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実習編 - 日本国際保健医療学会学生部会(jaih-s)
jaih-s 国際保健 学生フィールドマッチング 2013 春期 実習報告書 CONTENTS ページ数 1. ザンビア国 HIV/エイズケアサービス管理展開プロジェクト見学(実習国:ザンビア).........................2 2. ネパール・カトマンズ市近郊保健医療研修(実習国:ネパール)……………………………………………………………10 3. 途上国における栄養改善を主とした保健活動(実習国:ラオス)……………………………………………………………13 4. ベトナム保健衛生研究見学プログラム(実習国:ベトナム).........................................................19 5. マラリア流行地調査参加(実習国:バヌアツ)……………………………………………….....……………………………..26 2013 年度 春期(2 月~3 月) 2013 年春期(2 月~3 月)の募集では、学生の受け入れが実現した実習は 6 件あり、12 名の学生が参加しました です。実習先一覧は下記の一覧になります。 実習テーマ 国 1.ザンビア国 HIV/エイズケアサービス管理展開プロジェ ザンビア 参加者数 3 クト見学 2.ネパール・カトマンズ市近郊保健医療研修 ネパール 1 3.途上国における栄養改善を主とした保健活動 ラオス 2 4.パレスチナ難民救済機構保健サービス実習 ヨルダン 1 5. ベトナム保健衛生研究見学プログラム ベトナム 2 6.マラリア流行地調査参加 バヌアツ 1 3 1 ザンビア国 HIV/エイズケアサービス管理展開プロジェクト見学(実習国:ザンビア) 1-1 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 20 13 年 氏名 Y.K 所属 実習国 ザンビア 受け入れ者 氏名等の ウェブ公開 ・不可 期間 (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) 医学部 医学科 3 月 14 日 4学年 宮野真輔先生 20 13 年 2 月 日( 5 日間) 25日 ~ 2 月 29 ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 24 万円 ( 内訳:航空券 17万円 + 一泊のホテル代平均 6000 円 + 一回の食事代平均 800 円 + その他生活費 50 00円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 ①ザンビアにおける HIV/エイズの現状 先生からのデータに基づいたお話とともに、実際にプロジ A B C D を知る。 ェクトに同行させていただき、理解が深まった。 ②プロジェクトに関わる様々な立場の HIV(+)の方に直接お話をうかがう機会もあったが、実 A B C D 方々の考えをうかがう。 際にはどこまで聞いてもよいのか難しかった。 ③日本の途上国における医療分野で 現地で活躍される様々な立場の日本人にお会いするこ の支援のあり方・意義・目指していくべ A B C D とができ、色々なアプローチが可能なことが分かった。 きところについて考える。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) ① ザンビアの実情にそくして、プロジェクトが展開されていることが理解できました。今では、多くのデータが国の実情を反 映する指標として用いられていますが、実際にその地へ足を運んで自分の目で見ることの重要性を強く感じました。 SHIMA Project というモバイル HIV サービスがなぜザンビアで行われているのか、理解できました。 ② 先生にスティグマのことをうかがい、現地スタッフやタクシーの運転手さんに、ザンビアの女性の地位や結婚等につ いて聞くことができました。HIV(+)の方は、ボランティアに携わる方の中にもいらっしゃいましたが、ご本人について、 2 詳しく質問する気持ちにはなれませんでした。信頼関係が成り立っていないのに、外部の人間が聞くべきではないと 感じたからです。しかし、この経験は、今後自分がどの立場から、人々と関わっていきたいかを考えるきっかけになり ました。 ③ 国際協力や日本の支援の特徴、日本人の課題など幅広いお話をお聞きすることができました。日本の支援の強み である、『持続発展性を重視し、5 年後ではなく、10 年後を見据えて、主役である現地の人々のキャパシティを上げ ていく』スタイルに共感しました。そして、具体的にどのように先生方はアプローチされているのかを間近で見ることが でき、モチベーションや苦労、やりがいなどをうかがい知ることができました。 その他 SHIMA Projectで提供するサービスの質を改善していくために行われているコホートスタディの調査にも同行させていた だきました。地域の現状を医療政策に反映させる手段の一つとして疫学的研究が行われていることを知り、興味を持ち ました。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 2 月 24 日 ルサカ着 2 月 25 日 Chongwe 郡 ヘルスセンター・郡病院見学 保健省にて先生から HIV・SHIMA project に関するお話を伺う 2 月 26 日 Chongwe 郡 ヘルスセンター見学 2 月 27 日 Mumbwa 郡 ヘルスセンター見学 現地で活動されている青年海外協力隊の方のお宅へお邪魔しました。 2 月 28 日 Mumbwa 郡 ヘルスセンター見学 3 月 1日 University Teaching Hospital、Cancer Diseases Hospital 見学 リビングストンへ移動 3月2日 観光 3月3日 ルサカへ移動 3月 5日 日本着 平均的な一日のスケジュール 9:00~17:00 (Mumbwa 郡へ行くときは 7:00~) この実習での経験を今後どのように生かすか 今回の実習では、『現状を知る』だけでなく、現地でご活躍される先生方の『モチベーションやこころざし』についてもお聞 きすることができ、感動しました。そして、なぜ、自分が国際保健の現場で働きたいのか、自分は何をしたいのか、もっと 追求していこうと思いました。また、地域医療と国際保健との類似性についても、興味を持ったので深めていきたいと思 います。 感想 私にとって初めてのアフリカでしたが、刺激的で、楽しい思い出の詰まった実習となりました。日本と全く異なる医療事情 に驚きました。しかし、見学させていただくうちに、「この状況に即して考え出されたザンビアのための HIV に関するサービ スが SHIMA project なのだ」と、静かに感動していきました。現地の人を育てるという日本の支援のスタイルのもと、問 3 題意識を向けさせるためにどのような言い方をしたらいいか、など細やかな配慮をされる先生の姿や、ボランティアとして 使命感をもってプロジェクトに関わっている地域の方々の熱い語りが印象に残っています。また、プロジェクトの改善点 は?とインタビューされたときに「bike」とすかさず答える現地の人に、自らも(車に乗せていただいていたが)経験して共 感する反面、その言葉に含まれる人間くささも感じました。こうした問題は人間同士の関わりあいの中だからこそ、生じて くるものであり、解決が難しいと思いましたが、それゆえに、物に依存し過ぎない、持続発展可能な支援はとても実用的 で魅力的だと思いました。最後になりましたが、宮野先生をはじめとする現地でお世話になった先生方、またこの機会を 与えてくださった学生部会のみなさま、一緒に参加したメンバーにお礼を申し上げたいと思います。貴重な学びの多い、 有意義な実習となりました。本当にありがとうございました。 参加者と子どもたち ヘルスセンターで薬を処方するボランティアの方々 1-2 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2012 氏名 実習国 氏名等の ウェブ公開 A.O 所属 ザンビア 医学部 医学科 年 3 月 16 日 二学年 受け入れ者 不可 (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) 期間 2012年2月25日 ~3月1日(5日間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 30 万円 ( 内訳:航空券 22 万円 + 一泊のホテル代平均 6千円 + 一回の食事代平均 500 円 + その他生活費 500円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 4 目的(実習計画書の内容) 国際保健においての実際を知る 自分にこれから何ができるかを考える アフリカの実情を知る 学生自己評価 自己評価の理由 政府機関との関わりから住民一人との関わりまで見るこ とができたから 国際保健における様々な関わり方を学んだ。これから のことを考えるために帰国してからもまだまだたくさん勉 強し、考えなければならないから 先生、住民の方を通じて今のアフリカを見ることはできた が、現場を見るだけでなく勉強が必要だと感じたから A C B ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) 国際保健においての実際を知る ・国際保健の仕事について、サポートし、裏で働く仕事であるのだと気づいた。 ・大きな目標があり、そこへ向けての活動はそれぞれで、細かな仕事もあった。しかしその一つ一つの仕事で大きな目標 が達成されるのだと感じた。 ・国際保健の仕事は政府同士の仕事のみだと思っていたが、国・郡・個人レベルの様々な位置で全体を見ていることが 分かった。 自分に今後何が出来るかを考える ・私が今後すべきことは、自分が海外で働きたいと思う理由を見つめなおし、自分が目標とする人を見つけることだと教 えてもらった。まだはっきりとはしていないが、考えていこうと思う。 アフリカの実情を知る ・現地の人に直接会い、行動した。それにより、例えば診療所までの距離が遠い、道が悪いなどの移動の不便さとは、こ ういうことなのかと身を持って体験した。 ・ただ、アフリカの現在の実情を知るには、勉強不足だったと感じた。資料や本などでまずは学ばなければならない。ま た、日本の医療の実情もしっかり勉強しておかなければならないと気づいた。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 一日目 チョングエ郡 health care center、郡病院 二日目 チョングエ郡 health care center(プロジェクトスタッフの仕事を見学) 三日目 ムンブワ郡 health care center 四日目 ムンブワ郡 health care center(lost follow up に同行) 五日目 大学病院、Cancer Center 5 平均的な一日のスケジュール AM7:00~8:00 ロッジから出発 先生と郡部へ 2,3 時間移動し、プロジェクトに同行 PM4:00~6:00 ロッジへ到着 この実習での経験を今後どのように生かすか まず、自分が今回学んだことを、もっと長い時間をかけてまとめ、考え直したい。今後国際保健や医療とどう関わっていく か、今回の経験を活かせるよう、 考えようと思う。 また、今まで何がしたいか、漠然としか考えてこれていなかったが、もっと具体的に行動し始めようと思う。 感想 ザンビアで働く先生方、プロジェクトスタッフの方、現地の方、たくさんの人に支えられて研修を終えることができました。 大変なこともありましたが、ザンビアで実習をでき、本当に良かったと思っています。行動する大切さを知りました。この経 験を無駄にせず今後に生かせるよう努力していきたいです。 現地ボランティアのお宅に訪問 群病院の病室 1-3 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 20 氏名 実習国 新田周作 所属 ザンビア 氏名等の ウェブ公開 受け入れ者 可 期間 宮崎大学 医学部 年 医学科 月 3 学年 SHIMA project 2013 年 2 月 25 日 ~ 3 月 1 日( 5 日 間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 31 万円 ( 内訳:航空券 17 万円 + 一泊のホテル代平均 6000 円 + 一回の食事代平均 0 円 + その他生活費 10 万 円 ) 6 日 ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 現地におられる日本人の先生方とは話す機会も多く、 先生方も親切に色んな話をしてくださったため、目標は いろいろな人と交流し、その人の考え B ある程度達成できたと思います。ただ、現地のザンビア 方、価値観、目的意識に触れる 人の方などの話をもう少し聞くことができたらよかったと 思いました。 実習では、先生方に講義をしていただいたり、実際に医 療が提供されている現場に連れて行ったりしていただき ザンビアの医療の現状を知る、現地 ました。これらを通じて現地で働かれている先生方はザ の人と医療関係者の関わり合い方な A ンビアの医療にどう関わっているのか、ザンビアの医療 どを知る の現状はどういう状況なのか、といったことがよくわかっ たと思います。 正直、海外で仕事をするということがどういうことかなん 日本を離れ海外で仕事をするというこ て本当のところは、実際に働いた人にしかわからないよ とがどういうことなのか、自分なりの D うな気がしました。でも、この実習を通じて国際協力に 見識を持つにいたる 関する理解は深まったので自分なりの見識という面には 収穫はあったと思います。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) ・ろいろな人と交流し、その人の考え方、価値観、目的意識に触れる ザンビアで働かれている先生方とは、地方のヘルスセンターなどへ連れて行っていただく道中や、プロジェクトメン バーとの夕食会などで話す機会が沢山あり、また、先生方も私たちに色んなことを話してくださったのでこれらの目 的はある程度達成されたと思います。 地方のヘルスセンターや診療所を訪問させていただき、現地の住民や子供たちと接することができ、ザンビアの医 療の状況、日本から派遣される医療従事者の現地の方とのかかわり方などを見ることができました。 私が今回フィールドマッチングに応募した大きな目的は、このような先生方との交流を通じて、自分が将来国際保健 に関わるとした場合の具体的なビジョンを模索することにありました。 今回の実習を終えて、1週間という短い間ですが国際保健の現場を見させていただき、国際保健に関わるということ がどういうことか少しわかりました。 今までは海外で医療従事者として働くことに一般的なイメージしか持っていませんでしたが、実際にザンビアで働か 7 れている先生方とお話ができて、国際保健についてイメージが具体的になったと思います。将来何らかの形で国際 保健に関わりたいので、そのために何が必要なのか、国際保健へのかかわり方にはどういった形があるのか、とい ったことが具体的に分かったことが大きな収穫だったと思います。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) SHIMA project は、ザンビアにおいて日本の独立行政法人である国際協力機構(JICA)が、2006 年以降開始した、 HIV/エイズケアサービス強化プロジェクトの流れを汲んで進行するプロジェクトで、ARV(Anti Retroviral Drugs)を用 いたエイズの治療サービスである、モバイル ART(Anti retroviral treatment)サービスを行き渡らせるために保健省 本省、郡保健局、そして郡を監督する州保健局の能力強化を行うものです。 私たちの実習では、最初の 2 日間は首都ルサカに近いチョングエ郡の医療施設の見学をさせていただき、保健局の 診療所、郡病院を見学した後医師の常駐していないヘルスセンターの見学をさせていただきました。チョングエ郡 は、ルサカにも近く、道路も比較的整備されていて住民は医療を受けやすい環境にあります。これに対しルサカから 車で 2 時間ほどの場所にあるムンブワ郡の診療所は、整備されていない道路や、住民の集落がまばらであることな どから、住民の医療へのアクセスはかなり労を要する環境にあったと思います。私たちはこのムンブワ郡の診療所 を次の二日間で見学しました。 最後の日はザンビア大学付属教育病院(UTH)を見学させていただき、ザンビアの最先端の医療が提供されている 場所を見学した。 2月24日 ルサカ着 2月25日 チョングエ郡での見学 チョングエ郡の保健局の診療所の見学 チョングエ郡の郡病院の見学 宮野先生による SHIMA project についての講義 2月26日 チョングエ郡の rural health center 見学 カシシヘルスセンターの見学 加藤先生による講義 2月27日 ムンブワ郡での見学 ナンプンドゥエ診療所の見学 2月28日 ムンブワ郡での見学 3月1日 ザンビア大学付属教育病院(UTH)の見学 UTH の Cancer center の見学 Livingstone への移動(飛行機) 3月2日 ビクトリア滝、サファリの観光 3月3日ルサカへの移動(バス) ルサカ発(飛行機) 平均的な一日のスケジュール 8 06:00 起床 07:00 朝食 09:00 | 実習 16:00 19:00 夕食 22:00 就寝 この実習での経験を今後どのように生かすか この実習で分かったことは、国際保健には、臨床で直接患者さんに医療を提供すること以外にも、SHIMA project が ザンビア政府や保健省、保健局との連携によりエイズケアの普及を目指しているように、間接的な患者との関わり 方もあるということ、そして本当の医療過疎地では医師の不足だけでなく移動手段や住民の認識の問題など様々な 問題が関わっているということでした。 今回の経験は、今後自分が医師になって医療とどのように関わっていくのかを考えるきっかけになったと思います。 今までは自分の中の国際保健へのイメージは臨床的な医療の提供のイメージばかりでしたが、今回の実習では医 療過疎地における国際保健が実際はどのように行われているかを見て、医療を医療過疎地に行き渡らせるには行 政機関や保健機関との連携により行われる SHIMA project のような活動もあるのだという事が分かりました。 また、国際医療について考える以前に自分は日本の医療についても知らないことばかりであると分かったので、日 本の地域医療や医療制度についてももっと勉強しようと思いました。 感想 実習の最初の二日間は比較的医療設備の整っているチョングエ郡で見学をさせていただいた訳ですが、最初の診 療所で患者が長蛇の列をなして診察を待っている姿が印象的でした。ザンビアでは富裕層は都市部の私立病院を 利用し、質の高い医療を受けられるのに対し、貧困層は地方の診療所へ、主に歩きで、診察を受けにくるのだそう で、受けられる医療の格差が伺えました。車や自転車はごく限られた人しか持っておらず、診療所にくる患者のほと んどは歩きか、そうでなければ一日 1 本走っているというバスで来るそうです。 医師や Clinical Officer(CO, 医師と看護師の中間くらいの職だそうです)といった医療従事者により地域医療は担わ れていて、地方のヘルスセンターにはそのような医学を履修した医療従事者が常駐していない所もありました。その ような場所には、2 週間に 1 回ほどの頻度で医師や CO が訪れ、患者に薬を処方したり、大きな病院への紹介を行っ ているようでした。そのような地域の住民にとっては 2 週間に 1 回の医師の診療所への訪問が大きな支えになって いるのです。私たちが 2 日目のカシシヘルスセンターで車のトラブルで遅れた CO の方が到着するのを待っている と、診療所の外にいた私たちの周りに子供達が寄ってきて、一時 50 人くらいの子供たちに囲まれて遊びました。ザ ンビアの人達は皆フレンドリーだったのですが、子供たちも例外ではありませんでした。子供たちはアジア人の私た ちが珍しかったらしく追いかけっこ(?)をしたり、ノートに絵を描いたりして遊びました。 私は最初にザンビアの医療機関をみた時、日本の医療機関との衛生面の違いにびっくりしました。診療所には消毒 の設備はなく、郡病院の救急の部屋の床ではアリがはって行列を作っていました。 医療従事者の足りないヘルスセンターでは、一定期間(5 日ほど)のトレーニングを受けた地域住民のボランティアな どにより運営がなされていました。このボランティアスタッフは患者のカルテの管理や問診、ヴァイタルの計測など簡 単な医療行為を行っていました。 9 次に私たちはムンブワ郡のヘルスセンターに連れて行っていただきました。チョングエ郡は郊外の村という感じです が、ムンブワ郡のヘルスセンターはチョングエ郡よりさらに郊外に車を走らすこと 1 時間ほどの場所にあり、途中から アスファルトの整備されていない砂利道を延々走っていかねばならない地方のヘルスセンターでした。ヘルスセンタ ーは、医者の診察室が屋根と壁しかないほとんど吹き抜けの部屋だったりと、かなり悲惨な状況でした。私たちはこ のヘルスセンターで働く従業員やドクター(CO)に SHIMA project の先生がインタビューを行うのを見学させていただ きました。ここで問題となっていたのが、ヘルスセンターごとのボランティアで働く人たちのやる気によって患者に提 供されるサービスが変わってしまうという事でした。医療従事者の不足するヘルスセンターでの仕事は、地域のボラ ンティアスタッフに頼むところが大きくならざるを得ず、そのようなスタッフのやる気によっても患者に提供される医療 に差が出てしまうということでした。私はここでの見学でアフリカの医療過疎地での医療の現実を見た気がしました。 医療従事者の不足、交通手段の不足、地域住民のボランティアにより運営されているヘルスセンター、どれも一筋 縄では解決しない問題ばかりです。個人的には結核の診断に1ヶ月の時間を要するという話が印象的で、私たちが 日本でいかに恵まれた状況にあるかという事が実感されました。 最終日は、ザンビア大学付属教育病院(UTH)の cancer center を見学しました。 ザンビアでのがん治療は、2006年にこの cancer center が設立されたことで大きく進んだそうです。放射線治療な どの行われているところを見学させていただきましたが、個人的には日本のがん治療についての勉強をまだしてい なかったことから、日本との違いはあまり分かりませんでしたが、日本と同じ機械もあって都市部では先進的な医療 も行われていることが分かりました。 今回の実習では、先生方にはよく面倒を見ていただき、いろいろな話を聞かせていたのでとても有意義な実習にな ったと思います。これらの話を通じて自分が将来国際保健に関わるにはどんな方法や形態があるのかといったこと が少し分かり、自分自身の将来について考える、いいきっかけになりました。先生方とは移動中の車や食事会など で近い目線で話をさせていただけたので楽しい実習期間になりました。 日本にいていろんな本を読んだり情報収集をしても、実際に現地で働き、活動をする先生方の実情について知れる ことは限られていると思います。今回の実習では実際に現地の方々と交流させていただき、いろんな事を自分の目 で見て経験できたことに意味があったと思います。 2. ネパール・カトマンズ市近郊保健医療研修(実習国:ネパール) 2-1 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 3 月 20 日 氏名 鄧 傑之(とう たかゆき) 所属 大阪医科大学 医学部 医学科 5年 実習国 ネパール 受け入れ者 Dr. Basant Pant 氏名等の ウェブ公開 可 (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) 期間 10 2013 年 3 月 7 日~3 月 16 日 (9 日間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 15 万円 ( 内訳:航空券 10 万円 + 一泊のホテル代平均 3000 円 + 一回の食事代平均 500 円 + その他生活費 0 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 ① アンナプルナ脳神経センター ANI では毎日朝の回診から午後の手術までできる限り A B C D (ANI)にてネパール最新鋭の医療 ○ 医師につき指導していただいた。 サービスを見学する。 都市にある病院と田舎にある病院・診療所を見学する ② カトマンズにおける医療機関を訪 ことでネパールの医療の状況をある程度把握することが A ○ B C D れ見学する。 できたが、休日に見学したため実際の診療風景はみる ことができなかった。 一度ネパール人のご自宅に泊めさせていただき、ネパ ③ ネパールの人々に触れて彼らの文 ール人の生活を見ることができた。また、実習が早く終 A ○ B C D 化を知る。 わった日を利用してカトマンズ市内を観光して、ある程 度はネパール人の生活に触れることができた。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) ①アンナプルナ脳神経センター(ANI)にてネパール最新鋭の医療サービスを見学する。 私は ANI において一週間実習させていただいた。Dr. Pant をはじめとしたスタッフの方々は忙しい中でも優しく英語で教え てくれて非常にありがたかった。ネパールはまさに発展途上国で、行きの飛行機の中で思い描いていたネパールのイメ ージを裏切らなかった。ANI に行ってまず思った感想は、ほとんど日本の病院の設備がそろっていることにびっくりだっ た。CT、MRI はもちろんのこと、ICU には人工呼吸器があるし、手術室には顕微手術(マイクロ)用の機材もあった。手術 前に行う清潔手洗いもほとんど日本と同じであったが、もっとも大きな差は三回目の手洗いは水で洗い流さず、清潔タオ ルで拭くということであった。これはネパールの水の清潔さを信用していないということで、石鹸のついたまま清潔タオル で拭いたほうがマシだということを聞いて、ネパールなりの工夫が見られて驚いた。 また、外来見学の際にいくつかのカルテに“proxy”という文字が書いてあったので、どういうことか聞いてみると、田舎に 住んでいる年配の患者がカトマンズ市内の病院まで来るのは大変だということで、その息子など親族が外来に来て患者 本人の現状を報告するというシステムであった。このように日本と同じところもあれば異なるところもありかなりおもしろか った。 ②カトマンズにおける医療機関を訪れ見学する。 11 Shyam さ んの案 内 で Kathmandu Model Hospital 、Chappagown Community Hospital 、CHPC(Community Health Promotion Center)を見学した。訪れたのが土曜日(ネパールでは土曜日が日本の日曜日にあたる)だったので、職員 はほとんどおらず、病院スタッフからしっかりとした説明を受けたのは Chappagown Community Hospital だけだったので、 これについてのみ述べる。Chappagown Community Hospital は Chappagown というカトマンズ郊外にある小さな町で、こ の町の拠点病院である。病院といっても日本の病院のイメージではなく、平屋が何棟かあって外来、手術、分娩室、血 液検査などを行うラボ、レントゲン、薬局は一通り揃っていた。病棟は分娩前後の妊婦用だけであった。この病院の特徴 は、独自の医療保険制度を運用していることであった。ネパールでは当然のことながら国民医療保険制度はなく、自分 で任意保険に入っている人もかなり少ないという現状から考えても、Chappagown のような小さな町で保険制度を運用 しているのはかなりすばらしい。実際この病院をモデルにして真似しようとしてる病院がいくつかあるらしい。 ③ネパールの人々に触れて彼らの文化を知る。 Shddhipur にて Sanju さんというネパール人のお宅に泊めていただいた。ネパールでは電気不足が深刻な問題となって おり、1日に14時間もの計画停電が毎日ある。実に1日の半分以上が電気のない生活を強いられていて、ほとんどの家 庭・施設ではインバータという大きな電池のようなものを備えている。所詮電池なので、停電の14時間普段通り電気を 使っていれば電池がもつはずないので、最低限使うことになる。それがかなり不便であった。夜は当然テレビもパソコンも 使えないので、夜は小さいライトをつけて Sanju さん、Shyam さん、Mahen さんとしゃべっていた。計画停電のせいかネパ ール人はかなり早寝早起きである。 今回は発展途上国に行き、発展途上国の医療を見学したいということで、この実習に応募した。そして上に挙げた3つの 目標を立てて実習を行った。一週間ずっと ANI というところで実習していて、その医師たちに積極的に教えていただいた ので、脳神経外科に関してかなり勉強になった。Pant 先生はネパールの医療を変えてやるという精神も持って日々働い ておられ、その姿勢はその病院のスタッフにも似たような思いを感じることができた。 また、かなり食事に関しては注意していたが、渡航期間中に体調を崩し下痢にあった。現地では下痢はかぜのようなも のだと言われ、どのような感染症にかかってもおかしくない。やはり水は清潔であることがいかに重要かを身をもって経験 した。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 3/7 夜カトマンズ到着 3/8 ANI で実習 3/9 Kathmandu Model Hospital、Chappagown Community Hospital、CHPC(Community Health Promotion Center) を見学。その後、ネパール人(Sanju さん)宅に泊めてもらう 3/10~15 ANI で実習 3/16 観光 夜カトマンズを発ち日本へ帰る 平均的な一日のスケジュール ANI では 7:00 起床 8:15~ 朝のカンファレンス 9:00~ 回診 12 10:00~ 外来(OPD)見学 14:00~ 手術見学 17:00 頃 回診 19:00 頃 帰宅 22:00 就寝 この実習での経験を今後どのように生かすか 今回発展途上国での医療だけでなく生活などを知ることができて、健康を守るために必要なものはきれいな水と衛生管 理だということがよくわかった。それをかなえるためにはどうしてもお金が必要で、国の政府が動いてくれなくてはどうしよう もないことである。それに対するボランティア活動として何ができるのかということを考えてみたが具体的にはあまり自分 の中ではっきりとした答えは出てこなかった。 私は台湾人なので、将来台湾のために何ができるだろうかということを考えている。台湾は発展途上国のカテゴリーには 入らないだろうが、まだまだ改善の余地はあるはずである。都市ではもう医療が行き届いているが田舎の方ではそうとは 限らない。台湾の田舎の医療の現状を知る機会があればぜひ行ってみたい。 感想 この実習は四国大学の杉野美礼先生のおかげで ANI だけでなくいろいろな病院・施設を見学することができた。杉野先 生には感謝の気持ちでいっぱいである。ただ、今回の実習期間と杉野先生の渡航時期とが被らなかったため、具体的 に日本人がどのように国際保健に携わっているのかを見学することができなかったことは少し残念であった。 ネパールよりいろいろ恵まれている日本で住んでいると見えなかった大切なものが、ネパールに滞在することでいろいろ と見えたことが今回の実習で一番よかったことである。実習に参加させていただきありがとうございました。 3. 途上国における栄養改善を主とした保健活動(実習国:ラオス) 3-1 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 氏名 実習国 氏名等の ウェブ公開 H.I 所属 ラオス人民民主共和国 不可 (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) 受け入れ者 期間 4月 4日 看護学部看護学科 2 学年 NPO 法人 ISAPH 2013 年 3 月 25 日 ~ 3 月 29 日(5 日間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 6.7万円 ( 内訳:航空券 6.2万円 + 一泊のホテル代平均 300 円+ 一回 の食事代平均 200 円 + その他生活費 200 円+空港までの送迎 1500 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 13 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 プロジェクトの運営や問題への取り組み 方について理解する A 住民の価値観について理解する C 看護職の専門性について考える B 自己評価の理由 疑問に思ったことはもれなく質問し、書類なども見せて いただき、自分なりに具体的イメージを持つことができる ようになったから。 短い滞在期間であり言葉も分からないので、住民がどの ように考えているかという直接の声が(当然ながら)聞く ことはできなかったため。 自分の目指す方向性については考えることができたが、 事前に立てた目的とはややずれてしまった。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) プロジェクトの運営や問題への取り組み方について理解する ラオスの GNI は 1,203$だが、乳幼児死亡率が高いために後発開発途上国に分類されている。その乳幼児死亡率 を改善するために母子保健活動を行っている。援助を行うにあたってはその国の問題のどこの部分にアプローチしてい るのかも認識する必要があると感じた。経済的指標や保健指標の意味を改めて考えるきっかけとなった。 ラインサーベイ報告や PDM(プロジェクト・デザイン・マトリックス)等をみせていただき、活動がどのような根拠のもとに 行われているのかをよく理解することができた。情報収集、問題の明確化、計画の立案、実施、評価という流れは看護 展開と似ているという発見もあった。 村の保健ボランティアという名前から想像すると意識の高い人が自主的に役割を担っているというイメージを持ってい たが、実際は字が読めるなどの理由で選ばれており、必ずしも積極的であるわけではないことを知った。また活動に同行 する現地職員への日当を支払わなければならないということで、誰のための支援なのかを考えると疑問に思う点があっ た。しかし昨年までは ISAPH 職員が行っていた健康教育を現在は保健局の職員が行うようにしているそうで、徐々にそ の国の人々主体の活動にシフトさせている様子を見ることができた。また、活動をするにあたって作成が必要な書類など も見せていただき、今まで具体的にイメージすることができなかったコーディネーター的な業務について理解が深まっ た。 住民の価値観について理解する 食物タブーについての住民の考え等についての調査を見せていただいた。100 人中 36 人が子どもの死亡を経験して いるが、食物タブーをまた実施すると答えている人は 92%だった。死亡率が高いのは食物タブーの影響があることは私 たちには理解できることである。しかし子どもの死亡率が高い中でタブーを犯すことの怖さも想像できる。食物タブーを行 っても約 6 割は子どもの死亡を経験していないのである。食物タブーを行わなくても別の要因で子どもが死亡する場合も 14 あるが、そのことは住民にとっては食物タブーを行わなかったからだと受け止められてしまうだろうと想像できる。納得で きる判断材料を提供すること、信頼関係を築くことなどが大切なのではないかと思った。 短期の滞在であり、住民の価値観については理解したとはいえない。しかし住民や現地の人の要望は今自分が困っ ていることであり、目先のことになりがちである。全てをかなえられるわけではないので、それを参考にしつつ効率や真の ニーズを見極める必要があると感じた。 看護職の専門性について考える 私は地域保健に関心を持っている。そのような活動ではコーディネーターとしての業務が主になると聞いていた。それ には必ずしも看護職である必要はないのではないかと思ったのがこの目標を立てた理由である。専門性を求めて看護 職を目指したが、地域保健に関わることはその専門性を失うことになるのではないかという不安があった。そのため看護 職としてのアイデンティティを見つけたいと思ったのである。この目標は達成できなかった。しかし同じく専門職でありなが ら現在コーディネーターとしての業務を担っている職員の方の経歴やキャリアプランを聞くことができとても参考になっ た。直接的には目標を達成できなかったが、今後のキャリアプランに対して前向きに考えられるようになった。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 1 日目 18:00 事務所到着、19:00 食事会(看護職として来ている協力隊員の方との交流あり) 2 日目 9:00 カムアン県保健局表敬訪問、10:30 同県病院表敬訪問、10:30 ISAPH 活動紹介・意見交換、13:30 両 替、市場見学、15:30 ラオスの一般的な生活様式についての説明 3 日目 7:00 カムアン県セバンファイ郡カシ地区定期活動視察、11:00 同郡保健局表敬訪問、11:30 同郡病院見学、 13:00 研修まとめ、15:00 意見交換 4 日目 9:00 カムアン県病院見学、14:00 シーコッタボン寺見学、17:30 夕食会 5 日目 プロジェクト 1 年会議見学、14:00 事務所出発 平均的な一日のスケジュール 上記スケジュール終了後は自転車で周囲の散策、18:30 頃までに事務所に帰宅して買ってきた夕飯を食べた。 この実習での経験を今後どのように生かすか 漠然としていた国際保健及び地域保健のイメージを描けるようになった。成果が表れるのは年単位の長い期間が必 要である。目的を見失わないため、無数にある問題の中でなぜ自分がその問題に取り組むのか、自分の取組みは何を 解決しようとしているのかなど、客観的に明確に捉えることが重要であると感じた。そのような考え方を身につけられるよ うに日ごろから気を付けていきたい。 看護職として国際保健にどのように関われるのかということを今まで考えていたが、世界には国が何か国あるのか、そ のうち開発途上国は何か国か、開発途上国の中の分類など基本的な知識がないことに気づいた。また、日本の医療事 情等についての知識も不足していた。日本の状況を知ることで初めて現地の状態と比較することができるのではないか と思った。基本に戻って勉強していきたい。 自分はやはり病院で待っているよりも地域にでていく保健活動に携わりたいのだということをこの実習で再確認した。こ れは必ずしも医療職である必要があるわけではない。医療分野のみではなく広い視野を持てるように様々な分野の人と 交流していきたい。 感想 15 私は以前 1 か月ほど海外でボランティアをした経験がある。それに比べて今回はとても短い期間だったが、プロジェクト を運営する側から国際協力を見せていただき、一作業員のような形での参加だったボランティアとはまた違う収穫が得 られた。とても貴重な経験だった。 下痢の予防について説明する郡病院職員と住民 外来での血圧測定 3-2 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 氏名 実習国 氏名等の ウェブ公開 中谷 諒 所属 ラオス 受け入れ者 可 ○ ・ 不可 期間 3 月 25 日 順天堂大学医学部医学科 2 学年 ISAPH 事務所 2013 年 3 月 13 日~3 月 22 日(10 日間) (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 13 万円 ( 内訳:航空券 11 万円 + 一泊のホテル代平均 300 円 + 一回の食事代平均 200 円 + その他生活費 1000 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 ラオスの一般的な生活様式を知る。 国際保健とは何かを実際体験すること で今後の自分の活動の幅を広げる参 A ○ A B C D B ○ C D 16 自己評価の理由 現地の人とたくさん交流する中で、衣食住がどのように なっているのかをかなり知ることができたから。 現地の病院や保健局を視察して実情を知ることがで き、これから国際保健に携わることになるならば、確実 考にする。 プロジェクトがどのようにして計画・実行 されているのかを学ぶ。 にその一助になったと思うから。 ISAPHがなぜラオスで活動しているのかという動機づけ A ○ B C D から、最終目標に向けて着実に進展している様子を現 地スタッフから聞くことができたから。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) 途上国に行くのは初めてでどのようなプロジェクトがなされているのかが最初は未知の世界だったが、どういう根拠をもと にプロジェクトを推進しているのかを知ることができ、かつ、最終目標としてゆくゆくは現地の人だけで母子保健を進めさ せていきたいということも知れたのでとても有意義な実習だった。 また、ラオスの人々の文化が日本とはかなり異なっていたので初日は戸惑ったが、生活していくうちに慣れてきて彼らの 生活様式を理解することができたことも成果の一つであると思う。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 3/13 19:00 食事会 3/14 9:00 カムアン県保健局表敬訪問 9:30 カムアン県病院表敬訪問 10:30 市場見学 3/15 9:00 カムアン県病院見学 13:30 シーコッタボン寺、洞窟見学 3/18 7:00 カムアン県セバンファイ郡カンペータイ地区定期活動視察 9:30 カムアン県セバンファイ郡カンペータイ地区タムライヘルスセンター見学 14:00 カムアン県セバンファイ郡保健局表敬訪問 14:30 カムアン県セバンファイ郡病院見学 3/21 7:00 カムアン県セバンファイ郡カンペータイ地区定期活動視察 平均的な一日のスケジュール 7:30 起床 8:00 仕事開始 12:00 昼食 17:00 仕事終了 17 18:00 夕食 23:00 就寝 この実習での経験を今後どのように生かすか 医学部2年生ということで臨床医学はまだ学習していない立場であったので、具体的な臨床医学についての話はなかな か理解できなかったが、公衆衛生の一つである国際保健に身を投じていくという選択肢が広がった。将来的にどのよう な選択をするかはまだわからないが、この実習をベースとして医療というものを日本国内だけではなく、グローバルな視 点で物事をとらえていきたいと思う。 感想 3日目に県病院に行ったが、フランスの援助を受けているとはいえ、日本の病院に比べるとICUや手術室に私服で入れ るなど、特に衛生面が最悪だった。それでも、医療機関が不足しているので県病院に頼らざるを得ない現実があるのだ ということを実感した。 また、6日目には郡病院や郡の保健センターにも行ったが、県病院と比べてさらに劣悪な環境に置かれていることを目 の当たりにした。提供できる医療がかなり限られているので、医療設備だけではなく医療技術の提供も行っていかなけれ ばならないと切実に感じた。 10 日間ラオスに滞在した中で、現地の人たちの明るい笑顔や楽しそうな様子に出会えてとても有意義だった。途上国 に行くことはかなり自分の中でハードルが高かったが、行ってみるとはつらつと生活している人たちを見て自分の今までの 考え方が間違っていたことに気付かされた。この実習を通して自分が一回り大きくなれたと思う。 診察の様子 手術直前の手術室 18 4. ベトナム保健衛生研究見学プログラム(実習国:ベトナム) 4-1 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 氏名 実習国 古川詩乃 所属 ベトナム 氏名等の ウェブ公開 可 ○ ・ 不可 3月 27 日 島根大学医学部医学科 5 年 受け入れ者 長崎大学熱帯医学研究所臨床感染症分野 高橋健介先生 期間 2013 年 3 月 18 日 ~3 月 22 日( 5 日間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 15 万円 ( 内訳:航空券 10 万円 + 一泊のホテル代平均 1600 円 + 一回の食事代平均 1000 円 + その他生活費 200 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 日本の保健所に関する知識があまりに不足していて比 1.発展途上国における地域保健がど A ○ B C D 較ができないことに気付いた。もっと日本の地域保健に のような状況にあるのかを学ぶこと。 ついて学びたいと思った。 保健所のデータが、ベトナム国立衛生疫学研究所 (NIHE、長崎大学が共同研究を行っている)に提供さ れおり、地域保健を管理するための流れの中で、日 2.発展途上国における地域保健に対 本人研究者が重要な役割を果たしていることを実感し B C D して、日本の先生方がどのように関 A ○ た。すぐ成果が出るものではないため、現地住民の理 わっているのかを学ぶこと。 解を得ることが難しいこともあり、友好的に、また現地 の文化を尊重しつつ調査を行う必要があるということ が分かった。 現地の研究員の方々と交流する機会があったが、ベト ナム英語の聞き取りにくさを前に、まったく会話ができな かった。もし現地で働くという状況になれば、徐々に慣 れていくしかないだろうと感じた。ただ欧米人は頑張って 3.国際保健に関わる上で、現在の自 A B C D 聞き取っていたので、やはり通常の英語の能力が不足 ○ 分に不足しているものを学ぶこと。 していることも原因であっただろう。英語の学習にも力を 入れていきたい。 また、やはり自分には積極性が足りないと感じた。もっと 多くの人の意見を聞くよう心掛けたい。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) 19 ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) ◆ベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)の見学 研究に用いる蚊の飼育施設を見学させていただいた。蚊は、地下の水たまり場など温かい水で発生する。その環 境を再現し、どのように発生するのか観察する実験、動物の血を吸わせる感染実験、殺虫剤の抵抗性を調べる実 験などをしている。・フィールドとして一般家庭を調査する際は、村長さんにお願いして家々を訪問。店の仏壇の花 瓶(1 週間ほど水替えをしない)などから採取する。 日本の先生方がベトナムの先生方と協力して、生き生きと研究をされていた。国際協力には様々な関わり方があ るのだということを実感した。今回新しく学んだのは、パンデミックを抑えるための疫学調査など、研究という方法である。 ◆バクマイ病院感染症科の見学 結核患者等の隔離スペースがない、入院患者は一つのベッドに 2~3 人で座っていた(しかもゴザの上に)。感染症病 棟というのに、同じ感染源と思われる患者が同じ病室にいるとは言っていたが、やはり衛生環境は悪い状況であった。 日本では見ることが少ない、ツツガムシ病、腸チフス、エイズ、デング熱などの疑いのある患者さんがおられた。やはり 感染症が重要な領域であるということが実感できた。 ◆ハノイ医科大学学生との交流 学生は英語サークルのメンバーだそうで、私たちと会話できるよう取り計らって下さったようだ。しかし、英語力の無さを 実感した。試験の合間をぬって観光にまで連れて行って下さり、遺跡の歴史まで調べてきてくださっており、とても親切 だった。この出会いを大切にしたいと思った。 ◆Field trip:ハノイ近郊(Bac Giang, Lang Giang)の Preventive Medicine center 訪問 Bac Giang :県レベルの予防医学センター。Lang Giang:市町村レベルの予防医学センター。保健所のようなもの。 県レベルでは食品検査、水質検査、血液検査、労働者の健康チェック、地域保健に関する思想の普及(小学校、新 聞、TV)などを行っている。市町村レベルでは、結核・性感染症・寄生虫などの検出、集団検診(スクリーニングし、県レ ベルで精密検査)などができる。想像していたよりは施設は整っていると感じた。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 3/17 ハノイ着 3/18 ベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)の見学 3/19 バクマイ病院感染症科の見学、Dr.Thuy の講義・ディスカッション 3/20 ハノイ医科大学見学、ハノイ医科大学学生との交流 3/21 Field trip:ハノイ近郊(Bac Giang, Lang Giang)の Preventive Medicine center 訪問、ツアーのまとめ 3/22 ハノイ観光(長崎組:午後ハノイ発) 3/23 ハロン湾観光→ハノイ発(長崎組:ホーチミン観光) 平均的な一日のスケジュール 7:30 朝食(外食) 8:30 朝カフェ 20 9:00-17:00 実習(昼食:外食) 18:00 夕食(外食) 9:00 ミーティング(感想を各自、反省、翌日の打ち合わせ) この実習での経験を今後どのように生かすか 私は将来、国際的に公衆衛生にアプローチしていきたいと考えてきたが、日本の公衆衛生も改善すべき点は多いで あろうに、国際協力ばかり考えていていいのだろうかと疑問に感じ、今回、実際の現場を見学させていただいた。 今回最も強く感じたことは、公衆衛生の知識が少なすぎるということだ。きちんと日本の保険システムを把握しなけれ ば、これからの方向性など見えて来るはずもない。今回の実習で、今はとりあえず、公衆衛生に関する情報を収集しつ つ、自分の進みたい方向を模索していくということが必要と感じた。公衆衛生の勉強は、将来国際的に関わるにしろ、国 内で関わるにしろ、役に立つということは事実である。また、日本の保険システムに興味があれば、医系技官という選択 肢もあるのだということを知った。 様々な情報をいただき、自分の興味のある分野には積極的にアンテナを張って常に情報収集することが大切である と実感した。 感想 今回、マッチング企画を知った経緯は、秋の Jaih-s に総会に大学の知り合い(jaih-s 事務局所属)の子からの facebook 広報で知り、総会出席者でマッチングに参加した子から、「とりあえず行ってみ!」の言葉に従って参加しまし た。想像以上の収穫だったので、紹介して下さった方々、このような企画を支えてくださっている jaih-s マッチング事務 局の方々、先生方、多くの方に感謝の気持ちでいっぱいです。この経験を今後に生かしていきたいです。 入院患者さんの診察 Bac Giang の PMC 21 4-2 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 4 月 10 日 氏名 実習国 桑島 由佳 所属 ベトナム カンホア州 氏名等の ウェブ公開 受け入れ者 可 期間 金沢医科大学 医学部 医学科 3 学年 高橋健介先生(長崎大学医学部国際枠 2 年 生の学生スタディーツアーに同行) 2013 年 3 月 16 日 ~ 3 月 24 日 ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 9 万円 ( 内訳:航空券 60,600 円 + 一泊のホテル代平均 1,800 円 + 一回の食事代平均 300 円 + その他生活費 12,000 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 ツアーに同行してくださった高橋先生からお話を伺うこと 国際保健に日本の医師はどのように関 ができた。他にもベトナムで国際保健に従事されている わっているのか。 B 日本人の方のお話を聞く機会もあったが、医師は高橋 先生おひとりでであった。 その国(ベトナム)が求めるニーズをど のように把握し、結果をどのように還元 C ニーズの把握についてはわからなかったため C。 A バクマイ病院感染症病棟の見学、Field trip から学ぶこ とができた。 しているのか。 熱帯地域の感染症対策および医療。 日本との違い。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) 1)国際保健に日本の医師はどのように関わっているのか。 まず、この目標をたてた理由は今私自身が今後どのような医師になりたいのか決めかねているからだった。今回ツア ーに同行して下さった高橋先生から実際にお話しを伺うことができた。 22 先生の所属されている長崎大学熱帯医学研究所(熱研)では海外を拠点とする研究を行っており、医師は研究者と して現地に赴任し研究をおこなうことができる。研究内容は「蚊媒介性ウイルス感染症研究」「大規模コホートおよび病 院を基盤とした臨床疫学研究」「人獣共通感染症研究」など国際保健に深く沿うものであり、結果は将来的に予防やワ クチン開発などに繋がる。 高橋先生に医師としてベトナムで研究することのメリットについて伺ったところ、 ①現地医師との交流により、日本では診ることのできない珍しい症例の見学ができ、ディスカッションを通じて知識を深 めることができる。 ②対象となる病原体が人体に及ぼす臨床症状をはじめとして、合併症や治療薬などについての知識があるので獣医師 系や生物系出身の研究者とは違った角度からの研究アプローチをすることができる。 と答えてくださった。 また、帰国後に熱研のホームページをみたところ、ベトナムに長期滞在している長崎大学の臨床医は、現地の小児 科医とともに診療活動を行い肺炎診断の標準化もおこなっているとのことだった。さらに、放射線科医へのレントゲン写 真読影トレーニングや細菌検査技師に対する培養技術の指導も行っており、ベトナムの若手医師らの教育面でのサポ ートにも積極的に関わっていることもわかった。 2) その国(ベトナム)が求めるニーズをどのように把握し、結果をどのように還元しているのか。 ベトナムが求めるニーズをどのように把握しているか、については残念ながらわからなかった。結果の還元については成 果 1)に述べた。 3) 熱帯地域の感染症対策および医療。日本との違い。 この課題については、3/19 に訪問したバクマイ病院感染症病棟の見学から答えを得ることができた。 バクマイ病院は約 1000 床を有する国内最大の総合病院で、ベトナム北部の中核病院として機能している。敷地はとて も広く、専門ごとに分けられた建物が隣接しており、確かに規模の面では目を見張るものがあった。しかし、建物は老朽 化が進んでいるように見え、患者さんが入院されている病室の環境もよいと言えるものではなかった。感染症病棟といえ ば日本では他の患者さんや医療スタッフ間で院内感染がおこらないよう最大限の配慮を行うべきだと考えられている。 バクマイ病院では一つのベッドに二人の患者さんが寝ていたり、消毒液の補充が不十分であったり、マスク・手袋の徹底 も特に行われている様子はなかった。また、医療制度においては、ベトナムには肝移植制度が確立されていないことが 日本との大きな違いとしてあげられる。 一方で日本と同じ点もある。それは HIV 専門外来が設置されていること、健康保険制度(6 歳以下の医療費無料、成 人 3 割負担)があることだ。特にベトナムでは HIV 感染者数が増加傾向にあるのが社会問題となっており、実際、病棟に も若い患者さんが何名も入院しておられた。しかし病室の環境は上記に述べたように良いといえるものではなかった。日 本のように各ベッドを区切るカーテンもなく、プライバシーの配慮もされていなかった。 また優れていると考えられる面もあった。それは国が決めた制度が一般市民に速やかに、かつ徹底して行われるとい う点である。社会主義国ならではということもあるが、例えば、ある疾病に対して小児へのワクチン接種が決定したとする 23 と、そのシステムは国全体に速やかに実行されるというメリットがある。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 3/17 顔合わせミーティング 3/18 熱帯医学研究所(熱研)ベトナム・ハノイ拠点、ベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)の見学 3/19 バクマイ病院、感染症科の見学 3/20 ハノイ医学大学の見学、ハノイ大学医学部学生との交流 3/21 Field trip(PMC Bac Giang、PMC Lang Giang) 3/22 ハノイ市内観光、解散 平均的な一日のスケジュール 7:30 集合 朝食 8:30 実習場所へ移動、朝カフェ 9:00 実習開始 16:00~19:00 実習終了、夕飯 21:00 ミーティング 23:00~ 風呂、就寝 この実習での得たこと、実習経験を今後どのように生かすか、および感想 1 週間程度の実習であったが、どの 1 日も濃く、ためになる経験ができた。特にバクマイ病院での実習は、私にとってと ても印象に残るものだった。 成果 3)に書いたとおり、ベトナムの病院の環境は日本とは全く異なるものだった。帰国してからずっと考えていたこの 違いについて、自分なりの考察を以下にまとめる。 バクマイ病院実習の直後は、院内環境など日本との落差に対し非常に大きな衝撃を受け、私は「早く日本が介入し てベッドの寄付や、衛生環境の徹底を指導すべきなのではないだろうか」と考えていた。もっと医療指導を、もっと医療 資源の提供を、と。しかしベトナムに滞在するにつれてベトナムにはベトナムの衛生観念があり、生活があるのだとわかっ てきた。例えば、屋台で売られていたサトウキビジュースはバケツに入った水とサトウキビを濾したものだけで作られたもの だった。これを飲んでお腹を壊すのは当たり前と思われるが、そうなるのは私たち旅行者だけだ。実際、私も飲んでひど い目にあった。しかし、これを不衛生だと決めつけて屋台を指導することが正しいことなのだろうか。その一方で、手洗い の推進や蚊の駆除(蚊が生育しにくい環境作り)を行うことは、ベトナムにとって病気の発生しにくい環境作りに繋がること も確かである。こうした環境で、どこまで日本とベトナムが協力して医療の「すり合わせ」を行うのか。この調整が難しい課 題だと感じた。 滞在中、この課題解決の一つとなるのでは、と思う出来事があった。それはハノイ大学の医学生との交流会で、ほと んどの現地大学生が「日本にいつか行ってみたい」と口にしていたことである。いつか彼らが日本に訪れ、そこで得た情 報を祖国に還元することができたなら、この医療格差の「すり合わせ」を円滑に行う解決策の一つになるのではないだろ うか。彼らになら何がベトナムにとって必要なのか、そうでないかを見分ける力がある。事実、ハノイ大学の学生らは非常 に優秀で好奇心に満ちており、それを実行するに十分な気概にあふれていた。私自身、積極性や勉学に対する姿勢な ど、たくさんの刺激をうけた。日本が手本となり、若手ベトナム医療者が私たちの技術・制度を吸収し、また時には改善を 加えよりよいものとしてベトナムに還元することができたら、それは国際保健の理想の形の一つになるのでは、という結論 24 に至った。その実現のためにも日本の医療は進歩し続ける必要があるのだと考える。 医学部三年の私が今年立てた目標の一つに、「医師にはどのような働き方があるかを見て、自分はどんな医師になり たいのか考える」というものがある。夏は家庭医療学セミナーに参加して‘家庭医‘の実際を学び、秋には Jaih-s さんが 企画して下さった勉強会で医療系技官の方々のお話を聞く機会を頂いた。そして今回のベトナムスタディーツアーでは 日本人医師がどのように国際医療に関わっているのかを学ぶことができた。どれもこれも魅力的で、医師としての可能 性の広さを知ることができ、充実した一年となった。そんな中、ベトナムでの最終日に先生やメンバーと話していて気付 かされたことがある。それは今のところ自分の興味が「感染症」や「呼吸器」「世界および日本の公衆衛生」にありそうと だ、ということだ。この発見は、今まで医学部に入ったもののコレといったアンテナがなく過ごしてきた私にとって、大きな 収穫であった。高橋先生から今年の夏に社会医学セミナーが開催されることを教えて頂いたので、日程が合えば参加 して、アンテナをますます伸ばそうと思う。 一方、反省点として自分の英語力不足があげられる。特に、ベトナムでの経験を通じて、知っている専門用語があれ ば話についていけるが知らない専門用語がでてくると、とたんに話についていけないということをしばしば経験した。例え ば、バクマイ病院実習では学校で習った臨床系の医学英語の知識が役立ち、理解しやすかったのだが、Field trip での 保健機構の説明などは知識不足(おそらく日本語での知識不足もあるが)のため理解が十分にできなかった。この経験 を踏まえて少しずつでも医学英語の知識を増やすことで、英語力の向上に努めたい。 最後に、このような貴重な場を提供してくださった Jaih-s スタッフのみなさん、ツアーを支えてくださった高橋健介先 生、長崎大学、島根大学のみなさん他、ツアーを支えてくださったすべての方々に深く感謝いたします。 感想 上記にまとめた。 病棟見学中 ある男性の症例について、治療経過の説明をうけているところ 25 5. マラリア流行地調査参加(実習国:バヌアツ) 5-1 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 氏名 実習国 氏名等の ウェブ公開 A.K 所属 バヌアツ共和国 受け入れ者 不可 (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) 期間 年 02 月 22 日 医学部医学科 4年 大阪市立大学 金子明先生 2013 年 2 月 8 日 ~ 2 月 21 日 ( 14 日間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 31 万円 ( 内訳:航空券 25.5(バヌアツの国内線も含めて) 万円 + 一泊のホテル代平均 3766 円 + 一回の食事代平均 宿泊代に含まれていたり、先生にごちそ うになったり自炊したのでわかりません。500 円くらい? + その他生活費 3000 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 先生が保健省の方と協力して、1991 年から Vanuatu の マラリア対策のために WPRO や保健省 最南の島 Aneityum 島でなさったマラリア撲滅運動が、 によって立てられた方針が、どのように A B C D 今も続いていることを実感することが出来ました。 地域のコミュニティーで実践されている ○ 実際にコミュニティーの中で生活することで、よりどのよ のかを知る。 うに実践されているかを知ることが出来たと思います。 このように20年以上現地の人たちによるマラリア対策が 地域に馴染みやすい対策、支援の方 続いてきたのは、コミュニティーの理解が必要であり、支 A B C D ○ 法を考える。 援する側はその対策の内容と重要性を理解してもらえ るよう努めなければならないことが分かりました。 今回はマラリアに焦点を当てた実習だったため、その他 バヌアツ共和国での保健公衆衛生上 の感染症などについては詳しく知ることはできませんでし A B ○ C D の問題点、現状を学ぶ。 た。しかし、先生から乳児死亡率や糖尿病、狂犬病、デ ング熱についてのお話をお聞きすることが出来ました。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら 26 も併せてご記入ください。) 1991 年に先生をはじめとした保健省や WHO の方が、Vanuatu の特に Aneityum をマラリア撲滅モデルの地として選び、 それ以来 Aneityum のコミュニティーを含めて撲滅運動を行ってきました。その結果、1997年以来この島はマラリアフリ ーとなっています。また、マラリアフリーとなった今でもコミュニティーの中でのマラリア対策メンバーが調査を行い続けて います。マラリアフリーとなったのも、その後対策が続いているのは、コミュニティーが主体的に対策に参加できているか らだと強く感じました。というのも、例えば、マラリアフリーになった今でも蚊帳の使用をしていたり、空港における塗沫検査 を続けて行っていたり、撲滅運動のメンバーが世代交代してきたりなどしているということです。さらに、住民の調査への 参加率は 90%にものぼり、これは全て住民の理解あってのことだと思います。 以上のようにコミュニティーの理解の上に成り立つ撲滅運動が出来たのは、まず、マラリア対策チームのメンバーが主に 現地のコミュニティーメンバーで構成されていることにあります。現地の人が調査を行うことで、血液サンプルを取る際の 住民の恐怖心が和らいだり、先生がいらしていない間もコミュニティーを管理したり、データを取り続けていられるからで す。次に先生がコミュニティーと何度もミーティングを重ね、マラリアについて説明したり、蚊帳の重要性についてお話し されたりしたことが、大きかったように思います。ミーティングでは、住民からの質問に答えたり、服薬の継続が難しいよう な薬があった場合には代替案を考えたりすることで、より住民にとって継続しやすいマラリア対策ができたのでしょう。最 後に、先生が現地の言葉を話されることで、住民やマラリア対策メンバーからの信頼を得られていたことが挙げられま す。コミュニティーの人々はみな英語を話せますが、普段話すのは Aneityum 語です。先生が現地の言葉をお話になる と、住民とのミーティングの際も気兼ねなく質問でき、調査中も住民と話して和やかな雰囲気がありました。こういったこ とが、上記の住民のコンプライアンスの高さにつながるのだと思いました。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 先生方は私より 1 週間前に Aneityum に着いて調査を開始されており、私は途中参加でした。 2/8-9 成田―AucklandーPort Vila(バヌアツの首都) 2/10-11 金子先生の奥様に現地の様子をお聞きしたり、美術館のようなところに連れて行ってくださいました。また、 Aneityum での生活のために必需品を買いに行きました。 2/12 Port Vila―Tanna-Aneityum 2/13 Umej 村での調査 2/14-15 Analgouhat 村での調査 2/16 Aneityum-Tanna 2/17 Tanna―Port Vila 2/18 ミーティングの準備 2/19 保健省での研究報告のミーティング 2/20 Port Vila―Auckland 2/21 Auckland―成田 平均的な一日のスケジュール 5:30 起床 6:00 朝食 7:30 調査準備 移動 27 8:00 調査開始 12:00 昼食 13:00 調査開始 15:30 翌日の調査の準備 16:00 シャワーなど 18:00 kava time (kava は木の根から作った飲み物です) 20:00 晩御飯 20:00 就寝 この実習での経験を今後どのように生かすか バヌアツに行くまで、マラリアは私にとって馴染みのない病気でしたが、今回の実習を通して、熱帯・亜熱帯の国々では マラリアに悩まされている地域がたくさんあることを再確認することができました。グローバル化により人々の移動が盛ん に行われている今、日本にいても、馴染みのない感染症に罹患した患者さんを診る機会が増えてくることと思います。今 回実感したように、世界にはさまざまな感染症が存在していることを心に留め、今後の臨床実習に生かしていくことがで きたらと思います。 また、感染症の蔓延は、流行地の人々の生活様式や風土に深く結びついていることが分かりました。もし今後海外で医 療を行う場合は、その土地について深く理解したうえで、無理のない、受け入れられやすい対策を心掛けたいです。 金子先生はバヌアツだけでなく、ケニアでもマラリアの調査をされており、またスウェーデンでも研究をなさっています。先 生のように、世界中を飛び回って研究をするのはやりがいのあることだと感じました。同じように世界を飛び回るのは難し いかもしれませんが、将来の働き方を考えるうえで、参考にさせていただければと思います。 感想 事前に Vanuatu について調べていったつもりでしたが、実際に現地で私が実際に目にしたのは、それとはまったく異なる ものでした。民族衣装を着ている人もいなければ、部外者に対して排他的な態度をとる人もいませんでした。治安が良 く、道ですれ違っても挨拶してくれる、フレンドリーで親切な人々ばかりだったように思います。 Aneityum は Vanuatu の中でも南に位置する島で、人口 1000 人強が主に自給自足の生活をして暮らしています。日 本で育ってきた私にとって、電気がないこと、お湯がないことは考えがたいことだったので、始めは戸惑ってしまうこともあ りましたが、すぐに美しい自然と、その地に暮らす人々の知恵と工夫によって慣れることができました。ご飯も美味しく、毎 日海の幸、山の幸をいただくことができました。海や湖で泳いだり、お腹がすいたらそこらじゅうに生えている木からバナナ やココナッツを取ってきて食べたり、道を裸足で歩いたり、日本ではとても経験できないことばかりでした。実際に蚊帳の 中で寝てみると、マラリアがより近くに感じられて、マラリアフリーになった今とはいえ、すこし緊張感があり、大変良い経験 でした。島の人々は、マラリア対策の主旨についてよく理解しており、かなり主体的に取り組んでいることが感じられまし た。 そんなのんびりした Aneityum にも新たな問題が出てきています。例えば、マラリアフリーになったことによって、島への 観光客が増え、コミュニティーにお金が入ってくるようになったそうです。これにより、媒介蚊の侵入の危険性に加え、貯 まったお金を何に使うかが問題となってきています。貧富の差が生まれたり、便利な機械を買うことができるようになるこ 28 とで、生活様式が変化したり、争いが起きる可能性があります。また、島には医者がおらず、看護師が数名いるだけで す。そもそもバヌアツ自体に医学部がないのですが、島の優秀な若者を Port Vila に送り、看護師の訓練を受けさせるこ とも、将来性のあるお金の使い方の一つだと思います。しかし、正しい投資の仕方を知る人がいないために、横領が起き たり、無駄遣いに終わったりするようなことが起きているそうです。このような過渡期にあるこの島で、今後活動を続けて いく上での難しさについても考えることができました。 全体を通して、今回の実習は、マラリアについて学ぶことができただけでなく、バヌアツの文化、風土、生活様式を存分 に体験することができ、予想以上に実りの多いものとすることができました。金子先生をはじめ、このような素晴らしい機 会を与えてくださった jaih-s の方々、本当にありがとうございました。 住民への調査で血液を取って塗沫標本などを作るところ 住民に調査を行っている所 滞在中は蚊帳の中で寝ました 29 5-2 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 3 月 28 日 氏名 実習国 氏名等の ウェブ公開 西澤 美紀 所属 バヌアツ 受け入れ者 可 (不可の場合、イニシャル・学部学年のみ公開) 期間 帝京大学 医学部 医学科 5 学年 金子明先生 2013 年 3 月 9 日 ~ 3 月 16 日(8 日間) ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 26 万円 ( 内訳:航空券 20 万円 + 一泊のホテル代平均 2600 円 + 一回の食事代平均 1000 円 + その他生活費 30000 円 ) ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 自己評価の理由 学生だけで現地で行動し、予定していた実習+αの勉 日本国内では実際に見る事が難しい A ○ B C D 強まで行えた。日本ではあまり知られていない薬も見る マラリアに対する対策を学ぶ 事が出来、勉強になった。 予防は蚊帳の配布位しか行なっておらず、あまり予防と マラリアの予防をするためにどの様な B A ○ C D いう概念はなさそうに感じた。もう少し現地に滞在出来 工夫をしているか学ぶ たら、もっと学べたのかも知れない。 いずれの場所も滞在期間が短ったので、もう少し長く居 ポートビラ(首都)とその他の島におけ ないと大まかな内容しか掴めなかった。ただ、特にマレ B A ○ C D るマラリア対策の違い クラ島では 2 泊 3 日という期間で出来る最大限の事は 出来た。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) マラリアについて学ぶという目的だったが、実際にはポートビラでもマラクラ島でも結核や母子保健、エイズ、糖尿病の事 も少しずつ教えて頂けたので、とても良い勉強になった。マラリアについては日本の医学部ではあまり詳しく教えて貰え ず、2 年前の授業の知識で止まっていたので、最新の治療薬などを実際に見せて頂けた事がとても良い勉強になった。 ポートビラやマレクラ島ではもうマラリアはあまり怖い病気ではなくなっており、蚊帳を配っても魚取りの網代わりに使われ 30 てしまう事もあるとの事だったが、特にマレクラ島では幼稚園からマラリアに関する講義を行なっており、住民への健康教 育は熱心に行なっている様な印象を受けた。ただ、薬の在庫管理が結構いい加減だったり、バヌアツの保健省の方から 伺った情報と現地でお会いした JICA の方から伺った情報で違いがあった部分もあったので、もう少し長く滞在出来たら、 良い面だけではなく、悪い面も見られてより勉強になったと思う。また、今回は Dr.のお話をあまり伺う事が出来なったの で、Dr.の視点からのマラリア対策の話ももっと伺えたら良かった。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 3 月8日 日本発 3 月 9 日ポートビラ着 Ministry of Health と Air Vanuatu の場所を確認する。 3 月 10 日日曜日で役所が閉まっていたため、1 日かけてポートビラ市内を探索。たまたま入ったツアー会社のガイドさ んがフィリピンの医学部を卒業して villa central hospital の labo で働いている方だったので、簡単にお話を伺う 3 月 11 日 朝 8:00 に MOH に行き、Manager の Mr.George Taleo に会い、実習の詳細を確認する。Air Vanuatu に行 きマレクラ島までの往復券を購入 3 月 12 日 朝 10 時の便でサント島経由でマラクラ島へ。ノルスプ空港に Mr.Kalrong が迎えに来てくださり、島内を案内 して下さる。歓迎のカバを頂く。ノルスプ行きの飛行機内でたまたま JICA の方々と一緒になり、色々とお話を伺う。 3 月 13 日 朝 9 時に Mr.Kalrong が迎えに来てくださり、Mr.Kalrong のマラリアオフィスで秘書の Mrs.Annie からマラリア の検査方法や治療方法、マラクラ島のマラリアの統計などを説明して頂く。その後 1 日かけてマラクラ島内のマラリア対 策オフィスやノルスプ病院内の母子保健の部署などを周り、各所で職員の方々にお話を伺う。お別れのカバを頂く。 3 月 14 日 朝8時半に Mr.Kalrong が迎えに来て下さり、前日に見きれなかったノルスプ病院内のマラリア研究所や薬剤 部などを見学。結核対策チームの方にマラクラ島での結核対策についてレクチャーして頂く。午後 2 時の飛行機でポー トビラに帰り、MOH へ行き翌日の予定を確認する。 3 月 15 日 朝8時に MOH へ行き、Mrs.Annie に MOH 内と villa central hospital を案内して頂く。MOH では看護師教育 の目的でいらしていた JICA の職員の方にもお話を伺う。 3 月 16 日 Mele の滝を見に行き、午後 4 時の便でポートビラを出発。 3 月 17 日日本着 平均的な一日のスケジュール 朝7時起床 8時〜12 時まで実習 12 時〜13 時まで昼食 13 時〜17 時まで実習 18 時〜夕食 大体 22 時には就寝(平均睡眠時間 9 時間です。おかげで体調を崩しませんでした。) この実習での経験を今後どのように生かすか 私の将来の目標は海外で医師として働く事であるので、今回 JICA として働かれている看護師の方々に実際の苦労など を直接伺う事が出来たのが、将来どの様に医師として働いていくか考える上での参考になった。 また、日本では当たり前の事が当たり前ではなく、その原因が「そういう概念がそもそもない」という場合に、どの様に相手 の国の文化や考え方を尊重しながらも改革していくかは、今後どの国をフィールドにして働く際にも必要となると感じた。 バヌアツの方々はとても実習生に親切で、質問にもとことん付き合って下さったので、私も今後今回学んだ事を後輩達 31 にとことん伝えたいと思う。 また、来月大学の臨床実習の一貫でネパールの病院に一ヶ月間行き、そこでもマラリアについて学ぶプログラムが用意 されているので、バヌアツで学んだ事と比較してみたいと思う。 感想 今回は学生 2 人だけで行う実習という事で行く前には不安も多少あったが、金子先生や jaih-s の方々や現地のスタッ フの方々の熱心なサポート、相方と上手く協力出来た事もあり、非常に充実した実習となった。 大学では学ぶ機会の少ないマラリアのみならず、バヌアツという国に関しても非常に興味を持ったので、今回このフィー ルドにマッチ出来て本当に良かったと思う。 Norsup 病院のマラリア office PoltVial の Ministry of Health 5-3 国際保健 学生フィールドマッチング 実習報告書 記入日 2013 年 氏名 実習国 中村 瑠奈 所属 バヌアツ共和国 氏名等の ウェブ公開 受け入れ者 可 期間 3 月 25 日 宮崎大学 医学部 医学科 2学年 Mr.George Taleo(保健省) 金子明先生 2013 年 3 月 ( 12 日間) 7日 ~ 3月 18 日 ●実習準備について 実習にかかった費用総額 約 30 万円 ( 内訳:航空券 2400 円 + 一回の食事代平均 等;2000円程度 円 + その他生活費 ●実習前に実習計画書で立てた「目的」に対し、自己評価を行ってください 32 20 万円 + 一泊のホテル代平均 簡素なもの;800円前後 レストラン 4000 円 ) 目的(実習計画書の内容) 学生自己評価 現地の方(住民)が今現在取り組んで いるマラリアへの対策 A ○ 日本とバヌアツでの、公衆衛生、病気 に対する意識の違いを知る A 今、実際に発展途上国では何が必要 とされているのか知る A ○ B B B C D C ○ D C D 自己評価の理由 首都のポートビラでは保健省や総合病院の見学、実習 地のマラクラ島では病院やマラリアオフィス、保健所な どを見て回って、現地の方の取り組みに実際に触れる 事ができたから。 見学した先ではいろいろ質問を行う事が出来たが、まだ 履修していない専門科目が多かったために十分に日本 と比較することが出来なかった。そして事前学習不足を 痛感したから。 今回の実習ではたまたま JICA の方々と知り合う機会が 有り、今のバヌアツの現状を教えて頂けた上、実習先で は今何が必要か、何が問題なのか現地スタッフの方と 討議する事が出来たから。 ※学生自己評価の基準 A:『十分達成できた』(具体的事実を目的に結びつけ、主体的に実習に取り組めた)、 B:『達成できた』(具体的事実を目標に結びつけ、主体的に学習に取り組む必要性を感じ努力した)、 C:『何とか達成できた』(具体的な事実をなんとか目標に結びつけることができ、学習の必要性は感じているが、やや消極的だった)、 D:『達成できなかった』(具体的事実と目標を結び付けられない。学習に消極的で、一人で行動したり考えたりすることができなかった。) ●実習の内容について 目的と成果 (※実習前に立てた目的への成果を、詳しく記入して下さい。目的以外にも得られた成果がありましたら、そちら も併せてご記入ください。) 今回は先生に帯同するという形ではなく、生徒だけで行く実習であったので実習地のマラクラ島に行くまでの間、首都で 過ごす日が合計4日ほどあった。この4日を自分たちでどうやって実習としてアレンジするかが問題だったが、保健省(以 下 MOH;Ministry Of Health と表記)に積極的に働きかけをすることで MOH、総合病院の見学を行う事ができた。病院で はそれぞれの科や、病棟、実際 JICA の方が働いている様子を見学させて頂いた。やはり日本とは異なり、衛生管理や ゴミの分別、薬の管理が曖昧になされていると感じた。そして、来院している人々はどうしてここまで放置していたのか、と いう人が多かったように思う。 また、マラクラ島に行くまでの飛行機でたまたま JICA の方々と一緒になったので、JICA の方々の働き、仕事内容につい ても触れる事ができた。マラクラ島では多くの日本人の方が医療分野、マーケティング分野、教育分野と幅広く活動して おり良い刺激になった。マラクラ島ではマラリア対策で蚊帳を無料配布していること、年齢体重妊娠の有無に応じて治 療法が異なるということ、検査の仕方を教えて頂いた。また、マラリア撲滅に際して、蚊帳の適切な利用、薬を完全に飲 みきるといったことが上手く行われていないという問題点が挙げられていた。しかし多くの住民は夜蚊帳の中で寝るという 事は意識を高くもって行っていたように感じた。また、マラリアだけでなく、今現在バヌアツ、マラクラ島で問題になってい る母子保健や糖尿病についても教えて頂いた。定期的にコミュ二ティー毎に母子保健検診を行っていたり、定期検診 を推奨していた。 MOH でもマラクラ島でも薬の処方や予防薬、病気に対する治療法など教えて頂いたが、まだ履修していない専門科目 が多い上に事前学習不足で、日本との比較や臨床における問題点などが明確に出来なかった。 JICA の方もおっしゃっていたが、在庫観念が根付いていないことや、衛生に対する意識が高くない事、また設備不足な 33 どで何から手を付けたらいいか分からない状態であったことは感じ取れた。また、日本程病院での衛生面が良くないにも 関わらず院内感染が起こっていない事から、必ずしも日本の基準に合わせる必要もないのかなとも考えた。 実習全体の日程 (※日程と訪問場所など、わかる範囲で詳しくお願いします。) 3/7 宮崎発—羽田着 3/8 羽田発—シンガポール/チャンギ空港着 シンガポール/チャンギ空港発—オーストラリア/ブリスベン空港着(3/9) 3/9 オーストラリア/ブリスベン空港発—バヌアツ/バウアフィールド空港着 ホテルにタクシーで移動 MOH と Air Vanuatu の場所確認 3/10 市内観光 3/11 MOH 訪問 Mr.George に逢う(マラクラ島での実習内容確認) Air Vanutu のオフィスで国内線航空券購入 MOH にて実習内容の最終確認 翌日からのマラクラ島実習に備え、備品購入 3/12 Air Vanuatu にてサント島経由でマラクラ島へ Mr.Kalrong が空港にて出迎え マラリアオフィスや norsup 病院の場所案内 宿泊先のロッジへ 3/13 Mr.kalrong のマラリアオフィスへ norsup 病院(部署)見学 health facility の見学 薬局見学 市場、独立記念広場見学 3/14 norsup 病院(病棟/診察室)見学 マラクラ島から直行便でポートビラ(首都)へ MOH 訪問、実習が無事遂行されたことを報告、翌日のポートビラ病院の訪問、MOH 案内を打診 3/15 MOH 訪問、案内見学 PortVila Central Hospital 見学 看護学校見学 3/16 市内観光 バヌアツ/バウアフィールド空港発—オーストラリア/ブリスベン空港着 オーストラリア/ブリスベン空港発—シンガポール/チャンギ空港着(3/17) 3/17 シンガポール/チャンギ空港発—羽田着 3/18 羽田発—宮崎着 平均的な一日のスケジュール 7:00 起床 〜8:00 準備、朝ご飯 34 8:00 実習 12:00 お昼ご飯 13:00 実習 17:00 実習終了 19:00 夜ご飯 22:00 就寝 この実習での経験を今後どのように生かすか 今回学んだ事を、来年度学ぶ専門科目でもっと深めて考察できればと思う。また、バヌアツの人は現地のビスラマ後の 他に英語とフランス後が話せることに衝撃を受けた。私たちは日本語しか基本話せないので、世界に出るには言語取得 も必要と感じた。今後フランス語の取得に取り組みたい。 感想 まだ低学年なのでこれから専門科目を履修して行く上で、今回学んだこととの比較、考察ができればと思う。また、今回 はたまたま JICA の方々と知り合えたので、世界にはこういう人もいるんだ、自分もこういう風になりたいと思えた。この理 想像に近づく為にも今後もこういったフィールドワークに参加しようと思う。 次回参加するときへの反省点として、学んでいない科目があってもある程度の知識をきちんとつけて臨もうと思う。 Norsup 病院のマラリアラボで血液検査中 バヌアツの飲み物カバを製作、販売している所 35