Comments
Description
Transcript
資料参照
ESRI経済政策フォーラム 「若者は夢を失ったのか―現代社会の若者像」 2004.12.24 若者の自殺・引きこもり −なぜ社会と隔絶するのか 斎藤 環 爽風会佐々木病院 若者における非社会的傾向 おたく(240万人) フリーター(400万人) パラサイト・シングル(1000万人) ニート(52万人) ひきこもり(41万世帯) 社会的ひきこもりの定義 六ヶ月間以上、社会参加せず 精神障害を第一の原因としない ※ ただし「社会参加」には、「就学」「就労」のほか、「親密な仲 間関係」も含まれる ※ 診断名、臨床単位とは言えない 社会的ひきこもりの特徴 不登校との関連性は高い 1970年代後半から増加 全国で数十万から百万人と推定される 比較的、男性事例に多い どのよう家庭のどのような子供にも起こりうる しばしば著しい長期化(数年∼十数年)に至る 長期化とともに精神症状が、あるいは家庭内暴力などの問 題行動が出現しやすい ひきこもりきっかけは多様だが、長期化のパターンは共通点 が多い 長期化に至った事例が自力で社会参加を果たすことは著し く困難 ひきこもりは日本固有か ・欧米との比較 「自立」文化の相違(主として欧米との対比において) 家出型自立(欧米) vs 甘え型自立(日本) ・儒教文化圏内での比較(韓国との対比) 「お父様(ご先祖様)に申し訳ない」vs「世間様に申し訳ない」 ・核家族の孤立が起こりやすい日本 → ひきこもる本人、それを抱え込んでひきこもる家族 「ひきこもり」と「自分探し」 −「コミュニケーション格差」の問題− ひきこもり系: 社会文化的背景 一般にコミュニケーションが苦手であるが淡泊 比較的安定した自己イメージ 不適応のパターン:社会的ひきこもり、ニート、家庭内暴力 事例:心中未遂としての親殺し 自分探し系: 先進諸国に共通 コミュニケーションが得意で友人の数も非常に多い 対人関係から離れると自己イメージが不安定になりがち 不適応のパターン:境界性人格障害、リストカット、自殺、カルト 事例:ネット心中、カルト 変容する思春期・青年期 アイデンティティの拡散 「社会的弱者」化する若者 薄く広がる幻滅感・絶望感 反社会性よりも非社会性の傾向 成熟の遅れ 通過儀礼の喪失 30歳成人説 自立イメージの混乱 社会の成熟とモラトリアム期間の増大 自明な価値観への懐疑(就労、結婚…殺人の 禁忌など) 社会の心理学化 トラウマ 虐待、いじめ、災害 PTSD 解離の問題(多重人格) リストカット、その他の自傷 境界性人格障害 拡大する「コミュニケーション格差」 評価軸の貧困化 インセンティブ・ディバイド(苅谷剛彦) 希望格差社会(山田昌弘) メディアの介在 つながりたい思春期の心 携帯電話、インターネット メール、チャット、メッセンジャー、blog、mixi フレーミング、クラッキングの問題 ネット心中、ネット殺人 出会い系殺人 ネットゲームと嗜癖の問題 社会的ひきこもりの 治療的対応 治療的対応の三段階 (1) 家族相談(情報提供) (2) 個人治療(個人精神療法・薬物療法) (3) 集団適応(デイケア・たまり場)