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電子カルテシステム
左 患者様中心の医療、 病院経営効率の向上に貢献する 「電子カルテシステム」 電子カルテシステムのパイオニアである富士通では、2003年に成長型電子カルテシステム を業界で初めてリリースし、病院の基幹業務向けパッケージの標準化にいち早く取り組 んできました。これからは、患者様中心の医療を実現するために、病院から地域全体で の情報共有を推し進めていきます。 急性期病院を 支える 電子カルテ ❶包括医療制度(DPC) Diagnosis Procedure Combination。 医療機関が保険者に請 求できる診療報酬の額 が病気の種類や入院日 数等によってあらかじめ 決められている制度。 2003年から医療 このシステムの特長は、標準パッケージを 費抑制策の一環とし ワンストップソリューションスペシャリストSE❹ て施行された包括医 を中心に運用提案型で導入することで、 低コ ❶ 療制度(DPC) に対 スト・短期安定稼働ができることです。 導入後 応するため、手術を はユーザフォーラム「利用の達人」によるご 中心とした急性期病院への転換を迫られ 意見やご要望を反映して、 毎年の定期レベル た地域の中核病院は、平均在院日数の短 アップにより常に最新の機能をご提供してい 縮や、紹介率・逆紹介率の向上、地域の診 ます。 この仕組みは他社には無い、富士通独 療所や回復期病院との連携強化等、 これま 自のセールスポイントとなっています (図1) 。 で以上に経営の合理化・効率化が必要と なってきました。 ■ 図1 成長型電子カルテシステム 常に最新の機能 急性期病院として存続していくために ❷電子カルテシステム 医師が紙のカルテに記 録していた診療記録等 の診療情報を電子的に 記録、保存するための情 報システム。 レベル アップ は、多くの患者様を安全に、確実に、かつ効 レベル アップ 率的に治療していく必要があり、電子カル テシステム❷を中心とした医療情報の標準 レベル アップ 化、透明化が欠かせません。 ❸HOPE/EGMAIN-GX 国 内 電 子カルテトップ シェアの経験と実績で培 われたノウハウを結集し た最新鋭の電子カルテ システム 。医 療 現 場 の ニーズをタイムリーに反 映するために、お客様の コミュニティー活動での 意見を採り入れて定期的 にレベルアップを行う成 長型のシステム。 ❹ワンストップソリューション スペシャリストSE お客様トップと直接対応 できるスキル及び知識を 持ったSE。2004年度より 認定を開始している。 06 お客様と ともに 成長する パッケージ 富士通ではより多 くのお客様に対応す るた め、これまで の 成長型パッケージに 高度・先進的な病院 で 開 発され た 機 能を標 準で 取り入 れ た レベル アップ 導入 1 年目 2 年目 次第に陳腐化 3 年目 4 年目 従来の電子カルテシステム 成長型システムを支えるユーザフォーラム 定期的なレベルアップ 導入ユーザ様の 意見を反映 電子カルテユーザフォーラム 「利用の達人」 レベルアップフォーラム レベルアップ項目の検討 「HOPE/EGMAIN-GX (ホープ/イージーメ 導入・運用関連フォーラム イン-ジーエックス)」を2008年7月にリリー データベースフォーラム ❸ スし、2年間で147システムを受注しました。 5 年目 システム導入や運用のノウハウ共有 データベースの有効活用 右 安心・安全な システム環境を 提供する 真のパートナーに 電子カルテをはじ めとした医療情報シ ステムは、安心・安全 ヒューマン セントリックな 社会に向けて いま、各医療圏に おいて、地域の特性 や医療圏内の各施設 な社会を支える重要 の役割分担を明確に な情報基盤です。そ して、地域ぐるみで診 れだけに、 トラブルの未然防止と、万が一の 療情報の共有を図る動きが出始めています。 システム障害時における迅速な復旧が強く 富士通では標準パッケージで展開した電 求められています。富士通では、医療情報 子カルテの情報を、 他社製の電子カルテシス システムのノンストップ運用を実現するた テムもあわせて、ネットワークで患者様を中 めに、医療ワンストップサポートセンターを 心に統合する 「HOPE/地域連携 V3」 を2010年 開設。24時間365日システム監視を行い、 ト 4月にリリースしました。 このソリューションに ラブルの未然防止に努めるとともに、全て より、地域全体の施設が患者様中心の医療 のお問い合わせ窓口を一本化し、 ファース サービスを提供でき、 住民が安心して暮らせ トラインでの課題の迅速な対応を可能にし る社会づくりに貢献したいと考えています。 ています。 富士通はこの様に診療情報の統合を加 加えて、高い専門性を有したワンストッ 速し、次に健診や介護を含めた健康情報全 プソリューションスペシャリストSEをはじめ 般の情報統合PHR(Personal Health Record)の とする人材の育成にも積極的に取り組み、 実現を目指します (図2) 。 さらに、 個人を中心 富士通グループが一体となって、お客様の とした生活全般の情報統合PLR(Personal Life 抱える様々な課題を解決できる真のパート Record)実現に向けて、ヘルスケア分野が牽 ナーとなることを目指しています。 引役を果たしていきたいと考えています。 ■ 図2 電子カルテからヒューマンセントリックな社会へ 2003年~ 2007年~ 2010年~ ~2020年 地域医療 ネットワーク 電子カルテ 地域連携 院内情報共有 HOPE/EGMAIN-FX,GX ワンストップ ソリューション 「地域医療」を これからの ビジネスの 機軸にして推進 病診連携 病病連携 地域連携パス HOPE/ 地域連携 V1,2 [1:N 型の連携] PLR Personal Health Record Personal Life Record 個人を中心とした 地域全体で 診療情報を共有 健康全般の 情報統合 HOPE/ 地域連携 V3,・,・・・ [N対N型の連携] 個人を中心とした 生活全般の 情報統合 健診・介護情報の連携 自治体 文教 金融 農水 PHR 産業 流通 住民情報、年金情報、保険情報、 就学情報、貯蓄、趣味、買物等々 注目のソリューション② / FUJITSU JOURNAL / JUL.-AUG.2010 07 左 藤沢湘南台病院 様 システムの更新を機に業務の課題を分析 業務改善の手段として 「HOPE/EGMAIN-GX」 を導入 神奈川県藤沢市の北部に位置し、地域の医療・保健・福祉を担う藤沢湘南台病院様。同病院では、業務改善 を目的に、 システムの導入を検討。富士通が行った現状業務の分析をもとに検討を重ねた結果、電子カルテ システム 「HOPE/EGMAIN-GX」の導入を決定。同システムは業務の効率化をもたらすとともに、医療の質や 患者様へのサービス向上にも寄与しています。 紙カルテの様々な問題点を解決するため 電子カルテシステムの導入を決定 病院内の現状の問題分析にあたっては、ワンストッ プソリューションスペシャリストSEを有し、先進的にヘ 副院長 高橋 大介 氏 ルスケアソリューションにも取り組んでいる富士通ビ ジネスシステムがサポートしました。 システムの更新が 外来患者様の数が年々増加し、 病院全体の業務改善が課題に お客様の業務改善となるのか。業務の現状課題を解決 藤沢湘南台病院様は1932年に設立されて以来78 始めました。その中で現状業務を把握するために、看 年、近隣市町村の中心的病院として、地域の医療を 護師や薬剤師、栄養士等10部門以上の担当者からの 担ってきました。1994年に老人保健施設「藤沢ケアセ ヒアリングを実施。実際の業務にかかっている時間や ンター」、1996年に「藤沢訪問看護ステーション」、 コストを算出し、同病院で本当に必要な機能を洗い出 1999年に「居宅介護支援センター」、2000年に健康増 し、電子カルテシステムを導入した場合の投資効果を 進施設「ライフメディカルフィットネス」を開設。現在 実数値で提示しました。 は、急性期病棟240床を主軸に合計303床を有してい 「外来ではカルテの厚さが10cmを超える患者さん ます。 もいて、 どこに何が書いてあるのかを探すのに苦労す 同病院では、富士通のオーダリングシステムを利 る状態でした。 また、 カルテは全診療科で共通のため、 用していましたが、9年近くが経過し、パワー不足で、 検査で患者さんが待っているのにカルテが来ていな ディスク容量も限界に近づく等、入れ替えが検討され い等、 カルテが取り合いのような状態になることもあり ていました。また同時に、外来患者様の数が年々増 ました。 さらに、検査結果等の電子データを紙に出力し 加。病院全体の業務改善が大きなテーマになってい てカルテに貼る作業があったり、カルテに書いてある ました。 文字が読みにくかったりということもあります。何より 「病院長から業務改善と人材適正配置の担当に任 も、紙カルテの保管スペースが限界に達しているとい 命され、業務改善の施策を考える中であがってきた う問題がありました」 (高橋氏) 。 のがオーダリングシステムの入れ替えであり、電子 こうしたことから、同病院の業務改善を進めるため カルテシステムの導入検討だったのです」と、今回 には電子カルテシステムの導入が不可欠と、2009年3 のプロジェクトの責任者となった高橋副院長は語ら 月、 「HOPE/EGMAIN-GX」の導入を決定されました。 するために、お客様と一体となってシステムの検討を れます。 出された医師や看護師、職員等でワーキンググルー 富士通のサポートのもと、入念な 準備で、 スムーズな導入を実現 プを立ち上げる等、病院内の体制を整えられました。 「HOPE/EGMAIN-GX」を導入された背景として、オー システムの導入検討にあたっては、各部門から選 08 右 ダーメイドでシステムを作るには病院自体の余力や サービスの質の向上が実現されるものと期待されて コスト等の問題があり、パッケージでのノンカスタマ います。 イズでの導入が望まれていたことがあります。また、 「今後は、メディカルクラークにシステムの書類作 ※ 2009年7月のDPC 本請求開始や、10月の機能評価 成を振り分ける等、業務分担を考え、医師や看護師が 更新等への対応をはじめ、現状の業務改善だけでな 本来の業務に時間とエネルギーを割けるよう、病院 く、将来を見据えた施策が望まれていたことや、この 全体の仕組みを考えていきたいと思っています。そう システムがユーザーの声を吸い上げ、定期的にレベ することで、 これまで時間的に難しかった患者さんま ルアップを実施し、成長させていくことができるシス で診ることができるようになり、患者様へのサービス テムであったことがありました。 の向上にもつながると考えています」 (高橋氏)。 そして、2010年3月の本稼働に向けて、富士通のサ ポートのもとでの運用テストやリハーサルの実施、導 将来的には、地域の診療所等と共通のシステムに 入後1週間程度は患者様の予約を減らす等の入念な よる連携ができれば、採血やレントゲン等の検査の 準備が行われた結果、大きな混乱もなく順調に電子 重複を避けることができ、日本全体の医療の効率化 カルテシステムが導入されました。 にもつながる。電子カルテシステムは、そういったこ 「導入後のイメージができていなかった当初は不 とに寄与する可能性を持っていると、高い評価を寄 安もありましたが、 リハーサル等で実際にシステムを せていただきました。 使い始めてからは意外と簡単に使えるということが 分かり、予想よりもスムーズに医師への浸透を図るこ とができました。特に、若い研修医等は水を得た魚の ※DPC Diagnosis Procedure Combination。包括医療制度。医療機関が保険者に請求で きる診療報酬の額が病気の種類や入院日数等によってあらかじめ決められている 制度。 ようにシステムを使いこなし、こうすれば便利ですよ と、逆に提案してくれました。院長は、賞品をつけて便 利機能の発表会をやろうとまで言ってくれています」 (高橋氏)。 電子カルテシステムを核に 将来は地域の病・診連携にも期待 財団法人同友会 藤沢湘南台病院 設 立 1932年 職 員 数 422名(非常勤を含む) U R L http://www.fj-shonandai.jp/ 2010年3月に電子カルテシステムが稼働。システ ムを導入したことで、カルテを運ぶといった手間がな くなり、医局にいてもすぐにカルテの内容を確認した り指示したりできるようになりました。また、同時に複 数の医師でカルテを見ることもできるようになりまし た。外来患者様の予約一覧から担当する患者様のカ ルテを前日に検索し、予習を行うといったこともでき ます。システムが院内に定着すれば、業務の効率化と ともに、会計待ち時間が軽減され、患者様に向けた 注目のソリューション② / FUJITSU JOURNAL / JUL.-AUG.2010 09