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【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 0. 微分法・積分法の復習 1 微分法・積分法の復習 0 0.1 微分係数・導関数 微分係数 「関数 y = f (x) の点 x = a 近傍の傾き」次の式で定義. f ′ (a) f (x) − f (a) x−a f (a + h) − f (a) = lim h→0 h = lim (0.1) x→a y+Δy (0.2) y y Δ 導関数 x の各点で上記の微分係数を対応させた関数. y ′ , f ′ (x), fx (x), d dy , f (x) dx dx x Δ x x+Δx • 「x = a で,f (x) に微分係数が存在する」⇐⇒「x = a で,f (x) は微分可能」 • 「f (x) を x = a で微分する」⇐⇒「x = a で,f (x) の微分係数を求める」 「微分する」とは,すな わち「接線の傾きを求め ること」 • 「f (x) を微分する」⇐⇒「f (x) の導関数を求める」 • 導関数の表示方法を使うと,点 x = a での微分係数は次のように書ける. ¯ dy ¯¯ f ′ (a), dx ¯x=a (0.3) • 「関数 f (x) が x = a で微分可能」=⇒「関数 f (x) は x = a で連続」 0.2 高階導関数 ′ 関数 y = f (x) の導関数 y = f ′ (x) が微分可能であるとき,さらに微分した関数 y = (f ′ (x)) を 2 階導関数といい,次の記号で表す. y ′′ , f ′′ (x), fxx (x), f (2) (x), d2 d2 y , f (x) dx2 dx2 同様に n 回微分可能なとき,n 階導関数は y (n) , f (n) (x), 0.3 dn y dn , f (x) dxn dxn 「微分」の意味 • 「微分する」とは,すなわち「接線の傾きを求めること」. 関数の増減を求めること . • 2 階微分は,関数の「凹凸」を表す.関数の増減表を書くことにより,増減と凹凸情報 から関数の概形が分かり,グラフが書ける. 物理では,変数を時間として,時間変化の方程式を立てる.位置 x を表す関数を時間 t を変 数にして,x = x(t) とすれば, 位置 x(t) → 微分 → ← 積分 ← 速度 v = dx dt → 微分 → ← 積分 ← 加速度 a = dv d2 x = 2 dt dt 【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 0. 微分法・積分法の復習 0.4 2 微分の計算方法 1. 基本公式 以下,すべて重要 (cf )′ (f ± g)′ (f g)′ f ( )′ g = cf ′ , c = const. = f ′ ± g′ = f ′ g + f g′ f ′ g − f g′ = g2 (0.4) (0.5) (0.6) (0.7) 2. 合成関数の微分 y = f (u), u = g(x) のとき dy du dy = dx du dx (0.8) y = f (u), u = g(v), v = h(x) のとき 「chain rule」とも呼ぶ dy dy du dv = dx du dv dx (0.9) dy 1 1 = dx = ′ (f ′ (y) ̸= 0) dx f (y) dy (0.10) 3. 逆関数の微分 x = f (y) のとき 4. 対数微分法 与えられた関数の対数をとってそれを微分する方法 5. n 次導関数 2 項係数を使って次のように書ける. (f (x) + g(x))(n) (f (x)g(x))(n) = f (n) (x) + g (n) (x) ) n ( ∑ n = f (n−k) (x)g (k) (x) k (0.11) Leibniz の公式 ライプニッツ (1646-1716) (0.12) k=0 2 項係数の値は, 「Pascal の三角形」でも与えられる.定義は, ( ) n! n(n − 1) · · · (n − k + 1) n n Pk = n Ck = = = k k! (n − k)!k! k(k − 1) · · · 1 0.5 (0.13) 導関数の計算例 1 2 3 f (x) xα ex ax 4 log |x| 5 0.6 パスカル (1623-62) f ′ (x) αxα−1 ex x a log a 1 x 1 (x log a) loga |x| 1 1 1 1 2 1 1 3 3 1 1 4 6 4 1 1 5 10 10 5 1 Pascalの3角形 6 7 f (x) sin x cos x f ′ (x) cos x − sin x 8 tan x 1 cos2 x すべてよーく確かめて おくこと. 対数の底が省略されて いる時,底は e である. 偏微分 関数 f が,複数の変数を持つとき(例えば,f (x, y) とか f (x, t)),どの変数で微分するかを 指定する微分を「偏微分」という.例えば,x で微分するときは, ∂ f (x, y), fx (x, y) ∂x (0.14) などと表す.2 階微分も同様にして, ∂2 f (x, y), fxx (x, y) ∂x2 (0.15) 【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 0. 微分法・積分法の復習 0.7 3 不定積分と定積分 不定積分 微分演算の逆演算として定義する. • 連続関数 f (x) に対して, F ′ (x) = f (x) (0.16) F → 微分 → f F ← 積分 ← f となる関数 F (x) を f (x) の「原始関数」という. • 原始関数全体の集合を「 f (x) の不定積分」といい,次のように書く. ∫ F (x) = f (x)dx (0.17) • f (x) は, 「F (x) の被積分関数」と呼ぶ. • f (x) から F (x) を求める操作を「積分する」という. • 微分すると,定数はゼロになるので,積分するときは,定数を加える自由度がある.こ れを積分定数と呼ぶ. • F1 (x), F2 (x) が共に f (x) の原始関数ならば,その差は定数である. 定積分 面積として定義する. • 関数 f (x) が,区間 [a, b] で,f (x) ≥ 0 とする.x 軸と,直線 x = a, x = b,そして関 数 y = f (x) のグラフで囲まれる領域の面積 S は,区間 [a, b] を n 個の小区間に分割 することで近似できる.すなわち, a = a0 < a1 < a2 < · · · < an = b, y ∆xk = ak − ak−1 として, f(k ) n S≃ n ∑ f (xk )∆xk k=1 x 1 n • 分割数 n を無限に大きくすると,近似の精度は良くなり,面積を表すと考えられる.こ れを ∫ b n ∑ S= f (x)dx = lim f (xk )∆xk (0.18) n→∞ a k=1 k n 極限を取ると, ∫ Σが になり, ∆x が dx になる. と定め,この値を「関数 f (x) の,区間 [a, b] における定積分」という. • f (x) ≤ 0 の区間であっても,同じ操作が定義できる.ただし,この場合,面積の値が 負となる. 「面積」を求めるためには,関数 f (x) の正負に応じて定積分の足し合わせが 必要である.以降では,f (x) の正負に関わらず,定積分が (0.18) で定義されているも のとする. 定積分について,以下の 式が成り立つ.a, b を任 意の定数とする. ∫ ∫ b 定積分と不定積分 a ··· = − ∫ a • 積分の上端を変数 x とした定積分 a ··· = 0 ∫ a ∫ x F (x) = f (t)dt a dF (x) = f (x). dx • したがって,定積分を求めることは,不定積分を行って,上端と下端の値の差を求める ことと同じ. [ ]b ∫ b f (x)dx = F (x) ≡ F (b) − F (a) (0.19) a ∫ b ∫ c + a を考えると,F (x) は, f (x) の不定積分である.すなわち, a ··· b c = b a 定積分(面積)を求める ことは,実は不定積分で 上端・下端の値の差を計 算することと同じであ る... という結論. (だか ら同じ記号を使う). 【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 0. 微分法・積分法の復習 0.8 4 積分の計算方法 1. 積分の線形性 k, l を定数とする. ∫ b ∫ {kf (x) + lg(x)}dx = k a ∫ b b f (x)dx + l a g(x)dx 2. 置換積分法 合成関数の微分 (F (g(x))′ = f (g(x)) g ′ (x) の裏返し. [ ]β ∫ b ∫ β ′ f (g(x)) g (x)dx = f (t)dt = F (t) a (0.20) a α (0.21) α 積分する変数が dx から dx dt に変わるとき, を dt 計算して置換 ここで,α, β は,α = g(a), β = g(b) である. よく使う置換 • f (ax + b) を見たら,ax + b = t f ′ (x) • を見たら,f (x) = t (log f (x) の微分だと見抜く) f (x) • f ′ (x){f (x)}α (α ̸= −1) を見たら,f (x) = t √ • a2 − x2 を見たら,x = a sin θ a • 2 を見たら,x = a tan θ a + x2 3. 部分積分法 関数の積の微分 (F (x) g(x))′ = f (x)g(x) + F (x)g ′ (x) の裏返し. [ ]b ∫ b ∫ b f (x)g(x)dx = F (x)g(x) − F (x)g ′ (x)dx (0.22) a a a 部分積分は,次の要領で行うのがよい. • sin x, cos x, ex は「積分」しようとする. (積分しても複雑にならないから) • log x は「微分」しようとする. (微分すると log がなくなるから) 0.9 不定積分の計算例 f (x) 3 xα (α ̸= −1) 1 x ex 4 ax 5 log x 1 2 0.10 ∫ f (x) α+1 x α+1 log |x| ex ax log a x log x − x 6 7 8 9 10 sin x cos x tan x sinh x cosh x f (x)dx − cos x sin x − log | cos x| cosh x sinh x 体積 a 曲線の長さ 関数 y = f (x) のグラフの 区間 a ≤ x ≤ b の長さ L は, √ ( )2 ∫ b ∫ b√ dy (dx)2 + (dy)2 = 1+ L= dx dx a a log x dx の 計 算 は , (x)′ log x dx と見抜く 対数の底が省略されて いる時,底は e である. 座標 x で立体を表現でき,座標 x での面積が S(x) で与えられているとき,立体の区間 a ≤ x ≤ b の体積 V は, ∫ b V = S(x)dx (0.23) 0.11 ∫ 結果が正しいことを確 かめるだけなら,右側の ものを微分すればよい. 導出できるようにして おくこと. ∫ f (x)dx ∫ (0.24)