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46 ⑤ 消費マインド等との比較 消費動向調査から得られる旅行実績
⑤ 消費マインド等との比較 消費動向調査から得られる旅行実績・計画と旅行業活動を比較すると、国内旅行・ 海外旅行ともほぼ同様な推移となっている。13年1∼3月期における旅行計画をみる と、国内旅行(計画)が前期差 0.1 ポイントとほぼ横ばい、海外旅行(計画)が同▲0.9 ポイントと低下したことから、当面の旅行業活動は総じて弱含みで推移するものと思わ れる(第Ⅰ−2−11図)。 なお、消費動向調査12月調査の調査時点(12月1日)の為替レートが110円/ドル 近傍であり、その後円安傾向で推移していることから、旅行業活動のうち海外旅行に ついて更に下振れすることも考えられる。 第Ⅰ−2−11図 旅行業活動と消費行動(実績・計画)の推移 ①海外旅行 115 (%) 6.5 110 6.0 105 5.5 100 5.0 95 4.5 3次指数 旅行実績・ 計画( 右目盛) 90 4.0 85 3.5 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ └ 5 年 ┘ └ 6 年 ┘ └ 7 年 ┘ └ 8 年 ┘ └ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ 13 年 ②国内旅行 110 ( %) 40 105 38 100 36 95 90 3次指数 旅行実績・計画(右目盛) 34 32 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ └ 5 年 ┘ └ 6 年 ┘ └ 7 年 ┘ └ 8 年 ┘ └ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ 13 年 (注)旅行実績・計画は世帯割合であり、4年1∼3月期から12年10∼12月期は実績系 列、13年1∼3月期は計画系列の前期差を実績系列に接続させ延伸させている。 資料:「第3次産業活動指数」、「消費動向調査」(内閣府) 46 次に、13年1∼3月期のサービス等の支出予定を消費動向調査でみると、レストラ ン等外食費DI ( DI =「今より増やす予定の世帯割合」−「今より減らす予定の世帯割 合」、以下同じ)は、▲11.1%と11年以降マイナス幅縮小ながらマイナスが続いており、 外食への支出は減少することが見込まれている。一方、対応する飲食店活動指数の 推移をみると、長期的な上昇傾向が続いており、両者の動きに差異がみられる(第Ⅰ −2−12図①)。 なお、飲食店活動指数は、大手チェーンを中心とした業界統計の売上高(店舗調 整前)を基に算出しており、大手チェーンの出店攻勢で苦戦が予想される個人経営 店舗の実態が反映されていないことに留意する必要がある。 参考までに、家計調査における一般外食費の推移をみると、8年以降低下傾向で 推移している。 また、スポーツ活動費DI 、コンサート等の入場料DI 、遊園地等娯楽費DIから試算 した娯楽関係DI をみると、13年1∼3月期は▲0.3%と12年以降0近傍で推移してお り、娯楽関係への支出はほぼ横ばいで推移することが見込まれている。一方、対応す る対個人サービス業(娯楽関係)活動指数(以下「娯楽活動指数」)の推移をみると、 長期的な低下傾向が続いており、さらに当年後半には、ウェイトの大きい遊戯場の減 少が大きく寄与したことから、水準を一段と低下させている(第Ⅰ−2−12図②)。 娯楽活動指数は、各種娯楽を供給する業界統計に加え、需要側の統計である家 計調査のデータを用いており、前述の「遊戯場」については家計調査の「他の入場・ ゲーム代」を使用している。なお、この「遊戯場」はパチンコ、マージャン、カラオケなど を行うための施設を提供する産業の活動を表すものであるが、家計調査対象世帯が このような遊戯への支出を調査票に記入する際、調査の性格上ある程度の把握漏れ が避けられないことが想定されるともに、不安定な系列になっている可能性があること に留意する必要がある。 参考までに、家計調査における娯楽関係への支出の推移をみると、11年以降低 下傾向で推移しているが、当年後半の下げ幅は娯楽活動指数に比べ極めて小さい。 これは、娯楽活動指数に対する遊戯場の構成比(平成7年時の付加価値ベース)に 比べ、支出ベースの構成比が低いことに起因している。 47 第Ⅰ−2−12図 飲食店・娯楽関係活動と消費マインド・需要側統計の推移 ①飲食店 115 (%) 8 110 0 105 ▲8 100 ▲ 16 95 90 3次指数(飲食店) <参考>家計調査(一般外食) 消費マインド(外食費DI 、 右目盛) ▲ 24 ▲ 32 Ⅰ ⅡⅢ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ ⅡⅢ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ └ 5 年 ┘ └ 6 年 ┘ └ 7 年 ┘ └ 8 年 ┘ └ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ 13 年 ②対個人サービス(娯楽関係) 115 (%) 4 110 2 105 0 100 ▲2 95 90 85 ▲4 3次指数(対個人サービス(娯楽関係)) <参考>家計調査( 娯楽関係) 消費マインド(娯楽関係DI、右目盛) ▲6 ▲8 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ ⅢⅣ Ⅰ Ⅱ ⅢⅣ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ └ 5 年 ┘ └ 6 年 ┘ └ 7 年 ┘ └ 8 年 ┘ └ 9 年 ┘ └ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ 13 年 (注) 1.娯楽関係DI は、スポーツ活動費DI 、コンサート等の入場料DI、遊園地等娯 楽費DI を単純平均したものである。 2.家計調査の娯楽関係は、宿泊料及び入場・観覧・ゲーム代の合計とした。 3.家計調査の系列は、消費者物価指数で実質化、X-12-ARIMA により独自に 季節調整、指数化(7年=100)、後方3期移動平均している。 資料:「第3次産業活動指数」、「消費動向調査」(内閣府)、「家計調査」・「消費者物 価指数」(総務省) 以上みてきたように、第3次産業活動指数の内訳分類には、生産活動量を的確に 表す基礎統計の制約から、特にサービス業活動指数(対個人サービス業)には家計 調査などの需要側の統計や業界統計が数多く採用されている。しかし、一部の需要 側統計にはサンプル数の制約等から不安定な動きを示す指標も存在するほか、業界 統計にもカバレッジが限定されるものが少なくない。 サービス業は、我が国の産業活動の中で大きなウェイトを持ち、その活動の動向を 正確かつ迅速に把握することは極めて重要である。当省では「特定サービス産業動 態統計調査」において、12年1月から対個人サービス部門の調査対象を拡充するな どサービス業活動の詳細な把握に努めているところであるが、今後も引き続き、サー ビス業を対象とした統計整備が必要となろう。 48