Comments
Description
Transcript
冬の補聴器々人工内耳 中耳炎にも 要注意!
奈良県立ろう学校 聴能部 2014/2/4 第322号 冬の補聴器々人工内耳 1〃 こんなことにご注意を! 結露がおきやすい 冬場「あれっ?きこえない!と思ったら、結露かもしれません。外気との温度差が大きい と、結露が生じやすくなります。チューブなどに少しでも水滴があると、音が出なくなります。 ★イヤモールドやフック、チューブなどの水滴は、こよりなどで吸い取りましょう。 寒い屋外から帰った時などは乾燥ケースの中でゆっくりと室温に戻して下さい。 2〃 熱に弱い 補聴器は熱に弱いので、ストーブの近くなど高温になる所には置かないようにしましょう。 3〃 電池が減りやすい 冬、乾燥していると、空気電池の減り方が早くなります。(乾燥剤が入っている補聴器ケー スの中に、補聴器をしまう時、電池を入れないようにするのも同じ理由ですね) ★電池の残量チェックはこまめに行い、使用期限にも注意しましょう。 4〃 人工内耳は静電気に弱い 冬は空気が乾燥して静電気がおきやすいですね。静電気によって、人工内耳のマップ(プ ログラム内容)が壊れることがあり、再書き込みが必要になります。 ★静電気のおきやすい場面や衣服の素材(フリースなど)に注意しましょう。 静電気を逃がす、事前にスピーチプロセッサをはずすなど。 中耳炎にも 要注意! 冬は風邪から中耳炎にかかることが増えます。鼓膜の動きが悪くなり、きこえが悪くなっ たり、ハウリングしやすくなったりします。「急性中耳炎」は痛みでわかりますが、幼児に多い 「滲出性中耳炎」は痛まず自分からは伝えにくいため見過ごされがちなので注意が必要で す。 中耳炎の予防々注意点 々風邪を長引かせない々鼻水を放っておかない、鼻の治療をしっかりする 々鼻をすすらない々鼻を強くかまない 々中耳炎になったら完全に治るまで治療を続ける みんなの使っている補聴器 幼稚部から高等部まで、どんな補聴器を使っているの?補聴器がカラフルになったけれど、 どんな色が人気なのかな?とアンケートを採ってみました。 ナイーダが突出していますが、これはサウンドリカバーという機能の有無に関わらず人気のよ うです。左から5つはシーメンス社の補聴器です。会社別に分けると、シーメンス社とナイー ダを代表とするフォナック社を装用しているメンバーが最近は多いことがわかりました。 新しい補聴器ではスターキー社のイグナイトを中高生が選んでいます。この補聴器は試聴す れば聞こえやすさが実感できるようですが、検査結果には反映されにくい補聴器です。試聴 して「この補聴器がいい」と主張できる中高生だから、選んだのかなぁと思いました。 どんな色が人気? 男女別に集計しました。横軸の人数が男女で違い ます。男子はグレー々シルバー々黒系が 50 人、水色々 青々紫が 30 人強とこの 2 つのグループが多かった です。 女子は男子より色の好みが分かれました。男子と 同じでグレー々シルバー々黒系が 1 番でしたが、28 人 です。赤々オレンジ々ピンク系が25人で 2 番目に迫って います。 男女とも少なかったのが、黄色々緑でした。高等部 の生徒に聞くと、「小さいときはカラフルな補聴器を 選んだけど、卒業後のことを考えたらもっとシブく キメたいね」「髪の毛の色と同じがカッコエエやン」 と返事が返ってきました。 高等部へのアンケート なぜこの補聴器を選んだの? 高等部では卒業後も視野に入れて、ろう学校で最後となる買い換えをする生徒が多いで す。福祉制度を使うと 5 年に1度の買換になります。どんな理由で補聴器を選んでいるのでし ょうか?当てはまる理由に○、1番大きな理由(強く当てはまる理由)に◎をつけてもらいま した。24 人から回答がありました。 理 由 ○ ◎ 試聴して音が良かった。好きな音だった。 3 7 色が気に入った。 7 6 10 4 値段 5 0 先生に勧められた。 7 1 家族と相談した。 9 3 10 3 うるさくない。 9 3 良く聞こえる。 13 6 1 1 形や見た目、デザイン→カッコイイ、小さめ、可愛い 聴力検査の結果をみて。 その他 決め手になった、または強く当てはまる理由(◎)は、「試聴して」と「良く聞こえる」が多か ったです。自分で聴いてみて決めるという姿から、小さい頃から補聴器と共に育ってきてい るんだなと感じました。当てはまる理由(○)では、「良く聞こえる」「形やデザイン」「聴力検 査の結果」「家族と相談」などが上位でした。 自分の耳でしっかり判断した上で、デザインや色なども気になっている様子でした。 試聴後の感想を聞くと、各個人に合わせて同じように調整しているのですが、器種によって 聞こえ方は違うようです。「この補聴器はつるっとした音」とか「こっちは人の声は聞こえや すいけど、自分の声が違って聞こえてくる」など貴重な意見を寄せてくれます。「良く聞こえ る」と感じても、1 日装用すると教室ではうるさいなと思うこともあり、慎重に選び直すこと もあります。みんな、じっくりしっかり補聴器と向き合っていることがわかりました。 同時に「補聴器について思うことはな~に?」と聞いてみました。こんな答えが返ってき ています。 々人生のパートナーです。大切に使っていきたいと思います。 々自分には絶対に必要な物、大切な物です。 々補聴器は僕の相方。 々福祉制度が緩くなってほしい。気軽に買えるような値段と制度を望みます。 々スポーツとかするとき、ちょっと痛い。 々もっと進化してほしい。 々自分の分身だと思っています。代わりに音を聞きやすくしてくれるし、好きな音を聞くこ とができてうれしいです。 々大切な宝物だ。 々身体の一部みたいに欠けたら困るもの。 聴検室の補聴器特性検査機が新しくなりました。 ~特性検査機とは?~ 補聴器の状態を調べる機械のことです。きこえ方に合った 音が出ているかな?パワーはあるかな?音は歪んでないか な?電池の減り具合は? などいろいろなことがで きます。また、補聴器の 調整をする時は、この機 械で音をチェックしなが ら特性を合わせていきま す。 ~特性検査機が変わることによって~ 補聴器をつけたときの検査でみなさんに渡している 『補聴器の装用状態』のプリントの上の方に貼ってあ る、グラフの用紙が変わります。 今までは60dB・70dB・80dB・90dB の 4 本線 でしたが、それに50dB が追加され5本線になりま す。また、音の歪みについてのデータも同じグラフ用 紙に記載します。 (必要に応じて変更する場合がありま す。)⇒新しい『補聴器の装用状態』の用紙を現在検討 中です。詳細が決定次第『音・きこえのノート』で紹介したいと思います。 訃報 福間 努 先生 (昭和23年~平成元年在職) ご逝去 「音々きこえのノート」の題字デザインを手がけられた福間努先生が、昨年12月28日にお亡 くなりになりました。福間先生は、本校の早期教育に長くご尽力された方です。 「音々きこえのノート」は、本校に聴能部ができた昭和57年から発行しました。その当初から 使用された題字は、福間先生の自筆によるものです。No〄84(H2年3月号)で、福間先生ご自 身のお言葉にふれることができました。 (略) 「音々きこえのノート」としたのは、単に物理的な音ときこえの関係でなく、それ ぞれの障害を自覚し、どんなに高度難聴であっても、その障害を克服して、強く生き ぬいて欲しい願いをこめたものです。 つまり、「音々きこえ」の黒点(々)を中心に広がる波形は、子どもの限りない発達と、 「きこえのノート」そのものの限りない発達を意味したものです。 ノートとしたのは、(略)、子どもたちの聴覚機能の発達を基礎にしながら、それにま つわる貴重な記録や研究課題などなど、過去を振り返っては点検し、未来に向かって は挑戦していく、その足どりが、1つ1つ綴られていくことを意味したのです。 ( 84号特集 「音々きこえのノートに思いを寄せて」より抜粋) *福間先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。