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第2部 利活用・運営管理ガイドライン
第 7 章 利活用・運営管理ガイドライン 1.利活用・運営管理の目的 (1)利活用・運営管理ガイドラインとは 利活用・運営管理ガイドラインの目的は、「基本構想」でも示されているように、シンボルプロムナードと広 場を中心として様々なアクティビティを繰り広げることによって、賑わいを活力へとつなげていくことです。 更に、まちづくりマネジメントの方針にも掲げている「365日様々なアクティビティによる賑わいづくり」、「一 体的な利活用・運営管理の仕組みづくり」、「利活用の自由度を確保する条例やルールづくり」をまちづくり の推進とあわせて検討し、発展させていく必要があります。 よって、このような目的を実現していくために、市や関係する民間権利者だけでなく、市民や様々な人々 が、多様なアクティビティを創出しやすい空間となるよう、最低限守るべき事項や基本的な事項を「利活用・ 運営管理ガイドライン」として取りまとめました。 このガイドラインは、今後の実験的な利活用を重ねていく中で、必要に応じて見直しを行っていきます。 (2)利活用・運営管理ガイドラインの使い方 オープンスペースの利活用・運営管理に関係する利用者、運営管理主体、市等は、具体的な利活用お よび運営管理を進める上で、本利活用・運営管理ガイドラインを参照し、利活用・運営管理の考え方や基 本姿勢、求められる役割を認識しつつ、具体的な取り組みに反映させるものとします。 (3)対象範囲 本ガイドラインの対象範囲としては、オープンスペース(シンボルプロムナード、(仮称)花畑広場及び公 園)を基本とします。また、地下駐車場やMICE等の施設についても、運営管理の連携可能性について今 後検討していきます。 凡 例 運営管理の対象(SP/広場/公園) ※基本的な運営管理の対象とする 運営管理の対象として連携可能性のある施設 MICE 地下駐車場 NTT 再開発 縁側 シンボルプロムナード 辛島公園 (仮称) 花畑広場 民有地 花畑公園 NHK 0 10 30 図7-1.利活用・運営管理ガイドラインの対象区域と関連区域 92 50 100m 2.利活用・運営管理の手引き (1)誘導したいアクティビティ 多様な規模や種類のアクティビティを誘導し、年間を通して連続的に利活用されている状態を目 指す 日常的なくつろぎや憩い、コミュニケーションから、コンサートやお祭り等の大規模なイベントまで、期間、 区域、主体等、様々なアクティビティによる利活用を誘導していくことにより、広域、中域、市内・周辺等から 人を呼び、一年中いつでも人が憩い集っている状況をつくり、賑わいを創出します。 更に、中心商店街や新町・古町等周辺の地域で展開されているイベントや、市民団体、MICE等と連携す ることによって、広く人を呼び込み中心市街地全体の活性化にもつなげていきます。 ■アクティビティ誘致の考え方 ・シンボルプロムナードで行われている既存のイベントを活かしながら、新たなアクティビティの誘致や創出を図る。 ・多様なアクティビティにより、熊本城・城彩苑や新市街周辺等から人を呼び込む。 ・隣接施設の特性を考慮しアクティビティを誘導・配置する。 ・運営初期は、自主企画アクティビティ等により、賑わいを創出し、場所の周知や PR に繋げる。 アク テ ィ ビ テ ィ の種類 春 夏 桜町さ く ら ま つり 大き な イベ ント 等 秋 火の国ま つり 等 冬 大にぎ わい市 みずあかり 等 熊本城マラ ソ ン ア ク テ ィ ビ テ ィ の例 等 ※シ ン ボルプ ロ ムナード で 行われて いる 大規模及び動員数の多いイ ベン ト 、 ま た 、 こ れら の組み合わせや新規に創出さ れる イ ベン ト 等も 含む 大に ぎ わい市 フ ラ ワーフ ェ ス テ ィ バル 長期間の ( 2~3ヶ 月) アク ティ ビ ティ 等 ビアフ ェ スタ 等 アート フ ェ スタ 等 みずあかり アイ スス ケート 等 ※季節毎に一定期間開催する テ ーマ 性のある イ ベン ト 等 フ ラ ワーフ ェ ス テ ィ バル ア イ ス ス ケ ート 日常的な アク ティ ビ ティ Ex) 憩い・ た ま り 空間、 ケータリング カー、 オープ ンカフェ 等 ※年間を 通し て 、 イ ベン ト が行われて いな い時にも にぎ わいを 創出する ケ ータ リ ン グ カ ー オープ ン カ フ ェ その他 イベ ント Ex) MICEと 連携し たイ ベン ト 、 企業の宣伝、 ス ポーツ 大会等の開催 企業プ ロ モ ーシ ョ ン イ ベン ト 図7-2.アクティビティ誘致のイメージ 93 子ど も フ ッ ト サル大会 (2)利活用・運営管理に関するルールと仕組み 官民協働による「新しい公共」が中心となって、最低限のルールや仕組みをつくり、更新してい くことで、誰もが利用しやすい環境を確立する 1)制限(管理)のレベル “人中心”へ転換するシンボルプロムナードを中心としたオープンスペースは、場面転換を容易にできるよ うに設えることと併せて、広場条例の適用や利用制限を緩く設定することによって、多様なニーズに対応で きる自由度の高い空間とし、活発な利活用を促していきます。また、ルールは、実際に利活用を行いながら、 市民や利用者の意見を取り入れ、花畑・桜町地区に最適なルールへと更新していきます。 ①利活用の制限 ・貸し出しに際しては、最低限のルール設定とする 【 例 】 ・公の秩序または善良なる風俗を害する恐れがあると認められるとき ・集団的にまたは常習的に暴力的不法行為を行う恐れがある組織の利益になると認められるとき ・勧誘などに利用する恐れがあると認められるとき ・催物の性質が周辺地域の静穏を乱す恐れがあると認められるとき ・施設及び設備・備品を損傷する恐れがあると認められるとき ・施設の他の利用者や催事に不都合又は支障が生じる恐れがあると認められるとき ・公共エリアとしての美観・動線・音響・振動・臭気等に支障をきたさない事 ・スケートボード、キックボード等の遊具を使用すること ・署名・勧誘・キャッチセールス・扇動等の行為や、商品・ビラ等の人的配布を伴わないこと ※ シンボルプロムナード及び花畑地区広場において想定される最低限のルール ②利用可能時間 ・24時間開放された空間とする ・イベント等への貸出時間は、周辺施設の利用可能時間や音の問題に配慮し設定する ・季節に応じて柔軟に時間を設定する(例えば、夏季は早朝や夜間の利活用を可能にする等) ③利用料金 ・様々な利用を促進するように、複数の料金プランを設定する (例)利用者(市民、企業、・・・)、利用の種類(物販、PR、コンサート、・・・) 利用範囲(専用利用(全面・半面)、行為利用) ・持続可能な運営管理が行えるよう、公益性、収益性を加味した料金設定とする ④申請手続き ・公園を含めて申請窓口を一元化し、利便性の向上を図る ・隣接する事業者の壁面後退部分については、一元化に向け今後協議を進める 94 2)利活用・運営管理の仕組み オープンスペースを 365 日賑わい溢れる空間とするためには、誰もが利用しやすいような仕組みづくり が必要です。将来的にも、より良い仕組みへ発展していけるように、実際の利活用や市民意見を通して更 新していきます。 ①連携・協力による利活用の促進 運営管理主体は市民・市民団体、事業者等が連携・協力し、自らの利活用はもとより、多様な利活用 を促進します。市も市民や利用者の活発な利活用を支援するとともに、利活用の担い手を育成し、将来 にわたって利活用が発展するように努めます。 ②利便性を考えた体制 シンボルプロムナードを中心としたオープンスペースについては、利便性を向上させ利活用を積極的 に促していくために、運営管理者が一括した申請や相談窓口を設けます。 なお、隣接する事業者の壁面後退部分については、申請窓口の一元化に向けて今後協議していき ます。 ③市民や利用者等の意見により、進化していく仕組み 利活用の仕組みは、市民や利用者からの意見聴取やレビュー等により、最適な仕組みとなるように進 化していきます。 熊本市 活動支援 ・助成 相談/ 活動支援/ イベント企画 実現化 利用申請 イベント企画 空間 貸出 利用申請 イベント企画 一般市民 活動支援 ・助成 運営管理委託 イベント持込み 市民団体 ●活動企画 ●PR活動 ●イベント誘致 行政・市民・周辺事業者が連携・協力し合い、 多様なアクティビティを創出し、 安定した運営管理できる体制づくりを目指す 空間 貸出 周辺事業者 利用申請 イベント企画 運営管理主体 ●自主企画 (プログラム、調整等) ●施設の管理 空間 貸出 利用申請 イベント企画 委託 (産交、NHK,NTT、 肥後銀行等) ●イベント企画 空間 貸出 利活用したい その他の事業者 広告代理店 イベント企画会社 ●イベント企画 ●運営の補助 図7-3.利活用・運営管理の仕組みのイメージ 95 (企業等) ●イベント企画 3)運営管理主体について 幅広いネットワークとノウハウを持ちながら、持続的な運営管理を行う ①運営管理の基本姿勢 オープンスペースの運営管理に際しては、次のような基本姿勢で臨むこととします。 シンボルプロムナードや広場等の利活用を盛り上げ、賑わいを創出し、中心市街地全体 運営 の活性化につなげていく 管理 シンボルプロムナードや広場等が心地よく、そして気軽に利用できるようにする ②運営管理主体に求められる要件 オープンスペースを有効に運営管理していくために、主体に求められる要件は下記のような項目が考 えられます。 ・地域とのネットワーク 地域のアクティビティを活性化できるように、地域の人・団体・事業者等とのネットワークを有する事 が求められます。 ・イベントやアクティビティを創意工夫できる企画力 新規イベントや地域との連携イベントなどを積極的に誘導・企画し、365日賑わいを創出できるプ ログラムを作成する自主企画力が求められます。 ・運営管理のノウハウ 施設等を効率的に管理できる経験やノウハウ等のみならず、イベント等を賑わい創出へとつなげ ていく運営のノウハウも求められます。 ・持続的な運営管理体制の構築 長期にわたって自立的に活動が継続できるよう、人員・体制とそれを支える経営のノウハウが求め られます。 96 4)運営管理の手法 自立的な運営管理が育まれるように、手法選択を柔軟に行う オープンスペースは自立的に運営管理されていくことを目指し、まちづくりの段階に応じて相応しい体制 と仕組みを柔軟に取り入れます。今後約5年間で各施設が順次整備される予定ですが、工事の期間にも暫 定的な利活用を進めながら、桜町・花畑地区ならではの運営管理の仕組みを構築していきます。完全オー プン後には自立的な運営管理を目指し、体制や仕組み等を常に見直していきます。 また、オープンスペースを有効に運営管理するための手法として、「委託」、「指定管理者制度」、「貸付 け」等が想定されますが、今後のまちづくりマネジメント~エリアマネジメントの段階に応じて、各手法の特 性を踏まえながら選択し、または組み合わせます。 手 法 特 性 事 例 【 委託 】 【 指定管理者制度 】 【 貸付け 】 特定 の業務を 委託す る 事 で、効率化を図る事が可能。 他都市では、窓口業務等を 一括してNPO 等の地域団体へ 委託している場合も多い。 独自の専門性やノウハウを活かし て自由な運営管理が可能。 また、指定管理料が運営管理者 へ支給されるため、賑わい創出業 務等にも積極的に取組む事ができ る。 指定管理者制度と同じよう に、ノウハウを活かした自由な運 営管理が可能。 一方で行政からの補助がない ため、ある程度自立した運営管 理が出来る状況で適用する事 が望ましい。 ・姫路駅北駅前広場 ・アオーレ長岡 ・札幌駅前通 地下歩行空間 ・埼玉新都心 けやき広場 ・富山市まちなか賑わい広場グランドプラザ 関 係 図 図7-4.運営管理の手法イメージ 97 ・大阪グランフロント うめきた広場