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観光客満足度調査のススメ

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観光客満足度調査のススメ
満足度調査の実施手法
①調査項目(モデル調査票A・・・必須項目のみ)
観光地の魅力向上に向けた評価調査事業
観光客満足度調査のススメ
∼誰からの評価を高める?そのためには何を強化すべき?
CS・ロイヤリティに基づいた中長期的な観光振興に向けて∼
観光
観光地が持
観
が持続的発
続的発
発展を
展 するため
展をす
るため
めには、
に
観光地
地の魅力
の魅力を
を向上すること、観
観光客を
光客を維持す
維持す
すること
ること、また
、ま 、他者
、また
他者
に当該
に当
当該
当
該観
該観光地
観光
観光地
光地
地を紹介しても
を紹
を紹介
紹 しても
もらうこ
らう とが重
が重要とな
が重
要と ります
要とな
りま 。
満足
満足
満
足
足度
度調
度調査
度調
調査
査では、
査では
では、
で
は、「観光
は
「観
観光
光地
地の
地の魅
の 力向上
上=満足
満足度(C
満足
度
S)」
」、「リ
「リピータ
「リ
ピータ
ター確保
確保
保=再来
=再 訪意向
意向
向(行動
(行動を伴う
を伴う
ロイヤ
ロイヤ
イヤリ
リティ
リテ
ティ
テ
ィ)」、
)」
」、
」
、「口コ
、「口コ
口コ
口
コミ
ミ=
ミ=紹
=紹介意向
=紹
介意向
介意向
向(意
(意
(意識
意識
識や姿勢
や姿勢として
姿勢として
してのロイ
のロイ
の
ロイ
イヤリテ
イヤリテ
ヤリテ
ヤリ
ティ)」
ィ)
ィ
)」
)
」とし
」として
として
として
して指標化
て指標化
標化
標
標化し、こ
化し、こ
し これらを
し、
れらを
らを
高める
高める
高め
めるた
ために
ため
めに必要な
に必要な
必要
要な
要
な
な取
取り
取り組
り組
組み
みを
みを検
を検討し
討して
討
して
てい
いきま
きま
ます
す。
。
C
CS
CS
C
Sやロイ
やロイ
イヤ
ヤリ
ヤリテ
リティ
リテ
ィは
ィは、
は、性
は、
性別や
性別
別
別や
や年
年代
年代、
代、
代
、同行者
同行
行者な
行者
など
など、
ど
ど、
、様
様々な
様々
々な
々
な属
属性に
属性
性に
性
によっ
よっ
よって
って
ても評価
も評価が異な
評価
価が異な
が異
異な
なりま
ります
ます。さら
さらに、C
さら
さらに、C
に、
、C
、
CS
やロ
やロイ
や
ロイ
ロイヤ
ヤリテ
ヤリ
リティは
ィは、
は、景観
は、
、景
景観
景観雰
観雰囲気
囲気
囲気や
気や
や宿泊
宿泊 飲食
宿泊・
飲食施
飲
食施
施設など
設など
設な
などの直接
直接的
直接
直接的なサ
的な
的なサ
なサー
なサ
ービス
ビス
ビスだけ
だけで
だ
けで
けではなく
ではなく
はなく、地域
はな
な 、地域
なく
、地
地域
域と
との関
の関
関係や外
係や
や外
や外
的な評
的な
的
な
な評
評価
価、経
、経
、経験感想
験感
験
感想
感想と
感想とい
といっ
とい
い
いっ
った要素
た要素
た要
要素も重要
も重
も
重
重要
要なウエ
なウ
な
ウエ
ウ
エイトを
イトを
イト
トを占めて
占めて
占め
めてお
めており、
おり、
おり
り、様
り、
様々な
様々
々な
々
な要
要素に
素によって
素
よって構
構成さ
構成
成 れてい
てい
いま
ます
ます。
す。
この
このよ
このように
この
よう
ように
うに複雑な
複雑なCS
複雑
CS・
C
S・ロイヤ
S
イヤ
ヤリ
リティ
ティ
ィの構
の構
の構造
構造
造
造を明
を明ら
を明ら
明らかにし、
かに
かにし
に 、行動計
、行
、行動
行動
動計画に
計画
計画
画に
に繋げて
に繋げ
繋げて
げていく
いくために
いくた
めには
には、しっ
には
し かり
しっかり
しっ
かりと
かりと
した満
し
た満
満足度
足度調
足度調
度調査
査を実
を実施、分
を実
施、分
分析す
析する
析
する
するこ
ことが
こと
とが大
大切
大切で
切
切です。
す。
※聞き方や段数によって回答傾向は大きく変わってくるため、可能な限りこのフォーマットを用いて実施することを推奨します。
属性
性別、年齢、居住地、同行者などの特徴を属性
と言います。属性によって、価値意識や評価基準
は異なります。
②調査地点
調査対象地域内に所在する観光施設、宿泊施設、交通結節点(駅やバス乗り場、観光駐車場)、観光案内な
どで実施します。配布箇所数に指定はありませんが、地域の観光特性が明確になるように、地域を訪れる様々
な観光客をカバーできるような場所を設定し、各地点で配布可能な調査票数を分配しましょう。
③実施手法
アンケート調査の実施手法としては、面接調査、留め置き調査(地域での回収、郵送回収、インターネット
回収)などが挙げられます。それぞれに特徴があるため、地域の特性や状況に応じて、適宜選択して実施しま
しょう(複数の手法を組み合わせて実施することも可能です)。
④調査時期・期間
一般的に、観光客の傾向は季節によって大きく異なるため、四半期毎の調査が望ましいです。四半期毎の調
査が難しい場合は、地域の特性にあわせて、繁忙期と通常期(例えば、夏期と秋期)、繁忙期と閑散期(例え
ば、夏期と冬期)の2期ないし3期で調査を実施し、それぞれの時期の観光客の傾向を把握しましょう。
認知されたサービス品質・価値
景観雰囲気、宿泊施設、観光・文化施設などの
品質や、来訪にあたっての費用や時間の適切さな
どの価値について、サービスを受けた観光客がど
のように感じたのかを表す指標です。
事前の期待値が、大きく影響することが明ら
かになっています。
サービス品質・価値ではない要素
直接的なサービスではない、地域とのつながり
意識(特別な存在、特別な対応)や、ブランド意
識
(当該地域に対するイメージ、信頼感)、経験感
想(癒された、良い思い出ができた)などについ
て、観光客がどのように感じたのかを表す指標で
す。
満足度(CS)
提供されたサービスの品質・価値だけではな
く、地域との関係や外的評価なども含めて、全体
として当該観光地でどのように感じたのかを示す
指標です。
観光客が感じる「観光地の魅力」は、この満足
度で代弁することが可能です。
紹介意向・再来訪意向(ロイヤリティ)
当該観光地について、他者に紹介したいか、ま
たは、再来訪したいかを示す指標です。
観光地が自身の顧客維持、リピーター確保を目
指す場合、その向上を目指すべき指標は満足度で
はなく、このロイヤリティになります。
⑤目標回収数
属性別にみてもアンケート調査結果の有意性を確保するために、1期あたり概ね400票程度の回収を目標とし
ましょう(回収率を10%とした場合、配布数は4,000枚)。
<サンプル数を向上させるために有効な取組例>
待ち時間が発生するような場所(乗り物の乗り場、待合所など)で配布する。
各調査地点の調査票残部を確認し、配布が終えそうにない地点の調査票を、配布が終了した地点に再分配する。
回答頂いた観光客への懸賞品として自地域の特産品や招待券、割引券、PRグッズなどを提供する。
編集・発行:国土交通省 観光庁 観光地域振興部 観光地域振興課 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 電話03-5253-8111
調査委託先:財団法人日本交通公社 観光調査部
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-2
満足度調査の分析方法
①自地域を訪れている観光客からどのように評価されているのか把握します。
④対象とした属性のCS・ロイヤリティを左右する要素を見つけ出します。
自 地 域 を 訪 れ て い る 観 光 客 の output例<3指標の平均値と相関係数>
CS・ロイヤリティ水準がわかりま
す。また、満足度と紹介意向との
紹介意向
関係性の強さや、満足度と再来訪
6.17
意向との関係の強さも把握するこ
相関係数→
*
とができます。
*
0
観光地にとって重要なことは、CS・ロイヤリティを高めることです。一般的に低評価に留まる傾向のある
地域内移動や情報案内などは、解決すべき課題として指摘されがちですが、個別課題を解決したからといっ
て、CS・ロイヤリティが高まるわけではありません。
期待値と評価とのGAP、他地域との水準比較、CS・ロイヤリティへの影響度など複数の分析を行うことで、
CSおよびロイヤリティの高低は、どういった要素によって左右されているのかを把握することができます。
←平均値
CS・紹介意向は高水
準だが、再来訪意向
は低位に留まる
5
0.5
0.2
45
**
満足すると紹介意向が高まる
傾向にあるが、再来訪意向に
は繋がりにくい
0.364**
総合満足度
6.06
output例<再来訪意向への影響度×相対評価>
ో૕௑ะ䉋䉍䉅⹏ଔ䈏㜞䈇
維持
0.5
᥊ⷰ/ ⴝਗ䉂
㘶㘩/
‛⽼/ ⒳㘃䉇ᢙ
࿾ၞౝ⒖േ
⒳㘃䉇ᢙ
‛⽼/ ౝኈ
㘶㘩/ 䈍䉅䈩䈭䈚
0.3
‛⽼/
⦟䈇ᕁ䈇಴䈏䈪䈐䈢
䈍䉅䈩䈭䈚
ⷰశ/ 䈍䉅䈩䈭䈚
ᖱႎ
再来訪意向
5.09
ⷰశ/ ౝኈ
ⷰశ/ ⒳㘃䉇ᢙ
②誰からの評価が高く、誰からの評価が低いのか把握します。
0.15
性別や年代、同行者など、様々な属性によって評価基準は異なります。例えば、男性には評価されている
けれども、女性には評価されていないといった場合、地域の全体平均で論じてしまうと、女性からの低評価
という課題が見えなくなってしまいます。
得られたデータを分析すると、どのような属性が、高い評価をしているのか、また、低い評価をしている
のかを明らかにすることができます。
0.20
․೎䈭ኻᔕ
6.40
6.20
6.00
5.80
6.37
∼20代 6.23
6.04
30∼40代
50代∼
5.60
低評価の属性
(相性の悪い属性)
ᤨ㑆ኻലᨐ
ା㗬ᗵ
䊥䊐䊧䉾䉲䊠䈪䈐䈢
․೎䈭ሽ࿷
ᔃ䈏⼾䈎䈮 ≹䈘䉏䈢
ኋᴱ/
䈭䈦䈢
0.30
0.35
0.40
0.45
䈍䉅䈩䈭䈚
-0.1
⾌↪ኻലᨐ
ᄢಾ䈮䈚䈢䈇
0.50
䉉䈦䈢䉍䈪䈐䈢
重点強化
-0.5
ో૕௑ะ䉋䉍䉅⹏ଔ䈏ૐ䈇
⑤調査結果から行動計画を検討します。
5.94
5.80
満足度調査で得られた分析結果は、観光客の視点から見た分析であるため、行動計画を検討するためには、
地域の視点に組み直すことが必要です。
5.40
5.20
5.00
ኋᴱ/ 㘩੐
0.25
ኋᴱ/ ㇱደ
䉟䊜䊷䉳
優先順位低
高評価の属性
(相性の良い属性)
6.10
0.1
᥊ⷰ/ ⥄ὼ
䉒䈒䉒䈒䈚䈢
-0.3
6.60
output例<属性別平均値>
維持・強化
㘶㘩/ ౝኈ
5.07
5.17
5.04
③対象とした属性が、何に満足していて、何を不満に思っているのか把握します。
ステップ1
対象者を明確にし、対象者に
対する関係者の意識を揃えま
す
ステップ2
サービス品質・価値の対応策
を検討し、短期的な改善を図
ります
ステップ3
サービス品質とは異なる次元
で、観光客との関係を構築する
方法を中長期的に検討します
対象者を絞った上で、その属性は何を求めている
のかを検討することが大切です。CS およびロイヤリ
ティを構成するサービス品質・価値、非サービス品
質の中で、どういった項目に対して高い評価をして
いるのか、または、低い評価をしているのかを把握
することができます。
①②をふまえ、自地域の位置
付けと投入できる資源から、
弱みとなっている属性の改善
に注力するのか、それとも、
強みとなっている属性を伸ば
すのかといった判断をし、対
象者を明確にします。
④をふまえ、地域にとって優
先度が高い取り組みを抽出し
ます。
④をふまえ、地域にとって優
先度が高い要素を抽出します。
総合満足度
output例<CSおよびロイヤリティを構成する要素の平均値>
䋨㪘᷷ᴰ࿾䋩 䋨㪘᷷ᴰ࿾䋩
䌾㪉㪇ઍ
㪌㪇ઍ䌾
≹ߐࠇߚ
ࠁߞߚࠅߢ߈ߚ
࡝ࡈ࡟࠶ࠪࡘߢ߈ߚ
⦟޿ᕁ޿಴߇ߢ߈ߚ
ࠗࡔ࡯ࠫ
ᔃ߇⼾߆ߦߥߞߚ
ᄢಾߦߒߚ޿
ା㗬ᗵ
․೎ߥሽ࿷
ࠊߊࠊߊߒߚ
․೎ߥኻᔕ
6.24
6.17
6.14
6.06
6.04
5.94
5.84
5.84
5.24
5.29
4.98
6.39
6.41
6.30
6.18
5.97
5.97
6.08
5.95
5.54
5.38
5.36
ᐔဋ୯
㪘᷷ᴰ࿾
ో૕
6.29
6.32
6.23
6.10
6.01
5.93
5.95
5.89
5.40
5.41
5.09
ᣣᧄో૕䈱 ᷷ᴰ♽䈱
௑ะ
௑ะ
5.95
6.07
5.87
6.08
5.95
6.08
5.95
5.86
5.70
5.67
5.74
5.69
5.82
5.73
5.67
5.63
5.24
5.20
5.38
5.25
4.81
4.90
紹介意向
再来訪意向
䋨㪘᷷ᴰ࿾䋩 䋨㪘᷷ᴰ࿾䋩
䌾㪉㪇ઍ
㪌㪇ઍ䌾
ኋᴱ߅߽ߡߥߒ
ኋᴱ㘩੐
ኋᴱ౒↪ᣉ⸳
ኋᴱㇱደ
᥊ⷰ⥄ὼ
᥊ⷰⴝਗߺ
ᴦ቟
⾌↪ኻലᨐ
㘶㘩߅߽ߡߥߒ
ᤨ㑆ኻലᨐ
㘶㘩ౝኈ
㘶㘩⒳㘃߿ᢙ
ⷰశ߅߽ߡߥߒ
‛⽼߅߽ߡߥߒ
‛⽼⒳㘃߿ᢙ
‛⽼ౝኈ
ⷰశౝኈ
ⷰశ⒳㘃߿ᢙ
ᖱႎ
૑᳃߅߽ߡߥߒ
࿾ၞౝ⒖േ
ࠗࡌࡦ࠻
6.31
6.15
6.11
6.06
5.99
5.63
5.75
5.79
5.74
5.67
5.71
5.66
5.52
5.53
5.45
5.36
5.01
5.05
5.07
4.97
4.93
4.47
6.41
6.23
6.02
6.05
6.02
5.83
5.59
5.76
5.78
5.77
5.71
5.66
5.54
5.53
5.36
5.39
5.15
5.04
5.00
5.00
5.02
4.68
ᐔဋ୯
㪘᷷ᴰ࿾
ో૕
6.33
6.22
2
6.09
9
6.06
6
6.06
6
5.74
4
5.74
4
5.72
2
5.69
5.69
5.68
5.66
5.46
5.44
5.43
8
5.38
5.10
0
5.10
0
5.02
2
4.95
5
4.91
1
4.57
7
ᣣᧄో૕
䈱௑ะ
5.74
᷷ᴰ♽䈱
௑ะ
5.91
5.63
5.78
5.47
7
5 83
5.83
宿 泊5.62
施設全般に
5.92
5.
5.9
5
.92
92 対して高評価
92
5.74
5.55
5.55
55
5
5.56
6
5.41
5.72
5 63
5.63
5.68
5
68
5
5.72
72
5.42
5.43
5.60
5.65
5.47
5.43
5.39
5.38
5.35
5.29
5.25
5.20
5.22
5.10
5.20
5.08
5..1
5.1
5.17
.1
.17
17
7
5 03
5.03
地域内移動やイベント
5.00
5.01
5
.に対して低評価
01
4.92
5.14
5
.14
5.06
5.0
5
.06
.0
06
6
4 90
4.90
4..91
4.91
4.9
4
.9
9
91
4 81
4.81
4.94
4
.94
4.73
その上で、③などの対象者に
関する情報を広く関係者に周
知し、意識を共有することが
重要です。
さらに、これらの分析結果を
受け、観光客は自地域に何を
求めていて、自地域は何を提
供しているのか、地域の核と
なる魅力を再検討することも
重要です。
信頼感やつながり意識の構築
については、まちづくりのビ
ジョンも絡めた中長期的な視
点で考えていくことが重要で
す。
※満足度調査を実効性のあるものにするために
・平均値だけではなく、サンプル数や、データのバラツキ(標準偏差)などの見方も必要です。
・結果を読み解くためには、データ分析から導出されるものだけではなく、それをふまえた議論が必要です。
・広く関係者に周知し、意識を共有することが必要です。
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