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都市型ホテルにおける タイムシェアリングサービスの可能性
都市型ホテルにおける タイムシェアリングサービスの可能性 z 研究背景 高級ホテルの開業は、都市に活気を与え、その都市独自の文化が形成される場も提供する。 短期間に相次いで高級ホテルが東京に進出したことは、すでに多様なマスメディアに繰り 返し取り上げられており、業界関係者だけではなく広く一般消費者にも注目されている。 また、既存ホテルも対抗策として、施設の改装だけでなく、新しいサービス・商品を開発し ている。例えば、フォーシーズンズ椿山荘東京は2005年に都内最大級のホテルスパ施設 「悠Yu」をオープンさせ、閑静な環境にある当該ホテル滞在の魅力を高めている。これらの 開発に見られるように、ホテル間の競争によりホテル商品が拡充され、ホテル利用者の新 たな消費を喚起すると同時に、ホテル業界の市場が拡大・多様化する可能性が期待されて いる。 長らく東京のシティホテルはロンドンやニューヨークと比較して安価とされてきたが、今般の 高級ホテルの相次ぐ開業は、当面の景気回復局面においては、ホテル平均客室単価の底 上げに貢献することは当然のことながら、対抗策を打った既存のホテルの販売価格にも好 影響を及ぼすと考えられる。施設の改善のみならず、人材開発等によるホテル運営知識・ 接遇技術の向上など、ホテル業界全体のレベルアップがその単価の上昇を今後支えていく ことになる。東京の国際的な都市としての機能、プレゼンスが高まることが期待される。 タイムシェアリングサービスとは z 従来のホテルは決まった時間からチェックインをし次の日の朝にチェック アウトする宿泊の形が通常であった。しかしこのサービスは24時間いつ でもチェックインでき、最短5時間∼最長8時間まで部屋を使える。この サービスのコンセプトは「癒やし」。タイムシェアリングサービスとは宿泊と いう形にとらわれず、リビングとして、寝室として、オフィスとして・・・。 よりお客様の利便性にあった新しいサービスを提案するというものである。 タイムシェアリングサービスは通常の宿泊の時間にとらわれず、24時間 いつでも利用したい時間に合わせその時、空室で空いている客室を予約 なしで利用できるサービスというのが基本的なサービスの形である。 このタイムシェアリングサービスというものは元々リゾートホテルなどの サービスプランとして使われていた。しかし、ここでのタイムシェアリング サービスは都市型ホテルで最近始まったサービスの事である ロイヤルパーク汐留ヒアリング調査 z タイムシェアリングサービスサービスは、まずどういったターゲットを狙ってサービスを提供 するのか?そしてサービスを利用するホテルがオペレーションをしっかり行いそのホテルの 方向性を示せれば必ず成功するサービスなのだと私も考える。 ロイヤルパーク汐留の場合は新世代型24時間都市での宿泊施設としてのサービスとして ビジネスマンをメインターゲットにしている。 しかし他にもブライダルをメインに扱う都市型ホテルが出現すれば結婚式のためにその日 だけ地方から来た人のためにタイムシェアリングサービスを提供するのも面白いのではな いだろうか。そこから生まれるサービスの多様化ももちろんあるはずである。さらにマクロな 視点から見ればこれからのホテル業界は外資系の最高級ホテルなどの進出によって各都 市型ホテルはその方向性を、生き残りをかけて今まで以上に示す時代なのではないかと思 う。このことからもタイムシェアリングサービスの利用における重要ポイントはその目的の方 向性を示せるかどうかなのではないかと私は今回のインタビューからも考える。 考察: タイムシェアリングサービスの成功条件 z 本研究の結果、都市型ホテルにおけるタイムシェアリングサービスの成 功条件として、以下の5点が挙げられることがわかった。 ①駅周辺がオフィスビル街 ②首都圏近郊の大型都市 ③一日乗降客数20万人以上の駅 ④オフィスビルと一体 ⑤都市のビジネスマンの職種が多種多様 これを基に、首都圏近郊においてタイムシェアリングサービスを実施可 能と思われる都市を以下のように選定した。 オフィスビルの数、商圏人口、一日乗降客数20万人以上、その都市が 一般的にどういったイメージなのか(特にクリエイティブな職種が多いこと が望ましい)、そこで働くビジネスマンの志向性(お金より時間に価値を求 める人達が多い)などの条件に多く当てはまる都市がどこかを検討した タイムシェアリングサービス成功条件と結果 z 表 周辺がオフィスビ 首都圏 ル街 新宿 池袋 渋谷 横浜 上野 北千住 東京 品川 新橋 大宮 六本木 表参道 目黒 高田馬場 秋葉原 川崎 有楽町 立川 浜松町 吉祥寺 恵比寿 ○ × × ○ × × ○ ○ ○ × ○ × × × × ○ ○ × ○ × ○ 一日乗降客数20 職種がクリエイ 万人以上 ティブ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ × × × ○ ○ × × × × × × × × × × × × ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × × × ○ × ○ ○ ○ お金より時間に 価値を求める人 達が多い × × × ○ × × ○ ○ ○ × ○ ○ ○ × ○ × ○ × ○ × ○ 結果 × × × × × × ○ ○ ○ × ○ × × × × × ○ × ○ × ○ z 上記の成功条件と結果の表を踏まえて見えてきたのはタイムシェアリン グサービスを実施し成功するだろうと思われる都市は、東京、品川、新橋、 六本木、有楽町、浜松町、恵比寿と言った都市であった。本研究をつづ 恵比寿 けている段階の事例調査でも挙がっていた汐留(ここでは新橋)や品川と いう都市は予想どおりに結果は変わらずサービス成功都市の一つに 入った。逆に秋葉原という都市は乗降客数やオフィスビルが多くてもその 都市のイメージやそこで働くビジネスマンの職種という別の視点から見る とタイムシェアリングサービスの実施には適していないなど新たな見解も 得ることができたのではないだろうか。このように今現在タイムシェアリン グサービスを既に実際に行っている都市以外にタイムシェアリングサー ビスを実施するに適した都市がいくつか挙がったのは今後将来的にもタ イムシェアリングサービスの需要が十分にあることの証明なのだと私は 考える。