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析 分 勢 情 東 中

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析 分 勢 情 東 中
レスチナ自治政府はその社会に対する統制力を明
中東 情勢分析
らかに失っている。イスラエル・シャロン政権が
パレスチナ人を軍事的に制圧する姿勢を見せれば
見せるほど,ハマスなどパレスチナのイスラム勢
力も頑なに自爆攻撃を意図するようになった。イ
スラエルは,国際的にも多くの批判を浴びている
分離壁の建築を強行し,他方パレスチナ自治政府
はイスラム勢力の自爆攻撃を抑制できない。
社会情勢
混迷深めるイラク情勢,またパレスチナ・イス
ラエルの対立構造は,改善される見通しがなかな
か現れない。以下ではイラク,またパレスチナを
めぐる現況を紹介し,日本など国際社会がいかに
対応し,中東の政治・社会の安定を図っていくべ
きか,考察を試みたい。
イラク,パレスチナを
めぐる中東情勢の混迷
静岡県立大学
助教授
!.困難なイラク復興の現状
!イラク人の占領行政に対する苛立ち
イラクでは,占領軍や国際機関などに対する攻
国際関係学部
宮
田
撃がますます増加するようになった。イラクにお
律
ける米兵の犠牲者の数は,ベトナム戦争の時のよ
イラクで,1
1月2
9日に,日本人外交官2人が殺
うに多いわけではないが,ほぼ毎日のように戦死
害されるという事件が発生した。米英軍や,その
者が出ることによって,米兵の士気も低下し,ま
占領行政に協力する諸国の民間人,軍人も軍事的
た米国内でも戦争への支持が急速に冷めている。
な標的になり,イラクの治安状況は,ますます悪
米英軍占領行政当局(CPA)が,
イラクで新憲法が
化している様相だ。イラクで米英軍など外国勢力
制定され,また総選挙が実施されれば,その役割
に対して攻撃を行っているのは,旧サダム・フセ
を終えると述べ始めたのも,イラク国内における
イン体制の軍人たち,他国から流入しているイス
治安状況の悪化,米政府の自信の喪失を背景にす
ラム過激派,部族の民兵などで,米英軍による占
るものだ。
領行政の頓挫,あるいは米英を含めた外国勢力の
1
1月2日,ファルージャ近くで米国の大型輸送
イラクからの駆逐を考えている。また,一部には
ヘリのチヌークが撃墜され,少なくとも1
6人が亡
フセイン政権を復そうと考える者たちもいるに違
くなった。撃墜された現場で,ヘリの残骸を手に
いない。米英軍に占領行政に対する軍事的抵抗が
して喜ぶイラク人たちの様子が占領行政に対する
起こるのは,占領統治がイラク人に経済的恩恵を
彼らの感情を如実に物語っている。イラクでは米
もたらさないことや,外国軍がイラクというイス
軍に対する攻撃は,夏期には1日平均で1
0件余り
ラム世界の中心に足を踏み入れたことに対する宗
だったのが,断食月の最中である1
1月上旬になる
教的・民族的反発などが背景にある。
と,3
0件を超すようになった。
他方,パレスチナ社会では,イスラエルとの対
1
0月5日にはティクリートの北にあるバイジの
決姿勢を見せるイスラム勢力が求心力を高め,パ
町で,米軍が治安の維持機能を喪失し,サダム・
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フセイン支持のデモが暴動に発展した。暴動は,
者が全く宗教活動のみに従事することにも疑義を
市庁舎を略奪し,また武装した者たちは警察内部
呈し,聖職者が司法の分野を管理・統制すること
に駐留していた米軍をロケット攻撃した。当初,
を唱えた。ムクタダはイスラムに関する知識が彼
デモは米軍が任命した警察署長の解任を求めたも
よりも高位の聖職者たちと比較すると十分ではな
ので,その署長は自らの出身部族を意図的にひい
いとされるものの,バーキル・アル・サドルの甥
きすることで評判が悪かった。事態の収拾を図っ
であることや,その父親と二人の兄弟たちが,フ
て,米軍は5ヵ月前に解任した前署長を再任せざ
セイン政権によって1
9
9
9年に処刑されたことによ
るをえなかった。
って,カリスマ性がある。
こうした事件もイラク人の生活状態をなかなか
ムクタダの主張は,イスラム的要素が入った民
改善しない占領行政に対する苛立ちや不満の増大
族主義的な考えともいえ,彼は CPA や,また CPA
を表すものだ。失業率が6
0%を超す中で,一部で
が創設したイラク統治評議会による支配を否定す
はフセイン政権に対するノスタルジーさえも生ま
る。さらに,米軍が支援する新イラク軍に競合す
れている。イラク人の生活状況がなかなか改善さ
る「マフディー(救世主)の軍隊」の設立を訴え
れないことは深刻で,米英の占領行政は,失業し
た。また,彼は1
0月1
0日に,イラク南部のクーフ
たイラク人の雇用を優先させるような措置をとら
ァで,CPA が創ったイラク統治評議会に対抗し
ず,むしろ外国企業に復興事業を任せるようにな
て,すべてのイラク人の党派や階層によって構成
っている。
され,かつイスラムの宗教指導者による政府の創
米英軍など外国軍や国際機関に対する一連の
設を唱えた。ムクタダは,統治評議会に協力する
「攻撃」に統一性があるかといえばそうではなく,
イラク人は「背教者」であると1
0月に述べ,さら
また大衆レベルの「攻撃」の拡がりでもない。占
に「統治評議会はサダム・フセイン体制をいっそ
領に武装抵抗を行うのは,フセイン大統領の長男
う悪くした支配機構である」と訴え,米英の占領
ウダイ氏が率いていた「フェダイーン・サダム」
行政に対する強い反感を表明している。
の元メンバーたちや,旧バアス党(フセイン大統
ムクタダの主張に見られるようなイラク人の民
領の政権政党)員,また「イスラムの地」におけ
族意識は,新憲法制定の在り方をめぐっても表れ
る外国軍の駐留に憤るイスラム過激派,さらに経
るようになっている。多くのイラク人たち,特に
済的理由で米軍など外国軍や国際機関を攻撃すれ
シーア派系住民たちは,新憲法はイラク人によっ
ば現金を受け取れる者たちなどだ。
て起草されることによって,正当性を得られると
訴える。しかし,米国と非シーア派の統治評議会
!シーア派社会で台頭する急進主義と宗派感情
のメンバーたちは,選挙人名簿もなく,また治安
1
9
8
0年5月にフセイン政権によって処刑され,
が悪化している現在の状況の中では,制憲委員会
フセイン政権崩壊後,いまだにシーア派社会の中
のメンバーたちの選挙を国民レベルで行うのは困
ではカリスマ的な存在であり続けるバーキル・ア
難だと主張するようになった。シーア派は,イラ
ル・サドルの甥であるムクタダ・アル・サドル
ク国家成立以来の政治の中枢から排除されてきた
は,激しいレトリックによって貧しいシーア派社
が,新生イラク国家においても同様な扱いを受け
会で求心力を高めるようになった。
ることを警戒している。
バーキル・アル・サドルは,イランのホメイニ
制憲委員会のメンバーを決める手続きを検討し
が唱えた,聖職者が政治に直接関与するイスラム
ている「2
5人委員会」は,制憲会議のメンバーは,
国家論には反対した人物だった。他方,彼は聖職
部族長,専門家,また宗教指導者たちによって構
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成されるべきだと主張しているが,その中からイ
バース首相の辞任の背景は,彼によれば,イスラ
ラクで最大の人口を抱えるシーア派が排除された
エルにロードマップを履行する姿勢が希薄だから
り,疎外されたりする事態になれば,ムクタダの
というものだった。しかし,アッバース首相には
運動のような過激な潮流が特にイラク南部やバグ
治安の維持や人事の問題についてアラファト議長
ダッドの「サドル・シティ」などシーア派社会で
と対立があったことが伝えられている。首相辞任
高まることは間違いない。また,CPA が後押しす
後,イスラエルの戦闘機がガザ地区の人口密集地
る「2
5人委員会」の方式は,真の意味で民主的な
帯に居住するハマスの精神的指導者シャイフ・ア
手法とはいえず,イラクに民主主義を実現すると
フマド・ヤースィン師の殺害を図った。この「暗
いった米国の主張とも相容れないものといえるだ
殺作戦」でヤースィン師を含むパレスチナ人1
5人
ろう。
が負傷した。イスラエルは,その後ハマス活動家
8人の殺害を意図し,正統派ユダヤ人に対する自
!.停滞する「ロードマップ」
爆攻撃から3週間に1
7人のパレスチナ人を殺害し
!自爆攻撃と報復の悪循環
たが,そのうち1
2人は民間人だった。
米国ブッシュ政権は,イラク戦争を前にして中
パレスチナ人による自爆攻撃は,イスラエル軍
東和平への調停案「ロードマップ」を示した。こ
によるイスラム勢力指導者に対する暗殺への報復
のロードマップが1
9
9
3年に成立した「オスロ合意」
として行われている。たとえば,6月1
1日に行わ
と異なるのは,パレスチナ独立国家を前提にし,
れ,1
6人を殺害したエルサレムでの自爆攻撃は,
和平交渉の相手からアラファト議長を排除したこ
イスラエル軍がハマス指導者のアブドゥル・アズ
とである。米国とイスラエルは,アラファト議長
ィーズ・ランティスィーをミサイル攻撃で負傷さ
よりも譲歩や妥協を行うと考えたマフムード・ア
せ,4人のパレスチナ人を殺害したことに対する
ッバースを首相とし,また治安担当相にもアッ
報復として実行された。また,8月1
9日に正統派
バース首相に従順とされたムハンマド・ダフラン
ユダヤ人2
1人を殺害した路線バスに対する自爆攻
を据えた。アッバース首相は,米国やイスラエル
撃は,8月1
5日にイスラエルがパレスチナのイス
の思惑を考慮して,治安の維持,特にイスラエル
ラム勢力である「イスラムの聖戦」の武闘組織「ク
に対する自爆攻撃の停止に力を入れるようになっ
ッズ(エルサレム)
・軍団」
のヘブロンでの指導者,
た。こうしたアッバース首相の方針もあって,ハ
ムハンマド・スィドルを暗殺したことに対する報
マスは,2
0
0
3年7月上旬にイスラエルとの「停戦」
復だった。
を一方的に宣言する。
"パレスチナでのイスラム勢力の台頭
しかし,その後イスラエルによるパレスチナ人
家屋の破壊,自治区の閉鎖,パレスチナ人の土地
2
0
0
0年9月に,アル・ア ク サ ー・イ ン テ ィ フ
の没収,さらに「暗殺作戦」が行われると,ハマ
ァーダが始まると,ハマスなどイスラム勢力に対
スは「停戦」を破り,8月1
9日にエルサレムで正
するパレスチナ人の支持は再び強まらざるをえな
統派ユダヤ人たちが乗った路線バスを自爆攻撃
かった。イスラム勢力台頭の重要な背景には,パ
し,2
2人を殺害した。この自爆攻撃は,ハマス政
レスチナ自治政府がパレスチナ社会のコントロー
治部門の指導者イスマイール・アブー・シャナー
ルを喪失したからだ。パレスチナ自治政府は,ア
ブの暗殺に対する報復として行われたものだっ
ル・アクサー・インティファーダの過程で,パレ
た。
スチナ人に対する明確な指示を出せなくなった。
9月6日にアッバース首相は辞任したが,アッ
インティファーダによって,イスラエルとパレス
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チナの間でテロと報復の連鎖を繰り返すようにな
だった。
ると,パレスチナ人の間では有効な手段を講じな
実際,ハマスは,9
3年から2
0
0
0年の間,政治勢
い自治政府,あるいは PLO の旧世代の指導者たち
力として弱体化する傾向にあった。その背景の一
への信頼が低下していくことになる。
つには,イスラエルとパレスチナ自治政府による
ハマスによる自爆攻撃は,パレスチナ社会内部
活動家の逮捕,拘禁などによって,ハマスの活動
で絶望感が強まるとともに,パレスチナ自治政府
が停滞したことがあった。ハマスの自爆攻撃の温
がイスラエルとの交渉に成功しないこととも相ま
床となるような「慈善施設」も閉鎖されることに
って,和平や安定に期待できなくなった階層の支
なり,アラファト議長のパレスチナ自治政府は,
持を集めるようになった。さらに,パレスチナ社
民主的とはいえない,強権的な手法でハマスの活
会内部でアラファト議長がイスラエルや米国の方
動を取り締まっていた。
針によって,イスラエル・パレスチナの交渉のプ
また,この時期にハマスへの支持が低下したの
ロセスから排除,疎外され,その影響力を低下さ
は,パレスチナ人の和平への欲求が強かったこと
せたことも,ハマスなどイスラム勢力の政治力を
にもよる。ハマスの自爆攻撃による経済的損失が
高めることになる。
大きいことは,9
6年にパレスチナ自治区が閉鎖さ
従来のパレスチナ問題の展開を見ても,和平が
れ,パレスチナ人がイスラエルで労働ができない
停滞した時にハマスや「イスラムの聖戦」などイ
などの問題が生じたことによって判明した。パレ
スラム勢力がその求心力を強めていった。9
3年に
スチナ人の間でハマスの自爆攻撃に対して冷めた
オスロ協定が成立すると,パレスチナ人たちは,
感情や反対の見解が強まったことによって,ハマ
イスラエルとの政治的解決に期待を寄せ,ハマス
スも武装闘争を控えざるをえなくなっていった。
の急進的な主張や活動はパレスチナ人の間で支持
自爆攻撃は,パレスチナ人にとって経済的打撃が
されなくなった。しかし,和平交渉による解決へ
大きいばかりか,政治的にもイスラエル・パレス
の見通しが暗くなり,また2
0
0
0年7月にキャンプ
チナの交渉に何ら変化をもたらさないことが明ら
デービッドでの交渉が失敗に終わると,ハマスな
かになると,ハマスの若い活動家たちの一部も組
どイスラム勢力に対する支持は次第に増加する一
織から離れていくようになった。
方で,アラファト議長など世俗的な,民族主義者
アル・アクサー・インティファーダが始まる前
たちに対する支持は低下していく。
の3年間余り,ハマスの活動は福祉や教育など社
たとえば,パレスチナ人の研究者ハリール・シ
会 事 業 に 重 点 が 置 か れ て い っ た。ア ル・ア ク
カーキーが実施した世論調査では,キャンプデー
サー・インティファーダが始まる直前の2
0
0
0年9
ビッドでの交渉失敗後,アラファト議長への支持
月の時期,西岸やガザの病院やクリニックなど社
は最も高かった9
6年の6
5%から4
7%へと低下し
会施設の4
0%までもが,イスラム的な慈善事業に
た。また,アラファト議長の権力基盤である PLO
よって支えられていたという見積もりもあるほ
(パレスチナ解放機構)の一組織であるファタハへ
ど,ハマスは社会福祉活動に力を入れるようにな
の支持も9
6年の5
5%から3
7%へと下がっている。
った。
9
6年には,和平プロセスへの支持は8
0%で,イス
しかし,
「微増」という状態だったイスラム勢力
ラエルへの暴力的攻撃への支持は2
0%と著しく低
への支持は,アル・アクサー・インティファーダ
かった。オスロ協定を推進したラビン首相が9
5年
が高揚していく過程で一挙に上昇することにな
に暗殺され,タカ派のネタニヤフ政権が成立した
る。ハマスへの支持は,2
0
0
1年には2
7%に増えた
ものの,9
6年はまだ和平合意に希望がもてた時期
が,それは9
6年に比較すると,8
0%の伸びだっ
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た。その一方で,ハマスなど和平反対派へのパレ
ッドの国連現地本部が爆破されたように,国連は
スチナ人の感情は,二律背反的なものであること
イラクの一部で米国の「傀儡」と見られているが,
は確かだ。たとえば,2
0
0
1年1
2月にラマッラーで
日本やイスラム諸国,あるいはヨーロッパ諸国や
実施された世論調査では,7
1%の人々がイスラエ
米国は,国連を介したより幅広い国際的枠組みで
ルとの交渉に即時戻ることを支持し,また7
3%が,
イラク復興を考え,新しいイラク政府への権力移
イスラエルがパレスチナ独立国家を認めれば,イ
譲をできるだけ早期に行い,イラク復興の成果を
スラエルとの和解に賛成すると回答した。
早急に上げていくことが必要だ。
アル・アクサー・インティファーダ発生後,イ
他方,パレスチナ情勢では,イスラエルがヨル
スラム勢力だけでなく,イスラエルと軍事的に再
ダン川西岸に建設中の「分離壁」がパレスチナ・
び対立していこうとする姿勢がパレスチナ社会全
イスラエル二国家共存の構想を奪うものであるこ
体で生まれることになる。そうしたムードの中で,
とは間違いない。分離壁は,従来のイスラエルと
ハマスなどイスラム勢力には,パレスチナ自治政
西岸を分かつ,国際的に認知されたグリーンライ
府と協調していこうとする姿勢も生まれていっ
ンよりもイスラエル領が拡大することを意味す
た。同時にパレスチナ自治政府の側にも,パレス
る。イスラエルによる分離壁の建設は,将来の二
チナ社会全体の融和を図るために,イスラム勢力
国家共存構想を物理的に難しくするもので,分離
の主張に耳を傾けようとする姿勢も現れ始める。
壁の建設が壁の東西に居住するヨルダン川西岸の
パレスチナ自治政府は,イスラエル軍の軍事侵
パレスチナ人たちに対する基本的なサービスの提
攻がある,展望のない情勢の中で,ハマスなどイ
供をより困難にし,彼らの水資源などへのアクセ
スラム勢力の活動を十分統制できない。ハマスは,
スを難しくすることは明らかだ。
イスラエルへの自爆攻撃を繰り返しているが,こ
イスラエルが西岸に入植地を建設し続け,また
れは和平交渉の復活を目指すパレスチナ自治政府
分離壁をつくることは,パレスチナを小さな,無
の方針とは相容れないものだ。イスラエル・シャ
数の領土に分割するもので,パレスチナ国家の独
ロン政権による度重なるパレスチナ自治区への軍
立を事実上不可能にするものである。他方,パレ
事攻撃がパレスチナとの和平交渉の機会を奪い,
スチナ自治政府は,自爆攻撃の取り締まりに積極
またハマスなどイスラム勢力が自爆攻撃を継続す
的な姿勢を見せ,和平推進に前向きである姿勢を
るならば,パレスチナ情勢は出口が見えない状態
強く示していくべきだろう。パレスチナで正当な
にいよいよ陥っていくに違いない。
方法で権限を与えられた首相や内相の下で治安の
維持が十分図られることが,イスラエルの西岸や
結
び
ガザへの軍事侵攻の口実を奪うことになる。
米英軍など外国勢力に対して繰り返される攻撃
イラクとパレスチナは,双方とも現在,困難な
などイラク国内の困難な情勢を考えれば,米国主
状況にある。その打開の糸口を見つけたり,その
導の復興ではなく,より幅広い国際的な枠組みの
改善を図ったりするには長い時間や,また多くの
中でイラクの復興を考えることが求められてい
資源が必要だろう。国際社会が問題の改善に向け
る。イラクでは,戦争と戦後の混乱をもたらした
て,混迷する社会や,交渉の当事者たちを粘り強
米国は,憎悪の対象で,米国に協力すること自体
く後押ししていくことが,混迷の打開への重要な
が,いわゆる抵抗勢力にとっては,敵対行為と見
ファクターになることは強調するまでもなかろ
なされるようになっている。8月1
9日に,バグダ
う。
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