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3次元CAD・CGによるプレゼンテーション
建築CAD演習 第1回 3次元CAD・CGによるプレゼンテーション ■3次元CAD ■モデリング 3次元CADシステム → コンピュータ内部に数値化されたデータとして3次元モデルを作 るモデリングシステム技法 モデリング CADで考えられる3次元モデル ①形状モデル:3次元空間内の形状を、コンピュータ内部に表現したモ デル ②プロダクトモデル:製品を製造するために必要な、形状、機能などの データによって、その製品をコンピュータ内部に 表現したモデル ③オブジェクトモデル:対象に関して、形状他、応用に依存する各種の データを含んだモデル ■コンピュータグラフィックス コンピュータグラフィックス(CG) → コンピュータを用いて図形や画像を作ること、また作られたもの 設計者が建物の形態やイメージを検討したり建築主や使用者にプレゼン テーションする方法として、これまでは手描きのパースや模型が使われて いたが、現実感という点では不十分であった。 ↓ コンピュータグラフィックス(CG)技術を利用して、建物の形や色だけで なく質感を含めて建物のイメージを表現する技術が、意匠検討用、プレゼ ンテーション用として使われるようになる。 CGの特徴は、いろいろなシミュレーションが可能なことである。 ①形、②色、③テクスチャー、④明るさ、⑤ライティング、⑥アングル これを作るのが モデリング 形状モデリング 絵の中で表現したい対象の形,色,表面の性質どのデな ータをコンピュータの中に作り上げる作業 → 3次元の形状をコンピュータ内部に数値データとし て構築すること モデリングを実現するためのソフトウェアをモデラという。 モデラに必要とされる機能は、分野、対象とする形状の傾向により、全 く異なる。また、モデリングされた形状をどのように利用するかによって も、形状の記述方法や要求される精度は異なってくる。 ◎3次元形状の表現技術 (1) ワイヤーフレームモデル 3次元形状を線分で表し、それぞれの 線分の両端の頂点をX,Y,Zの3次元座標系 で表現することによって数値化したも の。 データ量が少なくてすみ高速で表示可能 である。 2つの端点を,その間の曲率を与えるこ とによって精確に近似する方法がある。 基本的には円弧や放物線を利用するが、 代表的な自由曲線であるベジェ曲線やB スプライン曲線も利用される。 (2) サーフェスモデル 3次元形状をその表面を構成する面の 状態で表したもの。 ①多面体表示 形状の表面をポリゴンといわれる細 かい多角形平面に分割し、その平面を 構成する頂点の座標値によって形状を 表現するもの。 照明・視点 モデル(3次元) → 画像(2次元) この作業が レンダリング ②曲面パッチ 格子状に分割した平面をもとに自由な曲面を表現する方法が使われる。 代表的なものに、クーンズパッチや自由曲線をもとにしたベジェ曲面、 Bスプライン曲面、NURBSなどがある。 (3) ソリッドモデル 3次元形状をの物体を中身の詰まった立体として表現する方法。 START 【コンピュータ内部の表現方法】 モデリング 3次元の形状や空間、環境を定義する レンダリング 投影(座標変換) 3次元の物体を2次元のスクリーンに映し込む クリッピング 画面に現れる部分を決定する 隠面処理 見える部分と見えない部分を判定する シェーディング 光の当たり具合や反射、透過の様子を計算する マッピング 表面に模様や凹凸、まわりの景色などを貼りつけ より現実感を出す ディスプレイへの表示 アンチエリアシングなど END ①CSG(Constructive Solid Geometry) 3次元形状をいくつかの物体の組み合わせによって表すもの。この組 み合わせを、集合の足し算や引き算などの演算(ブーリアン演算)によ って行う。 基本となる3次元物体 → プリミティブ 球、円柱、円錐、立方体、楕円面 1葉双曲面、2葉双曲面、など ②境界表現(B-reps:boundary representation) 多面体などの立体は、頂点、稜線、面から構成されているが、これら 頂点、稜線、面のデータを数値によって表し、また、それらの関係を接 続グラフで示すことにより立体を表現する方法。 ③ボクセル表現 立体を3次元の格子点上の同じ大きさで同じ方向を向いた小立方体の 集合で表す方法。2次元の小正方形を画素(ピクセル)と呼ぶのに対し、 3次元の小立方体をボクセルという。 境界表現やCSGと比較すると、データ量が膨大で精度が劣り、立体の表 示・移動・回転などは手間がかかる。しかし、データ構造が簡単で、集 合演算がきわめて簡単な原理で行える。 ④メタボール すべての立体を球、楕円体の集合で表す方法。メタボールとは、点が及 ぼす影響力(引力)の和が一定となるような点によって構成される曲面。 メタボールの長所は、滑らかな融合を表現できる点である。これによっ てこれまで単純な表現しかできなかった人体や顔の表情のような有機的で しかも複雑な形の表現が可能となった。 【形状の生成機能】 ①ブーリアン演算 立体同士を足したり引いたり,論理演算することでモデリングする方 法。立体を立体でくり貫く(差),立体同士を合体させる(和),立体 同士の重なっている部分のみを残す(積)など。 ②掃引(スイープ表現) 平面図形とその軌跡のデータで立体図形を表す。 回転移動、平行移動(押し出し)など ③スキニング 作りたいものをいくつか輪切り状にした断面で考え,それを補間する 曲面を生成する方法。 ④立体変形 ベンド,スキュー,ツイストなどペイントソフトの変形のような処理 を立体に適用する方法。 ⑤3Dスカラプト 粘土細工のように立体の形を整形していく方法。 【平面図によるモデリング】 モデリングの手法として最も一般的なものが平面図による形状指定の方 法である。一般に正面、側面、上面の3方向からの2次元平面への投影に よって得られた平面図によって形状を表現する三面図が広く用いられてい る。 建築分野では、設計者は平面図で形状を考えるといった手法が確立して おり、しかも建築物の形状も平面図で十分に表現できるものがほとんどで あるため、モデリング手法も平面図を基本としたものが中心である。 【建築の要素による入力】 柱や壁など建築を構成する要素が用意されている建築用の3次元CADでは、 線や面などの図形単位ではなくて、柱、壁、床、階段などの建築の要素を 入力することによって建物をモデリングできる。 建築用3次元CADでは、対象物体についての属性情報が加えられる。躯体 (柱、壁、梁など)、建具(窓、ドアなど)というような概念をモデルデ ータに入れることが可能である。 (2) ビーボリュームとクリッピング 表示したい対象形状だけを含むように限定された空間をビューボリュー ム(視野空間)という。ビューボリュームは、視点とビューウィンドウを 通る4つの平面、および手前と後方のクリッピング面で囲まれた領域であ る。視野変換後、ビューボリュームに入らない対象物は省かれる。この処 理をクリッピングという。 2次元座標に変換された投影図形の表示部分を指定するための長方形の 枠をウィンドウという。このウィンドウは正規化座標系へ変換される。正 規化座標系というのは、出力装置の種類に影響されない仮想ディスプレイ 装置の表示領域を決定するもので、ウィンドウが単位正方形になるように 決定される。 実際に用いる表示面(スクリーン)上の表示部分を指定するための枠が ビューポートである。これを指定することによってデバイス座標系に変換 され、ディスプレイなどの出力装置に表示される。 (3) 隠面消去 【隠線消去】 面の可視性について考えると,面の法線ベクトルと視線の角が鋭角であ る面は見え,それが鈍角のものは見えない。 【パラメトリック機能】 3次元パラメトリック変形機能は、作成した3次元形状の任意の寸法を 取り上げて、その寸法値を自由に変更できる機能である。新しい寸法値を 入力すると、3次元形状は即座に変形される。 【計算機能】 作成した立体モデルの表面積、容積、重さ、重心位置、モーメントなど の算出機能をもつソフトがある。 ■レンダリング モデルが出来上がった後で,その物体をある位置から見たときにどのよ うに見えるかを考え,その見え方に従った画像を作成すること。 視点の位置や照明に関する条件を与える必要がある。 ①奥行きソート法(Zソート法) ラスタスキャン型ディスプレイの塗りつぶし表示の特徴を活かし,視点 から遠い順に面を重ねながら次々と描くことによって見えるべき面が最終 的に残るという手法。隠面処理の中では,最も簡潔な手法。 (1)投影と座標変換 【投影】 ・平行投影 【隠面消去】 現在の視点の位置から考えて,どの面のどの部分が見え,どの部分が見 えないかを判断すること。 ・透視投影 【座標変換】 ローカル座標系:3次元形状を生成するための座標系。頂点座標決定を する。 ワールド座標系:ローカル座標系で指定した形状を配置するための座標 系。ローカル座標系と形状は、ワールド座標系の中の 任意の位置に移動することができる。 視点座標系 :視点位置、視軸方向をワールド座標系で決める。 この視点を原点とする座標系をいう。ワールド座標系 をx軸が視軸方向になるように回転する。 uvn座標系 :視野窓(view window)を定義するための座標系。 n軸が視点座標系のx軸の方向と一致するように定め るので、uvn 座標系の原点は視点から一定距離離れた 視軸上にある。この距離を視距離という。また、uv平 面は視野面(投影面)となる。 ワールド座標系の位置をuvn座標系の位置に変換することを視野変換とい う。 ②Zバッファ法 視点から物体の間での距離の値をすべてのピクセルについて一つずつ格 納できるような大きな領域を用意しておき,これを利用して各ピクセルご とに,その位置に見える物体の中で,視点に最も近いものを選択する方法。 ③スキャンライン法 視線とディスプレイ画面上の走査線とでできる水平面と多角形で表され る物体面との交差について立体的にあつかったもの。近くのピクセルでの 計算結果を利用することにより,なるべく計算量を節約することを目指す。 ④レイトレーシング法 ピクセルごとに,その方向から目に入ってくる光を,そのもとにさかの ぼって追求していく方法。 (4) シェーディング 照明を考えて各部分がどのような色,どのような明るさに見えるかを判 断し,そのような色を画面,すなわちピクセルに塗る作業。 ①シェーディング 物体の表面にできる陰を描く手法。 ②シャドウイング 光線で物体を照らしたとき,物体の置かれた台の上にできる影をCGで 表現する手法。 【質感と光源】 シェーディングを行うとき,①環境光,②拡散反射光,③鏡面反射光の 3種類の光に分けて考え,これらの光の和として表示する。 計算時間はフォンシェーディングに比べて遅いが,屈折や反射がより正 確に表現される。 【質感のパラメータ】 ・透明度:立体がどれだけ透明かを表すパラメータ ・反射率:光が立体から反射するとき,どれだけ反射するか設定するパ ①環境光(アンビエント) 照明光が物体に直接当たらない,つまり陰影の部分にも,ある程度の明 るさがあることを表したもの。環境光は,光源の位置,面の方向,視点の 位置によらず定数として計算する。 ②拡散反射光(ディフューズ) 物体の面に当たったとき,あらゆる方向に均一に拡散して乱反射するも の。方向性がないため,物体の明るさは視点の位置に依存しない。 ③鏡面反射光(スペキュラ) 多くの物体では,光源から来た光が,入射角と反射角が等しくなるよう な方向に最も多く反射し,それから離れた方向への反射光はあまり多くな い。このような光を鏡面反射光という。方向性があり,視点の移動に従っ て物体上のハイライトの場所や明るさは変化する。 ラメータ ・屈折率:光が立体を通過するときにどれだけ屈折するかを設定するパ ラメータ ・金属感:立体がどれだけ金属っぽい光の反射をするかを設定するパラ メータ 【照明】 平行光源 :太陽のように平行に均一に照射される。 点光源 :電球などの人工的な明るさのように四方に光が発散する。 スポット光源:ある一部分を照らすための光源。 ④ラジオシティ 物体の表面の明るさを熱力学の考え方に基づいて求める方法。光が物に 当たって跳ね返るときに生まれる間接光までも綿密にシミュレートしたレ ンダリングの最高峰。柔らかい影が魅力的であるが,通常途方もない計算 時間を必要とする。 【シェーディングの手法】 (5) マッピング ①フラットシェーディング(コンスタントシェーディング) シェーディングの中で最も簡単な手法。 面の向きを示す法線ベクトルについてのみ陰影計算が行い,その陰影色 で面全体を塗りつぶす手法。多角形の境界の明暗の差が際立ってしまうた め,滑らかさを表現することが困難である 石材や木材,金属などの材質感を表現するため,コンピュータで表現さ れた3次元モデルの表面に素材の模様や凹凸などのテクスチャーを張り付 ける方法。 ②スムーズシェーディング フラットシェーディングでは扱えなかった曲面を,ポリゴンなどの平面 によって近似的に曲面を表現する手法。 a.グーローシェーディング 立体を構成する面の明るさ一つ一つを拡散反射光で計算した後,ポリ ゴン面を構成するピクセル一つ一つを隣り合った面の明るさの補間で求 めていく手法。 b.フォンシェーディング 立体を構成するそれぞれの面の法線ベクトルを使用し,隣り合った面 の法線ベクトルを補間することによってスムーズシェーディングを行う 手法。 ①テクスチャーマッピング 木目などの絵柄や文字などを物体の表面に貼る処理をいう。貼るための 素材をマッピング素材と呼び,2次元の画像として作成する。 【テクスチャの貼り込み方】 一方向から絵を貼り込む,円柱状に絵を貼り込む,球状に絵を貼り込む。 ②バンプマッピング 絵の明るさに応じて,表面を凹凸するマッピング方法 ③透明マッピング 任意の部分の透明度を変えるマッピング ④反射マッピング レイトレーシング法を使わずに鏡面の映り込みの質感を表現する手法。 立体が光を反射した部分に絵を貼り込む。映り込みを擬似的に表現。 ⑤環境マッピング 現実の世界では様々な物体,光源などの影響を受けているため,物体表 面にはさまざまな外界の様子が映し出されている。こういった,外界のフ ァクタが物体表面に影響を与えたり映し込んだりする手法を環境マッピン グという。 ⑥ソリッドテクスチャ テクスチャを2次元データとしてではなく,3次元的な関数として貼り 付けることをいう。任意の断面で切断しても連続した模様を表示すること ができる。木目の場合には,放射状の正弦波関数を基に,それに揺らぎを 付加することで自然な木目を生成することができる。 (6) アンチエリアシング ラスタスキャン型のディスプレイでは,本来直線であるべきものが,縁 がギザギザになったり,階段状に見えたりする。これをエリアシングとい うが,これをなくすためのCGの技法のことをアンチエリアシングという。 ③レイトレーシング 光源から発する光が,反射,透過,屈折などを経て人間の目に到達する までの動きを追い,よりリアルなグラフィックスを作成する手法。