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都市環境管理における官民パー トナーシップと
都市環境管理における官民パートナーシップと 効率性に関するアジア比較研究 (課題番号17510035) 平成17年度-平成18年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書 平成19年3月 研究代表者 白川博章 (名古屋大学大学院環境学研究科・助手) はしがき 本報告書は、科学研究費補助金(基盤研究(c))により、平成17年度から平成18年度に かけて行った「都市環境管理における官民パートナーシップと効率性に関するアジア比較 研究」の成果をまとめたものであるo 現在、アジアでは32%の人々が都市に居住し、都市人口は年々増加する傾向にあるo ア ジアの発展途上国では急速な都市化と政府の財源不足が原因となり、上下水道、廃棄物処 理施設、公共交通機関などのインフラストラクチャーが不足し、環境サービスが都市住民 に十分に供給されていない。そこで、これまで公共セクターが担ってきた都市環境管理に 対して、民間参入が強く求められており、官民パートナーシップの重要性が高まっている。 官民パートナーシップについては、資金調達面だけでなく、事業体の運営効率も改善す ることが期待されているo しかし、官民パートナーシップが事業体の運営効率に与える影 響については、様々な意見が出され、必ずしも見解が一致していない0 そこで本研究では、都市環境管理の効率性評価をとおして、官民パートナーシップが事 業体の経営効率に与えた影響を検討することを目的とした。その際、都市環境管理の中で も、水道事業に焦点を当て、アジア全体と中国を対象とし、水道事業体の効率性を比較し た。 都市環境管理は、公共性が高い事業であるため、効率性だけでなく、公平性にも配慮 することが求められるo したがって、単に事業の効率性を改善するだけでなく、どのよ うな手段を用いて、効率性を改善するかが問われている。そこで、都市環境管理の効率 性を評価し、事業体の間で効率性の違いが生まれた原因を検討することが、大きな課題 となっている。 本研究の成果が、アジアにおける都市環境管理-の学問的支援となれば幸いであるo 2007年3月15日 白川 博章 研究組織 研究代表者: 白川博章(名古屋大学大学院環境学研究科助手) 研究分担者: 金子慎治(広島大学大学院国際協力研究科助教授) (研究代表者: 井村秀文) (研究協力者: 馬奈木俊介) (研究協力者: 金原達夫) (研究協力者: 勝原健) (研究協力者: 田畑智博) (研究協力者: 常秒) (研究協力者: Mushtaq (研究協力者: 藤井秀道) (研究協力者: 文多美) A. Memon) (金額単位:千円) 交付決定額 直接経費 間接経費 合計 平成17年度 1,800 0 1,800 平成18年度 1,800 0 1,800 総計 3,600 0 3,600 研究発表 (1)学会誌等 白川博章,金子慎治,常秒,井村秀文:アジアにおける水道事業の効率性比較に関する研 Ⅵ)1.20, pp.293・296, 2006. 究,環蚤情報科学論文集, 文多美,白川博章,田畑智博,井村秀文:都市ごみ焼却施設建設に関する環境影響評価に おける住民の情報ニーズに関する研究-ソウル市を事例として,環境情報科学論文集, Ⅵ)1.20, Me血on, pp.415・420, A., M。, environnental development, 2006. Imura, H. and infrastructure Ⅵ)1.15, pp.138-157, and Reforms Shirakawa, H.: services in Asia, The for journal managing of environment 2006. 金原達夫,藤井秀道,金子慎治:日本企業における環境行動と経済・環境パフォーマンス の関係-ポーター仮説の検証・,広島大学大学院国際協力研究科『国際協力研究誌』,印 刷中, 2007. (2)口頭発表 白川博章,金子慎治:中国における工業用水の経済的特性に関する研究,環境科学会2005 年会(2005年9月8日・9月9日)。 urban and 白川博章,金子慎治,常秒:アジアにおける水道事業の効率性比較に関する研究,環境経 済・政策学会2005年大会報告要旨集(2005年10月9日・10月10日,東京都新宿区), CD-ROM (2pages), 2006. 藤井秀道,金子慎治,馬奈木俊介:中国における環境効率改善の計測と評価:工業用水の 事例,第33回環境システム研究論文発表会(2005年11月3日・11月4日) 藤井秀道,金子慎治,馬奈木俊介,勝原健:中国鉄鋼業における資源環境に関する技術進 歩,第16回国際開発学会全国大会報告論文集(2005年11月2.6日・11月27日) 藤井秀道,金子慎治,馬奈木俊介:中国鉄鋼企業の環境効率の計測と評価・水資源とエネル ギー消費について,環境科学会2006年会(2006年9月4日-9月5日). (3)出版物 なし 研究成果による工業所有権の出願・取得状況 なし 目次 第1章 アジアの都市環境インフラ整備と官民パートナーシップの動向 1.はじめに 2.官民パートナーシップとアジアにおける動向 --・一-------- 3.水道事業における公営と民営の効率性をめぐる議論 --=--= 4.まとめ 第2章 アジアにおける水道事業の効率性比較 1.はじめに 13 2.研究の方法 13 3.結果 18 4.考察 20 5.おわりに 第3章 中国における水道事業の効率性比較 1.はじめに 23 2.中国における官民パートナーシップの動向 23 3.中国における水道事業の効率性比較・-I-- 26 4.結論 30 第4章 まとめと今後の課題 33 1.まとめ 33 2.今後の課題 参考資料 Appendix 1 Reforms and Appendix for service managing inAsia urban environmental infrastructure 2都市ごみ焼却施設建設の環境影響評価における住民の 情報ニーズに関する研究-ソウル市を事例として Appendix 35 --I-------一一---I-=--==----- 3中国における工業用水の価格弾力性の推計 Appendix4中国における環境効率改善の計測と評価:工業用水の事例------・ -I- 75 85 93 第l章アジアの都市環境インフラ整備と官民パートナーシップの動向 白川博幸 1.はじめに 現在、世界では約20%の人々が安全な水にアクセスすることができないといわれている (図1参照)。急速な経済成長を遂げている、アジア地域でも、世界平均と同様に2002年 時点で、約20%の人々が安全な水を得ることができないoまた、世界水ビジョンによれば、 毎年300-400万人が水に関連した病気で死亡しているといわれる。こうした原因の一つ は、急速に進む都市化に対して、上下得水道や廃棄物処分場など、都市環境インフラが不 足しているためである。 国連のミレニアム開発目標では、飲み水と衛生設備に関する目標が盛り込まれ、 2015 年までに、安全な飲み水と適切な衛生設備に関する目標が設定されたo東アジアおよび太 平洋州では、上水道についていえば、新たに接続する人数の目標値は、 4億6,500万人、 南アジアでは4億4,400であり、世界全体では15億7,000万人にのぼる。この目標を達 成するために必要な上水道-の投資額は、 (Hall and Enanuele 2006) 510億ドルとも1,020億ドルともいわれている a こうした巨額の投資需要を満たすため、伝統的な公共部門による活動の全部または一部 を民間セクターが担うことが検討されている。こうした事業形態は官民パートナーシップ (public McGradnahan 2003) 。官民パー トナーシップでは、民間からの資本調達と同時に、民間の経営ノウ-ウを公共サービス事 Private Partnership)と呼ばれる(Budds and 業に導入することで、経営効率が改善することが期待されている。しかし、経営効率が改 善するかどうかについては、様々な意見がある(Hall 以下、本章では、 いて述べる。そして、 andEmanuele 2006)。 PPPの形態について説明し、次に,アジアにおけるPPPの動向につ PPPに関する論点を整理する。その際、上下水道を中心に述べる。 図1安全な水へのアクセス率(2002) (注) 1人1日あたり最低20リットルの日常生活で利用できる安全な水が住居から1キロ以内の 距離に確保されている人口の割合。 (出所) World Development imidicators 2005 (CD-ROM) 1 2.官民パートナーシップの形式とアジアにおける動向 (1)官民パートナーシップの形態 官民パートナーシップは、参加する民間企業の関与度に応じ、さまざまな民活形態があ り、資産の所有者、資本投資の主体、経営リスクを負う主体、運営・修繕を担う主体が異 なる。ここでは水道事業を例に、 (a)サービス契約、 (e) BOT契約、 契約、 (d)コンセッション契約、 (b)マネジメント契約、 (c)リース (i)資産売却、の6種のPPPについて、 以下に説明する。 表1および図2に水道事業における官民パートナーシップの特徴を示す。 表1水道事業における官民パートナーシップの形式 サービス契約 マネジメント 契約 リース契約 コンセッション BOで 資産売却 資産の所有者 公共 公共 公共 公共 資本投資 公共 公共 公共 民間 民間 民間 運転資本 公共 公共 民間 民間 民間 民間 顧客との契約 上の関係 公共 民間が代行 民間 民間 民間 民間 民間資本の需 要 低い 低い 低い 向い 向い 向い 低い 低い 低い-中程度 一員い ー昂い 向い 低い 低い 低い-中程度 高い 民間セクター の財務リスク 民間/公共 民間 民間セクター の責任と自律 檀 運営.修繕 民間/公共 民間 料金設定 公共 公共 料金徴収 公共 公共 契約期間 1-2年 民間セクター 参入の主目的 3-5年 事業運転効率 運転、技術的 の改善 な効率の改善 民間 民間/規制監 督者 民間 民間/規制監 督者 中程度-高い 民間 民間 公共 監督機関 公共 民間 民間 民間 5-10年 20-30年 20--30年 運転、技術的 な効率の改善 民間資本の出 資呼びかけ、 および専門技 術の導入 民間資本の出 資呼びかけ、 および専門技 術の導入 (出所)古川(2005)を参考に作成 2 高い 無制限 民間資本の出 資呼びかけ、 および専門技 術の導入 (a)サービス契約 サービス契約とは、料金徴収、メーターの検針など、比較的軽微で専門的な技術を必要 としない業務を民間企業に委託する形態である。サービス契約における民間セクター参入 の主目的は、事業運転効率の改善である。 経営上のリスクは公共セクターにある。ただし、契約期間は、他の形態よりも短く、 年ないし2年の契約であり、契約期間が短いため、委託企業を変更することも容易である。 すなわち、委託企業が何らかの問題を起こした場合でも、そのことが経営に与える影響は 一般的には少ない。したがって、複雑な技術も必要なく、経営上のリスクも低いため、官 民パートナーシップの初期段階として適した形態であるといえる。ただし、水道事業全体 から見れば、その効果は限定的である。 (b)マネジメント契約 マネジメント契約は、サービス契約に民間企業の業務運営責任が追加された形態であり、 業務効率化に成功すればそのマネジメント能力に対する対価を民間企業が受け取れる一方、 失敗した場合には、ペナルティを課せられる契約となっている(古川2005)。民間セクタ ーは、資金調達などの財政的なリスクを負担せず、公共セクターがそうしたリスクを負担 する点では、サービス契約と同じである。ただし、契約期間はサービス契約よりも若干長 く、 3年ないし5年である。 (c)リース契約 リース契約とは、民間セクターが公有施設の運転業務を行うため、一定期間、公共セク ターから施設をリース(賃貸)するものである。公共セクターは、施設の所有権を持ち、 設備投資の役割を担うが、運転資金調達、利用者との契約、業務運営の責任などは民間セ クターが担う。 公共セクターは、民間セクターからリース料を徴収することによって、長期にわたり、 投下資本を回収することができる。他方、民間セクターは、利用者から徴収した料金から、 リース料と維持管理費を賄い、その残額が民間セクターの利益となる。したがって、民間 セクターは業務の効率化で維持管理費を削減できれば、それだけ利潤が大きくなるものの、 逆に、漏水や盗水などの無収水が増加するなどして運営費が増大して経営が赤字になった 場合には、民間企業がその責任を負うことになる。 契約期間は、サービス契約やマネジメント契約よりも長く、 5年から10年である。 (d)コンセッション契約 コンセッション契約とは、事業免許(経営権)を取得した民間事業者に施設の管理運営 が委託される方式である。委託を受けた民間企業は、コンセッショネアと呼ばれる。この 形態の特徴は、施設は公有であるが、委託期間中は、既存の施設の運営に加え、新規の設 備投資(能力拡張のための新規投資、既存設備の除去による更新投資)も、民間企業に委 託する点である。なお、契約終了時には、同一条件で、民間企業から公共セクター-、譲 3 1 渡・返還される。 コンセッション契約では、複数の事業者がサービスを提供することに経済的な合理性が なく自然独占が起こりやすい分野の事業に適相されることが多い。上下水道事業のほかに は、ガス配給などもこうした契約形態に適した事業である(国際協力機構国際協力総合研 修所2005)o コンセッション契約では、契約期間中に達成目標が設定される場合もある。例えば、ア ルゼンチンのブエノスアイレスでは、 5年間で一定額の投資を行うことが義務付けられた。 また、ボリビアのラパスでは、新規接続数が達成目標に定められたo また、利用料金につ いては、規制監督者の許可が必要なこともある。フィリピンにおいては、コンセッショネ アが経営難に陥り、料金値上げを申請したが、政府が不許可にしたため、水道事業を継続 することができなくなった。 (e) BOY (Build-Operate-Transfer)契約 民間事業者は新しい施設、設備取得のため自ら資金を調達し、建設(Build)、運転 (Operate)した後、契約期間終了時にこれを政府に移転・譲渡(Transfer)するもので ある。HallandLobina(2006)によれば、途上国におけるPPPの40%がBOT契約であり、 その40%が中国で行われている。 BOT契約の特徴は、公営企業が当該事業の裁量権を民間企業に付与し、設備投資に加え、 事業運営を20年から30年の長期にわたり、民間企業に委ねる点である(古川2005)。ま たBOT契約は、例えば、政府の借り入れや歳出が、世銀やIMFの条件などによって制約 を受けている場合、建設に民間セクターの投資を活用し、 30年間にわたってその企業に返 済を行うことによって、その投資に公的資金を拠出する時期を先延ばしすることができる という面も持っている(HallandLobina 2006)0 他方、民間企業にとっては、資金調達・設備投資を行う上、一定期間の経営責任を負わ なければならない。加えて、政治・経済的なリスクもある。そこで、こうしたリスクをコ ントロールすることが民間企業の大きな課題である。 BOT契約では、民間企業は浄水場や 下水処理場を建設する資金を投資し、発注者に対して、数十年にわたるテイク・オア・ペ イ契約によって、その利払いを含む資本投資の返済を保障させることもある。また、何ら かの理由で公共セクターが民間企業に対して支払いができなくなった場合は、中央政府が 返済を保証することが取り決められている場合もある。 (f)資産売却 資産売却は、公営企業が事業資産の全部または一部を、民間企業に売却する方式である。 コンセッション契約との違いは、資産の所有権が民間セクターにあることと、契約期間が 無期限であることである。民間企業は資産を取得できる反面、公共サービスである性格上、 経営に責任をもった上で効率化増進や普及率に対する一定の達成目標を義務付けられるの が通常であり、料金も規制機関の許認可を要する(古川2005)。 4 (a)サービス契約(b)マネジメント契約モデル (a)コンセッションモデル (c)リース契約モデル (e)BOT契約モデル (D資産売却モデル 売却資金 (2)官民パートナーシップの動向 図3に地域別PPPインフラ投資額の推移を示す。 計は、 160億ドルだったが、 1991年には、インフラ投資額の合 1997年には約1,200億ドルまで増大した。特に1995年か しかしな ら1997年の2年間にかけては、それまでの5年間の1.7倍の急増を見せたo がら、 1997年にアジア通貨危機が発生し、投資額は急速に減少した。 年の約60%まで減少した。その後、 2000年にかけて、一旦は回復するものの、 2003年には、 1997年の約40%にまで落ち込んだ。しかし、 以降、再び下落し、 1997 1999年には、 2001年 2003 年から2005年にかけて、再び、増加し、世界是体では2000年の水準に近いところまで 回復した。 地域別に見ると、アフリカや南アジアに対する投資は全体から見れば、ごくわずかで あり、主な投資先は、ラテンアメリカ・カリブ海諸国、東アジア・大洋州、欧州・中央 アジアである。 1990年代前半はラテンアメリカ・カリブ海諸国が最も多くのシェアを占 め、その後1990年代半ばには東アジアの割合が増加した。 1997年では、東アジア・大 洋州が32%、南米が43%を占め、両地域で全体の7割以上を占めた。しかし、これら の地域に対する投資は、アジア通貨危機で急激に減少した。近年、急速に投資額が増大 しているのは、欧州・中央アジアである。 2005年には、欧州・中央アジアは、全体の 37%を占めるにいたった。 次に、図4にセクター別の投資額の推移を示す。セクター別に見ると、 PPPで多くの 割合を占めているのは、情報通信セクターとエネルギーセクターであり、特に、近年で は、情報通信セクター-の投資が急増していること。 2005年時点で、実に62%が情報 通信セクター-の投資で占められた。ちなみに、エネルギーセクターは17%、交通セク ターは16%と情報通信セクターと比べると割合はかなり小さいことがわかる。 さて、ここで都市環境インフラである、上下水道の整備状況を見ると、わずか全体の 1.6%にしか過ぎない。図5に、上下水道セクターにおける地域別投資額の推移を示す。 この図から明らかなように、このセクターにおける投資のほとんどは、東アジア・大洋 州とラテンアメリカ・カリブ海諸国で占められていることがわかる。 東アジアにおける上下水道投資では、中国、香港、台湾、マレーシア、フィリピン、 タイ、ベトナム、インドネシアなどにおいて、実施されている。特に、中国-の投資が 多い(付表1参照)。進出企業を国別に見ると、欧米の多国籍企業の進出が著しく、アジ ア企業の中では、日本、香港、シンガポールの企業が進出している。また、事業形態の 多くはコンセッションもしくはBOTである(常・井村 2002)0 以上のことから、水道事業におけるPPPについて、以下の点が指摘することができる。 すなわち、ミレニアム開発目標では、安全な水を継続的に利用できない人を半減するこ とを目標とし、その手段として、民間参入が期待されている。しかし、 PPP導入の前提 は、コストリカバリーが可能な料金設定-移行することである(国際協力機構国際協力 総合研修所 2005)。しかし、投資先が偏っており、しかも、南アジアやアフリカなど 安全な水が必要な地域-の投資が少ない現状から推察すると、そうした条件を満たす地 域は限られているのではないかと考えられる。 6 lDサブサハラ・アフリカ ㌻ロ南アジア 】a中東・北アフリカ ラテンアメリカーカリブ海諸国 ヨーロッパ・中央アジア F■東アジア・大洋州 Ⅰ991 図3 1992 1993 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 地域別PPPインフラ投資額の推移(199ト2005) (出所)World 1991 図4 1994 1992 Bank 1993 1994 PPIデータベース 1995 1996 1997 1998 2000 1999 2001 2002 2003 2004 2005 セクター別PPPインフラ投資額の推移(199ト2005) (出所)world Bank PPIデータベース ロその他 ロラテンアメリカ・カリブ海諸国 ■東アジア・大洋州 1991 図5 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 上下水道への投資額の推移(199ト2005) (出所)World Bank PPIデータベース 7 2004 2005 3.水道事業における公営と民営の効率性をめぐる議論 水道事業における公営と民営をめぐっては、長く議論されてきた。こうしたこれまで の議論を分類すると、 (1)公共財、 (2)自然独占、 (3)人権、 (4)経済財、 (5)政府の失敗、の 5つに整理することができる(Budds この中で、 andMcGranaban 2003)。 (1)公共財、 (3)人権は、水が本源的な資源であることを踏まえ、効率性だけ でなく、公平性を考慮した配分方法を考えなければいけないという問題である。また、 (4)経済性は、受益者負担と公共の福祉をどのように両立するかという問題である。つま り、効率性の問題と特に関係するのは、 (2)自然独占と(5)政府の失敗、であろう。 自然独占とは、規模の経済性・範囲の経済性が存在するため、財・サービスを供給す る企業が1社ないし数社に限定される状態をさす。上下水道事業、電力供給事業は、そ の代表的な産業である。競争的な市場に比べて、独占市場では均衡価格よりも価格が上 昇し、いわゆる独占価格が形成されることがある。例えば、 BOT契約の際に、民間セク ターが需要を過大に予測し、公共セクターとテイク・オア・ペイ契約を結べば、行政が 負担するコストは増大する。 EallandEmanuele.(2006)は、中国の成都、藩陽、或い はマレーシアでこうした問題が実際に起きたと指摘している。しかし、こうした自然独 占を背景としたBOTないしはPPPの一般的な傾向というには、検討する必要がある。 また、政府の失敗についても同様のことがいえる。政府の失敗とは、経済のメカニズ ムの中で、政府主導の裁量的な経済政策が意図したような成果を上げられず、かえって 経済活動が非効率化することを指す。しかし、これについても実際に、どの程度政府の 失敗が起きているのかについては、公営企業と民間企業とで、経営の効率性を比較して みる必要がある。 つまり、水道事業における公営と民営における経営効率の比較については、公営が民 営よりも経営効率が高い場合も低い場合もありえるので、理論的な考察からは、決定で きないのではないかと考えられる。 4.まとめ 急速な経済成長を遂げているアジア地域では、都市化が急速に進展しており、その結果、 公共交通、電気・エネルギーだけでなく、上下水道、廃棄物処理施設などの都市環境イン フラが不足している。そのことが、都市環境を悪化させる大きな原因となっている。そこ で、これまで、公共の役割だと考えられてきた、インフラ整備についても法制度を整備し、 民間企業が参入が活発化している。 こうした民活路線はインフラ整備に関する資金調達手段であると同時に、経営効率を改 善することが期待されている。しかし、そのことは、必ずしも自明ではない。経営効率に 経営形態やその他の社会経済的要因がどのように影響しているかを検討する必要がある。 8 参考文献 Asian Development Sector (2000), Developing Bank Investment Best Practices for Promoting Private in Infrastructure, http ://www. adb. org/Documents侶ooks/Develop ing_Be st_Practice ly/de s/Ⅵなte r_Supp fault.asp. Budds a and McGranahan Experiences the point? A. and water Hall, invest Rossi Africa, Asia M. Emanuele, in water How M(2002) in Asia?乃e companies D.and from the debates on Latin and water privatization America. missing Environment and 15(2),87・113. urbanization Estache (2003) Are G. Woz:1dBaDk Pipe L.( 2006) services different ecoDOml'c dreams: in developing is the The efficiency rev7'ew, failure of public and 16(1), 139・ 148. of the private private sector to (佐久間智子(訳)民営化の恩恵 countries, という幻想:途上国の水道サービスに投資していない民間セクター, http ://www.wdm.org.uk/resources/reports/water/pipedreamsreportJPO 1032006.p df, p.54.) Mclntosh Paci丘c Mclntosh Bank, Vandana C. A. and Yniguez region・ Asian C. Development A.(2003)Asian London, Shiva (1997) E. C. water Bank, Second supply: water Manila, Reaching utilities data and 2 10pp. Philippines, the urban book.Asian Development poor,Asia p.137. (2002) water wars: Privatization, pollution and profit, South End (神尾賢二訳(2003)ウオーター・ウォーズ:水の私有化、汚染そして利益をめぐっ て,緑風出版,東京, p.245) 国際協力機構国際協力総合研修所(2005)途上国の開発事業における官民パートナーシッ プ(Public・Private Partnership)導入支援に関する基礎研究,独立行政法人国際協力 機構国際協力総合研修所,東京, p.178. 世界水ビジョン川と水委員会(2001)世界水ビジョン,山海堂,東京, p.138. 常秒,井村秀文(2002)アジア都市環境インフラ整備における海外直接投資に関する調査 研究, enviroscope.iges.orjp/modules/envirolib/upload/18/attach/UE2_3004.pdf 古川茂樹(2005)持続可能な上下水道セクターに向けた民活の役割一中南米のケースー, 開発金融研究所報, No.23, pp.4154. 9 Press 付表1 アジアにおける環境インフラ市場の海外直接投資プロジェクト(上下水道分野) 地方自治体 国別 プロジェクト名 海外企業 (国内業者) 広州市水供給.廃水 処理プラント レムナ.インターナ ショナル(栄) 広州市 プロジェクト内容(投資額、 期間、規模、契約形態) 住宅廃水処理能力40万トン/ 日増加1億2100万ドル合弁事業 契約 広州トンネル開発公司 広州市西朗下水処理j; アメリカ地球公司 (栄) 広州市 3つのパイプライン事業と日 処理量20万トンo投資額10億元 20年プロジェクトファイナンス で建設する下水処理場(中国 初) 広州市トンネル開発公司 天津市浜海新区下水 処理,海水淡水化プ 夫津市 既存下水処理場の運営管理、 下水処理、中水利用、海水淡水 化;4箇所新たな下水処理場の 建設○処理規模:40万トトン/ ドイツベルリン水素 公司(ドイツ) ロジエクト 日合弁会社設立:ドイツベルリ ン水務公司(出資金:51%) 天津市開発区投資公司、 天津市開発区新水源公司 藩陽市給水設備 中国 煙台市給水プロジエ クト チャイナ.ウオー タ-.カンパニー-ハ イダー社(英).テマセ クホールディングス社 (香港) 同上 江蘇省南部17水処 CⅠTⅠCパシフィック 理プラント 社(香港) 藩陽市 2500万ドル合併プロジェクト 地元パートナー 煙台市 2000万ドル 1億4000万ドルプラント改 修、サービス料金体系変更 で高収益率を期待. オーストラリア企 Wanjiazhai水系多 角化プロジェクト 莱(右記とのコン ソ-シアム 中国山西省 3つのトンネルと2つのポ ンプ場建設24億ドル、世銀 資金提供有り2001年完成 中国山西省 建設工事世銀資金提供有り 2001年完成 北京市 50万トン/日2億ドル20年 最大規模BOT 北京市経済開発区政府 処理量2万トン/日北京初 外資による下水処理場の建 読.運営投資額3200万元 (自己資本2600万元.政府 より土地使用権600万元) 20年間BOT契約 Mayreder社)& Alpine社(米) 上海トンネルエン ジニアリング社 (中国) 同上 ⅠmpregiloSPA社 (伊)とCMC社(カ ナダ) 北京第十浄水場プ ロジエクト 北京経済開発区下 水処理場 AnglianWater Ⅰnternationa1社 (英)、三菱商事 北京市金源環境保 護公司(米) (出所)常・井村(2002) 10 付表1アジアにおける環境インフラ市場の海外直接投資プロジェクト(上下水道分野) 地方自治体 国別 プロジェクト名 海外企業 (国内業者) 上海ダ.チエンプ ロジエクト 四川成都大量水供 給プロジェクト 上海浦東地区水供 給管理運用プロ ジエクト 海南島三亜市三ケ 所飲料水調整施設 運営.保守 プロジェクト内容(投資額、 期間,規模、契約形態) ThamesWater社 (英)BoVis社 上海市 BOT ViVendi社(仏) 成都市 40万トン/巳BOT 上海市 120万トン/日55万人の飲 料水供給2.66億ユーロ50年 合弁事業 海南島三亜市 23万トン/日30年Ondeo SerVices社は約39億円投資 予定合弁事業 香港水資源供給部 上下水道施設地図作成100 万ドル1998年終了 ViVendi社sbangbai Pudong ViVendiWater Corロ. OndeoServices社 (仏)Sin°-French WaterDeVelopment HainanTianya WaterⅠndustry HoldingCo,社 (海南島) 香港 サービスや施設管 理の改善のための プロジェクト インドネ シア Camp工)resser& McKee ⅠnterⅠ1ationa1Ⅰnc. (CDM)(米) 地方水道衛生プロ AntahBwater社 (英国とマレーシ グラム アのジョイントベ 6億4000万ドル1992年完成 ンチャー企業) マレーシ ア 下水処理サービス UnitedUtilities ⅠndahWater 事業 plc社(英) Konsortium(ⅠWK)社 サバ州水道水供給 委託契約 ジャカルタ東地区 上下水道サービス の普及率の改善 リヨネ-ズ.デ サバ州政府 Timacb社 25年水道事業民営 化計画(東部) ソ一社(仏) テムズ.ウオーター 社とリヨネデゾ社 ジャカルタ東地区水道 公社 Ⅰnternationa1 MetropolitanWaterwor WaterLtd.(英米 合弁)新たな企業 体(ManilaWater) ksand SewerageSysteⅡ】s 下水システムの改修.運営 投資総額18億ドル28年委 託契約 水道処理能力4万トン/日 及び拡張プログラム 25年のコンセッション計画 460万人対象東西両部で70 億ドル25年水供給業業 AValaCorp.(マニラ) Metropolitan Ⅶaterworksand Lyonnaisedes フィリピ ン 25年水道事業民営 化計画(西部) 水供給及び廃水処 理計画(企業化調 査) (読) SewerageSystems EauX(仏)新たな 企業体 BenpresLyonnais BenpresHoldings Waterworkds Corp.(マニラ) 25年見積り投資総額25-40 億ドル最初の10年で年間2 億ドル収益見込む供給事業 Operations Manaement Ⅰnternationa1社 カグイテ地方政府 (米) (出所)常・井村(2002) ll 企業化調査計画の費用総 額:5億ドル 付表1 国別 (続) アジアにおける環境インフラ市場の海外直接投資プロジェクト(上下水道分野) プロジェクト名 海外企業 地方自治体 プロジェクト内容(投資額、 期間,規模、契約形態) (国内業者) ラグナ県上水道施 設取替え(第Ⅰ バンコク首都圏の 廃水処理プラント NakohnRatchasima 給水システムの拡 張 Yannawa廃水プラ ント バンコク首都圏廃 水管理プロジエク ト ラグナ県AAAWater 政府30% Corporation社 MontgomeryWatson バンコク公害規制局 Asia社(香港) Metcalf&Eddy NakohnRatchasima政 Ⅰnternationa1社 (米) 府(Bangkok北東250キ ロ) タイ国内パートナー パトウム.タ二ラ タイ シン水道プロジエ クト バンコク都心10地 区総合下水収集処 理施設(第一次) 計画作成及び建設契約20万 人の需要に対応する計画 バンコク都市行政局 (MA)" 処理能力20万トン/日建設 管理技術支援 CaⅢpDresser& タイ公害規制局 チャオプラヤ川やThaChin McKee MacroConsultantsCo.L Ⅰnternationa1 td.(バンコク) 川の水質改善期待350万ド ル1997年完成 Metcalf&Eddy社 バンコク市 同上 廃水課徴金制度. ユーザー料金制度 整備の為の研究 16kmの配管取り替え40kmの 配水管新設深井戸ポンプ バンコクとその周辺都市の 下水処理大中規模6プラン ThamesⅦater社 (英) NortbWestWater Ⅰnternationa1社 (英)OTV(仏) 首都圏水道公社 ChKarnchange社(タ イ) バンコク首都行政府 Sin°ThaiEngineering& Constructlon社siamSyntech社共同企業体 バンコク初の廃水料金制度 に向けての研究 浄水.廃水システムの開発 38万トン/日運営契約25年 施設(処理量35万トン/ 日)設計.建設2億6000万 ドル1993年9月契約38ケ月 の換業ターンキー方式 NOSS SamsumgEngineerin .社(韓国) PateEngineers, バンコク首都行政府 CVilEngineering社 (タイ) バンコク首都行政府 Lockwood,Andrewsa PremierEngineering ndNewnam,BRH- (タイ) 現在未定 タイ政府 工業団地排水集中 処理施設 ThamesWaterlntern タイ工業団地公社 ホーチミン市ツー ドック区水道事業 HCMC水環境改善プ Sezu社(仏) (oNDEO社)pilcon (パシフィックコ ロジエクト ンサルタンツイン 同上(第二次) 同上(第三次) g&ConstructionMfg 1億8000万ドル(1996年) サムトプラカルン 大規模プロジエク 1997年決定ターンキー方式 ト ationa1(英) BerliJucher(タイ) ホーチミン市給水社 ホーチミン市 工業団地の排水集中施設 5600億ドル5年 水供給事業.買取はホチミ ン市人民委員会が保証.財 TauHu-BenNghe運河部分 改修、豪雨時用放水路の改 SuezuLyonnaise ベトナム HCMCThuDucmizu desEauX社(仏) 70%Tractebe1社 水処理プロジエク (ベルギー)20% ト Pilecon ホーチミン市人民委員 ∠ゝ Eヨ Engineering社(マ レ-シア)10% (出所)常・井村(2002) 12 日量30万トン上水処理場及 び26kmの配水管敷設25年 間初のBOT契約 第2章 アジアにおける水道事業の効率性比較に関する研究 白川博章・金子慎治・常秒・井村秀文 1 .はじめに 現在、アジアでは32%の人々が都市に居住し,都市人口は年々増加 する傾向にあるo アジアの発展途上国では急速な都市化と政府の財源 不足が原因となり、都市環境サービスが十分供給されているとはいえ ない。そこで,伝統的な公共部門による活動の全部または一部を民間 セクターが担うことが検討されている。こうした事業形態は官民パー トナーシップ(Public McGradnahan Private Partnership)と呼ばれる(Budds and 2003)a 官民パートナーシップには民間企業の関わりが少ないものから完 全な民営化まで様々な形態があるo 水道事業で代表的な官民パートナ ーシップとしては、民間の関わりが少ないものから順に、メーターの 読取と料金徴収サービスの民間委託、水道事業経営を一定期間民間企 業に譲渡す McGradna血an る コ ンセ ッ シ ョ どが ン契約な あ る(BⅦdds 2003)0 都市環境サービス事業におけるこう した公的部門と民間部門の協 力関係は、資金調達面だけでなく、事業体の運営効率も改善すること が期待されている。しかし,官民パートナーシップが経営の効率を改 善するかどうかについては、先行研究の中でも見解が分かれている。 本研究では、 DEA (Data Envelopment Analysis:包絡線分析)を 用いてアジアの都市における水道事業の効率性を評価し、官民パート ナーシップが事業の効率性改善に寄与するかどうかを検討した。 2.研究の方法 (1)アジアにおける水道整備の状況 アジア開発銀行の試算によれば、アジア太平洋地域では、インフラ 整備に対して年間約2,000億ドル必要であるが、実際にはその10%弱 しか投資が行われていないl)。したがって、アジアではインフラを整 備することが大きな課題となっており,上水道の整備もその一つであ る。 一般に安全な水を供給するという観点から、上水道は下水道に先行 して普及する。アジアでは、上水の供給もまだ不十分な地域は少なく ない。表1と図1に1995年のアジアの都市における上水道の普及率 13 and と水の供給状況を示す。韓国および中国の太平洋沿岸の都市では、 24時間である。 1995年時点で普及率はほぼ100%で利用可能時間も しかし、東南アジアおよび南アジア諸国は、インフラ整備の途上に あるo 例えば、ジャカルタでは普及率は27%であり、利用可能時間は 18時間であるo ぞれ100%、 またインドのムンバイ、チェンナイでは普及率はそれ 5 97%であるが、利用可能時間は 時間、 4時間と非常に 質の低いサービスしか提供できていない。 表1 普及率 (%) バンドン 42 バンコク 82 北京 コ 1995 アジアの主要な都市における上水道の整備と利用の状況. 利用可能時間 24 120 265 24 58 ンボ (liter/eapita/day) 6 100 ロ 水消費量 (hours/day) 96 22 165 デリー 86 ダッカ 42 17 95 ハノイ 76 18 45 100 24 1 12 ジャカルタ 27 18 1 35 カラチ 70 4 1 57 カトマンズ 81 6 91 マ フ 67 17 2 02 ムンバイ 100 ソウル 100 24 209 上海 100 24 143 シンガポール 100 24 183 99 24 262 香港 ニ 台北 出所: Mclntosb and Uniguez 4 5 (1997). 14 2 09 1 78 園1 (出所) アジアの都市における上水道普及率と利用可能時間 Mclntosh andYniguez(1997)より作成o (2)事業体の効率性評価に関する研究 これまで、水道事業における官民パートナーシップが経営効率を改 善するかどうかをめぐって、理論と実証の双方から活発に研究が行わ れてきたが、先行研究の間で結果は必ずしも一致していない。例えば、 Bhattachayya etal.(1995)では米国の水道事業を対象としてDEAを用 いて民間委託を行っていない公営の事業体とそれ以外の事業体との 効率性を比較したところ後者の方が前者よ り も効率的であるという 結論を得たoしかし、同じ米国を対象とした研究でも、SFA(Stochastic Frontier Analysis)を用いたByrnes(1991)では、両者の間に効率性の 違いは認められなかった。 DEAは、主にオペレーショナル・リサーチの分野で発展した,ノン パラメトリ SFAは経済学で発達してき ックな分析方法である。他方、 たパラメトリ と比べ SFA ックな分析方法である。 DEAは、関数型を 事前に特定する必要がなく、また、複数のアウトプットを容易に扱え ることが利点である。しかし、その半面、 SFAと比較すると観測誤差 などによって効率性が影響を受けるという問題がある。DEAの長所は SFAの短所であり、 SFAの長所はDEAの短所である。したがって, 両者の結果は必ずしも一致しないことが知られている(中山 2003)。 また、水道事業の効率性に関する研究は、主に欧米を中心に行われ、 発展途上国における評価はまだほとんど行われていない。発展途上国 を対象と るo Estacbe した数少ない研究の1つに Rossi and この研究では、アジアの水道事業を対象に、 (2002)があ SFAを用いて、民間 委託を行っていない公営の事業体とそれ以外とで事業にかかる経費 が異なるかどうかを検証したが、両者の間に統計的に有意な差は認め られなかった。しかし、 SFA と DEAでは評価結果が異なることがあ 15 るため、 DEAでも検証する必要があるo 本研究では、代表的な効率性評価手法の1つである、DEAを用いて、 アジアの発展途上国における上水道事業を対象に、事業体の効率性を 比較した。次にその効率性評価値を被説明変数とし、事業体の種類や 人口密度など、経営に影響する要因を説明変数とする回帰分析を行い、 効率性に影響を与えている要因を検討したo (3)分析方法 分析に用いたデータは、アジアの13カ国50都市の水道事業体を調 査した、 Mclntosb Yniguez(1997)を用い,欠測値のない42都市 and を対象に分析を行ったo 本研究では,まず DEAで効率性を評価し、次にその効率性評価値 を被説明変数数とする回帰分析を行い、効率性に影響を与えている要 因を検討した。 DEA 1) 本研究では、最も基本的であり、かつ、規模による収縮を認めない ため厳しい評価結果となる、 CCR デルを用いて分析を行ったo ここで、 ンデックス、 ンデックス、 j を事業者のイ (Char血es,Cooper iを評価対象の水道事業者のイ Ⅹ 浄化施設容量、管理運営費)、 y ける重みを 産出につける重みを ると、今、 の場合、 vk(k-1,2,-・m)、 m個の投入要素と Rb_odes)モ and を投入要素(労働者数、 を産出要素(1日給水量)、投入につ ur(∫-1,2,・-s)とす s個の産出要素があり、事業者の数が n CCRモデルは以下の式で表すことができる。 Max e=ulyuW VIXli St. (1) +v2X2i β= ulylj +u2y2j +‥ ●+usyg・ ≦1 VIXlj v≧0 +'''+VmXml・ +V2X2)・ (j=1,2, +● ''+vmxm)I -・, n) 〝≧0 このモデルでは、最適なβの値は、 1から oの間の値をとる DEAは投入、産出要素が少ない場合には図形的な判断が可能である。 図2は1産出2投入の場合の図解である。効率性フロンティア上の要 素が最も効率的とされ、非効率の要素はこのフロンティア線上に乗る 16 2)0 ように投入と産出を改善するo すると要素 Aの効率性は OP/OAで表 されるo 投 入 2/ 産出 投 入1/ 産出 Aの効率性-,= ()A 図2 CCRモデルにおける効率性 本研究では、産出要素は,1日給水量としたo投入要素については、 生産は、労働、資本、その他の投入要素から行われていると考えられ るが、資本に関してはその一部分である浄化施設の容量しか入手でき なかった。そこで、労働者数、浄化施設容量、管理運営費(Modell) の場合と、と労働者数、管理運営費(Model 2)の 2つモデルを用い て分析を行ったo 2)ト-ビット分析 次に、 DEAで評価した効率性の違いがどのような要因によるかを以 下のト-ビットモデルで計測した。 ・c.I I$ A?jS・j・ ・f∑1jS.,-'O <1 ・fO<∑1,S., J o・・ - (2) ・8i J +ci ≧1 ・f∑1,・S,,・ j ただし、 ♂:効率性評価値 S,j i.i 8,i :説明変数 :推計パラメータ(jは説明変数のインデックス) :誤差噂てN(0,q2) ト-ビット分析を用いたのは、効率性値がoから1の間しかと 17 らな いためである。 説明変数と しては、所得水準(1人あたり GDP)、人口密度、漏水 や盗水など無収水の割合、処理の種類(ダミー変数、塩素のみの簡易 処理-1)、コンセッションまたは運営委託(ダミー変数)、料金回収・ メーター読取の委託(ダミー変数)としたo 果 3.結 表2に 評価は、 DEAによる効率性評価の結果を示す。 0から1までの間であり、 DEAによる効率性の 1に近づくほど効率的であること を示している。また、表3にト-ビット分析による効率性に対する影 響要因分析の結果を示す。 まず、効率性評価結果ではModellと 42事業体のうち18である。 Mode12で同じ値を示したのは、 Modellの平均値が0.27、 あり、投入要素から施設容量の要素を取り除く Mode12が0.22で と,評価結果が低くな る傾向が見られたo また、 Modellでも Mode12でも効率性評価が高い値を示したのは、 ダッカ(バングラディシュ)、ウルサン(韓国)、ホーチミン(ベトナ ム)であった。ただし、今回の分析では、水道の供給量のみを産出要 素としたため、水道水の質などサービスの質は考慮していない点に注 意が必要であるo 次に、効率性に対する影響要因分析の結果については、両方のモデ ルにおいて90%水準で統計的に有意な値を示したのは、集金・メータ ー読取に関する委託であり、この事業体では、他の事業体よりも効率 性の評価値が高い傾向があるo 42の事業体のうち9箇所が集金・メー ターの読取を民間に契約をしている。ちなみに、コンセッションおよ び運営契約は8箇所であり、係数の値は正を示したが統計的に有意な 値ではなかったo また、Modellでは塩素のみの消毒をしている事業体は、比較的効率 性が高いことを表しているが,これは、簡素な処理であるため通常の 処理をしている事業体に比べ運営管理費が少なくなっていることが 原因だと考えられるD その他の要因については、無収水の割合は運営管理費を上昇させる 要因であり、係数の値はマイナスを示しているが、統計的に有意な値 ではなかった。人口密度は、人口密度が高いほど効率性が高いことが 予想されたo なかったo 係数の値はマイナスを示したが、統計的に有意な値では l人当たり GDPの係数も統計的に有意な値は得られなかっ 18 たo GDPと効率性の関係では、 GDPが高くなるほど高い技術が利用可 能であるが、その反面、質の高いサービスの提供が求められると考え られ、係数の符号は正も負もありえる。 表2D EÅによる効率性評 効率性値 匡l名 者l市名 Modell Mode12 萱Bangladesh ChittaE○ng 0.134 0.l34 圭Ban由d○sh E}haka 1.00() 1.000 至8utan Thimphu 0.107 0.107 ≡Cambodia 三China PhcmPenh 0.156 0.l56 8eiiing 0.002 0.001 喜China 壬China Tjartiin 0.003 0.001 Shanghai 0.008 0.004 !印iLshnd 喜H○ngK○n8 Suva 0.077 0.074 H○ngK○∩g 0.003 0.003 1ndja MtJTIbai 0.005 …]ndia ;lnd;a Delhi 0.005 0.002 0.002 Bandung 0.471 0.471 …[ndia C&lcLJtta 0.004 ≡ーnd○n○sia MedJLn 0.010 0.509 0.575 ≡Ⅰnd○n○sia 0.509 ;Kazakstan ALrnaty 1.000 0.575 0.405 章Kcrla Se○uI 0.005 0.003 童K○柑a Ulsan 1.000 1.000 享KyrEyZ Bishkek 0.647 0.647 …La. Vientjanc 0.08l ≡Ma)aysja Jch8rBahru 0.521 0.081 0.521 …Mahysia 妻Ma[aysiさ P●nang 0.734 0.734 KualaLurnpur 0.754 0.754 享MaJdiVes ≡Myarmar Male 0.039 0.019 Mandalay 0.440 0.203 K由hnandu 0.041 0.036 …pJ)kistan Karldー; 0.003 0.001 …PakistzLn Faisalabad 0.056 0.056 ≡PapuaNewGunea La匂 0.171 0.089 三Philippirws Dava○ 0.149 0.149 ≡PhiJippines Cd)u 0.327 ≡PhilippirleS ≒Sir嶋aP○柑 Mani一a 0.004 0.143 0.002 Singap○柑 0.003 0.002 童S○I○m○れⅠShnd 妻SriLanka H○niara 0.483 Cd○mb○ 0.288 0.288 0.047 Taipei Taipei 0.004 0.002 …Tha‖and Chiangmai 0.165 0.005 圭Thailand ≒Thailand Bangkok 0.004 0.002 Chonburi 0.174 0.009 …Uzbek;stan …Vietnam Taskent 0.007 0.003 H○ChiMinh 1.000 1.000 ;Vietnam Han○i 0.154 0.154 0.270 0.224 -▲一J _:Nepal 平均 佳 効率性 3 _ に対する影響 Model 1人当たりGDP(対数) 人口密度(対数) 無収入水率 塩素消毒のみ(ダミー変数) I Model -0. 053 (-1. 15) (-1. 18) -0. 009 -0. 021 (-0. 18) (-0. 43) -0. 004 -0. 002 (-1. 19) (-0. 49) * 0.263 (1. 98) コンセッションおよび運営委託 (ダミー変数) 集金・メーター読取委託 (ダミー変数) 定数項 0.077 (0. 62) 0. 159 0. 17() (1.22) (1. 38) 0.263 (2.00) 0. 756 (1.ll) * 0.295 (2. 38) 0. 740 (1.15) 42 sample数 Log 2 -0. 055 likelihood -15. (注)カツコ内の数字はT僅を示し、 ''は95%水準、 でそれぞれ統計的に有意な値であることを示す。 19 89 42 -13.02 ●は90%水準 ** 4.考 察 本研究では、 2つのモデルで検討したが、いずれの場合でも民間企業に 集金・メーターの読取委託を行っている事業体の効率性は比較的高いとい う結果を得た。したがって、集金・メーターの読取契約はサービス提供に かかる費用を低下させる働きをしているのではないかと考えられるo他方、 コンセッション契約の場合は係数の値は正を示したが,統計的に有意な値 ではなく、経営の効率改善に寄与しているとまではいえないo 集金・メーターの読取契約は、いわゆるサービス契約であり、その契約 期間は、通常、数年間であり、委託内容は、他のサービスと比べると高い 技術は必要としない。その結果、企業の参入も比較的容易であり、競争原 理が働いている可能性がある。その結果、集金・メーターの読取契約は、 一般的に経営の効率化に改善しているのではないかと考えられる. 他方、コンセッション契約の場合は、サービス契約と比べると、業務の 範囲が広く、様々な地域の事情に影響を受け、経営の効率性が公営に比べ て高いとは一概にいえないのではないかと考えられるo 例えば、コンセッ ション契約とはいえ、水道事業は公共性が高いため、地域によっては、雇 用創出の役割を担っており、余剰労働力があるのではないかと考えられる。 さらに、例えばマニラのように、施設の老朽化で漏水問題が発生している など、民間企業が公共から委託を受けた施設に問題があり、そのことが経 営の効率性に影響していることも考えられる。 ただし、今回の分析ではサービスの質的側面を考慮していないため、官 民パートナーシップがサービスの質も向上させているかどうかは不明で あり、今後の検討課題である。 5.おわりに 本研究ではDEAを用いてアジアの都市における水道事業の効率性を評 価した。その結果、業務の効率化に集金やメーターの読取に関する民間委 託が効果的であることが示唆されたo しかし、官民パートナーシップが、 一般的に経営の効率性を改善することについては、結論が留保された0 政府の財源が不足するなか、官民パートナーシップは、新しい資本獲得 手段、および経営効率の改善手段として、期待されている。しかし、水道 事業は、公共性が高く、効率性だけでなく、公平性も求められている。し たがって、公共から民間に経営主体が変更するだけでは、地域の事情によ っては、必ずしも効率性は変化しないのではないかと考えられる。 今回の分析では、データの制約上、社会経済的にも地理的にも異なる事 業体を対象に行ったo 今後は、対象地域を絞ってデータを収集し、再検証 20 する必要がある。 注記 1)JBIC(2005.3.16更新)東京セミナー報告書「東アジアのインフラ整備: そ 進 前 の 向 に 07press/pdf_fy2004/ け て」 <www.worldbank.or.jp/04data/ 20040123 2006.5.1参照 _000.pdf>, 2)このモデルでは、仮想的に考えられた総投入と総産出の比を全ての事莱 体の生産活動において、 で、 1以下になるようにモデル化されている。その上 i番目の事業体の効率値を最大化するように重みvkと urを決めてい る。CCRモデルはこのウェイトの掛け方を0から-までとしたモデルで、 規模による収縮を与えないため、評価としては厳しくなる。 参考文献 BⅦdds J McGranaban and privatization Latin A., E., Allocative Hedonic Cost 35(3), (1991) Estimation Selectivity Bias Ownership G. ed, Rhodes, London, Estacbe public book. R. Function Asia K. and Nevada Raffiee Systems. Water Approach. and 87・113. 15(2), Narayanan Rural of Africa, water JoLtrBal A Regl'oBal of of Cost in in Efficiency and "Advances Frontiers of Econometrics", the Water Presence of Utilities. JAI pp.121-37, In: Press, UK. A. Rossi and private and ecoDOm)'c Mclntosh from on 485・501. P. Byrnes, debates the uz・baBjzatl'oB Harris, Efficiency Shadow Sc)'eBCe, and T.R. Are Experiences point? EBV)'roBmeBt Bhattacharyya, (1995) the missing America. (2003) G. Asian Pbilippines, A. and and Yniguez Pacific How M(2002) water 16(1), L・eVl'ew, C. M. companies different in Asia? is the TAe efficiency Woz・1d of BaBb 139・148. E. region. C. (1997) Asian Second Development 210pp. 中山徳良(2003)日本の水道事業の効率性分析.多賀出版,東京,pp.141 21 water utilities Bank, data Manila, 22 第3章 中国における水道事業の効率性比較 白川博章 1.はじめに 中国では、 1990年代後半から都市環境インフラ整備事業の強化を目指している。特に、 第10次5カ年計画では、都市インフラ整備目標を掲げ、それを達成する手段として、民 間部門の参入で資金調達・公共サービス-の市場メカニズムの導入が図られている(常・ 井村 2002)。水道事業もそうした事業の一つであるo 中国の水道事業では,近年、 BOT方式、或いは、コンセッション方式によるPPPが進 められ、水道普及率の向上や、経営効率の向上が期待されている。 これまで、中国におけるPPPについては、契約形態などについては、幾つか報告が行わ れてきた(博ほか2004)。しかし、伝統的な公共セクターによる経営とPPPを導入した 場合とで、効率性がどの程度違うかについては、検討されていない。 そこで、本研究では、中国における水道事業の効率性を比較するとともに、効率性に影 響を与えている、社会経済的要因を検討することを目的とする。以下では、まず、中国に おける官民パートナーシップの動向について述べる。そして、次に水道事業体の効率性比 較の分析結果について述べる。 2.中国における官民パートナーシップの動向 表1に、中央政府におけるPPPに関する主な改治と法制度の変遷を、表2に地方政府 におけるPPPに関する法整備の変遷を示す(1)0 中国において、 PPPが本格化するのは、 2000年に出された第10次5カ年計画以降で ある。中国では、水資源の利用・開発に関しては、 「水法」に定められている。水法は 1988年に施行された。その時点では,水資源の所有権は国家に帰属し、公的機関が使用 権を行使することを定めている。また、取水については、取水許可証を発行し、量的管 理を行うことを定め、取水権の売買は認めていなかったo 当時は、水資源の管理に市場メカニズムを活用することは消極的であった。しかし、 第10次5カ年計画では、大きく方向転換し、市場メカニズムを活用し、効率的な資源 配分を行うことが掲げられたoこの背景には、 1990年代後半には、急激な経済成長や都 市化の影響で、都市の水不足が顕在化してきたことがあげられる。特に、黄河流域では、 表流水がなくなるいわゆる「断流現象」が1990年代には,毎年のように起きており、 節水対策が緊急の課題となったo特に、 1997年には、黄河の河口から上流700kmにか けて断流現象が発生し、大きな社会問題となったo そこで、水浪費の原因の一つと考え られていた、低い水料金が、段階的に引き上げられることになった。また、2002年には、 水法が改正され、水権の取引を認め、市場メカニズムを利用した管理が導入されたo 23 PPPに関する法 他方、政府の財源不足を背景として、インフラ整備を促進するため、 整備も本格的に開始した。まず、建設部が、 2002年に「市政公共サービス事業市場化促 進強化に関する意見」を公布し、民間セクターの公共サービス事業-の参入を促進する ことを表明した。 また、地方政府によるPPPに関する法整備も2003年以降、活発化している(表2参 照)o 2003年には、北京市が「都市インフラ整備特許経営弁法」、河北省が「市政公用使 「市政公 用特許経営弁法」を制定した。また、地方都市である、済南市や深セン市でも、 PPP 用事業特許経営弁法」が制定されたoこの法規では、対象とする公共サービス事業、 の形態、事業者の資格、契約違反の場合の措置、などが定められている。 内容は、ほぼ同じであるが、若干の違いもある。例えば、 PPPの形態について、北京、 河北省、貴州、済南では、 BOY(Build・Operatc・Transfer)、 TOT (Transfer Transfer)、その他の形態と幅広く認めているが、新彊ウイグル自治区では, に限定しているなどである。 表1中央政府におけるPPPに関する主な政治と法制度の変遷 1988年 水法施行 2000年 第10次5カ年計画発表 2002年 水法改正 市政公共サービス事業市場化促進強化に関する意見(建設部) 2003年 行政許可法 2004年 市政公共サービス特許経営管理弁法(建設部) 投資対策価格の決定(国務院) 2005年 第11次5カ年計画発表 市政公共サービス事業監督強化に関する意見(建設部) 表2 地方政府におけるPPPに関する法整備 事項 午 2003年 北京市都市インフラ整備特許経営弁法 河北省市政公用使用特許経営弁法 済南市(山東省)市政公用事業特許経営弁法 深セン市(広東省)市政公用事業特許経営弁法 2004年 貴州省市政公用事業特許経営弁法 2005年 新彊ウイグル自治区市政公用事業特許経営条例 24 Operate BOT、 TOT 次に、 PPPによるインフラ投資の状況を以下に記す。図1にPPPによるインフラ投 資件数を、図2にPPPによるインフラ投資額を記す。まず,件数、金額の合計について 2000年以 は、アジア通貨危機が起きた1997年をピークとし、その後、急激に減少し、 降,やや横ばいないし、増加基調で推移している。セクター別に見ると、件数では、エ ネルギー、上下水道が比較的多く、特に、上下水道は近年、増加傾向にある。しかし、 投資額ベースで見ると、全体に占める上下水道の割合は比較的少ない0 なお、 1990年から2005年に計画された上下水道に関するPPPプロジェクトは、 件あり、うち50件がコンセッション契約であり, 53件が新規事業(BOTなど)、マネ ジメントもしくはリース契約は4件、資産売却は2件であった。 80 70 60 50 撃40 30 ずす♂ぜ♂ぜぜ♂ずずぜ♂♂♂♂♂ 図1 PPPによるインフラ投資件数の推移(1990-2005) (出所) world 1 Bank PPIデータベース 16 0 億14 ド ノレ12 10 ■上下水道 ロ交遠 田通信 G5エネルギー す♂ず♂♂ぜ♂ぜぜ♂♂♂♂♂♂ 図2 PPPによるインフラ投資魚の推移(1990-2005) (出所) World Bank PPIデータベース 25 109 3.中国における水道事業の効率性比較 次に、水道事業の効率性を以下の方法で評価し、また、効率性に影響を与える要因に ついて、検討した。 (1)分析モデル DEA 1) CCR 分析モデルは、第2章と同様に、 分析を行った。ここで、 (Cbarnes,Cooper Rhodes)モデルを用いて and iを評価対象の水道事業者のインデックス、 jを事業者のインデッ クス、 Ⅹを投入要素(水道管延長,浄化施設容量、労働者数、管理運営費)、 yを産出要素 (1日給水量)、投入につける重みをvk(k=1,2,-m)、産出につける重みをur(r=1,2,- s)とすると、今、 m個の投入要素とs個の産出要素があり、事業者の数がnの場合、 CCR モデルは以下の式で表すことができるo u-れ十〟2γ2J…+"孤 8= Max VIXli St. β= +V2X2i ulylj +u2y2)・ VIXlj v≧0 +V2X2j (1) +'''+VmXm,・ +''●+usyQ ≦1 +'''+vmXmj (j=1,2, -・, n) 〟≧0 2)ト-ビット分析 次に、 DEAで評価した効率性の違いがどのような要因によるかを以下のト-ビットモデ ルで計測した。 --二: -三≒_I-_-_L-_Ill ただし、 β :効率性評価値 S,j :説明変数 A,I :推計パラメータ(jは説明変数のインデックス) c.i ‥誤差項.8,,・ N(0,q2) - 説明変数としては、所得水準(1人当りGDP)、人口密度、内陸(ダミー変数、内陸-1)、 PPP事業体(ダミー変数)、とした。 26 (2)データ 分析に用いたデータについては、以下のとおりである。今回収集できたデータは、PPP を実施している事業体については、馬鞍山(安徽省)と襖門の2事業体、公営35事業 体であるo まず、水道管延長量、給水量、労働者数、運営管理費については、 PPPを実施してい る事業体の場合、ほとんど統計資料は公表されていない。そこで、二次資料の停他(2004) からデータを収集した。それ以外の事業体については、城市供水統計年鑑(2003年)か らデータを収集した。なお、運営管理費については、人件費も含まれていたため、労働 者の平均賃金と労働者数をもとに、人件費を推計し、それを運営管理費の合計から差し 引いて、調整したD また、給水量については、工業用水と生活用水の区別はないo l人当りGDPと人口密度は、城市統計年鑑2003年版の値を用いた。なお、襖門の1 人当りGDPは、中国統計年鑑2004年版における為替データに基づき,マカオドルから 人民元に変換したo (3)分析結果 0.77であった。まず、 DEAによる分析結果を表3に示す。効率性評価値の平均値は、 CCRモデルで、効率性が高いと評価されたのは、天津市、張家口(河北省)、フフホト(内 蒙古自治区)、合肥(安徽省)、福州(福建省)、宣昌(河南省)、中山(広東省)、.俳山(広 東省)、蘭州(甘粛省)であったo ここで、 PPPを実施している事業体の効率性評価値は、 襖門については0.75、馬鞍山は0.83であった。 2つの事業体とも、平均値と大きく変わ ることはなかった。逆に効率性が最も低いと評価されたのは、宿州(安徽省)であり0.42、 次いで銀川(寧夏自治区) 0.46であったo 次に、余剰投入率を評価したo 余剰投入率 - 余剰投入量は以下の式で定義したo (実際の投入量一最適投入量) /実際の投入量(3) この結果、例えば宿州の場合、水道延長量は約75%が余剰投入量と評価された。 次に、効率性やこの余剰投入量と社会経済的要因との関係を検討したのが、表4から表 PPP 10であるoまず、表4は、効率性評価値と1人当たりGDP、人口密度、地域ダミー、 ダミーの関係を検討した結果を示している。なお、ここでは、ト-ビット分析だけでなく、 OLSで分析した結果も示している。定数項を除き、全ての変数で統計的に有意ではないこ とを示している。このことは、中国の水道事業体は、各事業体により、かなり置かれてい る状況が異なるのではないかと考えられる。また、 PPPの事業体の効率性がほかの事業体 に比べて、統計的に有意なほど高いわけではない、という結果を得た0 続いて、非効率と評価された事業体だけをとりあげ、効率性と社会経済的要因を分析し た結果を表5に示す。分析の結果、内陸にある事業体は,沿岸部の事業体に比べ、効率性 評価が低いという結果を得た。 27 表3 効率性評価結果 余剰投入率(%) 省.自治区名 市 効率性評価値 襖門 0.747 安徽 馬鞍山 0.823 天津 天津 上海 上海 河北 石家荘 河北 張家口 襖門 水道管延長葺 施設容量 労働力 維持管理費 25.25 25.25 68.47 17.68 17.67 17.67 17.63 0.83l 30.20 16.88 16.88 16.87 0.491 50.88 50.83 50.88 53.13 59.88 38.87 39.06 75.94 25.25 1 1 河北 承徳 0.609 河北 秦皇島 0.473 56.04 52.70 52.70 52.84 山西 大同 0.552 44.78 44.76 44.78 50.91 0.66 53.17 33.96 33.96 66.37 ハルビン 0.526 47.38 50.17 47.38 59.82 漸江 杭州 0.999 44.00 0.ll 漸江 寧波 0.78 31.41 21.98 22.01 21.94 75.05 58.32 58.46 58.77 内蒙古 内蒙古 黒龍江 1 フフホト 本渓 0.10 0.02 1 安徽 合肥 安徽 宿州 福建 福州 山東 煙台 0.551 72.73 44.88 44.88 69.54 山東 青島 0.577 42.25 42.23 42.25 65.20 山東 威海 0.86l 62.40 13.88 13.88 60.86 山東 日照 0.824 69.26 17.94 17.57 17.07 河南 鄭州 0.683 31.72 31.74 31.72 48.26 河南 洛陽 0.816 22.90 18.32 18.39 18.26 開封 0.891 河南 0.415 1 34.54 10.75 10.87 23.67 48.37 37.68 31.05 31.04 1 河南 宜昌 広東 広州 広東 深セン 0.683 31.72 31.70 31.72 37.97 広東 珠海 0.687 35.80 31.29 31.29 31.39 広東 中山 1 広東 俳山 1 広東 柳州 海南 海ロ 0.69 0.92 0.78 雲南 昆明 0.588 駅西 西安 0.951 映西 延安 0.548 甘粛 蘭州 寧夏 銀川 平均 7.97 7.98 7.98 8.19 22.02 22.77 22.02 65.42 69.41 41.20 41.23 41.32 4.90 4.90 4.90 42.38 54.26 44.83 45.21 61.35 70.74 54.22 54.22 54.23 1 0.458 0.77 28 表4 効率性に影響を与える要因の分析(フルサンプル) Tobit 係数 GDP 0.$8 -0.00 人口密度 0.00 地域 0.96 0.31 -0.12 ppp 0.85 -0.05 定数項 サンプル数 表5 OLS t値 0.88 0.00*** 37.00 係数 t値 0.83 ・8.00 0.00 0.9l 0.23 一8.12 〟.01 0.94 0.85 0.00*+* 37.00 効率性に影響を与える要因の分析(非効率な事業体のみ) Tobit 係数 GDP t値 0.49 _0.00 人口密度 地域 0.00 0,03+* 定数項 サンプル数 0.02 0.8S 0.83 0.00*** 28.00 t値 0.53 -0.00 0.57 -0.19 ppp 表6 0 LS 係数 0.00 0.6l 0.04** -0.19 0.02 0.$9 0.$3 0.00**+ 28.00 水道管延長量の余剰投入率と社会経済的要因(非効率な事業体のみ) Tobit 水道宮廷長量 GDP 0 LS t値 0.66 -0.00 人口密度 地域 ppp t値 -0.00 0.69 0.67 0.00 0.70 0.03 0.75 0.03 0.77 0.25 0.4(; サンプル数 係数 0.00 -0.22 定数項 表7 係数 0.00**♯ 2S.00 0.30 -0.22 0.4(; 0.00*** 28.00 労働力の余剰投入率と社会経済的要因(非効率な事業体のみ) Tobit 労働 係数 Gop 0.00 人口密度. 地域 表8 0.57 0.l9 0.88 0.17 0.52 0.60 -0.00 0.19 0.04** 0.89 -0.02 0.08* 28.00 t値 0.00 0.03** -0.02 定数項 サンプル数 係数 0.48 -0.00 ppp 0 LS t値 0.ll 0.17 28.00 施設容量の余剰投入率と社会経済的要因(非効率な事業体のみ) Tobit 施設容量 GDP 係数 人口密度 地域 0.00 -0.00 PPP 0.l9 -0.02 定数項 サンプル数 (注) *は10%水準、 0.16 0 LS t値 0.39 0.47 0.03** 0.87 0.10** 28.00 **は5%水準、 係数 t値 0.00 -0.00 0.19 -0.02 0.16 0.43 0.51 0.04** 0.88 0.14** 28.00 ***は1%水準でそれぞれ統計的に有意. 29 表9 維持管理費の余剰投入率と社会経済的要因(非効率な事業体のみ) Tobit 維持管理費 係数 OLS t値 係数 t値 GDP 0.00 -0.83 0.00 0.84 人口密度 地域 0.00 0.69 0.00 0.72 0.18 0.12 0.18 0.15 0.50 _0.14 0.54 ppp -0.14 定数項 サンプル数 28.00 0.31 0.02** 0.3l 0.04** 28.00 同様に、今度は被説明変数を各余剰率として、社会経済的要因との関係を分析したのが 表6から表9である。分析の結果、労働力の余剰率と施設容量の余剰率については,内陸 の方が沿岸部の地域よりも高いという結果を得た。しかし、水道官延長量や維持管理費の 余剰率については、地域差は認められなかった。 4.結論 本研究で得られた知見を以下に記す。 第1に、中国の水道事業を対象に、効率性を評価したが、 PPP事業体と伝統的な公営事 業体との間に、統計的に有意なほど、効率性に差は認められなかった。すなわち、このこ とは、 PPPは資本調達手段としては機能していても、事業体の効率改善に貢献しているか については、不明であることを示しているo 第2に、非効率と評価された地域だけを取り出して分析した結果、内陸部に位置する事 業体の方が、沿岸部に位置する事業体よりも効率性が低い傾向にあることが分かった。ま た、内陸部で効率性が低くなる原因としては、余剰労働力や過剰施設が発生している可能 性が明らかになった。 ただし、今回の分析では、 PPP事業体については、 2サンプルしか入手できなかったた め、この分析結果は、限定的なものであるといわざるをえない。今後、サンプル数を増や して検討することが必要である。 注記 1)中国における国家レベルでの法体系は、上位法から「憲法」、次に全国人民代表会議が定め (国務院が定める法律)、 る「法」、そして行政機関が定める行政法規である「条例」 (行政措置)、 「弁法」 (行政規則)がある。日本では条例は地方公共団体が定めるが,中国 では国務院が定める「条例」と、地方政府が定める「条例」とがあるo の機関の行政命令は、 「規定」 なお、国務院以外 「規則」 「細則」とされる場合が多い。行政法規の制定にあたっては、 関係する中央政府の機関、および利害関係のある省政府などと協議の上、制定される。 法律と行政法規だけでは、複雑な現実に対して行政機関が対応することが困難な場合、 行政機関は文件(公文書)を発行する。文件の中には、 30 「通知」 (上級機関が下級機関に対 して処理の要求及び関連機関-の周知事項並びに共同して執行しなければならない事項の 伝達に使用)、 「請示」 (下級機関が上級機関に対して指示を仰ぐ場合に使用)、 (下級機関からの問合せに上級機関の回答に使用)、 「批復(回答)」 「函」ただし、文件には法的に強い拘 束力はない。したがって、省政府は中央政府の意向に従わない場合もある。 なお、地方政府は中央政府の法制度と矛盾しない範囲で、独自の法規制を定めることが できる。 参考文献 中国城鎮供水協会(2003)城市供水統計年鑑2003,北京. 中国統計局城市社会経済調査総隊(2004)中国城市統計年鑑2003,中国統計出版社, 北京. 博涛,常秒,鍾麗錦等編著(2004)中国城市水業改革実践輿案例,中国建築工業出版社, 北京. 31 32 第4章 まとめと今後の課題 白川博章 1.まとめ 本研究では、アジア地域における水道事業に焦点を当て、PPPの効率性を検討してきた。 第1章では、アジアにおけるPPPの動向についてまとめた。第2章では、アジアにおける 水道事業の効率性をDEAで比較するとともに,効率性に影響を与えている要因について、 検討した。第3章では、中国国内の水道事業を対象として、 DEAを用いて経営効率を評価 した。研究の結果、得られた主な知見は以下のとおりである。 (1)アジアにおける水道事業の効率性評価 本研究では、約40の事業体を対象として、 2つのモデルで検討したが、いずれの場合 でも民間企業に集金・メーターの読取委託を行っている事業体の効率性は比較的高いと いう結果を得た。したがって、集金・メーターの読取契約はサービス提供にかかる費用 を低下させる働きをしているのではないかと考えられる。他方、コンセッション契約の 場合は係数の値は正を示したが,統計的に有意な値ではなく、経営の効率改善に寄与し ているとまではいえないことが明らかになった。 (2)中国における水道事業の効率性評価 データが入手できた37の事業体を対象として、効率性を評価したところ、 PPPを導入 している事業体とそうでない事業体では、統計的に有意なほど、両者の効率性に違いは認 められなかったoまた、所得、人口密度などの社会経済的要因と事業体の効率性について は、明確な関係は認められなかったo また、投入に余剰がある事業体を抽出して、詳しく検討したところ、労働力の余剰と施 設容量の余剰は、沿岸域に立地している事業体よりも内陸部に位置する事業体の方が多い ことが分かった。しかし、水道官延長量と運営費については、両地域間で、統計的な有意 差は認められなかったo このことは、内陸部では、就業機会が限られているため、水道事 業が失業対策事業的な性格があること、また、浄水場の建設に比べて、接続数の拡大が内 陸では遅れている可能性を示唆しているのではないかと考えられる。 2.今後の課題 本研究の結果、官民パートナーシップについては、サービス契約については経営の効率 性改善が認められたが、コンセッション契約については、結論は留保されたo 33 また、中国 だけを対象とした分析でも、 PPPを実施している事業体が伝統的な公営の事業体と比較し て、必ずしも効率性が高いというわけではないことを示した.このことは、官民パートナ ーシップは、資金調達としては機能しているが、経営改善については,これまで議論され たほどには、効果がない可能性があることを示唆している。 また、中国の場合では、やはり公共サービス事業が潜在的な失業者の雇用吸収機能を果 たしている可能性が高いと考えられるo したがって、こうした場合には、労働力以外の要 素について、効率性改善の余地がないか検討することが必要である。今回、分析に用いた DEAは、投入要素の余剰量を評価できるため、経営改善の指針の作成に役立つと考えられ る。 34 Appendix I Reforms for ● Managlng Urban Environmental Infrastructure and ServicesinAsia Mushtaq A也med Memon Hidefumi Hiroaki mIUR九and SⅡMAWA 1 Introduction Current comparison urban wi也也e that almost predicts inthe concentrated by the national however, areas; Population popula血on population htq) ://esa.un. Most are only nine allthe international population in (WわrldBank 2001).Population Division of UN grow血expected cent 1950 areas is stop andthis to 2030 a and will be fromrural trend. UN global be by 2007, (PopulationDatabase measureTs various mlgration to 2050,therewill urbanpopulation, will liveinurban 2000 tried to checkthe did not from during (UN 2002). Furthermore, were agencies indicatesthat to 65 per of the total global of the world areas urban major is taking out Cities, while cities of the ten largest cities of 19 mega cities there will be four additional and population of the urbanization fわur out country in 1900 50 per cent shift from a 65 per halfofthe one 2002, org/unpp/). becomlng 1900, 14 per cent the rapid urbanization Division centrural world's and is about population sub-reglOnal are mega trends are were place in developlng being transformedinto in NorthAmerica located血developed cities, all inthe inAsia andthe 35 countries countries・ Pacific are small Europe; By shown whereas, the year COuntries・ in Box towns cities. In the mega and developlng and The 1. today 2015, comparative Box I Comparative Degree ofUrbanization Less than 25% Trends in theAsian 8 People's People's (63),Mongolia of Korea (64),Kazakhstan(55), (58),Amenia (70), (74), of lran (57),Phnippines Azerbaijan (57),Turkey New Rate (63), (85), (96),Japan(79), Republic of Korea (85), (72),Singapore (100),Australia Federation (77) (87),Russian Kong, Brunei (40), (33), (39), Republic Repllblic Malaysia Hong (42),Indonesia (45),Uzbekistan Democratic 8 (20), Nan (27) Islamic above (7), (23), (23),Ⅵet Republic nlrknenistan and 1999 (34),India (28),鞄rgyzstan of China (34),Pakistan(33), Tajikistan (28),Thanand people's Maldives 9 Rep血1ic Democratic Mya皿ar 75% Region, Afghanistan(22), Bangladesh Nepal (1 I),SriLanka (23),Cambodia 11 50・75% Pacific and Pacific region andthe (21),Bhutan Lao 25・50% ofUrbanizationinAsia China Darussalam Zealand and ofUrbanizationinAsia the Pacific, 1995-2030 雷2.L・' ′■ ≡ 毒l.S i ㌔ ㌔ ㌔ぎ㌔ It.蔓nll:∼亡I hid [iol15 1996 art(u<:S(:AP S由皿 Components of Urban Gmwth inAsia I.-&-i,'>iLi*- I99i) andthe Pacific, 1990-2005 義 = 辛 JLj i:= 三.I 3り ヱu H王 L-i 防(.I.I.LW' 態zsr.AsliI 反乱†u耶舶 Asi;I l・-p・,I,-・他r--・・Fr'・ 田海b▲r3LJ Sr)LILbPa亡11kl S(:]tJ):ll..Lisl=L 1n珊:itH. 国_NauJrJ1 1tl'nT1・lL'1 g・II・11"l・}:I r!,:r.bs.^ilrL・.・・1一山I l由9:t・ E3.Mp・'AhJl.: 国拙p,T.・dは1t/I&・L血引n,iI,,LL・・.・・t .hl銃i;Tt・; l]Tlll(d N;)tiF:Iris1996 t・:S(:AP柑9!き :LLl【1 36 Asian the year (m 2030, compared rate average of rate this region of53 by year 2015・ will beinthis of24 have will have surroundings, towns smaller There and focus isolated・ Desplte for most challenge services of this process of urbanization be concentrated most in few countries・ of the cities will be globally some Of differences, based on growlng Millermium and its size of inAsia. McGee giants, as increments urban and cities will be inAsia; mega there will beuneven while features,the otherswill remain common in&astructureand environmental POPulations. challenges levels of the governments・lmtemational urban Bombay management, cormected, these distinctive of the cities is to provide immense Fourthly, 15 out of the international most Secondly, countries・ be in more, of the population of the large and for their rapidly believethatthe continents. Firstly, dominance few global 2000). The 'cities'in other of the population;thus, most ADB and short time・ Thirdly, To overcomethese they (ESCAP environmental thesewill as features in 2000・ or Jakarta, including and to provideinfrastructure, employmentinthe globalization, people agalnStthe of 10 million 1 out of19 with1 people is largerthanthe will be onthose governments however, 37 million and be at the lowest largest cities, 27 citieswill population than 20 million more have world's reg10n by in Africa million inAsiawill other of33 compared major challenges: of the countrieswill development force four any cides,witha by 2015 distinctive some (2004) identi丘es mega nearly slums are For region Shanghai eachwill by 2030,then 766 and in urbanpopulation 60 per cent・ Out than 2・6 billion urbanpopulations in LatinAmerica increase per cent more have critical,Asiawill with604mi11ion 2002)・ Surprisingly,this urbanization few is more perspective variousreforms agencies Development are Goals 37 are being actively Introduced pursumg at various forthe reforms, (www.developmentgoals.o7g) as including throughregulatory,regulatory, andfinancial at different withinthe of the govemment, are countries different pursulng levels. One in many services types various For lS the collection. Jakarata, Johor Karachi, outskirts service. Community-based For mass一廿ansit system, These experiences experiences can h Kuala help and enterprises capture the urbanenvironmental second section of this chapter sector through local corporations, are forAsian new or are for slums investlng and 38 of in door-to-door In Manila, sanitation, whilein informal around areas andrural companies investing are in in buses・ suchinitiatives・ urban eqectiveness involved, cities; thus, the lessons challengesandthe and providethe multinational to scale-up highlightsthe supply local companies working are local prlVate involved are in cities involved are efficiency companies Manila, local companies to replicate of the public of the services Lumpur,the enterprises multinational Minh, are at and for pnvate provision to improve air qualityimprovements,the while of the most autonomy reforms clean・ For water streets Macao, Chi far, isthe multinational corporations of the waste and and of Ho variouscities. tothe the community-based houses Bahru, addition incineration. in collection to keepthe collection variousdepartments in different forms multinationals management,the In Dhaka, acrossthe enterprises・ corrmunity-based involved so has led to introducethe for the collectionand company outcomes, achieved to introduce Reforms, and canbe safe sanitation decentralization companiesincluding solid waste like Macao ln autonomy, and top of the agenda・ InAsia, onthe effective services, of private reforms・ to introduce of the most cities・ This and companies, are reforms participationinpublic water levels of the govemment decentralization same to clean a∝ess and povertyreduction experiences environmental This leamedfrom tries to chapter of related management these reforms・ The challenges with to the provision respect region・ Thethird urbanenvironmental progress of these 2 tJrban Environmental There reforms in丘astructure and "Municipaland as such water h&astructure, such direct eamlng revenue The hazardous govemment MEI waste is increaslng SeⅣices, sector mainly management, ln 血e inappropriate most (MEI) local capacity over and deflnition: comprehensive direct covers treatment, and and revenue eaming solid waste urban clean-up services, be organized solid waste urbanair cities a sector collation environmental address and Ofthe EuropeanBank experts・ and public transport・ operations, are which not also included. that may management, we individual environment are covers also services natural gas distribution" urbanroadsand reviewsthe for the future roadmap. provides responsibility"仲BRD 1 999).For local au血orities, wastewater as wastewater section ofurbanenvironmental and in丘astructure district heating, management, definition Development仲BRD) supply, to improve Priorities different organizations environmental in this seⅣices focused fourth The lessons and countries, management. and variationinthe acrossthe for Reconstrucdon service, Chal)enges is some in various identifiesthefew and in丘astmcture environmen也1 highlightsthereforms section urban govemanceand of urban urban nationally policies tothe (Figure 1 ). 39 Water man喝ement, due or environmental qualitymanagement. the time as such industrial and outside local management Supply and Intensityofthese rapid by the urbani2:ationand challenges due to Gov白「n ment Figure Role 1. of Government, Sector, Private Citizens and for based PPP Water Utilities 2.1 Solid Waste Tbe For alarming. million socioeconomic the solid waste, ton metric most or withthe cloggmg waste, are which ofwastewater reg10n located The dumplng is leading towards drains・ This waste organic healthofurban near that current dwellers accidents creates a as snowball 40 a are of 1 ・5 The adversely of the cities Sites・ Most MSW to non-organic is being qulte are by 2025・ Will be morethandouble will also change丘om clinical waste. of the slums (1999) predicts Bank impact environmental Of adverse the World dailyfromthis of the waste composition hazardous consequ飢CeS being and affected, as flooded result offlying plastic bags, e丘もct for urban environment・ and Box 2 shows Asia, the quantityofwaste lower with economic SoutheastAsia・ reglOn. most of the countries, h Due management・ countries, almost disposal, waste scattered China in血e countries open landfill and has munlCIPal halfofthe dumping bumlng is the main lSan0ther incineration are not the environmental consequencesincase through and citizen partlCIPation・ impacts, as hazardous Private The and institudonal, option sector due to resource clinical waste in many 41 are costs, Waste It lacks public toge也er and due to awarenessand is also only to severe in many Sanitary reduction management exposed for (Box 2).The disposal・ waste operations. in solid waste is also dumped in developing capacity due totheir system・ cities, for solid waste constraints way of their improper scavengers, developed et al. 1 998).Furthermore, methods, inthe South thanthe waste responsible financial and unhendly involvement ofsolid wastethanthe are Pardoy disposal is not formalized reuse throughinformal sector・ governments environmental common volume of industrial is not collected waste of Asia, where sub-regions more higherrate to lack of regulatory, open recycling is producmg grow血, Similarly, in different generation health cities. Box 2 Chal1enges丑)r Sohd Waste Waste Management generation Pacific inAsiaandthe disposal and YQitr ふ)iI・氾一: unil・由Niltk)rrl 1995..恥l・Jd触1・Ik I弛IJ ;1n(I 1(3与蛤, I..!N・r:tip./ I997 spREP PJミ.(ユ11∫l(1 Ja.t㍍■l Au専t r{.]A3 P_色P.(.4'K・>Jl->11 ItL)rJk・. KL・rJa.C111ta Slt幣aPW昏 Ll」(.1 I1.1.5 l,b 1.S, u''astp・・ Il・W:,lilly.1唱.r・EN:tIS皇1†xJudrlal .%・‡ig・t-r(I; ぷ上場I・∫t=t・_・ I;Nヽ√ ES(::良P l!197 I ∈JS;JTr 42 atl ≧j rT'・1rltJLtuLln region 2.2 Water Wastewater and Water supply and having environmentalin鮎structure, consequences・ NorthAmerica, by addressingthis Habitat (2003) suggests, 'improved'access look intothefigures Habitat 500-700 sanitation 98 millions of water millions Box sanitation・ and supply between 3 also showsthe inthis coverage management investments wastewater wastewater, e氏cient most increases the cost ofthefreshwater for supply Furthermore, without sustainable access Development connections should coverage sanitation 297 urban and san血tion 600-800 to lack a intensityofthe ofsanitationand plants・ Due are be increased from being countries, of these services, as UN arewithout and血s number is water supply for the challenge treatment it requlreS to disposal depleted if we worsens wastewater as have not for "inadequate" critical challenge, resources do dwellers respectively millions treatment developing number and huge of untreated (Box 3).This further water. to safe drinking Goal (Box 3).This milhons in Europe皿d dwellers of urban provision is potable 1 999). h urban other averted `adequate,1 to realize the target, to halve Mi I1ennium sanitation number comparative reglOn. Due facilities, the wastewater and and was ¢eitmann considerable of the peoplewithout provision between a healthand heal血damage of也e important most asthe considered environmental challenge supply (2003) showsthat =improved" and to water serious Most socioeconomic UN is historically sanitation water by 201 5 the proportion and basic of people set under sanitation, 7th the water s upply (111_,_t些!dHel・_,_e_lqQP.mQ_4IgQQ_I_S_."Q_tg), from the existlng the existlng 78 per cent 43 93 per cent to 89 to 96 per per cent・ Hence cent 619 and basic million Box 3 Chal1engesあr き-J モ Supply Water 心 バト哀・ 舎- and ∴■三重 L- . き-い;舟・T- Wastewater こ・・缶 ⊥1→・で ::こす、L-・:′ね.i符・ -ヽミ the Pacific inAsiaand 中一、・. ≠Tl僻 ∴・・-・、.▲、 _全 i 1【事O 1こ虻30 由p 愚OC3 TOO 畠わo 5C10 413C) 3-OO Z-DO '1LTJO 亡) (コ -1m jZIQO 急CIt? ヰ凸P Comparative for Sanitation Challenges (I ・.:l 'l;Tl 10 Pollution Water lくJl,I(Ih.y(I (:;huTILll.1ぢ tl盲r.JLI 1 l丘Ivtt■ L._Sぎ1.・JFT _ 1TT>・.生I▲lql I.v-r 1亡=T7:{1k1一>lr,111 1 ゞl.l-スIIJく1.J l亡T(rI・t.†k. 'I咽仁rJ-It==t lコb欝1完F';紬■£r. 11l<1'lつht l暮I>Id 11t・>ゝ lモIV・.・'Iこ二 '::I)JrlこHIl I n<.I(.1T1<.・St il r< :I ;J_iJ..S!. E:.1蒜!:; く::h=;JJJI I>]1r=1.Yu 1 】R1ヽ-<・=r'. 1・Ll1 1 tall I=-i tお'・-rk. Jl・卯皆琵t(至鑑 ( :;▲T.J・llrJd ヽヽ;.1L†ニL',Ln S{1TJW_lFJ ∫ヽ.l■玉.ll:J 】三t.[l. JA.}耶kt.I I. t^1・:・11er. I<1r'紘泊I'1 {=.l・J.・J rJ l _,ak lコIモi二hlTl.1 kt.、 44 訪IJ 三吉 region in cities should people million people be connected be should situation of the existing fromthe government・ water The unit, tariff per unit, labor (Mclntosh and Umiguez 2・3 tJrban Air Quality per is increasing oxides,and 56 tones of carbon like of sulfur oxideand inthe several cities Organization air are facing inthe ine瓜ciencies 1000 per major to improve the heavy (NRW), the subsidies whichinclude costs production connections, Box 2000).h the so and per on intheAsia and 4 showsthe pollutants, which reglOn・ varioustypes deteriorating 45 figures the percent monoxide, respectively (ESCAP/ADD The and cities of the region suspended 2000). particulate levels ofTSP Transport in Health for the various of pollutants. urban &om by World recommended pollution levels. 44 levels of SO2 the Pacific oxide, air, like carbon 75, 93, and highest comparative are inthe by the year 2010 higherthanthose the daily about of nitrogen developed related hydrocarbons, discharged are called &om energy becoming monoxide, 7 tones matter so and cities like Kathmandu, pollutants Cities withthe to control of carbon particulate are vehicles of hydrocarbons, respectively 2 to 3 times ).Motor transport as rapidly poorest 75 percent challenges for these or quantities will increase located (wn0)・ region, localized are 2001 of automobile of the major nine relying water of production oxide, nitrogen to 94, 98, and Furthermore, matter and on recovered huge 1 8 tones monoxide, Shanghai,the production in 1990s source by emittlng ofvehicles仲SCAP/ADB hydrocarbon, mainly this is operating non and Lovei particulates・ Even tone one Just under butalso are of cities is deteriorating (Kojima urbanpolluters nitrogen unit infrastmcture new The time. same 675 additional 1997). jur qualityin most pollution or an and duringthe samitation reaSOnfor (UFW) for water till 2015 supply utilities, which major the unaccounted tailpipes to connected for the cities is not only to build the cha皿enge biggest water with cities inthe is the main air qualitywithintensive Box 4 Chal1engesfor Urban A辻Quality Management 】細論I Su革P樹抜毛毒_ktJ lユa(li仇3由Il鵠 T(-^で官0・ T盲Ilra.I.・1 S h託f】酔al S6!・甲uI m t由・I 'LhJJ.1L.1 la .∼:lard l'・・・umll}u=r .I-it.1;al a Jaka爪a D鍵Ihl 亡;ak.I.1tl.a BrFIJ加n畠 B乱1'1Rk{-) k P. kL 46 inAsia and the Pacific region localized This in Jakarta, 1400 deaths be avoided could The standard・ reductions US$400 World billion for lead・ The tnps Bank (1996) &om dust and from visits and were to be provide were US$5 billion, of也e mega at US$300 reduction between and US$1.5 in congestion The millionannually. Kaula Lampur, about 10 percent or attacks to WHO benefits and between Jakarta, and asthma only the moderate annual benefits of about US$400 lead pollution 600,000 brought down that 1 0 percent thatinBangkok, for example, that in Bangkok, billion for particulates provide estimated room levels would current report indicates same would levels damages, enormous (1996)furtherestimates US$1.6 and for emergency ifparticulate Bank percent million peak-hour 49,000 and annually, of20 is responsible pollution theannual during World costs of combined city 1nCOme. 2・4 ChallengesinMega Asia Cities is the host oftbe cities is increaslng. mega environmental inthe low challenges lying is a contrast most The as creation inthe sufRcient Fore challenges・ rapidly, per caplta Ownership growlng mega are as without most these of the people of cars・ new are Similarly, inhabitants living in bigbly the per caplta generation are poor dense andtheir areas. 47 towards severe settle downinthe established is decreaslng however are due in these to influx levels or slums services. cities, which of solid waste consumpt10n size of the and也e infrastructureand is increaslng; cars Cities, the per caplta Ownership the inhabitants environmental exampleinthe growlng this number cities is leading ofmega majorityofthe new areaswithout cities and There not rapidly of people, who is also decreaslng, are low. Most of Looking in place,then atthat most environmental lower can followlng othersare Reforms regulatory, tJrban are good services and have This different the urbanenvironment the basis for many decentralization, the decisions participation. decon-centration, the decentralization, and and fbllowl喝 areas・血tbe services managlngthese in any targeted inthe govemment are focused prlmarily or role for economic same cities with to the public playanimportant can The area・ is to provide govemance countries or sector level of living standards・ and Klugman delegation, The solid waste・ reforms・ citizens. Reforms even and intemational national as situation improved canbe requires pipelines by fixing the institutions and reducingthe suggeststhat mass Management reforms tothe Waste oftbe fewer elrectively current onthe is clear evidencethat whenthere are of the criteria for good better environment levels may understand One govemance・ this, especially stakeholder financial to也l volume low-dense cities Environmental to improvethe meant Institutional, and achieve grodh their line, based to Improve 3 Reforms of the mega some level of per caplta to lay down with也e thenthe improved lower oftbe opportunity in compadson lt is shownthat sections, and disposal providethe lanes per c叩1ta sewer喝e and areas populated The problems・ lower be much would is effectively management established cities・ The transport in血e0011ection environmental people inthe cost solvetheir investment densely ofservlngthese cost management transit system if the urban scenario, at the current agencies accountabilitywill (1994) refers one must ask where 48 on reforms modes may throughthe of decentralization'・ Uphoff(1 986) suggeststhat the persons be the be at the local level tothethree devolution.While levels・ This income to push inequality, social making decisions to were located the and case to whomthey local populations,and bringlng decision-makers of local accountability, 1 994).The to overall closer tothepeople, accompanied improve situation 3.1 I)ecentrali2:ation centralized building, many coun廿ies・血many done have it was a history in terms P.rter (Clay and speciflC and community, of revenue 2003). h at national reforms and improvethe may There to managethe effective were variations across血e years only through localinstitutions 49 For form one on is provide也at也ere revenue generation countries, example, till 1996, due in based a remain on Bangladesh nomenclature nation structures power or though focused was of centralized const血tions characteristics・ for many to strengthenthe national in govemments era colonialist of the decisionsand most socioeconomic system of local govemance further consolidation countries,血e govemments・ for local govemment was and however, political situationand (Elugman services. (Al1iani2002).Post structures industrialization, 血e national inAsia the colonialism, power sector withprivate in鮎structureand by established mechanisms level are being Therefore, de-concentration. decentralization there to accountable decentrali2:edwithout is inAsia of local govemments; nothing for decentralization, of the countries the other・ During level ofthefiscal partnerships and devolution effects ofdecentralization at the local government of environmental Most the overall is onthe reforms local level, to scale-up is being making it is only generationandexpenditures addition decision non-centrally to local peoplethen can focus current has further elaboratedthat bothlocated are if onlythe accountable He accountable. the decision-makers where makingthem were role with their attempted of tiers, but to political instability different Onthe at the center. rule, rather than duringthe democratic In SoutheastAsia, was have its inthe constitution and were reforms Cuacbon 2002, Alliani decentralization is being is recently decentralize local govemments basisinLawNo. financial h 1997. balance betweenthe Thailand,the national revenue generation (Saito2003).h reglOnal focuslng taxation andinter-govemmental amendment act or 1 992 were (Brillantes which provides code andthe relations more ・ "triune or 50 to further reform" based in LawNo・ on has its regions 25 of 1999 of 1 991 is a comprehensive and on (Sidik2003)・ decentralization, to血e recent fiscal decentralization powersthat In India, the seventy-fourth powers to agenciesinthe supports Its Structures,functions, due system,the expenditure and administration local govemment system and hdonesia,the central govemment or andintemational of the reforms" wave constitution, new 也 the PbilipplneS, local govemment for on of1999 of the local govemments forthe local govemment "third pursuing relations 22 support pushedthrough years・ Japan inter-govemmental before the political and features politics withChinese to ineffectiveness of constitutional unavailability 50 yeas nearly In China, Japan's 2002). either due However, EastAsia, were later the political reforms years to local govemments it took in 1995・ fully realized system it is evolving now inthe but in SouthKorea in 1987andfive decided army local govemment colony, Indonesia,the and socialist democractic to construct out British of its independence,and local autonomy, were role duringthe strong govemments・ in the Philippines of local autonomy economic former a a got constitutions since their early years・While recognlZeS the promises national early years identity.While own recognized carried Malaysla, duringthe in turbulence local govemments note, local govemments was passed document alsoincludes constitutional and (Brillantes in on Cuachon 2002).血Pakistan,the govemment to suit the local system 〟l血ese answerable and local autonomy cu汀ent are changes lS tO local with s血ation. to improve meant tothe responsive has res廿uc血汀ed gOVemment by making lt of the local population・Animportant needs &om transfer of power the local govemance local authorities to other aspect of parastatal (semi-govemment) agenciesthroughcorporatization orthroughprivatization (Alliani 2003)・The local govemments in&astructure the service and partnershipswith and and consumers qualityand right and should Now, Porter the service consumers or getthe a payments subsidized explo血tion (Memon reliable service cost, also induce environment to autonomy by or forming autonomous onthe public and or up made social policies the behavior (Figure2). 51 provider, regulator,the either due services 2001). natural an a pnvate resource regard・ enterprlSe, While impartial regulator. responsible to pay of the govemment. to conseⅣe也e resources to their basic are local govemmentsinthis body are and these services Matsuoka and sets of service provider forthese tothe for whichthey depending the service environmental challenges an clarifytherole assumptionthat &ameworkand regulatory f♭rthe seⅣices of也e be to to pay willing free of cost may by providing for their eqlCiency, was (2003) suggestthat provider formsthe is aimed not new oflocal communityenterprises. reliabilityor due tothe offers the greatest government cost was be provided and and situation ownresources hitially, govemment the community to improvethe accountable decentralization their low management sector consumer・ or Clay makingthem private Therefore,the regulator, by generatmgtheir services operators be capable should The either full The 也 avoid也e source: Me血on et al. (2004) In addition to the reforms for increaslngthe management and seⅣices, various different countries. Sector 3.2 Private To inthe refわrms bridge wake are be血g for decentralization, coverage and to bring investment Sector of the in&astructureandthe efficiency at various ln廿oduced prlVate levels of the govemments in血e Participation the gap of rapid between urbanization prlVate Sector investment・ prlVate Sector PartlCIPation Private is meant demand and and economic sector of the in&astructure supply grow血, many varies in its scale and for the multinational 52 and countries are its focus・ Most corporations services, seeking to seek of the times forelgn direct investment have may or and medium multinational big ofa and project,they Many 伊FI) in supply transport including Law was 11 7 facilities investment and international included in May inthe on in 1 999. The Act build operate on management, transfer and is helping services. mitiatives and urban (Table 1 ).h transit systems in血e capital investment and financmg solid waste of in&astructure in components in&astructure prlVate prlVate sector is of community utilization of private Act small to scale up mass wi仙 pnvate inthe or are Japan, cons廿uction in social overhead was construction (BOT),andthis SouthKoreans also method of to obtain contractors contracts. targets for urban 1 Othfive-year municlpal 2002 to allow也e managlnginfrastruCture BOT China, h services, an towns are of these hands joms usually some including but most also varies sector and is local enterprises corrmunitybased underground SouthKorea, to introducethe modi丘ed Policy in 2000 consultants, role. Thethirdtype targeted are wastewater and on are multinationals also to help intemational wo止and individual an reforms elevated introduced was focus local pnvate focused mainly facilities・ h ofpublic take may and issued The sector for the local share・ In small of the recent water (SME). There al. 2002). These some type of private second to share也e are which only investors, are suppliers. requlrementS enterprises, some sized enterprise companies meetlngthe as (Berg et their expertise as well The suppliers・ con廿actors mainly as different focus, contractors small FDI Commission pro)ects to provinces solid waste (SDPC) and increased plan, and that clarifiesthe Planning environmental disposal and and role of private finance pollution roles of private transferredthe autonomous in&astructure sector prevention particIPation・ right of review districts in 2001 53 and services were was recognized・ technology The issued was State Development ratification that also introduces for some role for foreign departments and proJeCtS・ h CaPitalinthose 2002, for inveshent "Guidelines published treatment including urbansewerage in collaboration SDPC and by foreign industries ministries COmPanies," (Chang treatment solid waste municipal other withthe et all 2004). h initially meant for scaling crises established Act was to improvethe situation up finance in metro forthe approvedthe new private sector March 1992,the may participate Act the basis of the on-golng promulgatedin1 by the intemational h 993 on early 2004, generation-・ Participation Where 20/2002, a PFI Law inthe of water provision Private were Into into Sector number donors. 54 In 1 995, The in water utilities mainly is already way increaslng, legal for private expressly sector providesthat (Adhyaksa 2004)・In Thailand, in State Affairs, which In Vietnam, ofBOT Water of Representatives law・ This PartlCIPation promulgated・ increasing a was which comprehensive the IndonesianHouse Resources reforms resulting in 1 993, of electricitysector, has pavedthe draftofWater Royal No・ law BOT In hdonesla, of ElectricityLaw sector・ Sector prlVate Manila・ development particIPationinthis introduced in electric power to increase initially the promulgation &amework Philippmes SoutheastAsia,the BOT projects, Act forms was mostly financed in Table 1. Major PFI ColmtⅠγ policies and activities in EastAsia Policies MajorActivities ChinahasisstJedthreeministerialregLdationsconceming foreignlnVeStmCntiniJlfrastndtFePrOjects,inc1曲名 PFⅠpro]ects-TheBOTlatwinnowbcingprepaqed.dlinaーs Mainland Operation-Transfg)auldothers,au'cinprogressinChha. 1ocalgovernmcnts町em○reaCtivethanthecentral TheseproJeCt岳coverqeasty3hservices.Thcntmberof governmcntinintioducingPFlpro)ects.Pd)tic seⅧagep)intBOTprojectSandjoint-stockcompanies ConstndioA-PdvateqpqationandBOT血llt*themain China ThTeenationalB○Tp正○tprojects,andmoTeth皿50 )ocalprojectsintheformofBOT(Bdd-OperationTrusfer),BOO(BdidJ3perati○n-0Ⅶ),TOT(Transfer- inthec○nstrtk=tionandopqationofscwcragcandgartnge trendofPPPinUEⅠdJ=Velopment_ di甲OSalWrksarenowincTeaSLng. Underrdevzntde東gn,constzvtion,弧dopcration HongKong RelevantregdationspromotingBOTareavahble. contrads,thepriva[tesectormayco皿ectgarb喝Band di甲OSalsitesucha8landfi11s. btqecollectionanddisposalfadlityoperationsare Macao consi?edtopnvatecontractors. TheNcwEconomyFive-yearPlan(1933-1998)cans for theexpan由onofcnvirorLnCntalinfrastnx:ttzreandthe promotionofenvironmentalinVestmenttytheprivate scctcr.FundraisingforenvironmcntalmeastFeSbegzmto SotdhKorea Privatesectorparticipationinthecomstn拡ti○nand shifttojointptitAic-pnvateeffortsin1996.Korea operationofenvironmentalfaci五tiesandpower recentlyraiseditstugetforpriyale血訂lCIZlgOf in丘astrqcttFCrequLrCmentS,aimingforafoTtyperCent generdorsisincrezLSlng. sh町Cty200l-02,tp丘omtheori由altarsetoften percent(WorldBank1997). JapzLnintrOdLX:edtheLawCon○∝ningPddicFaditics Constnx:tiontytzseofPrivateCapital(1999).APFⅠ promotioncommitteeⅦesta一山shcdtoproyidepolicy consdtationszndstJggeStions.RchtedJapanesepolicies Japan alsostJPPOrtOVerSeaPnprojects.InJtnc2001,wter regdationsⅦrercviscdtogivetheprivatesectora hpracticejewdomcsticPFⅠcasesaqeftndinwaste mana夢mentandpoⅥ町generationforseⅦ野Plants. gr悦tCrrOleinthesewagebtzdncss.Therevised regdationsallowprivatecompamiestoparticipatein Ⅷtertreatmentandp血Gcation. Malay由■susefenvirorLmentalinf>as(rtdtFePFⅠis exemplary.MalaysLaGreatedaPrivati2AtionMasterPlan inl991andhashnchedl町gC-SCalcsandthorot* Malaysla pnvati22Ltionofgovernnent-mlenterPrlSeZLnd in丘astndtFebt血esstnti11994.The血olecotntryis dividedintofour2DneSforprivatiz亡dgaqbagedi甲OSal. PFlproJeCtSCOVerantmtq○fin丘astmcttFCq飽SuChas povvcrgeneration,commtmication,trzLn甲0ーtation,wter stpply,sewrageⅧrks,sohdvvastemanagcmentandeven airandⅦterpolltztionmonitoring. RegdationsrelatedtoPFⅠaFerelativelyⅥt11-dcvelopcd_ The1992EnvironmentAct訂ldthe1992RoyalActon PrivateParticipationinS(ateALrhirsstartedthelcgal causforPFlinpd)1icfaci五ties_Privati22Itionisbing Th由1and eagerlyproposed,particdarlyfordzdnageandindLBtria1 Ⅷtewtertreatment.Btdthetx:stschcmesforPFⅠ projectsarenotyetidentified.TⅠ血1andqeateda PFⅠmainlyfoctBeSOnCOmmtmiCation,energy, tr町lSPOrtation,ⅦtcrstJPPly,gartngecollcctionand delivery,scⅦgetreatmentaLndindt渉trialVVaSte mana野mentnOWtn由一W○rldBankaid. Privati22ltionMasterPlaninl998. Indonesia Thelndone由angovernmenthashighexpectationsfor PFⅠb詑alJSCOfhighpdmicdebtlevelsanddecreasesin SeveralBOTprojectsaqetN5ingcondLy=tedtosolve ODAsincethe1990s.Thercforelndon由ahas drinkingwterprotAemsinJakaTta.PFⅠlalsoactivein formtdatedrelev打ltregdationsandpohcicsfor poⅦrgeneration,commtmication,andexpressways. promotmgPFlinmanyareas. ThePhilippmesissthdthefirstBOTLawinA由in1990 弧ddsoestatdi血edaSpcdalgovemmentalorsmi22Ltion, Philippines theBOTCenterforpromotionsofBOTactivities. HoⅦver,ri虫preventionpolicics,govemmentgt-antecs forBOTprojects皿dlong-termp1ansforthe introductionofPFlareBenera皿ynotinplace. Privatizationofmtmicipalw血er叩P)yandseⅦge trcatmentstartedinl997一Throl申lBOT,thePhihppines hasslXCeCdedinproctJrLngftndsforsomeenvironmental infrastn血tFePrOjectsーPFlpro)ectsarealsopromotedin qe8inc1血gpoⅦrgen町ation,electricitydelivc7y, commmication,tr打lSPOrtati○n,aLndg町tXq;C-触ledpoⅥ喝r plants, (bmcctionofmtmicipalsohdwasteisconslgnedtothe S血gapore privatesector.PFーisalsonowt光ingproposedforthe transportationindLyStry. Vietnam D馳tOhighdependenceonforeigncapita1,Vietn正江1isstnd C仕丁entBOTprojcctscoveraleaSSuChaswatcrsl判)1y, BOTLaⅦaSearlyas1993. haqh)rs,andpowergeneration. 55 In SouthAsia, institutions. h has passed Pakistan Nepalthe developed was policy in 1 996. In India, the state level reforms formaland increased partlCIPation of more in a and and time血e tothe solid door-to-door or including periodic by and brings development be Rao realized it could has participation tothe it depends widl 1995)・ Community projects on be different a it is generally 2004).Although success more andthe objectives,and Community 1 997);however, management, in terms of resources, the scale, inthe slums very waste low profit and clean1ng constructlng cleanlng or in the poor the Of Storage tanks and 56 of areas, These marglnS・ Water Of septlC provision services streets, and the selling clearlng services environmental where Sector prlVate includethe vending points, the sewerage be targeted can communityparticipation objectives.Firstly,the especially door-to-door (Mansuri (Narayan urbanenvironmental due programs. participation sector private Vivian (Ghaiand gettlng prq】ect. different deliver context effectiveness infrastructure, to projectsand are withcommunitycould in itself for broader goal different oftbat four a community For for be specific perceivedthat efBciency later sector pnvate govemments engaging are communityparticipation could a local services,they Partnerships assistthem. level meaning and level of communityparticipation institudons・Asthe basic provide to communities for the Sector prlVate to increase Introduced is also improvingthe process informal responsibilityto means to involve to reform Participation Decentrali2:ation through Law services・ partlCIPationinpublic 3.3 Community in 1990 being are Water National new and is unable collection for water Sanitation of either services lines, transportlng cargo narrow withinthe Secondly, projects, For for outsiders overall beingrun they example, to pe血rm collectthe dense Thirdly, or service level or company role of a Similarly, through areas, the including as groups The scale eye canbe the discharge as or environmental service provider, The level checkthe transport, and households・ creating peer recycling of compost can locatedwithin these on dumping into the streams The life styles. In 57 and &om Oftoxic in the waste agalnStthe the POlluters, be can waste sea, Some monitor major to血row也eir sector e飴ctive sources. canscientifically scale of monitonng neighbors an its of the private its prlCe discharges or as small properly monitonng andrivers. is essential communityparticipation a canplay of pollution the level the be could serviceand researchers, pressure to checkthe friendly be could companyand improve to which of the level monitorthe monitor water inthe or shops, communitygroups also of polluted tothe service production and is important can as of solid waste vehicles. canalso They it is dimlCult where big transport a of organizations. also be integratedintothe materials deliver and large Fourthly,the adapting can sector of the solid waste, part academia po11ution・ an a and organization. including industries, keep血g sector They watchdog・ These of polnt be communityparticipation public communitygroups, level center can of accountabilityofthe a agreement. they bigger tothe contribute Public an collection recycling non-mechanized the Or Sector disposal and of inorganic &omthe goods canalso of the bills in the slums, door-to-door collection selling waste・ enterprises job.The communityservices example into the overall organic or by either the prlVate this For activityincluding fi・om on. assist in collection may management. integrated so and the communitygroups are Which streets, richer to build sectionsof public the awareness communities, for the awareness public Of water, consumption cycling JOumeyS, reduction in including washing sector, advantages Similarly 3.5 The delivery, land別l or for decentralization munlCIPal including may 血e decentralization bringthe national is not institutional onthe police, help level established. changes and Most they 58 the private sector, andthe of the service・ ditrlCult issues likethe target is not targetlng so on・ inthe re-arrangements reforms between 1n SOme but it are delivery are the urban services, service refbms only OVerall Therefわre, institutional of the decen廿alization govemments. of the disposal・ are and The of the public level of environmental improvements makethefiscal price andtheir level if the proper link betweenthe and waste in nature education, to improvethe to give pnvate forthe for proper but to Practices, children・ of the limitations the check guaranteethe provision agree sector public broader deterioratethe direct andthe decision-making appraised delivery, service is also possible that it may implemented are administration, decentralization placesthe are incinerator an usmg Reforms in especially and awareness hyglene communities communitymay communityto of the Reforms governance if they not healthand buildthroughpublic awareness canbe ofa The rolefrom Context improvements consensus the walking public does supply proper bythe infrastructure. and role of the consensus construction for water only asthe increase to and reducethe properly, of the communities, sections adapted of changlngthe including measures are is also essential role of the service a poorer off the waste JOumey diseases,un1essthe of hands, services car of behavior, water-related environmental sector hyglenic awareness public Inthe on・ dispose waste, the number reduce so and induce to canhelp help to reducethe can meant not and to the local and for prlVate Reforms however,this of the services; environment. For dischargethe polluted sector pnvate Similarly, the waste prlVate Sector as if instead the vestedinterests mafia" can are to in many can a get of the level of community pnvate The prlVate Sector consumptlOn and level will be higherthe profit reforms chance participation sectors, community managetheir countries,the Most The the need for improved level of institutional. leaders. either is generated profits・ create may increase也e The consumption its revenueand cycling. may sources. encouragethe maximize to sector water transit system, mass encourage of waste withpublicand of the to may for walkingand company・ to improvethe communities Public volume management of coherence vestedinterests managing morethe system of water man喝eme叫may PartlCIPation Reforms Supply of encouragement waste waste solid Sector, Instead generation forthat conservation prlVate f♭r solid working a Water in urban in place, the pnvate iqtothe丘esh treatment, proper the level improvements overall lS not monitorlng to improve targeted mainly forthe guarantee if the proper managlng ratherthanthe joumey not water,without company are PartlCIPation may example, of water forthe Sector or services to exploitthis ``solid waste start the conflicts communities participation provides monitorthe …water to delivery・ like infamous mafia," for empowerment service empowermentand mafia," also be backflred, may and The "land …transport ma危a" be popped-up. Hencethese community virtuous participation reforms require for decentralization, careful implementation circle. 59 Sector prlVate to change Participation, viscous circleinto and a 4 Outcomes of the Reforms The are communityparticipation stages・ Furthermore, overall these not and will be unfair to concludethe the urbanenvirormental mangers of the reforms urbanenvironmental viz.: whether the reforms could not be generalized geographical To or studies, focused improve studies have studies are management, related and future been different This two may air pollution andthe one on help context of血e working level to review in general and If well? on aspects, some of lessons well?What be replicated can their waste urban other of the practical to other up urban withinitial management, lS Presented fours air qualitymanagement is onindustrial 60 pollution・ new the in&astructure at lessons, can environmental summary are reforms is to analyze optlOnS and services to come for better solid are lt lS important national working fact that most onthe environmental roadmap on and based available, analyzedand focused not on canhighlightvarious review arethese are impact locations? is not on why in which reforms review, locations・ the whythese what conductthat infbmation to wellthen institutional essential geographical welland it andtheir urbangovemance in particular. This Hence management・ place early to improve aimed at local and onthe working working and place・ Nevertheless, makers impacts management new refbrmsinfirst second policy andtheir the reformsare are atthe andthe are and still intheir are the environmental of these outcome Participation, countriesthese countries particularly management environmental the progress in many Sector prlVate in many quite newand reforms urban govemance forthe decentralization, to promote reforms which inAnnexure-1・ on where These one case beused Four case case wastewater and water case different Some management・ and is on transport studies cover enterprises community-based behavior for user These in the wake due capacitymainly traditional the be to required waste to pay use The major for this service issue, hand, has to showthe the govemment their resource use, and of the lack the it asthe other taxes to make waste solid of the local are strategies to how show to cover sector of the e氏ciency investment assume inthe type new households basic are responsibility like propertytax. pay・ On users of its expenditures,and transparency effectiveness and traditionally aS required the of private Improves be flnanCedthrough View example umbrella of financlng, are good for further motivation regulations inducethe also the appropriate a set-up in manplacesthey and hand one This remains that should the on is one ln grow血, constraints, Case rate. and Challenge of the local govemment, solvethis timings, economic put under collection collection of equlPment・ not tothe and and Malayslan Canbe keeplng and teclmical The out・ level enterprlSeS area resources, of urbanization andthat for this service. beglnnmg, a Just collection them pay tofinancialand chalked small bigger are experiences rates generation households as charges door-to-door provide the other efficiency services eitherthroughpublic services is still hanglng To of or sector throughprivatesector. The delivery of water govemment and local governments are getting is under血e local government・ Nowthe and hand limited operation financial and wastewater departments. government responsibility. For more govemment, tothe over and local resources, maintenance, government the user the for its operation local governments unless treatment cons廿ucts govemment fees are 61 current and under也e supply national treatment maintenance. difnculties and local water wastewater will face introduced was national reforms,the in Thailand,the example, wasteⅦter while血e national Withthe between continuous But plants due in carrylng support to Out from national is in place govemment fiscal decentralization or is a of decentralization part reforms. The places psp case sector private is mainly due tothe success rate could tothe best for water groomed international and arguedthat Due the prices for PSP. Social case implementthe most study Manila up・ The uPand dimension be argued The West and critical lesson reforms on to create two on important yet higher price Was is is hard a not high a it is to break nature・ monopolistic were companies water is a glVen is Sector prlVate this issue well as is not there and competition,the has to work government it has and the Sector prlVate wastewater where quasi affordabilityis very totally onthe in Sindh investment in place water either case study・ Furthermore, case and were raw is costly which supply in Manila even local the inthe Manila water body of capacity the Manila example the issue without services appropriate conflict resulting invited, seen bulk For the regulatory Similarly, was management, nature, monopolistic pushing as it requlreS Thus in Eastand contracts fromthe solid waste value-chain. tothis it cannot devaluation exchange unlike sector private out. lead tothe source. necessity・ coupledwiththe the of sorted Macao, and can of water provision including capacity social interestsand organizations for PSP, not better. In Johor discormection or risk of forelgn intothe be much were in many that show obligation ratherthanthe hurry tothis issues that if the appropriate clearly shows solved important build andthe not an forthe Due wastewater and intemational goverrments fiscal decentralization. appropriate water from pressure local on is becoming participation responsibilityonthe was (Annexure-1) studies before basic golng need and basis of the free-markettheory・ for communitybased province of Pakistan, communityownershipand 62 water supply and wheretheinstitutions maintenance sanitation were acrossthe comes setright board to in all However,withthe the province・ over Department divided was integration of the decentralization and damaged rather than studies on case responsibilityof interesting national to The towns. old HealthEnglneenng division,without Therefわre, system. careful this 1n based community strengthenedthe the case supply water Onthe bringthe hand, one to many road・ The underground, helped to phase long over Bangkok time due lies withits that makes Thailand to followthe industrial for the other of the countries in也is of this region, taking the and powers, more actions wbicb are trickling down not of the reforms・ sky train, is being out Due tothis success of locatedthere status, the local local govemments to the effect of the reforms postponed the is also government available oぼthe communityparticipation Nevertheless, prompt・ the air vehicles transitthrough phasing corrmunity. national polluting and it is to monitor powers mass in Jakartathis while Bangkok, showsthat advantage forcingthe awareness of capital city, as can help of cities in other of Bangkok. success the pollution, countries, reglOn by most providethe communityparticipation. the level of public from pressure ex廿a cities・ However,the learnlng gasoline, status the other For The communications also has govemment to to improve buses・ leaded out including regulations luxury and and countries, is getting responsibilityand has helped sector the of mega-cities in environment local govemment private or major improvements implementthe to qualityand most of the decentralization, PST, outcomes to possible in is (Annexure-1), which air qualitymanagement govemments major citywithsimilarities and led refbms, Public sanitation. Lastly,the a districts and acrossthe previous decentralization, current are as of Kitakyushu success Japanwas tOday・ The also almost public 63 pressure Initiative atthe same a provides level, where is also increaslng ln good many the o也er to countries glVe-uPthe is golng government Kitakyushu teclmical andfiscal bard section support by and pu仙ng spirit. tfKitakyushu decades,血en Citycan it is also possible 5 Moving atthe overall urbanizationand ongolng urbanizationwill continue・ infrastructure measures and powers tothe as it golng its blue o也er or cities had were less by time regulations血也eir blue waters to fbllow血e coun廿ies Onin very its capacityover skiesand local people afew will to implement血e back was they Citydeveloped The bring as citygovemmentand are taken. not this challenge. in丘astructure On reforms, The The appropriate and hand, one services. to facilitate prlVate in&astructure gap between that the current supply two within suit・ inAsia national some are Including On various Sector the other hand, PartlCIPation prompt introducmg local govemance, inthe provision and environmental effective various agencies provision Acts of rapid of urban andintemational to the respect trends demand and critical, unless of the countries to improvethe andthe it is evident become Most the the pacific with scenarioinAsiaand serviceswill decentralization adapted of the political fbr血e of Forward Looking tackle s仕ong circumstances, implementthe and local capacityproblems time. atthat cleanlater," de-concentration same also facing was first and The inthe almost environment workinginthe true On City, which working industries・ polluting regulationsonthe of "develop notion and and are reforms to promotlng of the Laws are management being of these services. decentralization is taking decentralization could place in different forms be the devolution 64 in different of responsibilityand countries・ The delegation of authorityto the local govemments bodies autonomous being are governments tothe or serviceswithout de-concentration andthen making However, sector. pnvate forthe responsible huge Due tothe infrastructure and service, the local governments conditions of the private especially for social-equityand avoidthe sector, hiring conditions and local private they could be obligation to address Nevertheless, arethefirst infrastructure and social-equityand to meet tO improve action plans forthe and community, of the services under terms different and forms. The be facilitated forthe should the part of the community, are of the communities andthey may feel some affordabilityissues. lessons from current for e飴ctive 1t is decentralization negotiatethe services.Asthey the growlng onthe of decentralization, caneffectively for decentralization, the reforms services. The and benefits communityenterprises, to deliverthe step forward future strategies who reflective to thewishes more be appropriate terms those accept local govemmentsthroughfiscal the provision monitor partnerships of these provision unwillingly and and generation forthe and to reapthe resources including sector, public-private policies human can also local affordability. capacityof well-trained not tothe oftheinfrastructure revenue may whichmight market免ilure crucial to strengthenthe and gap services countries,the provision intheinvestment expenditures. To in many fiscal decentralization for substantial of public and Challenges PST, and Notes 65 can to produce efficient provision SerVICeS. communityparticipation for urban the experiences reforms and environmental help to chalk-outthe and implement oftheinfrastructure viable and I Hardoy and (1998) arguesthat et al. are sanitation facilities irrespective service. Hence, eaective 也e provision Refe renc ADB by the govemment, provided connectedwiththe and of the statistics for the provision most they to oftbese seⅣices. Water Practices Supply,Asian Adhyaksa, I.H. for P7VmOting Development (2004), on of Infrastructure ht申://www. kkpp i.go. id/papbookNater%20 (2002),Local ofFlfteen Beattie, are which relatedwith English of Pollitt, M.G, Pnlon'ties, JR, Asian M, and local govemment. 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Pn'vate Bank, Sector Private hdonesia:AnOverview The reliability es (2000),Best Berg, effective includethe should supply households get reliableand healthtargets, environmental achievethe allthe can of weatherthey 'adequate'provision recommendthat services whichincludes of water Experience of Public-Private Partnerships for Urban Zntemational Review Clay, W., Asia, EBRD INDES Recons廿uction ESCAP Ghai, Vivian, and J.E., Mitlin, J. Urban Mansuri, World Mclntosh, AC, Development T. M.A. for Bank Pacljic, the and United Cities: McGrawIHill, Bank V New Uniguez, Bank, Reference Air Research CE Peoplek York QualiO/, World Problems in an Bank Teclmical Paper No. D.C. Human a Development ofLite和tuTleノわm 1 3, New York EnviTDnmental Planning and Management in York (2004) Communio)-Based Policy New ActionI Ltd, London A Survey Paper Entl'7VnmenぬI (2001), EnviT10nmenLal Series, Washington, Working and Paper (eds.)(1997), Second Development.・ -Dn'ven 3209, Water Washington A Cn'tical DC. 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・AIamFloraSdnBhd,aprivatecompany,lSreSPOnSibleforthemanagementofsolid KulaLumpur Ta甘d..Toimprove collectionanddisposalof waste ReformsI Decentralizationofloca1 govemmentdepartments Privatesector participationinpublic Services wastccoveringatotalareaof72263km.2Thisextensivecoverageenablesthe companytoundertakemoreeBTICientandeffectivemanagement(economiesofscale) ・Thecompanytrainsthepreviousandnewssmal1conbactorsandprovidesthemwith m∝王ernteclmologytoenablethemtocarryouttheirworkprofessional1y ・Withbetterschedu1ing,andhumanresourcesandequipmentcollection廿ipsand collectionratehavesignificantlyimproved ・Theus∈rchargestobeco11ectedfromusersandthebasisonwhich也efeesaretotx collectedarenotyetsettleddown.Thisissuehaspoliticalandsocialimplications ・Thetumaroundtimeforeachgarbagetruckisseverelyhamperedbytheworsenlng 廿afficconditionsinthecity.Thepossiblemeasurescollectiontimesatnightorvery earlyinthemomlng,andthenumberandlocationoftransferstations C:outzhy/CioI Bangladesh/Dhaka TaTgd.'Toimprove prlmaryOrdoor-to-door ・hKalabagan,adenselypopulatedandtypicalofmanyinnercityareas,residents remainedhostagetotherefusethattheythemselvesproducedregulaTly ・h1987,acommunitygrouppurchasedtworickshawsandmodifiedthemintowaste collectionvanstostartdoor-to-doorcollectionofdomesticwaste collection ・TomeettherunnlngCOStSandbitofaprofit,theychargesnominalfeefromcachhouse Reforms.. ・Thesuccessoftheoperationledtotheformationofanotherfourcorrmunitybased Community-based organization(CBO)fTorwastecollection;however,theseinitiativesfailedtobring orga血zationstoproVide overallsuccessofsolidwastemanagcment,astheseactiviticswerenotintegrated serviccsfTorpr皿ary withinthcoverallSWMsystemofthelocalgovemment叩C) collectionofwaste ・underapilotactivityofKitakyushulnitiative,DCChasestablishedamobiletransfer 70 1 station to coordinate Couf[Lql/Cio1.・ Camtx}dia / Phnom ・ Penh Target: To 0011ection improve也e ・ system Private provide &anchi to companies services se based and on ofPlmom Penh岬P) Management (押WM), was the existing landfill site The company private was The households other tariffs arangements ・ The are ・ Cm intention A new ● This Me血on et al. to is very communalwaste client able to paythe lowamong low current cancel lS implemented tothe serves current was to is due EdC that don't by since 2004, waste collection and economic levels offee its bill has no lcga) rightand for SWM pay services fees negotiating with its best to provide even adequate must t光made only (2004) 71 responsible by the public sector serve processes, levels service serviceswithinthe not be solved pricing in low to for CmRI and rate, because CNTRI area collection reasons influencethe doing can to low or monitor sector as third of the munlCIPal in bidding position that two not involved weak private is the low system noincentives PPWM CmRI including basis only around provides by by class Cambodge申dC) successful, for costumers citizens highincome middle-and de The waste. fees,thewillingness )evel of free collection proven electricity supply high re)atively the urban app)icable unfair by many aB urban ofPPWM for household seen the and the involvement fixed fees, is from collectfees of CINTm partieswidlOut on has not been unsatisfyingsituation Because The not oRen onindividual criticism problems Sotwce: service strategy which ・ are is血e is based to ontheright be covered丘omthefees must which So far,this measurement no of operating CanadianCINTEC Ofthe collecting services to the electricity bill ofElectriciti cuJTCntly ・ MPP two tries to overcomethe The is based betweenthese poor for waste households ・ for Cm businesses. small negotiated for SMW ・ and the urban to pay ・ of income tariffstructure, ・While mem一光r franchise-contractin2002for costs of street clean1ng current Waste is still in charge SWM, a Penh ofPlmom Of streets source only fTor overall (Camtx)dia) Ltd,, 57 year a activities of CBO collection throughitsdepartment responsible CNTTu glVen and cleanIng ・ door_to-door Municipality Group, R4oTmS.・ these with )imitations for of Cm income areas, these areas it suFers a ・CINTRI very is of cost re甲Very structuraland institutional B. Water and Wastewater CounLTy/Cio1:Philippines /Manila Ta曙d:Toimprove Coverageofwatersupply &sanitationamdto reducethelosses Re/orw: ●Theformulaforbidswasresultedintheextracostsdueto50%devaluation.Hence, re-basing(resetratelevelseveryfiveyears)isagoodwaytorenegotiatetariff ・hterconnectionagrecmentwasnotresolvedandissubjectedtoarbitration ・Appropriatebiddingcriteriamayh=basedonhighestfecforeachconcessionwitha predeteTminedtariffstructure ・BulkwaterrightsandtradingwerenotpresentinM:WSS;hence,itseemscorrectto proceedthanwaittilltheresolutionoflong-termcomplexissues TheBOTLaw(1993), ・Regulatorybodymustbeinplace.EFICiencyofMWSSandJVswascommendable whichenablesPSPin ・High1evelofadviceandgoodpublicrelationsareessentialtobringgoodJVs publicworksactivitics ●LowtariffsdonothelplnCOnSerVationtargets;hencctaxincentivesshouldnotbe TheWatcrCrisesAct 廿adedfTorlowertariqs (1995),1egislationfbr privatization(MWSS -LWUA) NationalEconomicBoard Authority,Board Resolution4(1995)on PSPandpricing CounLTrV℃妙:China/ Macao naTget..Toimprove ・TadffRemainedsameformanyyearsanddidnotrefkctthecostofwa.tersupply,thenit increasedfTromP1.8toP2.3(1983)也entoP2.5(1985)percubicmeter ・Thereshouldbeasuccessfulcombinationofcompetentandqualifiedconcessionaire, coverageofwatersupply capital,1ocalknowledge,appropriatetechnologyandeXpertise,andtheregulatory andsanitationandto frameworkincludingregulationsonthetariff reduccwaterpollution RejTomwI Theprivatesector ・Theflexibilityintheconcessioncontractiscritical,assomepredictions,fTorexample demandofwaterandforeignexchangeriskmaybedifriculttobemade ・Acost-basedformulamaynottakeintoaccountthepotentialforcostsavlngSdueto participationfTor economiesofscale.Moreover,auniformtariffforallmaynotbeviableorefficient watersupplyand optionforresourcelocation wastewaterservices ●Theprofitsreducedfrom21%tol4%(1986-96)duetoinefficienciesinoperatingco告ts CounLTy/CiolIMalaysia/ ・Reliablebulkwatersupplyisessentialtosupportpopulationandeconomicgrowth JoborBahn1 ・BOT瓜OTisabetterapproach,ifpublicfundsarenotavailable TaTgd:Toimprovethe ・Bulkwatersupplyconb.actsareeasytonegotiatedincomparisonwithretai1water availabilityofbulkwater ・ThereshouldbeadirectlinkbetweenthetariffsfTorbulkwatersupply(tobepaidtothe forwatersupplyservices concessionairebyJWC)andtheretailwatersupply(beingpaidbythecitizensto 72 RejTot7W.・ JWC), Decentra)ization to govemment Private water local of in bulk services Ta甘d・'To improvethe pnvatization Appropnate ' aぬnk etc・)・Select village d eve or苫anizations the frees utilities of the supply a鮎r lopment to collect run and their ownership completed and/or and sanitation utihties Sotqce: Govemment: teams, supply Me血on, Imura and/or and start collection providein-kind treahent during Provide assistance (2001) 73 health& organizations. wastewater The conbTaCtOr the testingperiod in major and keep maintenance conserve scarce resources Attend offees. health & of m㊤etings. (labor,materials, contributions ownthe scheme the fTecs regularly・ help of the hygiene with to selectthe works, Carry has to provide for 3 months・ close liaisonwiththem the site for the community・ that contractor and project Oversee education. projectteam of the scheme a the demo¢raticand on records p)antincoordination througha the processwiththe trainlngand to the communities of schemes (2004), and Me血on essential to consumers testing of the scheme, by collecting maintenance women trainlng tO ale OPeratOrS transfer organizations completionand of the scheme construction maintenance・ Change, provide activities ofcommunity& water After and women Facilitate commumityparticipation whoalso outthe water the operators・ carry out operation forthe for leakages well to optimize accountand of charge incendves provide by reducing hygienic practices. Maintain adapt of land &ee directly can management basis. Open ReJToTmSI as demand the utility prob)emfor retailer provideincentives representative and solvency of unaccounted-for-water community& Procurement management, care and services To establish sanitati on and retail Communibf: hygiene education ownership of tariffs from rural waLter SuPPlyand Community subsidies Private sector canhandle ' Paki stan increasing avoid concessionaire to take engage sector Counh71/Cio1= 。 The to Finally for routine C. Urban Air Quality Cou〝LvvICioT: Thailand / Management ・ Target.・ Phasing out gasoline, reduce the sulfur content zero, to land-use, Zoningand plarnlng: monitonng htroduction of regulations: ・ hstitutional arrangements: ' FX)lluting vehicles, and mass廿ansit for especially transit system mass ・ Decent,rali2:ation local authorities . community in stitutional vehicles C皿廿ol (National Department AuthorityOJOCal Goverrment) incentives stations and proper participation: Public political Pollution of for cleaner use and will and bannng andforthe air quality monitoring monitoring like and s, gulation , for the regulations of role Metropolitan Economic for fuel and standards teclmologleSandfuels, and of vehicles: the polluters Technology proper ReJToTmS: Clear Financial mechanisms: penaltyon ・ Appropriate Bangkok Govemment)and of air on appropriate ・ near quality, regulations re urban (sub-way, sky trains, and bus lanes) Bangkok leaded proper (UAQM) die awareness promotethe important were gaSOlinewith1ead or congestionfees, repalr garages to campaigns maintenance implementation proper of transit system of mass public vehicle proper implement to bannlng contenちor the critical decisions cars, Old imposlng or public廿ansport promoting stre ngthening CounLTV/Gig): Japan Kitakyu / Theair-pollution u sh Ta曙et.・ To reduce rx)llution levels and bring back blue not kecptheir the to startedthe sky Environmental Ordinance Municipalities the capability adm ・ Hencc,the (Kitakyushu) Merging ・1963 toincrease ・ of local ・ ・ Control ・200 0 Environmental Me血on Environmentalmonitonng Issuance ・1970 pollution on sh u ・ The realized ● Local govemment's ・ A触r 1 996,也e + In year 2000 a good support fuus ISO14001 is that if regulations・ the voluntary and gave city the pollution・ Kitakyushu transferred fee according compensation keep companies They that if the realized stringent agreed could po11ution・ indus廿ies more women started smogaleJt damage The of decentralization, also started the process to dealwith powers The bring may indus廿iesinitially and prefectures more l00al govemments loose the elections・ thentheymight serious・ to continuous 1960sI and to amount of pollutant discharged introduced Law Kitakyu 1956 The pollution・ very getting cleandue the elections, thenthey The govemments of5 Environmental 1 967 SoⅦrce: againthe lo¢algovernments agreemcnts・ inistration Pollution campaign were houses and clothes the communistswin RejToTW: ・1955 washed hit due to theindustrialpollutionin1950s healthproblems rehtcd is not taken action the worst Citywas ・Kitakyushu on was image by responding fTor Small Agenda21for established (2002) 74 and Medium achieving to public opln10n Scale Industries sustainable (SME) development was Appendix 2都市ごみ焼却施設建設の環境影響評価における住民の情報ニーズ に関する研究…ソウル市を事例として 文 多美・白川博章・田畑智博・井村秀文 はじめに 生活のゆたかさの拡大とともに都市ごみの発生量が増加するのは世界的な傾向であるが, 韓国もその例外ではない。韓国は衛生埋立がごみ処理の主流であるが,近年は,将来の埋 立地の許容容量の不足や循環型社会構築に対する気運の高まりなどから,ソウル市などに おいて,焼却処理に対する議論が高まっている。 しかし,焼却処理施設は典型的な迷惑施設であり,日本では,建設に対して多くの住民 の反対運動が起きている。韓国においても,その事情は日本と共通している。反対運動の 原因としては,地域の環境悪化に対する住民の不安に加え, MMBY問題に見られる,施 設建設に対する受益者と被害者との帝離がある。すなわち,廃棄物は建設予定地区の外か らも広域的に搬入されるにもかかわらず,施設建設にともなう環境問題は建設予定地周辺 に集中して発生するo これが問題の解決を一層複雑かつ困美削こしているo したがって,施 設の建設には,施設自体の環境保全対策だけでなく,受益者と被害者との公平性を含めた 建設計画の合理性について,住民の納得が得られるかどうかが鍵となる。 一般的に,環境に重大な影響を及ぼす事業を決定する際に,環境影響を調査・予測・評 価し,適切な情報公開と住民参加を確保する仕組みとして,環境影響評価(EIA)があるo ま た,意思決定のより早い段階でより広範かつ総合的な環境配慮を行うことを目指すものと して,政策,計画,プログラムを対象とした戦略的環境影響評価(SEA)がある。 スメント研究会, 2000; Vincentet. al., 2006) (環境アセ a EIAによって住民の理解と合意形成が円滑に進むかどうかについては,韓国においても 多くの議論がある。住民の理解が得られない原因として,金(2000),造ら(2001)は,評価項 目の選定過程が不透明であることを指摘し,評価項目の選定段階から住民を交えた議論が 必要だと主張している。こうしたEIAの限界については国際的にも多くの議論がある。原 料(2002), Fiscber(2003), Gustavo et. al. (2006)は,そもそも個別の事業計画が具体化し た段階で事業者が住民に意見を求めても,住民の意見が反映できる範囲は限定的にならざ るをえず,事業の基本計画の段階から住民を交えて解決策を議論することが重要であると 指摘している。さらに, Haras血血a(1995), Wright(1993)は,単に制度の有無が問題でなく, 住民と政府とのコミュニケーション不足と,それによって生まれた住民の政凧こ対する不 信感も,迷惑施設反対の一因であると指摘している。 このように, EIAを実施しても建設反対が起きる原因としては,住民が知りたい情報と 開示された情報の間に帝離があること,住民が計画の妥当性に疑問を抱いていることなど が指摘されているo しかし,こうした議論は外面的な観察に基づくものが多く,また,個 別案件によって本質的な事情が異なることを考慮する必要がある。そこで本研究では,焼 却施設建設に対して住民の反対が起きているソウル特別市(以下,ソウル市)を対象として, EIAにおける住民意見を調査し,住民が求める情報内容を検討したoまた, 75 EIA実施後に, 焼却施設が建設された場合とそうでない場合とで,住民意見にどのような違いがあるかを 検討した。 表1 区分 焼却施設建設に関する住民対策と地域の特徴 地域の特徴 住民対策の内容 建設計画地の地理的特徴 施設建設をめぐる住民と行政の動き 。ソウル市で最初の焼却処理場 木洞 ●1980年代に開発された住宅地 ●焼却処理の広域化計画に対する強い住民の 反対 ●住民がNGOの籍成し,それが中心となり. 行政との対話や木洞焼却施設見学などを ①自区内処理原則を 建設 ②焼却処理能力の縮 され ●行政の住民に対する合意形成努力の不足で不 信感を高める ●焼却処理の広域化計画に対する強い住民の 反対 ③最新の公害防止装 置の設置 ④福利厚生施設の建 設 -園 麻浦 道峰 建設 つた 事例 ●ー995年以降開発された住宅地 小 た 事例 され なか 実施 約束 産原 江東 ●位置選定問題の円滑 な 。ソウル市郊外 。嫌悪施設密集(下水処理場,地域暖房公社. など) 。住民がNGOを結成し,行政との対話を推 進 。焼却処理の広域化計画に対する襲い住民の 反対 。ソウル市の埋立跡地に隣接. ●環境データの信頼性をめぐつて紛糾 ●2004年(ワ-ルドカップ)から大挽操な住宅団地 が形成 。焼却施設建設後.行政の判断で他区の廃棄 物を搬入開始 。国立公園に隣接 ●NGOの強い反対 ●浄水場に隣接 。NGOの出身者が市.区議会などに進出し, 建設を白紙化 。ソウル市外の住民の強い反対 解決 松坂 。区長選で.建設に反対し.近隣の-園焼却 填での処理を選挙公約に掲げた候補が当 。ソウル市と他地域との境界 遺したことで.計画の白紙化 1.ソウル市の焼却施設建設事業とEIA 1. 1 ソウル市の焼却施設の建設 ソウル市最初の焼却施設は, 1986 年建設の木洞(モクドン)焼却場であ る(図1)。その後, 1990年代に入り, ソウル市は,各区1)に焼却場を設置す る計画を打ち出し, 1991年に,木洞 焼却場の増設事業とともに市内11ケ 所の焼却施設の建設計画に着手した (朴ら, 2003)。その内, 処理施設建設については, 施されたo しかし, 7ケ所の焼却 EIAが実 2005年までに建 設された施設は,木洞,産原(ノウオ 1 987年J:(暮J&) 20q2年J( 1 996年JE(他) 図1 ソウル市における焼却施設の位置(計画のみも 含む) 76 ン), -園(イルワオン),麻浦(マポ)の4ケ所のみであり,道峰(ドボン),江東(ガンドン), 松坂(ソンパ)の3ケ所では住民の反対で建設されなかった。 各施設周辺の地域の特徴と焼却施設建設に関する住民対策の内容を表1に示す。建設が 実施された4つの事例でも,建設計画の発表当時は住民の強い反対意見が出された。しか し, では, NGOが結成され,それが行政との合意形成に貢献したo例えば,産原焼却施設の場合 NGOが主体となり,先行して建設された木洞焼却施設の住民見学会を行い,焼却施 設に対する理解を深めることに努めたo こうした住民と行政の話し合いの結果,ソウル市 は自区内処理の原則を守ることと,焼却処理能力の能力は縮小することなどを条件に焼却 施設を建設することになった。ただし,焼却施設建設に関する情報公開と住民参加は必ず しも十分ではなかったため,施設建設に合意した後も住民は政府に対して強い不信感が残 2000)。しかし,ソウル市は建設時に自区内処理原則を約束したのにも った(催, 2002;李, 関わらず, 2001年に焼却処理の広域化計画を打ち出したDそのため,木洞,産原,一園の 各焼却施設では強い近隣住民の反対にあい,広域化計画は頓挫した。しかし, 2005年に建 設された麻浦焼却施設では,行政の判断で他地域からのごみの搬入が実施され,市民の行 政に対する不信感は一層高まった。 他方,建設されなかった道峰,江東の各焼却施設では,施設建設予定地が国立公園や浄 水場に隣接していたため,施設建設にともなう環境悪化が強く懸念された。また,松坂焼 却施設の場合は,ソウル市と市外との境界付近に建設が予定されていたため,ソウル市以 外の住民からも強い反対意見が出された。 こうした住民の強い反対は,建設された4事例のケースとは異なり,住民と行政との話 し合いにより解決することなく,逆に両者の対立は深まり,政治問題に発展した。江東焼 却施設建設計画の場合には, NGO出身者が市・区議会などに当選を果たし,建設計画を白 紙化させたo松坂焼却施設のケースでは,行政と住民は施設建設に対する補償問題も話し 合ったが,区長選で建設反対を公約に掲げた立侯禰者が当選し,建設計画は白紙撤回され た(李, 2000)0 ただし,松坂焼却施設のケースにおいては,ソウル市のごみ処理広域化計画も影響して いる。すなわち,この当選者は,単に焼却施設の建設に反対するだけでなく,近隣の-園 焼却施設での処理を選挙公約に掲げていたo これにより,住民は広域化計画により白地域 の廃棄物を他地域で処理するという選択肢も得たため,焼却施設建設問題に関する議論を さらに複雑なものとした。 1. 焼却施設建設の手続きとEIA 2 ソウル市における焼却処理施設建設事業推進に関する手続きは,焼却建設計画の関連法 令2)より, ①政策の策定, ②基本計画の策定, 境影響評価, ⑤周辺影響地域の決定, このうち,住民参加が実施されるのは, 響評価, ⑤周辺影響地域の決定, ③立地選定, ④施設設置計画とそれに伴う環 ⑥工事開始, ⑦施設の利用の7段階に分類できる。 ③立地選定, ④建設設置計画とそれに伴う環境影 ⑦施設の利用の4つの段階である。 韓国でEIAに関する法律が施行されたのは1977年である。また,廃棄物関連事業に対 するEIAが義務化されたのは1991年であり,説明会・公聴会の開催など,住民参加に関 する制度も導入されたoなお,焼却施設の建設の場合は,焼却能力100t/日以上の施設建設 77 に対してEIAの実施が法律で定められた。また,ソウル市では, 2001年にEIAに関する 条例を制定したが,国レベルの実施基準に上乗せして焼却能力50〟日以上の施設建設もEIA の対象としている。ソウル市の場合でも,意見書の提出,説明会・公聴会の開催などを通 じて住民参加が行われている。 さらに焼却施設建設について, 定,住民補償の問題に関して, EIAだけでは住民との円滑な合意形成が取れない立地選 1995年に制定された「廃棄物処理施設の設置促進及び周辺 地域支援等に関する法(廃棄物促進法)」に基づき,住民の意見を聞く機会が設けられている。 他方,韓国では, SEAに関する取組みも始まっており,国家レベルでは1999年に計画策定 段階から環境-の影響を考慮する「環境影響評価制度」が制定された。また,同じ年に,ソウ ル市でも環境保全の見地から開発計画の持続可能性を評価する「持続可能性評価制度」が定め られたo ただし,これらの制度には,住民参加の手続きは明記されていないo 2.研究の方法 2. 1 分析方法の概要 本研究では,まず,ソウル市の焼却施設建設に関するEIAにおいて,住民から出された意 見を,事業の段階別,環境要因別に分類し,焼却施設建設における住民の情報ニーズを調査 したo次に,住民が反対するのは施設建設の必要性に疑問を抱いているのではないかと考え たo これを検証するため,全7施設の事例を,焼却施設が建設された4施設(グループA)と 住民の反対で建設されなかった3施設(グループB)に分けて,それぞれの住民意見を事業段階 別に集計し,両者の分布の違いを,分散分析を用いて検討した。 住民意見は,各焼却施設建設計画でEIAが実施された際に出された意見をまとめた資料 (ソウル特別市, 1992(a);1992(b);1994;1996;1998(a);1998(b);2001(a);2001(b))を用いたo次 節に,意見の分類方法を記す。 2. 2 意見の分類方法 住民から出された意見を,計画から施設利用に至る一連の手続きの,どの段階に対する 意見かを分類した。焼却処理施設建設事業推進に関する手続きは,前述した7段階とし, 段階別の意見を集計した。 次に,段階別の住民意見をさらに,環境要因別に分類した。環境要因は,環境アセスメ ント喜作成ガイドライン(環境部, 2003)における環境要因の規定を参考にして,表2に示す 計18項目としたo 3.研究の調査結果及び分析 3. 1 表2に, 意見の概要 EIAで住民から出された意見を,焼却処理施設建設事業推進に関する手続きの 段階別,環境要因別に分類した結果を示すoまた,図2に事業段階別・環境項目別に意見 を集計した結果を示す。 全7施設の焼却施設建設計画におけるEIAで,住民から寄せられた意件は,延べ8,019 件(意見提出参加者: 1,400人)であった。そのうち,グループAで出された意見は1,418件 78 (17.7%)であり,グループBで出された意見は6,601件(82.3%)であった。 表2 焼却処理施設建設事業推進に関する手続き別,環境宴因別の住民意見 手続きの段階 環境要因 政策の安定 基本計画の策定 立地選定 設置計画 周辺影響地域の 決定 施設の利用 エ事開始 評価書上での気 象関連データ 気象 の信頼性 自 然 環 境 エ事する際に、 環境影響性評価 盛土と切土との 地形.地葺 評価要求 自然環境保護- 動.植物 の対策が不十分 国立公園での建 設は反対 の要求 事業より自然環 境の影守が重要 水利.水門 焼却施設建設の 土地利用 妥当性に疑問 施設周辺の土地 利用計画の公開 要求 他施設の建設に よる敷地内の影 曹分析 忌避施設の密接 による生活環境 への悪影響 立地選定の再検 討 ソウル市の大気 大気 質 大気貫関連制度や 基準値等の制定要 汚染物貫総量規 制の情報への信 求 頼性及び公開 要求 公 隻 請 守 境 害 ・振 動 辛 廃棄物 壌昔.在勤の基準 設定要求 Ej 焼却灰の処理法案 の制定要求 公害発生原因の 共同調査要求 公害関連データ の信頼性弱い 廃棄物の現状及び 焼却炉稼動及び 車両の振動 悪臭関連データ の公開要求 汚染防止施設の 連投‡求 汚染物貫排出の連 成条例の制定要求 焼却灰の処理対 箕の要求 ごみ処理方法の信 頼性 焼却施設による 美観の損失 衛生 健康.衛生に関 ・公衆保健 する保護対糞要 求 補償.生活権. 生活権の確保で きる立地選定 人口 エネルギー供給 データの公開 【ヨ 済 環 境 要求 悪臭関連計画. 対箕の要求 ・*& ■■ー エ手に及ぼす雇 育.振動の対策 届書.長動駒連 計画の要求 王■ レジャー 社 処理施設の稼動 に関するデータ の公開要求 汚染水の予防箕 悪臭 公害 全般 エ事の不億感 の公開要求 大気賞賛料の億 頼性問題 大気真の佐波隻 の公開要求 水責 土壌 届書 周辺影響地域の 範囲の設定可否 車両運搬ー交通 圭の増加による 影響 ソウル市の清掃 車両の現状公開 交通 エネルギー供給 の対策の要求 エ事する際の駐 手間題の対集要 交通事故と汚染 物の落下の危険 求 性 文化財 適法性-の疑問 その他*事 廃*物問題の専門 家の養成要求 廃棄物基本計画 の現状公開要求 焼却施設の亭主 は適切なのか 関連データの公 開要求 立地選定手続き -の信頼性がな アセスメント実 施での住民参加 焼却施設建設の 信頼性(処理親 い 模) 委員会の内容公 開要求 引接と周辺影曹 地域との区分 安全.億頼のあ るエ事要求 連投技摘に対す る政府の意見 I:公害全般は環境アセスメント暮作成ガイドライン(環境乱2003)では区分されていないが.住民意見により収集された公害全般に関する項目を対象と した。 棉:その他は環境アセスメント書作成ガイドライン(環境乱2003)では区分されていないが.建設.住民参Z)P.電波.焼却施設の能力などに関する項目を 対象とした。 事*事:空欄の項目は.住民意見がなかった項目である。 79 信頼性の高い統 計データの作成 要求 図2 事業実施段階別具体的な住 住民の意見を事業推進の手続き別にみると,処理施設の施設設置計画に対する意見は4,814 件(全体の60.0%)であり,それ以外は, 3,205件(全体の40.0%)であった。施設設置計画以 外のうち,基本計画の策定と立地選定に関する意見は他の段階と比べて多く,それぞれ,全 体の10.7%(856件)と9.2%(737件)を占めたo 環境要因は同じであっても,手続きの段階によって住民意見の内容は異なる。例えば, 手続きの中で多くの意見が出されたのは土地利用であるが,同じ土地利用でも,設置計画 の段階では焼却施設での具体的な土地利用に関する質問が出されている。しかし,立地選 定の段階では立地の選定理由に対する疑問が述べられ,また,基本計画の策定の段階では 焼却処理方法以外の方法を検討すべき,などといった意見も出されている。 事業段階別で最も意見数が多い設置計画の段階について,その内訳を見てみると,大気 質に関する意見が最も多く1,382件(17.2%)で,次いで,土地利用962件(12%),交通627 件(7.8%)など,施設建設に対する安全性に対する意見が続いた。その他の段階については, 基本計画の策定の段階では,基本計画の根拠となる情報の公開や住民参加に対する意見が 最も多く 512件(6.4%)であった。立地選定の段階では,土地利用に対する意見が591件 (7.4%)で多く,他地域-立地変更の検討を要求する内容が主であった。 地域や住民-の補償に関わる段階である周辺影響地域の決定の段階では,補償,生活権 などの対策に関わる社会経済環境の人口に係る項目の意見が469件(5.8%)で一番多かったo 80 3. 2 焼却処理施設建設事業の成 00 ^・享 否と住民の意見 80 60 1)焼却施設建設事例における段 40 階別住民意見の割合 グループAとグループBとの住民か ら出された意見の分布を事例別に調査 100 し,図3に示す。 2グループとも,設 80 置計画に対する意見の割合が多く,両 60 グループ全体で平均60.8%であったo 40 また,グループBでは,設置計画以外 20 の6段階の意見のうち,基本計画と周 0 8( [∃ 辺影響地域の決定に関する段階での意 見の割合がそれぞれ12.7%, 7.3%を占 国 & ≠ 捕 似 ∼ 要 七t 雪 & 他 出 グループBではグループ内の3事 分布には大きな違いがない。しかし, グループAの分布をみると,グルー 匡 e 室 汁 H 旺 高: e 出 ⊆ヨ 二] 鍵 料 電 めていた。 例とも手続きの段階別の住民意見の Al) 蛸 満 図3 事例別,手続きの段階別の住民意見の割合 表3 焼却施設建設の実施成否による要因別分析の結 果 プAの-園のケースは,住民意見の 段階 分布が一番大きい設置計画の段階で F値 有意確率 政策の策定 0.179 0.690 い16.1%を占めたoまた,グループ全 立地選定 0.415 0.548 体の36.7%(521件)の意見の割合を示 設置計画 0.1ー3 0.75ー :.:i;こ,,.: ・_.:†■:. 事案の建設 0.003 0.956 利用段階 0.446 0.534 は平均割合(44.4%)に半分も満たさな す立地選定の段階では,グループ全体 の36.6%(521件)を占めていた. ** : 5%の有意水準で統計的に有意であることを示す。 2)焼却施設の建設と住民意見との 関連性分析 次に,グループAとグループBで,事業実施の手続きの段階別に集計した意見の分布に 違いがあるかどうかを,一元配置分散分析で検証した。 分析の結果,基本計画段階と周辺影響地域の決定段階については,グループBの割合が グループAの割合よりも50/.の有意水準で統計的に有意に大きいという結果を得た(表3)a つまり,ごみ処理のあり方を決める基本計画の段階と,住民に対する補償問題と関連する 段階である周辺影響地域の決定の段階において住民の理解を得ることが,焼却施設建設の 成否と関連性があることであると示唆された。 4.考察 前章で得られた結果について,基本計画の段階と影響地域の決定の段階における住民の 理解と施設建設の成否と関連性がある理由としては,次が考えられる。まず,基本計画の 81 段階の違いについては,グループBの道峰,江東では,国立公園や浄水場といった,特に ソウル市内でも環境保護が必要な地域に近接して焼却処理場の建設が予定されたことで, グループAよりも廃棄物処理計画や焼却場の必要性に強い疑問が起きたのではないかと考 えられるo他方,松坂のケースでは,建設予定地がソウル市の境界に位置するため,ごみ 処理の恩恵を受けない市外の住民が,焼却処理にともなう環境汚染を懸念し,やはり廃棄 物処理計画の合理性に疑問を抱いたのではないかと考えられる。 また,影響地域決定の段階では,道峰や江東のケースは環境保護が必要な地域であり,松坂 のケースは施設建設の受益を受ける集団が著しく帝離することで,環境悪化をどのように補償 するかに関心が高まったのではないかと考えられるo -園のケースはすでに忌避施設が集積していたため,焼却施設が建設されることに対し て住民から多くの疑問が寄せられた.しかし,行政は自区内処理の原則を約束することで, 焼却場施設建設に関する住民の合意を得た。このことは,ごみ処理の広域化も建設の可否 に影響しているのではないかと考えられる。日本では,これに類似した経験が東京都で起 こっているoいわゆる, 1966年から1974年にかけて起こった「東京ごみ戦争」であるoこの ケースでは,焼却施設建設に周辺住民が反対していた杉並区からのゴミの受入れを,ゴミの埋 立処理場を有する江東区が拒否し,杉並区からのゴミ収集車の進入を当該住民が実力行使によ り阻止するなど,大きな社会問題となった。この結果,東京都では,自区内処理原則に基づく 処理が主に行われるようになった。 東京もソウルも首都で,且つ人口が1千万人を超えるメガシティであり,焼却施設建設に関 する住民の反対が起きた点は共通している。しかし,東京では各区処理の方向に進んだが,ソ ウルでは,未だ焼却施設の建設はわずか4ケ所に留まっているo この違いは,両都市における 焼却処理に関する歴史や認識の違いがあるのではないかと考えられるa 東京都は,ごみ処理量の約86%を焼却処理に依存している(東京都, 2004)o これは,元々区 内に埋立処分場が少なく,焼却処理の必要性に対する社会的な合意があったためである。他方, ソウル市では,まだ埋立処理がゴミ処理事業の主流で,仁川空港の近辺の海を埋め立てて 建設した金浦地区の「首都圏埋立地」で埋立処理を行っている。この埋立処分場はまだ残余 年数が10年以上あり,当面は埋立処理が可能である。また,ソウル市では焼却処理が始ま ってまだ20年も経っていないため,焼却施設に対する市民の信頼をまだ得ていない。そのた め,焼却処理割合はごみ処理量のわずか6.4%である。今後,首都圏埋立地が受入容量の限界 を迎えるときに焼却施設建設に関する議論が再燃すると考えられるが,東京都における経 験は,ソウル市における合意形成の際に有用な示唆を与えると考えられるo おわりに 本研究では,ソウル市の焼却施設建設計画を対象とし,施設建設に際して行われたEIAで, 住民から提出された意見をもとに,焼却施設建設計画におけるEIAに関する住民の情報ニー ズを検討したoその結果,住民は基本計画の策定段階から,処理方法と被害の公平性などの 問題に対する情報を求めていることが分かったoまた,ソウル市と同じメガシティであり, ごみ処理問題について同様の経験を持った東京都を例に取り,これらの共通点やごみ処理に 対する歴史や認識の違いを比較したo 82 今回は,ソウル市のごみ焼却施設建設計画のみを対象としたoそのため,本稿で取り上げ た結論を一般化するには,ある程度の限界があるo しかし,焼却施設の建設における住民意 見を調査し,住民の情報ニーズを定量的に把握したところに意味がある。本稿の研究事例を 他地域にも広げ,一般的な結論の導出を試みることが今後の課題であるo 補注 1)ソウル市の区は,自治の基礎単位であり,日本の東京都と同じく自治権がある。 (2005.8.4.更新)廃棄物処理施設促進及び周辺地域支援などに関する 2)法制処・法制処, 法律. http://www.moleg.go.kr, 2006.5.10.参照(韓国語). 引用文献 Gustavo Vicente, Maria R.Partidario decisions. environmental (2006) SEA-Enhancing En血eDtalZmpactAssessmeDt Reldew, 原科幸彦(200カ環境アセスメントと住民合意形成.廃棄物学会誌, for better communication 26(8), 696-706. 13(3), 151・160. 環境アセスメント研究会(2000)わかりやすい戦略的環境アセスメント一戦略的環境アセスメン ト総合研究会報告書.中央法規出版,東京, 230pp. 環境部(2003)環境影響評価項目・範囲確定のためのガイドライン.環境部,韓国, 環境部(2004a)廃棄物処理施設設置業務便覧.環境部,韓国, 243pp. 環境部(2004b)全国廃棄物発生及び処理現状.環境部,韓国, 2,709pp. 203pp. 金ソンジョン(2000嬢境影響評価における住民参加の実効性の向上方法に関する研究. 大学校学位論文,韓国, Sogang 53pp. 朴正漠・東野達・笠原三紀夫・李柄仁(2003)韓国におけるごみ従量制の現状と課題.廃棄 物学会誌, 14(1), 51-60. 李ドンオ(2000)環境問題と地域利己主義.ナラ経済, 6月号, 51-54. 催美蘭(2002)ソウル市焼却施設の建設におけるニンビ一現象とその解決方案に関する研究. ソウル市立大学校学位論文,韓国, Sachihiko Harashina 90pp. (1995) environmental dispute En血meDtalZmpactAssessment exchange. Ret4ew, resolution processandinformation 15(1), 69-80. 潰公章・松本安生・原科幸彦(2001)環境アセスメントのスコービン具段階における情報交流 方式に関する実験的研究.環境情報科学論文集, 15, 113-118. ソウル特別市(1992a)木洞地区一般廃棄物焼却施設増設事業環境影響評価書.ソウル特別市, 韓国, 515pp. ソウル特別市(1992b) ソウル特別市,韓国, 崖原地区ごみ焼却設備及び集団エネルギー供給事業環境影響評価書. 528pp. ソウル特別市(1994)道峰資源回数施設建設事業環境影響評価書.ソウル特別市,韓国, 600 pp・ ソウル特別市(1996) -園資源回数施設建設事業環境影響評価書.ソウル特別市,韓国, pp・ ソウル特別市(1998a) Eg, 江東資源回数施設建設事業環境影響評価書(補完).ソウル特別市,韓 80pp. 83 60 ソウル特別市(1998b) 881 松坂資源回数施設建設事業環境影響評価書.ソウル特別市,韓国, pp・ ソウル特別市(2001a)麻浦資源回数施設建設事業環境影響評価書(補完).ソウル特別市,韓国, 263pp ソウル特別市(2001b)麻浦資源回数施設建設事業環境影響評価書(再補完).ソウル特別市, 韓国, 204pp. stuart A Wright (1993) waste sites:are hazardous Thomas B. Fischer Environmental Citizen levels Information and Waste nimbyistsinformed?. grassr00ts Management, 13(3) (2003) Strategic environmentalassessmentinpost-moderntimes・ ImpactAssessment 23(2) Review, 東京都(2004)東京都環境白書2004.東京都環境局,東京, 84 , 155-170・ 140pp. to opposition , new 253-259・ Appendix3中国におけるエ薬用水の価格弾力性の推計 金子慎治 白川博幸 1.はじめに 中国北部では、急速な 本研究の目的は、工業用水の価格弾力性を推計することであるo 都市化、工業化および農地の拡大にともない、水不足が深刻化しており、水供給システム の見直しが必要になっている,特に水使用料の低さが問題とされており(Wang and Lall 2001年に発表された第10次5カ年計 1999,井村2002)、工業用水の使用料に関しては, 画でも水使用料の見直しの必要性が指摘されているo 工業用水使用料の引き上げにより、工業用水の需要量がどのように変化するかを明らか WangandLal1 にするためには、工業用水の価格弾力性を推計する必要があるb は中国における業種別の価格弾力性を推計した。本研究では、工業用水の価格弾力性を地 域別に推計し、地域間で工業用水の価格弾力性がどのように異なるのかを検討するo 2.中国における水資源とエ業用水利用の現 状 (1)水資渡の現状 中国の水資源不足は、北部で深刻である。 北部 図1に省別の年間降水量の比較を示すo の年間降水量は, 600mm ■ を下回っており、 図1 北京市、天津市といった主要都市でも350mm 年間降水量(平年)の比較 (出所)中国水資源公報2000年より作成o 程度である.これは、日本の降水量 (1,718mm)の約20%にしか過ぎない。 図2に省別の1人当たり水資源量を示した。 中国全体の1人当たり水資源量は2,138皿3であ るo しかし、地域格差は大きく、特に北部が深 刻であるb最も少ない天津市は32.Om3であり、 次いで北京124.3m3、寧夏127.6m3 であるD他 地域の1人当たり水資源量と比較すると、世界 ■ 全体では7,044m3、工業化が進んでいる国と比 図2 較すると、アメリカ2,577m3,日本は3,393m3, 1人当たり水資源量の比較 (出所)中国水資源公報2000年より作成。 イギリス2,465皿3であり、中国北部の水資済が 少ないことが分かるD 85 (1999) (2)工業用水利用の現状 5,498 2000年における中国の水使用量は 億m3であるDその内,農業用水は3,784億 Ⅲ3(68.8%)、工業用水は1,139億m3(20.7%)、 (10.5%)であるo 生i管用水は575億m3 囲 3 に工業用水の地域別使用量を示した。 iLi日琶 工業用水の使用量が多い地域は、比較的南部 に集まっているが、北部では河北省、遼寧省、 (フ 山東省などが比敏的工業用水の使用量が多い, 図 4 園3 に工業用水の地域別リサイクル率 工業用水使用量の比較(2001 午) (2001年)を示した。降水量の少ない地域で リサイクル率が高い傾向があることが分かるD 最もリサイクル率が高いのは、内蒙古自治区 の94.7%であるo最も低いのは酉蔵自治区の o.2%であり、次いで広東省(30.8%)がそれ に続く。主要な都市では、天津市(91.3%)、 北京市(89.2%)、上海市(50A%)である。 図5に各省における主要な都市の工業用水 の価格(2001年)を示した。最も高いのは、 吉林省の長春市であり、4,17元/トンであるo 続いて、天津市(3 図 元/トン),北京市(2.4 4 工業用水のリサイクル率の比重交 (2001年) 元/トン)である。天津、北京では工業用水 の価格が急上昇している.天津の1998年 における工業用水の価格は 0.25 元/トン であり,北京は0.28元/トンなので、この 3年間で12倍と8.7倍それぞれ上昇した. 一方、工業用水の価格が低いのは、甘粛 省蘭州市と新蛮ウイグル自治区のウルムチ であり、トン当たり0.6元である。 3.エ実用水の価格弾力性に関する先行研 究 表1に先行研究における工業用水の価格 弾力性の推計結果を示すo 図5 工業用水価格の比較(2001年) (出 所) 中 国 扮 http://www・cpic・gov・cn/zonghe/ Renzetti(1988) は、カナダにおける工業用水の価格弾力性について、コブ・ダグラス型費用関数を用いて 86 格 信 息 岡 検討した。その結果、工業用水の価格弾力性は、 (石油化学)、一0.54 ・0.12 (軽工業)と推 計され、工業用水は価格に非弾力的であるとした。しかし、コブ・ダグラス型関数では、財 間の代替性を前提としていることに問題がある。 Grebenstein Field(1979)、 Babin al.(1982), Renzetti(1992)は財間の代替性を必 ずしも前提としないトランスログ型費用関数を用いて工業用水の価格弾力性を検討してい and et る。その結果、やはり、工業用水の価格弾力性は最も弾力的である場合でも・0.8であり、 ほとんどが-0.5前後の値を示しているo WangandLall (1999)は、中国における工業用水の価格弾力性をトランスログ型生産 関数を用いて推計したo 分析には、 1993年に中国国家環境保護局(NEPA)が収集した 2000件の工場別データを用いた。その結果、中国における工業用水の価格弾力性は、工業 全体で、 8業種が ・1.03であるとした。また業種別に見ると、対象とした15業種のうち、 ・1以下を示しているoこれは、これまで他の地域で行われた先行研究よりも高い値であるo (1999)は中国において工業用水は価格に十分弾力的であり、工業用水の WangandLall 使用料の値上げは水需要量の減少に役立っ可能性があると結論づけた。 Wang 表1 Lall and (1999)が用いたデータは1993年のものであるため、より最近のデー 先行研究における工業用水の価格弾力性推計結果 Grebenstej皿and Field Babinetal. Renzetti Renzetti (1982) (1988) (1992) (1979) 関数型 アメリカ アメリカ トランスログ トランスログ カナダ カナダ コブ.ダグラス トランスログ WangandⅠ一8皿 (1999) 中国 トランスログ 石炭採掘 -0.63 石油採頼 ・0.99 窯業.土石 -0.38 食品.雑貨 o.14(1) -0.39 ・0.85 -0.33 -1.10 -0.59 -0.88 -o.54(3) 繊維 加工金属製晶 -0.41 紙.パルプ -0.66 -0.51 電力 ・0.57 石油 -0.48 -1.19 -o.12(4) 化学 -0.96 薬品 ・1.10 建設 -0.98 製錬 ・1.ll 工業機械 o.14(1) ・1.03 運輸機械 ・0.25 電気機器 ・1.16 o.54(1) ・1.14 皮製品 工業全体 -1.20 ・0.33/-0.8 (注) (1)統計的に有意(10%水準)な値ではないo -o.56也) -o.38(6) -1.03 (2)分析対象とした産業に限るo (3)軽工業(繊維、ゴム・プラスチック、食品・雑貨)を示すo 87 (4)石油化学(化学および石油・石炭製造) タを用いて、中国では先進国よりも工業用水の価格弾力性が高いかどうかを検証する必要 がある。 4.エ業用水の価格弾力性分析 (1)分析方法 本研究では、 WangandLall (1999)を参考に、以下のトランスログ生産関数を用いて、 工業用水の価格弾力性を推計した。 (1) hY-A・PlhK・P2hL・P,hW・P.hE・P5竿・p6苧・p,竿・ps竿・ I?,lmKhL+P"lmKlmW+PlllnKlnE+P12lmLlnW+j71,hLlmE+Pl.hWlmE InYは工業生産高の対数、 ここで、 InKは資本の対数、 1nWは水消費量の対数、 1nEは エネルギー消費量の対数をそれぞれ示すo水消費量が1%変化したとき工業生産高が何o/.変 化するのかを示した、生産の水消費弾力性(u)は以下の式で表すことができるo (2) J-諾妄-p3・P7lmW・PIOhK・P12hL・P14hE このとき、 1単位の水が生み出す価値を示した、水の限界価値(p)は以下のとおりであ る。 aY P:面 alnY Y Y (3) 瓦こ房×面=qW 工業用水の価格(P)は、工業用水利用の限界費用に等しいと仮定し、企業は利潤最大 化をしているとすると、水の限界価値と限界費用は一致する。したがって,工業用水の価 格弾力性(γ)は以下の式で表すことができる。 γ= ∂lnW ∂hW ∂lmp ∂lmp (4) J q-J2-p, 分析には、公刊されている統計書で利用可能な1996年から2001年までの省別のデータ を用いたo なお、統計資料の制約により西蔵は分析から除外したo 工業生産高は工業総産 値をGDPデフレータで1995年価格にした。資本は純固定資産(固定資産浄値)は、工業 品価格指数で1995年価格にしたo 労働は第二次産業の就業者数を用いた。エネルギーは 88 石炭消費量(原料炭と燃料炭の合計)を用いた.工業用水については、 Renzetti (1988) を参考に、リサイクル水を含まない新規取水分(新鮮水)を用いた. また、地域および年の影響を考慮できるよう、ダミー変数を加えたモデルも検討した。 具体的には、以下のとおりである。 地域ダミーを加えたモデル、 Model Model Mode12は lはダミー変数を用いないモデル、 Model 3は年ダミーを加えたモデル、 4は地域ダミー と年ダミーの両方を加えたモデル、Mode15は地域ダミーと1996年と1997年のダミーを 加えたモデルである。 (2)分析結果 表2にトランスログ生産関数の推計結果を示したo なお(1)式におけるβ9からβ14につ いて、その符号が正であれば対象とする財は補完関係にあることを、負であれば代替関係 にあることをそれぞれ示す。工業用水と資本との関係(β10)については、係数の符号は 負であり代替関係にあることを表しているoMode13からMode15では5%水準で統計的に 有意な値を示したo 労働と工業用水の関係(β12)も係数の値は負であり代替関係がある ことを示している。エネルギーと工業用水の関係(β14)については、係数の値は正であ り、補完関係があることをそれぞれ示した。すなわち、資本の増加と労働投入量の増加は、 工業用水の消費量を減少させ、エネルギー消費量の増加は工業用水の消費量を増大させる ことを示している。 表3に各モデルによる工業用水の価格弾力性の推計結果を示した。どのModelにおいて も、最も工業用水の価格弾力性が高いのは、内蒙古であり、 Mode13では、 ・0.43、 Mode14 およびMode15では・0.28であった。逆に、価格弾力性が低い地域は、南部地域が多い。な お、福建省、広東省、海南省、湖南省では一部のModelで価格弾力性の推計値が正の値を 示している。これは、価格弾力性の推計にはトランスログ生産関数の係数を用いているた め、推計値は幅をもっており、この地域の価格弾力性は非常に低く、 めであると考えられるo 89 0に近い値であるた 表 2 -.f′.I,【.I htercept M∝lc11 7.54** (2.34) heap _0.24 (-0.33) hlatDr 2.85*** (3.00) hwater -1.91** (-2.58) hGO81 -0.04 仁0.05) lnKhL lnkhW hKhC lnWhC hKK 2.31*** (2.63) -2.34*** (-3.42) 1.17 (1.50) -0.13 -0.01 仁1.41) (〟.16) 0.03 (0.23) ModeI3 5.2l+* (2.15) (2.12) 0.87 0.66 0.62 (1.40) (1.柑) (1.ll) 2.30*+* (2.97) -1.65**+ -1.64*** (-2.67) (-3.05) (-3.02) -0.65 -0.02 (-0.97) (-0.03) 0.00 0.33*** (3.01) _0.23*** (-3.10) ●0.14 (-1.01) -0.24*** (0.01) 0.30**+ 0.30*** (3.07) (3.08) -0.l5+* -0.l4** (-2.25) ト2.Ol) -0.l5 (-1.22) -0.20 -0. I0 -0. 10 天津 _o.23 -0.24 -0.21 -0. 1 l -0. 12 河北 -o.24 _0.26 -0.25 -0.15 -0.15 山西 _o.33 _0.29 -038 -0.29 -0.29 内蒙.% -o.39 -0.33 -0.43 -0.28 -0.28 遼寧 .o.24 -0.28 -0.23 -0.15 -0.16 書林 .o.22 _0.20 -0.22 -0.13 -0.13 黒龍:江 -0.23 -0.23 -0.23 -0.14 ・0.15 _0.25 -0.18 -0.11 -0.ll _0.16 -0.10 -0.05 ・0.05 0.04 0.03 -0.08 上海 _o.22 _o. 11 漸江 _o.o3 -0.09 -0.03 _o,16 -0.17 -0.1S -0.08 0.O1 0.10 0. 10 -0.12 -0.03 -0.02 -0.19 -0.12 -0.12 -0. (-3.31) (-3.41) 安徽 -0.15 -0.19 -0.21 -0.21 福建 (-0.79) (-0.75) (-1.26) (-I.60) (-1.55) _o.Ol -0.05 江西 _o.10 _0.09 0.21** 0.06 0.01 0.14 (0.06) (I.39) (2.32) (2.29) 0.30 0.ll 0.30 0.21 0.21 (0.53) (I.64) (1.27) (1.29) 0.09 0.ll 0.00 0.13 0.14 (0.41) (0.55) (0.02) (0.80) (0.83) 0.30*** (2.9S) 0.04 -0.14 (0.27) (-1.l1) 0.31**+ (3.50) 0.10 (0.97) 0.21*+ (2.57) -0.07 (A.66) -0.35*** 0.15* (I.87) (7.44) (-2.23) 0.28+** dl997 (4.90) dl999 d2000 0.34*** (1.75) -0.01 (-0.40) (-0.13) 0.06 0.95 0.96 0.97 243.80*** 264.78書** d1996, 0.29**+ 0.06 (1.23) 0.97 0.97 356.48*** 310.42 地域区分は west,northは地域ダミーを示すo 平田(2000)を参考にした。 d1997, d1998, d2000は年ダミーを示す。上段は係数、下段 はt値を示す。 P斗1女普17<I丸スl> ★★☆は、 1%, ★★は5%、 _o.15 -0.17 -0.15 -0.07 ・0.07 0.01 0.01 0.05 0.10 0.09 -0.1l -0.03 -0.03 0.09 0.08 ☆は10%でそ JJ尤'晶「ト 90 _0.06 _0.08 -0.07 _o.10 _0.09 海南 _o.o4 0.03 -0.06 四川 _o.12 _0.16 -0.12 -0.04 ・0.04 貴州 _o.24 _0.19 -0.28 -0.17 -0.17 雲南 _o.2l -0.19 -0.23 -0.13 ・0. 13 隣西 _o.18 _0.18 -0.19 -0.10 -0.10 甘粛 _o.22 _0.20 -0.23 -0.12 -0.12 青海 _o.16 _0.11 -0.16 -0.05 -0.05 寧夏 _o.37 _0.25 -0.42 -0.25 -0.24 新彊 _o.22 -0.19 -0.21 -0.12 -0.13 0.09* _0.02 #####*** 0.44*** (6.7l) (1.05) (1.ll) 湖北 (9.59) (6.13) 0.06 d1998 -0.22 広西 (-2.48) (S.51) -0.23 -0.05 -0.15*+ 0.49*** _o.21 広東 _0.34*** 12 河南 (2.49) (-6.ll) -0.24 -0. 12 o.o1 -0.l7** 0.45*** _o.20 _o.o5 (-0.49) (J5.27) 山東 湖南 0.20** Mbde15 _0.22 (-2.90) (0.52) Mde14 Mde13 _o.21 -0.13 0.21** -0.25*** Mode12 北京 江蘇 -0.12 (-1.01) -0.25*+* M∝Iell (-2.13) d1996 il 2.00*** (2.90) 工業用水の価格弾力性推計 (-2.53) north d1999, I.96*** (2.$6) -1.62*+* -0.l9*++ (注) 5.05** (I.99) (-2.86) F Model5 5.0S++ 3 -0.20** west AdjR-Sq M∝le14 -0.26** (3.00) hCC _0.81 (-I.l8) 0.13 0.32*** hWW (3.l1) (1.07) (1.35) hLL 9.24**+ 0.19 -0.07 hLhC Mode12 (l.41) (-0.42) hLhW 表 トランスログ生産関数の推 5.結論 WangandLall(1999)は、中国における工業用水の価格弾力性を・1.03としたoしかし、 この値は、他の先行研究と比較するとかなり弾力性が高い値である。本研究の結果、中国 における工業用水の価格弾力性は、最も高い地域でも-0.43 に非弾力的であることが分かったo にとどまり、工業用水は価格 WangandLall これは, (1999)を除く、これまでの 先行研究の結果に近い値である。 今後は、モデルをさらに精練化し、現在の工業用水の価格が限界価格からどの程度帝離 しているのかを検討し、どの程度工業用水の上昇が可能なのか、また、工業用水使用料の 引き上げにより、どの程度工業用水の需要を削減できるかについて、検討を進めていきた い。 参考文献 G・ Babin F・, Willis E・C" Allen and inputs, American production R Grebenstein C Field and G・P・ , 1982, Estimation journal of agricultural C B, 1979, of substitution Substituting water possibilities 64(1), economics, U・S・ in Inputs between waterand other 51. 148-1 Water Manufacturing, resources 1 5(2), 228-232. research, 平田幹郎、 2000、中国データブック2000/200l一成長と格差-,古今書院。 井村秀文、2002、中国北部水資源問題の実情と課題に係る調査報告書,名古屋大学大学院環境学研究科。 S・, Renzetti, 1988, Resources Renzetti, Land S・, An 1992, 24(10), Estimating Economics, S・, Renzetti, Econometric Research the Examinlng 69(2), Water of Industrial of industrial structure water H Bank and Lall Working S, in demands: the British Columbia, case Canadian Canada.Water of manufacturing, the in difference and self- publicly supplied firms'water demands, Land 181-88. 世界資源研究所、国連環境計画、国連開発計画、世界銀行、 Wang Demands 396-404. 68(4), 1993, Economics, Study 1569-75. 1999, Paper Valuing Series 2236. blue World Bank, 1997, Clear water, World Bank, 2001, China Air, land, Water for Chinese skies, World and water bank, 2001、世界の資源と環境,日経BP社。 Industries: Washington, environmental 91 A Marglnal ProductivityAssessment, World D・C‥ pr10rities for a new millennium, Washington, D・C・ 92 Appedix4中国における環境効率改善の計測と評価:エ業用水の事例 藤井秀道・金子慎治・馬奈木俊介 1.はじめに 近年、中国経済は急速な成長を続けている。最近10年間の年平均GDP成長率は 8.5%であり、非常に高い水準である。この成長とともに中国の環境問題も年々深刻 化しており、中国政府は環境対策に早急な対応を迫られている状態が続いている。特 に水質汚染は水資源が乏しい中国において深刻な問題となっており、 2001年に発表 された中国第十次五カ年計画でも「水利施設の整備を強化し、水資源不足と水質汚染 問題の解決をより重要な位置に置く」とされている。 2002年の水使用量は5,497億m3である。その内、農業用水は3,736億m3 (68.0%)、工業用水は1,142億m3 (20.8%)、生活用水は619億m3 (ll.3%)である 1)。最近の変化を1997年からの6年間でみると、農業用水が減少傾向にある一方で, 都市用水が大きく増加し,工業用水が若干増加している。もともと水資源が少ない中 国において、汚染強度の高いセクターの用水使用量増加と廃汚水排出による水質汚染 によって利用可能な水資源を圧迫することとなれば、ますます水不足問題が深刻化す る。小島2)によれば、 「水質汚染は際立っている。全国七大河川の五十%近い河岸は 多かれ少なかれ汚染されている。住民は基準以上の生活用水が使えず、水汚染から発 生する紛糾はますます多くなっている」のである。 工業化にともなう経済成長を続ける中国にとって、工業セクターは今後の水資源問 題と水質汚染問題の双方にとって重要な役割を担う。こうした背景から本研究では、 中国工業セクターの水資源利用効率と廃水処理技術の双方が近年どの程度効率化され ているかに着目する。 工業セクターでは業種によって比較的水を多く必要とする業種や汚染された廃水が 多く出やすい業種などがある。ここでは単純な指標によって現状を概観する。 「付加 価値/新規水使用量」の値が小さい業種、すなわち水資源集約型産業には造紙・紙製 品業や電力・ガス・水の生産供給業などがある(図-1) 。他方、 「付加価値/新規水 使用量」の値が高い業種は、機械・電気・電子製造業、金属製品業、医薬品製造業な 「排出基準値超過 どである。また、廃水の水質にも業種によって大きな違いがある。 排水量/総工業用水使用量(新規水使用量+重複水使用量) 」によれば、石油加工・コ ークス製造業、電力・ガス・水生産供給業などは汚染型産業であると言える(図-2) 逆に、造紙・製紙品業、食品・煙草・飲料製造業、金属製晶業などの業種は非汚染型、 あるいは廃水処理対策の進んだ業種であると言えよう。このように中国工業では、業 種によって環境に対するパフォーマンスが大きく異なっている。その理由としては当 然、業種による生産物や生産工程の違いによる工業用水の利用目的の違いが挙げられ 93 。 るが、その他にも業種ごとに環境基準達成のための取り組みや環境保全に対する技術 力の違いなどが考えられるo 様様.電気・電子設備製造業 金属製晶美 医薬製造業 馳:::::::::冒::::::::: ・'J-I/-I/,-.I-'.I.-.-.-I,I.I-I.I.I.--I.I.I-I.:, ......I...,....../.,../..:.:, :.:.:i.I.A-I.-. ・ソ,....J.::::::::薫::;::::::::::.:;:I:▲.●.lJ-J■.,: I:.:...,.(-........._.A....ー′....".-/..■../ .._..._......-I-//.,........../.,.-..:J:.:.:. 非金属鉱物製造業 喜事前妻蔓茎i*_塁;蓋=悪霊 /I..../.:.,..-/:.--.--.......J..: I.._..J/I.//.-:-:-:,/ ち:普:毒 I:._..J./.J.._,I/_......./_-.-//:.:A:/.-.ll.--I:-J-;;:.I. I:A_._-_-/.J_......._....,./........:.:'ー:-:.:-:.:.'-A.■-'^-.-ー■ー● ・.//.-I-'.I.'.I.'--I.-.'-I.'. I.J.._-/_-.-A-.-....,I,...,-.,..//.,../..:- 食品・タ/くコ・飲料製造業 _一.-/.....ー//.,/..:-:..-:._. I/.-.I.'.I.-//.ー'-I,:.:-: i..;w..../...:-"-....,.."-.:...-:.:.:.:.:. /...A/,.""-...-..:;,-:∼:-・-チ.:÷:-_-:÷■_-_ ・■′-ワ三-.-.LJ.∴.:..-:.:-:.:.:,:,:.::-:-:- 化学擁維製造業 ・'.:.:.:-A.'.'.'/.V.■.I.▲′.■.● I:.:...:.:J:-I,I.....V....../:.:..'r:. ''.'.'.:.I-I.-ー'-'J//.I.',I :.∫_..∼.... 採掘薫 -.A.-/Ill/-lI-llll--I.: I./.I-'/.I/Jl:.I.:.:...′ー.:.:ー:-.. ::.:.:.:.:ー:..:.:.メ::::::蛋::::::::≡::, I..:,.,...-.....,.........:.:L.-."../A-A...:I".-.I 有色金属精錬・圧延工業 ・::氏:33::::::f:顎5.::::::::::.:.:i.:.:.:I.:....:-:■:I: EiaESE3 :).'.'.-.I.'.-.-.'J●●■●■-■-■ー ・J-........-.,,.:..........:.:...:-..-. I_-../....,-..:-:. 石油加エ・コークス製造業 .,I.,I.L/../..,..,.I...I......㌔....,.......,.:.:-:.:,' ・..:.フ:. :.:.>:.: ・:....J-//)/....-,.,I//.....PJ,.... ・ー.I.Lム■.I.I/ーーl.I---:.:. ..:.:./...v...,.. ../I.,.........L.....-:A.:.:. I.I.I.I.I.'.'.: ..-I...........,....../.丁...-.I:. ・:...I.....ソ.ー_.ー.... :.:A:.:i ・:..-,..,... I/.'.I/.-.I/.I.'-I-I.:.:. 黒色金属精錬・圧延工業 I:.I-I.I.-I.A.'.'W'/.-,'L'.I--I".I.'LJ!--.I,I I.ワ..′.リ.._...::i:写{.:;:>::.:.:.I......′.....A..... ・'.'.:.:Jl.'--.'.-ILL.-J--I.I,I .Ll.■.A.--lll■■'.●-l●l●●....●l●ーI.-●●...●′J.Jl../I一一 化工原料・化学製品製造業 ・.J:.:.......V...A.,.......ヽJ...-.... I:.:-:.:A...-..,........................../.A..... :.:.-.'{.-L-/:A-.'J:---I--.I-'.'/.I.I.'.I.∼.'.'.'.:. '.'^'.'-LI.I.I-'-:-:-I.I, Ill...I-l..I-/A.IIl.ll}l')-I.. 造紙・紙製品美 ・:._.......(.L_-)_L_.... I-I.'.'/.'^'{.-.'l--J'-'L'.I,'LJ.'.I.I-I,'-I.'.;-:. /.._,...,_./...-...-:.....:-:.:. 'J-I/.'--).-;,I.I,A.-.I,' L:.:-...LLJ-.-..,..-.-..,..-/.,....,...,- A,...,I/フ.....L. I:..-.,,.//...._..._ ・■,●-;-■,'/.---.I.I.■,I-I 電力・ガス・水の生産供給業 :.-.:,:.J ・'.:∫.I,I.I.:.I..L.L.ー.,-_-,丁.I.I.I.:∫-:ーー.: 0 図-1 0.02 0.01 0.03 0.04 2002年度の付加価値/新規水使用量の値 F::ニ::::::;:::I:士::.:,:.:.:. 節野望 造紙・紙製品美 ;柵薄暮:-i:.:I;塁≡筆墨; ・-.:-:.I.I-●J:-I:.I--/:I ・:ー,./_.,.//_,.・:ー.ー∴..-∫.ー.._. 食晶.タ′iコ・飲料製造業 I.I,..._,.-:.∫:, ≧岩 > ・:.A-lJ-.'//.A,'.-.'.L /..,.........:-:.:. 一,-:I_..-..I.-/.-: 捕 金属製晶薫 .-..:.′.-.ーー.ノ. 揖: 紡積薫 ヽヽ ・:.∫.I.. L'.J.-/.-.--L}.I.I-I,:....:.:.:.:-:.:.::: ・....-..,,..J...I.,...-.-:.:...-:A:-:.I.I.I.I/.I--:.......I.A...-..:,:, 塗 医薬製造業 ●●●●●●●■■ :亭 I: I:....-..:i:-.:.- 採掘業 # i:.:::L>::::::,:-て′:,--.-,--:.:.I.L. ・:早:÷.:: 非金属鉱物製造業 I:.:,..l,-..., # I.ll.Ill--.L -∼-I-A.--I.I-;.I.I-I:,:.'.I 捜械・電気・電子設備製造業 ・'.'LJI.I.'--ILL.'-:.:. .I.J//l-Ll.I-.I -/.'/-'.-I.I.',I.:.:.'.I.'.Ill,-.'.I. ..../,........./:. 有色金属精錬・圧延工業 .._.../:-.,.. I:./.I/-.,.I-'---:. :::::ニ石::: 化工原料・化学製品製造業 _...∫,ー,.,ー..,... 化学積維製造業 I../../.-...J..:.,. .....,.,../......_.:.:.:. ::-,.:,:-.,............_..:_::_. 黒色金属精錬・圧延工業 喜::I:::=: I..//:..L.. 石油加エ・コークス製造業 電力・ガス・水の生産供冷菓 0 図-2 0.02 0.04 0.06 0.08 0.I 2002年度の排出基準値超過排水量/工業用水総使用量 (新規水使用量十重複水使用量)の値 94 上記のとおり、工業用水の利用効率や環境対策の達成度は業種ごとに大きく異なる。 そうした状況を踏まえた上で本研究では、工業用水の利用技術と廃水処理対策の変化、 すなわち技術進歩の業種間比較を分析する。節水促進や廃水対策のために導入される 政策がそれぞれの業種にとってどのような意味を持つか、あるいはどの程度積極的に 取り組むかによってこうした技術進歩に違いが生じるものと考える。 前節では,単純な指標を用いて効率性を評価したが、企業の最大の目的は経済性の 追及である。経済性を無視した環境対策や節水対策はあり得ない。したがって、効率 性の評価においても、経済効率や生産性にマイナスの影響を与えることなく節水対策 や環境対策が達成されたかどうかが問題となる。工業用水は生産に必要な投入要素 (インプット)のひとつであり、工業廃水は工業生産過程から産出されるアウトプッ トのひとつであると考えることができる。そうした考えに立てば、通常の投入要素で ある労働や資本と通常の生産財の投入・産出効率と併せて工業用水の利用技術の進歩 を総合的に評価しなければならないo そこで、本研究では複数の投入と複数の産出の 間の総合的効率性を評価することが可能な包絡分析法(DEA)を用いて工業用水利用と 工業廃水処理の2つについて各業種での技術進歩を計測することを目的とするo 2.分析方法 本研究ではManagi 4)を参考に、 and Kaneko(2005) eta/.(2005) 3)及びManagi DEAを用いた生産性分析の手法を環境分野に応用することによって、工業用水の利 用効率と廃水処理効率を計測する。 (1) DEA DEAはFareHのフロンティア効率(Frontier ック分析に応用したものでCharnes and efficiency)の考え方をノンパラメトリ CooperやF貞re and Grosskopfらによって 確立された手法である5)。生産性分析におけるフロンティア効率とは、生産可能集 合について効率的生産を実現しているフロンティア生産集合と非効率生産集合との間 で計測される相対的な非効率性をいう。 DEAは、複数の入力要素と複数の出力要素 を同時に扱うことが可能であり、これらの総合的な効率性を評価可能であることが特 徴である。 今〃個の生産主体からなる生産可能集合が2種類の投入財によって2種類の財を産 出する生産活動をしているとする。このとき、 〟番目の生産主体の生産可能集合に対 する効率性Pkは次のように表せるo ここでは、もしPkが1であれば、 kはフロンテ ィア生産曲線上にあり、もし1より′」、さい場合にはトPk分だけ非効率であるo 95 目的関数 Pk Mar. ulyl,k + u2y2,k (1) = VIろ,k+ V2X2,k 制約式 ulyl,j + u2y2,j vIXl,j + V2X2,j ul,u2≧O ≦1 j=(1,2,L ,n) vl,V2≧0 ここで、 yl,y2はn次の産出ベクトル、 uは投入ベクト xl,X2はn次の投入ベクトル, ルへの可変ウェイト、 vは算出ベクトル-の可変ウェイトである。 この分数計画法は線形計画法に変換可能であるⅩ) 。線形計画法の双対形を次のよ うに表すことが出来る。 目的関数 Min. (4) Pk 制約式 〃 n ≧y,k ≧0 -∑x,jlj+BkX,-k (i-1,2)(5)∑yq・1j (㍗=1,2) (6) j=1 j=l (j-1,2,L 1,A≧0 (7) ,n) 1は非効率な各生産主体が参照するフロンティア曲線上の点を一意的に決 定するパラメータである。この双対モデルに対して、フロンティア生産曲線上の参照 主体をフレキシブルに変えることができる方向ベクトル(directional vector) ここで、 Distance Functionモデルがある。このモデルを用いると,参 導入したDirectional 照するフロンティア曲線上の点をフレキシブルに選ぶことが可能となる。 目的関数 Mar. (8) Pk 制約式 n ∑1jX,j≦rk-ghPk (i=1,2) ノ=l n ≧yk+gヮPk ∑1jyu. (r=1,2) ノ=l lj ≧0 directional って変化するo (j=1,2,L distance ,n) functionモデルの効率性は、予め設定した方向ベクトルによ 方向ベクトルは目的に応じて変化させることが出来るo 96 gを (2)環境分析への応用 本研究では通常の生産関数にみられる生産要素の投入と産出の効率性を分析する市 場モデル(Market Model)と市場モデルに環境負荷発生に関係する投入要素や環境負荷 発生を加えて効率性を分析するジョイントモデル(Joint ModeJ)の2つのDEAモデル を用いる。両者とも基本的には生産の効率性を分析することを目的とするが,市壊モ デルは環境制約を考慮しないのに対し、ジョイントモデルは環境効率と経済効率の双 方を総合的に評価することができる。ジョイントモデルで求めた技術進歩と市場モデ ルで求めた技術進歩を比較することによって、環境技術の進歩を計測することが可能 となる。 前節のdirectional distance functionモデルを市場モデルに適用すれば、 目的関数 Mar・ Pk(=D(x,ylgx,g,)) (12)制約式 n (13) xik-Pkg,≧∑ÅjX,,(i=L2,A,I) ノ=】 〝 ≧ypk・Pkg, ∑九,y,, (p-1,2,A,P) (14) j=1 九l,九2^,Ån≧0 (15) となる。 次に、環境汚染量などの産出であるバッズ(bad outputs)ベクトルBを B-(b.,b2,A,bn)を導入し、生産可能集合Pを p=((x,y,b):xcan produce O,,b)) (16) と定める。 disposabilityと ここで、このPについて次の2つの性質(weak null hypothesis) 6)を仮定する。 (x,y,b)∈Pカゝつ0≦8≦1∋(x,q/,6b)∈P (17) (x,y,b)∈Pカゝつb=0∋y=0 (18) 式(17)はバッズを減らす時には必ずグッズも減らさなければならないことを意味す るo つまり、グッズの減少なしにバッズを減らすことは出来ないo 生産なしでグッズの生産は行えないことを意味する。 以上から環境変数を含めたジョイントモデルを以下とするo 目的関数 Max・ I?k(=D(x,y,e,blgx,g,,ge,gb)) (19) 制約式は式(5)、式(6)、式(7)と 97 式(18)はバッズの n eqk-Pkg, (q-1,2,A,Q) ≧∑九jeq・ (20) ノ=l n ∑^j/bq・ =1/b,k+Pkgb (r=1,2,A,R) (21) ノ=l ここで、変数は以下のとおりであるo ヨood 〟 :グッズベクトル(Market outputs vector) X inputs寸ector) :投入ベクトル(Market e :環境要素投入ベクトル(Environmental vector) input b bads :バッズベクトル(Environmenta一 vector) outputs ♂ ‥非効率スコア仙effi。ie。。v ve。t。.I 本研究では方向ベクトルを (gx,g,,ge,gb) = (22) (0,y,0,1/b) と定める。以上の2つのモデルから、生産可能集合の各生産主体について環境制約の 無い生産効率性と環境制約のある場合の生産効率性を計測することができる。 (3)技術進歩の計測 次に各生産主体の生産効率が時間的にどのように変化したかによって、技術の進歩 を計測することとするo Malmquist られる Luenberger ここでは、時系列の効率性変化を分析するために、通常用い lndexに比べてより包括的と考えられている (以下、 lndex7),8) output oriented L指数とする)を用いて技術進歩を推定した。こ れらはいずれもフロンティア生産曲線の時間的変化(フロンティアシフト)を踏まえ た上で、個々の生産主体の効率性変化(技術進歩)を計測するための指標であるD市 場モデルの効率性変化は以下のように表すことが出来る。 1 I LEE:la,bet 2 (AGt'1AGE) 1 2 1 +- 2 ここで、 ベクトル、 r[ DE'1(xt,yt;o,yt)] ; o, yt'1 (xt'1 [Dt'1 ,yt'1 βJr'(二 I)] i[Dt xL,yt;o,y (xE'1yt'1 ;o,yt'1 ] 〔 ( , xlは-t年の投入ベクトル、 (23) 1〕 xt'1はt+1年の投入ベクトル, ytはt年のグッズ Dt(x',yLIO,yt)はt年のデータをt yt'1はt+1年のグッズベクトルであるo 年のフロンティア生産曲線を基準に計測する非効率性を表す。同様に、 D"I(xE,y'10,y')はt年のデータをt+1年のフロンティア生産曲線を基準に計測する非 98 効率性を表す。図-3は式(23)で計測する L指数の計測方法を説明するために図式化 したものである。 図-3 2入力、 1出力の図 フロンティア生産曲線が時間的に変化している場合の個々の生産主体の効率性の変 化は、次の2つの計測方法があるo まず、式(23)におけるAGl'lは図-3中の t'1年のフロンティア生産曲線を基準にt年のデ IR2Zil-[R.Z.'Jを表しているoこれは、 ータの非効率性を評価したものからt+1年のフロンティア生産曲線を基準にt+1年のデ ータの非効率性を評価したものを引いたものである。 次に、 AGtは図-3中のIRIZoHR,Zi'llを表を栗原しているoこれは、 t年のフロンテ ィア生産曲線を基準として、 t年のデータの非効率性を評価したものからt+1年のフロ ンティア生産曲線を基準にt+1年のデータの非効率性を評価したものを引いたもので ある。 L指数はこれら2つの計測方法によって得られた効率性変化の算術平均である。 以上の方法を市場モデルに適用して得られた t年から t+1年-の技術進歩 (Technology Improvement: Tl)をT)Market、ジョイントモデルから得られた環境を 考慮した技術進歩をTIJ.inlとするとき、環境技術の進歩TJenvを TIew = TIjoint で定義する. - TIma,keL (24) Tlenvは環境要素投入ベクトル、投入ベクトル、グッズベクトルを固定 した状態でどれだけバッズベクトルを減らすことが出来るかを表す。 3.データ 本研究では投入ベクトルに労働者数(xl)、資本(x2)、グッズベクトルに付加価値(y)、 環境要素投入ベクトルに新規水使用量(e)を用いたo ここで工業廃水処理技術と工業 用水の節水技術を求めるために次の二つのモデルで分析を行う。バッズベクトルに排 99 出基準値超過排水量(b)を用いたジョイントモデル1と、給排水量(b)を用いたジョイ ントモデル2である。ジョイントモデル1のTlenvは付加価値、資本、労働力、新規 水使用量を固定した状態で、どれだけ排出基準値超過排水量を削減できるかを表すも のであるo ジョイントモデル2のT[envは付加価値,資本、労働力、新規水使用量を 固定した状態で、どれだけ給排水量を削減できるかを表すものである。ここでは削減 ジョイントモデル1は工業廃水の処理 した排水量は重複水として利用するとみなすo 技術の進歩、ジョイントモデル2は工業用水の節水技術の進歩の分析を目的とするも のである。本研究では,分析に公刊されている統計書で利用可能な1996年から 2002年まで(1998年は除く)の業種別(14業種)のデータを用いたo付加価値 (工業増加額:億元)及び資本(固定資産浄値:億元)は、中国工業経済統計年鑑業 種別に載っている当年価格の売上高と1990年価格の売上高の比を用いて、デフレー トした値を推計した。労働者数も中国工業経済統計年鑑の値(全部職工年平均人数: 万人)を用いた。また、新規水使用量と排出基準値超過排水量については公刊されて いる統計では業種別のデータはない。中国環境年鑑には業種別の新規水使用量(万ト ン) 、排出基準値内排水量(万トン)のデータが掲載されてい 、給排水量(万トン) るが、中国環境年鑑はサンプル調査である。そこで、本研究は、次のような操作をし て、業種別の新規水使用量と排出基準値超過排水量の値を推計した。まず、中国環境 年鑑をもとに、業種別工業生産高単位あたりの新規水使用量、給排水量、排出基準値 内排水量の値を計算した。それらの値をもとに中国工業経済統計年鑑の業種別の備に 「総排水量一排出基準 そして、排出基準値超過排水量= かけることによって求めたo 値内排水量」として排出基準値超過排水量を求めた(排水の水質基準については中国 環境年鑑GB8978-1996を参照) a また、回帰分析に用いた変数は、売上高付加価値率(付加価値/売上高)、資本生産性 は「付加価値/資本」 、業種規模は労働者数(万人)の対数、廃水処理費用は中国環 境年鑑の本年度廃水処理費用(万元)を中国環境年鑑の売上高(万元)で割って基準 化したものを使用。またリサイクル水使用率は「重複水使用量/ (新規水使用量+重複 」 (新規水使用量+重複水使用量) 、工業用水使 、排水率は「給排水量/ 用量は「新規水使用量+重複水使用量」を使用。年ダミーにはデータ対象の年度をい 水使用量) 」 れている。また1 4業種の分類方法は付録で説明する。 4.結果と考察 表-1と表-2にジョイントモデル1とジョイントモデル2の結果を載せている。表3にはモデル1の廃水処理の技術進歩と「付加価値/排出基準値超過排水量」 、表-4 にはモデル2の環境効率の技術進歩と「付加価値/総排水量」のスピアマンの順位相 関係数の値を載せている。ここでは単純な効率性評価と総合的な効率性評価の順位付 けに違いがあるかを検証したo表-3と表-4を見ると、相関は高いとは言えず、 100 2変 数が独立であるとされる帰無仮説がすべての期間で10%有意水準でも棄却されなか った。従って、 DEAを用いて求めた環境効率の技術進歩は単純比較での環境効率の 評価と方法が異なると言えるo 義-1廃水処理技術の進歩 食品・タ′{コ・ 飲料製造業 義-2 1997 1999 2000 2001 2002 1996*=0 0.2% -0.4% -3.5% 5.0% 6.0% 1996年=o 前年度=0 0.2% 8.5% 1.0% 前年度=o 24・○% 13・7% 1996年=o O・2% 0・7% 5・8% 22・6% 前年度-o 0_2% 0.5% 5.1% 16.8% -3.7% 12.6% 1 4.8% ・0.6% 199縛-o 45・7% 前年度=o 45.7% 1996*=0 0.0% 前年度=0 0,0% - 1996*=0 6.4% 21.1% 前年度=0 6.4% 14.7% ・3.1% -8・4% -4・5% -54.1% 3.9% 28.5% ・4.9% 10.7% -3.1% 15_6% 1.5% 50.4% 67.8% 72.2% 29.3% 17.4% 4.4% 42% 10・6% -1.8% 1.8% -103% 食品・タバコ・ 飲料製造業 12.2% 連続・紙製品業 連続・紙製品菓 石油加工・コー1996年=o クス製造業 前年度=o -293% -26・6% 2.7% 30.8% 6.4% 14・4% -9・0% ・19・7% ・17・1% 前年度=0 -4.4% -4.6% -10.7% I 996*=0 3.4% 4.7% 6.4% 前年度=o 3.4% 1.3% 1 7% I996*=0 13% 前年度=0 1.3% 化工原料・化学1996年司 製品製造業 ・293% 2.6% 6.0% -O14% 石油加工・コクス製達業 ・11.0% ・22・6% -5.5% -0.4% 12.8% 14.5% 9_7% 9.5% 1 1.5% 1.7% ■.8% -0.2% 13% 19・2% 23・1% 化学1載維製造業 非金属鉱物製造1996年=o -0.1 8.9% 20.9% 29.2% 17.6% 5.2% 1996年-o ・24・9% ・363% -29・6% -26・3% ・2613% 前年磨O 124.9% -ll.4% ・4.3% 19.5% 8.4% 20.2% -0.6% 1.5% 4.2% 7.7% 10.7% 前年度=o 10.6% 2.1% 2.7% 3.5% 3_0% -16.5% -ll.4% -14.8% -27.0% ・35.3% -3.4% ・12.2% 18.3% O18% 1・6% 2118% 26・6% 0.9% 0.8% 20.2% 4.8% -8・6% -2110% -3410% ・2712% -28・8% 18.6% ・12.4% -13.0% -19・3% 14613% ・35・2% ・24.8% _27.0% ll.1% 1996*0 前年度=0 前年度=o -34・2% 1996年=o 前年度-o -5.1% -16.0% -16.6% 4.2% J.7% 15・4% -5・9% 前年度=0 -26.0% ・25.3% 24.9% 金属製晶業 43・8% 機戟・電気・電1996年=o 前年度=o 電力・ガス・水1996年=o 前年度=o 43.8% -3・O% -46.8% -14・7% -20・7% ・14.7% -6.0% 18.7% 1.6% 6.4% 27.9% 32.8% 21.5% ・12・2% -30・7% ・9.2% -18.5% ・35・3% ・45・4% -14.6% -10.1% 黒色金属精錬・ 圧延工業 前年度=O 5.5% -27.4% -41.3% ・52.0% -27.4% -13.9% -10.7% 12.9% 168・9% 前年度=0 -39.1% -1.6% ・31・7% 3.5% J4.1% -5.0% 43・8% 90・7% 132・5% 43.8% 46.9% 41.8% 36.4% 47.0% -11・0% -1414% -25・3% -29・6% ・5.1% ・3.4% ・10.9% -4.3% ・5・9% 前年度=0 101 6.8% 前年度=o 電力・ガス・水1996年o -3.2% 5.1% 1996年=o 撫軟・電気・電1996年-o 子設備製造業 -0.1% 前年度-o 金属製晶業 21.5% -0・1% 5・5% 圧延工業 -48・6% -16.5% 1996年-o 有色金属精錬・ -9・2% -0.0% 10・3% -4.5% -33・5% J63% 3.3% ・9・9% 1996年=o ・37・7% ・26.4% 6.7% -18・3% -8・8% -21・1% 10,5% 81.8% 前年度=o 15・1% -513% 2.2% 76.6% 1996年=o 1996年印 15.4% 11,9% -2.0% 3.9% -26.0% 0.6% 18・9% 59.0% 17.9% 1996年=o -2.3% 9.2% 9.9% -0.2% 非金属鉱物製造1996年=o 811% % -1.5% 20O2 8.6% 29.8% 0.6% 6・5% -03% -1.3% 2OO1 8.9% 1.2% 前年度=O 子役備製造業 前年度=0 -0.5% ・122% ・0.0% 0.2% 2000 -4・5% 化学繊維製造業 0・7% -0.0% -0.1% 前年度=0 1996年-o 有色金属精錬・ 圧延工業 10・5% 1999 0.2% 1996*0 医薬製造業 4.1% 1997 化工原料・化学1996年-o 製品製造業 前年度=0 10.1% 医薬襲う豊美 黒色金属精錬・ 圧延工業 節水技術の進歩 -5.9% 215・9% 表-3 ジョイントモデル1の技術進歩と 「付加価値/排出基準値超過排水量」 の変化率のスピアマンの順位相関. スピアマン相関係数 p> O・ 405 ltl スピアマン相関係数 p> 0.242 -0.139 O・ 637 ltI スピアマン相関係数 -0.040 p>ltl O・893 スピアマン相関係数 0.147 p>川 0・615 スピアマン相関係数 0.336 p>川 0・240 p>I t[の値笹.「三変革開に相関はない」 帰無仮説に対する有意水準 とする 表-4 ジョイントモデル2の技術進歩と 「付加価値/給排水量」の変化率のスピアマンの順位相関 スピアマン相関係数 -0.015 O1958 p>[tl スピアマン相関係数 ・0.235 O・41 8 p>1tl スピアマン相関係数 0.172 p>ItI 0 557 スピアマン相関係数 -0.064 p>ltl O・ 829 スピアマン相関係数 0.260 p>ItI O・370 ・ p>ttlの値は「二変数間に相関はない」とする 帰無仮説に対する有意水準 102 義-5 排水処理技術の進歩の要因分析. 回帰係数 標準誤差 ■lll■lllllllllll■■l■■■■■■■■■■■■■■■lllllllllllllllll■ll■■l-1■ J.13 売上高付加価値率 資本生産性 業種規模 廃水処理費用 0.25 0.15 0.17 0.03 0.06 ★ 20.89 リサイクル水使用率 12.27 ★★ 0.36 ★ 0.47 J.79 排水率 〃.82 工業用水使用量 年ダミー J. 00 〃.02 1d.00 0.01 定数 33. 43 22. 74 観測数 70 決定係数 (注: **, o. 1798 *、 表-6 *はそれぞれ1%、 5%、 10%有意を示す) 節水技術の進歩の要因分析. 回帰係数 標準誤差 ★■ 0.19 0.26 ★ 0.13 0.24 ∼ 0.05 * 9.47 J.40 売上高付加価値率 資本生産性 業種規模 廃水処理費用 20.66 リサイクル水使用率 排水率 J.16 0.28 J.31 0.36 工業用水使用量 年ダミー 定数 〃.00 観測数 *坤、 * 30.42 ★ 0.01 17.56 70 決定係数 (注: 0.00 J.02 o. 4149 **、 *はそれぞれ1%、 5%、 10%有意を示す) 表-5にジョイントモデル1で求めた廃水処理技術の進歩を、表-6にジョイントモ デル2で求めた節水技術の進歩を被説明変数とした重回帰分析の結果を載せている。 被説明変数データはt年からt+1年にかけての技術進歩を用い、説明変数は1年のデ ータを使って分析している。つまり、 t年での企業の状態がt+1年までにどのように 影響しているかを分析しているo 表-5 と表-6の結果を見比べてみると、共通しているのが廃水処理コストが正で有 意に効いているということである。ここで中国の工業排水に対する環境保障費用につ 103 いて説明する。 「中国には環境汚染物を排出する者および排出基準値を超えて汚染物 を排出する企業から環境保障費を徴収し、環境保全と整備のために用いる制度がある。 徴収額は汚染物の排出費用と超標準排出費用(排出基準を超える部分の費用)から決 められる。水質汚濁に関して言えば、現実には、汚染物の超標準排出費用(排出基準 を超える部分の費用)のみが徴収される5」 0 表_5の廃水処理の技術進歩には前年度の廃水処理コストが高いと、企業はコスト削 減のために水利用に対してより注意深くなり、排水の水質を改善するために、ごみの 分別などに積極的に取り組むと考えられるo節水効率の技術進歩も同様に前年度の廃 水処理コストが高いと,コスト削減のために企業は排水量を減らす努力をすると考え られる。個別に見ていくと、表-5ではリサイクル水利用率と排水率がマイナスで有意 となっているoリサイクル水利用率や廃水率が排水技術にマイナスで効いている理由 としては、もともと高いリサイクル水利用率や廃水率の企業は環境技術に対して環境 効率の改善をある程度やりつくしてしまっているために,技術進歩を行うためには技 術革新のような新しい技術が必要となる。このような企業が技術進歩をするのは難し いため、この結果は妥当であると思われる。 表-6については売上高付加価値率と資本生産性が高いと環境-の投資が多くなると 考え、回帰分析にはプラスに効くと予測していたが、結果は売上高付加価値率がマイ ナスとなった。業種規模については、ある程度の規模の企業でなければ、廃水処理の 設備が持てないという点と、規模が小さい企業には郷鎮企業が多く存在しているとい うことがプラスに効いた理由として挙げられる。リサイクル水利用率と排水率、工業 用水使用量は有意に効かなかった。年ダミーがマイナスで有意なのも郷鎮企業が年々 増加の傾向にあるものであると思われる。郷鎮企業とは1958年の人民公社化運動か ら出て来たもので、農村の過剰労働力を吸収するものとして大いに貢献しており、近 年急成長しているが、環境保全-の意識が低いという特徴をもつ企業である。 5.結論 本研究の結論を以下にまとめるo 1. 1996年から2002年の間で廃水処理技術が最も進歩した業種は造紙・紙製品業 である。 2. 1996年から2002年の間で節水技術が最も進歩した業種は機械・電気・電子設 備製造業である。背景としては、機械・電気・電子設備製造業は最も外資が参入 しやすい業種であり、そのため海外から新しい技術を得やすいという点がある。 3.廃水処理技術の進歩と節水技術の進歩には廃水処理費用が共通してプラスに効い ていたo廃水処理技術の進歩については廃水処理についての項目が有意に効いて いるが、節水技術の進歩には経済的な項目が有意に効いているという違いも見ら れた.これは節水技術は廃水処理技術に比べてより経済的な要素を含んでいるこ とを意味している可能性がある。 104 付録 業種の分類方法 本研究では中国工業経済統計年鑑と中国環境年鑑の二つの統計書を用いたが、それ ぞれの統計書の発行方法などによって、各業種の対象とする範囲が、統一できな い業種が存在してしまう場合がある。従って本研究では次 のように業種を分類し、この間題を解決したo ・採掘業=(石炭採掘業、石油及び天然ガス採掘業、黒色金属鉱採掘業、有色金属鉱 採掘業) ・食品・タバコ・飲料製造業=(食品加工業,食品製造業、飲料製造業、タバコ加工 業) ・電力・ガス・水の生産供給業=(電力・蒸気及び熱水と生産供給業、ガス生産供給 業、水道水生産供給業) 機械・電気・電子設備製造業については以下のような方法をとった。中国工業経済 統計年鑑からは普通機械製造業,専門設備製造業,交通運輸設備製造業,電気機械及び器 材製造業,電子及び通信設備製造業,その他精密機械製造業を合わせて機械・電気・電 子設備製造業とした。中国環境年鑑からは普通機械製造業,専用設備製造業,交通運輸 設備製造業,武器弾薬製造業,電気機械及び通信設備製造業,電子及び通信設備製造業, その他精密機械製造業,その他製造業を合わせて機械・電気・電子設備製造業とした。 参考文献 l)中国水資源広報2003, http ://Ⅵww・ cws.net. 2)小島麗逸:現代中国の構造変化, Managi, 3) S・, JIJ・ S. 4) Managi, D・Jin, Kaneko. T.A. and Oil and Grigalunas. Industry, ProductiviO/ : 1 4744 43,東京大学出版会,2000. in the Offshore S. and pp. Opaluch, Change Technological View.asp?CWSNewsID= cn/cwsnet/CWSArticle of Environmental : Economics Land Market and 81(2), Environmental Regulations and 2005. Draft Abatement, epard.,2005. F色re, 5) Nijhoff R・, Publishing Y, 6) Chung, outputs: A Rolf 8) Luenberger, F畠re, R.G., , : Intertemporal Journal ,1996・ Directional 7) Chambers, Efficiency S. Grosskopf and Chung, Y. Grosskopf. Approach, and Fare, Frontiers, Theory ofOpEimizaEion Shawna Function Production : Productivity Journal R. and Boston: 98:351-364. Applications andUndesirable ofEnvironmentaZ Profit, Kluwer- Directional Management Distance Functions, 1998. DIG ・Microeconomic Theory, McGraw-Hill, 9)小島麗逸:中国の経済統計の信悪性「アジア経済」 New ,2003. 105 York. 51 ,1995. ,1 997. and Nerlovian