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都市計画マスタープラン本編 (サイズ:7.62MB)

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都市計画マスタープラン本編 (サイズ:7.62MB)
都市計画マスタープランは、
都市づくりの具体性あ
「人と地域とがつながる魅力あふれるまち」「市民
る将来ビジョンを確立するうえで非常に重要な役割
みんなでつくるみんなのまち」の 4 つのテーマで構
を担う指針です。本市では、平成 8 年に、『東大阪
成し、それぞれのテーマが示すまちを実現するため
市都市計画マスタープラン』を策定し、都市づくり
に、さまざまな部門が連携して取組めるよう、取組
を総合的にすすめてまいりました。総合庁舎の建設
みのあらましを横断的に記載しております。
をはじめとする新都心の整備、駅前の再開発、近鉄
また、これからは地域が主体的に地域のことを決
奈良線の高架化や JR おおさか東線の建設、道路・公
める時代です。そのため「市民の、市民による、市
園・下水道といった都市基盤の整備など、どれをと
民のための計画」として後期基本計画を定めました。
っても、今日のわたしたちの、安全で快適な生活の
都市づくりにおいても、その主役は市民のみなさま
実現には欠かせないものばかりです。
であり、市民主役の都市づくりのありかたについて
その一方で大きく変化する社会経済状況に対応す
詳しく記述いたしました。
るため、東大阪市第2次総合計画を平成 15 年にスタ
本マスタープランに基づく都市づくりの実現にむ
ートさせ、平成 22 年には、第2次総合計画後期基本
けて、本市は全力を挙げて取組んでまいります。ま
計画を策定いたしました。人口減少や少子高齢化、
た、市民や事業者のみなさまをはじめ、関係する方々
地方分権の進展など、都市づくりもその方向を大き
とも協働して取組んでいけるよう、環境の整備に努
く変えることが求められております。また地球規模
めてまいりますので、より一層のご理解とご協力を
の環境問題や大規模地震などの自然災害に対する備
賜りますようお願い申し上げます。
えなど、すぐにも対応の迫られている課題にも直面
している状況です。
最後に、本マスタープランの改定にあたって、貴
重なご意見やご提言をいただきました、市民や事業
このような状況に対応しながら、第2次総合計画
者のみなさま、見直し検討委員会委員のみなさまを
がえがく将来都市像を都市計画の分野で実現するた
はじめ、ご協力いただいた関係者のみなさまに厚く
め、「歴史と文化を活かした『住み、働き、学び、
お礼を申し上げます。
憩い、楽しむ』環境の調和」を基本目標に、本市が
すすめる、これからの都市づくりの基本的な方針と
して、このたび、『東大阪市都市計画マスタープラ
は じ め に
平成 25 年 3 月
東大阪市長 野 田 義 和
ン』を改定いたしました。
新しいマスタープランは、「いきいき暮せる安全
で快適なまち」「創造性あふれる活力のあるまち」
i
も
く じ
はじめに
序
1-6
Ⅰ
7-30
Ⅱ
都市の将来像を共有しあって都市づくりに取組みます
44
同じ目標のもとに連携しあって体系的に取組みます
都市計画でいう「まちづくり」ってなに?
2
どうして都市計画マスタープランなの?
2
都市計画マスタープランをなぜ見なおすの?
3
どんな都市計画マスタープランにするの?
4
都市計画マスタープランをどう見なおすの?
5
どこにどんなことが書いてあるの?
6
東大阪ってどんなまち?
8
東大阪のまちはどうやってできたの?
12
東大阪の都市づくりはいま、どこまですすんでいるの?
14
くらしている人は東大阪の都市づくりをどう思っているの?
19
東大阪の都市づくりはこれまで、どうすすめられてきたの?
20
東大阪の都市づくりはいま、どんな問題をかかえているの?
45
【テーマ1】
いきいきと暮せる安全で快適なまち・東大阪
46
【テーマ2】
創造性あふれる活力のあるまち・東大阪
54
【テーマ3】
人と地域とがつながる魅力あふれるまち・東大阪
62
都市づくりを担える主体になるよう段階的に取組みます
43-76
Ⅳ
東大阪の都市づくり ~これまでとこれから~
【テーマ4】
72
市民主役の都市づくりにむけて
77-84
Ⅴ
市民みんなでつくるみんなのまち・東大阪
71
都市づくりの区分に応じ役割を分担して協力しあいます
78
都市づくりを協働ですすめるための体制を整えます
80
市民が主役になって地域づくりをすすめます
81
都市計画マスタープランを推進しよう
都市計画マスタープランをPRします
86
23
テーマごとに取組む都市づくりをすすめます
86
都市づくりをとりまく社会のありかたはどう変ったの?
25
市民主役の都市づくりにむけ、しくみづくりをすすめます
93
東大阪の都市づくりはこれから、どうすすめるの?
28
用語解説
わたしたちはこんな都市づくりをめざします
基本方針③
基本方針④
都市間や地域間のむすびつきを強め
人・モノ・情報の交流をさかんにします
水・みどり・歴史のネットワークを形成し
都市内にうるおいを導入します
いきいきと暮せる安全で快適な生活の場と
創造性あふれる活力のある生産の場を形成します
将来の都市のカタチを市民みんなでえがき
得意の分野で持てる力をだしあって実現します
社会状況の変化にも対応できる都市のありかたを検討します 94
85-94
東大阪がめざす都市づくり
基本方針②
ii
テーマごとに取組む都市づくり
都市計画マスタープランを見なおす
基本方針①
31-42
Ⅲ
i
32
34
36
38
41
95-102
A
都市計画・建築・都市づくり関連
95
B
都市防災関連
97
C
みどり・景観・環境関連
98
D
地方自治・市民参加関連
100
E
経済・産業関連
101
F
その他
102
序 都市計画マスタープランを見なおす
「まちづくり」というコトバは、いろいろなところで、さまざまな意味に使
われていますが、都市計画では、土地利用の調整を意味します。
みんなが力をあわせて都市づくりをすすめるためには、その総合的な指針
となる都市計画マスタープランをさだめることが必要です。
A01
都市計画で「まちづくり」というと、決めたルールどおりに建物を建て
けれども都市がひろがり、たくさんの人が集まって生活し、おおくの団
たり、道路や公園や下水道といった施設を適切に配置したり、ようするに
体・企業がさまざまな生産活動をおこなうようになると、たんに建物を制
都市全体として土地の使いかたを工夫することで、だれもがくらしやすく、
限し施設の整備を個別におこなうだけでは、都市全体として調和を保つこ
また活発な生産活動ができるように、生活の場と生産の場を整えること、
とがむずかしくなります。
を意味しています。そこで、都市計画でいう「まちづくり」を、これから
「都市づくり」とよぶことにします。
そこで、生活や生産活動の将来のありかたを、たくさんの人やおおくの
団体・企業みんなの共通の夢としてえがいて、それに〈都市〉としてカタ
農村から都市の時代になると、生活の場と生産の場は大きくふたつに分
かれ、しだいに調和をなくし、ときに対立するようにさえなりました。そ
チをあたえ、その実現にむけた大まかな道筋をしめすことが必要になって
きたのです。
A05
こで、生活の場と生産の場を調和させるため、都市全体として土地の使い
そして、それが「都市計画マスタープラン」をさだめる理由です。
かたを調整する、「都市づくり」が必要になってきたのです。
夢にえがいた〈都市〉の実現には、長い道のりを歩きつづけなければな
都市づくりもはじめは、ルールを決めて建てられる建物を制限したり、
りません。その道も太くまっすぐな道ばかりとはかぎらないでしょう。そ
道路や公園、下水道といった施設の配置を決めて個別に事業を実施したり
の長い道のりを、すすむべき方向を見失うことなく、みんなが力をひとつ
していました。
にあわせてすすまなければならないのです。そのための羅針盤となるもの、
それが「都市計画マスタープラン」なのです。
都市としてひとつにまとめる
生活の場
と
生産の場
の統合
都市計画
マスタープラン
∥
方 針
都市づくり
都市が発展
∥
土地利用の調整
都市づくり
∥
土地利用の調整
生活の場
の調整
健康で文化的な
都市生活を送れるように
2
東大阪市都市計画マスタープラン
生産の場
の調整
効率的な生産活動を
おこなうのにふさわしく
+
都市づくり
∥
土地利用の調整
序 都市計画マスタープランを見なおす
東大阪市も、都市計画マスタープランをさだめて都市づくりをすすめてき
ましたが、社会状況の大きな変化もあって今回見なおすことにします。
ここで、「都市計画マスタープラン」とは、都市計画法第 18 条の 2 の
「市町村の都市計画に関する基本的な方針」のことをさしています。
東大阪市は、1996(平成 8)年に『東大阪市都市計画マスタープラン』を
さだめて都市づくりを総合的にすすめ、現在まで、それなりの成果をあげ
それは、市町村のすべての計画の基本となる「総合計画」の将来都市像
てきました。いっぽうで、目標としていた年をすでに数年が過ぎてしまっ
を、都市計画の分野で実現しようとするもので、市町村がすすめる都市づ
ています。その間、2003(平成 15)年から『東大阪市第2次総合計画』が新
くりの総合的な指針です。
し くスタ ート し、ま た『東 部大 阪都市 計画区 域マ スター プラン 』が
そのため、「総合計画」がしめす方針にそって、生活の場と生産の場の
調整のしかたをさだめ、また都道府県が都市計画区域ごとにさだめる広域
的な方針「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(=都市計画区域マ
2004(平成 16)年に決定され 2011(平成 23)年には見なおされるなど、上位
計画の内容とあわないところも出てきています。
日本の人口が減りはじめた現在、これまで都市をひろげる方向ですすめ
A05
スタープラン)」にあわせることが必要です。
てきた都市づくりも、その方向を大きく変えることが必要になってきまし
C14
また、「都市計画マスタープラン」は、用途地域や道路・公園・下水道
た。そのほかにも地球温暖化など環境問題が大きくとりあげられ、大地震
といった個別の都市計画を市町村が決めたり変更したりするときの指針と
など自然災害の発生の危険性も高まっています。また産業の空洞化や地方
なり、地域で都市づくりをすすめるにあたって、住民の合意を図るための
分権の進展など、都市づくりをめぐる社会のありかたは大きく変りつつあ
よりどころとなるものです。
ります。それにあわせ、東大阪市の状況も大きく変ろうとしています。
E04
そのため、都市計画マスタープランを見なおすことが必要になっている
のです。
市町村総合計画
1995
即する
マ都
ス市
タ計
ー画
プ区
ラ域
ン
即
す
る
都市計画マスタープラン
反
映
即する
即
す
る
市町村が決定する
個別の都市計画
反
映
2000
96 東大阪市都市計画
マスタープラン策定
住
民
の
意
見
等
92 都市計画マスタープラン制度
95 阪神淡路大震災
2005
2010
03 東大阪市第2次総合計画
基本構想 前期基本計画
10 東大阪市第2次総合計画
後期基本計画
04 東部大阪都市計画
区域マスタープラン策定
11 東部大阪都市計画
区域マスタープラン改定
00 都市計画区域マスタープラン制度
02 都市計画提案制度
06 まちづくり三法改正
00 東海豪雨
01 水防法改正
97 密集市街地整備法
04 景観法
99 地方分権一括法
98 NPO法
11 東日本大震災
08 歴史まちづくり法
11 地域主権改革一括法
3
「つくる」から「つかう」へ、都市づくりの方向転換にむけて、社会状況の変
化や都市づくりの課題、市民主役の都市づくりに対応したものにします。
A06
A03
東大阪市では 1995(平成 7)年に、市街化区域に占める人口集中地区の割
合が 99%に達し、市街化区域のほとんどが人口集中地区になりました。
でも人口が減りはじめているいま、さらに市街化区域をひろげて、そこに
市街地を新しく開発するよりも、すでに市街化されているところを再開発
■都市計画マスタープラン見なおしの方針■
新しい時代に求められる都市づくりを見すえ、東大阪の課題をひとつ、またひ
とつと、市民が主役になって解決してゆく、
――― そんな都市づくりの方向性をしめします。
してつくりかえることのほうが重要になってきました。
そのうえ財政状況がきびしくなり、再開発するのも、おおくの建物を一
●社会のありかたの変化に対応します━━━━━━━━━━━━━━
度に壊して、はじめからつくりなおすようなやりかたから、小さな事業を
都市づくりをめぐる社会のありかたが大きく変化してきています。歩い
ひとつ、またひとつと積重ねながら、少しずつ手なおししてゆくようなや
て暮せるまちへの転換、地球環境にやさしい都市づくり、災害に強い都市
りかたへ変えてゆくことが大切です。
の実現、多様な主体による協働など、これからの新しい時代に求められる
つまり、これまでのような「つくる」都市づくりから、都市をつかいな
都市づくりに対応したものにします。
がら、もっとつかいやすくなるように少しずつつくりかえてゆく「つか
う」都市づくりへ、都市づくりのやりかたを転換してゆく必要があるので
す。そして、都市をつかうのは、その都市で住み働き学んでいる市民なの
●東大阪の都市づくりの課題に対応します━━━━━━━━━━━━
東大阪市は、1996(平成 8)年に都市計画マスタープランをさだめ、総合
ですから、市民が主役になって都市づくりをすすめてゆくことが大切です。
的に都市づくりをすすめてきました。けれども残された課題や新しく生れ
そこで、次の方針にそって、都市計画マスタープランを見なおすことに
た課題もあります。これからの市街化の動向を見さだめながら、東大阪の
します。
都市づくりの課題に対応したものにします。
新市街地の開発
クリアランス型の再開発
つくる
既成市街地の再開発
修復型の再開発
都市づくりの
やりかたの転換
●市民が主役になる都市づくりに対応します━━━━━━━━━━━━
価値観やニーズが多様化するなか、生活の豊かさを実感できる都市を求
つかう
めて、都市づくりに参加する市民が増えています。市民が主役になってす
すめる都市づくりに対応したものにします。
都市をつかうのは
そこに住み働き学んでいる市民
市民主役の都市づくりへ
4
東大阪市都市計画マスタープラン
序 都市計画マスタープランを見なおす
およそ20年後の都市の将来像をテーマに、テーマごとの体系的な指針とし
てまとめます。また市民主役の都市づくりのしくみを検討します。
今回の都市計画マスタープランは、目標年次を、おおむね 20 年後の
2030(平成 42)年とさだめて、中長期的な将来像をしめすものとし、次の
ような視点にたって見なおしをおこないます。
また上位計画が見なおされる 2020(平成 32)年を中間年次として必要な
見なおしをおこないます。
そのほか、社会や経済のありかたが大きく変化して都市づくりの方向性
を大きく変えなければならないばあいや、現在検討をすすめている協働の
●改定された上位計画にあわせます━━━━━━━━━━━━━━━
『東大阪市第2次総合計画』と『東部大阪都市計画区域マスタープラ
しくみづくりについて方向性が示されたばあいなどは、必要に応じた見な
おしをおこなうこととします。
ン』にあわせたものにします。また、総合計画後期基本計画や大阪府が決
める広域的で根幹的な都市計画、そのほか関連する計画との整合を図りま
す。
目標年次
●目標とする都市のありかたをテーマとしてテーマごとの方針をまとめます━━
2030年
これまでは、「つくる」都市づくりだったことから、土地利用や交通・
みどり・下水道・住宅など行政部門にあわせた方針として都市計画マスタ
中間年次
ープランをまとめてきました。これからは、「つかう」都市づくりにむけ
2020年
て、目標とする都市のありかたをテーマとする、テーマごとの体系的な方
針としてまとめます。
●東大阪市総合計画の見なおし
●東部大阪都市計画区域マスタープランの見なおし
●市民が主役になってすすめる都市づくりのしくみを検討します━━━━
とくに地域における都市づくりは、その地域に住み働き学んでいる市民
現 在
が、自分たちで地域の将来のありかたを考え、その実現にむけて取組んで
ゆくことが求められています。そのため、地域ごとの方針はさだめず、地
域ごとの方針を、その地域の市民みずからが決めることのできる、そんな
都市づくりのしくみを検討します。
5
Ⅰは主要課題、ⅡとⅢは基本方針とテーマ別方針、Ⅳは市民主役の都市づ
くりの考えかた、Ⅴは行政の取組みのあらましが書いてあります。
この都市計画マスタープランは、序章をのぞいて 5 つの章で構成してい
ます。
●Ⅰ章には…… 東大阪のまちのなりたちをふり返りながら、東大阪の
①社会のありかた
の変化に対応
②東大阪の都市づくり
の課題に対応
③市民主役の
都市づくりに対応
まちがどのようにつくられてきて、そのなかでどんな問題が生れてき
「つくる」から「つかう」へ ~都市づくりの転換
たのか、そして、これから都市づくりをすすめてゆくうえで、なにが
課題なのかを整理してあります。
●Ⅱ章には…… 『東大阪市第2次総合計画基本構想』をふまえ、わた
したちがめざすべき都市づくりの方向性を、基本方針としてまとめて
東大阪市都市計画マスタープラン
東大阪市第2次総合計画
基 本 構 想
Ⅱ 東大阪が
めざす
都市づくり
上位計画
との整合
Ⅰ 東大阪の
都市づくり
Ⅲ テーマごと
に取組む
都市づくり
テーマごとの
体系的な指針
Ⅳ 市民主役の
都市づくり
にむけて
市民主役の
都市づくりの検討
あります。このⅡ章の基本方針を実現するための具体的な取組みの方
向性をまとめたものが、つづくⅢ章とⅣ章です。
●Ⅲ章には…… Ⅰ章で整理した都市づくりのおもな課題をふまえて、
~これまでとこれから~
わたしたち市民が共有しなければならない都市の将来像をテーマとし
て設定し、テーマごとに取組みの目標をかかげて、その実現にむけた
取組みの方向とあらましをしめしてあります。
●Ⅳ章には…… Ⅲ章にしめした取組みをすすめるためには、多様な主
体が役割を分担しあい力をあわせることが大切です。そこで、これま
で行政がおもに担ってきた都市づくりを、市民が主役となってすすめ
る都市づくりへ変えてゆくための基本的な考えかたをしめしています。
●Ⅴ章には…… Ⅲ章とⅣ章の取組みのうち、行政がこれからすすめて
ゆく取組みのあらましをまとめています。
6
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅴ 都市計画
マスタープラン
を推進しよう
Ⅰ 東大阪の都市づくり ~これまでとこれから~
およそ50万の人がくらす東大阪は、交通の便もよく、工業と商業がさかん
で、「ラグビーのまち」「モノづくりのまち」として有名です。
●およそ 50 万の人がくらすまち━━━━━━━━━━━━━━━━━
東大阪市には 2010(平成 22)年現在、50 万 9533 人、21 万 7762 世帯がく
東大阪市は、淀川と大和川にはさまれた大阪府の中央部の東側にあって、
E01
大阪市、大東市、八尾市、そして奈良県と隣りあう、面積 61.81km2 の都
ら し てい ます 。人 口も 世帯 数も 高度 成長期 に 急増 した あと、 人 口は
市です。
1975(昭和 50)年をピークに減りはじめ、世帯数はなお増えつづけています。
A04
その東端は南北に生駒山地がつらなり、西側には平地がひろがっていま
す。平地には、恩智川が生駒の山麓にそって谷川の水を集めながら北上し、
やってきて働いたり学んだりしています。
年齢別の人口割合は、14 歳までの年少人口が 13%、また 65 歳以上の老
第二寝屋川と長瀬川が西部の市街地のなかを南から北西へ流れています。
また寝屋川が北部をかすめて西へ流れています。
A04
夜間人口にくらべ昼間人口のほうが多く、ほかの都市からたくさんの人が
年人口が 24%、15 歳~64 歳までの生産年齢人口が 64%です。年少人口は
1975(昭和 50)年をピークに、また生産年齢人口は 1995(平成 7)年をピーク
に、その後、それぞれ減っていますが、老年人口は増えつづけ少子高齢化
のすすんでいることがうかがえます。
人口と世帯数
万
50
50
250
5
40
200
30
150
20
100
10
50
0
0
老年化指数
2010
2005
2000
1995
1990
1985
1980
2010
0
1995
0
1975
1
1955
10
1935
2
1920
20
1975
3
1970
30
1965
人口
世帯数
世帯当り人員
人口
4
世帯当り人員
40
人口・世帯数
年齢別人口
万
(国勢調査)
8
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅰ
●遠くまでつながっているまち━━━━━━━━━━━━━━━━━
東大阪市には、近鉄奈良線、近鉄大阪線、近鉄けいはんな線、JR 学研
都市線、JR おおさか東線、地下鉄中央線の 6 つの鉄道路線が走り 22 箇所
A19
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●工業と商業がさかんなまち━━━━━━━━━━━━━━━━━━
15 歳以上でなんらかの職業についている人は、およそ 21 万 8 千人いて、
そのうち、農業など第一次産業が 0.3%、製造業を中心とする第二次産業
に 25 の駅があります。鉄道はそれぞれ、東は奈良やけいはんな学研都市
が 28.9%、サービス業や小売業といった第三次産業が 62.7%で、第三次産
へ、西は大阪市内や阪神方面へつながっています。
業の割合が高くなっています。
また広域交通をになう道路が縦横に整備されています。自動車専用道路
第一次産業の占める割合は高度成長期にはいると急速に減りはじめ、
では近畿自動車道・阪神高速道路東大阪線・第二阪奈有料道路が、また主
1975(昭和 50)年には 1%を割りこんで、なお年々減りつづけています。ま
要幹線道路では国道 308 号・国道 170 号・府道大阪中央環状線があります。
た第二次産業の割合は高度成長期にピークをむかえたあと、少しずつ減っ
ています。その反対に、第三次産業の割合は年々増えています。
産業別就業者の構成割合
15歳以上の産業別就業者人口
第一次産業
0.3%
その他
8.1%
第二次産業
28.9%
21万8406人
第三次産業
62.7%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2010
2005
2000
1995
1990
1985
1980
1975
1970
1965
1960
1955
第一次産業
第二次産業
第三次産業
(国勢調査)
9
東大阪市の農業は、古代から現在まで米を中心に栽培されてきました。
東大阪市の工業は、明治になって河内木綿が衰退するいっぽうで、鉄
江戸時代の大和川付替で開発された新田では、木綿の栽培がさかんにおこ
線・金網・作業工具・鋳物などの地場産業が発達しました。戦後はボル
E06
F03
なわれ、「河内木綿」として有名になりました。明治になると、それも衰
ト・ナット等の工業が加わり、その後、機械金属関連やプラスチック製品
退し、かわって小松菜・ほうれん草・ネギ・春菊などの野菜や菊などの花
の製造業が増えています。いろいろな業種が集まり有機的なネットワーク
をつくるようになって、田畑が減りつづける現在でも、比較的安定した農
を確立している製造業も、バブル経済が崩壊したころから、事業所数も従
業経営がおこなわれています。
業者
E02
E10
2010(平成 22)年の農家の数は 689 戸、経営耕地面積は約 102ha で、
1990(平成 2)年の値を 100 とすると、農家の数は 50、経営耕地面積は 25、
E03
数も製造品出荷額もともに減りつづけ、近年は、グローバル化などによ
る産業の空洞化の影響もあって工場の移転や廃業がすすんでいます。
2010(平成 22)年現在、従業者 4 人以上の事業所については、2939 の事
とそれぞれ大きく減少しています。
業所があり、そこで 4 万 8153 人が働き、製造品出荷額等は 9832 億円とな
っています。
事業所数と製造品出荷額等
農家数と経営耕地面積(指数)
1400
800
600
1000
400
200
60
70
60
69
55
58
50
40
農家数
経営耕地面積
8000
20000
6000
15000
4000
10000
2000
5000
32
25
20
2010
2005
2000
0
1995
2010
1990
2005
1985
2000
1980
0
1995
1975
0
1990
1970
2010
2005
2000
1995
1985
1985
組替値
1990
1980
1975
0
1970
0
80
事業所数
宅地並み課税の導入
2000
経営耕地面積(ha)
1000
農家数
農家数(戸)
25000
製造品出荷額等
事業所数
1200
経営耕地面積
1990年の値を100とした指数
3000
(従業者数4人以上)
10000
100
(世界農林業センサス、農業センサス)
(工業統計調査)
10
東大阪市都市計画マスタープラン
製造品出荷額等(億円)
農家数と経営耕地面積
Ⅰ
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●「ラグビーのまち」「モノづくりのまち」「学生のまち」━━━━━━━━
東大阪市の卸売業は、高度成長期に大阪市からの移転がすすんで大きく
発展しました。それは、長田・本庄地区にあらたな物流拠点として東大阪
近鉄花園ラグビー場は、1929(昭和 4)年に日本最初のラグビー場として
完成しました。「花園」といえば、高校ラガーマンのあこがれの地であり、
E09
流通センターがつくられたことによるものです。けれども、バブル経済が
崩壊し景気の低迷が長期化するなか、それまで大幅に伸びていた商店数も
年間商品販売額も減少傾向にあります。
高校野球の甲子園とならぶ存在として全国的に有名です。
東大阪市は、金属加工や一般機械製造などモノづくりを支える基盤的技
術産業がたくさん集まる「モノづくりのまち」として有名です。高い技術
いっぽう小売業は、鉄道沿線の宅地化がすすんで、商店街や小売市場が
形成されたことにはじまり、高度成長期には駅前を中心に集積がすすみ、
力をもった中小企業が多彩なネットワークをいかして多様な製品を製造す
る「中小企業のまち」としても全国的に知られています。
昭和 40 年代以降は量販店などが立地するようになりました。年間商品販
そのほか、東大阪市には、近畿大学・大阪商業大学・大阪樟蔭女子大
売額は、バブル経済が崩壊したころからゆるやかに減っています。また、
学・東大阪大学・樟蔭東短期大学の 5 つの大学をはじめ多くの学校があり、
減少傾向にある商店数にたいし売場面積が増加しているのは、商店街など
およそ 3 万 2 千人の学生が市内外から通学する「学生のまち」でもありま
の小規模な店舗が減り、量販店等が増えたからでしょう。
す。
8000
20000
6000
15000
卸売業販売額
小売業販売額
卸売店
小売店
4000
10000
2000
5000
2007
2004
2002
1999
1997
1994
1991
1988
1985
1982
1979
1976
1974
0
1972
0
1970
商店数
25000
年間商品販売額(億円)
商店数と年間商品販売額
10000
(商業統計調査)
東大阪にある大学・高校
11
生駒山と旧大和川がつくりだした東大阪は、長い長い農村の時代を経て、
鉄道の開通をキッカケに都市へと大きく発展しました。
●生駒山と旧大和川がつくったまち━━━━━━━━━━━━━━━
B02
東大阪のまちは、ある日突然、現在の姿であらわれたわけではありませ
およそ 120 万年前、断層が活動をくりかえし、平らだった土地が高くも
ん。むかし東大阪にくらしはじめた人びとが、この土地の自然にあわせて、
りあがってできたのが生駒山地です。谷川が山の斜面をけずり、平地にで
その生活のしかたをえらびとり、よりよい生活を求めて自然に働きかけて
たところで土砂をつもらせて、なだらかな扇状地をつくりました。
きた長い長い歴史があり、そのなかで、少しずつかたちづくられてきたも
のです。
生駒山と旧大和川がつくりだした自然のもとで、あるときは大和川の恵
縄文時代の終りごろ、海面が上昇し海が内陸深くはいりこんで、生駒山
地の西側、現在の河内平野は、河内湾とよばれる入海になっていました。
そこに大和川が、南からいくすじにもわかれてそそいでいました。やがて、
みをうけ、あるときは大和川の氾濫と闘いながら、農村として発展した長
海面が下がるとともに、大和川が運ぶ土砂でうまり、河内湾は河内潟から
い時代がありました。近代になって鉄道が開通すると、沿線に住宅地を形
河内湖と小さくなり、江戸時代には新開池や深野池とよばれる池沼になっ
成して駅を中心に商業地が発達し、また道路が整備されると工業地と流通
ていました。
しんが
業務地を形成して、都市として発展してきました。そしていま、新都心を
形成しつつあります。
ふこの
大和川は、たびたび氾濫をくりかえしてきましたが、江戸時代の中頃に
付替えられ、跡地は新田として開発されます。恩智川や楠根川は土砂がた
B08
まって天井川になりましたが、昭和になって、楠根川は第二寝屋川に付替
B12
えられ、恩智川は改修がすすめられ治水緑地も整備されています。
大和川付替前後
12
東大阪市都市計画マスタープラン
恩智川治水緑地
Ⅰ
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●農村地帯として発展したまち━━━━━━━━━━━━━━━━━
●農村から都市になったまち━━━━━━━━━━━━━━━━━━
河内湾がひろがっていたころ、人びとは山麓に小さな集落をつくり、採
明治から大正にかけて、現在の JR 学研都市線や近鉄大阪線・近鉄奈良
集や狩りや漁でくらしていました。海面がさがり、稲作が伝わると、湿地
線があいついで開通し、駅を中心に宅地化がすすみました。また大阪市の
に小さな水田をつくり、集落も平地にうつりました。やがて水田も大きく
周辺は、町工場が立地しはじめ「中小企業のまち」の原型となりました。
なり、濠をめぐらした大きな集落もつくられました。
戦後になっても鉄道からはなれたところは、まだ農地がひろがっていま
F01
古代には条里制が敷かれましたが、その後朝廷は荒地を切り拓いて水田
したが、高度成長期に農地が無秩序に開発されはじめます。そこで、現在
にすることをすすめ、切り拓いた土地を自分のものにすることを認めたの
の国道 308 号の沿道で区画整理を実施することにし、あわせて流通センタ
みずはや F02
で、水走 氏などの開発によって私有の水田がひろがりました。
ーや工業団地を誘致したので、工場や倉庫の立地がすすみました。いっぽ
中世から近世にかけて、南北朝時代、応仁の乱、戦国時代、大坂冬の
う駅周辺は、住宅が密集していて車社会への対応がおくれ、魅力が低下し
陣・夏の陣と、農村地帯はたびたび戦場になりました。当時、大和川は大
てきました。そこで近鉄奈良線の高架化にあわせ布施駅や若江岩田駅、河
雨のたびに氾濫し人びとを苦しめていましたが、江戸の中頃、今米村の中
内花園駅の駅前で再開発をおこないました。
甚兵衛が大和川付替に成功し、鴻池新田をはじめ多くの新田が開発されま
流通センターとして整備された長田・本庄地区をふくむ荒本地区周辺は
した。新田では綿花が栽培され「河内木綿」として全国に名が知られまし
現在、物流ばかりでなく、商業業務をはじめ行政・文化・居住などを集約
た。
した「新都心」としての整備をすすめています。
池島の条理制跡
(昭和 50 年航空写真)
水走氏墓塔
(五条町)
中甚兵衛顕彰碑
(今米公園内)
市街地開発事業の実施
13
新都心や駅前拠点、鉄道などの整備はすすみましたが、市民に身近な生活
空間の整備はあまりすすんでいません。
●新都心の整備がすすみ、近鉄奈良線沿線の拠点整備もすすんだ━━
都市計画マスタープランを策定した 1996(平成 8)年前後から現在までの、
都市づくりの進捗状況をみてみると……
*
近畿自動車道と阪神高速道路、大阪中央環状線と国道 308 号が交差する
長田・荒本地区は、人・モノ・情報が交流する新都心として、「産業・生
活文化交流都市の創生」をテーマに整備をすすめてきました。荒本地区で
まず、新都心の整備がすすみ、近鉄奈良線沿線で駅前再開発をおこなう
は、府営住宅の建替や府立中央図書館の建設にはじまり、総合庁舎やクリ
など拠点の整備もすすんでいます。そのいっぽうで、鉄道沿線にひろがる
エイション・コア東大阪、大型店舗など、都心にふさわしい施設の建設が
B04
密集市街地の整備がおくれ、土地の使われかたが混乱しはじめました。
すすみました。また長田地区では、駅前にふさわしいにぎわいのあるまち
E09
交通施設は、鉄道の整備がすすみましたが、道路の整備がなかなかすす
んでいません。また都市公園の整備はすすめられているものの、市街地の
づくりをすすめるため流通業務団地の一部を廃止して、大型店舗が建設さ
れました。
みどりはまだ十分といえる状況にはありません。処理施設は、下水道事業
JR 学研都市線や近鉄奈良線・近鉄大阪線の駅前は、早くから商店街で
がほぼ完了し、汚物処理場を廃止し、またゴミ焼却場は老朽化で建替が必
にぎわっていましたが、道路の整備がおくれ車社会に対応できなくなると、
要になっています。そのほか、総合庁舎が完成し、公共公益施設などの整
駅前の魅力が失われてきました。そこで近鉄奈良線を高架にするのにあわ
備もすすみました。面整備では、区画整理が完了し、公営住宅の建替や密
せ、布施駅・若江岩田駅・河内花園駅の駅前を再開発して、店舗や事務所、
集市街地の整備をおこなっています。
住宅などがはいった複合ビルを建て、道路や駅前広場などを整備しました。
都市防災では、浸水対策はすすんでいるものの、地震や火災の対策はお
くれています。また都市景観の本格的な取組みはこれからです。
市庁舎
(新都心)
14
東大阪市都市計画マスタープラン
希来里
(若江岩田駅前地区)
パザパはなぞの
(河内花園駅前地区)
Ⅰ
●密集市街地の整備がおくれ、土地の使われかたが混乱しはじめた━━
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●鉄道の整備はすすんだが、道路の整備はなかなかすすんでいない━
2010(平成 22)年の土地の使われかたをみると、市街地の割合が 66%、
2008(平成 20)年、JR おおさか東線の放出-久宝寺間が開通しました。
普通緑地が 7%、農地が 4%、山林が 17%、その他公共施設などが 6%で、
それは、東西方向にかたよっている東大阪の鉄道を、西部で南北方向に連
1994(平成 6)年とくらべ、農地や工場地が減り、一般市街地や商業業務地
絡しました。また中部では、新都心や東西に走る各路線を連絡する大阪モ
などが増えています。
ノレールの整備が期待されています。そのほか南北に鉄道をつなぐ新たな
その分布をみると、市街地が生駒山地間近にせまり、わずかな農地を残
すのみです。流通センターのある新都心では流通業務関連の施設が目立ち、
バス路線が運行をはじめています。
近鉄奈良線は現在、大阪中央環状線から大阪外環状線までの間で、片側
早くから商店街でにぎわっていた駅周辺は商業業務地が集まっています。
の高架化を終え、残るもう片側の高架化をすすめています。また JR おお
JR 学研都市線・近鉄奈良線・近鉄大阪線の沿線には住宅密集地がひろが
さか東線も、地上を走っていた俊徳道駅から南の高架化を終えました。
り、道路や公園などの整備がおくれています。大阪市周辺や国道 308 号沿
道路は、必要性がなくなった長期未着手の区間約 23km を 2006(平成
道に工場地が集まっていますが、以前にくらべ、住宅の混在がすすみまし
18)年に廃止しています。2010(平成 22)年 3 月で、幹線道路の整備に関し
た。そのほか幹線道路沿道への商業施設の立地がすすみ、農地が大きく減
て、約 157km のうち約 70km を終えましたが、整備率は 15 年前の 41%と
少するなど、土地の使われかたが混乱しはじめています。
くらべ 3%上昇したにとどまっています。
土地利用の現況
(平成22年度都市計画基礎調査)
幹線道路の整備状況(2010 年 3 月現在)
15
●都市公園の整備は一定すすんだが、市街地の緑はまだ十分とはいえない━
C01
C02
●下水道がほぼ完了し、ゴミ焼却場は老朽化で建替が必要になっている━━━
生駒山地のほとんどは国定公園や近郊緑地保全区域に指定され、レクリ
下水道は、2010(平成 22)年 3 月で計画排水区域 5159ha のうち 91.5%が
エーションの場として「府民の森」が整備されています。また山麓の住宅
供用され、水洗化率は 93.9%になりました。1949(昭和 24)年からはじめら
C04
地の背景として生駒の景観を守るため風致地区を指定しています。
れた下水道事業もほぼ完了し、今後は老朽化した下水管の対策などが必要
C03
緑のすくない市街地では、川中邸の屋敷林を特別緑地保全地区に、その
C06
になっています。
C06
ほか景観上優れた古木や神社の境内林などを保存樹や保存樹林に、まとま
高度成長期、人口の急増で汚物やゴミの処理にせまられ、都市計画をさ
C05
った農地を生産緑地地区に、それぞれ指定し保全を図っています。
だめて汚物処理場やゴミ焼却場を建設し、大東市と共同で処理してきまし
花園中央公園は計画区域の約 6 割を開設し、近鉄花園ラグビー場をはじ
た。汚物処理場は、下水道が普及してトイレの水洗化もすすみ、施設が老
め、ドリーム 21・市民美術センター・花園セントラルスタジアムといっ
朽化したこともあって廃止しています。また水走にあるゴミ焼却場は、施
た施設を配置しています。公園・緑地は 2010(平成 22)年 3 月で、約 167ha
設の一部がすでに老朽化し建替が必要になっています。
のうち約 126ha を開設し、開設率は 75%になりましたが、住民 1 人当り
の面積にすると、都市計画公園・緑地以外をふくめても 2.76m2 です。
みどりの配置状況(2010 年 3 月現在)
16
東大阪市都市計画マスタープラン
下水道の整備状況(2010 年 3 月現在)
Ⅰ
●総合庁舎が完成し、そのほかの施設の整備もすすんだ━━━━━━
三市合併から 36 年が経って、ようやく総合庁舎が完成しました。また、
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●区画整理が完了し、公営住宅建替や密集市街地の整備をおこなっている━━
昭和 20~30 年代に建てられた、木造の公営住宅は老朽化がいちじるし
B06
若江岩田駅前リージョンセンターが「希来里」にはいり、すべてのリージ
く、建替をすすめています。今後は、1981(昭和 56)年以前の古い耐震基準
F04
ョンセンターが完成しました。市立総合病院が府立中河内救命救急センタ
ーとあわせ開院し、またモノづくりの総合的な支援施設としてクリエイシ
ョン・コア東大阪が開設しました。
で建てられた高層の公営住宅の建替が必要になっています。
高度成長期にはじまった中部地区の区画整理は、約 393ha という大規
模なもので、農地がひろがっていたところに、道路や公園、緩衝緑地、工
そのほか、府立中央図書館や市民美術センター、発掘ふれあい館が開館
業団地などを整備して、1995(平成 7)年完了しました。また生駒山麓の上
し、また東大阪アリーナやスポーツホールかがやきが開館、野外活動セン
四条町地区・上六万寺町地区の区画整理も 2009(平成 21)年に完了してい
ター・自由の森なるかわがオープンしています。
ます。
鴻池新田会所は、重要文化財の指定を受けて、解体修理のあと一般公開
老朽化した木造の賃貸住宅がおおく分布する若江・岩田・瓜生堂地区
B04
されています。また司馬遼太郎記念館が開館しています。
B05
B07
(約 49ha)は、重点密集市街地に指定され、建物の共同化や防災道路の整備
など修復型の事業をおこなっています。
整備計画区域
主要生活道路(計画)
主要生活道路(整備済)
面的建替促進ゾーン
ポケットパーク
若江・岩田・瓜生堂地区
その他の施設の整備状況(1995 年以降)
17
●浸水対策はすすんだものの、地震や火災の対策がおくれている━━━
A09
東大阪市には密集市街地がひろく分布し、約 1645ha を防火地域や準防
A09
●景観づくりの本格的な取組みはこれから━━━━━━━━━━━━
D02
東大阪市は、2005(平成 17)年中核市に移行したことにともない、景観法
C11
火地域に指定していますが、もし大きな地震が起きると、たくさんの建物
にいう景観行政団体になりました。その同じ年、景観づくりをすすめるた
が全半壊し火災があちこちで発生するおそれがあります。こうした密集市
めの基本的な方向をしめした「東大阪市景観形成基本計画」をさだめてい
街地は道路もせまく空地も少ないので、火災がひろがりやすく消防活動も
ます。今後は、基本計画にそって景観法に基づく景観計画をさだめ、景観
むずかしくなることが予想されます。また広域避難地につながる避難路の
づくりの取組みをすすめる必要があります。
C11
整備がおくれています。
また東大阪一帯は、降った雨がそのまま河川に流れこまず、浸水被害が
おこりやすいので、東大阪市をふくむ寝屋川流域では総合的な治水対策を
B12
B13
B14
すすめています。河川の改修はもちろん、遊水地や調節池、地下河川など
を整備し、また大雨が降ったとき、既設の下水管で流しきれない雨水を流
す雨水増補管や、雨水が一時に下水道や河川に流れでるのを防ぐ校庭貯留
施設の整備をおこなっています。
広域避難地と避難路となる道路の整備状況
18
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅰ
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
アンケートでは約1400人の方から回答があり、多くの人が、駅が近くて住
みやすいが身近な生活空間の安全性や快適さには欠けると考えています。
●駅が近くにあって便利でくらしやすい━━━━━━━━━━━━━━
●身近な生活空間の安全性や快適さに欠けている━━━━━━━━━
東大阪市の全体の印象については、「鉄道やバスなど公共交通機関が充
反対に、「そう思わない」「あまりそう思わない」と答えた人がおおい
実している」がもっとも評価が高く、6 割近い人が「そう思う」「ややそ
項目は、「歩行者・自転車等の通行の安全性や快適性が確保されている」
う思う」と答えています。そのほか「生駒山の自然など自然環境がよく保
「水に親しむことのできる水辺や川辺がある」「狭い道路が広げられるな
全されている」「市役所周辺は東大阪市の中心らしく整備されている」
ど、住みよくなっている」「防犯体制がととのい、安心して暮らせる」
「トイレの水洗化が進み、川や水路の水もきれいになっている」について、
「週末に利用するような大規模な公園が充実している」で、5 割を超える
約 4 割の人が高く評価しています。
人がそう答えています。
「総合的にみて、住みやすい」と考えている人が約 4 割と比較的高い評
便利で、たしかに、くらしやすいものの、身近な生活空間での安全性や
価になっています。鉄道駅が近くにあり広域的な拠点などの整備もすすん
快適さには欠けている、と感じています。
で、便利でくらしやすい、と考えられているようです。
(東大阪のまち全体の印象について、どのように感じていますか?)
無回答
そう 3.0%
そう思う
思わない
7.4%
8.6%
20%
40%
ややそう思う
どちらでもない
60%
80%
100%
生駒山の自然など自然環境がよく保全されている
市役所周辺は東大阪市の中心らしく整備されている
あまり
そう思わない
16.5%
0%
鉄道やバスなど公共交通機関が充実している
トイレの水洗化が進み、川や水路の水もきれいになっている
やや
総合的にみて そう思う
住みやすい 30.6%
どちらでもない
33.9%
災害時の避難場所が確保されており、安全に避難できる
病院や保健センターなど医療施設が利用しやすい
駅前周辺は再開発などにより便利で快適になっている
道路がよく整備され、自動車が利用しやすい
公園・遊歩道や街角などの身近な緑が豊かだ
バリアフリー化が進み、駅や公共施設が利用しやすい
高齢者や障がい者のための福祉施設が利用しやすい
保育園など子育て関連施設が利用しやすい
古い建物が密集する住宅地で建替が進み、住みよくなっている
週末に利用するような大規模な公園が充実している
防犯体制がととのい、安心して暮らせる
狭い道路が広げられるなど、住みよくなっている
水に親しむことのできる水辺や川辺がある
歩行者・自転車等の通行の安全性や快適性が確保されている
そう思う
あまりそう思わない
そう思わない
無回答
19
鉄道の開通ではじまった東大阪の都市化は、区画整理で一気にすすみ、そ
の後、鉄道の高架化や駅前再開発、新都心の整備がすすめられました。
東大阪のいまは、鉄道の開通をキッカケに、農村から都市へと発展する
【第Ⅰ期】鉄道の開通から太平洋戦争を経て戦災復興期まで
都市化の過程でつくられてきた結果です。その過程を、次の 4 期にわけて、
【第Ⅱ期】高度成長期
それぞれの時期に、どんな課題が生れ、それにどう対応して都市づくりは
【第Ⅲ期】安定成長期にはいりバブル崩壊を経て阪神淡路大震災まで
すすめられてきたのか、簡単にながめてみましょう。
【第Ⅳ期】阪神淡路大震災以降現在まで
第Ⅰ期
区 分
25
第Ⅱ期
35
45
55
戦後復興期
第Ⅲ期
65
75
高度成長期
安定成長期
50万人
人口等の推移
95
05
失われた10年
人口減少
99%
99%
30万人
99%
99%
94%
90%

人
口
急
増
太
平
洋
戦
争
40万人
第Ⅳ期
85
91%
生
産年
齢人
口減
少
85%
生産年齢人口(15~64歳)
市街化区域に占める
人口集中地区の割合
74%
20万人
少子
化
化
高齢
超
10万人
年少人口(0~14歳)
老年人口(65歳以上)
25
都市化の流れ
20
35
●都市化のはじまり
45
55
65
●新市街地の開発
高齢化
75
85
●既成市街地の更新
95
05
●新都心の整備
おもな出来事
○町村合併
○太平洋戦争
○三市合併
○大阪万国博覧会
○バブル崩壊
○阪神淡路大震災
都市づくりの
おもな課題
○都市化の進展
○戦災復興
○人口の急増
○無秩序な市街地の拡大
○車社会の進展
○拠点機能の低下
○都心機能の集積
○南北交通の強化
おもな取組み
○都市計画区域の指定拡大
○戦災復興区画整理の実施
○処理施設の整備
○大規模区画整理の実施
○近鉄線の立体交差化
○駅前再開発の実施
○新都心の整備
○JRおおさか東線の建設
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅰ
【第Ⅰ期】 鉄道の開通をキッカケに都市化がはじまった(
-1954)
明治から大正にかけて鉄道が開通すると、駅を中心に住宅地が形成され
て人口が少しずつ増えだし、都市化がはじまります。町村の合併がすすん
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
【第Ⅱ期】 高度成長期、区画整理が都市化を押しすすめた(1955-1974)
枚岡市や河内市が誕生し、現在の市域全体が都市計画区域になりました。
高度成長期にはいって人口と産業が集中すると、下水や汚物・ゴミなどを
A02
で、都市計画区域も拡大されてゆきました。戦争が終ると、布施市では、
大量に処理する必要から、下水道事業が本格化し、ゴミ焼却場や汚物処理
A18
特別都市計画法の適用を受け戦災復興区画整理などが実施されました。
場を建設しました。また農地の無秩序な開発がはじまり、鉄道から離れ農
開通した JR 線沿線と近鉄線沿線を軸に宅地化がすすみ、南北に大きく
地がひろがっていた国道 308 号沿道で大規模な区画整理を実施しました。
分かれて市街地がつくられたため、南北を連携して、ひとつの都市として
いっぽう鉄道沿線はすでに建物が建てづまっていたこともあり、道路や
まとめることが課題となりました。
公園などの整備がおくれ、車社会への対応ができないまま、その魅力を低
また生駒山地に並行して近鉄奈良線が山麓を走っていたので、市街地が
下させるようになりました。こうして鉄道から離れた国道 308 号の沿道な
山地にせまって密集してひろがり、その後の道路や公園などの整備がむず
どと鉄道の沿線とのあいだで、道路や公園など基盤となる施設の整備に大
かしくなりました。
きなアンバランスが生れました。また市街地の急速な拡大で残っていた自
然のおおくが失われました。
人口が急増して、地域とのむすびつきの希薄な人がふえ、自治会や町内
D03
会など地域コミュニティの機能が弱まりました。
鉄道駅勢圏と土地利用の状況
幅員 8m 以上の道路の状況
21
【第Ⅲ期】 安定成長期、鉄道を高架化し駅前再開発を実施した(1975-1994)
【第Ⅳ期】 その後、新都心の機能の集積がすすんだ(1995-
)
E02
高度成長期がおわり安定成長期にはいると、それまで増加していた人口
バブル崩壊後、景気が低迷するなか、阪神淡路大震災が発生しました。
も停滞し少子化がはじまります。車社会への対応が遅れた鉄道沿線は、人
生産年齢人口が減少しはじめ、市街化区域に占める人口集中地区の割合が
口の郊外化や駅前へのアクセス不良で魅力が低下したので、機能を更新し
99%に達して市街地は飽和状態になっています。
魅力を生みだすため、近鉄線の高架化や駅前再開発をおこないましたが、
近鉄奈良線の難波延伸で広域性を失い地域レベルの拠点になった布施に
周辺の密集市街地は改善されないまま、生活の場としての魅力の低下は避
かわって、人・モノ・情報が交流する新都心として『新都心整備計画』に
けられませんでした。
よる整備がすすめられてきた長田・荒本地区では、さまざまな機能の集積
A20
E02
バブル期には住宅需要が増加し、車社会を背景に駅から離れたところで
もミニ開発やマンション開発が増えて農地が急速に減少しました。また既
がすすみました。でも都心として広域的な機能は十分とはいえません。ま
た JR おおさか東線が開通し、西部の南北交通の強化が実現しました。
成市街地でも、敷地ごとに建替や開発がおこなわれるようになり、敷地が
震災以降、密集市街地の問題が大きく取りあげられるようになり、また
細かく分割されたり、周辺とスケールの違うマンションが建設されたりし
バブル崩壊後つづく景気の低迷で、商店街が活気を失い、工場跡地の住宅
て、地域らしさが失われてゆきました。
地化や幹線道路沿道への商業施設の立地が起こるなど土地利用が混乱して
車社会を背景に、人びとの生活圏がひろがり、市民のニーズが多様化す
いるうえ、新都心の中心性が弱く、都市全体のイメージが混乱しています。
D04
るなか、地域コミュニティは、広域化し多様化した課題に対応することが
地域の課題が広域化し多様化するなかで、NPOのような特定のテーマ
D03
むずかしくなってきました。
近鉄奈良線連続立体交差事業
(若江岩田駅付近)
22
東大阪市都市計画マスタープラン
にそって活動するテーマ・コミュニティが活動の幅をひろげています。
ヴェル・ノール布施
(布施駅北口第一地区)
市庁舎と府立中央図書館
(新都心)
JR おおさか東線
(JR 長瀬駅付近)
Ⅰ
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
生活の場が停滞し生産の場が流動化するなか中心性に欠け都市イメージに
混乱が生れています。地域コミュニティで解決困難な問題がふえました。
●生活の場が停滞し、生産の場が流動化している━━━━━━━━━
農村から都市へと発展する、都市化の過程で、生活の場と生産の場が大
都市化の過程で、鉄道沿線は生活の場、鉄道からはなれたところは生産
きく分かれることになりました。それとともに、生活の場と生産の場の調
の場、と大きく分かれて形成されました。生産の場は区画整理の実施によ
和が失われ、さまざまな問題が生れてきました。
り道路等の整備がすすみましたが、生活の場は反対に道路等の整備がおく
れたので、生活の場と生産の場で、その整備状況が大きくアンバランスに
なりました。
そのため、車社会が進展するなかで、生活の場は発展が阻害され、防災
上課題のある密集市街地がひろがり、鉄道は利用者が減少し、商店街など
中心性の
欠 落
はにぎわいをなくしその魅力を失っています。
地域コミュニティ
対応が困難に
他方、生産の場は、鉄道の新線開通や幹線道路沿道へ商業施設が立地し
たこともあって生活利便性が相対的に高まり、生活の場は生産の場にはみ
土地利用の混乱
生活の場
の停 滞
生産の場
の流動化
反
映
広 域 化
だして、農地を急速に減少させ、景気の低迷で移転・廃業がつづく工業地
で住工の混在化を招きました。
課 題
複雑多様化
地域にとらわれない
このように、生活の場が停滞するとともに、生産の場は流動化するよう
になりました。
特定の課題に対応
活動の幅をひろげる
おくれた基盤整備
都市イメージの混乱
テーマ・コミュニティ
基盤整備のアンバランス
すすんだ基盤整備
車社会
の進展
密集市街地
鉄道利用者の減少
にぎわいの喪失
地下鉄-近鉄線
の開通
生活の場
の
停 滞
悪
循
環
生産の場
の
流動化
住工混在
幹線沿道への商業立地
農地の急減
23
●中心性が欠落し、都市イメージが混乱している━━━━━━━━━━
●地域コミュニティでの対応が困難になるなか、テーマ・コミュニティが登場した━
生産の場の拠点である物流拠点に、商業・業務・行政・文化・居住など
高度成長期の人口急増と核家族化や生活スタイルの変化で、住民どうし
の生活の場の拠点機能を導入することで新都心が計画され、『新都心整備
のむすびつきが薄れ、自治会や町内会などの地域コミュニティを維持する
計画』のもとに、都市拠点としての機能を集め一定整備がすすみました。
ことがむずかしくなりました。車社会の進展で生活圏が広域化し、また市
しかし、多くの人が広域から集まり交流するという点でまだ充分でなく、
民ニーズが多様化するなか、地域の課題も広域化し複雑多様化したので、
東大阪の中心としてのイメージも定着するにはいたっていません。
これまでの地域コミュニティでは解決のむずかしい問題がふえてきていま
地域を特徴づける歴史や水・みどりといった資源は、高度成長期の無秩
す。
序な開発やバブル期のミニ開発やマンション開発によって、失われたり見
そのいっぽうで、広域化し複雑多様化する地域の課題に対応して、特定
えにくくなったりしています。停滞する生活の場では、改善のすすまない
のテーマで活動する NPO のようなテーマ・コミュニティが生れ、その活
密集市街地やにぎわいを失った商店街、流動化する生産の場では、住宅の
動の幅をひろげています。また企業や大学なども都市づくりに積極的にか
混在がすすむ工業地や遊休地化する農地など、土地利用が混乱し地域のイ
かわるようになってきました。
メージが混乱しています。また、地域の個性をひとつにまとめ、東大阪全
体として統合するイメージにも欠けています。
地域イメージの混乱
統合イメージの欠落
車社会の進展
停滞する生活の場
中心?
反映
土地利用の混乱
流動化する生産の場
課 広 域 化
題 複雑多様化
ニーズの多様化
対
応
が
困
難
に
・特定の地域に限定
・すべての課題に対応
地域コミュニティ
か
わ
っ
て
対
応
・地域にとらわれない
・特定の課題に対応
テーマ・コミュニティ
24
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅰ
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
人口減少や地球環境問題、災害発生リスクの高まり、産業の空洞化、地方
分権の進展など、都市づくりをめぐる社会状況が大きく変化しています。
●人口が減りお年寄りの割合が増えている━━━━━━━━━━━━
日本の人口は今後減少し、お年寄りの割合が増えると予測されています。
●温暖化やヒートアイランドでまちが暑くなっている━━━━━━━━━
近年、環境問題にたいする関心が高まり、なかでも地球温暖化問題は、
東大阪市でも、高度成長期が終るころ、それまで増えつづけていた人口も
環境への悪影響が心配されています。日本の CO2 総排出量の 2 割近くを
停滞しはじめ、その後は減少に転じています。2015(平成 27)年には人口が
運輸部門が占め、そのうちの約 9 割が車に起因するといわれています。都
50 万を割込み、2020(平成 32)年には高齢化率が約 30%に上昇すると推計
市を外側へ外側へと押しひろげた車社会は、車なしには生活できない都市
しています。
をつくり、その結果、CO2 排出量を増やして環境への負荷を高め、鉄道や
このまま車に依存した社会がつづけば、ふだん買物や病院に出かけるの
バスの地位を低下させてきました。
に、運転ができなくなって困るお年寄りが増えます。人口が減ると、地域
また、都市の中心部は、緑や空地が少なくコンクリートやアスファルト
のコミュニティを維持するのもむずかしくなるでしょう。これまで人口が
でおおわれているうえ、車やクーラーなどから出る熱の量もおおいため、
増えるのにあわせてつくってきた施設も、管理や修理に費用がかさむよう
郊外部にくらべ気温が高くなるヒートアイランド現象がつづいています。
になり、財政状況がきびしくなるなか、福祉などへの負担が増え、あらた
ヒートアイランド現象は熱帯夜を増やし、またゲリラ豪雨の原因ともいわ
な施設の建設にまわす費用はますます少なくなってきます。
れています。
C15
C16
(万人)
年齢別人口の推移と推計
一般会計(歳出)決算
60
29.5%
27.6%
50
40
23.0%
20
土木費
14.6%
衛生費
11.6%
10
総務費
0
1995 2000 2005 2010 2015 2020
実績値
推計値
~14歳
65歳~
15~64歳
高齢化率
(東大阪市第2次総合計画後期基本計画)
415億円
民生費
18.5%
30
B09
教育費
その他
372億円
175億円
廃棄物 その他部門
872億円
2.3%
3.5%
運輸部門
19.5%
家庭部門
223億円
165億円
14.4%
[2010年度]
208億円
138億円
179億円
140億円
0.0%
工業プロセス
年間CO2総排出量
1995年度
2010年度
287億円
316億円
(東大阪市統計書)
業務
その他部門
11億9千万トン
100%
船舶
鉄道
航空機
貨物車
・バス
50%
エネルギー
転換部門
6.8%
乗用車
18.2%
産業部門
35.4%
0%
運輸部門別CO2排出量内訳
(温室効果ガスインベントリオフィス「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」より作成)
25
●大きな地震や突然の大雨による災害が起りやすくなっている━━━━
日本は、地震や火山の活動が活発で、台風や豪雨といった自然災害が発
生しやすい国がらです。
●産業に元気がなくなってきている━━━━━━━━━━━━━━━
高度成長期以降、多くの地方都市では、都市の中心部の土地の値段があ
がり、車が普及したこともあって人びとは郊外に住宅を求めるようになり
1995(平成 7)年に発生した阪神淡路大震災は、大都市にひろがる密集市
ました。そのため、都市の中心部はしだいに魅力が低下し、空き店舗が増
街地のもろさを浮彫りにしました。この震災以降、大きな地震が各地で発
えた商店街は、にぎわいをなくして地域の交流の場でなくなり、車を使え
生しており、2011(平成 23)年 3 月に発生した東日本大震災は津波による未
ないと買物すらむずかしくなりました。
B03
曾有の被害をもたらしました。また、おなじ海溝型地震である東南海・南
海地震の発生確率は、30 年以内で 60~70%程度と高くなっています。
また、2000(平成 12)年の東海豪雨以降、都市部における局地的な大雨に
また近年、産業のグローバル化や景気悪化で産業の空洞化が懸念されて
います。東大阪市でも工場の移転や廃業がつづき、跡地に住宅やマンショ
ンが建って、既存工場の操業環境が悪化し、工業集積地としての魅力が失
B10
よる都市型水害の問題が大きく取上げられています。
われてきています。高度成長期以降、都市内の農地は急速に減少し、近年
E11
は農家の高齢化で耕作放棄地が増えています。そのいっぽう、市民農園や
E11
■阪神・淡路大震災以降に発生した主な地震被害(最大震度6強以上)
震央地名
地震名
発生年月
マグニ
チュード
H7.1.17
7.3
淡路島
平成7年(1995年)兵庫県南部地震
死6434 不明3 負43792
住家全壊104906 住家半壊144274 など
H12.10.6
7.3
鳥取県西部
平成12年(2000年)鳥取県西部地震
負182
住家全壊435 半壊3101 など
H15.7.26
6.4
宮城県北部〔宮城県中部〕
負677
住家全壊1276 住家半壊3809 など
H16.10.23
6.8
新潟県中越地方
平成16年(2004年)新潟県中越地震
死68 負4805
住家全壊3175 住家半壊13810 など
H19.3.25
6.9
能登半島沖
平成19年(2007年)能登半島地震
死1 負356
住家全壊686 住家半壊1740 など
H19.7.16
6.8
新潟県上中越沖
平成19年(2007年)新潟県中越沖地震
死15 負2346
住家全壊1331 住家半壊5709 など
H20.6.14
7.2
岩手県陸南部
平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震
死17 不明6 負426
住家全壊30 住家半壊146 など
H23.3.11
9.0
三陸沖
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震
(死16278 不明2994 負6179
住家全壊129198 住家半壊254238
住家一部破損715192 など) ※2012年3月13日現在
人的・物的被害
(死:死者数 不明:行方不明者数 負:負傷者数)
(気象庁ホームページより)
26
東大阪市都市計画マスタープラン
体験農園などレクリエーション利用の要求が高まっています。
産業のおよそ 15 年間の推移
1995年を100とした場合
の2010年の指数
1995年を100としたとき
の2010年の指数
100
100
1994年を100としたとき
の2007年の指数
100
72
89
72
63
60
36
農家数
経営耕地面積
1995
2010
事業所数
商店数
製造品出荷額等
年間商品販売額
1995
2010
1994
2007
Ⅰ
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●都市の個性や魅力をアピールすることが大切になってきている━━━
●いろいろな人がさまざまなかたちで都市づくりに参加できるようになっている━
中央集権のもと画一的な施策がすすめられ、日本は高度成長をはたした
近年、地域とのむすびつきがしだいに敬遠されるいっぽうで、インター
反面、都市の個性が失われてきました。そのため、それぞれの都市の特徴
ネットが普及し、個人が情報を発信したり、特定の関心やテーマで結びつ
を活かした魅力ある都市づくりをすすめることができるよう、地方分権が
いたりすることが容易になってきました。
すすめられてきました。都市計画の分野でも、2000(平成 12)年の地方分権
地域の課題が広域化し複雑多様化すると、これまでの地域コミュニティ
D01
一括法で、都市計画の決定等は原則自治事務とされ、都道府県と市町村の
のような地縁的な組織では対応がむずかしくなってきます。そのいっぽう
役割分担のもと知事の承認が同意となり、2011(平成 23)年の地域主権改革
で、さまざまな分野で活動する NPO のようなテーマ・コミュニティが増
D01
一括法では、市の権限が拡大され、知事の同意が協議になりました。
こうしたなか都市の個性や実情にあった都市づくりをすすめ、都市の魅
C12
力を高めてゆくことが求められていて、景観法や歴史まちづくり法が制定
えてきました。それら NPO の多くは法人格を持たないまま活動していま
したが、法人格を持たないことによる不都合を解消し、NPO の活動を促
D04
進するため NPO 法が制定されました。
A10
されました。
都市計画の分野では、都市計画提案制度 が創設され、土地所有者や
NPO、民間の開発業者などが都市計画へ積極的に参画できるようになり
ました。
NPO法人の認証数(大阪府)
2913
2011
2778
2010
2665
2009
2490
2008
2412
2007
2232
2006
1909
2005
1573
2004
1182
2003
740
2002
427
2001
208
2000
1999
90
1998 0
(国土交通省ホームページ「景観法の概要」より)
(内閣府 NPO ホームページ「所轄庁別受理数・認証数」より作成)
27
車に頼らないでも暮せ、モノづくりが元気な、愛着と誇りが感じられる東
大阪らしいまちを、みんなでいっしょにつくってゆくことが必要です。
●車に頼らないでも暮せるまちへ変えてゆこう━━━━━━━━━━━
●モノづくりのまちを元気にしよう━━━━━━━━━━━━━━━━
これからは、車に頼らないでも徒歩や自転車だけで生活できる都市にす
「モノづくりのまち」を維持・継承してゆくため、住工共生のまちづく
E05
ることが求められます。それには、歩いて行ける範囲に生活に必要な施設
りをすすめ、工場集積地では、製造業が安定して操業できる環境を維持・
を集め、広域的な施設のばあいは鉄道やバスを連絡することも必要です。
創出し、環境に配慮しながら工場が集積する魅力を高め、また住工の混在
市域のひろい範囲が駅に近いという条件を活かし、東西方向にかたよっ
化がすすんでいる地域では、地域の特性に応じて、住工を分離したり共存
た鉄道にたいし市内の南北交通の連絡を強め、駅周辺に必要な施設を、既
を図ったりなど、きめ細かい規制と誘導が必要です。とくに住工の共存を
存の施設を活用して集約的・複合的に再配置することが大切です。
図るばあいは、居住環境と操業環境が調和し共存できる、地域のありかた
そして、駅を中心に集約的な都市をつくるには、なによりもまず、駅周
を、地域で工夫して創出してゆくことが大切になってきます。なかでも国
辺にひろがる密集市街地を改善しなければなりません。でも、避難地や避
道 308 号沿道は、鉄道の開通や商業施設の立地で高まった利便性を活用し
難路の整備、不燃化地域の拡大など、それにはどれも長い時間を要するも
てゆくことが必要です。
のばかり。そこで市街地の改善には、被害の拡大を最小限に食い止めると
いう視点にたち、できることからまず取組むという姿勢が大切になります。
クを形成し、環境に配慮しながら効率的な物流を確保してゆくことが必要
そうして市街地の改善にあわせ、少しずつでも、うるおいややすらぎが
です。また、都市内の農地は、緑地としての役割を積極的に評価し、良好
感じられる快適な空間に変え、商店街など駅周辺の商業地は魅力ある「地
な都市環境を確保するため計画的に保全する必要があり、従事者の高齢化
域の顔」として、人びとが憩い交流できる快適な空間を創出し、にぎわい
や後継者の不足をおぎなうために、農地のレクリエーション利用を促進し
と活気を生みだしてゆくことが大切です。
てゆくことも必要でしょう。
いきいき暮せる安全で快適なまち
28
そのほか、流通センターや卸売団地を拠点とする幹線道路のネットワー
東大阪市都市計画マスタープラン
創造性あふれる活力のあるまち
Ⅰ
●みんながひとつになれる東大阪らしさをつくろう━━━━━━━━━
これからは、東大阪の個性に根ざした魅力的な都市づくりをすすめてゆ
くことが、ますます必要になってきます。
東大阪の都市づくり
~これまでとこれから~
●みんなでいっしょにまちをつくろう━━━━━━━━━━━━━━━
地域の課題解決には地域コミュニティの力が必要です。その際、地域の
企業や大学も地域の一員として参加することが求められています。また、
そのため、新都心では、東大阪の都心にふさわしく、人びとが集まり交
商店街の活性化の問題にしても住工混在の問題にしても耕作放棄地の問題
流するための、多様な機能を集積することが必要です。また、歩いて楽し
にしても、地域の問題として、商店主や工場主や農家と、地域でくらす住
める空間をつくり都市の魅力を生みだすとともに、「東大阪の顔」として
民とがいっしょになって考えなければ解決できません。
中心イメージの創出を図る必要があります。
そのため、東大阪で住み働き学ぶ、すべての人が、地域の企業や大学も
そのほか、地域がそれぞれにもつ歴史・文化や水・みどりなどさまざま
ふくめて、都市づくりの主体であることを自覚し、地域をよく知り、都市
な資源を掘りおこして、都市づくりに活かし、「地域の個性」とよばれる
づくりへの参加をとおして、人や地域とのむすびつきを深めながら、新し
までに磨きをかけ、地域らしさを生みだすことが大切です。
い地域コミュニティを形成してゆくことが大切です。
また、そうした地域の個性を、生駒山や旧大和川の地形、「ラグビーの
また、さまざまな目的をもって都市づくりをおこなっている、住民・企
まち」「モノづくりのまち」「学生のまち」などのイメージを活用しなが
業・大学・NPO など多様な主体を見いだし、それぞれの活動の目的を尊
ら相互にむすびつけ、東大阪らしいイメージのもとに統合し、地域のイメ
重しながら、たがいに結びつけ、もっと大きな目的のもとにまとめてゆく
ージとしてしっかりと定着させてゆけば、東大阪に住み働き学んでいる市
ことが大切です。そうすれば、多様な主体によってバラバラにおこなわれ
民の心に東大阪にたいする愛着と誇りを育み、その地域イメージが都市づ
ている、個々の「都市づくりの活動」を、市民みんなでおこなう、ひとつ
くりの規範になってゆくことでしょう。
の大きな「都市づくりのうねり」にかえてゆくことができるでしょう。
人と地域とがつながる魅力あふれるまち
市民みんなでつくるみんなのまち
29
東大阪の
都市づくりのあゆみ
1900
1945
1950
1960
14 第一次世界大戦参戦
04 日露戦争
41 太平洋戦争
45 敗戦
23 関東大震災
1970
1980
1990
2000
91 バブル崩壊
88 東京市区改正条例19 旧都市計画法
99 地方分権一括法
46 戦災復興特別都市計画法
19 市街地建築物法
54 土地区画整理法
49 新耕地整理法廃止
11 地域主権改革一括法
00 都市計画区域マスタープラン制度
00 地区計画申出制度
80 地区計画制度
68 新都市計画法
63 絶対高さ規制撤廃
(容積制への移行)
50 建築基準法
09 新耕地整理法
11 東日本大震災
98 NPO法
23 震災復興特別都市計画法
主な出来事
2010
95 阪神淡路大震災
64 東京オリンピック 70 大阪万博
73 石油ショック 78 第2次石油ショック
92 市町村マスタープラン制度
02 都市計画提案制度
98 まちづくり三法
71 都市緑地保全法
06 まちづくり三法改正
04 都市緑地法
97 密集市街地整備法 04 景観法
08 歴史まちづくり法
33 高井田村を合併
布施村
高井田村
25 布施町
楠根村
29 楠根町
25 小阪町
小阪村
市の沿革
意岐部村・長瀬村・弥刀村
東六郷村・西六郷村・北江村
玉川村
37 布施市
05 中核市移行
31 盾津村 43 盾津町
43 玉川町
55 河内市
67 東大阪市
英田村・若江村・三野郷村
日根市村
大戸村
枚岡村
12 孔舎衙村
枚岡南村・池島村
50 石切町
39 枚岡町
55 枚岡市
29 縄手村
48 縄手町
33 布施町
都市計画区域の拡大
33 小阪町
33 長瀬村 37 布施市
33 弥刀村
56 河内市
都市計画区域
39 枚岡町
鉄道網
70 線引き(区域区分)決定
(市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針)
04 東部大阪都市計画区域マスタープラン
04 都市計画区域の広域化
(東部大阪都市計画区域)
67 東大阪都市計画に改める
56 枚岡市
53 縄手町
96 東大阪市都市計画マスタープラン
95 浪速鉄道(現JR学研都市線)開通
31 城東貨物線開通
14 生駒トンネル完成
鉄道
の敷設 14 大阪電気軌道(現近鉄奈良線)開通
99 JRおおさか東線着工
08 放出~久宝寺間開業
鉄道網の形成 93 大阪中央環状線以東の高架化着手
70 近鉄奈良線難波延伸
09 阪神なんば線に接続
77 布施駅周辺の高架化完了
24 大軌参宮線(現近鉄大阪線)開通
85 地下鉄中央線延伸
86 近鉄東大阪線(現けいはんな線)開通
浸水対策
11 若江調節池供用開始
01 花園多目的遊水地完成
(寝屋川南部地下河川)
02 恩智川治水緑地(池島1期概成)
68 第二寝屋川完成
49 下水道事業着手
処理施設
65 寝屋川流域下水道事業着手
72 川俣処理場処理開始
62 新田事業所事業決定
08 し尿処理施設廃止
衛生の確保
65 東事業所事業決定
63 水走清掃工場事業決定
みどり
65 布施・河内・枚岡・大東4市による組合設立
(後の東大阪都市清掃施設組合)
49 枚岡風致地区 58 金剛生駒国定公園
46 布施市が
戦災都市に指定される
戦災復興
48―――――55
戦災復興区画整理
市街地開発
74 東大阪市・大東市
清掃センター設立
西部区画整理
65―――――――――73
スプロールの防止
84 今米特別緑地保全地区
03 東大阪市みどりの基本計画
布施駅北口再開発
87――――――――――96
河内花園駅前再開発
04―――――08
駅前の
96――――――――03
機能更新
中部区画整理
若江岩田駅前再開発
72――――――――――――――――――――――――――――――――95
66―――――――73
96 府立中央図書館完成
東大阪開発区画整理
99 東大阪春宮住宅建替
87 新都心整備計画
67 東大阪流通センター
03 総合庁舎完成
都心機能
の集積
30
東大阪市都市計画マスタープラン
03 大型店舗出店
04 クリエイション・コア東大阪完成
Ⅱ 東大阪がめざす都市づくり
総合計画がしめす土地利用の将来像を目標に、都市の骨格をつくり、生活
の場と生産の場を整える取組みを、多様な主体の協働によりすすめます。
『東大阪市第2次総合計画』は、「人間尊重のまちづ
この都市計画マスタープランは、土地の使いかたを工夫することで、生活の場と生産の場を
くり」「市民参加のまちづくり」「豊かさを創造するま
ととのえ、総合計画が描く将来都市像を実現しようとするものです。そこで、総合計画がさだ
ちづくり」を基本理念に、将来都市像を次のようにえが
める「土地利用の将来像」を、この都市計画マスタープランの都市づくりの基本目標とします。
いています。
都市づくりの基本目標
夢と活力あふれる 元気都市・東大阪
また将来都市像を実現するため、将来人口およそ 52
万人を目標に、土地の使いかたに関しては、「土地利用
歴史と文化を活かした
「住み、働き、学び、憩い、楽しむ」環境の調和
総合計画がしめす都市の骨組みや土地の使いかたの基本的な方向を踏まえ、市民の参加によ
って基本目標を実現するため、都市づくりの基本方針を次のように設定します。
の将来像」をさだめ、都市の骨組みとなる都市構造と土
地の使いかたである土地利用の基本的な方向をしめして
います。
都市づくりの基本方針
■都市の骨格をつくる■
都市間や地域間のむすびつきを強め、人・モノ・情報の交流をさかんにします
水・みどり・歴史のネットワークを形成し、都市内にうるおいを導入します
■生活の場と生産の場を整える■
いきいきと暮せる安全で快適な生活の場と
創造性あふれる活力ある生産の場を形成します
■協働により都市づくりを推進する■
将来の都市のカタチを市民みんなでえがき、
得意の分野で持てる力をだしあって実現します
32
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅱ 東大阪がめざす都市づくり
■基本理念
■将来目標人口
およそ 52 万人
①人間尊重のまちづくり
東
基大
②市民参加のまちづくり
③豊かさを創造するまちづくり
■土地利用の将来像
歴史と文化を活かした
■将来都市像
「住み、働き、学び、憩い、楽しむ」環境の調和
密集市街地の計画的な整備
住工が秩序をもって共存しうる環境の実現
中心となる商業業務市街地の形成
都市内への水と緑などの自然環境の誘導
夢と活力あふれる 元気都市・東大阪
■土地利用の基本方向
①住宅地
・生駒山麓一帯の東部地域は、良好な住環境の保
全に努めます。
・密集市街地や主要駅周辺は、計画的な整備によ
り安全な住環境整備に努めます。
・一般住宅地は、住環境の維持改善に努め、良好
な住宅地として整備します。
②商業地
・布施駅を中心とする地域は、中心商業業務地と
して土地の高度利用の促進、商業業務機能の充
実に努めます。
・鉄道駅を中心に地域商業地としての機能整備を
行い魅力ある多様な施設配置を図ります。
③工業地
工業地については、生産環境の改善や環境にや
さしい都市型工業への更新を図り、魅力ある工
業地の形成に努めます。
④機能複合地
各種機能が複合している地域においては、それ
ぞれの特性を活かした整備を行うことにより、
お互いの機能が共存できる環境を整えます。
⑤自然緑地
山地や農地の保全に努めるとともに、公園など
のうるおい空間の整備を進めます。
第
2
次
総
合
計
画
の
目
標
本
構
想
阪
市
第
2
次
総
合
計
画
■都市構造の基本目標
①都市軸
都市構造図
広域都市軸
都市拠点との広域的な連携を図るため、大阪モノレー
ルや幹線道路などの整備による広域都市軸を形成
し、広域都市圏の交流を活性化します。
地域連携軸
市域内における公共輸送機関である鉄道の 4 路線と
大阪モノレールおよび大阪外環状線鉄道の整備を促
進することにより、地域連携軸を形成し、7 つの地域拠
点を結びます。
うるおい軸
市域の東部に広がる生駒山系の豊かな自然環境と歴
史文化環境を活かし、河川の整備、公園・緑地の整
備、緑化の推進などにより、「水」と「緑」、「歴史・文化」
をネットワークするうるおい軸を形成します。
②拠 点
都市拠点
広域交通の結節点に位置する新都心整備地区に文
化・行政機能などを集中的に配置することによっ
て、
「産業・生活文化交流都市の創生」をテーマと
する都市拠点を形成します。
地域拠点
鉄道を中心とした地域連携軸上に、地域の先導的
な役割を果たす地域拠点を配置します。地域拠点
は、地域特性から布施を中心とした広域的なにぎ
わい拠点と 6 つの地域拠点によって形成します。
うるおい拠点
うるおい軸上に、河川、公園・緑地などの「水・
緑の拠点」、生駒山系の「自然環境拠点」、山麓の
「歴史・文化拠点」を配置、整備します。
33
基本方針①
鉄道や道路でつなぐ
~ 都市の骨格をつくる① ~
【現状と課題】
○長田・荒本地区は、新都心として多様な機能の集積も
すすみましたが、広域的な交流拠点としてはまだ十分
とはいえません。そのため、広域的なむすびつきを生
む大阪モノレールの延伸が期待されています。
○また、流通センターもあることから、おおくの貨物自
動車が集まりますが、市内を走る幹線道路の整備が十
分でなく、ネットワークの弱いところで、車があふれ
て渋滞が発生しています。
○市街地のおおくが近くに鉄道の駅があって交通利便は
よいのですが、鉄道が東西方向にかたよっているので、
地域間の南北のむすびつきが弱く効率の悪い都市構造
になっています。JR おおさか東線の開通は、西部で
南北のむすびつきを強めましたが、中部や東部での南
北のむすびつきを強めることが必要です。
○鉄道の利用者が減り、駅前商店街など拠点の魅力も低
下しているなか、拠点の交流機能を高め、歩行者を優
先する空間づくりによって魅力の向上を図ることが必
要です。また駅とリージョンセンターが離れている場
合は、その連携を図ることも必要です。
34
東大阪市都市計画マスタープラン
都市間や地域間のむすびつきを強め、人・モノ・情報の交流をさかんにします
Ⅱ 東大阪がめざす都市づくり
(広域都市軸)
●都市と都市をむすび広域的な交流を活発にするため、大阪モノレールの整備を促進しま
す。
●幹線道路の渋滞を緩和するため、幹線道路のネットワーク形成を優先した整備をすすめ
るとともに、公共交通の利用を促進します。
(都市拠点)
●新都心は「産業・生活文化交流都市の創生」をテーマに、広域的な交流を支える施設の
■広域都市軸と都市拠点
整備をすすめ、物流機能との調和を図りながら、都心にふさわしい商業・業務・居住・
文化・行政機能などの集中的な配置を促進します。
(地域連携軸)
●東西方向にかたよった鉄道を南北方向の公共交通でつなぎ、地域どうしのつながりを強
め交流を生みだすため、大阪モノレールの整備を促進します。
(にぎわい拠点)
●東大阪の玄関口である布施駅の周辺は、広域的な交流の拠点として、人びとが集まり交
流しにぎわいを生みだすよう、さまざまな機能を集積するとともに、回遊性のある快適
な歩行者空間を形成します。
(地域拠点)
●歩いて暮せるまちの実現にむけ、主要な鉄道駅周辺に医療・福祉・購買など日常生活サ
ービス機能の集積を促進するとともに、安全で快適なアクセスを確保し、地域の人びと
■地域連携軸と地域拠点
が集まり交流するにぎわいのある空間を形成します。また、鉄道駅とリージョンセンタ
ーが離れているところでは、その連携を図ります。
35
基本方針②
みどりをつなぐ
水・みどり・歴史のネットワークを形成し、都市内にうるおいを導入します
~ 都市の骨格をつくる② ~
【現状と課題】
○生駒山の自然環境は、貴重なみどりとして保全が必要
です。また山麓の自然・歴史・文化環境については、
東大阪らしさを生みだすうえで、保全・活用すること
が大切です。
○市街地は、みどりが少なくうるおいに欠けています。
歩いて暮せるまちをつくるには、うるおいややすらぎ、
憩いが感じられる身近な空間をつくり、徒歩や自転車
での移動を快適で楽しいものにすることが必要です。
○ヒートアイランド現象を緩和し都市の環境を保全する
ため、河川や道路・鉄道を軸として公園や緑地をつな
ぎみどりのネットワークを形成する必要があります。
とくに国道 308 号とその沿道は、大阪府「みどりの風
C08
C08
促進区域」に指定され、「みどりの風の軸」の創出を
めざしています。
36
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅱ 東大阪がめざす都市づくり
(うるおい軸)
●市民生活にうるおいとやすらぎを提供する環境を確保するため、生駒山の豊かな自然環
境と山麓の歴史・文化環境、また市街地の公園・緑地などを、国道 308 号沿道や近鉄奈
良線沿線の緑化促進、河川堤防の緑道化や緑化による、みどりの軸で連携し、水とみど
りと歴史のネットワークを形成します。
●とくに国道 308 号とその沿道は、大阪府「みどりの風促進区域」として、道路緑化の重
C09
■うるおい軸
点化や民有地等の緑化の誘導などにより、みどり豊かなセミパブリック空間の創出を図
ります。
(自然環境拠点)
●市民の貴重な自然であり、さまざまな生きものが生息し生育する生駒山は、東大阪の都
市イメージにおいても欠くことのできない重要な要素であり、東大阪の自然の源泉とし
て保全につとめ、また自然とふれあうレクリエーション拠点として活用を図ります。
(歴史・文化拠点)
●生駒山麓の遺跡や歴史・文化資源等は、背景となる生駒山の豊かなみどりとあわせ保
全・連携し、東大阪の歴史や文化を身近に感じることのできる空間を整備するなど、歴
史・文化環境の保全と活用につとめます。
(水・緑の拠点)
■うるおい拠点
●市民の憩いの場やレクリエーションの拠点となり、災害時には避難地や防災拠点とな
る、花園中央公園や布施公園などの整備をすすめます。
37
基本方針③
生活の場と生産の場を整える
いきいきと暮せる安全で快適な生活の場と
創造性あふれる活力ある生産の場を形成します
【現状と課題】
○山麓の住宅地は、生駒山のみどりを背景に良好な住環
境がつくられています。また平地の住宅地は、うるお
いやゆとりがなく密集市街地がひろがるなど、住環境
を改善し安全で快適な住宅地に転換してゆくことが必
要です。
○鉄道駅を中心とする商業地は、人びとが集まり交流す
る機能を強化・充実し、魅力的で快適な空間をつくり、
にぎわいや活気を生みだしてゆくことが必要です。
○工業地は、住工共生のまちづくりをすすめ、工場集積
を保全するとともに、住工が混在する地域では住工が
調和する魅力的な工業地を形成し、「モノづくりのま
ち」をまもり伝えてゆくことが必要です。
○生駒山の自然や農地の集積地は、みどりの少ない東大
阪の貴重な緑地として保全と活用を図ってゆくことが
大切です。
○また、新都心は、広域的な交流機能を充実させて、都
心にふさわしい機能を集積し、「産業・生活文化交流
都市の創生」をテーマとする都市拠点の形成を図るこ
とが必要です。
38
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅱ 東大阪がめざす都市づくり
(住環境保全ゾーン)
●生駒山麓の住宅地は、防災性の確保に十分配慮しながら、みどり豊かな自然環境や中小
河川のうるおいある空間を活かし、歴史的文化的な資源や集落地の落ち着いた街並みの
保全と活用につとめ、良好な環境と調和する低層住宅地の保全と形成を図ります。
(住環境整備ゾーン)
●一般市街地は、身近な道路や公園などの整備により、日常生活のなかでうるおいやゆと
りが感じられる、安全で快適な住宅地の形成を図ります。
●とくに、鉄道駅周辺にひろがる密集市街地は道路・公園等の整備や建物の耐震不燃化を
図り、工場が混在する地域などは住環境を阻害する要因を取除くなど、住環境の整備や
■住宅地
改善につとめます。そのほか幹線道路の沿道等においては、計画的な土地の高度利用を
促進します。
(中心商業業務ゾーン)
●布施駅を中心として八戸ノ里駅にいたる地域は、土地の高度利用を促進し、商業業務や
都心居住等の機能の充実をすすめるとともに、文化・教養・娯楽などさまざまな機能を
誘導し、人びとが集い交流する魅力ある中心商業業務地の形成を図ります。
(駅前商業ゾーン)
●商店街など駅周辺の商業地は、地域でくらす人びとの交流拠点として、地域特性を活か
しながら、商店街の活性化や日常生活を支える機能の充実などを図るとともに、道路や
駅前広場、自転車駐車場などの整備をすすめ、にぎわいのある駅前商業地の形成を図り
ます。
(沿道商業ゾーン)
■商業地
●主要な幹線道路の沿道や近鉄奈良線沿線は、交通利便性を活かした、商業機能の配置を
促進します。
39
(工業ゾーン)
●工場が集積する地域は、工場の立地誘導を促進するとともに、工場の操業環境の維持改
E08
善をすすめ、環境にやさしい都市型工業への更新につとめ、創造力にあふれ活力の感じ
られる魅力ある工業地の形成を図ります。
●また幹線道路の沿道は、流通機能を誘導するとともに、幹線道路のネットワーク形成と
連携し、効率的な物流の確保につとめます。
(住工共存ゾーン)
■工業地
●住工の混在がすすんでいる地域は、地域の特性に応じて、工場の操業環境と住環境との
調和を図りながら、住工が調和して共存できる魅力ある環境の形成につとめます。
(田園ゾーン)
A06
●市街化調整区域にひろがる農地は、農産物の生産だけでなく、防災、教育、福祉など多
面的な機能をもった貴重な緑地として、また生駒山を背景とする懐かしい田園風景とし
て、保全につとめ、市民が交流できるレクリエーションの場として活用を図ります。
(自然緑地ゾーン)
■緑 地
●生駒山の自然緑地は、貴重な自然資源として、また市街地の景観の背景として保全につ
とめるとともに、市民が憩いレクリエーションを楽しむ場として活用を図ります。
(新都心周辺ゾーン)
●新都心は、物流機能との調和に配慮しながら、商業業務機能の立地促進や良好な都市型
住宅の供給などにつとめるとともに、交通結節機能の強化や快適な歩行者空間の整備、
■新都心
また行政・文化・レクリエーション・情報などの機能の集積を図り、広域的な交流を生
む都市拠点の形成をめざします。
40
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅱ 東大阪がめざす都市づくり
基本方針④
協働により都市づくりを推進する
将来の都市のカタチを市民みんなでえがき、
得意の分野で持てる力をだしあって実現します
【現状と課題】
○地方分権がすすむなか、それぞれの都市の特徴ある資
■将来像の共有化
源を活かした個性的な都市づくりが求められています。
これからどんな都市を
○また、人口が減少し財政状況がきびしくなるなか、多
つくるのか、という将来
様化する市民ニーズへの対応を、行政だけでおこなう
の都市のありかたを、共
のは、とてもむずかしくなってきています。
通の夢としてえがき、市
○いっぽうで、都市づくりにたいする市民の関心が高ま
民みんなで共有しあいま
り、都市づくりに参加したいと考える市民が増えてき
す。
ています。
○そのため、市民※の持てる力を最大限に活かし、多様
な主体の協働による都市づくりをすすめてゆくことが
必要です。
■役割分担の明確化
○多方面にわたる自発的・自主的活動
○活動をとおした都市づくりへの貢献
※
なお、ここで「市民」というのは、住民や地権者、事業
者・企業、大学・学生、また、それら個人や組織・団体
が参加する、自治会や町内会のような地域コミュニティ
や NPO のような
テーマ・コミュ
ニティを総称し
ています。
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
大学
学生
事業者
住民等 企業
市 民
○行政がおこなう都市づくり
への理解・協力
○行政の計画への意見・提案
○地域における活動への参加
共通の夢の実現にむ
けて、協働による力を
住民
地権者
テーマ
コミュニティ
大学
学生
多様な主体の
協働による
○都市づくりに関する調査・研究
○住民どうしや事業者等との交流
都市づくりの推進
○市民や行政等への助言
○地域における都市づくりの実施
地 域
○地域における都市づくりへの
○地域のルールづくりとその遵守 コミュニティ
参加・協力
行 政
○都市計画の提案
事業者
企業
○都市計画の決定・変更
○道路・公園の整備等公共事業の実施
○事業活動等を通して地域の
○産業振興施策の実施
産業・経済の発展に貢献
○国・府にたいする働きかけ
○地域住民との信頼関係・協力関係の構築
○都市づくり情報の提供
○地域における都市づくりへの
○都市づくり活動支援、ネットワークづくり
積極的な参加・協力
○都市づくりのリーダーの育成
○市民参加のしくみづくり
効果的にひきだすた
め、市民がおたがいの
立場を尊重しあいなが
ら、それぞれが得意と
する分野で持てる力を
だしあい、役割を分担
して協力しあいます。
41
42
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
基本方針の実現にむけ都市づくりを協働ですすめるため、めざす都市の将
来像をテーマとして設定し、これを共有してテーマごとに取組みます。
基本方針の実現にむけて、多様な主体の協働によって都市づくりをすす
都市づくりは、「ひと」が「都市」をつくることです。それを踏まえ、
めるために、多様な主体の間で「都市の将来像」を共有することが必要で
テーマは大きく、①つくる対象である「都市」と②つくる主体である「ひ
す。そのため、「都市の将来像」をテーマとして設定し、テーマごとに取
と」に、それぞれ着目して設定し、ひとがつくる「都市」に着目し都市づ
組むこととします。
くりに体系的に取組むとともに、都市をつくる「ひと」に着目しひとづく
りに段階的に取組みます。
【テーマ3】
みんながひとつになれる
東大阪らしさをつくろう
人と地域とがつながる魅力あふれるまち
【テーマ1】 いきいき暮せる安全で快適なまち・東大阪
生活の場と生産の場の統合
人口が減り高齢化が急速にすすむなか、車に頼らないで、徒歩や自転
物流拠点
新都心
駅前商業拠点
車・公共交通だけで必要な生活サービス機能を利用でき、日常生活を安全
工業地
住宅地
で快適に過ごせる、歩いて暮せるまちをつくります。
農地
「都 市」
【テーマ2】 創造性あふれる活力のあるまち・東大阪
新都心
鉄道等
(公共交通)
自然・地形
生活の場の調整
住工共生のまちづくりをすすめ、地域の特性にあわせて、物流を確保し、
幹線道路
生活 生産
の場 の場
工場集積を保全したり住工が共存できる環境を創出したり、魅力あるモノ
生産の場の調整
【テーマ1】
づくりのまちをつくります。また土と触れあえる農空間を保全します。
【テーマ2】
眺
め
感
じ
る
いきいき暮せる安全で快適なまち
つ
く
る
車に頼らないでも暮せるまちへ変えてゆこう
創造性あふれる活力のあるまち
【テーマ3】 人と地域とがつながる魅力あふれるまち・東大阪
モノづくりのまちを元気にしよう
新都心は、人・モノ・情報が交流する都市拠点として、「産業・生活文
化交流都市の創生」をテーマに整備をすすめます。また地域のもつ個性を
都市づくり主体の創出
【テーマ4】
市民みんなでつくるみんなのまち
「ひ と」
みんなでいっしょにまちをつくろう
都市景観
生活の場と生産の場の統合
【テーマ3】
人と地域とがつながる魅力あふれるまち
44
東大阪市都市計画マスタープラン
東み
大ん
阪な
ら が
し ひ
さ と
をつ
つに
く な
ろれ
う る
発掘・連携し、東大阪らしさあふれる魅力的なまちをつくります。
【テーマ4】 市民みんなでつくるみんなのまち・東大阪
たくさんの人や団体が、都市づくりの主体として、都市づくりに参加し、
たがいに協力しあいながら、歩いて暮らせ、モノづくりの創造力みなぎる、
東大阪らしい、夢と活力あふれる元気都市をつくります。
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
おなじ目標のもとに、多様な主体がたがいの取組みを関連づけながら、連
携しあって体系的に取組みます。
●取組みにたいする動機ややりがいをつくる━━━━━━━━━━━━
【テーマ 1】~【テーマ 3】は、ひとがつくる「都市」に着目し、だれ
たとえ、どんなに小さな取組みであっても、その取組みを「取組みの体
もがくらしやすく、また活発な生産活動ができるように、土地の使いかた
系」のなかに位置づけることができれば、とるに足らないように思えた取
を調整する取組みです。生活の場は生活の場として、生産の場は生産の場
組みも、しっかりと大きな目標につながっているんだと、その意義がわか
として、それぞれふさわしくなるよう調整し、またそれらをひとつの都市
り、取組みにたいするやりがいや動機づけになります。
としてまとめてゆくことが大切です。
人と地域とがつながる
魅力あふれるまち
●同じ目標のもとに取組みを関連づける━━━━━━━━━━━━━
新都心
都市景観
個別にすすめられていたバラバラな取組みを、「取組みの体系」のなか
つくる
生活の場
にそれぞれ位置づけることができれば、同じ目標のもとに、たがいの取組
ひと
都 市
みを関連づけることもできます。それは、そうした取組みをおこなってい
生産の場
いきいき暮せる
安全で快適なまち
る多様な主体を連携することでもあります。
創造性あふれる
活力のあるまち
【テーマ 1】~【テーマ 3】には、それぞれテーマとする都市の将来像
の実現にむけた〔取組みの目標〕を設定しています。また取組みの目標ご
●新しい仲間を増やし活動の幅をひろげる━━━━━━━━━━━━
「取組みの体系」のなかで、おなじ目標を達成するための取組みのうち、
とに、その目標を達成するための〔取組みの方向〕と、その具体的な内容
欠けている取組みを発見しおぎなうことの必要性が見えてきます。それに
をしめした〔取組みのあらまし〕を設定して、それらが目的と手段の関係
よって、欠けた部分の取組みをしている新しい仲間を見つけたり、みずか
のもとに、ひとつの大きな「取組みの体系」となるようにしています。
らの活動の幅をひろげて欠けた部分の取組みをおぎなったりすることにつ
手段
∥
目的
手段
∥
目的
手段
∥
目的
手段
∥
目的
手段
∥
目的
ながります。
テーマ
目 的
手段
∥
目的
手段
∥
目的
目的=手段の関係
手段
∥
目的
の取
目組
標み
手段
∥
目的
の取
方組
向み
の取
方組
向み
の取
目組
標み
の取
方組
向み
の取
目組
標み
の取
方組
向み
の取
方組
向み
の取
方組
向み
取組みの体系
45
【テーマ1】
いきいき暮せる安全で快適なまち・東大阪
【都市の将来イメージ】
地震や水害など自然災害が発生しても、被害がひろが
いきいき暮せる安全で快適なまち
らない都市のカタチを備えています。地域の人たちがお
たがいに見守り助けあうことで、被害を最小限に抑える
ことができ容易に復興することもできます。また交通安
①生活の場が災害時にも日常時にも安全であり、地域
全や防犯など、日常的な安全も十分に確保されています。
うるおいやゆとりのある良好な住環境が確保され、福
祉・医療・行政・文化等の日常生活に必要な機能が歩い
て行ける範囲に集約的に立地していて、水・みどり・歴
史などが適切に配置され、徒歩や自転車で安全に快適に
楽しく移動できます。
商店街など駅周辺の商業地はたくさんの人が集まって、
にぎわい活気にあふれています。縦横に鉄道やバスがつ
の助けあいで安心して暮せます。
②住宅地では良好な住環境が確保され、歩いて外出す
③
便に
利ぎ
でわ
魅い
力の
的あ
なる
ま
ち
②
快歩
適い
なて
ま暮
ちせ
る
①
安安
全心
なし
まて
ち暮
せ
る
るのが楽しく、地域でたがいにささえあい、楽しく
快適に暮せます。
③駅前拠点など商業地が魅力的で新しい出会いと交流
が生れ、商店街に行くのが楽しみです。また鉄道や
バスを使えば市内のどこにでも行けます。
新都心
ながっているので、車を使わなくてもさまざまな施設を
住宅地
利用することができます。
商業地
【取組み目標】
①安心して暮せる安全なまちをめざします
②歩いて暮せる快適なまちをめざします
公共交通
(鉄道等)
生活の場
全体
生
活
の
場
の
調
整
生活の場
生産の場
都市景観
③にぎわいのある便利で魅力的なまちをめざします
46
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
■人口が減り高齢化が急速にすすむなか、車に頼らないで、徒歩や自転車・公共交通だけで必要な生
活サービス機能を利用でき、日常生活を安全で快適に過ごせる、歩いて暮せるまちをつくります■
安心して暮せる安全なまち
取組み目標1
①地震や水害に強いまちをつくる
②交通事故や犯罪のないまちをつくる
③たがいに見守り助けあうコミュニティをつくる
(財団法人消防科学総合センター「災害写真データベース」)
歩いて暮せる快適なまち
取組み目標2
①うるおいとゆとりがある快適なまちをつくる
②車に頼らなくても暮せる歩いて楽しいまちをつくる
③たがいに見守りささえあうコミュニティをつくる
にぎわいのある便利で魅力的なまち
取組み目標3
①出会いや交流が生れるまちをつくる
②にぎわいと活気のある商店街をつくる
【
テ
ー
マ
1
】
い
き
い
き
暮
せ
る
安
全
で
快
適
な
ま
ち
・
東
大
阪
③便利で使いやすい公共交通をつくる
47
(地震や火災、水害などの災害にたいする不安はありますか? どのようなことが不安ですか?)
〔取組み目標1〕
無回答
わからない
3.4%
不安がある
53.7%
建物が倒壊し、同時多発的におこる出火で火災がひろ
がるおそれがあります。道路整備が十分でないので、
安全な避難や円滑な消防・救援活動に支障を来たすこ
B11
ともあります。また、平地では浸水想定区域が、山麓
B15
では土砂災害危険箇所等がひろく分布しています。
○幹線道路のネットワークが不十分なので渋滞が発生し
やすく生活道路に通過交通の車がはいりこみ、道路が
せまいので安全な歩行者空間が確保できていません。
また安心して暮すには、夜間人通りが少なく見通しが
悪いなど、犯罪が発生しやすい環境を改善することも
必要です。
○地域のむすびつきがうすれ、災害時など、助けあいが
むずかしくなっていて、すぐに活動できる体制が十分
整っているとは言えません。
【取組みの方向】
①地震や水害に強いまちをつくる
②交通事故や犯罪のないまちをつくる
③たがいに見守り助けあうコミュニティをつくる
48
東大阪市都市計画マスタープラン
24.2%
道路が狭く消防車や救急車が入ってこられない
20.0%
古い木造家屋が多く、火災が燃え広がる
【現状と課題】
ん。密集市街地がひろく分布し、地震の揺れで多くの
28.6%
地域にどんな危険があるのか、その情報が知らされていない
10.2%
○災害にたいする地域の危険性が十分周知されていませ
54.6%
地震の大きなゆれによって家や塀などが倒壊する
安心して暮せる安全なまちをめざします
自然災害に
たいする不安
とくに不安はない
32.7%
11.5%
もしもの時に避難できる建物や空地が近くにない
10.3%
洪水で床下や床上まで浸水する
9.4%
隣近所のつきあいが少なく、もしもの時に孤立する
7.0%
道路がふさがって避難できない
6.9%
大雨や長雨で山崩れや土石流が起こる
その他
無回答
3.3%
0.7%
(複数回答)
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
B01
●地震や浸水のハザードマップを作成・公表し、災害にたいする危険性を周知しよう。
●学校など公共公益施設や民間建物の耐震化をすすめよう。また建物の不燃化をすすめ、公園や
農地などの空地を確保するなど不燃化地域をひろげよう。
●密集市街地は、幹線道路の整備等により分割するとともに面的改善をすすめよう。
●幹線道路や公園等の整備、周辺建物の耐震化などにより安全な避難地・避難路を確保しよう。
●道路を拡幅したり空地を確保したり、また防災倉庫や防火水槽を設置するなど円滑な消防・救
援活動を確保しよう。
●河道の改修、地下河川・調節池等の整備、また雨水増補管や校庭貯留施設等の整備、農地の保
全などにより浸水対策をすすめよう。
①地震や水害に強いまちをつくる
●生駒山林を保全し砂防事業を実施するなど土砂災害の防止につとめるとともに、土砂災害危険
箇所等では、農地を保全したり宅地開発を抑制したりしよう。
阪神淡路大震災の例(財団法人消防科学総合センター「災害写真データベース」)
●道路網を体系的に整備したり公共交通の利用をすすめたりするなど生活道路への通過交通の進
A15
入をおさえ、通過交通が発生する場合でもコミュニティ道路等の整備によりスピードの出し過
A16
ぎをおさえよう。また歩車分離や踏切解消、バリアフリーをすすめるなど、安全な歩行者空間
を整備しよう。
●行止り路の解消や隅切の設置、違法駐車対策、公園の樹木の配置や剪定の工夫等により、道路
②交通事故や犯罪のないまちをつくる
や公園での見通しを確保し、夜間照明の設置により明るさを確保しよう。また駅周辺では防犯
カメラの設置をすすめよう。
●講習会等の実施など防災・防犯・交通安全に関する意識を高め知識の普及につとめよう。
●自主防災組織や自主防犯組織などの組織やリーダーを育成するとともに、地域活動の拠点とな
る施設を確保しよう。
③たがいに見守り助けあうコミュニティをつくる
●自主防災組織や自主防犯組織などが中心となって、地域危険マップの作成や要援護者の把握、
防災訓練、防犯パトロール、交通安全指導等に取組もう。
49
〔取組み目標2〕
歩いて暮せる快適なまちをめざします
熱帯夜・真夏日・猛暑日の日数
住居系用途の人口
(単位:万人)
真夏日
37.4
80
36.7
37.3
36.4
【現状と課題】
35.6
60
熱帯夜
40
34.2
○住宅地は住環境を改善することによって人口を増やす
猛暑日
20
必要があります。身近な生活空間にうるおいやゆとり
2010
2005
2000
1995
1990
(気象庁ホームページ「気象統計情報」より作成)
(国勢調査)
にたいして環境に配慮することが求められています。
1985
1980
1975
1970
2010
2005
2000
1995
1990
0
1985
が少なく、また、地球温暖化やヒートアイランド現象
○歩いて暮せるまちをつくるには、医療や福祉その他日
常生活に必要な施設や余暇を過ごすための施設が近く
に立地している必要があります。また歩いて楽しい快
適な空間を増やすことが大切です。
○地域のむすびつきがうすれ、住民どうしのささえあい
が少なくなってきています。また住民どうしが気軽に
交流できる場所や機会もあまりありません。環境美
(日常の外出で、行き先までの移動に不便を感じることがありますか? どのような点で不便ですか?)
50.9%
道路や歩道が狭い
無回答
31.0%
路上駐車が多い、自転車のマナーが悪い
わからない 2.4%
6.5%
不便を感じる
33.7%
日常外出時
の不便
不便を感じない
駐車場や駐輪場が少ない
15.2%
道路がよく渋滞する
15.0%
12.5%
駅や道路に段差が多い
11.6%
駅や商業施設までが遠い
駅周辺の道路が狭く車が寄りつきづらい
バスの停留所が遠い、本数が少ない
57.4%
その他
化・子育て・高齢者の見守り・日常生活支援など、地
無回答
8.5%
6.7%
8.9%
2.7%
(複数回答)
域の課題を地域で解決できるよう、地域の主体的な取
組みをすすめてゆくことが大切です。
■住宅開発におけるうるおいとゆとりの創出事例
【取組みの方向】
①うるおいとゆとりがある快適なまちをつくる
②車に頼らなくても暮せる歩いて楽しいまちをつくる
③たがいに見守りささえあうコミュニティをつくる
(東大阪市西岩田)
50
東大阪市都市計画マスタープラン
(八王子市七国)
(福岡市照葉)
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●さまざまなライフスタイルやライフステージに対応できる、多様なタイプの良質住宅の供給に
つとめよう。
●山麓では良好な低層住宅地を保全したり、密集市街地では建替をすすめ防災道路を整備した
り、工場が混在する住宅地では工場の移転をすすめたりなど、地域の特性にあわせた住環境の
保全や改善を図ろう。
A14
A13
A13
●公園やポケットパーク等を整備し、総合設計制度を活用して公開空地を設置するなど、ゆとり
ある空間を生みだし、身近に水やみどりを配置しうるおいを導入しよう。
①うるおいとゆとりがある快適なまちをつくる
●屋上緑化や壁面緑化などヒートアイランド対策を実施するとともに、開発に際しては周辺の自
然環境への負荷を最小限におさえよう。
●徒歩や自転車の移動で必要なサービスが受けられるよう、日常生活サービス施設、医療・福祉
施設、公共公益施設等を歩いて行ける範囲に集約的に配置するとともに、公園等の整備やスポ
ーツ・レクリエーション施設の設置など身近に余暇を楽しめる施設を設置しよう。
●歩道の設置や遊歩道・自転車道の整備、またさまざまな施設のバリアフリーやユニバーサルデ
A16
②車に頼らなくても暮せる
歩いて楽しいまちをつくる
ザインをすすめるとともに、沿道の緑化や休憩・交流施設の配置、地域資源のネットワーク化
など、徒歩や自転車での移動を快適で楽しいものに転換しよう。
●地域コミュニティの必要性を周知するとともに、組織やリーダーの育成につとめ、公共施設や
公民館などを活用した交流場所を確保しながら、地域交流イベントを開催するなど交流機会を
創出して、地域コミュニティの活性化につとめよう。
●地域が主体となって、地域の現状や課題を調べ、地域における取組みの指針をまとめた計画を
作成し、美化清掃・緑化等環境活動や高齢者の見守り・子育て等日常生活支援活動などに取組
③たがいに見守りささえあうコミュニティをつくる
もう。
51
〔取組み目標3〕
にぎわいのある便利で魅力的なまちをめざします
鉄道駅1駅当りの乗車人員
鉄道路線ごとの商店数
3500
3000
車や放置自転車などがアクセスを阻害しています。
○とくに地域の交流拠点としての商店街の魅力が低下し
ており、商店街の魅力の向上を図ることはもちろん、
あわせて周辺の住環境を改善し商店街を支える人口を
増やすことも必要です。商店街の活性化は、地域の住
民と一緒になってすすめることが大切です。
○鉄道やバスの利用者が減少していて、このまま減少が
つづくと、公共交通の維持がむずかしくなります。ま
た近くに駅やバス停のあるところがほとんどですが、
なかにはどちらからも遠いところがあります。鉄道は
東西方向にかたよっていて、JR おおさか東線が開通
したとはいっても、南北方向の連携はまだまだ弱い状
況です。
【取組みの方向】
①出会いや交流が生れるまちをつくる
②にぎわいと活気のある商店街をつくる
③便利で使いやすい公共交通をつくる
52
東大阪市都市計画マスタープラン
8,443
9,716
2005
12,198
1995
10,539
12,368
1990
2000
13,371
1985
JR学研都市線沿線
東大阪市・東大阪商工会議所「東大阪市小売商業の
現状と主要商店街の規模・構造」(2010)をもとに作成
2010
2009
2003
1998
1994
1984
0
1979
た、道路が狭いなど拠点へのアクセスが悪く、違法駐
15,548
500
域特性を活かした整備をすすめることが大切です。ま
1980
1000
16,312
し快適な空間を創出することが必要です。その際、地
近鉄大阪線沿線
1975
1500
16,773
2000
○拠点の交流機能を高めるため、さまざまな機能を集積
1970
近鉄奈良線沿線
2500
1990
【現状と課題】
(東大阪市統計書「鉄道各駅の乗車人員」をもとに作成)
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●商業・娯楽・教養・文化等さまざまな機能の集約的複合的な立地をすすめ、回遊性があって休
憩・交流等ができる空間をあわせもった、安全で快適な歩行者空間を整備するなど、魅力的な
拠点の形成につとめよう。
●地域特性に配慮して、布施駅周辺は広域性を考慮した機能集積を、その他の地域拠点は「地域
の顔」としての機能集積をすすめよう。
●拠点周辺のバリアフリー化や違法駐車・迷惑駐車・放置自転車の対策をすすめるとともに、道
①出会いや交流が生れるまちをつくる
路拡幅や歩道設置、自転車歩行者専用道路の整備など、拠点へのアクセスを改善しよう。また
必要に応じて駅前広場や駐車場の整備をすすめよう。
●商店街は歩行者を優先し、自動車の進入抑制や駐輪場の設置、自転車マナーの向上等につとめ
よう。
●交流や休憩のための空間の確保、地域情報の発信、地域資源の活用などにより交流機能を高め
るとともに、空き店舗をつくらない工夫をすすめよう。
●商店街の近隣に多様なタイプの良質住宅を供給するとともに、住環境の改善や高齢者福祉・子
育て支援等日常生活サービスの提供などによって、まちなか居住をすすめよう。
②にぎわいと活気のある商店街をつくる
●商店街と住民との交流機会の創出や空き店舗等を活用したコミュニティ拠点の設置等をすす
D07
め、商店街と住民によるエリアマネジメント実施にむけ組織の立上げにつとめよう。
●駅前広場の整備やバリアフリー化の推進など交通結節機能を高め、またバスの利便性の向上や
A17
モビリティ・マネジメントの推進などにより、公共交通の利用をすすめよう。
●鉄道新駅の設置や新規バス路線の検討など、公共交通が利用しにくい地域の解消をすすめよ
う。
●大阪モノレールの延伸や鉄道を南北に結ぶバス路線の検討など南北交通の強化を図り、公共交
③便利で使いやすい公共交通をつくる
通による地域間の連携をすすめよう。
53
【テーマ2】
創造性あふれる活力のあるまち・東大阪
【都市の将来イメージ】
「モノづくりのまち」としての誇りにあふれ創造力や
創造性あふれる活力のあるまち
活力が感じられます。また工場の操業環境と居住環境と
が調和し、みどりが適切に配置されてうるおいが感じら
れるなか、工場と住宅とが役割を分担しあいながら上手
にまちが使われています。
都市内の幹線道路ネットワークが効果的に整備され、
物流拠点とうまく連携してスムーズな物流が確保されて
います。また、都市内の農空間が保全されてレクリエー
ションやコミュニティ形成に活用されています。
①工場が集積する魅力的な工業地があり、また住工が
調和して共存する環境が、地域の住民や工場主たち
のコミュニティによってまもられています。
②幹線道路がネットワークし、スムーズな物流が確保
③
農土
のと
あ触
るれ
まあ
ちえ
る
された拠点があります。また貨物自動車は交通安全
に心を配り、地球環境にも配慮しています。
③郊外のまとまった農地や市街地内に残る農地は、貴
重な緑地空間として、高齢者の生きがいづくりや子
どもたちの食育、農を通じたコミュニティ形成など
に活用されています。
②
物効
流率
の的
あな
る
ま
ち
【取組み目標】
新都心
①創造力と活力あふれるモノづくりのまちをめざします
①
モ創
ノ造
づ力
く と
り活
の力
まあ
ちふ
れ
る
②効率的な物流のあるまちをめざします
③土と触れあえる農のあるまちをめざします
生活の場
生産の場
都市景観
54
東大阪市都市計画マスタープラン
生
産
の
場
の
調
整
農地
幹線道路
物流拠点
工業地
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
■住工共生のまちづくりをすすめ、地域の特性にあわせて、物流を確保し、工場集積を保全したり住
工が共存できる環境を創出したり、魅力あるモノづくりのまちをつくります。また土と触れあえる農
空間を保全します■
創造力と活力あふれるモノづくりのまち
取組み目標1
①工場が集まるモノづくりのまちをまもる
②環境にやさしい住工共存のまちをつくる
③住工共存に取組むコミュニティをつくる
効率的な物流のあるまち
取組み目標2
①効率的な物流環境を整える
②物流拠点の機能を更新する
③人にも環境にもやさしい貨物交通を実現する
土と触れあえる農のあるまち
取組み目標3
①郊外にひろがる農空間をまもる
②市街地に残る農地をまもる
【
テ
ー
マ
2
】
創
造
性
あ
ふ
れ
る
活
力
の
あ
る
ま
ち
・
東
大
阪
③土と触れあえる農地を増やす
55
〔取組み目標1〕
高井田地区は、高度成長期、大阪の工業が
創造力と活力あふれるモノづくりのまちをめざします
拡大するなか、その立地条件から多くの中小
企業が立地し、職住一致・職住近接といった
特徴をもって、有数の大都市工業集積地とし
【現状と課題】
て発展してきました。
○工場集積地では近年、移転したり廃業したりした工場
そんな「モノづくりのまち高井田」の地域
の跡地に住宅が建ち、住工の混在化がすすんで操業環
文化を次世代へ継承し、企業と住民が相互に
安心して操業・居住できるまちをめざし、地
境が悪化しています。「モノづくりのまち」を維持す
元の住民・企業・地権者等で高井田まちづく
るには、高度な技術を受け継ぐ後継者の育成が必要で
り協議会が設立され、さまざまな活動がすす
められています。
す。また、これからは環境にやさしい工場への転換が
必要になってくるでしょう。
各用途における人口の増減
10000
○とくに住工混在がいちじるしい地域では、住工の関係
6976
7500
5000
4551
4325
2965
の悪化により工場の移転・廃業がすすんでいます。住
2500
工が共存できる環境を形成するため、操業環境と居住
2500 1151
1488 2426
1494
2217
0
環境をうまく調和させ、地域内に快適な環境を創出す
ることが必要です。
○住民と工場とのコミュニケーションが希薄なため、住
308
3399
5000
5440
7500
10000
12500
15000
8063
8125
住居系用途
商業系用途
工業系用途
13834
17500
85-90
民と工場との交流を深め、いっしょに活動できるコミ
90-95
95-00
00-05
05-10
(国勢調査)
ュニティを形成し、コミュニティによる自律的な取組
(お住まい周辺に工場が多いと感じますか? その状況をどのように感じていますか?)
みの実施が必要です。
2.7%
8.8%
東大阪市都市計画マスタープラン
25.1%
騒音・振動・悪臭などが気になる
わりと
工場の 多いほうだ
混在状況 25.0%
21.2%
少ないほうだ
44.2%
16.6%
道路上で作業をするなど迷惑だ
13.7%
世界の先端技術をもつ町として誇りに思う
12.7%
モノづくりのまちとしての活気や活力が感じられる
工場で働いていて、職場が近くて便利だ
その他
無回答
56
31.7%
資材や製品を運ぶ車の出入りが多く危険だ
暮らすうえでそれほど気にならない
②環境にやさしい住工共存のまちをつくる
③住工共存に取組むコミュニティをつくる
かなり多い
ほとんどない
まったくない
19.4%
①工場が集まるモノづくりのまちをまもる
36.9%
夜になると暗いうえに人通りが少ないのでこわい
無回答
【取組みの方向】
高井田地区の建物用途現況(平成 21 年度都市計画基礎調査)
5.4%
5.4%
1.9%
(複数回答)
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●工場が集積している地域では、「モノづくりのまち」のイメージを PR し、工場立地補助や用
地の紹介・斡旋などにより工場の立地誘導をすすめるとともに、開発時の指導強化や特別用途
A08
A11
A12
地区・地区計画・建築協定等の活用により住宅の立地を抑制することで、工場集積の保全を図
ろう。
●クリエイション・コア東大阪の活用や産学の連携により高度なモノづくり技術の育成・継承に
つとめるとともに、モノづくり体験塾などをとおして後継者の育成を図ろう。
①工場が集まるモノづくりのまちをまもる
●環境にやさしい低公害型の工場への転換や工場の敷地や沿道の緑化につとめるなど、環境への
負荷を小さくしよう。
●住工の混在がいちじるしい地域では、建築協定・地区計画・特別用途地区等の活用により、小
規模なゾーニングによって住工の再配置につとめよう。とくに国道 308 号沿道は、鉄道や沿道
商業施設などによって向上した生活利便性を活用した住工の配置を検討しよう。
●防音・防振設備等の設置、作業場・荷捌き場の確保による路上作業の抑制、夜間照明の設置、
敷地内や沿道の緑化など、公害防止・交通安全・防犯・うるおいなどに配慮し住工が共存でき
②環境にやさしい住工共存のまちをつくる
る環境の形成につとめよう。
●住工の混在がいちじるしい地域では、工場と住民とのコミュニケーションを深め交流できる施
設を設置し、交流イベントを開催するなど交流する機会を生みだし、工場と住民とによるコミ
ュニティの形成につとめよう。また、日常生活サービス施設や工場従事者用住宅を誘致するな
E07
ど、職住近接の実現にむけた検討をすすめよう。
③住工共存に取組むコミュニティをつくる
●工場と住民によるコミュニティが主体となって、住工共存にむけた取組みの指針をまとめた計
画を作成し、計画の実施にむけた取組みや都市計画の提案等をしよう。
モノづくりの達人を学生が訪問(写真提供:高井田まちづくり協議会)
57
〔取組み目標2〕
効率的な物流のあるまちをめざします
【現状と課題】
○幹線道路のネットワーク形成が十分でないので、渋滞
が発生しやすく、効率的な物流を阻害しているうえに、
乗用車の流入が物流を圧迫しています。
○卸売団地も老朽化し更新の時期を迎えています。流通
業務団地の高さ制限を廃止したので、高度利用が可能
になっています。周辺道路は荷待ちの貨物自動車や従
業員の乗用車で駐車場化しています。
○CO2 排出量の抑制によって地球環境への配慮や大気汚
染防止など周辺環境への配慮が必要です。また交通安
全面から、渋滞等で生活道路に迂回する貨物自動車を
抑制する必要があります。
■中環東大阪パーキングエリア
【取組みの方向】
①効率的な物流環境を整える
②物流拠点の機能を更新する
③人にも環境にもやさしい貨物交通を実現する
駐
車
台
数
設
置
施
設
利
用
時
間
備
考
北行き
南行き
87 台
(大型車 54 台 小型車 33 台)
69 台
(大型車 38 台 小型車 31 台)
トイレ、休憩施設
トイレ、休憩施設
※近畿道東大阪 PA 内にコンビニ
年中無休
(一部のエリアは夜間閉鎖 )
平日 9:30~16:30
平成 20 年 6 月 16 日オープン
平成 22 年 4 月 1 日
リニューアルオープン
(大阪府ホームページより)
58
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●幹線道路の整備にあたっては、ネットワーク形成を優先した整備をすすめよう。また交差点の
改良や鉄道交差部の踏切解消など貨物自動車の走行環境を改善しよう。
●南北交通の強化や駅へのアクセスの改善など公共交通の利便性の向上を図るなど公共交通の利
用をすすめることで、乗用車による物流への圧迫を緩和しよう。
①効率的な物流環境を整える
●老朽化した卸売団地は、建替時に高度化を図り、それによって空地を生みだして、従業員駐車
場や荷待ちの貨物自動車用の駐車場の設置につとめよう。
②物流拠点の機能を更新する
C14
●貨物自動車については、低公害車を導入して、CO2 などの温室効果ガスの排出量の削減、大気
汚染や騒音等の防止など、周辺環境への配慮につとめよう。
●生活道路へ貨物自動車が迂回するのを防ぐとともに、生活道路でのスピードを抑えることで、
交通事故の発生を抑制しよう。
③人にも環境にもやさしい貨物交通を実現する
59
〔取組み目標3〕
土と触れあえる農のあるまちをめざします
【現状と課題】
○市街化調整区域には、農地がまとまって存在していて、
貴重な緑地として保全することが必要です。また農村
大阪府都市農業の推進及び農空間の保全と活用
に関する条例に基づき平成 20 年 8 月 29 日指定
から発展した東大阪の原風景を保全することが東大阪
らしさを形成するうえでも重要です。
生産緑地と宅地化農地
○市街地に残る農地が急速に減少し、みどりの少ない市
125 ha
71 ha
131 ha
112 ha
地が増えてきています。後継者を育成することはもち
162 ha
○農家の減少や高齢化で担い手が不足し、遊休化する農
131 ha
るようになってきました。
131 ha
街地で農地の緑地機能や防災機能が積極的に評価でき
84 ha
生産緑地
宅地化農地
F05
ろん、高齢者の生きがい、学童の食育、農を通じたコ
1995
ミュニティの形成など教育やレクリエーションの場と
して活用し担い手不足を解消することが必要です。
【取組みの方向】
①郊外にひろがる農空間をまもる
②市街地に残る農地をまもる
③土と触れあえる農地を増やす
60
東大阪市都市計画マスタープラン
2000
2005
2010
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●市街化調整区域内にひろがる農地は、貴重な緑地として保全しよう。
●とくに生駒山を背景に集落やため池などと一体となった農空間は、東大阪の原風景として保全
につとめよう。
①郊外にひろがる農空間をまもる
●市街化区域内にある農地は、その緑地機能や防災機能を積極的に評価し、生産緑地地区等に指
定するなど計画的に保全しよう。
E12
E12
●ファーム・マイレージ運動などにより地産地消をすすめ、近隣に消費者を確保して農業生産を
安定させることで農地を保全しよう。
②市街地に残る農地をまもる
E11
E11
●農業の後継者の育成をすすめることはもちろん、学童農園や体験農園・福祉農園など教育やレ
クリエーションの場として活用することで担い手の不足を解消しよう。
③土と触れあえる農地を増やす
61
【テーマ3】
人と地域とがつながる魅力あふれるまち・東大阪
【都市の将来イメージ】
新都心は、産業・生活文化交流都市として、人・モ
人と地域とがつながる魅力あふれるまち
ノ・情報がほかの都市からもたくさん集まり、さかんに
交流していて、東大阪の中心地としてにぎわいや活気が
①人・モノ・情報が交流する新都心では、それにふさ
あります。
わしい施設が整備され、東大阪の顔として、都心ら
水・みどり・歴史など豊かな地域資源が地域の人たち
によってまもり伝え発信されています。また、それら地
域資源のネットワークが形成され地域と地域とが強く結
びついています。
そして、それぞれの地域イメージが東大阪らしいイメ
ージのもとに統合され、市民は、東大阪に愛着をもち、
東大阪で住み働き学んでいることに誇りを感じています。
しいイメージを生む景観が整備されています。
②住宅地はうるおいが感じられる落ち着いたたたずま
③
東愛
大着
阪と
ら誇
し り
いを
ま感
ち じ
る
②
あ地
ふ域
れの
る魅
ま力
ちが
①
都交
心流
のが
あ生
るれ
まる
ち
いを見せ、商業地や工業地はにぎわいや活力にあふ
れています。地域固有の資源を地域の人たちがまも
り継承しています。
③生駒山や旧大和川の地形が都市づくりに活用され、
水・みどり・歴史等の資源がむすびつき地域をつな
いでい ます。 また 東大阪 に特 徴的な イメー ジ に よ
り、東大阪らしいイメージがつくられています。
新都心
【取組み目標】
①交流が生れる都心のあるまちをめざします
②地域の魅力があふれるまちをめざします
③愛着と誇りを感じる東大阪らしいまちをめざします
62
東大阪市都市計画マスタープラン
地域らしさ
新都心
東大阪らしさ
生
活
の
場
と
生
産
の
場
の
統
合
生活の場
生産の場
都市景観
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
■新都心は、人・モノ・情報が交流する都市拠点として、「産業・生活文化交流都市の創生」をテー
マに整備をすすめます。また地域のもつ個性を発掘・連携し、東大阪らしさあふれる魅力的なまちを
つくります■
交流が生れる都心のあるまち
取組み目標1
①人・モノ・情報の交流を生みだす
②都心にふさわしい基盤を整える
③都心らしい洗練された東大阪の顔をつくる
地域の魅力があふれるまち
取組み目標2
①うるおいと落着きのある住宅地のたたずまいをつくる
②商業地のにぎわいや工業地の活力を演出する
③地域資源や街並みをまもり伝え生みだす
愛着と誇りを感じる東大阪らしいまち
取組み目標3
①生駒山や旧大和川の地形をまもり活かす
②水・みどり・歴史をひとつにつなぐ
【
テ
ー
マ
3
】
人
と
地
域
と
が
つ
な
が
る
魅
力
あ
ふ
れ
る
ま
ち
・
東
大
阪
③東大阪に特徴的なイメージを活かす
63
〔取組み目標1〕
交流が生れる都心のあるまちをめざします
近畿圏における望ましい交通のあり方について
【現状と課題】
(平成 16 年 10 月 8 日近畿地方交通審議会答申第 8 号)
○新都心は、人が集まり交流する広域的な機能が、都心
とよぶにはまだ十分ではありません。流通センターを
あわせもつことから、人の流れとモノの流れとが衝突
しないように配慮する必要があります。
○人の交流を生みだす広域的な公共交通の連携がとれて
いません。また楽しく歩いて過せる空間の面的なひろ
○大阪モノレール延伸
門真市~鴻池新田~荒本~瓜生堂
8.7km
(大阪モノレール門真駅から瓜生堂付近へ延伸する路線)
・大阪市外縁部において放射状路線と連絡し、環状方向の流動に対応す
るとともに、東大阪新都心から大阪国際空港へのアクセス機能強化に
資する路線である。
がりがありません。そのほか、さまざまな情報が集ま
・近鉄奈良線との乗継ぎ利便性を検討する必要がある。
り発信できる環境を整える必要があります。
・現在整備中の大阪外環状線の今後の輸送需要等を踏まえて、久宝寺方
○東大阪の、広域的な中心地としてのイメージが弱いの
で交流機能が育ちにくい状況です。また物流拠点であ
る流通センターに統一感をもたらすことも必要です。
【取組みの方向】
①人・モノ・情報の交流を生みだす
②都心にふさわしい基盤を整える
③都心らしい洗練された東大阪の顔をつくる
64
(別紙2)京阪神圏において中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線
東大阪市都市計画マスタープラン
面への延伸の可能性を検討する必要がある。
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●荒本駅周辺には、商業・業務・娯楽・居住などさまざまな機能を複合的に配置し、また長田駅
周辺には、高度業務施設を配置するとともに、駅前にふさわしい施設の立地をすすめ、にぎわ
いを創出しよう。
●文化・スポーツ・レクリエーション施設の立地をすすめ、イベント等が開催できる空間や施設
を設置するなど、都市間の広域的な交流機能を高めよう。
●物流による交通と歩行者・自転車の交通とを分離し、物流機能と都心機能の調和の形成につと
①人・モノ・情報の交流を生みだす
めよう。
●大阪中央環状線をはさんだ東西エリアの一体性の確保を図ろう。
●大阪モノレールの延伸を促進し、都市間の広域的な交流機能の強化を図ろう。
●広幅員の歩道の設置やバリアフリーなど歩行者・自転車を優先する整備をすすめ、建物の壁面
後退や沿道の緑化につとめるなど、ゆとりとうるおいを創出し、回遊性の高い歩行者ネットワ
ークを形成しよう。
●情報基盤を整備し高度情報化に対応しよう。
②都心にふさわしい基盤を整える
●広域的な交流拠点として、街灯・舗装・植栽等の工夫により連続性を創出し、標識や広告物等
の整理統合などにより、すっきりとした一体感のある快適な空間を形成しよう。
C13
●市庁舎や東大阪春宮住宅団地の高層建築物は新都心のランドマークとして周辺からの眺望に配
慮しよう。
●東大阪流通センターは、広幅員道路と沿道施設により形成される開放感のある街並みを保全
③都心らしい洗練された東大阪の顔をつくる
し、老朽化した施設は建替時には統一的なデザインを採用するなど、周辺環境との一体的なデ
ザインにより統一的なイメージの形成につとめよう。
65
〔取組み目標2〕
地域の魅力があふれるまちをめざします
【現状と課題】
○生駒山麓の良好な低層住宅地や旧集落の落ち着いた街
並みがあるいっぽう、一般住宅地は、うるおいやゆと
りに欠けています。とくに開発や建築にあたっては、
周辺環境との調和を図ることが必要です。
(お住まいの周辺に、身近に感じる/身近にあったらいいと思う 地域資源はありますか?)
○商業地の魅力が低下しているので、魅力的な店舗や通
河川や水路
りを創出してにぎわいを演出し、「また来たい」と思
ため池
農地
業の空洞化などで地域の活力がしだいに失われていま
10.0%
35.3%
9.3%
4.9%
31.7%
公園・緑地や広場、公開されている敷地内空地
街路樹や生垣など民有地の緑
す。
6.7%
40.5%
18.6%
48.6%
お寺や神社
はじめることが大切です。愛着や誇りを生むために、
11.9%
地蔵尊・石碑、祠など
○地域らしさの創出は、地域の個性をよく知ることから
古い民家や蔵などがある町並み
3.7%
7.1%
お祭りなどの地域イベント
地域で協力しあい、地域資源をまもり伝え、地域らし
い街並みを形成することが必要になっています。
身近に感じる地域資源
身近にあればいいと思う地域資源
【取組みの方向】
①うるおいと落ち着きのある住宅地のたたずまいをつくる
②商業地のにぎわいや工業地の活力を演出する
③地域資源や街並みをまもり伝え生みだす
東大阪市都市計画マスタープラン
その他
無回答
37.9%
7.6%
18.4%
18.2%
特になし
66
21.2%
3.1%
1.3%
自然の樹林
えるような工夫が必要です。また工業地は街並みが無
機質で単調になりがちでうるおいに欠け、さらに製造
8.3%
0.8%
2.0%
2.0%
5.7%
(複数回答)
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●山麓の良好な住宅地を保全するとともに、落ち着いた街並みが残る旧集落地は街並みの連続性
に配慮し、地域の自然資源や歴史資源をアクセントとして活用しよう。
●一般住宅地は、公園や親水空間等の整備、沿道の緑化等、うるおいとゆとりを導入しよう。
●開発にあたっては、既存の地形・みどり等を活かすように工夫し、新築や建替の際は周辺環境
や街並みに配慮しよう。とくにマンション等の建設は、街並みの調和に十分配慮し、総合設計
①うるおいと落ち着きのある
制度等の活用によってうるおいやゆとりの創出につとめよう。
住宅地のたたずまいをつくる
●駅周辺の商業地はまとまりある空間を創出しよう。とくに商店街は、「通り」として統一感の
あるデザインを採用し、空き店舗の活用やイベント等により集客力を高めるとともに、滞留空
間をつくるなど交流が生れるような工夫につとめよう。
●特定業種の工場や問屋の集積がつくるまとまりある街並みを保全しよう。また無機質で単調に
なりがちな工場・倉庫等の外観を施設のデザインや緑化等により改善につとめよう。とくに住
②商業地のにぎわいや工業地の活力を演出する
宅との混在地では、周辺住宅地との調和に十分配慮しよう。
●体験学習や街並み探検など地域の自然や歴史を学ぶ機会を創出し、またインターネットや広報
紙等を活用して地域の情報を発信しよう。
●地域資源の保存や再生や活用、また新しい資源の発見や発掘、既存の資源に新しい価値や機能
を付加するなど、地域資源の保全や継承に地域で取組もう。
C07
●建築協定・緑地協定や地区計画・景観計画等を活用して、良好な街並みを形成し、うるおいや
③地域資源や街並みをまもり伝え生みだす
ゆとりの創出に取組もう。
67
〔取組み目標3〕
愛着と誇りを感じる東大阪らしいまちをめざします
【現状と課題】
○東大阪の貴重なみどりであり、さまざまな生きものが
生息し生育する空間である生駒山の自然をまもること
が必要です。また生駒の山並みを市街地の背景として
活用し、地域のイメージとむすびつけるとともに、旧
大和川の地形を活用し単調になりがちな街並みに変化
をもたらすことが大切です。
○市街地にみどりが少ないため、生駒山の豊かなみどり
を河川や幹線道路でつないで市街地に引きこむことが
必要です。また河川や道路などを軸に地域の自然や歴
史資源をつなげることが必要です。
○東大阪に特徴的なイメージを都市づくりに活用し、東
大阪らしいイメージを強化する必要があります。
【取組みの方向】
①生駒山や旧大和川の地形をまもり活かす
②水・みどり・歴史をひとつにつなぐ
③東大阪に特徴的なイメージを活かす
「東大阪市景観形成基本計画」(2005)より
68
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
【取組みのあらまし】
●森林ボランティアの育成など市民等による生駒山の保全につとめよう。
●また生駒山の自然とふれあえるレクリエーション施設の整備、ハイキングコース・展望台等か
ら市街地を見おろす眺望点の確保、市街地と生駒山を結ぶ散策ルートの整備等をすすめよう。
●生駒山を見通す道路・河川等からの眺望の確保につとめよう。とくにマンション等の建設時に
は、周辺市街地から生駒の山並みへの眺望に配慮しよう。
●旧大和川の地形を活用して周辺の街並みに変化を与えよう。
①生駒山や旧大和川の地形をまもり活かす
●山麓では、谷川沿いに緑地を配置し生駒山から恩智川にいたるみどりのネットワークを形成
C10
し、社寺林やため池を活用したビオトープを整備するなど、生きものが生息できる空間の創出
につとめよう。
●河川の沿岸や幹線道路等の沿道などの緑化をすすめ、公園や緑地等をつなぐうるおい軸を形成
しよう。あわせて自然資源や歴史資源をネットワークし地域と地域を結びつけよう。
●また旧大和川の地形や旧街道を活かして、旧集落の街並みや歴史資源を連携しよう。
②水・みどり・歴史をひとつにつなぐ
●案内板・説明板を設置したり観光ルートや散策ルートを整備したりするなど、自然や歴史と親
しめる環境を整備しよう。
●近鉄花園ラグビー場でスポーツイベントを開催するなど「ラグビーのまち」のまちづくりを推
進しよう。
●モノづくり体験塾や工場見学、技術力の PR など「モノづくりのまち」を PR しよう。
●「学生のまち」として、イベントの企画や設計コンペなど、大学や学生の都市づくりへの参加
をすすめよう。
③東大阪に特徴的なイメージを活かす
69
東大阪の地域資源
70
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
わたしたち一人ひとりが都市づくりの能力をたかめ、多くの人や企業・大
学などとコミュニティをつくり、力をあわせて主体的に取組みます。
【テーマ 4】は、都市をつくる「ひと」に着目し、【テーマ 1】~【テ
【テーマ 4】には、都市の将来像の実現にむけた〔取組みの段階〕を設
ーマ 3】の取組みによる都市づくりが持続的に実施されてゆくよう、都市
定しています。また取組みの段階ごとに、〔取組みの方向〕を設定してい
づくりをおこなってゆく主体をつくるための取組みです。一人ひとりの都
ます。
市づくりの能力を高めてゆくことはもちろん、たくさんの人たちや企業・
大学などの力をあわせることが大切です。
一人ひとりの意識を高めてゆくことからはじめて、仲間どうしではじめ
る身近で小さな取組みから都市づくりという明確な意識をもったコミュニ
ティとしての取組みへ、そして、そうしたコミュニティどうしの連携へ、
とステップアップを図ってゆけるようにしています。
新都心
都市景観
ひと
都 市
生活の場
どんな小さな取組みも、いつかは大きな目標にむかうことを意識して、
つくる
生産の場
大きな目標を忘れないようにしながら、できることから少しずつ取組むこ
市民みんなでつくる
みんなのまち
とが大切です。そうした取組みのひとつひとつの、小さな積重ねがわたし
たちのまちを大きく変えてゆくのです。
(まちづくり活動に参加したいと思いますか? どれくらいなら参加できますか? どんな活動にしたいですか?)
無回答
8.0%
すでに参加しており
つづけていきたい
100%
5.2%
月1回程度
これからは
参加してみたい
これからも
参加したくない
まちづくり活動
への参加意向
無回答 3.7%
週1回程度 4.5%
月2回程度 8.4%
27.5%
38.9%
50%
ふた月に1回程度
13.7%
24.2%
公園や道路の清掃などの美化活動
21.8%
街角の花壇づくりなど身近な緑化活動
16.2%
交通安全・防災・防犯など安全安心に関する活動
14.5%
高齢者や障がい者などの見守りやふれあい活動
8.9%
里山育成や水辺の環境保全など水や緑の保全活動
7.5%
地元商店街などの活性化や盛り上げ
6.9%
歴史資源の活用や保全活動
年数回程度
45.2%
42.3%
自らの地域の開発や建築のルールを考える勉強会
その他
すでに参加しているが
もうやめたい
0%
無回答
(複数回答)
5.1%
2.5%
30.8%
2.7%
71
【テーマ4】
市民みんなでつくるみんなのまち・東大阪
【都市の将来イメージ】
【取組みの段階】
市民一人ひとりが、自分が住み働き学んでいる地域の
市民みんなでつくるみんなのまち
ことを自分のこととして考え、地域に積極的にかかわり、
地域のためにできることはないかと考えています。
そんな市民が参加するさまざまな組織や団体が、それ
ぞれの目的をもって都市づくりに参加しています。
そうして、さまざまな目的をもって活動する組織や団
体が、たがいに連携しながら、より大きな目標(=都市
の将来像の実現)にむけて、力をあわせて取組んでいま
す。
【取組みの段階】
新都心
①みんなが地域のことを自分のこととして考えているまち
②地域コミュニティが元気で
テーマ・コミュニティが活躍しているまち
③都市づくりのネットワークが形成されているまち
72
東大阪市都市計画マスタープラン
都
市
づ
く
り
主
体
の
創
出
生活の場
生産の場
都市景観
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
■たくさんの人や団体が、都市づくりの主体として、都市づくりに参加し、たがいに協力しあいなが
ら、歩いて暮せ、モノづくりの創造力みなぎる、東大阪らしい、夢と活力あふれる元気都市をつくり
ます■
〔ステップ3〕
都市づくりのネットワークが
形成されているまち
〔ステップ1〕
③地域コミュニティと
テーマ・コミュニティの
ネットワークをつくろう
テーマ
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
みんなが地域のことを
自分のこととして考えているまち
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
①地域ごとにたくさんの
テーマ・コミュニティと
つながろう
愛着
地 域
コミュニティ
地 域
コミュニティ
住民等
誇り
①地域のことを
もっとよく知ろう
地 域
コミュニティ
地 域
コミュニティ
住民等
大学
学生
②地域の良いところ
悪いところを見つけよう
②テーマごとにたくさんの
地域コミュニティとつながろう
②地域で集まり地域のために
できることをしよう
住民等
事業者
企業
大学
学生
使命感
テーマ
コミュニティ
住民等
住民等
住民等
事業者
企業
住民等
大学
学生
住民等
事業者
企業
③関心のあるテーマで集まり
地域をこえて活動しよう
住民等
事業者
企業
①同じ思いをもつ仲間が集まって
できることからはじめよう
地 域
コミュニティ
地 域
コミュニティ
事業者
企業
③地域のもっと良くするには
どうすればいいか考えよう
テーマ
コミュニティ
〔ステップ2〕
【
テ
ー
マ
4
】
市
民
み
ん
な
で
つ
く
る
み
ん
な
の
ま
ち
・
東
大
阪
地域コミュニティが元気で
テーマ・コミュニティが活躍しているまち
73
〔ステップ 1〕
①地域のことをもっとよく知ろう
みんなが地域のことを
住み働き学んでいる地域のことが
自分のこととして考えているまちをめざします
少しわかるようになると、
【現状と課題】
○「自分たちの町は自分たちでつくる」という意識や自
もっとたくさんのことが知りたくなります。
この地域のどこになにがあるんだろう?
分が住み働き学んでいる地域への関心がうすれてきて
どんなふうにして、この地域はできたのかな?
います。
どんな人がくらしてきて、
○そのため、市民一人ひとりが、「自分こそが地域の主
どんな会社や工場があるのかしら? って。
役」という意識をもって、地域との関係を築いてゆく
②地域の良いところ悪いところを見つけよう
ことが必要です。
○まずは、わたしたちが、住み働き学んでいる地域に関
心を寄せることからはじめることが大切です。
地域のことを知れば知るほど、
ほかの地域の人たちに
胸をはって自慢したいところや
【取組みの方向】
①地域のことをもっとよく知ろう
知られるとちょっぴりはずかしいところが
だんだんとわかってきます。
②地域の良いところ悪いところを見つけよう
③地域をもっと良くするにはどうすればいいか考えよう
③地域をもっと良くするにはどうすればいいか考えよう
そうすると、この地域の
自慢したいところをもっとのばしたい!
はずかしいところをなおしたい!
そんなふうに考えている
自分がいることに気がつくでしょう。
74
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅲ テーマごとに取組む都市づくり
〔ステップ 2〕
①同じ思いをもつ仲間が集まってできることからはじめよう
地域コミュニティが元気で
ひとりでできることはもちろん、
住民等
テーマ・コミュニティが活躍しているまちをめざします
住民等
【現状と課題】
住民等
○まず、思いを同じくする人どうしが集まって、小さな
たったひとりでは
事業者
企業
住民等
勇気がなくてできなかったことも
住民等
取組みでもできることから少しずつ取組み、成功事例
を重ねてゆくことが大切です。
事業者
企業
同じ思いをもった人どうしが集まると、
仲間といっしょなら
できるようになります。
大学
学生
○そうした集まりが増えてゆくなかで、共通の目的を見
いだすことができれば、ひとつにまとまって、活動の
範囲をひろげてゆくことが大事です。
②地域で集まり地域のためにできることをしよう(地域コミュニティ)
○いずれは、都市づくりの主体として、地域コミュニテ
地域にはそんなふうにしてできた
ィやテーマ・コミュニティがいきいきと活動できてい
仲間どうしの集まりがきっとたくさんあるはず。
住民等
ることが必要です。
さまざまな思いをもって活動する
地 域
コミュニティ
住民等
たくさんの集まりがあります。
大学
学生
【取組みの方向】
①同じ思いをもつ仲間が集まってできることからはじめよう
事業者
企業
そんな集まりが協力しあえば、
地域のためにいろんなことができるようになるでしょう。
②地域で集まり地域のためにできることをしよう
③関心のあるテーマで集まり地域をこえて活動しよう
③関心のあるテーマで集まり地域をこえて活動しよう(テーマ・コミュニティ)
それに、
住民等
大学
学生
事業者
企業
テーマ
コミュニティ
住民等
同じ思いをもった仲間は
ほかの地域にもいるはずです。
そんな仲間が集まれば
事業者
企業
地域をこえて
活動の輪がひろがります。
75
〔ステップ 3〕
①地域ごとにたくさんのテーマ・コミュニティとつながろう
都市づくりのネットワークが
地域にはさまざまな課題があります。
形成されているまちをめざします
【現状と課題】
その課題に対応する
テーマ
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
○地域ごとやテーマごとの具体の活動をとおして、地域
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
コミュニティがテーマ・コミュニティを育て、テー
マ・コミュニティが地域コミュニティを育てる、とい
さまざまな集まりもあります。
特定の地域で、
さまざまな課題に対応する
テーマ
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
うような相互に高めあう関係を築くことで、連携を深
たくさんの集まりが協力しあうと、
地域の課題も解決できます。
めてゆくことが必要です。
○ひとつひとつの地域コミュニティやテーマ・コミュニ
②テーマごとにたくさんの地域コミュニティとつながろう
ティを、都市の将来像を共有化することで連携し、個
別の活動にすぎなかった取組みを、市民の都市づくり
そのいっぽうで、
地 域
コミュニティ
地 域
コミュニティ
同じ課題をもったたくさんの地域があります。
の大きなうねりに変えてゆくことが大切です。
地域の集まりが、
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
地 域
コミュニティ
同じ課題を解決するために
地域をこえて協力しあうと、
【取組みの方向】
地 域
コミュニティ
①地域ごとにたくさんのテーマ・コミュニティとつながろう
大きな力が生れます。
②テーマごとにたくさんの地域コミュニティとつながろう
③地域コミュニティとテーマ・コミュニティの
③地域コミュニティとテーマ・コミュニティのネットワークをつくろう
ネットワークをつくろう
こうして、
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
地 域
コミュニティ
地域の集まりと課題に対応した集まりとが
しっかりと結びつけば、
どんな地域の、どんな課題にだって、
テーマ
コミュニティ
76
東大阪市都市計画マスタープラン
地 域
コミュニティ
テーマ
コミュニティ
立ちむかうことができるはずです。
Ⅳ 市民主役の都市づくりにむけて
基本方針の実現にむけ都市づくりを協働ですすめるため、都市づくりの区
分に応じて、市民と行政とが役割を分担し協力しあって取組みます。
基本方針の実現にむけて、都市づくりを協働ですすめるため、市民と行
これまでは、こうした区分にかかわらず、そのおおくを行政が担ってき
政の役割分担を明確にするとともに、協働で取組む体制をととのえ、市民
ましたが、これからは、区分に応じて、行政ばかりでなく、市民もまた行
が主役の都市づくりを推進します。
政と役割を分担しながら、おおくの部分を担ってゆくことが大切です。
都市計画マスタープランがすすめる都市づくりは、その影響をおよぼす
範囲がひろいものから順に、都市づくり-拠点づくり-地域づくりと、大
きく三つに区分することができます。
■都市づくりの三区分
都市の骨格をつくり都市のひろい範囲に影響をおよぼす
都市づくり
もので、市民の参加を図りながら、行政が主体的にすす
都 市
づくり
拠 点
づくり
めます。
都市づくりと次の地域づくりの中間段階で、市民の生活
や活動に直接かかわる身近な範囲のものではあっても、
拠点づくり
行 政
市 民
地 域
づくり
計画立案
事業実施
参 加
協 議
計画提案
事業実施
計画提案
反 映
事業実施
計画立案
事業実施
支 援
これから
拠点など都市の骨格にかかわり、影響がひろい範囲にま
市民
でおよぶもので、市民と行政とが役割を分担しながら協
意見
力しあって実施します。
市民の生活や活動に直接かかわる身近な範囲のもので、
地域づくり
要望
行 政
計画立案
事業実施
これまで
市民がみずから地域の課題を解決するため、行政の支援
を受けながら、地域におけるルールづくりや取組みを主
体的に実施します。
都 市
づくり
拠 点
づくり
地 域
づくり
なかでも地域づくりは、これまで行政が画一的に実施してきましたが、
市民のニーズが多様化するなかで、行政では対応できない課題も増えてき
ました。これからは、そうした課題にたいしても、多様な主体の協働によ
って、きめの細かい取組みを実施することが求められています。
78
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅳ 市民主役の都市づくりにむけて
●都市づくりの役割分担━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●地域づくりの役割分担━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
行政は、計画や事業の構想段階から情報の提供をすすめ、市民意見を反
市民は、組織化をすすめ合意形成を図りながら、地域のなかに一定の地
映するしくみを構築しながら、市民参加のしくみづくりに取組みます。ま
区をさだめて「地区まちづくりプラン」を作成し、プランにそった取組み
た市民は、行政がすすめる都市づくりに積極的に協力・参加します。
をおこないます。また行政は、地域づくりの段階に応じた支援のしくみを
検討します。
市民の役割
○行政が実施する都市づくりへの参
加・協力
行政の役割
○構想段階からの情報の提供
○市民意見を反映するしくみの構築
○市民参加のしくみの検討
●拠点づくりの役割分担━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
市民は、拠点づくりにたいする理解と関心を深め、拠点づくりの計画・
事業を提案します。また行政は、協議の場を設定したり、市民の提案や計
の
段
階
地
域
づ
く
り
①
地
域
を
知
る
市民の役割
行政の役割
○都市計画マスタープランや地域づ
○都市計画マスタープランを PR す
くりについて学習する
○地域の現状をよく知り、良いとこ
ろ悪いところを考える
②
仲
間
を
増
や
す
○仲間を増やして勉強会などをつく
③
計
画
を
つ
く
る
○一定の地区をさだめ地区の将来像
④
行
動
に
う
つ
す
○地区まちづくりプランにしたがっ
る
る
○地域づくりや都市計画に関する情
報をひろく提供する
○地域づくりのリーダーを育成する
○交流の場や機会をつくる
○地域の課題や地域づくりの必要性
を話しあう
画づくりを支援したり、市民の提案や計画を受入れるシステムの構築につ
いて検討します。
市民の役割
行政の役割
○拠点づくりへの理解・関心の向上
○協議の場の設定
○拠点づくり計画・事業への提案
○専門家の派遣など提案や計画づくり
の支援
○提案やその反映の手続の明確化
や地区まちづくりの方向を決める
○地区まちづくりのルールや実施す
る事業を決める
て市民がそれぞれに取組む
○市民が主体となって地区まちづく
りのための事業をすすめる
○地域がおこなうプランづくりを支
援する
○都市計画や建築等の専門家を派遣
する
○都市計画決定等必要な手続をする
○道路・公園等公共事業を実施する
○市民の取組みを支援し規制誘導手
法などを運用する
79
都市づくりを市民と行政の協働ですすめるため、市民と行政それぞれの体
制を整え、専門家による支援をすすめます。
●市民の体制をつくる━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
都市づくりを、多様な主体の協働によってすすめるため、市民の参加を
市民は、都市づくり全般に参加できる機会を積極的に活用したり、地域
すすめ、さまざまな組織や団体、個人が連携できるネットワークづくりや、
コミュニティを活性化したり、テーマ・コミュニティを育成したりするこ
行政のいろいろな分野を横断した体制づくりが必要です。
とが大切です。とくに地域づくりでは、多様な主体が交流できる場や機会
また、都市づくりに関する取組みをすすめてゆくには専門的な知識が必
要になります。都市計画や建築などの専門家や NPO などの活用が欠かせ
をつくり、地域の課題にきめ細かく対応できる、地域づくりのネットワー
クを形成することが必要です。
ません。
●庁内体制を整える━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
庁内体制の整備
行政は、協働ですすめる都市づくりに対応できるよう、庁内の体制を整
え、関係する部門が柔軟に連携しあって取組めるようにしておくことが大
担当課
担当課
市民
切です。とくに地域づくりでは、地域づくりに関する情報を提供したり、
担当課
担当課
連 携
担当課
地域コミュニティ
地域担当
総合窓口
担当課
担当課
担当課
地域の意見を集約したり、地域がおこなう取組みを支援したりする、地域
の総合窓口の設置が必要です。また、そこを拠点に、多様な主体どうしの
交流がうまれ連携がすすむことが期待されます。
担当課
協働ですすめる都市づくりに柔軟に
対応できる部門間の横断的な連携
テーマ・コミュニティ
専門家による支援
地域づくりに対応できる
地域担当の窓口組織の創設
●専門家による支援をすすめる━━━━━━━━━━━━━━━━━
市民が主役となった都市づくりをスムーズにすすめるには、専門的な知
識をもったコンサルタントや専門家等のアドバイザーが必要になります。
また、さまざまな目的をもって活動をしている多様な主体を、共通の目
将来像の共有化
D05
的のもとにむすびつける調整役(コーディネータ)として、大学・コンサル
タント・NPO などの活用も必要です。とくに、行政と地域、地域と地域
D06
の間に立ってさまざまな活動を支援する組織として、中間支援組織の役割
多様な主体をつなぐ接着剤
調整役(コーディネータ)
80
東大阪市都市計画マスタープラン
が期待されます。
Ⅳ 市民主役の都市づくりにむけて
地域づくりは、地域のニーズにあったきめ細かい取組みを「地区まちづく
りプラン」をさだめるなど、市民が主役になってすすめます。
●「地区まちづくりプラン」を作成し実施する━━━━━━━━━━━━
市民に身近な範囲でおこなう地域づくりは、市民のニーズが多様化する
「地区まちづくりプラン」は、地域のなかに特定の地区をさだめ、地区
なか、これまで行政では対応できなかった課題にたいしても、多様な主体
の将来像や地区で取組む地区まちづくり活動を、地域で住み働き学んでい
の協働によって、きめ細かい取組みを実施することが期待されています。
る市民が、自分たちの手でまとめた指針です。
「つくる」から「つかう」へ都市づくりの転換を図るなかで、その地域
プランの作成と実施には、思いを同じくする、たくさんの仲間が参加し、
に住み働き学んでいる市民が、地域のニーズにあった、きめの細かい取組
できることからはじめ、活動の輪を少しずつひろげてゆくことが大事です。
みを主体的にすすめ、市民だけでは対応がむずかしい部分について行政が
このプランを、地域の市民みずからがつくることで、地域づくりについて
おぎなうといった、市民が主役になってすすめる地域づくりへ転換してゆ
共通認識を形成し、地域の市民がみずから取組むことで、連帯感や自治意
くこととします。
識がうまれ、地域にたいする愛着や誇りが育ちます。
またプランのうち都市計画にかかわる内容は、市の都市づくりの考えか
①地区の範囲を決める
地域の特徴などをふまえて、地域のなかに取組みにふ
さわしい特定の範囲を決め、地区を設定する
②地区の現状や課題を調べる
地域の人たちが集まり、設定した地区に対する思いを
話しあい、現地を調査して地区の特色や課題を地図に
書きこむ
③将来像や目標を決める
地区の現状や課題をもとに、地区をどんな町にしたい
かを話しあい将来像や目標を設定する
④具体の取組みを決める
目標を実現するための具体的な取組みを検討し、地域
でやること、市の協力が必要なこと、他団体と連携す
ることなどを分ける
⑤役割を分担する
取組みが決まると、それを、だれが中心となっておこ
なうのか、どの団体と連携するのかなど、役割分担を
明確にする
⑥プランにまとめる
以上をとりまとめて、地区まちづくりプランとし、地
域の住民や事業者等に配布し周知する
⑦実際に取組んでみる
プランにしたがって、できるだけ多くの人が参加する
なかで、取組みを実施する
⑧その結果をまとめて評価する
取組みをおこなったら、取組みの結果を報告書にまと
めて、取組みをふりかえり、どれだけ目標に近づけた
かを評価する
⑨プランを練りなおす
こうした活動は継続することが大切であり、評価の内
容を次の取組みに活かして、プランを練りなおす
たや周辺地域との整合性を見たうえで、都市計画マスタープランに地域ご
との方針として位置づけてゆくことも考えられます。
●テーマ別方針を活用する━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
地区まちづくりプランをつくるには、「Ⅲ テーマごとに取組む都市づ
くり」のテーマ別方針を活用することができます。地域がめざす取組みの
方向がどのテーマにそったものかをみれば、どんな取組みが必要になるの
かがわかります。また、取組みの方向を体系的にしめしてあるので、上位
の目標で一致できれば、ほかの取組みをおこなっている別の団体や組織と
連携することもできます。
81
作成
事例
1
大きな地震が起っても地域の助けあいで災害に立ちむかう
○○地区まちづくりプラン
■取組みのキッカケ
東日本大震災の様子をテレビでみて、阪神淡路大震災の状
況を思い出した A さん。南海・東南海地震の発生確率が高い
地
概
区
の
要
というのを聞いて、「もしもこの町で同じような地震が発生
したら…」と考えて怖くなった。
地 区 の
現状と課題
そこで、とにかく大きな地震のなかを生き延びることが先
決と、隣近所に声をかけ、地域で適切に避難ができるように、
自分たちでもできる取組みを実施することにした。
地区の目標
将 来 像
上位目標
■プランの作成
阪神淡路大震災では、地震発生直後の家屋の倒壊などによ
○○地区は、高度成長がはじまったころ、駅の周辺に残っていた農地を開発してつくられた住宅地で旧集落
と一体となっている。道路や公園等の基盤整備がすすまないなか、一気に宅地化がすすみ、防災上課題のある
地区を形成している。
地区には、老朽化した家屋が密集して建ち並び、空地もなく狭い道路や行止り路も多く存在している。大き
な地震が起きれば、家屋が倒壊し、道路はふさがり、出火や延焼がひろがる可能性が高い。また地区では、人
口の減少がつづいていて、以前よりも空き家が増え、管理もされずに放置されているものもある。また地区の
高齢化もすすんでいて、コミュニティ活動の維持もむずかしくなってきている。
Ⅰ
すまいの安全を確
保する
る圧死が 8 割を超えるという。そこでまず、わが家に命を奪
われることがないよう、第一に、わが家の安全を確保するこ
とを最優先として上位目標に位置づけた。
命が助かれば、次は安全な場所に安全に逃げることが大事
である。そこで第二に、安全な避難を確保することとした。
とにかく大地震のなかを生き延びることが、つづく避難生活
Ⅱ
安全な避難を確保
する
や復興につながってゆく。それには地域の結束が大事なので、
たがいに助けあい地震に立ちむかう地域をつくる
上位目標への手段
(中位目標)
す まい の安 全性に つい て認
識を深める
具体的な行動
(下位目標)
①すまいの防災対策について勉強会や専門家の出前講座を開く
家 が壊 れて も死ん だり ケガ
を した り、 家に閉 じ込 めら
れたりしないようにする
①家具が転倒するのを防ぐ
地 震の 大き な揺れ にも 壊れ
ない家をつくる
①耐震診断を受ける
避 難の ため の情報 を地 域で
共有する
①避難場所を確認し、避難場所までの地区の危険情報をみんなで出
しあって地図に書きこみ、安全と思われる避難経路を複数設定す
る
②地図に書きこんだ情報を実地に歩いて確認しながら、新たに発見
した情報も書きこむ
地域コミュニティを強化することを、第三として、上位目標
にあげた。
②家具が転倒してドアが開かないなどがないよう家具の配置を変え
る
②耐震改修をする
③耐震建物に建替える
③避難場所までの経路や沿道の情報を書きこんだ地図を作成して地
域の家庭に配布する
■今後の取組み
④あわせて、お年寄りだけの家や障害者のいる家など災害弱者とな
る人のいる家を確認しておく
地震が発生すると、大きな揺れで建物が倒壊し、倒壊した
建物から同時多発的に火災が起きることから、初期消火や救
避難訓練を実施する
①地図を見て沿道の状況を確認しながら避難地までを歩く
②お年寄りだけの家や障害者のいる家への声かけをおこない、避難
誘導の訓練もあわせておこなう
避難経路の安全を確保する
①倒れて道路をふさいだりするようなものは撤去したり固定したり
する
援など地震発生直後の活動が、被害を拡大させないうえで重
要である。今回は、地域で生命を守るというところに焦点を
おいて作成したが、今後は、このプランにそった取組みをつ
②倒れそうなブロック塀などを撤去したり生垣にしたりする
づけながら、地域で初期消火できるような体制をつくってゆ
きたい。
Ⅲ
地域コミュニティ
を強化する
隣近所の関係を深める
③倒壊したり延焼したりしそうな空き家を撤去するなど空き地にで
きないか所有者と話しあう
①あいさつの励行などふだんの生活から隣近所との関係を見なおす
②家具の転倒防止や配置換えなどをおたがいに手伝う
③お年寄りだけの家や障害者のいる家などへの声かけや見守りをお
こなう
地域の防災体制を整える
82
東大阪市都市計画マスタープラン
①自主防災組織をつくって避難訓練などを定期的な取組みにする
Ⅳ 市民主役の都市づくりにむけて
作成
事例
2
住工が調和して共存する職住近接の環境をつくる
○○地区まちづくりプラン
■取組みのキッカケ
この地区で町工場を構え、近
くで暮してきた工場主の B さん。
地
概
区
の
要
○○地区は、かつては町工場が多く職住近接の地区だったが、近年は、職住の分離がすすんでいる。景気の
低迷で、移転や廃業をする工場も増えてきていて、跡地がマンション開発やミニ開発され、工場の集積地とし
ての魅力が低下してきている。
長引く景気の低迷で、近隣でも
移転や廃業する工場があって、
その跡地に大きなマンションが
建ち、住民との間でトラブルが発生し、操業しにくくなって
地 区 の
現状と課題
きていると聞いた。このままでは、この地区の工場も衰退し
てしまうんじゃないかと考え、近くの工場主や以前からの住
マンション開発やミニ開発によって、この地区のことをあまり知らない住民が急に増え、工場とのトラブル
が発生している。とくにマンション開発は、日影規制がないため既存の住宅にとっても日影をつくったりビル
風が発生したりするなどで住環境を悪化させている。
これ以上操業環境を悪化させないための応急的な対策として、住工のトラブルを未然に防ぎながら、あわせ
て、住工が調和して共存できる、働きやすく暮しやすい環境をつくることが必要。
地区の目標
将 来 像
職住近接型のモノづくりのまち
民にも呼びかけて取組みをはじめることにした。
上位目標
■プランの作成
まず、いま以上の操業環境の悪化を防ぐことを最優先とし
Ⅰ
いま以上に操業環
境を悪化させない
て上位目標の第一に設定した。この地区がモノづくりのまち
上位目標への手段
(中位目標)
具体的な行動
(下位目標)
住 工の トラ ブルを 未然 に防
ぐ (工 業地 である こと を納
得のうえ住んでもらう)
①この地区が工業地域であり、「モノづくりのまち」であることを
インターネットなどを利用して PR することはもちろん、市などへ
働きかけ広く PR してもらう
②新規入居者にたいして、工業地であることを事前に説明してもら
うよう、マンションのオーナー等と覚書を交わす
であることをよく知らないで住みはじめることが、結果的に
トラブルを増やしていることから、工場地であることを納得
急 な住 宅地 化を抑 える (急
な人口増を抑える)
したうえで住んでもらうこと、またミニ開発やマンション開
発など居住者が一気に増える住宅開発を極力抑えること、が
重要として中位目標とした。
第二は、今後住工が調和して共存する職住近接型のまちづ
くりをめざして、既存の住宅との良好な関係を築くことを上
Ⅱ
既存住宅との良好
な関係を築く
住環境を改善する
③防音・防振対策や低公害型の設備への転換につとめる
④日照・通風を確保するため、住居系並みの高さ制限の実施につと
める
地域コミュニティを形成すること、を中位目標として、具体
の取組みをまとめた。
⑤無機質で単調になりがちな工場の外観について、デザインを工夫
するなど改善につとめる
■今後の取組み
⑥上記①~⑤の内容で、所有者等の賛同を得られたものは、できる
限り協定等の締結にむけて取組む
いまは協定の締結にむけて、賛同者で地区のルールの細か
い点などについて話しあいを重ねている。また今回の取組み
は、応急的なものでしかないため、今後は、工場にとって魅
にか?
①沿道や敷地内の緑化につとめる
②歩行者の多い時間帯の路上作業を控えたり、地区内での車の走行
速度を落としたりするなど、歩行者の安全を確保するための配慮
をおこなう
位目標の二番目とした。住環境を改善すること、また住工で
力的なまちとはどんなまちか?
③新規の居住者には工業地であることを十分に説明する
①新規のミニ開発を防ぐため、都市計画法第 33 条第 4 項の条例を制
定するよう市に働きかける
②マンション開発を防止するため、協定等の締結にむけて賛同者を
募る
職住近接のまちの魅力はな
それをどうやってつくりだしてゆくか?
といった
ことについて、みんなで検討してゆこうと話しあっている。
住工の交流を深める
①モノづくり塾や工場見学などにより、工場の内容やモノづくりの
技術の素晴らしさを知ってもらう
②住工がさかんに交流できるよう、餅つき、花見、盆踊り、バザー
ルなど、イベントを企画し開催する
③住工の共存を地域づくりの問題として活動する、住民と事業者と
による地域コミュニティの形成につとめる
83
作成
事例
3
地域資源の活用をとおして人と地域とをむすびつける
○○地区まちづくりプラン
■取組みのキッカケ
最近、子どもが生れ、都心の
マンションから、この地区に引
地
概
区
の
要
っ越してきた C さん。近所には、
おなじように小さな子どものい
る世帯も多く、若いお母さん仲
地 区 の
現状と課題
間と話していて、「この子たちが、自分の生れ育った町を将
来自慢に思える、そんな町にできたらいいなぁ…」という話
題になった。
○○地区は、山麓に新しく開発された住宅地で、むかしの集落と一体となっている。開発地には、比較的若
い世代が入居してきている。集落には古い町並みや蔵なども残っていて、また神社やお寺、祠、地蔵尊など歴
史を感じさせる資源も周辺に多くある。
最近、人と地域とのむすびつきが薄れてきていて、新たに居住することになった人は、地域のことをあまり
知らないし、集落の人のこともよく知らない。ふだん生活することに不便はないものの、ここで永く暮してゆ
こうと考えたとき、地域や地域の人との交流は必要。
地域の魅力を発見・再発見する取組みをとおして、地域のみんなで地域の魅力を共有することが、地域への
愛着や地域の人たちとの交流を生むキッカケになる。
地区の目標
将 来 像
将来、子どもたちが自慢できる「ふるさと」をつくるため、
上位目標
まずは地区の魅力を発見し地域で共有することからはじめよ
う。こうしたことから、「楽しみながら自分たちの力で地域
Ⅰ
地域資源を発見・
再発見し共有する
づくりができるといいね」などと言いあった。
子どもたちが自慢できる「ふるさと」をつくる
上位目標への手段
(中位目標)
具体的な行動
(下位目標)
地 域資 源と なりそ うな もの
を抽出する
①自然、地形、古木、社寺、歴史、人物、居心地の良い場所や店、
活動、眺望など、資源となりそうなものを、みんなで考え思いつ
くまま出しあう
②出しあった資源について、項目を設定して分類する
③出しあった資源を地図に書きこむ
■プランの作成
実 際に 歩い て地区 の魅 力を
発見する
まず地区の魅力を地域で共有することを上位目標として、
そのために、地域資源マップを作成し配布することとした。
①実際に歩いてみて、出しあった資源を確認する
②出しあったもののほかにも魅力となるような資源がないかを調べ
る
③資源周辺の現状や改善点などもあわせて地図に記入する
こうした取組みが、地域への愛着を生むことになると考えた。
集めた資源について調べる
①地区の歴史や資源の歴史などを図書館などで調べる
②資源の由来やいわれ、言い伝えなどを、昔から住んでいる人など
に話を聞く
地域資源マップを作成する
①集めた資料や写真などを整理し、テーマを設定してわかりやすく
編集する
また、地域資源をふだんの生活のなかに取りいれることで、
地域資源を身近に感じることができる。そのため、地域資源
の魅力アップの取組みや地域資源を結ぶ散策ルートを設定し
それを心地よいものにする取組みを、清掃や花植え、水やり
②地域資源マップを作成する
地域資源マップを配布する
などの生活行動とむすびつけることとした。
①各家庭や学校などに資源マップを配布する
②ホームページを立上げマップを掲載する
③新たな資源の情報の提供を求める
■今後の取組み
Ⅱ
それぞれの地域資
源の魅力アップ
この取組みをとおして、集落の人たちとも親しくなったし、
これまで行ったことのなかったところにも仲間ができた。ま
資 源が もっ と魅力 的に なる
ように演出する
た町角にひっそりと立っているお地蔵さんたちとも顔馴染み
になった。
今後は、作成した地域資源マップの活用をとおして、地域
で、無理をせず楽しみながら取組む地域づくりへ、その活動
の輪を少しずつひろげてゆきたいと考えている。
84
東大阪市都市計画マスタープラン
資 源の 魅力 を邪魔 して いる
ものを取除く
Ⅲ
地域資源をつない
で散策ルートの沿道
を快適に
①資源周辺の清掃をおこなう
②雑然として資源が見えにくくなっているものなど資源周辺を片づ
けたり整理整頓する
①花植えや水やりなど資源をふだんの生活の中に取りいれる
②地蔵盆など資源を活用したイベントなどをおこなう
地 域資 源を 関連づ けて 散策
ルートを設定する
①地域資源をつなぎ、沿道の状況をみながら、散策ルートを設定す
る
散 策ル ート の沿道 を気 持ち
のよいものにする
①通りごと一斉に清掃したり夏場の打ち水をしたりなどする
②前庭や玄関アプローチなど通りに面するところを花や緑で飾る
③案内板や誘導板などを設置する
Ⅴ 都市計画マスタープランを推進しよう
都市づくりへの市民参加をうながし、多様な主体どうしで将来像の共有化
を図るため、都市計画マスタープランのPRにつとめます。
テーマごとの取組みを推進するため、情報を共有し事業の重点化を図りま
す。また事業の実施にあたって施設の複合利用や一体整備を検討します。
都市づくりや都市計画にたいする市民の意識をたかめ、都市づくりへの
●情報を共有し小規模な事業を積重ねて重点化する━━━━━━━━
参加をうながし、また多様な主体どうしで将来像の共有化を図るため、都
都市計画マスタープランにもとづいて都市づくりを推進するために、現
在事業を実施しているものもふくめ、今後およそ 10 年間で実施する予定
市計画マスタープランの PR につとめます。
のある事業について、テーマごとに整理しなおすことで、テーマが示す将
来像を共有して、それぞれの部門が取組みをたがいに連携できるようにし
ておくことが大切です。
都市計画
マスタープラン
のPR
そのため、都市づくりに関する情報が共有化できるしくみを検討します。
市民参加にむけた啓発
将来像の共有化
また、小規模な事業を積重ねて重点化するなど修復型の整備手法の研究に
つとめます。
都市づくり情報の共有化
事業の重点化
修復型整備手法の研究
テーマごとに
取組む都市づくり
●施設の複合利用や周辺市街地との一体整備をすすめる━━━━━━
施設の複合利用・一体整備
また事業の実施にあたっては、地域のニーズを的確に把握して、ニーズ
市民主役の
都市づくりにむけた
しくみづくり
都市づくりに関する情報交流の推進
担い手の育成・組織の活性化
都市づくりへの参加促進
地区まちづくり活動の支援
にあった施設を適切に配置することはもちろんですが、財政状況がきびし
くなるなか、効率的で効果的な都市づくりをすすめる必要があります。
そのために、すでにある施設を活用して、その役割を転用したり、別の
都市施設のありかたの検討
土地利用規制のありかたの検討
状況の変化に
対応できる
都市のありかた
の検討
役割を新たにあたえて施設を複合的に利用したりすることを検討します。
また、施設の整備にあたっては、道路と公園を一体的に整備したり、道路
と沿道の市街地をいっしょに整備したりするなど、施設と施設、施設と周
辺の市街地を一体的に整備することを検討します。
86
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅴ 都市計画マスタープランを推進しよう
●今後 10 年間で実施する、もしくは実施を予定している取組み━━━━━━━━
【テーマ1】 いきいき暮せる安全で快適なまち・東大阪
目 標
部 門
交通施設
取組み目標1
取組み目標2
取組み目標3
安心して暮せる安全なまち
歩いて暮せる快適なまち
にぎわいのある便利で魅力的なまち
幹線道路の整備(渋川放出線、足代四条線ほか)
近鉄奈良線の立体交差化
大阪モノレールの延伸
生活道路の整備
玉串川跡地遊歩道の整備
JR おおさか東線新駅設置
交通安全施設の整備
生活道路の整備
駅前広場の整備(永和駅、俊徳道駅、JR おおさか東線新駅)
橋りょうの耐震補強
自転車歩行者専用道路の整備
駅エレベータの設置(JR 徳庵駅)
自転車歩行者専用道路の整備
自転車駐車場の整備
放置自転車の防止
み ど り
花園中央公園の整備
花園中央公園の整備
布施公園の整備
布施公園の整備
街区公園の整備
街区公園の整備
民有地緑化助成
公園のバリアフリー化
駅前等公共施設の緑化
駅前等公共施設の緑化
花とみどりいっぱい運動
民有地緑化助成
緑化ボランティアの育成
浸水想定区域の公表
下水道施設の耐震化・長寿命化
下水道施設の耐震化・長寿命化
河川改修(大川ほか)
雨水増補幹線の整備
下水道・河川
校庭貯留施設の設置
河川改修(大川ほか)
準防火地域の拡大
密集市街地の整備(若江・岩田・瓜生堂地区住宅市街地総合整備事業)
公共施設の耐震改修(学校ほか)
都市防災
民間建築物耐震診断・耐震改修費補助
土砂災害防止対策
防災センターの整備
そ の 他
市営住宅の建替
空き店舗の活用促進
自治会集会所の整備補助
コミュニティ関連施設の設置補助
市民会館の建替
永和図書館の建替
87
【テーマ2】 創造性あふれる活力のあるまち・東大阪
目 標
部 門
取組み目標1
取組み目標2
取組み目標3
創造力と活力あふれるモノづくりのまち
効率的な物流のあるまち
土と触れあえる農のあるまち
(仮称)住工共生まちづくり条例の制定
土地利用
流通業務地区の見直し
生産緑地地区の指定
工場の立地促進
幹線道路の整備(渋川放出線、足代四条線ほか)
交通施設
近鉄奈良線の立体交差化
花とみどりいっぱい運動
み ど り
集合工場の建設
福祉農園の設置
そ の 他
【テーマ3】 人と地域とがつながる魅力あふれるまち・東大阪
目 標
部 門
取組み目標1
取組み目標2
取組み目標3
交流が生れる都心のあるまち
地域の魅力があふれるまち
愛着と誇りを感じる東大阪らしいまち
流通業務地区の見直し
土地利用
大阪モノレールの延伸
玉串川跡地遊歩道の整備
交通施設
み ど り
街区公園の整備
森林ボランティアの育成
河内寺廃寺跡史跡公園の整備
花園中央公園の整備
布施公園の整備
違法屋外広告物の除却
景観計画の策定
アーケード・街灯・カラー舗装等商店街環境整備補助
司馬遼太郎記念館周辺の整備
パブリックアートの整備
ハイキングコース案内板の設置
都市景観
そ の 他
88
東大阪市都市計画マスタープラン
Ⅴ 都市計画マスタープランを推進しよう
■部門ごとの取組みと概要(その他の部門をのぞく)
部
門
土地利用
部門ごとの取組み
住工共生のまちづくり
新都心の整備
都市農地の保全
交通施設
公共交通機関の整備促進
快適な駅前空間の形成
取組みの概要
住環境と工場の操業環境の共生を図るため、「(仮称)住工
共生まちづくり条例」を制定します。
また工業専用地域や工業地域において製造業の立地を促
進するため、工場を建設するばあいなどは補助金を交付し
ます。
実施する取組み
工場の立地促進
流通業務地区の見直し
不足 す る公 園 緑地 を補 い 良好 な 都市 環 境を 確 保す るた
め、市街化区域内農地がもつ緑地機能や防災機能などを積
極的に評価し、生産緑地地区の指定をおこないます。
生産緑地地区の指定
鉄道利用者の利便性を向上するとともに駅周辺を活性化
するため、駅前広場を整備します。また、JR 徳庵駅の東側
連絡通路にエレベータを設置します。
駅前における自転車事故を防止して歩行者等の安全な通
行を確保するため、自転車駐車場を整備するとともに、放
置自転車追放にむけて市民への啓発・指導と放置自転車の
撤去を実施します。
(未
定)
新都心整備事業
経済部
建設局
大阪府
大阪外環状線新駅設置事業



都市整備部
大阪市
・永和駅前広場
・JR おおさか東線新駅駅前広場
街路整備事業



都市整備部
大阪府
駅エレベータの設置
(未
JR おおさか東線新駅設置
(未
定)
駅前広場の整備
・俊徳道駅前広場、俊徳道駅前線
・JR 徳庵駅
近鉄奈良線連続立体交差推進事業












街路整備事業



定)
交通安全施設整備事業
放置自転車の防止
放置自転車防止事業
(つづく)
経済部
大阪モノレール計画
大阪モノレールの延伸
自転車駐車場整備事業
市街地の分断を解消して活性化を図り、周辺交通の円滑
化をすすめるため、近鉄奈良線の大阪中央環状線~大阪外
環状線の区間を高架化するとともに、沿線 の幹線道路や側
道の整備をすすめます。
また都市交通を円滑化し都市機能を充実させるため、計
画的に幹線道路の整備を推進します。



所管部局






自転車駐車場の整備
安全で効率的な交通環境
の形成
テーマ
目 標






(仮称)住工共生まちづくり条例の
制定
産業・生活文化交流都市の創生をめざす新都心整備計画
に基づき、大阪府等との連携を強化しながら、新都心にふ
さわしい土地利用を誘導するため、流通業務地区の規制の
緩和を検討します。
本市の東西に走る複数の鉄道を南北に連絡し、市内外か
らの新都心へのアクセスを確保するため、大阪モノレール
の早期南伸について、大阪府をはじめとする関係機関に強
くはたらきかけます。
また本市の南西部の交通利便性を向上させ活性化を図る
ため、JR 長瀬駅-新加美駅間の中間・市境界付近に新駅を設
置します。
実施予定年度(2012-2019)
実施事業名(実施計画)
近鉄奈良線の立体交差化
都市整備部
経営企画部
大阪府
土木部
土木部
土木部
都市整備部
大阪府
幹線道路の整備
・大阪瓢箪山線、八尾枚方線
・大阪外環状線、大阪枚岡線
・渋川放出線、太平寺上小阪線、小阪
稲田線、菱江玉串線、大阪金岡線、
都市整備部
大阪府
足代四条線、山麓線
89
部
門
交通施設(つづき)
部門ごとの取組み
安全で快適な生活道路の
整備
取組みの概要
地域の安全で快適な道路空間を確保するため、地域特性
に応じた生活道路の整備をおこなうとともに、誰もが安心
して道路を使えるよう、歩道の設置や道路照明灯・道路反
射鏡・防護柵など交通安全施設の整備をおこないます。
実施する取組み
実施予定年度(2012-2019)
実施事業名(実施計画)
橋りょう耐震補強事業









近鉄奈良線連続立体交差推進事業



生活道路の整備
道路新設改良事業
交通安全施設の整備
交通安全施設整備事業
橋りょうの耐震化
安全で快適な歩行者空間
の整備
準地域緊急交通路に位置づけられた道路の橋りょうにつ
いて、計画的な耐震補強を実施します。
鉄道の立体交差化にあわせて、自転車や歩行者の駅への
安全なアクセスを確保するため、自転車・歩行者専用道路
を整備します。また旧大和川の跡地を活用し遊歩道を整備
します。
橋りょうの耐震補強
自転車歩行者専用道路の整備
・奈良線附属街路北側 2 号線
・奈良線附属街路南側 3 号線
・大阪外環状線附属街路西側 1 号線
玉串川跡地遊歩道の整備
道路新設改良事業
みどり
公園の整備
花園中央公園や布施公園をはじめ、子どもからお年寄り
まで市民が身近に憩い楽しむことのできる街区公園など、
バリアフリーにも配慮しながら、すべての人が安全で利用
しやすく、また避難地等防災機能をあわせもった公園とし
て整備します。
花園中央公園の整備
公園整備事業
布施公園の整備
公園整備事業
街区公園の整備
公園整備事業
公園のバリアフリー化
公園整備事業
史跡公園の整備
国の史跡に指定された、飛鳥時代創建の河内寺の廃寺跡
を史跡公園として整備します。
河内寺廃寺跡史跡公園の整備
河内寺廃寺跡史跡公園整備事業
都市緑化の促進
生駒山の保全
90
東大阪市都市計画マスタープラン
誰もが花や緑に触れあえるよう、駅前広場や市庁舎周辺
といった公共施設等の緑化を推進するほか、花の種苗など
を市 民や 学校 園に 提供 して 地 域で の花 づく りや 緑化 を啓
発・推進したり、農地と周辺環境の保全のため休耕地や耕
作放棄地での草花づくりを支援したり、花とみどりいっぱ
い運動を推進します。
民有地の緑化を促進するため、個人の住宅における生垣
や事業所等の敷地の植栽などにたいして助成します。
また市民との協働による地域緑化活動をすすめるため、
ボランティア養成講座を開催し、活動の中心となる緑化リ
ーダーを育成します。
市民参加により生駒山の森林を保全するため、ボランテ
ィア養成講座を開催し、森林ボランティアを育成します。
テーマ
目 標
駅前等公共施設の緑化
駅前等公共施設緑化事業
花とみどりいっぱい運動
花とみどりいっぱい運動事業
民有地緑化助成
民有地緑化助成事業
緑化ボランティアの育成
ボランティア育成事業
森林ボランティアの育成
ボランティア育成事業
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





所管部局
土木部
土木部
土木部
都市整備部
大阪府
土木部
土木部
土木部
土木部
土木部
社会教育部
土木部
土木部
経済部
土木部
土木部
土木部
Ⅴ 都市計画マスタープランを推進しよう
部
門
下水道・河川
部門ごとの取組み
浸水対策の推進
取組みの概要
浸水被害の危険性を周知するため、浸水ハザードマップ
を作成・公表します。
また、第二寝屋川以西は、慢性的な浸水被害の対策とし
て雨水増補管を整備するとともに、第二寝屋川以東は、浸
水被害が生じている地域の小中学校で校庭貯留による治水
対策をおこない、浸水被害の軽減を図ります。
実施する取組み
下水道施設の改善
都市防災
都市の不燃化促進
老朽化した護岸や狭くなった河川断面によって低下した
流下能力を回復させ治水安全度を高めるため河川断面を広
げ、あわせて環境に配慮した河道の整備をすすめます。
下水道施設の老朽化等に起因する陥没事故や下水道施設
の機能停止などを未然に防止するため、耐震化等の機能向
上も考慮した「長寿命化対策」を含め、老朽化した下水道
施設の計画的な改築更新をすすめます。
耐火 建 築物 な どの 建築 を 促進 し 都市 の 不燃 化 を図 るた
め、準防火地域を拡大します。
河川改修事業
改築更新事業



雨水増補幹線の整備
・新大蓮北幹線、新岸田堂幹線、新大
蓮幹線、新高井田幹線
雨水増補管整備事業
校庭貯留施設の設置
貯留浸透事業
河川改修
・大川都市基盤河川改修事業
下水道施設の耐震化・長寿命化
準防火地域の拡大
準防火地域指定見直し検討調査
建物の耐震化促進
「東 大 阪市 住 宅・ 建築 物 耐震 改 修促 進 計画 」 に基 づい
て、本市が所有する建物の計画的な耐震化を図ります。と
くに小・中学校の校舎の耐震化を推進します。また、補助
制度の拡充などにより民間建物の耐震化を促進します。
公共施設の耐震改修
密集市街地の整備
土砂災害対策
都市景観
良好な都市景観の形成
密集市街地は、良好な住宅市街地への改善を図るため、
道路や公園など公共施設の整備とあわせた建替を促進しま
す。
土砂災害警戒区域の指定を受けた日下山の急斜面部分に
ついて、崩壊防止対策工事を実施します。
学校施設耐震化事業
市有建築物の計画的な耐震化促進
民間建築物耐震診断費補助
民間建築物耐震改修費補助
震災対策推進事業
密集市街地の整備
・若江・岩田・瓜生堂地区住宅市街地
総合整備事業
密集市街地整備促進事業
土砂災害防止対策
・日下山崩壊防止対策工事
個性ある景観づくりをすすめるため、景観計画を策定し
ます。
景観計画の策定
景観を阻害するなどの違法な簡易広告物を減らすため、
市民との協働で除却をおこないます。
違法屋外広告物の除却
テーマ
目 標
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









浸水想定区域の公表
・玉串小学校、玉川小学校、成和小学
校
環境に配慮した河川の改
修
実施予定年度(2012-2019)
実施事業名(実施計画)
土砂災害防止事業
景観形成調査事業
違法屋外広告物除却事業

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


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










所管部局
下水道部
下水道部
下水道部
下水道部
下水道部
都市整備部
教育総務部
建築部
建築部
建築部
財務部
都市整備部
土木部
91
園
大阪モノレールの延伸
JRおおさか東線新駅設置
駅前広場の整備
交
通
施
設
駅エレベータの設置
近鉄奈良線の立体交差化
幹線道路の整備
自転車歩行者専用道路の整備
玉串川跡地遊歩道の整備
花園中央公園の整備
み
ど
り
布施公園の整備
河内寺廃寺跡史跡公園の整備
下
水
道
・
河
川
92
東大阪市都市計画マスタープラン
雨水増補管の整備
校庭貯留施設の設置
河川改修
防都
災市
密集市街地の整備
利土
用地
流通業務地区の見直し
Ⅴ 都市計画マスタープランを推進しよう
市民主役の都市づくりにむけて、市民がみずから都市づくりをすすめやす
くするための、さまざまなしくみづくりをすすめます。
●都市づくりへの参加をうながすしくみ━━━━━━━━━━━━━━
市民主役の都市づくりにむけて、市民がみずから都市づくりをすすめや
市民主役の都市づくりをすすめるには、市民からひろく意見を聴き、き
すくするため、さまざまな制度を活用できるように、都市づくりや都市計
め細かく合意形成を図りながら、都市計画などに反映してゆく必要があり
画に関する情報を提供したり、いろいろな支援制度を用意したりすること
ます。そのため、都市計画手続や都市計画提案制度の活用などを検討しま
が必要です。
す。こうした制度の活用をキッカケとして、都市づくりや都市計画にたい
する市民の関心を高め、都市づくりへの市民の参加をうながします。
●都市づくりに関する情報の交流をすすめるしくみ━━━━━━━━━
市民が自分の住み働き学んでいる地域に関心をもち理解を深めることが
●地区まちづくり活動を支援するしくみ━━━━━━━━━━━━━━
できるよう、広報紙やインターネットなどを活用して、都市づくりや都市
地域の特徴を活かした、きめ細かい取組みをすすめるため、地域に住み
計画に関する情報をわかりやすく提供することにつとめます。また、都市
働き学んでいる市民が主体となって、地域のなかに一定の地区をさだめて、
づくりに関心をもつ市民がたがいに情報を交換し交流できる場を活用する
地区の将来像、地区の課題や取組み方針、建物や土地についてのルールな
などして、市民の都市づくりへの参加意識の向上につとめます。
どをまとめた「地区まちづくりプラン」を作成し、プランにもとづいて活
動をおこなってゆくことが大切です。そのため、「地区まちづくりプラ
●都市づくりの担い手の育成や組織の活性化をすすめるしくみ━━━━
D08
ワークショップやまち歩きなど、多様な主体が交流できる場や機会を提
ン」の提案や認定などのしくみについて検討します。
あわせて、都市計画や建築に関するコンサルタントなど専門家の派遣や、
供し、生涯学習や研修会、都市づくりの取組みなどを通じて、都市づくり
建築協定や緑地協定、地区計画などの制度の活用、また、プランの作成や
の担い手となる人材の育成につとめます。
プランにもとづく地区まちづくり活動への助成など、地域づくりの段階に
また、活動への助成やアドバイザーの派遣など、取組みへの支援をとお
あわせた支援のしくみについて検討します。
して、都市づくりの核となる地域コミュニティやテーマ・コミュニティの
活性化につとめます。
93
人口減少社会をむかえ都市のありかたも転換がせまられています。これか
らの人口減少や少子高齢化にも対応できる都市のありかたを検討します。
●都市施設のありかたを検討する━━━━━━━━━━━━━━━━
今後は、全国的に、人口が減り、お年寄りの割合が急速に増えてゆくこ
とが確実といわれています。これまでは、人口が増え都市をひろげること
人口が減り少子高齢化がすすむなか、歩いて暮せるまちの実現にむけた、
道路や公園など都市施設の規模や配置のありかたを検討します。
を前提に都市づくりがすすめられてきましたが、これからは、人口が減り
とくに、計画を決定してから整備できないままに長期間が経った都市施
都市の密度が希薄になってくる状況にも適切に対応できる都市づくりに転
設が道路をはじめとして数多くあり、社会のありかたが変るなかで施設の
換してゆくことが求められています。
役割も変化しているものと考えられます。そうした施設を対象に、その必
こうした状況をふまえて、道路・公園等の施設のありかたの検討や、今
後の政策課題の解決や地域の多様なニーズに対応できる、きめ細かい土地
要性を再検討し、必要性がなくなったと認められるものは速やかに都市計
画の変更手続をおこないます。
利用規制のありかたの検討などをすすめる必要があります。
●土地利用規制のありかたを検討する━━━━━━━━━━━━━━
A08
(km)
地方分権がすすむなかで、用途地域の決定権限が大阪府から市に移され
計画決定年次別の都市計画道路(幹線道路)の整備状況
A07
ました。これにともなって地域地区制を総合的に活用して、きめ細かな
100
土地利用の規制ができるようになりました。今後、東大阪独自の政策課題
計 画 157.45 km
未着手 82.23 km(52%)
事業中
80
5.52 km( 4%)
整備済 69.70 km(44%)
56.16
の解決にむけた、また地域の多様なニーズに対応できる、土地利用規制の
ありかたについて検討します。
60
●必要に応じて都市計画を見なおす━━━━━━━━━━━━━━━
40
3.71
都市施設のありかたや土地利用規制のありかたを検討した結果について
19.30
39.35
20
1.70
14.22
0
は、必要に応じて、都市計画の決定または変更の手続をおこなうこととし
6.77
12.65
2.86
0.56
0.11
ます。
0.06
1940年代 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代
(2010年3月現在)
94
東大阪市都市計画マスタープラン
用語解説
用 語 解 説
A 都市計画・建築・都市づくり関連
と
し けいかく
A01 都市 計画
索 引
都市が、くらす人にとっても働く人にと
っても、よりよい環境であるように、土地の使い道を
あ行
エリアマネジメント D07
温室効果ガス C14
か行
セミパブリック空間 C09
総合設計制度 A13
バブル期/バブル経済/バブル崩壊 E02
バリアフリー A16
た行
ビオトープ C10
はじめ、道路・公園・下水道など必要な施設の配置や
規模、総合的な整備をすすめる区域などを定めた計画。
都市は、住民が日々をくらす生活の場であり、企業
海溝型地震 B03
体験農園 E11
建物の共同化 B05
ヒートアイランド現象 C15
ファーム・マイレージ運動 E12
学童農園 E11
断層 B02
風致地区 C04
都市を、健康で文化的な都市生活がおくれるように、
河内木綿 F03
近郊緑地保全区域 C02
地域コミュニティ D03
地域主権改革一括法 D01
福祉農園 E11
古い耐震基準 B06
また機能的な経済活動ができるようにするためには、
グローバル化 E03
地域地区制 A07
防火地域 A09
みんなが自分勝手な土地の使いかたをするのでなく、
経営耕地面積 E10
景観行政団体 C11
地下河川 B14
地球温暖化 C14
防災道路 B07
ポケットパーク A14
お互いが工夫して調整し、さらに農林漁業のことも考
景観計画 C11
地区計画 A11
保存樹/保存樹林 C06
えにいれながら土地を使うべき、ということを基本理
けいはんな学研都市 A19
ゲリラ豪雨 B09
地産地消 E12
治水緑地 B12
建築協定 A12
公開空地 A13
地方分権一括法 D01
中核市 D02
密集市街地 B04
みどりの風促進区域 C08
高度成長期 E01
中間支援組織 D06
みどりの風の軸 C08
国定公園 C01
コーディネータ D05
昼間人口 A04
調節池 B13
モビリティ・マネジメント A17
コミュニティ道路 A15
テーマ・コミュニティ D03
夜間人口 A04
天井川 B08
特別都市計画法 A18
遊水地 B12
ユニバーサルデザイン A16
特別用途地区 A08
用途地域 A08
さ行
産業の空洞化 E04
市街化区域 A06
ま行
等が経済活動をおこなう産業の場でもある。そういう
念に定められる。
水走氏 F02
や行
ら行
と
し けいかく く い き
A02 都市 計画 区域
都市計画の基本理念のもとに、都市
計画を定める場で、一体の都市として総合的に整備・
開発し、また保全する必要がある区域。都道府県が指
定する。
じ ん こ う しゆうちゆう ち
く
ち
く
A03 人口 集 中 地区 (DID地区 )
国勢調査によって設定さ
れる都市的地域で、人口密度 40 人/ha 以上の調査の単
位が集まって、合計人口が 5000 以上になる地域のこと。
市街化調整区域 A06
地場産業 E06
特別緑地保全地区 C03
都市型工業 E08
市民農園 E11
都市型水害 B10
リージョンセンター F04
住工共生のまちづくり E05
重点密集市街地 B04
都市計画 A01
都市計画区域 A02
流通業務団地 E09
流通センター E09
が住んでいる場所(常住地)による人口を、人が寝泊
準防火地域 A09
都市計画区域マスタープラン A05
緑地協定 C07
りする場所での人口となるので夜間人口という。いっ
条里制 F01
都市計画提案制度 A10
歴史まちづくり法 C12
ぽう、通勤・通学をしている人の通勤・通学先(従業
食育 F05
都市計画マスタープラン A05
職住近接 E07
土砂災害危険箇所等 B15
人口集中地区 A03
浸水想定区域 B11
な行
新都心整備計画 A20
は行
生産緑地地区 C05
ランドマーク C13
わ行
ワークショップ D08
A-Z
熱帯夜 C16
ハザードマップ B01
NPO/NPO法 D04
1960(昭和 35)年の調査から設定された。
や か ん じんこう
ちゆうかん じ ん こ う
A04 夜間 人口 /昼間 人口
国勢調査では、それぞれの人
地・通学地)で集計した人口は、昼間に活動している
場所での人口なので、昼間人口という。ある都市の昼
間人口は、その都市の夜間人口から、他都市へ通勤・
通学している人の数を引き、他都市からその都市へ通
勤・通学している人の数を加えたもの。ただし買物客
95
などの不定期な移動者は考慮しない。また、夜間人口
地の使いかたなどに基準を設けて、それが守られるよ
100 人当りの昼間人口を昼夜間人口比率という。
うに誘導するもの。
とが必要。
ち
と
し けいかく
と
し けいかく く い き
A05 都市 計画 マスタープラン/都市 計画 区域 マスタープラン
よ う と ち い き
く けいかく
A11 地区 計画
とくべつ よ う と ち
街区など比較的小さな地区を単位に、地
く
A08 用途 地域 /特別 用途 地区
用途地域は、住宅地に望
区の実情にあった、きめ細かなまちづくりをすすめる
マスタープランは基本計画を意味し、都市がこれから
ましい環境づくりや、商工業にふさわしい地域づくり
ため、土地所有者や住民などが主役となって計画をつ
どのように発展し、また人口や産業が現在の状況から
など、それぞれの地域にあった発展をうながすための、
くり、その計画にそった開発や建築がおこなわれるよ
今後どう変化してゆくのかなどを考えあわせ、長い目
地域地区のひとつ。住宅地・商業地・工業地などに分
うにすることで、地区の良好な環境を形成したり守っ
で見たときに都市の将来のありかたはどうあるべきか
けて、建てることのできる建物の用途を制限し、建て
たりする、地区住民の生活に密着した身近な計画で、
をえがき、それにむけた道筋を明らかにしたもの。都
られる建物の密度(容積率・建ぺい率)や形態(高さ)
1980(昭和 55)年に創設された。
市づくりを具体的にすすめようとすると、個別の都市
など建てかたのルールを定める。
け ん ち く きようてい
計画を定める必要があるが、そのさいの指針となる都
A12 建築 協定
建物を建てるばあい、誰もが守るべき最
さらに用途地域が定められた地域のなかの、一定の
低限のルールを建築基準法は定めているが、それだけ
地区で、ほかにはない、その地区の特性にあった土地
では地域の特性を活かした、良好な住宅地の環境づく
の使いかたがすすむように、また地区にふさわしい環
りや魅力的な商店街の実現などには十分とは言えない。
の「市町村の都市計画に関する基本的な方針」のこと
境が守られるように、
用途地域による規制を補完して、
そのため、地域の住民などが自発的に建築基準法の基
で、住民にもっとも近い立場の市町村が、その行政区
建てることのできる建物の用途をきめ細かく定めるの
準以上のルールを取り決めて、お互いが守っていこう
域を対象に、創意工夫のもとに住民の意見を反映しな
が特別用途地区で、建築基準法にもとづく条例で、建
として結ぶ協定。市町村の条例で定めた区域内に限っ
がら定めるもの。他方、都市計画区域マスタープラン
物の用途に関する規制の強化(場合によっては緩和)
て締結することができ、対象となる土地の区域、建物
をおこなう。
の敷地・位置・用途・形態・構造・意匠などの基準の
市計画の総合的なプラン。
都市計画マスタープランは、都市計画法第 18 条の 2
は、法第 6 条の 2 の「都市計画区域の整備、開発及び
ぼ う か ち い き
保全の方針」のことで、都道府県が都市計画区域を対
象に、市町村をこえる広域的見地から定める。
し が い か く い き
じゆん ぼ う か ち い き
A09 防火 地域 / 準 防火 地域
市街地における火災の危
険を防ぐために定められる地域地区のひとつ。
ほか、協定の有効期間や違反した場合の措置などを定
める。
し が い か ちようせい く い き
A06 市街化 区域 /市街化 調整 区域
都市計画区域のうち、
防火地域は建物を不燃化しようとするもので、おも
区域内の土地所有者等全員の合意で締結し、特定行
既成市街地をふくんで、およそ 10 年のうちに優先して
に商業施設などが高密度に集積している地域などに指
政庁の認可を受けることが必要。認可後は、その区域
計画的に市街化しようとする区域を市街化区域、反対
定される。また準防火地域は、建物の防災性能を高め
で新たな土地所有者等にたいしても効力をもつ。
に、市街化を抑制する区域を市街化調整区域という。
て延焼を抑えることで被害の軽減を図ろうとするもの
無秩序な市街化を防止し、計画的に市街化をすすめる
で、おもに木造建物が密集する市街地などに指定され
度で、面積が 500m2 以上の敷地で、一定割合以上の公
る。
開空地を確保したばあい、市街地環境の整備や改善に
そ う ご う せつけ い せ い ど
ために、都市計画区域を、市街化区域と市街化調整区
と
域とに区分することを区域区分(線引き)という。
建築基準法による特例制
し け い か く て い あん せ い ど
都市計画区域内にあるひとまと
役立つと認められる建物について、特定行政庁が許可
まりの土地の区域について、土地所有者やまちづくり
して建物の容積率や高さの制限などを緩和することが
業や工業等が機能的におこなえるよう環境を整えたり、
NPO、民間の開発業者等が、マスタープランをのぞい
できる制度。公開空地とは、ふだん誰でも出入りでき、
火災等の危険を防いだり、都市の美しさや自然をまも
たすべての都市計画の決定や変更について提案できる
ったり、と都市をよりよい環境にするために、都市内
制度。2002(平成 14)年の都市計画法の改正により創設
の土地の使い道を、その目的によって地域・地区・街
された。区域の面積が一定以上ある、土地所有者等の
意味で、うるおいや休息のために道路わきや街区内の
区に区分し、建てられる建物やその建てかた、また土
3 分の 2 以上が同意する、など一定の条件を満たすこ
空地などのわずかな土地を利用した小さな公園または
ち い き ち
A10 都市 計画 提案 制度
く せい
A07 地域 地区 制
96
こうかい く う ち
A13 総合 設計 制度 /公開 空地
住宅地の良好な環境をまもったり、商
東大阪市都市計画マスタープラン
自由に通行したり利用したりできる空地のこと。
pocket park
A14 ポケットパーク
ポケットほどの小さな公園という
用語解説
休憩所。
頼る状態から公共交通や徒歩など多様な交通手段をか
約的に配置することで、「生活・産業文化交流都市の
しこく利用する状態へと変えてゆく取組み。環境や健
創 生 」 をテ ー マ に都 市 拠点 の 形成 を めざ す も の。
歩行者が安全に快適に通行でき、地域の住民の生活を
康などに配慮した交通行動を呼びかけていくコミュニ
1987(昭和 62)年に策定。計画面積約 140ha、計画人口
おびやかさない範囲で自動車の通行を認める、人と車
ケーション施策を中心に実施して、自発的な行動の転
は、夜間で 1.2 万人、昼間で 15 万人。人・モノ・情報
の共存をめざした道路。車が速度を出しにくいように、
換をうながすのが大きな特徴。
の交流中心となる新都心をめざし、大阪中央環状線を
ど う ろ
A15 コミュニティ道路
住宅地や商店街などの生活道路で、
車道を蛇行させたり、ジグザグにしたり、一部を極端
交通が関わる問題は、渋滞や環境問題をはじめ、公
はさんで西側を産業文化交流新都心、西側を生活文化
にせまくしたりするほか、舗装を凸型に盛りあげたり、
共交通ばなれや中心市街地の衰退など、どれも結局の
交流新都心と位置づけ、役割分担を図りながら整備し、
色や素材を変えて視覚的な効果を狙ったりする。
ところ、一人ひとりの行動がもたらしたもの。その行
その一体性を確保するとしている。
Barrier Free
A16 バリアフリー/ユニバーサルデザイン
バリアフリー
動は、その人その人の頭の働きがおこさせたものと考
は、人を隔てたり行動を妨げたりする、日常生活の中
えて、コミュニケーションをとおして、一人ひとりの
バリア
に存在するあらゆる障壁を取除こうという考え方。高
頭に働きかけることで、一人ひとりの行動を変えよう
齢者や障害者などの社会参加をむずかしくしている、
とするもの。
とくべつ と
物理的・社会的・制度的・心理的なバリアを取除くこ
B 都市防災関連
し け い か くほ う
A18 特別 都市 計画 法
太平洋戦争で被災した都市の復興
hazard map
と。
をすすめるため、復興計画や緑地地域等に関して都市
都市づくりにおいては、近年、建物や交通機関・道
計画法等の特例を定めた法律。
B01 ハザードマップ
地震や洪水、土砂災害などの自然災
害が発生した場合の危険箇所や避難場所を記載した地
路などのバリアフリー化がすすめられてきたが、施設
戦争が終ると戦災復興のため、国は「戦災復興計画
図。住民が素早く安全に避難し、被害を最小限に抑え
ごとにバラバラで連続的でないなどの課題があった。
基本方針」を閣議決定し、翌 1946(昭和 21)年には特別
ることを目的とし、いざというときに冷静に対処でき
そこで、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進
都市計画法を制定。全国 115 都市が法の適用を受けて
るよう、平常時の心得や避難方法、緊急ダイヤルなど、
に関する法律(バリアフリー新法)」(2006)が制定さ
戦災都市に指定され、土地区画整理事業による復興計
災害発生時に役立つ情報も掲載されている。
れ、これまでの建物や公共交通機関・道路にくわえ、
画に取組んだ。布施市も 1946(昭和 21)年 10 月に戦災
路外駐車場・都市公園にも基準への適合が求められ、
都市に指定され、戦災復興土地区画整理事業などを実
それを境にして両側にくいちがいを生じているもの、
駅を中心とした地区や、高齢者・障害者などが利用す
施。特別都市計画法は、1955(昭和 30)年土地区画整理
またはその割れ目。地層に働く力と地層の状態で、正
る施設が集中する地区で面的なバリアフリー化がすす
法施行法の施行にともない廃止された。
断層・逆断層・水平断層など、いろいろな形の断層が
だん そ う
が つけん と
められるようになった。
B02 断層
地層や岩石に強い力が働くと割れ目を生じ、
し
A19 けいはんな学研 都市
関西文化学術研究都市の愛称。
Universal Design
生じ、この断層の活動によって地震がひき起こされる。
ユニバーサルデザイン(UD)とは「すべての人のため
京都・奈良・大阪の三府県にまたがる京阪奈丘陵にお
最近 200 万年に活動したと考えられる断層で、今後も
のデザイン」を意味し、年齢や障害の有無、体格・性
いて文化・学術研究の新しい拠点として、産・学・官
活動する可能性のある断層を、とくに活断層という。
別・国籍などにかかわらず、はじめからできるだけた
の協力と連携のもと、ナショナルプロジェクトとして
くさんの人が利用できるようにデザインすること。バ
建設された。
か いこ うが た じ し ん
B03 海溝型 地震
海洋プレートが大陸プレートの下に潜
りこもうとするとき、海洋プレートに引きずられてた
し ん と し ん せ い び けいかく
リアフリーが障壁を取除いていくという考え方である
東大阪市の主要な交通の結節点で
わんだ大陸プレートが跳ねかえって発生する地震。海
のにたいし、ユニバーサルデザインはあらかじめ都市
A20 新都心 整備 計画
あり、流通センターをふくむ長田・荒本地区を「新都
溝型地震にたいして、内陸の活断層の運動で起きる地
や生活環境をデザインするという積極的な考え方。
心」と位置づけ、流通業務機能ばかりでなく、商業・
震を直下型地震という。
Mobility Management
A17 モビリティ・マネジメント
都市や地域を、過度に車に
業務・行政・住宅・文化等多様な都市機能を複合的集
海溝とは深さ 6000m を超える海底盆地で、プレート
97
が他のプレートに潜りこむ境界になっている。深さ
築く。それでもなお川底に土砂がたまると、さらに堤
6000m 以下の海底盆地をトラフといい、こちらの成因
防を高くする。これのくりかえしで、川はまわりの土
はさまざま。南海トラフはプレート境界にあたってい
地よりも高いところを流れるようになる。
的に貯めて浸水被害を軽減している。
ど し や さいがい き け ん か し よ
B15 土砂 災害 危険 箇所 等
土砂災害には土石流・地すべ
り・がけ崩れ等があり、こうした土砂災害による被害
ご う う
て、マグニチュード 8 クラスの巨大地震がおよそ 100
~200 年ごとに発生している。
みつしゆう し が い ち
近年都市部で増えている、ごく限られた
地域に突発的にふる激しい雨のことを俗にいう。
じゆうてん みつしゆう し が い ち
B04 密集 市街 地 /重点 密集 市街 地
B09 ゲリラ豪雨
のおそれのある箇所を、土砂災害危険箇所という。法
的な規制はなく、土砂災害への備えや自主避難の目安
と し が た す いがい
道路がせまく空地
都市部では、地表のほとんどが建物や
として住民に役立ててもらうために公表されている。
もほとんどないなか、せまい敷地に老朽化した木造建
アスファルトでおおわれているため、雨水が地下にし
そのほか、土砂災害防止法に基づいて規制をおこな
物が密集して建ちならぶ防災上課題のある市街地を、
み込みにくく、短時間に大量の雨水が下水道や川に集
う土砂災害警戒区域等があり、そのうち、土砂災害警
一般に密集市街地という。戦災復興から取り残された
中する。近年都市部で増えているゲリラ豪雨などで、
戒区域は、土砂災害により住民に危害が生ずるおそれ
り、高度成長期の無秩序な市街化で形成された。建物
下水道の処理能力を超えた雨水が流れこむと、マンホ
があると認められる区域で、地形をもとに決定され、
が倒壊し火災が発生しやすく、消火活動もむずかしい
ールなどから水があふれだして道路が冠水したり、浸
市町村による警戒避難体制の整備や不動産取引の際の
ことから市街地大火に発展しやすい。また避難経路が
水被害が発生したりする。川があふれたり堤防が決壊
重要事項説明が義務づけられる。さらに土砂災害特別
したりする従来の水害と区別される。
警戒区域は、土砂災害警戒区域のうち、建物が壊れて
確保できないなどの課題がある。
B10 都市型 水害
しん すいそ う て い く い き
密集市街地のうち、地震が発生した場合など大規模
な火災の可能性があって重点的な改善が必要なものを、
B11 浸水 想定 区域
を超えたばあい、浸水のおそれのある区域。
ゆ うす い ち
重点密集市街地という。
たても の
大雨のときに下水道や川の処理能力
区域で、開発行為の制限や建物の構造が規制される。
ち す いりよくち
B12 遊水 地/治水 緑地
大雨などで川の水かさが増し、
きようどう か
B05 建物 の共同 化
複数の権利者が建物を一体的に整
下流で水害が発生するおそれのあるとき、計画的に川
備・利用すること。共同で建物を建替えることで、広
の水をあふれさせ一時的に貯めることで、下流へ流れ
い面積の床が使えるなど効率的な利用ができる。
る水の量を調節し水害を防止するための施設。ふだん
ふる
住民に大きな危害が生ずるおそれがあると認められる
C みどり・景観・環境関連
たい しんき じ ゆん
B06 古い耐震 基準
1981(昭和 56)年に大きく見なおされ
は、都市の貴重なオープンスペースとして運動広場や
こ く て いこうえん
る以前の建物の耐震基準。古い基準では、震度 5 強程
公園などに利用される。
C01 国定 公園
国立公園に準ずる優れた自然の風景地で、
ちょうせつい け
度の揺れでも建物が倒壊しないよう、また破損しても
B13 調節 池
大雨などで、流れる水の量が増えた下水道
自然公園法に基づいて、都道府県の申出により国が指
補修すれば生活ができるよう決められていた。新しい
や川の水を一時的に貯めておくことで、下流に流れる
基準では、建物の中にいる人の安全を確保することに
水の量を減らし、水害による被害を防ぐ施設。市街化
金剛生駒紀泉国定公園(23,119ha)は、奈良県と大阪府
主眼がおかれ、「震度 6 強以上の地震で倒壊しない建
がすすんだ都市では、公園や道路・駐車場など公共施
をへだてる生駒山地・金剛山地と大阪府と和歌山県を
物」と変った。
設の地下空間を利用して建設される。
へだてる和泉山脈との一帯からなる国定公園。1958(昭
ぼうさい ど う ろ
B07 防災 道路
ち
一定の間隔で配置された有効幅員 6m 以
定し、都道府県が管理する。
か か せん
B14 地下 河川
大雨のとき川の水があふれでないように
上の道路で、塀が倒壊するなどしても消防活動ができ
放水する地下に建設した人工のトンネル河川。都市部
るよう最低限の幅員を確保したもの。
では、川の幅をひろげたり、新しく川をつくったりす
和 33)年金剛生駒国定公園として指定され、1996(平成
8 年)に和泉山脈一帯を編入し名称も改められた。
きんこ うり よ く ち ほ ぜ ん く い き
C02 近郊 緑地 保全 区域
大都市の近郊にある良好な緑地
てんじようがわ
B08 天井 川
98
川底がまわりの土地よりも高くなった川。
ることがむずかしいため、道路など公共施設の地下空
を保全することで、無秩序な市街化の防止や住民の心
もともと低いところを流れていた川に土砂がたまり川
間を利用して建設される。完成するまでには長い年月
身の健康増進、公災害の防止などを図るため、「近畿
底が高くなると、川から水があふれないように堤防を
を必要とするため、すでに完成した区間で雨水を一時
圏の保全区域の整備に関する法律」に基づいて国が指
東大阪市都市計画マスタープラン
用語解説
定する。区域内で、宅地を造成したり建築したりする
めたりするために、都市緑地法に基づいて地域住民ど
近年は、都市的な土地利用がすすんで、池沼・湿地・
ときは、知事にあらかじめ届出が必要。
うしが締結する協定。協定には、対象となる都市計画
草地・雑木林などの身近な自然が消失していることか
金剛生駒近郊緑地保全区域(15,650ha)は、
大阪府と奈
区域内の土地の区域または区間、保全・植栽する樹木
ら、空地や校庭を利用し、そうした空間を造成して、
良 県 の府 県境 にあ たる 生駒 山地 ・金 剛山 地一 帯 を
の種類や場所、保全・設置する垣や柵の構造、協定の
かつては身近にいた小動物や野鳥・虫・魚・植物など
1968(昭和 43)年に指定。
有効期間、協定に違反した場合の措置などを定める。
を呼びもどし、生物の多様性を保持しようとする取組
とくべつり よ く ち ほ ぜ ん ち
く
C03 特別 緑地 保全 地区
都市の無秩序な拡大の防止や公
協定は土地所有者等全員の合意で締結し、市町村長
みがすすめられている。
災害の防止に資する緑地、都市の歴史的・文化的価値
の認可を受けることが必要で、認可の公告のあとで、
を有する緑地、動植物の生息・生育地となる緑地など
その区域や区間の土地所有者等となった者にたいして
な景観を形成するため、景観計画を策定するなどの景
も効力をもつ。
観行政を実施する主体を景観行政団体という。具体的
けい かん ぎようせい だ んた い
を保全するため、都市緑地法に基づいてさだめる地域
かぜ
地区。宅地造成や建築などの行為は現状凍結的に制限
じく
けい かん け い か く
C11 景観 行政 団体 /景観 計画
景観法に基づいて、良好
かぜ そ く し ん く い き
大阪府は、
には、指定都市と中核市の区域ではそれぞれ指定都市
2009(平成 21)年「みどりの大阪推進計画」を策定。都
と中核市、その他の区域では都道府県(都道府県知事
都市の風致を維持するためにさだめる地
市部では、比較的身近に自然豊かな山系や海辺がある
と協議のうえ景観行政を実施することとなった市町村
域地区で、風致の維持に支障がない範囲で一定の開発
にもかかわらず、それが実感されていない。このこと
の区域ではその市町村)のこと。
を認めながら、樹林地などの緑地の保全を図るもの。
から、海と山をつなぐみどりの風の軸を形成し、府民
景観行政団体が、一定の区域を対象にさだめる良好
都市の風致とは、樹林地・樹木に富む市街地・水辺地・
が実感できるみどりを創出し、海風や山風を街なかに
な景観の形成に関する計画を景観計画といい、良好な
農地など自然的な要素が豊かな土地の良好な自然的景
呼びこんでヒートアイランド現象を緩和するため、道
景観の形成に関する基本的な方針、建物や工作物のデ
観のこと。宅地の造成や建築などの行為をするには市
路や河川を中心に両側およそ 100m の区域を「みどり
ザイン等の制限などを定め、届出・勧告によるゆるや
町村長等の許可が必要。
の風促進区域」として 2011(平成 23)年 5 月に指定し、
かな規制誘導をおこなう。
される。
ふ う ち ち
C08 みどりの風 の軸 /みどりの風 促進 区域
く
C04 風致 地区
せい さ ん り よ く ち ち
く
C05 生産 緑地 地区
れ き し
市街化がすすみ緑地が急速に減少し
重点的な緑化をすすめようとするもの。
ほう
C12 歴史 まちづくり法
「地域における歴史的風致の維持
たことから、農地等がもつ緑地機能を積極的に評価し
促進区域では、①街路樹の充実など公共事業の重点
及び向上に関する法律」の略称で、失われつつある歴
計画的に保全する必要があること、くわえて今後必要
化、②都市計画の規制緩和による民有地の緑化誘導、
史的風致を次の世代に伝えてゆくためのまちづくりの
となる公共施設等の用地をあらかじめ確保する必要が
③府民・企業等との連携による緑化誘導、の 3 つの取
取組みを国が支援する目的で制定された。歴史的風致
あることから、それらの機能に優れた農地等を保全す
組みを柱に、官民が一体となったみどりづくりを実施
とは、地域固有の歴史や伝統を映しだす人びとの活動
るため、生産緑地法に基づき、関係権利者全員の同意
する。
と、その活動がおこなわれる歴史的な建造物と周辺の
くうかん
のうえ、さだめる地域地区。農地等として維持するた
め、建物の建築等の行為が規制される。
C09 セミパブリック空間
民有地であるけれども景観・歴
市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地の
史的資産・自然環境・防災機能など公共空間とおなじ
環境のこと。
「都市の美観風致を維持するた
ような役割をもつ空間。公共空間から私的空間へとう
C13 ランドマーク
めの樹木の保存に関する法律」に基づいて、地域で親
つりかわる領域を、一定のルールのもとで利用するこ
める目印となる対象物のことで、タワーのような建造
とによって、都市空間の質を高めることができる。
物や山、樹木など。
ほぞん じゆ
landmarks
ほ ぞ ん じゆりん
C06 保存樹 /保存 樹林
しまれてきた老木や名木、また良好な自然環境を残す
都市や地域の象徴となり、方向を見定
Biotop〔独〕
樹林などを、保存樹または保存樹林として、所有者の
C10 ビオトープ
Kevin Lynch
生物の生息・生育空間を意味するドイツ
ア メ リ カ の 都 市 計 画 家 ケヴィン・リンチ は 、
landmarks
同意を得て市町村長が指定する。
paths
nodes
edges
districts
語。もともとは多様な野生生物が生態系を保ちながら
ランドマーク・パス・ノード・エッジ・ディストリクト
生息できる場所のこと。
の 5 つを要素として、都市のイメージが構成されると
り よ く ち きようてい
C07 緑地 協定
地域ぐるみで緑地を守ったり緑化をすす
99
している。なかでもランドマークは、その都市のイメ
を決めるなど、この法律によって、地方が自らの判断
ージを決定づけるもので、分かりやすく個性的な景観
と責任で、地域の実情にあった行政ができるようにな
を形成するための都市デザイン要素として活用されて
った。
一定の分野に特化した活動をおこなう。
ほう
いる。
ちきゆう お ん だ ん か
D04 NPO/NPO法
NPO(Non-Profit Organization)は
民間非営利活動団体のことで、教育・福祉・環境保全・
さらに現在では、地域のことは地域に住む住民が責
まちづくりなど公益のために活動し、営利を目的とし
おん しつ こ う か
C14 地球 温暖化 /温室 効果 ガス
人間の経済活動などに
任をもって決めることのできる地域社会をつくってい
ないので、収益があがっても構成員には分配せず団体
ともなって、化石燃料の使用で生じる二酸化炭素 CO2
くことを目指した取組みとして、地域主権改革がすす
の活動目的を達成するための費用にあてられる。
などの温室効果ガスが大気中に増えるいっぽう、森林
められている。国と地方の関係を上下の関係からパー
NPO の活動を促進するため制定された特定非営利
の破壊などで CO2 の吸収が減ることで、地球全体の平
トナーシップの関係へと転換するため、地方に対する
活動促進法(NPO 法)は、保健・医療や福祉の増進、
均気温が長期的に上昇する現象を地球温暖化という。
義務づけや枠づけについて、「地域の自主性及び自立
社会教育、まちづくり、学術・文化・芸術・スポーツ
温室効果ガスとは、CO2・メタン・フロンガスなどで、
性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の
の振興、環境の保全などの分野で不特定多数の者の利
太陽の熱を地球にとどめて地表を暖める働きがある。
整備に関する法律」により見直しをおこなってきてい
益の増進に寄与することを目的とする特定非営利活動
都市部では、ビルなどコンクリ
る。地域主権改革一括法はその略で、これまでに第 1
をおこなうことを主な目的とする団体が、簡易な手続
ートの建物やアスファルトで地表がおおわれ熱を貯め
次一括法・第 2 次一括法により見直しを実施し、
で法人格を取得できるしくみなどを定めたもの。そう
こみやすいうえ、冷房や車からの人工排熱や大気汚染
2012(平成 24)年 4 月からは地方公共団体でそれぞれ新
した団体が法人格をもたないと、銀行口座を開いたり
などが原因となって、気温が郊外より高くなる。こう
たに条例を制定するなどの取組みがすすめられている。
事務所を借りたりすることが団体名でできないなどの
げんしよう
C15 ヒートアイランド現象
ちゆうかく し
した現象を、気温分布を描いたばあい等温線が島状に
D02 中核 市
人口 30 万以上で、指定都市なみの権限を移
不都合があったため。NPO 法により法人格を取得した
譲された市。規模が比較的大きく、一定の事務を処理
NPO を、とくに特定非営利活動法人(NPO 法人)と
その日の最低気温が 25℃以下に下がらない
する能力をもつ市が、住民の身近なところで行政をお
いう。
夜。とくに都市部では、ヒートアイランド現象の影響
こなえるよう、その権限を強めるもので、市の申出に
もあって増加している。夜間でも非常に暑く寝苦しい
より国が指定する。
なることから、ヒートアイランド現象とよんでいる。
ねつ たい や
C16 熱帯 夜
coordinator
D05 コーディネータ
いろいろな要素を統合したり調整
したりして、ひとつにまとめあげる人。
ち い き
ので、暑さを表す指標となる。
D03 地域 コミュニティ/テーマ・コミュニティ
D 地方自治・市民参加関連
一般に、コミ
まちづくりに関していえば、地域の課題を発見して
ュニティとは、一定のルールを共有する人びとの集ま
その解決にむけて、地域のまちづくりに関わるヒト・
りで、地域のくらしを共有する地域コミュニティと、
モノ・コトを調整し、さまざまな人材や資源などを有
関心や思いを共有するテーマ・コミュニティとからな
効活用したりマッチングしたりして、まちづくりを円
っている。
滑にすすめていく〈触媒〉の役回りをする人のこと。
ちゆうかん し え ん そ し き
地域コミュニティは、町内会や自治会など同じ地域
ち ほ う ぶんけん い つか つ ほ う
市民・NPO・企業・行政などの間に
ち い き し ゆ け ん か い か く い つか つ ほ う
D01 地方 分権 一括 法/地域 主権 改革 一括 法
100
D06 中間 支援 組織
地方分権一
で生活する住民どうしでつくられる人びとのつながり
たって、さまざまな活動を支援する組織。多くは「NPO
括法は「地方分権の推進を図るための関係法律の整備
で、その地域の課題を解決するため、地域の住民等に
を支援する NPO」といった存在で、資金・人材・情報
等に関する法律」の略。2000(平成 12)年 4 月に施行さ
参加が限られ、地域全体の利益が優先する。他方、テ
などの提供者である行政・企業・個人などと NPO を
れ地方自治法をはじめ関係する法律を改廃。国と地方
ーマ・コミュニティは、協同組合や NPO など有志に
仲介したり、NPO がそれぞれ抱える問題を NPO どう
の役割を明確にし、地方が国の機関として事務をおこ
よる自発的な集まりで、特定地域の住民に参加が限ら
しのネットワークで解決を図るといった取組みをうな
なう機関委任事務を廃止、国が地方に関与するしかた
れることなく、
メンバーの意思で自由にテーマを決め、
がしたり、さらには、NPO に求められるニーズを新た
東大阪市都市計画マスタープラン
用語解説
け いざい
に発見したり、社会全体の課題を社会に訴えて考えを
統一し新たな問題解決方法をつくりだしたりしている。
き
ほう かい
E02 バブル経済 /バブル期 /バブル崩壊
1985(昭和 60)
住宅が建ち、工場の操業環境が悪化している。そのた
年のプラザ合意以降の円高対策として低金利政策がと
め、住環境と共生しながら製造業の操業環境を改善し、
一定のエリアを対象に、地域に
られ、過度の投機によって株価や地価が高騰、資産価
工場の立地を促進することが重要であるとして、「住
おける良好な環境の価値を維持・向上させ住みやすく
格の上昇によって 1986(昭和 61)年から 1991(平成 3)年
工共生のまちづくりビジョン」を 2009(平成 21)年に策
魅力ある地域をつくるための、住民・事業主・地権者
にわたって景気が拡大した。このように株や土地など
など地域の担い手による主体的な取組み。
の資産価値が経済成長以上のペースで泡のようにふく
「良好な環境や地域の価値の維持・向上」には、快適
れあがった経済状態をバブル経済といい、それによる
ら発展し、立地条件を活かした特産品を製造するなど、
で魅力に富む環境の創出や美しい街並みの形成、資産
好景気の期間をバブル期という。
その地方に定着している産業。
Area Management
D07 エリアマネジメント
定し、住工共生のまちづくりをすすめようとしている。
じ
ば さんぎよう
E06 地場 産業
その地方の資源や労働力を背景に古くか
しよくじゆうきん せつ
価値の保全・増進等にくわえて、人をひきつけるブラ
バブル経済は、いっぽうで格差の拡大や過剰な土地
ンド力の形成や安全・安心な地域づくり、良好なコミ
需要を生んだ。土地関連融資の総量規制や金融引締策
職住近接によって、交通機関による環境への負荷を抑
ュニティの形成、地域の伝統・文化の継承等、ソフト
などが実施され、上昇した資産価格は急落した。これ
え、長時間通勤による負担を緩和できる。それにより、
な領域のものも含まれる。
「つくること」だけでなく、
をバブル崩壊という。
その後の 10 年以上にわたる不況
ゆとりのある生活を実現し、都心部への人口回帰など
その後の維持管理・運営の方法、つまり「育てること」
は「失われた 10 年」とよばれる。
globalization
までを考えた開発をおこなうのを大きな特徴とし、個
E03 グローバル 化
E07 職住 近接
が期待できる。
と
資本や労働力の、国境をこえた移動
職場と住宅が近くに立地していること。
し が たこうぎよう
E08 都市 型工業
環境配慮型・研究開発型の製造業や情
人の活動やこれまでの行政サービスではえられにくい
が活発になり、貿易を通じた商品・サービスの取引や
報関連産業など。製品と原価の差である付加価値が高
地域全体の公益的な価値を創造する。
海外への投資がふえて世界における経済的な結びつき
い製品を生産する工業。
workshop
りゆうつう
りゆうつう ぎ よ う む だ ん ち
まちづくりなどのコミュニティ活動
が深まること。もと「球体」を意味する globe が「地
で、地域の問題への対応や地域の計画づくりなどに関
球」「地球儀」を意味するようになり、そこから「地
務市街地)は、地域地区である流通業務地区と都市施
して、住民をはじめとするさまざまな立場の参加者が、
球規模の」という意味が派生した。日本では、バブル
設である流通業務団地で構成される。流通業務地区も
積極的な意見交換や研究活動、共同作業などをおこな
崩壊後に「グローバルスタンダード(世界標準)」と
流通業務団地も、流通機能の向上と道路交通の円滑化
いう言葉が多用されて広まった。
のために定められた「流通業務市街地の整備に関する
D08 ワークショップ
いながら問題解決や合意形成をすすめる場。
さんぎよう
流通センター(流通業
くうどう か
E04 産業 の空洞 化
E 経済・産業関連
E09 流通 センター/流通 業務 団地
1980 年代から、円高の影響で人件費
法律」による。
や材料費が安いアジアなどの外国に工場を移す会社が
問屋・倉庫・運送施設などの流通施設が、大都市の
増えた。日本にある工場が減ることで、働く場所がな
都心部にいちじるしく集中して立地していると、都心
くなるのではないか、高度な技術が失われてしまうの
部へ物流交通が集中し、交通渋滞などを引きおこす。
ではないか、日本の工業や経済の力がおとろえてしま
また、それらの施設が密集しているため施設を近代化
うのではないか、といった不安が生じた。この現象を
することができず流通機能が低下する。こうしたこと
産業の空洞化という。
から、地域間の幹線輸送と都市内の集配送との結節点
こ う ど せいちよう き
E01 高度 成長 期
朝鮮戦争の特需で景気が戦前の水準ま
で回復した日本経済は、1955(昭和 30)年から 1973(昭和
じゆうこう きようせい
48)年の石油ショックまでにかけて実質成長率(実質
東大阪市は、製造業が集積す
として機能する大規模な物流拠点として流通センター
GNP の伸び率)が年平均 10%にも達し、世界にも例を
E05 住工 共生 のまちづくり
る「モノづくりのまち」として知られているいっぽう、
を都市郊外部に建設して、流通関連施設を集約して立
見ない急速な経済成長を遂げた。この時期を高度成長
人口およそ 50 万を擁する住宅都市でもある。近年、工
地させることで、近代的な流通機能を整備しようとす
期(高度経済成長期)という。
場の移転・廃業により発生した跡地にマンション等の
るもの。
101
流通センターの区域を流通業務地区として定め、そ
や河川などで 7 つの地域に分け、市民が楽しく集うこ
のなかに流通センターの中核として、流通業務施設や
とのできる空間である市民プラザと身近な行政窓口と
F その他
トラックターミナル、流通倉庫、配送センターなどを
しての行政サービスセンターとをあわせもつ、地域の
積極的に整備する流通業務団地を定める。
拠点を各地域に設置している。
け い え い こ う ち め んせき
E10 経営 耕地 面積
じ よ う り せい
農家が経営する耕地の面積で、自家
F01 条里 制
し よ くい く
古代の土地区画制度。1 辺 1 町(約 109m)
F05 食育
国民一人ひとりが健康を確保し、生涯をいき
で所有している耕地(自作地)と、よそから借りて耕
の四角形に区切った土地を基本に、最大 6 町四方の範
いきと暮せるようにするには、「食」が重要で、さま
作している耕地(借入耕地)の合計。
囲で、条と里の番号をつけ、そのなかで 1 町ごとに坪
ざまな経験をとおして、「食」に関する知識と「食」
として番号をつけた。
を選択する力を習得し、健全な食生活を実践すること
し み ん のうえん
た いけ ん の う え ん
ふ く し のうえん
が く ど うのうえん
E11 市民 農園 /体験 農園 /福祉 農園 /学童 農園
農家で
みずはや し
ない都市の住民が、レクリエーションとして野菜づく
F02 水走 氏
古代から近世にかけて、枚岡神社に奉仕し
りや花づくりを楽しむための農園を市民農園という。
た宮司職であり、とくに中世には、現在の五条町付近
市民農園には大きく分けて、小さく区画された農地を
を本拠地に東大阪・大東・八尾にかけて領有・支配し
借りて利用者みずからが自家用の野菜や花を育てる貸
た土豪。
ひらおかのむらじ
農園と、農園開設者の指導管理のもとに、利用者が植
水走氏は、藤原氏の一族 平 岡 連 の子孫といわれ、
すえただ
付けから収穫までの複数の農作業の一部を体験する体
1144 年水走李忠がおよそ 100ha におよぶ土地(現在の
みずはい
やすただ
水走)を開発。その子康忠は 1183 年、源義経に所領の
験農園がある。
また、こうした市民農園は、都市住民のレクリエー
安堵(武士や寺社の領地の所有を領主が認めたこと)
ションのほかにも、高齢者や障害者の生きがいづくり
を願い出、源氏の御家人となる。その後は皇室領・
おおえのみくりや
のための福祉農園や、子どもの体験学習のための学童
大江御厨(皇室に納める品物を調達・管理)を管理す
農園として利用されている。
るなど多くの要職を歴任、河内の土豪として大きく発
ち さ ん ちしよう
うんどう
E12 地産 地消 /ファーム・マイレージ運動
地産地消とは、
展した。南北朝の時代には南朝方に味方するも敗れ、
一般には、地域で生産された農作物をその地域で消費
以後時代の移り変りとともに勢力は衰えたが、幕末に
することをいうが、国の基本計画では、それだけでな
至るまで枚岡神社の宮司職を代々つとめた。
か わ ち も め ん
く、その活動をとおして生産者と消費者を結びつける
取組みをいう。
F03 河内 木綿
江戸時代から明治時代のはじめにかけて
河内地方で栽培された綿を織ってつくった木綿で、布
のれん
ファーム・マイレージ運動は、そうした地産地消の
取組みのひとつ。ファーム・マイレージとは、農産物
た
び
用いられた。
を育てるのに必要な農地面積を品目ごとに数値化した
大和川付替のあと、綿づくりがますます盛んになっ
もので、「近くの畑でつくった野菜を食べる」→「野
て、河内木綿は大きく発展したが、明治になると、外
菜が育つ畑を守る」ということを消費者に実感しても
国綿が輸入されるようになり、機械化がすすむなか機
らうことができる。東大阪市・大阪府・JA でつくる東
械による紡績に適さない河内木綿はしだいにすたれて
大阪市農業振興啓発協議会がはじめた。
いった。
F04 リージョンセンター
102
はつぴ
目が美しく丈夫なことから、暖簾や法被・足袋 などに
東大阪市都市計画マスタープラン
東大阪市では、市域を幹線道路
ができる人間を育てること。生きるうえの基本であり、
知育・徳育・体育の基礎となるもの。
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