがあります。
それらは
リニアテクノロジーは、LT1460( 小型で安 非常に低電圧の回路、特にスレッショルド
価な高精度シリーズ・リファレンス)、LT1389 が普通のバンドギャップ電圧(約1.2V)
より
(超低消費電力シャント・リファレンス)、 小さくなければならないコンパレータ・アプ
LT1461およびLTC6652( 非常に高精度の リケーションで有用です。
低ドリフト・リファレンス)
など多種のバンド
ギャップ・リファレンスを製造しています。
供給されている電圧には、1.2V、1.25V、
LT6700-3
1M
2.048V、2.5V、3.0V、3.3V、4.096V、4.5V、
COMP B
+
5Vおよび10Vが含まれています。
これらの
0.1µF
リファレンス電圧は広い電源範囲および
–
63.4k
負荷条件で供給することができ、電圧と電
+
ALKALINE
流の空き高は大きくありません。製品には、
AA CELLS +
VR = 400mV
LT1461、LT1019、LTC6652およびLT1790の
REFERENCE
ような非常に高精度のものがあり、LT1790
COMP A
–
やLT1460(SOT23)、
または2mm 2mm
DFNに収められたLT6660のような非常に小
+
さなものがあり、
さらに、800nAしか必要とし
261k
ないLT1389のような非常にローパワーのも
のがあります。
1M
1M
VBATT
1.4V (MIN)
3V (NOM)
VBATT > 1.6V
VS
VBATT > 2V
モニタは約10µA消費する
ヒステリシスは
トリップ電圧の約2%である
図8.入力電圧を分圧することによりもっと高いスレッショルドを設定
18
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
もっと統 合され たソリューションでは 、
LT6700(図7)
とLT6703が400mVリファレン
スをコンパレータと組み合わせて、電圧モニ
タまたはウィンドウ・コンパレータとして使う
ことができます。400mVリファレンスにより、
小入力信号のモニタが可能になり、モニタ
回路が簡素化され、非常に低い電源で動
作する回路素子のモニタも可能になります。
もっと大きなスレッショルドでは、簡単な抵
抗分割器を追加することができます
(図8)。
これらの製品のそれぞれはフットプリント
の小さなパッケージ
(SOT23)
で供給され、
消費電力が低く
(10μA未満)、広い電源電
圧範囲(1.4V∼18V)
で動作します。
さらに、
LT6700は2mm 3mm DFNパッケージで
供給され、LT6703は2mm 2mm DFNパッ
ケージで供給されます。
リファレンスの選択
では、
これら全てのオプションの中で、
アプリ
ケーションに適したリファレンスをどのよう
に選択するのでしょうか。
オプションの範囲
を絞るのに役立ついくつかのヒントを以下
に示します。
q 電源電圧が非常に高かければ、
シャント
を選択します。
q 電源電圧または負荷電流が大きく変化
すれば、
シリーズを選択します。
q 高い電力効率が必要ならば、
シリーズを
選択します。
q 実際の温度範囲を算定します。
リニアテ
クノロジーは、0℃∼70℃、­40℃∼85℃
および­40℃∼125℃などの様々な温度
範囲での仕様と動作を保証します。
q 必要な精度について現実的に判断しま
す。
アプリケーションによって要求される
高精度を理解することが重要です。
これ
は、重要な仕様を識別するのに役立ちま
す。要件を念頭に置いて、温度ドリフトに
指定された温度範囲を掛けます。初期
精度の誤差、熱ヒステリシス、および目
的の製品寿命にわたる長期ドリフトを加
えます。製造時に較正される、
または定
期的に再較正される項を除きます。
これ
により、合計精度のアイデアが得られま
す。最も要求の厳しいアプリケーション
では、
ノイズ、
ライン・レギュレーションと
負荷レギュレーションの誤差も加えるこ
Linear Technology Magazine • March 2009
とができます。一例として、初期精度の誤
差が0.1%(1000ppm)、­40℃∼85℃の
温度ドリフトが25ppm/℃、熱ヒステリシス
が200ppm、
ピーク・トゥ・ピーク・ノイズが
2ppmおよび経時ドリフトが50ppm/√kHr
のリファレンスは、回路製造時点の合計
不確実性が4300ppmを超えるでしょう。
こ
の不確実性は回路に給電してから最初
の1000時間に50ppm増加します。初期精
度は較正して、誤差を3300ppm+50ppm •
√(t/1000hours)に減らすことができます。
リニアテクノロジーは多種の
電圧リファレンス製品を提供している。
これらには、ツェナー・ダイオード、
バンドギャップ、その他の方式を使った、
シリーズとシャントの両方の
リファレンスが含まれている。
リファレンスは、多数の性能グレード
および温度グレードで、考えうる
ほとんど全てのパッケージ・タイプで
供給される。
q 実際の電源範囲は?最大予測電源電圧
はどれほどか?リファレンスICが耐える必
要がある、
バッテリの負荷ダンプや、
ホット
スワップによる誘導性電源スパイクなどの
フォールト状態があるか?これにより、現
実的な選択肢の数が大きく減ることがあ
ります。
q リファレンスはどれだけの電力を消費で
きるか?リファレンスはいくつかのカテゴ
リーに分かれる傾向があります。1mA以
上、約500μA、<300μA、<50μA、<10μA、
<1μA
q 負荷電流はどれくらいか?負荷はかなり
の電流を流すか、
またはリファレンスがシ
ンクする必要のある電流を発生するか?
多くのリファレンスは小さな電流しか負荷
に与えることができず、大きな電流を吸収
できるものはほとんどありません。負荷レ
ギュレーションの仕様が良い目安になり
ます。
q どれだけの空間があるか?リファレンス
は、
メタルキャン、
プラスチック・パッケージ
(DIP、SOIC、SOT)および非常に小さい
パッケージ
(2mm 2mm DFNのLT6660
など)
を含む多種のパッケージで供給さ
れます。大きなパッケージ・サイズのリファ
レンスは小さなパッケージに比べて機械
的応力による誤差が小さいという広く信
じられている見解があります。
リファレン
スによっては大きなパッケージの方が性
能が良いことがあるのは事実ですが、性
能の差はパッケージのサイズと直接には
ほとんど関係がないということを示唆する
証拠があります。小さなパッケージで供給
される製品には小さいダイが使われるの
で、回路をダイに詰め込むため性能をい
くらかトレードオフせざるをえなかった可
能性の方が高いでしょう。通常、実際の
パッケージより、パッケージの実装方法
が大きな性能の差を生じます。実装方法
と位置に注意を払うと性能が最大化され
ることがあります。
また、
フットプリントが大
きなデバイスに比べて、
フットプリントが小
さなデバイスはPCBが曲げられるとき加
わる応力が減少します。
これについては、
リニアテクノロジーから入手できるアプリ
ケーションノート82「 電圧リファレンスの
理解と応用」
で詳細に説明されています。
まとめ
リニアテクノロジーは多種の電圧リファレン
ス製品を提供しています。
これらには、
ツェ
ナー・ダイオード、
バンドギャップ、
その他のタ
イプを使って設計された、
シリーズとシャン
トの両方のリファレンスが含まれています。
リ
ファレンスは、多数の性能グレードおよび温
度グレードで、考えうるほとんど全てのパッ
ケージ・タイプで供給されます。製品には
入手可能な最高精度のものから安価な代
替品まで多種類あります。電圧リファレンス
製品の広大な品揃えにより、
リニアテクノロ
ジーの電圧リファレンスはほとんどどんなア
プリケーションのニーズをも満たします。
www.linear-tech.co.jpから入手できるアプリ
ケーションノート82「 電圧リファレンスの理
解と応用」
も参照してください。L
19
L デザイン特集
プログラム可能な出力電流制限によって
電源のサイズとコストを削減する
1.2Aモノリシック降圧レギュレータ
by Tom Sheehan
はじめに
電源は多くの場合、仕事に対して過剰に資
格付与されています。
これは、多くの場合、電
源ICがデバイスの出力電流定格の2倍を超
える電流制限を規定しているからです。ICが
供給可能な最大電流を負荷が通常動作時
に流すことはありそうにないとしても、電源部
品はその最大電流を扱えるサイズにします。
部品は必要以上に大きく高価になります。
ただし、代わりの方策があります。実際の負
荷が分ったら、電源の最大出力電流を精確
に設定します。最大出力電流を精確に設定
すると、
レギュレータの電力経路の部品に必
要な電流定格が減少するので、大きく高価
な部品を小さく安価な部品で置き換えられ
ます。
レギュレータの最大出力の制限は電
源と負荷の両方の最大電力損失を制限す
るので、局所的過熱の可能性を減らします。
出力電流のモニタと制御は、苛酷な過負荷
や短絡状態を耐えることができる堅牢なソ
リューションにも役立ちます。
LT3653とLT3663はモノリシック降圧スイッ
チング・レギュレータで、400mA∼1.2Aにプ
ログラム可能な高精度の出力電流制限を
備えています。LT3663は汎用の高電圧降
圧レギュレータです。LT3653はリニアテク
ノロジーのBat-Track ™の能力を備えたバッ
テリ・チャージャおよびパワー・マネージメ
ントIC(PMIC)
と一緒に使用するように設
計されています。30V(LT3653)
または36V
(LT3663)
の最大入力電圧および60Vの過
C3
0.1µF
10V
BOOST
HIGH VOLTAGE INPUT
7.5V TO 30V
TRANSIENT
TO 60V
VIN
C1
4.7µF
50V
R1
27.4k
USB
WALL
ADAPTER
C4
10µF
6.3V
R4
6.04k
TO µC
TO µC
C5
0.1µF
ILIM
VBUS
SW
LT3653
VC
GND
VC
OVGATE
D1
ISENSE
HVOK VOUT
WALL
LTC4098
L2
3.3µH
SW
R2
3.01k
SYSTEM
LOAD
C2
22µF
6.3V
VOUT
IDGATE
OVSENS
D0–D2
CHRG
NTC
CLPROG
L1
4.7µH
M1
(OPTIONAL)
BAT
PROG
BATSENS
GND
SINGLE-CELL
Li-Ion
R3
1k
L1 = TDK, VLCF5020T-4R7NIR7-1
L2 = COILCRAFT, LPS4018-332MLC
M1 = VISHAY, Si 2333DS
D1 = DIODES INC., DFLS240
NTCバッテリ温度条件や減少した理想ダイオードの
インピーダンスの設定の詳細に関しては、
LTC4098のデータシートを参照。
渡を乗り切る能力は、車載、産業用、分配電
源およびACアダプタのアプリケーションに
十分適しています。
プログラム可能な出力電流制限
モノリシック・スイッチング・レギュレータは、
一般にピーク・スイッチ電流を制限して、過
負荷または短絡発生時に内部スイッチが
損傷を受けないように保護します。最大ス
イッチ・ピーク電流制限は一般にデバイスの
最大出力電流定格の2倍を超えます。
ピー
ク・スイッチ電流制限はICへのオーバース
トレスを防ぎますが、過負荷状態の間アプ
リケーション全体を過熱から防ぎはしませ
ん。たとえば、出力電流定格が1Aのレギュ
レータは、一般に2Aを超える出力を供給す
る能力があります。
出力の過負荷状態の間、
レギュレータの電力損失が倍以上になるこ
とがあり、熱管理がさらに困難になります。
LT3653とLT3663は、
プログラム可能な高精
度電流制限によってアプリケーション全体
の電力損失を制御することにより、局所的
ホットスポットを減らします。
ゆとりを持たせた設計原則はワーストケー
スの電流に対して定格が定められた電力
経路の部品を要求します。1Aデバイスが2A
を供給可能な上の例では、出力の短絡や
過負荷の間インダクタやダイオードは最大
2Aを流すことができるので、電力経路の部
品は2Aを超える定格が必要です。対照的
に、LT3653とLT3663のアプリケーションの
PowerPath部品はプログラムされた最大出
力電流制限に基づいてサイズが決められま
す。
したがって、750mAの出力電流制限のア
プリケーションでは、定格が750mAの部品
しか必要としません。
図1.USB入力または高電圧入力からの1セル・リチウムイオン・バッテリの充電。
このソリューションは、
リチウムイオン・バッテリ駆動アプリケーションのデュアル入力充電およびPowerPath™制御の、
シームレスな、効率の高い、
デバイス数の少ない手法を与える。
もっと多くのシステム電源のために
さらに集積化が必要ならば、LT3653を同様な手法でLTC3576 PMICと一緒に使うことができる。
20
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
これにより、小さな、低コストのデバイスを使
うことができ、
アプリケーション全体のフット
プリントを小さくすることができます。
出力電流制限は平均インダクタ電流のモニ
タと制御によって実現されます。過電流が
発生すると、
レギュレータはパワースイッチ
をディスエーブルします。
この堅牢なソリュー
ションは入力の全範囲で短絡と過負荷状態
に耐えます。
Bat-Trackバッテリ・チャージャと
相性の良いLT3653
LT3653は1.5MHz固定周波数、電流モード
制御の降圧レギュレータで、
リニアテクノロ
ジーのBat-Trackの能力を備えたバッテリ・
チャージャPowerPathパワー・マネージャと
一緒に使用するように設計されています。
LT3653は高電圧入力を降圧してシステム負
荷に給電し、1セル・リチウムイオン・バッテ
リ・チャージャを充電します。
リニア・バッテリ・チャージャ両端の電圧を
最小にすると効率が上がります。
これを達
成するには、Bat-Trackバッテリ・チャージャ
がLT3653のVCピンを制御して誤差アンプ
をオーバーライドします。このようにして、
LT3653の出力電圧は、
バッテリ・チャージャ
によって、バッテリ電圧のわずか上の電位
(標準300mV)
に安定化されます。
VIN
BOOST
VIN
2.2µF
0.1µF
LT3663
SW
ON OFF
DIODES,
INC.
DFLS240
RUN
6.8µH
ISENSE
ILIM
VOUT
28.7k
VOUT
59k
5
4
3
2
1
0
36Vの入力を直接受け入れるLT3663
LT3663は1.5MHz固定周波数、電流モード
制御の汎用モノリシック・スイッチング・レ
図2.LT3663の1.2Aの出力電流制限
ギュレータで、車載バッテリ、産業用電源、
分配電源およびACアダプタに適しています。
入力過電圧保護によりLT3653は60Vの入 LT3663には、低電流シャットダウン・モード、
およ
力過渡を処理することができます。HVOKピ 入力過電圧および低電圧ロックアウト、
ンは、内部バイアス電源が存在し、
フォール びサーマル・シャットダウンが備わっていま
ト
(つまり、過温度および入力の過電圧や す。LT3663は露出パッド付き8ピン2mm
低電圧)が生じていないことを表示します。 3mm DFNパッケージで供給されます。露出
LT3653には内部補償および内部昇圧ダイ パッド付き8ピンMSOPパッケージのものも
オードが備わっており、外部部品の数を最 間もなく供給されます。
小に抑えます。LT3653は露出パッド付き8ピ
スーパーキャパシタや他のエネ
ン2mm 3mm DFNパッケージで供給され LT3663は、
ルギー貯蔵デバイスを充電する定電流、定
ます。
電圧(CC/CV)のソースとしても機能するこ
とができます。
デバイスは、
コンデンサがプロ
USB入力または高電圧入力からの
プログ
1セル・リチウムイオン・バッテリの充電 グラムされた出力電圧に達するまで、
USB入力または高電圧入力から1セル・リ ラムされた電流制限の定電流モードで動作
チウムイオン・バッテリを充電するLT3653と します。次いで定電圧モードで動作してその
LTC4098のアプリケーションを図1に示しま 電圧を維持します。
す。
このソリューションは、
リチウムイオン・
バッテリ駆動アプリケーションのデュアル入 LT3663の1.2Aの出力電流制限を図2に示
レギュ
力充電およびPowerPath制御の、
シームレス します。1.2Aより下の出力電流では、
な、効率の高い、
デバイス数の少ない手法を レータは定電圧モードです。出力電流が
与えます。
もっと多くのシステム電源のため 1.2Aまで増加すると、定電流モードに入りま
にさらに統合が必要であれば、LT3653を同 す。公称VOUTから0Vまで出力電流は1.2Aに
様な手法でLTC3576 PMICと一緒に使うこ 保たれます。
とができます。
1.2A出力電流制限付き7.5V∼36Vから
高 電 圧 入力が 与えられると、LT 3 6 5 3の 5Vの降圧レギュレータ
HVOKピンはLTC4098に電力を供給する 7.5V∼36Vの入力から5V/1.2Aを発生する
能力があることを知らせます。LTC4098は LT3663のアプリケーションを図3に示しま
LT3653のVCピンの制御を引き継ぎ、
出力電 す。
29ページに続く
圧をバッテリ電圧のすぐ上に安定化します。
このBat-Track機能はバッテリ・チャージャ
の効率を最適化します。
0
0.2
0.4 0.6 0.8
1
OUTPUT CURRENT (A)
1.2
1.4
22µF
FB
GND
RILIM = 28.7k
OUTPUT VOLTAGE (V)
製品開発の早い段階では、
システム設計者
は負荷がどれだけの電流を流すのか通常知
りません。一旦電源が選択されると、変更は
難しくなります。
ただし、LT3653とLT3663の
プログラム可能な電流制限を使えば、負荷
の特性が十分評価された後、安価な1%抵
抗を変えることによって出力電流制限を変
更することができます。
ドロップアウト状態に入るにつれて充電電
流が減少します。
システム負荷が増加し続け
ると、
バッテリ充電電流は最初ゼロまで減少
し、次いで方向を反転して電力をシステム負
荷に供給し、LT3653を補います。
これらの動
作モード間の遷移はシステム負荷にとって
シームレスです。LT3653レギュレータの出力
電流はプログラムされた出力電流リミットを
決して超えません。
6
11k
図3.7.5V∼36Vの入力から5V/1.2Aを発生する
LT3663のアプリケーション。
この入力は60Vの
過渡を処理する能力があります。
Linear Technology Magazine • March 2009
高電圧入力が存在すると、
それがバッテリ
充電電流とシステム負荷電流を供給します。
合計電流がLT3653のプログラムされた電流
リミットを超えて増加すると、
レギュレータの
出力電圧が減少し、バッテリ・チャージャが
21
L デザイン特集
静止電流がわずか8.5μAの
キープアライブ回路向け
昇圧コンバータ
by Xiaohua Su
はじめに
産業用リモート・モニタ・システムおよびキー
プアライブ回路は、大半の時間をアイドル状
態で過ごします。
これらのシステムの多くは
バッテリを使うので、稼動時間を最大にする
ため、低消費電力のアイドル・モードの間で
さえ電力損失を最小に抑える必要がありま
す。無負荷でも、
キープアライブ回路のため
の安定化電圧を発生するために電源はいく
らかの電流を流します。
を持っています。
このため、LT8410/-1は無
負荷でレギュレーション状態のとき非常
にわずかの電力しか消費しません。実際、
LT8410/-1は、30μAの平均入力電流で、
3.6V入力から無負荷の16V出力を安定化す
ることができます。無負荷でレギュレーショ
ン状 態の標 準 的 静 止 電 流と入力電 流を
図2、図3および図4に示します。
LT8410/-1はピーク・インダクタ電流とスイッ
チのオフ時間の両方を変えることによって電
力供給を制御します。
この制御方式により、
広い負荷範囲にわたって低出力電圧リップ
ルと高効率を達成します。図5に示されてい
るように、小さな0.1μFの出力コンデンサでさ
デ
図1に示されているように、昇圧コンバータ え、出力リップルは標準10mV以下です。
シャッ
全体が占めるスペースは非常にわずかです。 バイスは出力切断機能も備えており、
トダウン時に出力電圧を入力から切断しま
す。
この出力切断回路は最大出力電流制限
出力切断付き、超低静止電流の
も設定するので、
デバイスは出力の短絡を乗
低ノイズ昇圧コンバータ
マイクロパワー昇圧コンバータが無負荷で り切ることができます。
レギュレーション状態のとき、入力電流は
主に
(レギュレーションを維持するのに必要 高インピーダンス・バッテリに
な)静止電流と出力帰還抵抗値の2つの要 最適な選択
内部インピーダンスの高
素に依存します。
出力電圧が高いとき、
出力 コイン型電池など、
帰還抵抗はICの静止電流より多くの電力を い電源は電圧計では正常な出力電圧を示
簡単に消費することがあります。LT8410/-1 していても、重い電流需要では電圧が低落
の静止電流はわずか8.5μAであり、内蔵 することがあります。
帰還抵抗は非常に高い値(12.4M/0.4M)
LT8410/-1 DC/DC昇圧コンバータは超低
静止電流と高い値の内蔵帰還抵抗を特長
にしており、電子装置がアイドル状態のとき
バッテリからの電流を最小に抑えます。
このため、スイッチ電流が高いDC/DCコン
バータには適合しなくなります。LT8410/-1は
パワースイッチとショットキー・ダイオードを
内蔵しており、
スイッチ電流制限は非常に低
く、LT8410では25mA、LT8410-1では8mAで
す。
この低いスイッチ電流により、LT8410/-1
は、突入電流の問題を生じることなく、
コイ
ン型電池のような高インピーダンスのソース
で非常に効率的に動作することができます。
電解コンデンサを充電するLT8410-1を図6
に示します。追加の外部回路なしに、充電サ
イクル全体の入力電流は8mA以下です。
12
10
1000
8
6
4
2
AVERAGE INPUT CURRENT (µA)
10
QUIESCENT CURRENT (µA)
QUIESCENT CURRENT (µA)
図1.小型基板のレイアウトを
しやすくするように設計されたLT8410/-1
8
6
4
2
VCC = 3.6V
100
VCC = 3.6V
0
– 40
0
40
80
TEMPERATURE (°C)
120
図2.静止電流と温度(スイッチングなし)
22
0
0
4
8
12
VCC VOLTAGE (V)
16
図3.静止電流とVCC電圧(スイッチングなし)
10
0
10
20
30
OUTPUT VOLTAGE (V)
40
図4.無負荷でレギュレーション状態の
平均入力電流
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
2.2µF
0.1µF
SW
CAP
VCC
VOUT
VOUT = 16V
0.1µF*
LT8410
VREF
SHDN
CHIP
ENABLE
604K
GND
0.1µF
FBP
構成設定のターンオン電圧は次のようにな
ります。
412K
*VINが5Vより高いときはもっと大きな
値のコンデンサが必要である

R1 
1.30 •  1 + 
 R2 
100
10
VIN = 3.6V
6
4
2
0
0.01
VIN = 12V
90
8
EFFICIENCY (%)
VOUT PEAK-TO-PEAK RIPPLE (mV)
少します。
デバイスがオンしていてSHDNピ
ンの電圧が1.3Vに近いとき、0.1μAの電流
がSHDNピンから流れ出します。
プログラム
可能なイネーブル電圧は、図7に示されてい
るように外部抵抗を接続することによって
設定することができます。
100µH
VIN
2.5V to 16V
また、
ターンオフ電圧は次のとおりです。
VIN = 5V
80
VIN = 3.6V

R1 
(1.24 − R3 • 10 −7 ) •  1 +  − (R1• 10 −7 )
 R2 
70
60
ここで、R1、R2およびR3はΩを単位とする抵
抗です。
ターンオン/ターンオフ電圧のプログ
ラミングは、
エネルギー収穫アプリケーショ
ンのような、
ソース・インピーダンスの高い
電源が使われるアプリケーションでは特に
有用です。
50
0.1
1
LOAD CURRENT (mA)
40
0.01
10
0.1
1
10
LOAD CURRENT (mA)
100
図5.広い入力電圧と低出力電圧リップルの汎用バイアス
外部コンデンサ(標準47nF∼220nF)を
LT8410/-1アプリケーションを実装するのに VREFピンに接続することにより、
ソフトスター
要する基板スペースがいかに小さいかが示 ト機能を実装することができます。
されています。
29ページに続く
小型セラミック・コンデンサを使った
小さなフットプリント
小型8ピン2mm 2mm DFNパッケージで
供給されるLT8410/-1は内部補償されてお
り、広い範囲の出力コンデンサで安定しま SHDNピンのコンパレータと
す。
ほとんどのアプリケーションでは、0.1μF ソフトスタート・リセット機能
の出力コンデンサと1μFの入力コンデンサ 内部コンパレータがSHDNピンの電圧を
を使えば十分です。V REFピンのオプション 1.3V内部電圧リファレンスと比較して、精密
の0.1μFコンデンサによりソフト・スタート機 なターンオン電圧レベルをデバイスに与え
能が実現されます。パッケージ・サイズが小 ます。SHDNピンはプログラム可能なヒステ
ノイズを除去し、低速
さく、小型セラミック・コンデンサを使える リシスを内蔵しており、
ので、LT8410/-1はほとんどどこにでも収ま で変化する入力電圧に耐えます。SHDNピ
ります。図4に示されている回路に似た回路 ンを0.3Vより下にドライブするとデバイスが
のサイズを図1に示します。全機能を備えた シャットダウンし、入力電流が1μA以下に減
VIN
2.5V to 16V
イネーブル電圧
R1
R3
SHDNピンに
接続する
R2
図7.外部抵抗の使用による
イネーブル電圧のプログラミング
L1
220µH
C1
2.2µF
TURN ON/OFF
SW
CAP
VCC
VOUT
LT8410-1
VREF
SHDN
GND
FBP
C2
1.0µF
C3
10000µF
R1
604k
R2
412k
C1: 2.2µF, 16V, X5R, 0603
C2: 1.0µF, 25V, X5R, 0603*
C3: 10000µF, Electrolytic Capacitor
C4: 0.1µF, 16V, X7R, 0402
L1: COILCRAFT LPS3008-224ML
SHDN VOLTAGE
2V/DIV
C4
0.1µF
VOUT = 16V
VOUT VOLTAGE
10V/DIV
INPUT CURRENT
5mA/DIV
INDUCTOR
CURRENT
10mA/DIV
VIN = 3.6V
20s/DIV
* VINが12Vより高いときC2には
もっと大きな容量値が必要である
図6.LT8410-1を使ったコンデンサ・チャージャと充電波形
Linear Technology Magazine • March 2009
23
L デザイン特集
3.6V∼36Vを受け入れ、
パワーオン・リセットと
ウォッチドッグ・タイマを3mm 3mm QFNに
収めた産業用/車載用降圧レギュレータ
by Ramanjot Singh
はじめに
車載や産業用アプリケーションに使われる
マイクロプロセッサの個数が増加し続けて
いますが、
それに伴い、広い入力電圧範囲
で動作可能で、高電圧過渡や出力の短絡
に耐える堅牢な降圧レギュレータのニーズ
も拡大し続けています。
マイクロプロセッサ
をベースにしたアプリケーションは、
システム
の高い信頼性を確保するため、
パワーオン・
リセット
(POR)やウォッチドッグ・タイミング
などの管理機能も必要とします。
レギュレー
タはバッテリの寿命を延ばすため軽負荷で
高い効率を必要とします。LT3689はこれら
全ての機能を小型16ピン3mm 3mm QFN
および16ピンMSOPパッケージで提供しま
す。
周波数を外部クロック信号に同期させるこ の暴走状況に直面したLT3689を保護しま
サイクルごとの
ともできます。外部抵抗分割器により、
デバ す。周波数フォールドバック、
サーマル・シャットダウンなど他
イスの0.8Vのリファレンスより高い任意の値 電流制限、
に出力電圧が設定されます。
また、昇圧ダイ の保護機能が一体になって、起動時、過負
オードはデバイスに内蔵されているので、
ソ 荷または短絡時に過度のスイッチング電流
リューションのサイズとコストが最小に抑え によってデバイスが損傷を受けないようにし
られます。LT3689の標準的な応用例を図1 ます。
に示します。
ソフトスタートと出力短絡に
対する保護
ピンで選択可能な動作モード:
低リップルBurst Mode動作と
パルス・スキップ・モード
LT3689にはソフトスタート機能が組み込ま SYNCピンによって2つの動作モードを選
れており、起動時およびフォールト状態から 択することができます。SYNCピンにロジッ
の回復時に最大突入電流を制限します。
ソ ク L を与えると低リップルBurst Mode®動
出力電圧リップルを低
フトスタート回路は約150μsでピーク・スイッ 作がイネーブルされ、
チ電流リミットをランプさせ、
ピーク入力電 く抑えたまま軽負荷で高い効率を維持しま
す。Burst Mode動作では、LT3689は1サイク
流を減らします。
LT3689降圧レギュレータの特長
ルのバースト電流を出力コンデンサに供給
LT3689は固定周波数の電流モード・アーキ
スリープ期間がそれに続きます。
バースト
テクチャを採用しており、800mAの連続出力 DAピンはキャッチ・ダイオードの電流をモニ し、
電流を供給します。
デバイスは3.6V∼36Vの タするのに使われます。
スイッチ・サイクルの とバーストの間には、出力スイッチの制御に
広い入力範囲で動作し、最大60Vの入力過 終了時にキャッチ・ダイオードの電流がDA 関連した全ての回路がシャットダウンし、標
渡に対して自己を保護することができます。 電流リミットより高いと、デバイスはキャッ 準的アプリケーションではVINピンとOUTピ
内部で補償されているので、外部の部品数 チ・ダイオードの電流がDA電流リミットより ンの電流がそれぞれわずか50μAと75μAに
を減らすのに役立ちます。抵抗をRTピンか 下に下がるまでスイッチのターンオンを遅ら 減少します。負荷電流が無負荷状態に減少
するにつれ、
スリープ時間の割合が増加す
らグランドに接続してスイッチング周波数を せます。
るので、平均入力電流が減少します。
350kHz∼2.2MHzのどこにでも設定するこ
インダクタの
とができるので、設計者は部品のサイズと効 これは、特に、入力電圧が高く、
スイッチング周波数が高いとき、 SYNCにロジック H を与えるとBurst Mode
率を最適化することができます。
ノイズに敏 値が小さく、
感なアプリケーションのため、
スイッチング 出力過負荷または短絡時にインダクタ電流 動作がディスエーブルされるので、
デバイス
は軽負荷でパルス・スキップすることができ
VIN
ます。Burst Modeに比べてこのパルス・スキッ
4.5V TO 36V
2.2µF
VIN
EN/UVLO
TRANSIENT TO 60V
OUT
プ・モードの利点は、デバイスが非常に低
BST
い負荷電流まで(標準的アプリケーション
0.1µF
12µH
µP
3.3V
WDI
I/O
SW
800mA
では12VINで15mA以上)、
プログラムされた
MBRM140
10pF
LT3689
I/O
WDO
(RTで設定された)周波数でスイッチングを
RESET
RST
DA
316k
続けることです。
FB
CWDT
10nF
tWDU = 182ms
tWDL = 5.9ms
CWDT
CPOR
68nF
tRST = 157ms
CPOR
GND
RT
SYNC
21k
100k
22µF
fSW = 700kHz
図1.
リセット時間を157msに設定し、
ウォッチドッグ・
タイムアウト時間を182msに設定したLT3689の標準的応用回路
24
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
プログラム可能な低電圧ロックアウト
EN/UVLOピンを0.3Vより下に引き下げるこ
とによって、LT3689をシャットダウンするこ
とができます。シャットダウンでは、消費電
流は0.5μA以下です。EN/UVLOピンは、高
精度低電圧ロックアウト
(UVLO)機能を行
うのに使うこともできます。EN/UVLOピンの
1.26Vの高精度スレッショルドを使って回路
のUVLOスレッショルドをプログラムするの
に、V INピンから接続した抵抗を使うことが
できます。
このピンには4μAの電流ヒステリシ
スも与えられているので、
ユーザーは望みの
電圧ヒステリシスをプログラムすることがで
きます。LT3689は内部UVLOも備えており、
VINピンが3.3V(標準)
より下になることがあ
れば、
デバイスがスイッチングしないようにし
ます。V INが3.4Vより高くなり、EN/UVLOピ
ンが1.26Vのスレッショルドより高くなってよ
うやくデバイスはスイッチングを開始します。
低損失
コンパレータをトリップさせるのに必要な標
スイッチング・レギュレータから給電される、 準的過渡時間とコンパレータの(トリップ・
マイクロプロセッサをベースにした多くのア スレッショルドのパーセンテージとしての)
プリケーションは、
マイクロプロセッサが動 オーバードライブを図3に示します。
作を開始する前に、いつレギュレータの出
力の準備が整って安定したかを知る必要 リセット・タイミング・コンデンサの選択
があります。同様に、動作開始後、過負荷 リセット・タイムアウト時間は、多様なマイク
やシャットダウン状態など、
レギュレータの ロプロセッサのアプリケーションに対応す
出力が最小許容スレッショルドより下に下 るため可変です。
リセット・タイムアウト時間
がったら、電子システムは警告を受ける必要 (t RST)
は、
コンデンサをC PORピンとグランド
があります。
これは、不安定動作を防ぎ、電 の間に接続して調整します。
このコンデンサ
力が完全に失われる前にマイクロプロセッ の値は次式で定まります。
サがハウスキーピング動作を行えるようにす
CPOR = tRST • 432 • 10­9
るために必要です。
C PORの単位はファラッド、t RSTの単位は秒
LT3689の高精度内部電圧リファレンスとグ です。1ミリ秒の遅延当たりのC PORの値は
リッチ耐性のある高精度PORコンパレータ CPOR/ms = 432 (pF/ms) としても表せます。
およびタイマ回路は、
マイクロプロセッサを
ベースにしたアプリケーションのこれらの特 CPORピンを未接続のままにしておくと、10kΩ
定のニーズを満たします。RSTピンが H に のプルアップをRSTピンから5Vに接続した
留まるためには、
スイッチャの出力電圧はプ 状態で約25μsの最小リセット・タイムアウト
ログラムされた値の90%より上でなければ を発生します。最大リセット・タイムアウトは
なりません(図3を参照)。パワーアップ、パ 入手できる最大の低リーク・コンデンサに
ワーダウンおよびブラウンアウト状態の間、 よって制限されます。
タイムアウト時間の精
LT3689はRSTをアサートします。出力電圧 度は、
コンデンサのリーク
(公称充電電流は
がRSTスレッショルドを超えて上昇すると、 2μA)
とコンデンサの許容誤差の影響を受け
調節可能なリセット・タイマが起動し、
リセッ ます。低リークのセラミック・コンデンサを推
ト・タイムアウト時間が経過するとRSTがリ 奨します。
リースされます。
パワーダウンのとき、
出力電
圧がRSTスレッショルドより下に下がると、 ウォッチドッグ・モード:タイムアウト
RSTはロジック L に保たれます。
リセット・タ またはウィンドウ
イマは外部コンデンサを使って調節可能で LT3689は調節可能なウォッチドッグ・タイマ
す。RSTピンにはOUTピンに接続された弱い も備えており、
マイクロプロセッサの動作を
プルアップが備わっています。
モニタします。μPでコードの実行エラーが生
じると、
ウォッチドッグがエラーを検知して
PORコンパレータは誤ったトリガを防ぐよう WDOピンを L にセットします。
この信号を
に設計されています。FBピンの高周波ノイズ 使ってルーチンに割り込むか、
またはμPをリ
は、特にモニタされる出力が既にリセット・ セットすることができます。
スレッショルドに近いと、誤ってRSTをトリッ
プすることがあります。
これはRSTピンに発
800
振現象を引き起こすことがあります。
この問
700
題を解決する従来の方法はコンパレータの
600
入力にいくらかのDCヒステリシスを追加す
500
ることです。
これにより、出力がフリップする
RESET OCCURS
ABOVE THE CURVE
400
とスレッショルド・ポイントが変化します。問
題は、DCヒステリシスを追加すると、
出力の
300
変化によりトリップ・ポイントが変化するの
200
で、
トリップ電圧の精度が下がることです。
100
LT3689はヒステリシスを使いません。代わ
0
りに、
コンパレータのところの過渡事象に対
0.10
1.00
10.00
100.00
OVERDRIVE VOLTAGE AS PERCENTAGE
して積分に似た処理をします。
このように、 POR COMPARATOR
OF RESET THRESHOLD, VRST (%)
事象の大きさと持続時間の両方が、
コンパ
図3.標準的過渡持続時間と
PORコンパレータのオーバードライブ
レータのスレッショルドにとって重要です。
TRANSIENT DURATION (µs)
3Vより高い出力電圧では、LT3689は低損失
です。
デバイスの最小動作電圧はLT3689の
内部低電圧ロックアウトまたは最大デュー
ティ・サイクルのどちらかによって決まりま
す。多くの降 圧レギュレータとは異なり、
LT3689は、昇圧コンデンサが2.5Vの最小
電圧より上に充電されている限り、複数サイ
クルの間オン状態に留まってデューティ・サ
イクルを拡張することができます。結局は、
数スイッチング・サイクル後、昇圧コンデン
サは放電します。内部回路がこの状態を検
出し、必要なときだけ昇圧コンデンサを充
電します。
また、大きな昇圧コンデンサは高
いデューティ・サイクルを可能にするので、
非常に低損失な動作が可能になります。
5Vの標準的アプリケーションの損失電圧
は、200mA負荷で約400mV、800mA負荷で
900mVです。
パワーオン・リセット
(POR)
VOUT
2V/DIV
RST
2V/DIV
tRST = 165ms
CPOR = 71.3nF
CPOR
1V/DIV
50ms/DIV
図2.LT3689のパワーオン・リセット機能
Linear Technology Magazine • March 2009
25
L デザイン特集
ウォッチドッグはタイムアウト・モードまたは
ウィンドウ・モードのどちらかで動作します
(図4を参照)。
タイムアウト・モードでは、
マ
イクロプロセッサはウォッチドッグ・タイマの
時間が経過する前にWDIピンをトグルして
WDOピンを H に保つ必要があります。
プロ
グラムされたタイムアウト期間にWDIピンの
電圧が遷移しないと、回路はWDOを L に
引き下げます。
ウィンドウ・モードでは、
WDIピンの負に向か
うパルスがプログラムされた時間ウィンドウ
の内側に現れて、WDOが L になるのを防
ぐ必要があります。下限期間(tWDL)
内に3個
以上の立下りパルスが検出されると、WDO
ピンは L に強制されます。上限期間
(tWDU)
内に立下りエッジがWDIピンに与えられな
い場合もWDOピンは L になります。
WDI
WDO
tWDU
ウォッチドッグ・タイミング
(W/T = "H")、
タイムアウト・モード
t < t WDL
tRST
WDI
WDO
tRST
tRST = プログラムされたリセット期間
tWDU = ウォッチドッグ上限期間
tWDL = ウォッチドッグ下限期間
VUV = 出力電圧リセット・スレッショルド
図4.
ウォッチドッグのタイミング図
機能をオンまたはオフすることができます。
この機能を使って、接続されているマイクロ
プロセッサを工場で確実にプログラムするこ
とができます。工場でマイクロプロセッサを
ウィンドウ・モードでは、WDIの信号は正常 プログラムする間、WDEピンを H に保って
動作の下限期間と上限期間によって境界 WDOがトグルするのを防ぎ、
こうしてWDO
が定められます。WDI入力信号の期間は、 がマイクロプロセッサのプログラミング過程
ウィンドウ・モードの下限期間より長く、上 に干渉するのを防ぐことができます。
限期間より短くして、正常状態ではWDOを
H に保ちます。
ウィンドウ・モードの下限期 WDOピンとRSTピンを一緒に接続した場
間と上限期間の比は31に固定されていま 合、
出力電圧がレギュレーション値より10%
す。
これらの時間はC WDTピンの外部コンデ 下に下がると、
またはウォッチドッグ・エラー
リセット信号が発生します。
ンサを調節して、長くしたり短くしたりするこ が発生すると、
とができます。
WDEピンにより、
ユーザーはウォッチドッグ
26
tWDU
ウォッチドッグ・タイミング
(W/T = "L")、
ウィンドウ・モード
コード実行エラーの間、
マイクロプロセッサ
は、速すぎるかまたは遅すぎる、
どちらかの
WDIパルスを出力します。
この状態はWDO
を L にアサートし、
マイクロプロセッサがプ
ログラムをリセットするように強制します。
両方のウォッチドッグ・モードで、WDOがア
サートされるとリセット・タイマがイネーブル
されます。
リセット・タイマが作動している間
に現れるどのWDIパルスも無視されます。
リセット・タイマの時間が経過すると、WDO
は再度 H に戻ることが許されます。
した
がって、WDIピンに入力が与えられないと、
ウォッチドッグ回路はWDOピンにパルス列
を発生します。
このパルス列の H の時間は
上限期間に等しく、 L の時間はリセット期
間に等しくなります。
また、WDOとRSTは同
時にロジック L になることはできません。
WDOが L で、低電圧ロックアウト・フォー
ルトが生じると、RSTは L になりWDOは
H になります。
tRST
ウォッチドッグ・タイミング・
コンデンサの選択
ウォッチドッグの上限期間は調節可能で、
ソ
フトウェアの実行に対して最適化することが
できます。
ウォッチドッグの上限期間は、
コン
デンサをC WDTピンとグランドの間に接続し
て調整します。
ウォッチドッグの上限期間が
指定されると、
コンデンサの値は次式によっ
て決まります。
CWDT = tWDU • 55 (pF/ms)
与えられたコンデンサに対して、
ウィンドウ・
モードの下限期間の上限期間に対する関
係は固定されています。下限期間は上限期
間に対して次のように関係付けられていま
す。
C W D Tピンを未 接 続のままにしておくと、
WDOピンの10kΩのプルアップを5Vに接続
した状態で約200μsの最小ウォッチドッグ上
限期間を発生します。最大タイムアウトは入
手できる最大の低リーク・コンデンサによっ
て制限されます。上限期間と下限期間の精
度は、
コンデンサのリーク
(公称充電電流は
2μA)
とコンデンサの許容誤差の影響を受け
ます。低リークのセラミック・コンデンサを推
奨します。
まとめ
LT3689の広い入力範囲、低静止電流、管
理機能、堅牢さおよび小さなサイズにより、
LT3689は自動車や産業用のアプリケーショ
ンへの給電に最適です。
デバイスは60V VIN
の過渡に耐え、36Vの最大VINに対して正常
動作が保証されており、突入電流と短絡状
態に対して堅牢です。Burst Mode回路は軽
負荷でも高い効率を与えます。
プログラム可
能なスイッチング周波数により、設計者は部
品サイズと効率の間でトレードオフを行うこ
とができます。LT3689の精確なPORとウォッ
チドッグ回路により、LT3689スイッチング・レ
ギュレータの出力に接続されたマイクロプロ
セッサの完全なスーパーバイザ制御が可能
になります。L
tWDL = 1/31 • tWDU
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
動作中に調節可能な電流制限と調節可能な
VAPDを備えた60mm2の完全な
APDバイアス・ソリューション
By Xin (Shin) Qi
はじめに
光ファイバ通信システムの機能を制限する
支配的要因は利用可能なスペースです。高
度な機能を一体化したコンパクトなAPD(ア
バランシェ・フォトダイオード)バイアス・ソ
リューションが、
システムのサイズと性能の
新段階を切り開く鍵です。LT3571はこのよ
うなソリューションを小型3mm 3mm QFN
パッケージで提供します。
LT3571は電流モード降圧DC/DCコンバー
タとハイサイド固定電圧降下APD電流モニ
タを組み合わせており、75Vパワースイッチ
とショットキー・ダイオードを内蔵していま
す。従来の電圧ループと独自の電流ループ
の組合せにより、
ユーザーはどんなバイアス
電圧でも精確なAPD電流制限を設定する
ことができます。内蔵ハイサイド電流モニタ
は、負荷電流に比例した8%精度の電流を
供給するので、CTRLピンを介してAPDバイ
アス電圧を調節することが可能になります。
この多機能なデバイスにより、高電圧APD
をバイアスするシングル・ステージ昇圧コン
バータをわずか60mm2で実現できます。
低ノイズAPDバイアス電源
APDの利得はバイアス電圧に依存するの
で、
バイアス電源はスイッチング・レギュレー
タや他のソースからのノイズ汚染を最小に
抑える必要があります。2.5mAの負荷能力を
備えた45V APD用超低ノイズ電源を実現す
るように構成設定したLT3571を図1に示し
ます。MONIN電圧は、
内部電圧リファレンス
と、R1およびR2で形成される抵抗分割器に
よって安定化されます。抵抗R SENSEはAPD
電流制限を200mV/1.2RSENSE­0.2mAに設
定するように選択します。
L1
10µH
VIN
5V
OFF ON
VIN
SHDN
SW
VOUT
RSENSE
20Ω
VREF
C1
1µF
CTRL
LT3571
MONIN
50V
C3
10nF
RT
SYNC
RT
12.1k
1MHz
FB
GND MON
R2
20.5k
APD
R4
49.9Ω
C5
10nF
C2
0.1µF
45V
R3
10k
C4
0.1µF
L: TDK VLF3010AT – 100MR49
C1: TDK X7R C1608X7R1C105KT
C2, C4: MURATA X7R GRM188R72A104KA35
C3: AVX X7R 06031C103K
C5: MURATA X7R GRM155R71H103K
図1.低ノイズAPDバイアス電源
CTRLピンが1Vより上の電源に接続されて
いると、
出力電圧は1Vの帰還で安定化され
ます。1Vより下にドライブされると、帰還と出
力電圧はそれに従います。
度を示すことができます。APDピンの電圧の
変化は全入力電流範囲および全温度範囲
にわたってわずか 200mVです。
このトポロ
ジーの評価用ボードを図2に示します。
APDピン
(電流モニタの出力)
は、MONINピ
ンの5V下に固定された電圧をAPD負荷に
与えます。LT3571は減衰率が5の精密電流
ミラーを備えています。MONピンの比例電
流出力信号を使って精確にAPD信号の強
このトポロジーはいくつかのフィルタ・コンデ
ンサを使って超低ノイズ性能を達成します。
VOUTピンのコンデンサとAPDピンの0.1μFの
コンデンサがスイッチング・ノイズを抑えま
す。MONINピンとFBピンの間の10nFの帰
還コンデンサは、高周波数内部リファレンス
と誤差アンプのノイズをフィルタします。図3
は、測定されたスイッチング・ノイズが1mA
の負荷電流で500μVP–P以下であることを示
しています。
CTRLピンは内部リファレンスをオーバーラ
イドすることができるので、動作中にAPDの
バイアスを最適化してレシーバの性能を最
大にすることができます。
500µV/DIV
IAPD = 1mA
図2.LT3571の評価用ボード
Linear Technology Magazine • March 2009
R1
1M
500ns/DIV
図3.ADCピンのAC結合されたノイズ・リップル
27
L デザイン特集
この並外れて低ノイズのバイアス電圧は、
APDに大きな感度とダイナミックレンジを与
えます。
APD電流モニタの高速過渡応答
最 近 の 通 信システムの 設 計 はますます
10Gbits/s GPONシステムに注力しており、
こ
れは2デカードの大きさの入力電流ステップ
に対するAPDの電流モニタの過渡応答が
100ns未満であることを要求します。
このチャ
レンジングな要件を満たすため、多くの設計
者はシンプルなディスクリートの電流ミラー・
トポロジーに頼って信号経路の寄生容量を
減らし、
モニタの精度と基板スペースは犠牲
にします。対照的に、LT3571のAPD電流モ
ニタは注意深く設計されており、固定電圧
降下と高精度だけでなく、必要な高速過渡
応答も与えます。
電流過渡に高速応答するコンパクトな回路
を図4に示します。図1に示されている超低ノ
イズ・トポロジーとは異なり、APDピンのフィ
ルタ・コンデンサはMONINピンに移されて
います。C2、C3およびRSENSEはπフィルタを形
成し、APD電流モニタを高周波数スイッチン
グ・ノイズから隔離します。MONピンのコン
デンサも取り除かれており、測定経路の過
渡遅延が減少します。
L1
10µH
VIN
3.3V
SW
VIN
SHDN
OFF ON
VOUT
VREF
C1
1µF
CTRL
LT3571
55V
MONIN
RSENSE
20Ω
R1
1M
RT
SYNC
GND
C2
0.1µF
FB
MON
R2
18.2k
APD
RT
26.1k
500kHz
C3
0.1µF
50V
0.5pF
PMBT3904
–
2.5V
4.99k
LT1815
1k
+
ここを
測定
L1: TDK VLF3010AT-100MR49
0.1µF
C1: MURATA X7R GRM21BR71C105KA01B
C2, C3: MURATA X7R GRM188R72A104KA35
–VLO
APDバイアス電圧の温度補償
一般に、APDの逆バイアス電圧は補償のた
めの正温度係数で設計されます。
これは、
LT3571のCTRLピンを介して容易に実装で
きます。一般的なマイクロプロセッサ制御の
方法より簡単で安価なソリューションです。
PWM
–VHI
図4.電流モニタの過渡応答が超高速のAPDバイアス電源
PWM GND
PWM
1V/DIV
PWM GND
IAPD = 10µA
IAPD = 10µA
PWM
1V/DIV
IAPD = 1mA
IAPD = 1mA
OUT
500mV/DIV
OUT
500mV/DIV
TFD < 100ns
過渡速度は、
リニアテクノロジーのデザイ
ンノート447「 10GBit/s GPONシステムのた
めの完全でコンパクトなAPDバイアス・ソ
リューション」
で説明されているのと同じ手
法を使って測定されます。入力信号の立下
りと立上りに対する測定された過渡応答を
それぞれ図5と図6に示します。
ここで、入力
電流レベルは10μAと1mAです。測定には反
転とDCオフセットが存在することに注意して
ください。測定では100ns以下の過渡応答
時間が示され、10Gbits/s GPONシステムの
厳しい速度要求を十分満たしています。
テストのために、
APDをこの簡単な
テスト・セットアップで置き換える
APD PIN
4.99k
TRD < 100ns
OUT GND
OUT GND
50ns/DIV
50ns/DIV
図5.入力信号の立下りエッジ
(1mAから10μA)
に対する過渡応答
図6.入力信号の立上りエッジ
(10μAから1mA)
に対する過渡応答
L1
15µH
VIN
5V
R5
30.1k
Q2
R7
49.9k
R8
36.5k
R9
20k
OFF ON
R6
100k
VIN
SHDN
VREF
SW
LT3571
VOUT
MONIN
CTRL
RT
SYNC
C6
0.1µF
TEMPERATURE
COMPENSATION BLOCK
C1
1µF
Q1
RT
33.2k
400kHz
C3
10nF
R1
1M
FB
GND MON
R2
15k
APD
R4
49.9Ω
C5
10nF
L1: TDK VLF4012AT – 150MR63
C1: TDK X7R C1608X7R1C105KT
C2: MURATA X7R GRM21AR72A224KAC5L
C3: AVX X7R 06031C103K
C4: MURATA X7R GRM188R72A104KA35
C5: MURATA X7R GRM155R71H103K
C6: MURATA X7R GRM155R71A104KA01D
RSENSE
49.9Ω
55V
R3
10k
C2
0.22µF
50V
C4
0.1µF
Q1, Q2 = PHILIPS PEMT1
図7.温度補償したAPD電源
28
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン特集 L
最も簡単な方式はVREFピンからCTRLに接
続した抵抗分割器を使い、分割器の上側の
抵抗はNTC(負温度係数)抵抗にします。
こ
の方法は簡単ですが、NTC抵抗の温度係
数が非線形なのが短所です。
もっと精密な
方法では、図7に示されているようなトランジ
スタ・ネットワークを使います。
CTRLピンの電圧のPTC(正温度係数)は
Q1のエミッタ・フォロワとQ2のVBEマルチプ
ライヤによって実現されます。
次を仮定します。
I(Q1) = I(Q2) ≈ 10μAとなるように抵抗R5∼
R9を選択します。
さらに
VBE(Q1) = VBE(Q2) = VBE
dVBE(Q1)
および
dT
dVBE(Q1)
dT
=
dVBE(Q2 )
dT
=
2mV
°C
したがって、CTRLピンの電圧は次のように
なります。
VCTRL = VREF −
R8
V
R7 BE
したがって、次のようになります。
60
56
54
52
50
48
46
44
42
–25
0
50
25
75
TEMPERATURE (°C)
100
125
図8.図7に示されている回路の温度応答
LT8410、23ページから続く
デバイスがシャットダウンから出ると、V REF
ピンが最初に強いプルダウン電流で70μsの
間放電し、次いで10μAで1.235Vまで充電さ
れます。
これにより、出力がV REFに比例する
のでソフトスタートが達成されます。
デバイス
がイネーブルされるときV REFが放電するの
で、SHDNの短い L パルスであっても完全
なソフトスタート・サイクルが実行されます。
LT3653/63、21ページから続く
この入力は60Vの過渡を処理する能力があ
ります。複数の入力電圧でのこの回路の効
率を図4に示します。
アプリケーションの電流制限は1.2Aに設
定されているので、電力経路の部品は最大
1.2Aを扱えるサイズのものが指定されてい
ます。
アプリケーションのフットプリントを小
さくするため、LT3663には内部補償と昇圧
ダイオードが内蔵されています。RUNピン
が L のとき、LT3663は低電流シャットダウ
ン・モードになります。
Linear Technology Magazine • March 2009
R1
=
R2
dT
=
2mV
°C
LTspiceを使ったシミュレーションは常に良
い出発点を与えます。図7に示されている回
路は、室温でVAPD = 50V(VOUT = 55V)
とな
り、
さらにdVAPD/dT = 100mV/℃(dVOUT/dT
= 100mV/℃)
となるように設計されていま
す。設計目標に非常に近い測定された温度
応答を図8に示します。
まとめ
dVCTRL R8 2mV
=
•
dT
R7 °C
VBE •
dVOUT 2mV
• VOUT
+
dT
°C
−1
2mV
• VREF
°C
さらに、LT8410/-1は、2.5V∼16Vの入力電 く保たれ、バッテリの動作時間が大幅に延
圧範囲、最大40Vの出力電圧およびCAPと びます。電流制限が低い内部スイッチにより
(LT8410-1では8mA、LT8410では25mA)、
VOUTの過電圧保護を特長にしています。
デバイスはコイン型電池のような高インピー
ダンスのソースに最適です。LT8410/-1は性
まとめ
LT8410/-1は低静止電流と低入力電流を必 能や使いやすさを犠牲にすることなく多くの
要とするアプリケーションに最適です。値の 機能が組み込まれており、小型の8ピン2mm
大きな内蔵帰還抵抗と組み合わせた超低
2mmパッケージで供給されます。L
静止電流により、平均入力電流が非常に低
まとめ
100
90
EFFICIENCY (%)
VAPD (V)
dVBE(Q2 )
LT3571は、高度に集積化された、APDバイ
アス電源デザインのコンパクトなソリュー
室温でのVOUTとdVOUT/dTが与えられると、 ションです。有用な一揃いの機能と柔軟性
次のようにR1/R2とR8/R7を計算することが を与え、低ノイズ、高速過渡応答速度、温度
できます。
補償など、多様なチャレンジングな要件を満
たします。
高レベルの集積化と優れた性能
VRFE
R8
=
を備えたLT3571はAPDバイ
アス電源のデザ
VOUT
R7
2mV
VBE +
•
dVOUT dT
°C
インに最適です。L
PTC =
58
40
–50
=
LT3653とLT3663のプログラム可能な出力
電流制限は精確なので、
出力の過負荷によ
る局所的過熱を防ぎ、電力部品の最大電流
要件を下げ、堅牢な電源ソリューションを実
現します。L
VIN = 8V
VIN = 15V
80
VIN = 30V
70
60
50
40
0.1
0.3
0.5
0.7
0.9
OUTPUT CURRENT (A)
1.1
1.3
図4.図3の回路の効率
29
L デザイン・アイデア
耳障りですか?20kHzを超える
周波数のPWM LED調光による
オーディオ帯域の回避
by Eric Young
はじめに
LEDドライバの要件は、
アプリケーションの
設計者がLED独特の特性を利用するように
なるにつれて厳しさを増しています。
リニアテ
クノロジーは最もチャレンジングな設計要件
を満たすのに必要な性能を備えたLEDドラ
イバの完全な品揃えを提供しています。
これ
らのLEDドライバが特に能力を発揮する分
野の1つは、PWM調光機能の性能と柔軟性
です。LEDは高速でオンおよびオフすること
ができます。
ソースを光らせたり消したりする
のに数ナノ秒しか要しません。PWM調光は
この特性を利用して何桁にも及ぶ調光を達
成します。
しかも、動的全光度範囲にわたっ
て一定の出力スペクトルを維持します。
利用可能なLEDドライバの分野は広大です
が、20kHzを超える周波数でのPWM調光を
検討すると、たちまち大幅に縮小します。
な
ぜ20kHzなのでしょうか?ほとんどのLEDラ
イトの設計者は約100Hz以下のPWM周波
数で知覚されるフリッカについては気にしま
すが、
アプリケーションによっては人間の目
が制約要因ではなく、人間の耳が制約要因
になります。人間の耳は約20kHzまでの振
動を知覚します。
これがアプリケーションに
よってはPWM周波数を決定する重要な要
因になることがあります。多用途のLT3755
とLT3756はLEDコントローラのエリート・グ
ループのメンバーで、20kHzで50:1に達する
非常に高いPWM調光比をサポートすること
VPWM
VGATE
IL1
5A/DIV
ILED
0.5A/DIV
5µs/DIV
図2.図1の昇圧LEDドライバの
DCM動作
30
VIN
8V TO
18V
L1
1.5µH
C1
2.2µF
x2
25V
499k
10µF
x2
35V
VIN
SHDN/UVLO
100k
D1
255k
M1
GATE
VREF
SENSE
LT3755
0.01Ω
CTRL
499k
75k
FB
17.8k
PWM
ISP
INTVCC
100k
0.1Ω
OPENLED
ISN
D2
VC
0.1µF
10k
UP TO
8 LEDS
26V
PWMOUT
SS
C2
4.7µF
350mA
22k
470pF
GND
M2
RT
13k
800kHz
L1: COILTRONICS DR125-1R5
D1: ON SEMI MBRS360
M1: VISHAY SILICONIX Si7850DP
M2: VISHAY SILICONIX Si2306DS
D2: IN4448HWT
図1.
この10W昇圧LEDドライバは20kHzで50:1のPWM調光を達成することにより
オーディオ帯域の外に留まる。
もっと低いPWM周波数ではセラミック・コンデンサの
振動により可聴ハム音を生じることがある。
ができます。
これらのコントローラは、様々な
電力レベルで、降圧、昇圧および昇降圧を
含む様々なトポロジーをサポートします。
高性能PWM調光
PWM調光方法は簡明です。LEDはPWM周
期ごとに固定された時間だけ厳密に安定化
された電流でドライブされます。
オフ・フェー
ズの間、LED電流はゼロです。
オン・フェーズ
の間、LED電流は注意深く安定化されます。
LED出力のスペクトルは順方向電流の関数
なので、
「オン」電流が変化しないことが重
要です。PWM信号のデューティ・サイクルは
調光値に対応します。
コンセプトは単純ですが、高いPWM周波数
でこれを達成することができるコントローラ
を設計することは決して単純ではありませ
ん。パルス電流の立上り時間と立下り時間
は高速にします(100ns以下)。任意の入力
電圧から適切なPWM電流パルスを発生す
るのは並大抵ではないことがあります。
これ
は、電流を安定化する高帯域幅DC/DCコン
バータ、PWMのオン/オフの遷移の間電流
を供給するLED両端の蓄電/フィルタ・コン
デンサ、
および電流波形のオンとオフのエッ
ジを確実に鋭くする切断スイッチを通常必
要とします。
ヒステリシスをもったコンバータは、閉ルー
プの安定性の観点からは使いやすいのです
が、問題があります。LED電流の立上り時間
と立下り時間が遅いのは、出力コンデンサ
がないので、LEDを流れる電流を滑らかに
するために値の大きなインダクタを使ってい
るためです。
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン・アイデア L
かの異なったコンバータ回路に構成設定し
て、
わずか1μsの時間間隔でパルスを発生す
ることができる高帯域幅の良く安定化され
た出力電流を供給することができます。
100
LEDの平均電流はインダクタのリップル電
流に関係しており、
このリップル電流は入力
電圧の過渡に敏感なので、LEDの光出力は
入力電源とともに変化します。
ほとんどの場
合、
この方法は満足できるPWM性能を与え
るとができません。
EFFICIENCY (%)
96
何がPWMの性能を決めるのでしょうか?
PWMの時間間隔や周波数はアプリケー
ションによって決まり、念頭に置くべきいくつ
かの検討事項があります。
まず、PWM周波
数が120Hzより大きいと人間の目は一般に
フリッカを知覚できないので、時間間隔の
下限は標準8msとされます。
92
PWM性能の最大化の秘密である
88
不連続導通モード
短いオン時間/オフ時間の鍵は、スイッチ
ング・レギュレータが 不 連 続 導 通モード
80
(DCM)で動作することです。
このモードで
0.4
0.6
0.8
0.0
1.0
0.2
LED CURRENT(A)
は、
インダクタ電流は常に各スイッチング期
間の始点でゼロからスタートし、
ピーク・イン
図3.90%を超える図1の昇圧LEDドライバの
ダクタ電流は負荷によって決まり、
スイッチ
効率
のデューティ・サイクルを介して調節されま
(CCM)
は比
これらの回路の1つを備えたハンドヘルド・ す。対照的に、連続導通モード
達成可能な調光比は、
ドライバ回路によって デバイスで耳障りなバズ音やハム音に気付 較的一定のスイッチ・デューティ・サイクルを
与えられる電流パルスの最小オン時間と最 いたことがあれば、
維持し、平均インダクタ電流を調節して負荷
それがこの現象です。
小オフ時間の関数です。
したがって、8μsの
の需要を満たします。
最小パルスは120Hzで1000:1の調光能力を LEDに直列の切断スイッチを使用すると、電
与えます。
20kHzの可聴要件が必要になるの 圧過渡を大きく減らすので、
出力コンデンサ DCMは必要なエネルギーを1回のスイッチ
は、
セラミック・コンデンサによって可聴物理 によるハム音を減らします。
良い設計手法に ング期間で出力に供給するので、高性能
振動がPC基板にもたらされるためですが、
こ より、低いPWM周波数では可聴ノイズを大 PWM調光ではまさっています。
これにより、
れらのコンデンサはESRが低く、堅牢で、長 きく減らすことができますが、PWM周波数 コントローラは、定常状態に達するまでの3
期信頼性が高いので高帯域幅コンバータ回 が20kHzより低い限り可聴放射の除去は確 ∼4スイッチング・サイクルの標準的な最小
路にはどこでも使われています。
セラミック・ 実ではありません。多くのアプリケーション PWM期間(これはCCMのよく知られた要件
コンデンサは加えられる電圧に従って
(値と 設計者は音響学に関わりたくはなく、代わり です)
をバイパスすることができます。
ともに)物理的寸法が変化し、PWMの過渡 に、PWM調光を無難にこなす静かに動作す
時の高速電圧過渡が寸法の変化を引き起こ る回路を好みます。LT3755とLT3756の電流
モード・スイッチング・コントローラは、
し、
振動を基板に結合します。
いくつ
1M
ISP
VIN
SHDN/UVLO
68.1k
0.2Ω
ISN
VREF
CTRL
UP TO
5 LEDS
16V
0.22µF
D2
6.2V
INTVCC
4.7µF
2200pF
L1
3.3µH
M1
GATE
OPENLED
SENSE
VC
GND
FB
22k
0.1µF
470pF
RT
13k
800kHz
D1
0.033Ω
VLED = 16V
ILED = 0.5A
96
4.7µF 2x
25V
1M
LT3755
PWM
100
M2
PWMOUT
SS
500mA
EFFICIENCY (%)
VIN
22V TO
36V
84
92
88
84
2.2µF 2x
50V
80
15
20
25
30
VIN (V)
35
40
L1: TOKO 962BS_3R3M
M1: VISHAY SILICONIX Si7850DP
M2: VISHAY SILICONIX Si2306DS
D1: DIODES, INC SBM540
図4.50:1のPWM調光付き8W降圧モードLEDドライバ
(20kHz、90%の効率)
Linear Technology Magazine • March 2009
31
L デザイン・アイデア
DCM動作は、与えられた負荷に対してより
高いピーク電流がスイッチング部品に流れ
るので、
より大きな要求をスイッチング部品
に課します。
このため、
アプリケーションの機
能を変える必要なしに、
コントローラはその
最大スイッチング電流をアプリケーションの
ニーズに合わせてプログラムすることができ
るので、
モノリシック・コンバータより使いや
すくなります。
DCM動作はCCMに比べると代価を払って
実現されます。効率、入力電源範囲およびア
ナログ調光範囲の全てがいくらか減少しま
す。最大と最小の入力電源範囲の比は最小
PWMパルス幅と最小スイッチ・オン時間の
比よりわずかに小さくなります。
同様に、入力
電源が固定されている限り、最大アナログ
調光比は最小PWMパルスと最小スイッチ・
オン時間の比と同じです。
にもかかわらず、
こ
の手法の利点は最小PWM周期が連続導
通モードと比べて4倍∼5倍短いことです。
ア
プリケーションが高いPWM調光比を要求
する場合、DCMモードはその目標を達成す
る確実な道を与えます。LT3755を使って作
られ、
ここに示されている3つのアプリケー
ション回路がこの手法を実証しています。
ILED
500mA/DIV
3% PWM DUTY
50% PWM DUTY
97% PWM DUTY
5µs/DIV
図5.
図4の降圧モード・ドライバの3つの
PWM調光設定。
33kHzであっても、
最小から最大のデューティ・サイクルで
LED電流の知覚できる変化はない。
固定されていれば、
レギュレータは、
CTRLピ
ンによって125mAと1Aの間(2.4W∼27W)
にプログラムされたLED電流のため一定の
スイッチング周波数で動作します。最小オン
時間は最小オフ時間と同様1μsです。図2の
スイッチング波形は、50%のデューティ・サイ
クル、27V/1Aの負荷および12Vの電源を示
しています。LED電流信号の、1Aであっても
高速の立上り時間と立下り時間に注意して
ください。最大負荷では、GATEピンはほとん
ど1μs(最小パルス幅と同じ)
の間7Vであり、
各GATEパルスの開始前にインダクタ電流
はゼロに達します
(DCM動作の特長)。12V
8 V ∼ 1 8 V の 範 囲 の 電 源 から安 定した 入力での効率とLED電流を図3に示します。
350mAで26VのLEDを安定化する9W昇圧 効率のピークはちょうど90%を超えます。
コンバータを図1に示します。電源が12Vに
L1
1.5µH
VIN
10V TO
36V
200k
10µF
x2
25V
VIN
SHDN/UVLO
GATE
M1
L1B
SENSE
VREF
0.01Ω
GATE
CTRL
169k
PWM
FB
LT3755
ISP
10k
0.1Ω
INTVCC
100k
1A
ISN
OPENLED
20W
LED
STRING
D2
PWMOUT
SS
VC
0.1µF
4.7µF
10k
22k
470pF
12∼36Vの電源から1A、20VのLEDストリン
グをドライブするSEPICコンバータを図6に
示します。昇圧と降圧の能力を与えるのに加
えて、
この回路は入力と出力が絶縁されてお
り、
出力のGNDへの短絡に対する保護を内
蔵しているので手軽に扱えます。
この回路の
効率は87%を超えます。
40ページに続く
D1
1:1
1M
C1
4.7µF
50V
1µF x 2
100V
図4は降圧モードのコンバータを示してお
り、22∼36Vの電源から16VのLEDストリン
グを500mAで安定化します。
この回路は外
部充電ポンプとレベルシフトを備えており、
LED切断用NMOSのゲートをドライブしま
す。
このレベルシフトは、PMOSをドライブす
るよく知られた抵抗レベルシフトよりはるか
に高速の立上り時間と立下り時間を与え、
はるかに少ない電流を使います。図5のオシ
ロスコープのトレースは、いくつかのデュー
ティ・サイクルでのPWM調光を示していま
す。最小オン時間と最小オフ時間の間でパ
ルス幅が滑らかに調節されるとき、
出力LED
電流に目にとまる変化がないことは明らかで
す。
この8W回路の効率は90%を超えます。
GND
RT
13k
800kHz
SWITCH CURRENT
(2A/DIV) PEAKS
AT CURRENT
LIMIT OF 10A
OUTPUT SHORT
CIRCUIT CURRENT
(2A/DIV)
5µs/DIV
図7.GNDへの出力フォールトの間制御を維持する
図6のSEPICコンバータ
M2
L1: COILTRONICS DRQ125-1R5 COUPLED INDUCTOR
D1: ON SEMI MBRS360
M1: VISHAY SILICONIX Si7850DP
M2: VISHAY SILICONIX Si2306DS
図6.20kHzで50:1のPWM調光および出力フォールト保護付き20W SEPIC LEDドライバ
32
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン・アイデア L
EMIの悩みを取り去る、
2A,
15mm 9mm 2.82mm
μModule降圧レギュレータ
by David Ng
はじめに
「We failed EMI(EMIでしくじった)」。
これら
のおそろしい3語は電子機器の設計者の心
底に恐怖を引き起こします。設計者が恐れ
るさらに良くない4語があります。
「We failed
EMI again(EMIでまたしくじった)」
です。経
験を積んだ多くのエンジニアの心が、
どうし
ても静かにしていないデザインを何とかする
ため、EMIラボで、指先の切り傷の痛みをこ
らえながら、
アルミホイル、銅テープ、
クランプ
オン・フィルタ・ビーズと昼夜を通して格闘し
た暗い記憶の傷を負っています。問題の大
きな部分はスイッチング電源をふんだんに
使う必要があることであり、
これがシステム
の放射EMIに大きく寄与します。
LTM8032は低EMI向けに特に作られたDC/
DCスイッチング降圧μModuleレギュレータで
す。
これは最大36VIN、10VOUT/2Aで定格が
定められており、調節可能な周波数同期、
パ
ワーグッド状態フラグおよびソフトスタートを
備えています。
小型で、
寸法はわずか15mm
9mm 2.82mmですが、
インダクタ、
電力段お
よびコントローラをROHS e3準拠のモールド
LGAパッケージに一体化しています。
VIN
5.5VDC TO 36VDC
OUT
VIN
22µF
FIN
RUN/SS
2.2µF
VOUT
3.3V
2A
AUX
LTM8032 BIAS
SHARE
PGOOD
RT SYNC GND ADJ
54.9k
78.7k
図1.
LTM8032を使って電源デザインを完成するのに2個の抵抗および入力と出力のコンデンサだけが必要
LTM8032は低EMI向けに作られた
DC/DCスイッチング降圧
μModuleレギュレータである。
定格が最大36V IN、
10VOUT/2Aであり、インダクタ、
電力段およびコントローラを
ROHS e3準拠のモールドLGA
パッケージに一体化している。
組み立てられたユニットが全て木製のテーブ
ルの上に置かれています。
全て木製の構造に
より、
テストのセットアップがテスト対象のデ
バイス
(DUT)
から放射するノイズをシールド
したり、隠したりしないようにします。電源(ラ
ボ用のリニア電源)
は床の上に置かれていま
す。
ヒートシンクの付いたLTM8032の負荷も
テーブルの上に置かれています。
LTM8032からの放射を測定する前に、
ベー
スライン測定を行い、室内の周囲ノイズの量
を確定します。
38ページに続く
EN55022およびCSIPR 22のクラスBに
準拠した10V/2A電源
他のほとんどのμModuleレギュレータと同
様、LTM8032は使いやすいデバイスです。
図1に示されているように、完全な電源デザ
インに必要なのは、出力電圧と動作周波数
を設定するための抵抗と入力および出力の
コンデンサだけです。
LTM8032はEN55022およびCSIPR 22のクラ
スBに準拠していることがテストで証明され
ています。図2の写真に示されているように
セットアップされたNRTLの5メートルのテス
ト室でテストされています。LTM8032はバル
ク容量が接続されていない回路基板に実
装されています。入力と出力の容量は、正し
い動作のためにデータシートで規定されて
いるセラミック・コンデンサの最小値です。
Linear Technology Magazine • March 2009
図2.EMIテストのため、DUTは回路基板に実装され、木製のテーブル上に置かれる。
電源は床の上に置かれている。
33
L デザイン・アイデア
ダイオードのターンオン時間によって誘起
されるスイッチング・レギュレータの動作不良
これほど多くの人がこれほど少ない端子で
これほど悩まされたことはない
by Jim Williams and David Beebe
この記事は同じタイトルのリニアテクノロ
ジーのアプリケーションノートAN122から
の抜粋です。
+V
+V
VIN
VIN
はじめに
ほとんどの回路設計者は、電荷の蓄積、電
圧に依存する容量、逆回復時間など、ダイ
オードの動特性を良く知っていますが、
ダイ
オードの順方向ターンオン時間は、
それほ
ど一般的には知られておらず、メーカーに
よって規定されていません。
このパラメータ
はダイオードがオンしてその順方向電圧降
下にクランプされるのに要する時間を表し
ます。歴史的に、
(ナノ秒を単位とする)
この
非常に短い時間はあまりにも小さいので、
ユーザーもメーカーも基本的には無視して
きました。稀にしか議論の対象にならず、ほ
とんど仕様が定められませんでした。最近、
スイッチング・レギュレータのクロックレート
と遷移時間が速くなり、
ダイオードのターン
オン時間が重要問題になっています。
クロッ
クレートの増加は磁気部品のサイズの縮小
に不可欠です。遷移時間の減少は全体の効
率をいくらか助けますが、ICの熱上昇の最
小化が主に求められています。約1MHzを超
えるクロック速度では、
遷移時間の減少がダ
イの発熱の主要因です。
ダイオードのターンオン時間による潜在的
困難は、遷移時のダイオード両端の「オー
IC REGULATOR
OUTPUT
VREG
SWITCH PIN
IC REGULATOR
CONTROL
SWITCH
PIN
SWITCH
OUTPUT
VREG
CONTROL
SWITCH
REF
REF
GND
GND
FEEDBACK NODE
FEEDBACK NODE
昇圧
降圧
図1.標準的昇降圧コンバータ。
ダイオードがスイッチ・ピンの電圧の変化を
安全リミットにクランプすると仮定
バーシュート」電圧が、数ナノ秒に制限され 切な関連部品の選択とレイアウトは追加の
ているときでさえ、過電圧ストレスを引き起 オーバーストレスを生じます。
こし、
スイッチング・レギュレータICの動作不
良を生じる可能性があることです。
したがっ ダイオードのターンオン時間の見方
て、特定のアプリケーションに対して特定の 標準的昇降圧コンバータを図1に示します。
ダイオードの特性を評価し、信頼性を確実 両方の場合とも、
ダイオードがスイッチ・ピン
にするため、注意深いテストが必要です。
こ の電圧の変化を安全リミットにクランプする
のテストは、周囲の低損失の部品と最終ア と仮定しています。昇圧の場合、
このリミット
プリケーションのレイアウトを想定して、
ダイ はスイッチ・ピンの最大許容順方向電圧に
オードの寄生要素だけによるターンオン時 よって定まります。
のオーバーシュート電圧を測定します。不適
ICのブレークダウン・リミット
ダイオードのオン電圧
入力パルス
tRISE ≤ 2ns
振幅 = 5V+VFWD
5Ω
測定ポイント
テスト
される
ダイオード
ダイオードのターンオン時間
AN122 F02
図2.
ダイオードの順方向ターンオン時間は、公称ダイオード・クランプ電圧を
超える過渡変化を許し、潜在的にICのブレークダウン・リミットを超える。
34
AN122 F03
図3.1Aでのダイオードのターンオン時間のテストのコンセプト。
入力ステップは並外れて高速、高忠実度の遷移でなければならない。
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン・アイデア L
PULSE CURRENT
AMPLIFIER
tRISE = 2ns
PULSE GENERATOR
tRISE < 1ns
OSCILLOSCOPE
1GHz BANDWIDTH
tRISE = 350ps
TYPICALLY
5V TO 6V, 30ns
WIDE
5Ω
Z0 PROBE
≈1A
DIODE
UNDER
TEST
AN122 F04
図4.詳細な測定方法は様々な要素の必要な性能パラメータを示している。
サブナノ秒の立上り時間のパルス発生器、
1A、
2nsの立上り時間のアンプおよび1GHzのオシロスコープが必要。
VIN = 20V
+V
+
LT1086
22µF
+
120Ω
+V TYPICAL 17V
22µF
*
1k
Q1
Q4
1Ω
Q5
1Ω
+V ADJUST (RISE TIME TRIM)
1k
+V
PULSE
INPUT
*
EDGE PURITY
100Ω
全ての経路のインダクタンスを最小にする
Q2
50Ω
62Ω
+V
2pF TO 12pF
EDGE
PURITY
= 2N3866
OUTPUT
5Ω**
= 2N3375
*
** = 並列接続した10個の50Ω抵抗
* = 2.2µFのマイラーと並列接続した
22µFのSANYO OSCONで全ての
トランジスタをバイパスする。
Q3
Q6
1Ω
AN122 F05
図5.
パルス・アンプは並列接続したダーリントンでドライブされるRFトランジスタの出力段を備えている。
コレクタ電圧調節
(
「立上り時間の
トリム」
)
はQ4∼Q6のFTにピークを生じ、
入力RCネットワークは出力パルスの純粋性を最適化する。
低インダクタンスのレイアウトが不可欠である。
降圧の場合、
リミットはスイッチ・ピンの最大
許容逆電圧によって設定されます。
ダイオードはその順方向電圧にクランプする
のに有限の時間を必要とすることを図2は示
しています。
この順方向ターンオン時間は、
公称ダイオード・クランプ電圧を超える過
渡変化を許し、潜在的にICのブレークダウ
ン・リミットを超えます。
ターンオン時間は一
般にナノ秒単位で測定されるので、観察が
困難になります。
さらに事態を複雑にするの
は、
ターンオンのオーバーシュートがパルス
波形の極端な振幅で起きるので、高分解能
の振幅測定が予め排除されることです。
ダイ
オードのターンオンのテスト方法を設計する
ときは、
これらの要素を検討する必要があり
ます。
ダイオードのターンオン時間のテストのコン
セプトを図3に示します。
この場合、
( 他の電
流を使うこともできますが)
テストは1Aで行
われます。5Ωの抵抗を介して1Aのパルス・ス
テップがテスト対象のダイオードに与えられ
ます。
ターンオン時の電圧変化がテスト対
象のダイオードで直接測定されます。
1V/DIV
2ns/DIV
AN122 F06
図6.5Ωへのパルスアンプの出力。立上り時間は2nsで、
パルス頂部の異常は微小。
Linear Technology Magazine • March 2009
35
36
50Ω
2pF TO 12pF
EDGE
PURITY
62Ω
+
22µF
Q3
+V
Q2
+V
Q1
+V
LT1086
*
*
*
Q6
Q5
Q4
1k
1k
22µF
+V, TYPICAL 17V
1Ω
1Ω
1Ω
DIODE
UNDER
TEST
Z0 PROBE = TEKTRONIX
P-6056, 500Ω
5Ω**
5.5V
+V ADJUST (RISETIME TRIM)
120Ω
+
図7.
ダイオードの順方向ターンオン時間の完全な測定装置には、
サブナノ秒の立上り時間パルス発生器、
パルスアンプ、Z0プローブおよび1GHzオシロスコープが含まれる。
パルス発生器の振幅を5Ω抵抗で5.5Vの振幅になるように調整する
** = 並列接続した10個の50Ω抵抗
* = 2.2µFマイラーコンデンサと並列接続した
22µFのSANYO OSCONで全ての
トランジスタをバイパスする。
= 2N3375
= 2N3866
全ての経路のインダクタンスを最小にする
HP-215A
PULSE GENERATOR
tRISE = 800ps
PWIDTH = 30ns
215A
EDGE PURITY
100Ω
6.7V
VIN = 20V
7A29
7B15
TEKTRONIX
7104/7A29/7B10/7B15
1GHz (tRISE = 350ps)
OSCILLOSCOPE
7A29
7B10
7104
AN122 F05
L デザイン・アイデア
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン・アイデア L
200mV/DIV
200mV/DIV
AN122 F08
2ns/DIV
2ns/DIV
図8.
「ダイオードNo. 1」
は定常状態の順方向電圧を
約3.6nsの間オーバーシュートし、
ピークは200mVに達する
200mV/DIV
AN122 F09
図9.
「ダイオードNo. 2」
は6nsでセトリングする前に約750mVの
ピークに達する…定常状態の順方向電圧の2倍を超える。
200mV/DIV
AN122 F10
2ns/DIV
図10.
「ダイオードNo. 3」
は公称400mVのVFWDより1V上に
ピークが達する
(2.5xの誤差)。
5ns/DIV
AN122 F11
図11.
「ダイオードNo. 4」
は約750mVのピークに達し、VFWDの値に向かって
長いテールが延びている
(水平方向の2.5xのスケール変更に注意)。
200mV/DIV
5ns/DIV
AN122 F12
図12.
「ダイオードNo. 5」
はピークが目盛の外に出てしまい、
テール部分が長く
延びている
(図8∼図10に比べて水平方向のスケールが遅いことに注意)。
Linear Technology Magazine • March 2009
37
L デザイン・アイデア
ができます。
( 穏やかに相互反応する)エッ
ジの純粋性とノイズの立上り時間の調整が
最適化されているとき、
リンギング、異質の成
分または遷移後の変動のない、並外れてク
リーンな、立上りが2nsの出力パルスをアン
プが発生することを図6は示しています。
この
ような性能はダイオードのターンオン時間の
詳細な測定方法
1
もっと詳細な測定方法を図4に示します。 テストを実現可能にします。
様々な要素の必要な性能パラメータが示さ
れています。
サブナノ秒の立上り時間のパル ダイオードの順方向ターンオン時間の完全
ス発生器、1A、2nsの立上り時間のアンプお な測定装置を図7に示します。
サブナノ秒の
よび1GHzのオシロスコープが必要です。
これ パルス発生器でドライブされるパルスアンプ
らの仕様は現実的な動作条件を表していま が、
テスト対象のダイオードをドライブします。
す。
他の電流および立上り時間は適当にパラ Z0プローブが測定ポイントをモニタし1GHz
2, 3, 4
メータを変えて選択することができます。
オシロスコープに信号を与えます。
図は見たところ欺かれるほどシンプルです。
特に、電流ステップは並外れて高速で高忠
実度の遷移を実現する必要があり、忠実な
ターンオン時間の決定にはかなりの測定帯
域幅を必要とします。
パルスアンプは回路構成とレイアウトに注意 ダイオードのテストと結果の解釈
を払う必要があります。
アンプは並列接続し 適切に装備され構築された測定装置は、高
たダーリントンでドライブされるRFトランジ い分解能の時間と振幅でダイオードのター
スタの出力段を備えていることを図5は示し ンオン時間のテストを可能にします。5 様々
ています。
コレクタ電圧調節(「立上り時間の なメーカーの5個の異なったダイオードの
トリム」)
はQ4∼Q6のFTにピークを生じ、入 測定結果を図8∼図12に示します。図8(ダイ
力RCネットワークは、入力パルスの立上り オードNo. 1)は定常状態の順方向電圧を
ピークは
時間をアンプのパスバンド内にわずかに遅 約3.6nsの間オーバーシュートし、
これは5個の中で性能が
らせて、出力パルスの純粋性を最適化しま 200mVに達します。
す。並列接続により、Q4∼Q6は好ましい個 最良です。図9∼図12はターンオンの増大す
別の電流で動作し、帯域幅を維持すること る振幅と時間を示しており、図の説明文で
LTM8032、33ページから続く
どんなデバイスも動作していない状態でのテ
スト室内のノイズ・スペクトルを図3に示しま
す。
これを使ってDUTによって生じる実際の
ノイズを決めることができます。
90
90
80
80
70
70
60
50
EN55022
CLASS B
LIMIT
40
30
20
10
2 Z0プローブはリニアテクノロジーのアプリケーションノート
122の付録C
「Z0プローブについて」
で説明されています。参考
文献の27∼34を参照してください。
3 サブナノ秒のパルス発生器の要件はささいなことではありま
せん。
リニアテクノロジーのアプリケーションノート122の付
録B「万人のためのサブナノ秒の立上り時間のパルス発生器」
を参照してください。
4 関連した解説に関しては、
リニアテクノロジーのアプリケー
ケーブル、
アダプタ、減衰器、
ションノート122の付録E「接続、
プローブおよびピコ秒」
を参照してください。
5 測定に必要な帯域幅の決定に関する議論については、
リニア
テクノロジーのアプリケーションノート122の付録A「どれだけ
帯域幅があれば十分か?」
を参照してください。
まとめ
LTM8032スイッチング降圧レギュレータは
使いやすく、同時に静かであり、CISPR22お
よびEN55022のクラスBの放射エミッション
の要件を広いマージンで満たしています。
L
EN55022
CLASS B
LIMIT
40
30
20
10
0
–10
100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
FREQUENCY (MHz)
1 代わりのパルス発生手法は、
リニアテクノロジーのアプリケー
に掲載されて
ションノート122の付録F「それを行う別の方法」
います。
50
–10
0
注記:
60
0
図3.5メートルのテスト室での周囲ノイズの
ベースライン測定(デバイスは動作していない)
38
EMISSIONS LEVEL (dBµV/m)
EMISSIONS LEVEL (dBµV/m)
ワーストケースのLTM8032のエミッションの
プロットを図4に示します。
これは最大入力
電圧(36V)からの最大電力出力
(10V/2A)
で生じます。
プロットには2つのトレースがあ
り、1つはテストラボの受信アンテナの垂直
方向および水平方向のものです。図に示さ
れているように、
どちらのアンテナ方向でも、
LTM8032は容易にCISPR 22のクラスBのリ
ミットを満たしており、
ほとんどの周波数スペ
クトルで20dBのマージンがあります。
詳しく説明されています。
ワーストケースで
は、
ターンオンの振幅は公称クランプ電圧
を1V以上超えており、
ターンオン時間は数
10ナノ秒に延びています。図12は時間と振幅
の巨大な誤差によってこの不適当な事例集
の頂点を極めています。
このように不安定な
変化はICレギュレータのブレークダウンと
動作不良を引き起こすおそれが十分ありま
す。
ここで学ぶべきことは明らかです。与えら
れたどんなアプリケーションでも信頼性を
確実にするため、
ダイオードのターンオン時
間の特性を評価し、測定を行う必要があり
ます。. L
0
100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
FREQUENCY (MHz)
図4.36VIN、20WでのLTM8032のエミッション
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン・アイデア L
4.5V∼36V VINから0.8V∼34V VOUTの
(ほぼ)
完全な昇降圧ソリューションを
15mm 15mm 2.8mmに収めた
μModuleレギュレータ
by Judy Sun, Sam Young and Henry Zhang
リニアテクノロジーは、VOUTがVINの範囲内
に入るアプリケーション向けの多数の高効
率、同期整流式4スイッチ昇降圧DC/DCコ
ンバータのソリューションを提供していま
す。LTM4605、LTM4607およびLTM4609の
μModuleレギュレータはほぼ自足した昇降
圧ソリューションであり、
ピン互換の共通の
15mm 15mm 2.8mmパッケージで供給
されます。パッケージにはコントローラ、4個
のパワーFETおよび多数の他のディスクリー
ト部品が含まれます。高効率昇降圧コン
バータを完成するのに、
外部インダクタ、
セン
ス抵抗、電圧設定用抵抗およびいくつかの
入力コンデンサと出力コンデンサが必要で
す。
VIN
10V TO 36V
OPTIONAL
CLOCK SYNC
4.7µF
×2
50V
ON/OFF
VIN
RUN
PLLIN V
OUT
FCB
+
150µF
×2
35V
VOUT
30V
3A
SW1
SW2
RSENSE
L1: SUMIDA CDEP147
SENSE+
10nF
7mΩ
SS
SGND
SENSE–
PGND
VFB
2.74k
図1.
いくつかの部品だけで、LTM4609を使った10V∼36V入力、30V/3A出力の完全なコンバータを構成
昇降圧コンバータを完成するのにいくつか
の外部部品を必要とするだけです。10V∼
36V入力、30V出力のデザインを図1に示し
ます。
出力電流能力は10V VINで3A、36V入
力で8Aです。
これら3つの昇降圧μModuleレギュレータ
の入力電圧、
出力電圧および電流の仕様を
表1に示します。LTM4609はこのファミリー
の最新のメンバーです。出力範囲が0.8V∼ このコンバータの、降圧モードで最大98%、
34Vの高出力電圧アプリケーションのニー 昇圧モードで95%の効率を図2に示します。
ズを満たします。
高さの低いLGAパッケージの接合部からピ
ンへの熱抵抗は低いので、高い出力電力で
も許容できる接合部温度を保ちます。
最少の部品数で高性能を達成
リニアテクノロジーの全てのμModuleレギュ
レータと同様、LTM4609は広い入力範囲の
VIN = 36V, VOUT = 30V, IOUT = 8A
10µF
×2
35V
L1
3.4µH
LTM4609
VIN = 24V, VOUT = 30V, IOUT = 6A
100
95
EFFICIENCY (%)
はじめに
36VIN
24VIN
10VIN
90
85
80
CONTINUOUS CURRENT MODE
VOUT = 30V
fSW = 275kHz
0
2
4
6
LOAD CURRENT (A)
8
10
図2.30V昇降圧コンバータの効率
VIN = 12V, VOUT = 30V, IOUT = 3A
図3.異なる入力電圧で撮ったLTM4609のサーマルイメージ。LTM4609が左側、
インダクタ
(Sumida CDEP147)
が右側。
ヒートシンクや強制エアフローなし。
周囲温度 = 25℃。
Linear Technology Magazine • March 2009
39
L デザイン・アイデア
LTM4609の優れた熱管理能力と高効率が
結合されることにより、
ヒートシンクや強制
エアフローなしで、最大240Wの出力電力を
供給することができます。3つの異なった入
力電圧と出力で、25℃の周囲温度で撮られ
たサーマルイメージを図3に示します。240W
の出力と36Vの入力では、LTM4609の最大
温度上昇はわずか52.8℃です。
L1
VIN
L1,L2: FAIR-RITE 2518065007Y6
L2
CBULK
100µF
+
CIN1
10µF
CIN2
10µF
VIN
LTM4609
GND
図4.入力πフィルタ付きLTM4609 μModuleレギュレータ
入力リップルの削減
スイッチングDC/DCコンバータの効率を改
善する1つの方法は、MOSFETのターンオン
時間とターンオフ時間を最小にすることで
す。
短い遷移は低いスイッチング損失に対応
します。
ただし、高速過渡は高周波数スイッ
チング・ノイズをもたらし、入力電力ソースを
汚染することがあります。入力電圧リップル
を制限する必要があるアプリケーションで
は、簡単なLC πフィルタを入力側に挿入し
て高周波数入力電圧ノイズを減衰すること
ができます。入力πフィルタ付きのLTM4609
を図4に示します。
フィルタには2個の10μFの
低ESRセラミック・コンデンサと2個の非常
に小さな磁気ビーズが含まれます。
もっと出
力電力の低いアプリケーションでは、1個の
磁気ビーズだけが必要です。
VIN
200mV/DIV
VIN
200mV/DIV
VIN = 10V
VOUT = 30V
IOUT = 3A
10µs/DIV
CBULK = 100µF
CIN1, CIN2 = 4.7µF
5a.
図4に示されている入力πフィルタなしの
入力電圧波形
10µs/DIV
CBULK = 100µF
VIN = 10V
VOUT = 30V
CIN1, CIN2 = 10µF
IOUT = 3A
L1, L2: FAIR-RITE 2518065007Y6
5b.
図4に示されている入力πフィルタ付きの
入力電圧波形
図5.図4に示されている入力πフィルタはMOSFETのスイッチング動作に
よって生じる入力電圧スパイクを効果的に削減する。
図5bは図4に示されているフィルタ付きの入 まとめ
力リップルを示しています。両方の波形とも 昇降圧μModuleレギュレータは使いやす
πフィルタを使った入力リップルの削減を図 100μFアルミ・コンデンサの両端で測定され く、安定化された出力電圧が入力電圧の
5に示します。100μFアルミ電解および2個の ています。入力πフィルタにより入力リップル 範囲内に入るアプリケーション向けの高
4.7μFセラミックの入力コンデンサを使った が67%減少します。
このフィルタには2個の小 性能ソリューションです。15mm 15mm
ときの入力リップルを図5aに示します。
2.8mmのLTM4609は、
ピン互換のLTM4605
さな追加磁気ビーズが必要なだけです。
とLTM4607の入力/出力電圧範囲を広げま
す。LTM4609の高効率設計とともに、先進的
パッケージ・テクノロジーによって、
ヒートシ
表1.LTM4605、LTM4607およびLTM4609の仕様の比較
ンクや強制エアフローなしに、最大240Wの
LTM4605
LTM4607
LTM4609
出力電力を供給することができます。入力電
VIN
4.5V ~ 20V
4.5V ~ 36V
4.5V ~ 36V
圧リップルを低くする必要のあるアプリケー
ションでは、1個か2個の小さな磁気ビーズ
0.8V ~ 34V
VOUT
0.8V ~ 16V
0.8V ~ 24V
を挿入することにより簡単なπフィルタを追
5A
5A
4A
加して、高周波数の入力ノイズを大幅に削
(12A in buck mode)
(10A in buck mode)
(10A in buck mode)
IOUT
減することができます。L
Package
15mm × 15mm × 2.8mm LGA
LT3755/56、32ページから続く
最小PWMオン時間およびオフ時間は、他の ト・モードの回路動作は、部品に損傷を与え
回路の場合と同様1μsです。
出力の短絡回路 ることなく、無期限に続くことができます。
フォールトの波形を図7に示します。
スイッチ
電流が設定リミットの10Aまでランプアップ まとめ
するとき入力電流は制御された状態に留ま LT3755とLT3756はLEDコントローラに並外
わずか1μsの狭いPWM
り、次いで、LED抵抗によって検出される電 れた性能を提供し、
流が1.5Aにランプダウンする間次のいくつ パルス幅を発生し、可聴範囲を超える周波
かのサイクルをスキップします。
このフォール 数で50:1のPWM調光を可能にします。他の
40
特長には、
オープンLED保護、
オープンLED
の状態インジケータ、
およびアナログ入力を
介したLED電流のプログラミングが含まれ
L
ます。
Linear Technology Magazine • March 2009
注目の新製品 L
注目の新製品
出力切断付きマイクロパワー
低ノイズ昇圧コンバータ
LT3495/LT3495B/LT3495-1/LT3495B-1は、
パワースイッチ、帰還抵抗、
出力切断回路を
内蔵した低ノイズ昇圧コンバータです。
デバ
イスはピーク・インダクタ電流とスイッチのオ
フ時間を変えることによって電力供給を制
御します。
この新しい制御方式により、広い
負荷範囲にわたって低出力電圧リップルと
高効率を達成します。
3mm DFNの、
出力切断付き、
デュアル550mA、1MHz同期整流式
3mm
昇圧レギュレータ
LTC3535はデュアル・チャネルの1MHz、電
流モード同期整流式昇圧DC/DCコンバー
タで、出力切断とソフトスタートを内蔵して
います。LTC3535の内部550mAスイッチは、
起動時0.7V/動作時0.5Vから5Vの入力電
圧範囲から最大5.25Vの出力電圧を供給す
るので、1セルまたはマルチセルのアルカリ
/NiMHおよびリチウムイオン/ポリマーのア
LT3495/LT3495-1の場合、
スイッチのオフ時 プリケーションに最適です。LTC3535の各
間は一定のレベルを超えることができない チャネルは個別の電力入力を備えており、
ので、スイッチング周波数が全負荷範囲で 完全に独立しているので、最大の設計上の
たとえば、1つのチャネル
オーディオ帯域を確実に超えます。
この機能 柔軟性を与えます。
はLT3495B/LT3495B-1ではディスエーブル は3.3Vで最大50mAの連続出力電流を供
されているので、軽負荷での効率がもっと 給し、他のチャネルは1個のアルカリ・セルか
高くなります。LT3495/LT3495BとLT3495- らマイクロコントローラに給電するため1.8V
1/LT3495B-1の違いはスイッチ電流制限の で最大100mAを供給することができます。
レベルです。LT3495/LT3495Bの標準ピー 1MHzのスイッチング周波数は外部部品の
ク電流リミットは650mAですが、LT3495- サイズを最小に抑え、最大94%の効率を与
1/LT3495B-1の標準ピーク電流リミットは えます。小型3mm 3mm DFN-12パッケー
ジと組み合わされて、LTC3535デュアル・
350mAです。
チャネル昇圧コンバータはハンドヘルド・ア
LT3495シリーズにはシャットダウン時に負 プリケーションで必要なフットプリントの小
荷を入力から絶縁する出力切断用PMOSが さな効率的なソリューションを与えます。
備わっています。正常動作の間、PMOSを通
る最大電流はデバイス内部の回路によって Burst Mode®動作は静止電流をわずか18μA
制限され、
デバイスが出力の短絡を耐え抜く (両方のチャネル)
に下げ、ハンドヘルド・ア
のに役立ちます。
プリケーションでバッテリの動作時間を延
ばします。LTC3535は、小さなソリューショ
LT3495シリーズの入力電圧範囲は2.5V∼ ン・サイズと最大のバッテリ動作時間が決
16Vと広く、出力電圧は最大40Vが可能で 定要因であるハンドヘルト・デュアル昇圧ア
す。
さらに、
デバイスは内部で十分補償され プリケーションに最適です。
ており、非常に小さい出力セラミック・コンデ
ンサで安定に保つことができます。
全てのバッテリ・ケミストリを扱う、
わせると、LTC4012ファミリーは、最大4Aを
バッテリに供給可能で、出力電流レベルが
66Wに近づく非常に小さなフットプリントの
チャージャの設計を容易にします。
LTC4012ファミリーは、
リニアテクノロジーの
LTC4008に見られる、実績のある疑似固定
周波数、固定オフ時間PWM降圧制御アー
キテクチャを活用しています。
このユニーク
な降圧トポロジーは、負荷電流がないとき
でさえ、
同期整流を伴う連続スイッチングを
実行します。
これは、定電圧充電終了のア
プリケーションで可聴ノイズを防止するの
に重要です。ただし、LTC4012ファミリーは
適応型ゲート・ドライブとともにスイッチング
NFETを使ってオーバーラップ導通損失を
防ぎます。
もっと高い550kHzスイッチング周
波数により、
インダクタのサイズと出力容量
の両方の要件が減少し、95%以上の効率を
提供します。
デューティ・サイクルが20%より
下または80%より上になると、LTC4012はス
イッチング周波数を下げて、
そうでなければ
550kHzで開始されるはずのパルス・スキッ
プを回避します。高いデューティ・サイクル動
作を必要とする低ドロップアウト状態では、
内部ウォッチドッグ・タイマが、LTC4012が
25kHzより下でスイッチングするのを防ぎ、
可聴ノイズを発生することなく、98%の最大
デューティ・サイクルを達成します。入力電流
モニタ機能もあり、入力電源が負荷と共有
されるとき入力電源の過負荷を防ぎます。
LTC4012には4つのバージョンがあります。
LTC4012とLTC4012-3は、
ユーザーが外部
抵抗分割器を使ってプログラム可能な電圧
設定ポイントを提供し、複数のバッテリ・ケ
ミス
トリのサポートを可能にします。
リチウム
理想ダイオードを備えた
他の特長には、低静止電流(アクティブ・ 高電力バッテリ・チャージャ
イオン向けに最適化されているLTC4012-1
モードで60μA、シャットダウン・モードで LTC4012、LTC4012-1、LTC4012-2および とLTC4012-2は、
ピン選択によって1∼4個
0.1μA)、内蔵出力調光、最大スイッチング・ LTC4012-3は高電力降圧バッテリ・チャー の直列セルをサポートします。LTC4012-1
オン時間および低電圧ロックアウトが含ま ジャのファミリーで、全て2 0ピン4 m m
は4.1V/セルの充電を行い、LTC4012-2は
れています。小さなセラミック・コンデンサと 4 m m Q F N パッケージで供 給されます。 4.2V/セルの充電を行います。
出力電圧精度
省スペースの10ピン3mm 2mm DFNパッ LTC4009ファミリーのチャージャに比べて、 は、全温度範囲にわたって標準 0.5%、最
これらのデバイスは、外部で
ケージの組合せにより、LT3495は多くのア 4012ファミリーはIdeal Diode ™入力反転電 大 0.8%です。
内部であれ分圧器によってバッテリか
プリケーション向けのコンパクトなソリュー 流入力保護を追加しており、高効率をさら あれ、
に高い電流レベルに広げています。わずか ら流出する電流をシャットダウン時に除去
ションを可能にします。
な外部部品および外部終了制御と組み合 するスイッチを備えています。
Linear Technology Magazine • March 2009
41
L 注目の新製品
LTC4012ファミリーはロジック・レベルの
シャットダウン制御入力と3つのオープン・ド
レイン状態出力を備えています。
まず、入力
電流制限(ICL)状態フラグで、VINがその電
流能力の95%を超えて動作するとシステム
に通知します。入力電流制限の精度は、全
動作温度範囲にわたって標準 3%、最大
4%です。次はAC接続状態出力で、全ての
動作モードでVINが有効充電範囲内にある
とき表示します。最後は充電状態出力で、
バ
ルクまたはC/10の充電状態を表示すること
ができます。LTC4012の制御入力と状態出
力は、
アナログ電流モニタ出力とともに、
ホス
ト・システムが、必要な前調整、充電終了お
よび安全タイミングの機能を実行するのに
利用することができます。
LT3751、13ページから続く
補助巻線は望みの電気的絶縁境界を与え、
同時に出力ノードからLT3751のFBピンへ
の絶縁された帰還経路を維持します。
レギュ
レータの性能を図12と図13に示します。
完全に絶縁された高電圧入力/出力レギュ
レータは90%を超える効率を実現します。
負
荷レギュレーションは図13bに示されている
ようにすばらしく、
これは主にオプトカプラ回
路の追加利得によります。
まとめ
4.75Vから400Vを超える電圧範囲のどんな
入力電源電圧でも動作可能であり、安全機
能が豊富なので、LT3751は高電圧コンデン
サ・チャージャや高電圧安定化電源に最適
です。実際、LT3751は今のところ、非常に高
い入力電圧で精確に動作可能な唯一のバ
ウンダリ・モードのコンデンサ・チャージャ・
コントローラです。LT3751は
(コストや基板
面積の制約のため)他の方法では実現でき
42
LTC3565はRDS(ON)がわずか0.13Ω(Nチャネ
ルの下側FET)
と0.15Ω(Pチャネルの上側
FET)の内部スイッチを使って、最大95%の
LTC3565は最大1.25Aの連続出力電流を 効率を実現します。低ドロップアウトの100%
供給可能な、3mm
3mm DFN(または デューティ・サイクル動作も利用するので、
MSOP-10E)パッケージの高効率同期整流 VINに等しい出力が可能で、
バッテリの動作
式降圧レギュレータです。LTC3565は最大 時間をさらに延ばします。LTC3565は自動低
4MHzの固定周波数と電流モード・アーキテ リップル(< 25mV P–P)Burst Mode ®動作を
クチャを使って、2.5V∼5.5Vの入力電圧範 利用して、
わずか40μAの無負荷静止電流を
囲で動作するので、1セル・リチウムイオンま 実現します。
アプリケーションがノイズに敏
たはマルチセルのアルカリ/NiCad/NiMHの 感な場合、低ノイズ・パルス・スキップ・モー
アプリケーションに最適です。
わずか0.6Vの ドを使ってBurst Mode動作をディスエーブ
出力電圧を発生することができるので、最新 ルすることができ、
このモードでもわずか
世代の低電圧DSPやマイクロコントローラ 330μAの静止電流を実現します。LTC3565
に給電することができます。独立したRUNピ はその全周波数範囲にわたって外部クロッ
ンは簡単なターンオンとシャットダウンを可 クに同期させることができます。他の特長に
能にします。
そのスイッチング周波数はユー は 2%の出力電圧精度と過温度保護が含
ザーが400kHz∼4MHzにプログラム可能な まれています。L
ので、設計者はノイズに敏感なクリティカル
周波数帯域を避けつつ効率を最適化するこ
とができます。3mm 3mm DFN-10(または
MSOP-10)
パッケージと高いスイッチング周
波数の組合せにより、外部インダクタとコン
デンサを小さくすることができ、非常にコン
パクトで熱効率の良いフットプリントが得ら
れます。
100
0.5
95
OUTPUT VOLTAGE ERROR (V)
LTC4012ファミリーのフォールト管理システ
ムは、様々な条件で充電を直ちに一時停止
します。
まず、バッテリ過電圧に対する保護
で、
これはバルク充電中にバッテリ負荷が突
如取り去られると生じることがあります。2番
目として、各デバイスは内部過温度保護機
能を備えており、高温動作時のシリコンへの
損傷を防ぎます。
最大1.25Aを供給する、
3mm 3mm DFNの4MHz同期整流式
降圧DC/DCコンバータ
EFFICIENCY (%)
充電電流のプログラミングには1個の外部
抵抗だけが必要です。
90
85
80
POUT = 63W
POUT = 48W
POUT = 25W
75
70
100
120
140
160
180
200
INPUT DC VOLTAGE (V)
a. 効率
0.25
0
–0.25
–0.5
0
50
100
150
200
250
IOUT (mA)
b. 負荷レギュレーション
図13.完全に絶縁された高電圧レギュレータの性能
ない多くの機能を一体化することにより設
計を簡素化します。
いくつかのデザインがこ
こに示されていますが、LT3751には1つの記
事では説明しつくせない多くの他の特長を
備えています。利用可能な全ての機能の詳
細については、
データシートを参照するか、
弊社にお問い合わせください。L
Linear Technology Magazine • March 2009
デザイン・ツール L
www.linear-tech.co.jp
MyLinear
(www.linear-tech.co.jp/mylinear)
製品情報と
アプリケーション情報
MyLinearは、
あなたのお気に入りのLTC製品、
カテゴ
リー、
製品一覧、
問合せ情報などを保存するための、
カスタム化できるホームページです。
MyLinearのアカ
ウントを作成すると以下のことができます。
弊社の全製品とアプリケーションに関する情報が
www.linear-tech.co.jpに一覧されており、ダウンロ
ードすることができます。情報には以下のものがあ
ります。
• 問合せ情報を保存し、更新します。サンプルをリ
クエストする度に住所を再入力する必要がなく
なります。
データシート ̶ 完全な製品仕様、
アプリケーション
情報および設計のヒント
• Linear Insider電子メール・ニュースレターとリニアテ
クノロジー・マガジンの購読を編集します。
アプリケーションノート ̶ 一般的なアプリケーシ
ョン分野のソリューション、理論および設計のヒン
トの詳細な解説
• 将来参照するためにお気に入りの製品とカテゴリ
ーを保存します。
デザインノート ̶ ソリューションに固有の設計上の
アイデアや回路のヒント
デザインサポート
パッケージング
(www.linear-tech.co.jp/packaging)̶
パッケージングのページを開いて、
リニアテクノロジ
ーのパッケージの全種類の完全な情報をご覧下さ
い。情報にはパッケージ寸法とフットプリント、パッ
ケージのクロスリファレンス、
トップ・マーキング、物
質宣言、
アセンブリ工程などが含まれます。
品質保証と信頼性
(www.linear-tech.co.jp/designtools/quality)
̶ リニアテクノロジ ーのQ u a l i t y, R e l i a b i l i t y &
Service( QRS)
プログラムの根本理念は、最良の品
質、オンタイム・デリバリおよびサービスで、最も技
術的に進んだ製品を製造することにより、100%の
顧客満足度を達成することです。品質保証と信頼
性のページを開いて、
リニアテクノロジーの全製品
とプロセスの完全な信頼性データをご覧下さい。
組立と製造のフローチャート、品質と環境の証明、
テストの標準規格および文書一式および不具合調
査の方針と手順に関する完全な文書一式も用意さ
れています。
• お気に入りのパラメータ・テーブルを保存します。 LTクロニクル ̶ 特定の最終市場向けLTC製品の月
列、
フィルタおよび並べ替えの条件を編集してテ 間製品紹介
ーブルをカスタム化し、将来利用するため設定を
製品プレスリリース ̶ 新製品が常時発表されま
保存します。
す。
• サンプルの履歴と出荷状況を一覧表示します。
鉛フリー(www.linear-tech.co.jp/leadfree)̶ リニア
ソリューション小冊子 ̶ オートモーティブ・エレクト
テクノロジーの鉛(Pb)
フリー・プログラムとRoHS準
MyLinearアカウントの利用は簡単です。www.linear- ロニクス、
高速ADC、
LEDドライバ、
ワイヤレス・インフ
拠に関する完全な情報
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インダストリアル・シグナルチェーン、
ださい。
ハンドヘルド製品、
バッテリ・チャージャ、
およびテレ
コムと産業用DC/DC変換のアプリケーション
製品購入
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は強力なSPICEシミュレータおよび回路図キャプチ
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スイッチング・レギュレータのシミュレ
ーションを高速化し、簡単化するように特に設計さ
れています。LTspice / SwitcherCAD IIIには以下のもの
が含まれています。
並べ替え可能なパラメータ・テーブル ̶リニアテク
ノロジーのどの製品ファミリーも表形式で見ること
ができますので、1つまたは多くの機能パラメータに
よって並べ替えやフィルタ処理が可能です。
• 完備した使いやすい回路図キャプチャ・ツールと
波形ビューア
• スイッチング・レギュレータのシミュレーション用に
特に設計された強力なSPICEシミュレータ
アプリケーション、
ソリューション ̶ 多様な車載、 • LTCの高性能リニア・レギュレータ、
オペアンプ、
コン
通信、産業および軍用アプリケーションのブロック
パレータ、
フィルタなどの多くのモデルとともに、
リニ
図をご覧下さい。機能ブロックをクリックすると、
そ
アテクノロジーのスイッチング・レギュレータのほと
の機能に関連するリニアテクノロジーの品揃えの
んどのマクロモデル
完全なリストが表示されます。
• リニアテクノロジーの最も人気の高い100を超える
製品のすぐ使えるデモ用回路
FilterCAD ̶ FilterCAD 3.0はリニアテクノロジーのフ
ィルタICを使ってフィルタを設計するためのCADプ
ログラムです。
Noise Program ̶ このプログラムにより、
ユーザーは
LTCのオペアンプを使った回路のノイズを計算し、
低
ノイズ・アプリケーションに最適のLTCのオペアンプ
を決定することができます。
SPICEマクロモデル・ライブラリ ̶ ライブラリには、
どんなSPICEシミュレーション・パッケージでも使
えるLTCオペアンプのSPICEマクロモデルが含まれ
ています。
Linear Technology Magazine • March 2009
43
SALES OFFICES
North America
NORTHERN CALIFORNIA /
NEVADA
Bay Area
720 Sycamore Dr.
Milpitas, CA 95035
Tel: (408) 428-2050
Fax: (408) 432-6331
Sacramento / Nevada
2260 Douglas Blvd., Ste. 280
Roseville, CA 95661
Tel: (916) 787-5210
Fax: (916) 787-0110
PACIFIC NORTHWEST
Denver
7007 Winchester Cir., Ste.
130
Boulder, CO 80301
Tel: (303) 926-0002
Fax: (303) 530-1477
Portland
5005 SW Meadows Rd., Ste.
410
Lake Oswego, OR 97035
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Fax: (503) 520-9929
Salt Lake City
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Germany
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Via Colleoni, 17
I-20041 Agrate Brianza (MI)
Italy
Tel: +39 039 596 5080
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UNITED KINGDOM
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FINLAND
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Tel: +358 (0)9 2517 8200
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FRANCE
Linear Technology S.A.R.L.
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94518 Rungis Cedex
France
Tel: +33 (1) 56 70 19 90
Fax: +33 (1) 56 70 19 94
リニアテクノロジー株式会社 http://www.linear-tech.co.jp
本 社 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル8F
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Linear Technology Magazine • March 2009
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