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Excel を用いた GPS 測位計算の演習授業の試み
Excel を用いた GPS 測位計算の演習授業の試み GPS positioning calculation exercises using the Excel worksheet in the Kosen 入江博樹 Hiroki Irie 熊本高等専門学校 建築社会デザイン工学科 National Institute of Technology, Kumamoto College, Department of Architecture and Civil Engineering 1. まえがき 熊本高等専門の建築社会デザイン工学科は、建築学と土 木工学の複合学科であり、確かな専門基礎技術と高度情報 化社会に対応できる ICT に関する素養を培うことで、社会 に貢献できる基礎的なデザイン能力を身に付けた実践的技 術者の育成を目標としている[1]。著者は測量に関する3年 生の授業の中で GPS や GIS に関する講義を担当している。 本発表では、Excel を利用した GPS の測位原理に関する内 容について説明する。 までコピー&ペーストすることで実現した。途中の計算値 もが見えることでアルゴリズムの理解が深まる。 2.3 GPS 衛星の位置計算 GPS の 測 位 計 算 に お い て 、 球 の 方 程 式 の 中 心 と な る GPS 衛星の位置が重要であることを理解させる。衛星の位 置は、航法メッセージ含まれているパラメタによって計算 できること学習させる。 2.Excel を用いた GPS 測位計算 GPS に関する演習は、大きく分けて3つのテーマについ て行っている。(1)NMEA メッセージフォーマットで得ら れた緯度・経度・高さの情報から XYZ 形式に変換するこ と、(2)GPS 単独測位の計算に関すること、(3)航法データ の衛星のパラメタから GPS 衛星の位置を計算に関するこ との3つを取り上げた。これらの計算は電卓による手計算 もできるが、多くのデータを繰り返し演算するため、煩わ しさから学習のモチベーションを下げることにつながる。 プログラム言語を利用すると計算の手間を減らすことが できるが、言語の取り扱いに慣れていない学生には、測位 計算を学んでいるのか、プログラミングを学んでいるのか 曖昧になってくる点が欠点である。 そこで、演算途中の流れが見えるが計算の手間は省ける Excel を利用することにした。 2.1 BLH から ENU への変換 GPS 受信機の NMEA メッセージフォーマットで得られ る位置情報は、ECEF 座標の BLH 形式の緯度・経度・高 さ(楕円体高)であるため、2点間の距離を比較するには、 ECEF 座標系の XYZ 形式に直す必要がある。計算式は次 の関係式を利用した[2]。 X =(N+h)cos(B)cos(L) Y =(N+h)cos(B)sin(L) Z =(N(1-e^2)+h)sin(B) ここで、N=a/(1-e^2*(SIN(B)^2))^0.5 とし,e は離心率で ある。日常で利用する平面での動きの確認のためには、 XYZ から ENU 形式に変換する方法も学ぶ。 2.2 GPS 単独測位計算 GPS 単独測位は、球の方程式をニュートンラプソン法で 解くことであることを解説し、衛星の位置と擬似距離を与 え、GPS 受信機の位置を求めさせる。Excel の行列演算機 能を利用することで、学習者は行列演算の意味に集中して 学習を進めることができる。単独測位計算では、初期値を 入れた後に計算値が収束するまで繰り返し計算を行う必要 があるが、図2に示すような一連の計算式を値が収束する 図1 BLH と ENU の関係を説明した図 図 2 GPS 単独測位の計算の流れを示すワークシート 3.まとめ GPS に関する授業の中で、Excel を使った測位計算の事 例を紹介した。プログラミングが得意でない学生が、GPS の測位計算の手順を学ぶには良いと感じている。今後は計 算の事例を増やして、授業で利用したいと考えている。 <参考文献> [1]熊本高等専門学校建築社会デザイン工学科, http://www.kumamoto-nct.ac.jp/general/subject/sub_design.html [2] CD-ROM テキスト 測地学 Web 版, http://wwwsoc.nii.ac.jp/geod-soc/web-text/index.html