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茨城県 議事録(PDF:440KB)
茨城県産農産物の銘柄設定等意見聴取会議事録 1 開催日時:平成 25 年1月 17 日(木) 13:30~16:30 2 開催場所:茨城県水戸合同庁舎 2階研修室兼会議室 3 出席者: (行政機関) 茨城県農林水産部産地振興課係長 堤 (学識経験者) 茨城県農業総合センター農業研究所水田利用研究室長 桐原 俊明 茨城県農業総合センター農業研究所主任研究員 松浦 和哉 茨城県農業総合センター農業研究所技師 安田 健一 社団法人茨城県穀物改良協会企画管理部長 山形 三郎 茨城県農業協同組合中央会県域営農支援センター技術顧問 照内 唯由 全国農業協同組合連合会茨城県本部米穀総合課次長 小橋 茨城県食糧集荷協同組合顧問 荻沼 恒夫 茨城県食糧集荷協同組合業務部長 五位渕 栄 茨城県食糧販売協同組合指導部長 根本善三郎 茨城県食糧販売協同組合業務副部長 土田 敏幸 (登録検査機関) 茨城県農産物検査協議会事務局長 小野瀬哲則 (申請者) 潮来市役所環境経済部農政課長 仲澤 正夫 なめがた農業協同組合営農経済センター潮来事務所所長 荒原 敬雄 行方地域農業改良普及センター地域普及第二課長 中島久仁夫 全国農業協同組合連合会茨城県本部技術顧問 小圷 光久 北つくば農業協同組合営農経済部米穀課長 稲葉 英樹 北つくば農業協同組合営農経済部米穀課 宮本 徳明 株式会社茨城農栄代表取締役 金久保正義 生産部生産振興課検査技術指導官 大島 晃一 生産部生産振興課農政業務管理官 田渕 明博 (生産者団体) (関東農政局) 仁一 徹 (水戸地域センター) 総括農政業務管理官 土師 清二 主任農政業務管理官 仲川 幸男 農政業務管理官 渡邉 (土浦地域センター) 主任農政業務管理官 鏑木 和幸 農政業務管理官 4 豊 萩谷日出男 議事 司会:大島 ただ今から茨城県産農産物の銘柄設定等意見聴取会を開催させていただきたいと思います。 私は本日司会を務めます関東農政局生産振興課の大島と申します。よろしくお願いします。初めに お断りさせていただきますが、本意見聴取会における検討の結果について、議事録または議事要旨を 作成するものとしておりますので、本日のご発言はすべて録音させていただくこととしています。ご 了承をお願いしたいと思います。また、本日の議事録または議事要旨については後日関東農政局のホ ームページで、本日のご発言内容について公表させていただく予定にもしていますので、併せてご了 - 1 - 承をお願いしたいと思います。 それでは、まず皆さんのお手元に配布している資料のご確認をさせていただきたいと思います。 (別途資料の確認) それでは、意見聴取会を始めるに当たり、関東農政局生産部生産振興課の田渕よりごあいさつ申し 上げます。よろしくお願いします。 関東農政局:田渕 あいさつ 司会:大島 本日の意見聴取会を円滑に進めるために、座長を選出したいと思っています。また、議事録または 議事要旨を作成するために書記も選出したいのですが、座長および書記の選出について、事務局にご 一任いただければと思っていますが、いかがでしょうか。 出席者一同 異議なし。 司会:大島 それでは関東農政局生産振興課の田渕を座長に、水戸地域センターの仲川管理官、土浦地域センタ ーの鏑木管理官に書記として進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 座長:田渕 座長に指名いただきました田渕です。よろしくお願いします。それでは、お手元の次第に基づき進 めさせていただきます。「4.議事(1)趣旨説明」について、事務局から説明をお願いいたします。 【(1)趣旨説明】 司会:大島 (農産物検査に関する基本要領の抜粋に基づき趣旨説明を実施) 銘柄設定の手続きですが、関東農政局のホームページに、設定について、平成24年11月1日から11 月30日の間に要望の受付を行いました。その結果、潮来市長様より水稲うるちもみ及び玄米の設定申 請、全国農業協同組合茨城県本部本部長様より水稲うるちもみ及び玄米の設定申請、北つくば農業協 同組合代表理事組合長様より水稲うるちもみ及び玄米の設定申請、株式会社茨城農栄代表取締役様よ り水稲うるちもみ及び玄米の設定申請、合計4件の設定申請があったところです。後ほど、申請理由 等について、申請者の方からご説明をいただきたいと思います。本日の意見聴取会の結果、茨城県の 銘柄の設定申請する必要があると認められた場合には、私どもの方から本日の議事録、議事内容等を 添えて農林水産省の生産局長へ申請させていただきます。また、生産局で銘柄設定を行う必要がある と認めた場合は、農林水産大臣が行う農産物規格規程の改正手続きを行い、3月末から4月上旪にか けて農林水産省告示に掲載されるという運びになる予定です。私からは以上です。 【(2)銘柄設定の申請について】 - 2 - 座長:田渕 続きまして、次第(2)「銘柄設定の申請について」申請者から説明をお願いします。本日の申請 については4品種ですが、申請書に基づいて説明をお願いします。 それから、銘柄鑑定が可能かどうかということも重要なポイントになってきますので、申請書のほ かに様式1-4号「銘柄の設定等申請書(銘柄鑑定に関する事項)」と、様式1-6号「サンプル及 び鑑定上の特徴縦覧又は配布に関する同意書」も含めてご説明をお願いします。それでは最初に、潮 来市長様の方から水稲うるちもみ及び玄米の「一番星」について、申請のご説明をお願いします。 一番星の申請内容説明 申請者:潮来市 仲澤 まず、銘柄の設定申請についてご説明します。申請を行う内容は銘柄の設定です。銘柄の区分は産 地品種銘柄です。農産物の種類は、水稲うるちもみ及びうるち玄米です。品種名は一番星です。必須 ・選択の区分は選択銘柄にさせていただきます。生産状況は、22 年産は作付面積が 0.2ha、検査実績 が 1.0t、23 年産は作付面積が 1.0ha、検査実績 4.8t、24 年産は作付面積が 1.2ha、検査実績が 4.8t です。23 年産と 24 年産は作付面積が増えましたが、検査実績が変わりません。この理由は 24 年産の うるちの種子生産用に回したためです。 続いて品種の特性等です。「一番星」は「あきたこまち」に比べ、桿長は3cm 程度短く、穂長は長 く、穂数は同程度からやや多い状況です。耐倒伏性は強いです。また、出穂期は2日ほど早く、成熟 期は3日程度早い極早生品種で、収量、食味も同程度であるとなっています。 次のページをご確認いただきたいと思います。来歴についてですが、「ふさおとめ」と「愛知 101 号」の交雑後代から育成された系統です。品種登録者は茨城県で、現在登録申請中となっています。 種苗法に定める育成者権者の侵害の行為を及ぼさない状況ですが、種苗法による出願公表を平成 24 年 8月 21 日に行っており、出願者から名称について「一番星」で設定することの了解を得ています。次 に種子の確保ですが、育成者権者の茨城県と種子として利用許諾を受けている潮来市大規模稲作研究 会から購入しているため、権利の侵害はありません。品種鑑定上の特徴については、JAなめがたの 荒原所長にお願いします。 なめがた農業協同組合:荒原 銘柄の設定等申請書については、銘柄鑑定に関する事項です。潮来市が申請する農産物について、 当登録検査機関が検査を行う予定としており、申請において必要な品種鑑定上の特徴について述べさ せていただきたいと思います。 銘柄の区分は産地品種銘柄です。農産物の種類は水稲うるちもみ及び水稲うるち玄米です。産地は 茨城県、品種名は「一番星」です。必須・選択の区分は選択銘柄としたいと思います。産地で栽培さ れた品種に係る品種鑑定上の特徴としまして、品種鑑定については、申請品種である「一番星」は、 茨城県の主要品種である「コシヒカリ」に対して厚みがあり、玄米千粒重が重く、外観も一回り大き く大粒です。また、早晩性が同程度の「あきたこまち」に対しても厚みがあり、玄米千粒重が23.9g で「あきたこまち」よりも1.3g程度重く大粒です。さらに「一番星」は高温耐性が強く、高温下でも 白未熟粒等の発生が尐ない特徴があり、玄米の外観はやや優れ、整粒の割合が高いという特徴があり ます。未熟が「あきたこまち」と比べて目立たないのが大きな特徴です。以上のことから品種の鑑定 - 3 - は容易に行うことができると思います。 そのほかの点については、県の普及センターの中島課長がお見えになっていますので、お願いしま す。 行方地域農業改良普及センター:中島 試験研究機関等の受け入れと協力を得て、潮来市さんで産地化を図っています。栽培特性も既存の 「あきたこまち」に比べて、非常に出穂等もそろい、非常に粒もそろいがいいという外観上の特徴も ありますし、品質特性上も栽培しやすく非常に産地に定着して、今後産地化を図れる品種と考えます。 簡単ですが、以上です。 座長:田渕 ありがとうございました。続きまして、全国農業協同組合連合会茨城県本部様より水稲うるちもみ 及び玄米の「ふくまる」についてご説明をよろしくお願いします。 ふくまるの申請内容説明 申請者:全国農業協同組合連合会茨城県本部 小圷 「ふくまる」は、茨城県農業総合センター生物工学研究所が平成13年に早生で多収、良質を目標に、 早生で高温登熟性に優れる「ふさおとめ」を母に、早生で良質の「ひたち20号」を父として交配し、 選抜育成した品種です。県農業研究所で、平成21年から「ひたち34号」として、一般圃場において慣 行栽培を行っています。 品種の特性としては、「コシヒカリ」に比べて桿長が 10cm 以上短く、穂数は同程度、耐倒伏性に優 れています。出穂期、成熟期は早生品種である「ひとめぼれ」と比較して1~2日早く、「コシヒカ リ」よりも出穂期、成熟期については7~10 日早くなっています。千粒重については「コシヒカリ」 に比べて3g 程度重く、品種特性に応じた肥培管理を行うことにより、2割程度の増収が見込まれま す。玄米の外観品質は大粒で、粒ぞろいが良く、光沢があり、高温でも安定した品質を有しています。 種苗法に基づく「ふくまる」の品種登録については、平成24年9月12日に農林水産省告示第2175号 により、品種登録出願公表をされています。 また、種子の確保等については、育成者権者の茨城県の採種圃において生産された種子を、茨城県 穀物改良協会を通じて供給することとなっています。茨城の水稲の作付けは、「コシヒカリ」と「あ きたこまち」の2品種で90パーセントを占めており、加えて「ゆめひたち」「ひとめぼれ」「ミルキ ークイーン」「キヌヒカリ」を合わせると100パーセントとなります。作付け動向としては、特に需要 が高まってきている業務用の銘柄が極端に尐ないというのが茨城の現状となっています。このような ことから、茨城県としては新品種の「ふくまる」を茨城県の新たな業務用米の主要品種として拡大し ていくことになっており、平成25年は500ha、2600t、27年には1000ha、5200tの作付けを想定していま す。以上、申し上げました理由に基づき、「ふくまる」を選択銘柄として、銘柄設定の申請をしてい ます。よろしくお願いします。 併せて、平成25年産「ふくまる」の検査見込みです。JA等の機関のみですが、水戸農業協同組合、 ひたちなか農業協同組合、茨城ひたち農業協同組合、なめがた農業協同組合、茨城みなみ農業協同組 合、土浦農業協同組合、常陸小川農業協同組合、常総ひかり農業協同組合、岩井農業協同組合という ことで、ただ今9つのJAにおいて25年の作付け及び検査を見込んでいます。以上です。よろしくご - 4 - 審議いただきたいと思います。 申請者:全国農業協同組合連合会茨城県本部 小圷 様式第1-4号については先ほど品種の特性のところで申し上げたとおりで、資料に記載のとおり です。「茨城県産『ふくまる』は、『ひとめぼれ』並みの収量・食味を持ち」と書いてあります。鑑 定については、それぞれ作付けをする農協から、ここに記載されているとおりで、本日も「ふくまる 」そのままが提示してありますので、それを見ていただければ分かると思います。他品種と違い大変 分かりやすい品種ということで、それぞれのJAの方からこのような様式第1-4号をいただいてい るような次第です。 座長:田渕 続きまして、北つくば農協様より水稲うるちもみ及び玄米の「あさひの夢」について、ご説明お願 いします。 あさひの夢の申請内容説明 申請者:北つくば農業協同組合 稲葉 申請を行う内容については銘柄の設定、銘柄の区分は産地品種銘柄です。農産物の種類は水稲うる ちもみ及び水稲うるち玄米です。品種名は「あさひの夢」、必須・選択の区分に関しては選択銘柄で す。生産状況について、こちらは22年から24年までの面積および生産トン数を入れているのですが、 先ほどお配りいただいたお手元の資料をご覧いただいたほうが、流れが分かると思います。 「あさひの夢」の 2009~2012 年ということで、生産年数および生産量、等級区分なども入れてあり ます。2009 年から生産が始まり、昨年の 2012 年産まで生産されています。ここには 2009 年の面積は 入れていませんが、約 100ha ほど生産しています。主食用で 625,470kg 生産されています。2010 年は 174ha で、主食用が 933,840kg となっています。この年から地域流通方式を採り、加工用米の方でも 「あさひの夢」を活用させていただいています。その数字が 27,870kg となっています。それから、2011 年は 151ha、主食用で 150ha なのですが、こちらは 827,220kg です。加工用米もやや増えて 113,190kg となっています。それから、新規需要米の方では米粉用の需要も増えており、こちらも米粉のユーザ ーからの指定等もいただきながら、323,569kg を生産しています。 昨年、2012年の作付けが171ha(主食用)ですが、951,420kgとなっています。加工用についても 182,220kgと増えています。新規需要米も飼料用と米粉用を合わせて454,943kg生産しています。そち らをグラフにしたものが、ありますが、年々いろいろな限定米も含めて作付け量は増えています。余 談ですが、24年産に政府備蓄米として、水戸農協としても90tほど落札させていただいておりまして、 当然「あさひの夢」等での対応を考えていたのですが、産地品種銘柄でないものは備蓄米としての対 応ができないということで、加工用米との調整をしながら「コシヒカリ」の加工用米を備蓄米に回し たというような経過もあります。当然、こういった政府の制度にものっとっていく中では、「あさひ の夢」の産地品種銘柄をいただかないといろいろやりづらいところもあり、申請をさせていただいた ところです。 数量の資料の後に、「あさひの夢」の専用肥料試験成績書というものがありますが、平成23年2月 15日付けの「あさひの夢」の生育結果、それから平成22年1月18日付けで21年産の生育結果というこ とで、県の普及センター等にも協力を得ながら、生育の調査、適切な肥料の開発等も同時に行ってま - 5 - いりました。最後にある「良多くん一発」ということで、専用の省力化の肥料を、営業とメーカーの 協力を得ながら3年かけて開発して、何とか省力の中でも多収穫品種で、収穫に適した銘柄を育てて いこうということで取り組んでまいりました。 品種の特性および様式第1-4号等については、民間検査員の宮本から説明します。 北つくば農業協同組合:宮本 8の品種の特性等ということで、(1)ですが、「あさひの夢」においては出穂・成熟期は中生で、 縞葉枯病抵抗性を有しています。玄米千粒重は中粒ですが、収量に関しては縞葉枯病発生による減収 が尐なく、収量の変動は比較的小さいと考えています。 続いて(2)ですが、愛知県農業総合試験場作物研究所において、「愛知70号」と「愛知56号」を 掛け合わせ、さらに「愛知65号」を交配し、平成11年に「あさひの夢」と名前が付けられています。 続いて(3)ですが、種子の購入については、育成者権者と通常利用権設定を行っている全農茨城 から購入しているため、育成権者の侵害を及ぼしません。また、育成者権者に、銘柄の設定を行い茨 城県産「あさひの夢」としたい旨を確認し、了承を得ています。 様式第1-4号です。銘柄の設定等申請書ということで、北つくば農業協同組合代表理事組合長藤 田恒雄が申請する下記農産物について、当登録検査機関が検査を行う予定としており、申請において 必要な品種鑑定上の特徴について、下記のとおり整理しましたので、報告します。「1 銘柄の区分 」は銘柄の設定、「2 農産物の種類」は水稲うるちもみ及び水稲うるち玄米、「3 産地」は茨城 県、「4 品種名」は「あさひの夢」、「5 必須・選択の区分」は選択銘柄、「6 3の産地で栽 培された品種に係る品種鑑定上の特徴」は、茨城県の主要銘柄である「コシヒカリ」と比較して、茨 城県産「あさひの夢」は基部がやや狭く、頭部はやや平たんである。粒は中粒で、「コシヒカリ」よ りやや粒が長い感じがしています。色は淡い飴色の特徴があり、「コシヒカリ」と比べて品種鑑定が 可能であると思われます。 続きまして、様式第1-6号「サンプル及び鑑定上の特徴の縦覧又は配布に関する同意書」としま して、今回提出する下記農産物サンプルおよび鑑定上の特徴の内容について、当該区域において品位 等検査を行う登録検査機関に縦覧または配布することについて、異議ありません。以下については、 様式1-4号と同じ内容ですので省略させていただきます。 座長:田渕 では最後になりますが、水稲うるちもみ及び玄米の「はえぬき」について、株式会社茨城農栄様よ りご説明お願いします。 はえぬきの申請内容説明 申請者:株式会社茨城農栄 金久保 申請を行う内容は、銘柄の設定、品種名は「はえぬき」、必須・選択の区分は選択銘柄です。生産 状況は、22年産の作付面積が0.8㏊、検査実績が5トン、23年産の作付面積が5㏊、23年産は未検査で流 通したので検査実績は0、24年産の作付面積が10㏊、検査実績が26トンです。 生育の特性です。猛暑でも生育安定性があり、食味および玄米外観品質に優れています。生産地の 坂東市および坂東市周辺で耕作していますが、「コシヒカリ」に比べた特徴は、出穂期はほぼ同時期 位ですが、成熟期が5日ほど早いです。標準施肥栽培では、玄米収量は同等ですが、多肥栽培では20 - 6 - ~30パーセント多収になります。玄米品質は優り、炊飯米の食味は標準施肥栽培および多肥栽培共に、 「コシヒカリ」と同等あるいは良食味です。耐倒伏性は「強」であり、「あきたこまち」よりも多尐 短桿の傾向が見えます。多肥栽培形の品種でありながら、耐倒伏性のため、悪天候での生産安定性お よび玄米の外観品質、食べてもおいしいこと、これからも安価で良質な良食味の米を、主食および業 務関係の用途として期待されると思われます。 育成者権についてですが、山形県農政課に問い合わせたところ、育成者権の期限が終了しているた め茨城県での「はえぬき」の銘柄設定は十分可能であると、確認しています。 来歴は両親にコシヒカリの血を持ち、最終的に庄内29号とあきたこまちを掛け合わせています。 コシヒカリより短稈で、茨城県当社坂東市周辺、県西地区で3年前から育成していますが、生育上の 問題もなく、倒伏性に強く、食味も良好です。 まだ当県の結果ではないのですが、18年連続食味ランキングで「特A」をとっているのは、山形は えぬきと新潟魚沼コシヒカリの2産地銘柄で、全国でもこの2品種しかありません。 現在での全国の作付け状況ですが、当然山形県が一番耕作していまして、次いで香川、秋田、新潟、 大分です。香川は必須銘柄になっています。「ヒノヒカリ」が遅れますので、それよりも早く良食味 で生産安定性があり、品質も安定しているということで、必須銘柄になっています。 当県でここ3年作付けしていますが、22年産の猛暑、前年度の悪天候、別紙の最後に写真が載って います。これは23年産の当県の当社の圃場です。向かって右側が「コシヒカリ」、左側が「はえぬき 」です。施肥ですが、左側の「はえぬき」は右側の「コシヒカリ」の3倍の窒素成分の量をくれてい るにしても倒伏していません。にもかかわらず「コシヒカリ」の3倍の窒素量を与えても、こういっ た倒伏性にかなり強く、乳白米の発生も尐ないという結果です。 25年産に向けても、24年産は作付面積が10haでしたが、それの2~3倍生産量を増やして、これか らも良食味の品種として銘柄設定を行い、茨城県産「はえぬき」として、販売・生産を拡大したいと 思っています。以上です。 座長:田渕 それでは、次第(3)「銘柄設定に対する意見聴取」に移っていきたいと思います。関東農政局で は、申請内容および意見聴取会の日程をホームページに掲載しまして、昨年12月19日から今年1月7 日までの間、意見を募集しました。その結果について、事務局よりお願いします。 事務局:大島 関東農政局においては、申請のあった品種等について、本年1月7日までホームページにおいて広 く意見の募集をさせていただきました。その結果、茨城県における4申請品種について意見等はなか ったので、本日この場にお集まりの皆様方から、再度本申請品種についてのご意見をお聞きしたいと 思います。また、登録検査機関ということで、本日ご出席をいただいている方々もおいでになります ので、実際に銘柄鑑定ができるのか、銘柄鑑定に当たって疑問点はないのか等、ご確認いただければ と思います。また今後、先ほど申請の内容についてお話をしていただいたところですが、すべて選択 銘柄というご説明があったわけで、今後作付けの動向によっては茨城県の必須銘柄といったような位 置付けになることも考えられるので、ご自身のところでの選択銘柄ということではなく、登録検査機 関、ご自身のところ以外でも銘柄鑑定ができるのかということで、本日の4品種についてご覧いただ きたいと思います。以上です。 - 7 - 座長:田渕 ただ今、事務局の方から、現物の試料を確認して意見を聞きたいという提案がありましたので、展 示してあります試料を確認していただきたいと思います。その展示してある試料ですが、まず茨城県 のどこの産地かということを確認させていただきたいと思います。1点目の潮来市長様の申請にあり ました「一番星」については、産地はどちらになりますか。 潮来市:仲澤 潮来市です。 座長:田渕 2点目の全農茨城県本部様より申請のありました「ふくまる」については、産地はどちらになりま すか。 全国農業協同組合連合会茨城県本部:小圷 水戸です。 座長:田渕 3点目の北つくば農協様の「あさひの夢」については、どちらになりますか。 北つくば農業協同組合:稲葉 筑西市になります。 座長:田渕 茨城農栄様の「はえぬき」については、どちらになりますか。 株式会社茨城農栄:金久保 坂東市です。 座長:田渕 それでは実際に銘柄鑑定ができるかどうかを皆さんで確認していただきたいと思います。その後、 意見聴取に入りたいと思います。試料4点の確認をお願いします。 展示してある現物の試料確認(約15分) 【(3)銘柄設定に対する意見聴取】 座長:田渕 それでは、試料を確認いただけたようですので、意見聴取ということで再開したいと思います。本 日4品種申請がありますので、まず意見聴取を1品種ずつ行い、4品種の意見聴取が終わりましたら、 - 8 - 最後に皆さんで銘柄設定の可否についての決定を行っていきたいと思っていますが、そういう進め方 でよろしいでしょうか。 それではまず初めに、潮来市長様より申請のありました「一番星」について、銘柄設定するに当た り、皆様の方からご意見・ご質問等がありましたらお受けしたいと思いますが、何かありますか。 ① 一番星 茨城県食糧販売協同組合:根本 今の品種鑑定ができるかどうかですが、「一番星」については細身で、色や丈など形質的にもいい のではないかと思います。ただ、今回出された写真版と粒形がちょっと違うような感じもします。こ の写真の撮り方がおかしいのかどうか分かりませんが、細身で鑑定はできると私は判断します。 座長:田渕 そのほかご意見等ありますか。 では、私からお伺いします。今、根本様から鑑定は可能ではないかというご意見がありましたが、 設定の要件の一つに銘柄鑑定が可能かどうかというのがあり、銘柄設定を行う上での一番重要なポイ ントになると思います。先ほど、今後検査を予定されているなめがた農協さんから銘柄鑑定に関する 事項についてご説明もありましたが、申請書に22年産から24年産までの検査実績の数字が載っていま す。実際に、この22年以前も検査実績があるかと思いますが、実際に検査されて、年により特徴が違 ったとか、等級のばらつきがあったとか、年によって特徴がさまざまだったとか、実際の検査を行っ て鑑定上問題はなかったかどうか、ご意見があればお伺いしたいと思います。 なめがた農業協同組合:荒原 平成22年から検査を実施しまして、昨年の24年度が一番多かったわけですが、検査日がお盆過ぎの 8月20日前後で、「あきたこまち」より早い品種です。そういった中で、「あきたこまち」は若干未 熟粒が多いのに対し、この「一番星」はそういった被害粒等が尐ない品種ではないかと思います。そ んなにぶれのない品種で、極早生という印象があります。 座長:田渕 それから申請者の潮来市長様の方にお伺いしますが、品種の特性ということで穂発芽性が極難、耐 倒伏性が強いと書かれていますが、農産物規格規定に適用が可能ということも要件の一つにあります。 病害虫の発生で品位規格の適用が可能ではないとか、そういった病害虫の関係で何かありましたらお 願いします。 潮来市:仲澤 栽培手法については行方普及センターの方に大変ご協力、ご指導いただいておりますので、そちら については中島課長からご説明させていただきたいと思います。 行方地域農業改良普及センター:中島 病害虫ですが、いもち、紋枯病等についても特に発生は見ておりません。早生品種の「あきたこま - 9 - ち」においても、特に病害虫に弱いという状況ではありません。カメムシについても適宜、防除を行 えば、十分防除も可能ですので、ほかの品種よりも尐し被害がひどいという状況ではありません。今 までの検査実績もすべて1等で通っています。以上です。 座長:田渕 生産状況で、23年、24年は面積がほぼ同じで検査数量も同じなのですが、25年産以降の予定という のは、どのようになっていますか。 潮来市:仲澤 25年以降の作付けの見込みですが、今後の作付けについては、25年産は20ha、26年産は70ha、27年 産は100ha、28年産も200haという計画を考えています。この計画については市場評価を見極めながら、 途中で修正し、基本的には需要に合った計画にしていきたいと考えています。以上です。 座長:田渕 26年から作付面積がかなり増加の予定もありますが、茨城県産の米の生産振興という観点から、茨 城県から何かご意見等はありますか。 茨城県農林水産部:堤 「一番星」は「あきたこまち」より3日早い品種ということで、特に「あきたこまち」は早刈りを しているようで品質が落ちていますので、代替品種的な位置付けを考えています。潮来市などは早場 米地帯ですので、そこら辺を中心に、茨城で一番初めに出てくる品種ということで、生産振興を図っ ていきたいと思っています。 座長:田渕 それでは、また申請者の方にお伺いしますが、今後の生産拡大ということで、種子の確保というの は、どちらから手当てされるのでしょうか。 潮来市:仲澤 25年産については、大規模稲作研究会で、潮来において生産しました。26年産以降の種子の生産に ついては、県の穀物改良協会で行うことになっています。 茨城県食糧販売協同組合:根本 穀物改良協会さんは大丈夫ですか。 座長:田渕 26年以降かなりの面積になりますが、いかがですか。 社団法人茨城県穀物改良協会:山形 生産計画とか、その辺についてはまだ尐量なものですから、今後県と検討していくことになってい ます。 - 10 - 茨城県農林水産部:堤 奨励品種審査会が来月ありますので、そこできちんとした形で位置付けたいと思っています。 座長:田渕 その他、銘柄鑑定ができるかどうか、皆様の方から何かご意見ありますか。 事務局:大島 実際に検査を22、23、24年とされていますが、これはある程度買う方が決まっているという中での 検査かと思いますが、先ほど今後作付面積が非常に増えていくようなお話の中で、例えば28年には 200haという話になったときに、その時点で例えば実需者が決まった上での栽培の見込みなのか、それ とも例えば全農さんなり、集荷組合さんというような、ある程度のそういった販路で販売なりをされ ていこうということなのか、その辺の現状と今後の方針、方法が分かりましたら、ご説明いただけま すか。 なめがた農業協同組合:荒原 平成24年産については業者が2社ありまして、特にJAなめがたに関しては買取米が非常に多く、 買取米は4業者ないし5業者あるのですが、そのうちの2業者にサンプル的な形で「一番星」の販売 につながりました。特になめがたに関しては製菓子用等も考えた中での販売、買い取りも行っていま すので、25年産は20ha、26年には70haまで何とか、それ以降については、先ほどから出ていますよう に、全農さんにお世話にならなければその数量的には非常に難しい数字になってくるとは思っていま す。JAのところで200haの米の量を扱うというのは、4、5社ある中でも販売は非常に苦しいと思い ますので、できれば全農さんにお願いするという形になると思います。 座長:田渕 皆様の方から何かご意見等ありますか。 茨城県食糧販売協同組合:根本 「一番星」の10a当たり、どのぐらい穫れるのですか。1.85mmのふるいでふるった数でお願いしま す。 行方地域農業改良普及センター:中島 幅もあるのですが、「あきたこまち」が480㎏~490㎏ぐらいのところですが、「一番星」について は480㎏から、多いところでは530㎏ぐらいまで穫れるものがあります。また早く出荷するというのが 前提にあるので肥料設計を控えめにやっているものですから、生産者に関してはもう尐し肥料をやり たいという意見もありました。早く出すというのが第一にあったものですから、そういった感じで肥 料設計をやります。今後肥料をあげるということを考えれば、さらに収量をあげていくというのも可 能かと思っています。今後それについては、現地で試験等をしまして、明確な施肥設計、体系等を確 立したいと考えています。食味についても食味ランキングでは「あきたこまち」よりはやや高いとい う結果になっています。 - 11 - 茨城県食糧販売協同組合:根本 480㎏から多くて530㎏ということは、収穫量は「あきたこまち」とそんなに変わらないですね。そ れから食味値は、79ぐらいあるのですか。 行方地域農業改良普及センター:中島 昨年はちょっと下がってしまったのですが、「あきたこまち」の76に対して78ぐらいありました。 収量についても、今後それなりの栽培方法により上げられるのではないかと考えます。 茨城県食糧販売協同組合:根本 面積が今後どうなるか、茨城県の銘柄として出しているのに、尻すぼみでは困ります。 行方地域農業改良普及センター:中島 アンケート調査を農協さんや業者さんとやったのですが、品質等については全く問題がないと言わ れていますし、取り扱えるといったご回答もいただいており、今後2社さんは具体的に進めたいとい う積極的なお話もあって、先ほど荒原さんが言われたとおりです。そういった点から、今後販売して、 産地としていい品質のものを安定して供給していくことによって、生産から流通まで安定化していく のではないかと考えています。 茨城県食糧販売協同組合:根本 それでは、潮来市さん、行方市さんだけではなく、茨城県全体で進めていくという考えもあるとい うことですか。 座長:田渕 茨城県の方で何かご意見ありますか。 茨城県農林水産部:堤 茨城県潮来市でもともと試験栽培を始めたのが早かったのです。そのほかの地域でも、稲敷市では 23年から、この24年度については鹿島市と坂東市を加えて試験栽培をしています。来年度も尐し試験 栽培を増やして、そういった県南部の早場米地帯で、生産者の意向あるいは実需の評価、市場評価を 見極めながら、尐しずつ早場米の位置付けということで導入を検討したいと思っています。 座長:田渕 そのほかに皆様何かご意見ありますか。特によろしいですか。特に銘柄鑑定が可能かどうか、銘柄 鑑定の可否についてのご意見としてはいかがでしょうか。特に銘柄鑑定は難しいといったようなご意 見はないでしょうか。 では、特にご意見がないようですので、続きまして、全農茨城県本部様より申請の「ふくまる」に ついて、銘柄設定を行うに当たり皆様からご意見をお伺いしたいと思いますが、何かありますか。 ② ふくまる - 12 - 茨城県食糧販売協同組合:根本 「ふくまる」について先ほど見たところ、粒が大きくて平べったいというか、幅があるというよう なことが、特徴的には出ていると思います。先ほど「ふくまる」においては作付面積をどんどん増や していくということで、多くの農協さんからそういう申請がありますし、ほかの地区でも作りたいと いうようなことがありますのでこれから広がる要素もあります。また、これは品種鑑定もできますし、 品質的にも結構きれいで乳白等も出ていないというようなこともありますので、かなり優良な品種で はないかと思っています。そういうことで、私としては、これは推奨する価値があると考えています。 皆さんの意見をお願いしたいと思います。 座長:田渕 ありがとうございます。 茨城県食糧販売協同組合:根本 この地区の集荷業者さんの茨集さんどうですか。 茨城県食糧集荷協同組合:五位渕 今、根本さんからもお話がありましたように、「ふくまる」はそれなりの大きさです。ほかの品種 に比べて変わっているというか、大粒で、粒ぞろいもそろっているということで、鑑定上は問題ない のではないかと思っています。以上です。 茨城県食糧集荷協同組合:荻沼 この「ふくまる」については、いわゆる全農、茨食、茨集の3団体において、銘柄にするとして、 その中で東京の方にもPRに行っていますし、かなり評価されているので、私としては、今後いいの ではないかと思います。 社団法人茨城県穀物改良協会:山形 「ふくまる」については県からも要望がありまして、25年産から本格的に販売すると前々から言わ れていました。計画では、25年は500ha、3000tの生産量が目標です。これに合わせた種子の確保とい うことで、18町歩ほどの面積で種子の確保ができました。今後の計画に合わせて種子の生産に取り組 んでいきたいと思っています。 茨城県農産物検査協議会:小野瀬 「ふくまる」については、21年度から作付けをしている関係から、登録検査機関も相当慣れていま す。そのため、銘柄鑑定は可能であろうと思っています。これは将来的には必須銘柄ということも含 めて考えているのではないかと思っていますので、その辺についても考慮し、銘柄鑑定はできるとい うことで私のほうで確認しています。 座長:田渕 いろいろな関係者の皆様からのご意見、ありがとうございました。銘柄鑑定は皆さん可能であると、 - 13 - 品種的にも有望であるというようなご意見をいただきました。先ほど申請者の方から、今後の生産収 量についてもかなりの面積を考えているようですが、先ほど改良協会さんの方から種子の確保もして いくとお伺いしました。やはり今後の生産振興という関係から、茨城県さんの方で、この品種につい て特にご意見ありませんか。 茨城県農林水産部:堤 平成25年については、500ha、3000tを目標にして、さらに2年後、27年は1000ha、6000tという目標 を掲げて、関係者と一緒になって、これから推進を図っていきたいと思っています。 座長:田渕 種子については改良協会さんを通じて供給の予定になっているということで、申請書に書かれてい るとおりでよろしいですか。「ふくまる」という名称についても、育成者権の茨城県さんの了解を得 ているということでよろしいでしょうか。 茨城県農林水産部:堤 はい。 茨城県食糧販売協同組合:根本 「ふくまる」の普及に当たっての指導体制はどのようになっているのでしょうか。 茨城県農林水産部:堤 県と農業総合センターで今、プロジェクトチームという形で、24年、県の20カ所程で実証圃を設け て収量性や食味など調査してきました。濃密なデータ蓄積があったので、今栽培マニュアルを総合セ ンターに作ってもらっていて、それを基に技術の組み立てというか、教科書的なものを作っています。 それを基に普及センターの指導者の皆様それから農協の指導者の皆様に、現場での指導に当たっても らっています。あと、来月講習会などを予定しており、その場でみんなで「ふくまる」を作って頑張 りましょうと啓発したいと考えています。 茨城県食糧販売協同組合:根本 今後これを茨城県の奨励品種にすることを前提に指導していくということですか。 茨城県農林水産部:堤 もちろんです。昨年の時点で奨励品種になっていまして、需要を見極めながらという位置づけと先 ほど説明しました。 茨城県食糧販売協同組合:根本 必須銘柄としてですか。 茨城県農林水産部:堤 必須銘柄はどの検査機関も検査ができなければいけないということですから相談しながら進めます。 - 14 - この品種自体は特にどこの地帯でしか普及させないということはないので、やはり現場の意向、現状 を見ながら転換できるという感じがします。 座長:田渕 そのほか何かご意見ありますか。 事務局:大島 先ほどの銘柄鑑定について、見やすいというお話もあったと思います。作付面積なり、取扱量なり が非常に増えている品種というお話があり、例えば本日のサンプルについては水戸市で生産されたも のだったかと思いますが、先ほどのお話にあったような面積ということになりますと、当然県下一円 に普及していくと思います。県下各地の気候風土の違いから見た場合に、品質的にばらつきが見込ま れるのか、それともそういったものはないのか、そういう心配はないのかというところを、試験的な お立場の方からご発言いただきたいと思います。 茨城県農業総合センター農業研究所:松浦 「ふくまる」に関しては、昨年23年度は県内6カ所、24年度については県内11カ所で調査を行って います。今回のサンプルは水戸ですが、基本的には県西、県南がここ2~3年作っており、水戸なり、 24年は常陸とか、県北のものまで一応見ています。今言われましたように、確かに千粒重、粒の大き さに関しては、やはり水戸なり県北に行くほど千粒重は重くなる傾向があって、県南、県西では、比 べた場合は若干軽くなるということですが、「コシヒカリ」自体も同じような傾向があります。1g くらい、2gまではいかないまでも、千粒重の重さでいうと、県南・県西は23~24g程度で、県北のほ うまで持ってくると25g、一番重いところだと26gまで来ております。ただ、産地ごとに「コシヒカリ 」対比では3g程度重くなっているので、その場面、場面では「コシヒカリ」と比べた差というのは一 緒になります。 また、白未熟粒などに関しては、暑い年に、県西・県南で作ると、いくら白未熟粒の発生が尐ない と言っても、若干は白未熟粒の発生率は上がってくるというのはありますが、既存の品種と比べると、 十分いい品質のものが穫れているということですので、24年産を現場ですべて見た限りでは、県内の どこで作ってもそれほどぶれはないということで、今のところは見ています。以上です。 座長:田渕 そのほかご意見等ありますか。 それでは、ないようですので、北つくば農協様申請の「あさひの夢」の銘柄設定について、皆様の ご意見がありましたらお伺いしたいと思います。 ③ あさひの夢 茨城県食糧販売協同組合:根本 「あさひの夢」を初めて見たのですが、北つくばのほうで22~24年、174ha・151ha・171haと、ずっ と作っていることですし、1000t近くの検査も民間の検査員がやっているということなので、銘柄鑑定 も当然問題ないということであれば、申請していいのではないかと思っています。以上です。 - 15 - 座長:田渕 ほかにご意見ありますか。 全国農業協同組合連合会茨城県本部:小橋 先ほど試料を見させていただきまして、粒もいいですし、鑑定するには十分であると思います。 座長:田渕 ほかにご意見ありますか。 私からお伺いしますが、生産収量もかなりの数字が載っていますが、収量のほうで今後の予定はど うなっていますか。 北つくば農業協同組合:稲葉 今後の作付けということでよろしいですか。 座長:田渕 はい。 北つくば農業協同組合:稲葉 主食用を中心に170haほどやらせていただいているのですが、新規需要米それから加工用米のニーズ も高まっている中でしたので、その部分でも約100haの作付けが実際あります。今年、25年産の備蓄米 の入札等も視野に入れると、主食用以外でもやや増えていくのではないかと思っています。ただ、や はり販売する中で「あさひの夢」より勝る銘柄、選択銘柄で既に茨城県の銘柄になっている「あきだ わら」に関しても作付けして欲しいという要望が実需者側からも出ているという実態もあるので、そ ういった意味では、バランスを取りながら増やしていくということかと思います。ただ、今後300㏊、 400㏊になっていくかというと「コシヒカリ」の主産地ですから、ある程度の雑銘柄、業務用の販売と いうことを視野に入れて、作付けを伸ばしてきたということもあるので、ある一定以上は伸ばさない というところでは、やはり歯止めは途中でかけなくてはならないと思っています。 座長:田渕 先ほどいただいた別の資料で、検査実績では2010年は2等が多くなっているのですが、その辺は「 あさひの夢」に限ったことではないのでしょうか。この年は非常に暑かった年であったとは思うので すが、何か原因というようなものはあるのでしょうか。 北つくば農業協同組合:稲葉 当然、夏場の気温が非常に高い中で栽培されたということは、「コシヒカリ」も当然のごとく200t、 2等格付けが多くなっています。「コシヒカリ」よりも雑銘柄というようなイメージが強いので、当 然この2等格付けで販売価格上は若干低めの価格設定になっています。よって、2等で安いお米とな れば、当然農家の手取りにも安定感を欠くことになるので、そういった2等の発生の多い地区に関し ては、25年度から別の銘柄、「あきだわら」など既存の選択銘柄でも地区限定で導入していく予定で - 16 - はいます。やはり高温の夏が続いた場合は、「あさひの夢」は導入当時は倒伏がなく乳白の発生も尐 ないと言われていたのですが、ここ4年間作らせていただいた中では、やはり乳白も当然のことなが ら、作期や気候によっては出ます。それにより2等格付けも発生しているということもあるので、状 況などを見ながら、バランスを取って銘柄を変えていくということがあるとは思います。 座長:田渕 それでは種子の関係で、全農茨城さんの方に確認したいと思います。育成者権者と通常利用権設定 を行っている全農茨城から購入しているため、育成者権の侵害を及ばさないということと、茨城県産 「あさひの夢」としたいということで、了解を得ていると申請書には記載されているのですが、記載 等について間違いはないでしょうか。 全国農業協同組合連合会茨城県本部:小橋 間違いありません。 座長:田渕 分かりました。 茨城県食糧販売協同組合:根本 食味は「あきたこまち」よりも悪いのですが、これで一般米として販売して、尐し茨城のイメージ が悪くなるのではないかと思うのですが、いかがですか。これは増量剤として販売するのですか。非 常に収穫量もいいようなので、加工米としてはいいと思います。ただ食味が落ちるというところが尐 し難点なのと、あと先ほどサンプルを見させていただきましたが、見た目があまり良くないですよね。 そこのところで、今後の期待ができるかどうかというところに、私はちょっと疑問があるという感じ がしています。 座長:田渕 申請者の方からご回答ということでよろしいですか。 北つくば農業協同組合:稲葉 はい。確かに食味の点に関しては「あきたこまち」よりはかなり落ちるものだと、私どもも認識し ています。私どもも「あきたこまち」の作付けがありますが、「あきたこまち」と直接食味を比べる ということはしていません。実際に使われてなんぼ、買われてなんぼ、売れる米作りというような中 では、「コシヒカリ」一辺倒では、やはり実需のニーズの高い年、それからこの5年間を見ても1万 2000円の年もあれば、今年のように1万5000円の年もあり、価格も乱高下している中で、高い年にで も安定した業務用に使える銘柄をというユーザーのニーズもあります。その中で、ユーザーも農協も 生産者も一生懸命我慢しながら5年間続けてきて、食味というよりは価格それから収量、そういう部 分で茨城の米の中で、業務用でも活躍する銘柄があってもいいのではないか、それと作期を分散する という意味では晩生品種であるため、「コシヒカリ」との作業の分散化という意味も兼ねて、「コシ ヒカリ」よりは遅れて収穫ができる品種を作付けしています。 それと、麦あとの作付けをされている農家もあるのですが、これに関しても「コシヒカリ」ですと - 17 - 6俵を下回るような収量もあるのですが、試験圃場の中では8俵近くとれているような現状もあるの で、麦あとの中でも手取りの確保というのもできていくだろうと思います。 座長:田渕 食味は「あきたこまち」よりは良くないのではないかといった中で、銘柄設定をするに当たって問 題があるかという意味で、茨集さんご意見ありませんか。 茨城県食糧集荷協同組合:五位渕 今は北つくば単独ですが、今後全農で取り入れるということなので、茨集として取り組むというわ けではないので、特別問題ないと思います。 座長:田渕 分かりました。ほかにご意見はありますか。 事務局:大島 前段に出ました「一番星」なり、「ふくまる」は茨城県の農業研究所さん、あるいは茨城県が開発 してきた品種かと思うのですが、今回の「あさひの夢」は愛知の品種です。良品種がいろいろ台頭し てきているという中で、今回のこの「あさひの夢」について、生産振興をくみ取るというか、茨城県 さんでもし何かご意見があればお願いします。 茨城県農林水産部:堤 県としても試験場でいろいろ研究してきた中で、試験研究成果から言えば「ふくまる」の品質性の 方がいいのではないかという結論ですが、今回の「あさひの夢」に関しては、先ほどJAさんからあ ったように、業務用的な位置付けということですので、決して否定はしません。今のところまずは「 ふくまる」という形で、県としては考えています。 茨城県農業総合センター農業研究所:安田 県でも品種の選定を水戸と龍ヶ崎で行っており、その中で優れた系統、品種ということで、今回「 一番星」と「ふくまる」を上げさせていただきました。これらの品種はどちらも早生です。茨城県と しては早生、中生、晩生の品種のバランスを尐しでも良くしていきたいので、今、完全に中生の「コ シヒカリ」に固まっていますので、そういった中で早生の提案を今回させていただきました。今も継 続して品種の選定試験を行っていて、その中で、次の目標としているのは晩生の業務向けの多収の品 種といったものの選定です。ただ、やはりさまざまな品種を出して普及させるというのは非常に困難 ですので、段階を追って、今回「一番星」や「ふくまる」が通ったように、現地試験をやって、また こういった場に提案させていただくことになるかと思います。 事務局:大島 「あさひの夢」を銘柄でというような動きがあったとしても、現状茨城県において今後進める方針 に対し、今のところ大きな影響は及ぼさないということでよろしいですか。 - 18 - 茨城県農業総合センター農業研究所:安田 今のところ大きな影響はないと考えます。 茨城県農業総合センター農業研究所:松浦 うちのほうでも、早生をまず出して、今、晩生を選定中です。県西地域の農家と話していると、晩 生でもっといい品種がほしいとここ何年か言われています。逆に言うと、現存している品種の中では 「あさひの夢」というのは、品質面では若干ここ最近の高温年では問題がありますが、縞葉枯の耐性 もついていますし、収量的にも非常にいいということです。うちとしては「日本晴」や「あさひの夢 」という今ある品種よりもいいものということで、選び始めているところですが、逆に言うと「あさ ひの夢」というのは、今ある中では決して悪いものではないという認識ではおります。以上です。 座長:田渕 ほかにご意見ありますか。よろしいでしょうか。 そうしましたら、茨城農栄さんの「はえぬき」について銘柄設定を行うに当たりましてのご意見を お伺いしたいと思いますが、ご意見はありますか。 ④ はえぬき 茨城県食糧販売協同組合:根本 そもそも「はえぬき」は山形の種子ですよね。私も山形にいたので、「はえぬき」の特徴はよく知 っています。ただ、茨城の場合と山形の東部地区の温度差によって、どれだけの収穫があって、どう いう被害や乳白が出るのかは分かりませんが、今日見た段階においては、だいぶ背白と基部未熟がか なり多いです。いわゆる「チヨニシキ」と似たような形質になっています。ただ粒形がちょっと違う かと思いますが、これは多収品種です。それで食味は、山形県はずっと「特A」となっていますが、 茨城に持ってきてそれだけの食味があるのかが疑問です。同時に、「はえぬき」が今から伸びるかど うかということになると、今の粒形と形質を見ると、収穫量はありますが見た目が悪いということで、 恐らくそう伸びないのではないかという感じがします。見分けられるかというと、何とか見分けるこ とはできると思います。ただ、「チヨニシキ」ということで出されてきたときに、ちょっとどうかと いうところがあると思います。品種鑑定はそういうことです。ただ、収穫量は、茨城では今年一反歩 どれぐらい穫れたのですか。 株式会社茨城農栄:金久保 大体10俵から10俵半穫れています。600~630kg。 茨城県食糧販売協同組合:根本 山形では平均反収13俵です。年によっては15俵穫っています。これは多収です。ただ、山形では食 味がとてもいいのですが、茨城に持ってきて食味がそれだけ確保できるのか私としてはデータがない ので、そのデータはありますか。 株式会社茨城農栄:金久保 - 19 - 茨城では今までは最高で660kg、10俵という実績です。山形県での収量は自分で調べたところ、標準 施肥、640kg、多肥施肥、700kgということです。玄米品質なのですが、ここ3年やらせていただいて、 背白は今年が一番目立った感じがします。22年産も猛暑だったのですが、そのときの方が全然尐なか ったです。それに関しての課題は肥培管理もありますし、刈り遅れの面もあります。24年産は今年初 めて作る方が多かったので、多尐刈り遅れた方が多かったです。 茨城県食糧販売協同組合:根本 この種子は、自家採種の種を使ったのですか。 株式会社茨城農栄:金久保 毎年全農山形さんから購入しています。 茨城県食糧販売協同組合:根本 寒いところでできるのと暖かいところでできるのはちょっと違うと思います。 茨城県食糧集荷協同組合:五位渕 味はどうですか。 株式会社茨城農栄:金久保 当社でも食味ランキングのやり方と同じ形式で官能試験はやっています。うちのほうでおいしいと 言われる「コシヒカリ」や「ゆめひたち」、「あきだわら」、いろいろなものと同じ釜で官能試験は 定期的にやるのですが、食味に関しては「コシヒカリ」に優るとうちでは思っています。ちなみに、 「あきだわら」も2年前に当社がこの意見聴取会に参加して銘柄に設定していただきましたが、「あ きだわら」では去年23年産で、それなりの品質で等級もよかったです。実際にサタケの食味計で計っ てみると、「はえぬき」が80ちょっと欠けており、「コシヒカリ」が85、「あきだわら」が78でした。 去年23年産、実際に食味ランキングに「あきだわら」を出しました。その結果、「A’」でした。 「コシヒカリ」と同等という結果が出ました。いずれにしろ、うちとしても「あきだわら」が「コシ ヒカリ」と同時に播種すると2週間遅れます。遅すぎて耕作できないという農家も多い中で、「コシ ヒカリ」も最近の胴割れ、乳白といった、いろいろなマイナス要素も悪天候で多くなっている中で、 「はえぬき」は生産安定性がないとどうしても作っていただけません。最低10俵とれていれば、「コ シヒカリ」を作付けするよりも、「コシヒカリ」より平均単価が低くても反収入が上がるということ で、耕作者も増えると思います。 茨城県農産物検査協議会:小野瀬 銘柄鑑定は、熟練度を増せばできるとは思いますが、私も今日初めて見ましたので、なかなか先ほ ど根本さんが言ったように、「チヨニシキ」には背白が出ているので、ちょっと出やすいのかという 気はしました。今、農栄さんの方から「はえぬき」と「あきだわら」がもし今回認められたとすると、 選択銘柄が2品種になるという話ですが、どちらに重きを置いてやろうとしているのか、そこだけち ょっとお聞きします。 - 20 - 株式会社茨城農栄:金久保 現在では「あきだわら」の耕作面積のほうが当然「はえぬき」より多く、取りかかりも早かったた めに、これから伸びる要素も十分持っているので、「あきだわら」を主体というところは欠かせませ ん。ただ、「はえぬき」に関しても「コシヒカリ」より5日早いという成熟期ですが、当社管内で8 月の最終に稲刈りした「はえぬき」、および生産者によっては9月20日過ぎに稲刈りした「はえぬき 」があります。その中、徐々に徐々に10日、15日、20日過ぎ、そういった収穫で各生産者たちが耕作 しましたが、要は収穫適期に幅があるのではないかと見ています。その中で、「コシヒカリ」より2 週間も遅い「あきだわら」では、作業上の問題で生産者がいやと言うのであれば、「コシヒカリ」よ り早くもできますし、かえって「コシヒカリ」より遅くもできるという判断をした中では、「はえぬ き」の耕作適期が各農家によって調整しやすいのではないかということで、「はえぬき」も同時進行 と見ています。 座長:田渕 ほかにご意見ありますか。 茨城県食糧販売協同組合:根本 「はえぬき」の収穫量というのは「あさひの夢」と変わりないです。そうすると、品質的に見ると、 「はえぬき」より「あさひの夢」の方が見た目がいいのではないですか。精米したときも恐らく背白 が出ない分、粒的にもいいと思うのですが、そこはどのように考えますか。なめがた農協さんと一緒 に進めたほうが、むしろいいと思います。作付面積はあまり増えないのではと思います。「あきだわ ら」についても、あまり伸びていないですよね。本当はもっと伸びる予定で申請したのだろうけれど も、伸びていません。 株式会社茨城農栄:金久保 まず「はえぬき」の外観品質、背白ですが、ここ3年で今年ちょっと目立ちましたが、去年、一昨 年に関して見れば、もっときれいでした。背白、腹白はほとんどありませんでした。今回のことは、 肥培管理と刈り遅れたことが課題ですが、今回背白が幾らか出てきた状況でも、官能試験ではかなり いいという判断をしています。 それと、「あきだわら」に関して、まだ県内で伸びていない最大の理由というのがあります。最大 の理由は、買い取り金額が安い業者が多いからです。これが最大の原因です。当社も一生懸命「あき だわら」の生産を増やそうと思って、県内あちこち回っていますが、1俵単位の買い取り額で、当社 と同じ1等でも、2500円も違うところがざらです。 あと、カメムシ類の問題で、下位等級もありましたが、うちの「あきだわら」研究会としては、無 人ヘリコプターで、対応しています。病気に関しても、いもちで困ったこともこの8年ありませんし、 紋枯や縞葉枯病が一回、多尐発生しましたが、収量に関しても困っていないですし、病害虫に関して は、これからも絶対とは言いませんが、損害はないと期待しています。 今は大規模農家さんの人伝えで、そういったところからの信用性が高いので、「あきだわら」もこ れから当社で県内の生産を一生懸命伸ばしていこうと思います。 水戸地域センター:仲川 - 21 - 水戸地域センターの仲川です。茨城県の「あきだわら」の検査数ですが、まだ公表はしていないの ですけれども、12月末現在で、「あきだわら」が561tです。 座長:田渕 それでは、今、根本さんから今後の生産状況も懸念されるというようなことと、品質的にもちょっ と背白等の発生もあるようで、品質的なこともちょっと疑問のような意見も出されましたが、銘柄設 定するのは時期尚早というご意見ではないということですね。 茨城県食糧販売協同組合:根本 登録検査機関がきちっとした対応をしないといけないと思います。 座長:田渕 協議会さんの方から何かありますか。 茨城県農産物検査協議会:小野瀬 その関係についてではないのですが、1点だけ局にお願いしておきたいのは、資料2の産地品種銘 柄一覧表というのがありますが、必須銘柄は茨城県内の全登録機関が検査できるからいいのですけれ ども、選択銘柄の業者名を問題のない範囲内で資料に出してもらえればありがたいと思っています。 それと、先ほどの関係は、協議会としては茨城農栄さんが責任を持って銘柄鑑定をして、今後作付け をしていくというのであれば、選択銘柄にすることは問題ないのではないかと思っています。 座長:田渕 産地品種銘柄一覧表の方は、要望として承ります。そのほかご意見ありますか。 事務局:大島 各品種のときに、私から生産振興上の位置付けから見てどうでしょうかということで、茨城県さん にお聞きしましたが、「はえぬき」について、茨城県さんの方からコメントがあればお願いします。 茨城県農林水産部:堤 私も試験場で検討した結果については特にないのですが、ただ、茨城農栄さんのデータを見ると、 5日程度早いということになってくると、熟期的に「ふくまる」と近くなってくるので、県全体で今 後進めていくには時期がちょっと近すぎる感じがしています。今のところ、他県の「はえぬき」は食 味がいいです。「特A」をずっととっているというのは知っていますが、決して新しい品種ではない ということもあって、今のところ県の段階でこの品種については検討しません。 事務局:大島 例えば「はえぬき」が銘柄になるのとまずいということはないですか。 茨城県農林水産部:堤 まずいということはないです。そういうことはないのですが、県としてこの品種をどうするのかな - 22 - どと言われた場合に、やはり奨励品種という立場からすると何と置き換えるのかとか、どこを狙って 品種を振興していくのかということになってくると、やはり既存の品種のどこに入ってくるのかと考 えた場合に、今のポジショニングだとなかなか厳しいという感じがしています。 ただ、茨城農栄さんとか、先ほどの「あさひの夢」もそうだったのですが、それをやることに対し て、特に県がどうということは全くないので、うちとしては先ほどの晩生の話が出ましたが、水の問 題とか、いろいろと加味しながら振興等を考えていかなくてはいけないので、すぐに振興していくと か、そういうことは今は特に言えない状況です。全く検討しないわけではないです。 茨城県農業総合センター農業研究所:安田 お話を伺った形ですと、ちょっと気になる点が幾つかあります。以前、茨城に山形の「つや姫」を 担当している方が来て、お話ししていただいたことがあるのですが、その際に反省点として、「はえ ぬき」の普及で失敗した話をされていました。やはり「はえぬき」は短桿で、非常に肥料を振ればと れるということですので、山形で最初に普及したときに、夏場ずっと農家が肥料袋を片手に持って圃 場をうろついていたということで、最初のときに品質や食味を大きく落として、そういったところで 良質・良食味というデビューとまたちょっと違ったものになったそうです。「つや姫」はそういうこ とをしないという話で、今「つや姫」はあのような形になっているというところがあります。そうい ったところで、お話を伺っていますと、実取をしっかりやって、価格の低下分を補うような戦略のよ うに聞こえるので、その辺り、品質や食味の方で押していくのか、量で押していくのかというところ をしっかりと定めて、そういった指導を実際に栽培される方にしていただければと思いました。あと、 お話を聞いたときに、「コシヒカリ」より前に刈れるというのと、「コシヒカリ」の後、10日、20日 でも刈れる、収穫適期の幅が長いというような話をされたと思うのですが、普通に考えると、収穫適 期幅というのは、大体1週間から10日程度かというところで、それ以上遅れるとやはり胴割れや水浸 裂傷粒、水につけたときにひびが入ってしまって炊飯時に食味の低下が起きます。 株式会社茨城農栄:金久保 意味が違います。9月20日に刈れるように播種を遅らせてやることなのです。だから、いわゆる早 く播いて遅く収穫できるということで収穫幅が長いと言っている意味ではありません。 茨城県農業総合センター農業研究所:安田 わかりました。そういうことなら大丈夫です。それで、先ほどの刈り遅れのお話がありましたので、 そういったところに気を付けていただければと思いました。 座長:田渕 ほかにご意見あるでしょうか。では、茨城農栄さんにお聞きします。生産状況の検査実績で、23年 産は未検査で流通ということだったのですが、24年産については品質的なものは特段問題なかったと いうことでよろしいでしょうか。 株式会社茨城農栄:金久保 はい。 - 23 - 座長:田渕 それで、24年産の検査実績は26tということですが、等級的にはどのような状況だったのでしょうか 。 株式会社茨城農栄:金久保 1等比率が高かったです。 座長:田渕 種子の関係ですが、記載のとおり、種子の購入それから名称を茨城県産「はえぬき」としたいとい うことについて、育成者権者に了解を得ているということでよろしいでしょうか。 株式会社茨城農栄:金久保 はい。 座長:田渕 ほかにご意見ありますか。ご意見よろしいでしょうか。 では、特段ご意見がないようですので、それでは4品種についてご意見をちょうだいしたところで すが、全体を通して何かご意見ありますか。よろしいですか。 事務局:大島 お願いというか確認ということになると思いますが、4品種について「一番星」の場合にはなめが た農協さんが検査を行う予定の登録検査機関で、「ふくまる」については水戸農協さんを含めた8検 査機関かと思いますし、「あさひの夢」については北つくば農協さん、「はえぬき」については茨城 農栄さんということですが、銘柄検査ができるといったようなご発言なり、様式第1-4号でこうい う特徴がありますとうたっていただいてはいます。しかし、例えば登録検査機関の中に所属する検査 員の方が、今日お見えになった検査員の方以外にも恐らく多数いらっしゃると思いますが、検査員は 誰でもできるという形になるのがやはり理想かと思います。どうか登録検査機関内部でしっかり品種 の特徴の把握なりに今後努めていただきたいと思います。現状多分そういった取り組みもされている と思うのですが、今回の銘柄鑑定ができると言うに当たって、その登録検査機関内の全体なり、検査 員全員なり、そういったような目合わせ等をされたのかどうか、今後そういった検査員なりに周知し ていきたいというような心構え、意気込み、そういったところをお聞かせいただければと思いますの で、登録検査機関という立場でお答えをいただきたいと思っています。 なめがた農業協同組合:荒原 先ほど発言した「一番星」の潮来市ですが、JAなめがた管内には登録検査機関の中では検査員が 12名ほどいます。今のところ大規模稲作研究会を中心に地域・生産者が限定されています。それと、 25年度については、苗から作る方がある程度限定されていますので、先ほど言われた目合わせについ ては、検査員でもまだ現物を見ている方が尐ないので、8月のお盆前に12名の検査員を集めて、そこ で目合わせを実施していきたいと思っています。 - 24 - 事務局:大島 一度8月には目合わせをした経緯があるということですか。 JAなめがた:荒原 25年度については、8月に実施したいと思っています。 事務局:大島 ということは、今銘柄鑑定できるのは、現状だと12名のうちの、ある程度地域なりを受け持ってい らっしゃる方の何人かができるという状況なのですか。 JAなめがた:荒原 平成24年度については、生産者も3名しかいませんでした。平成25年度は苗の生産者が、今のとこ ろ30名ほどいます。それと生産地域が潮来市でもある程度限定されているので、25年度については検 査員全員を呼んでやりたいということです。24年度については、目合わせは特定の2~3名しかでき ませんでした。 事務局:大島 わかりました。 全国農業協同組合連合会茨城県本部:小圷 「ふくまる」について、様式にも書いてありますが、試験的な栽培をそれぞれのJAでやっている ので、それぞれのJAの全検査員が鑑定できるということにはならないと思いますが、代表的なもの についてはきちんと鑑定して検査しているので、「ふくまる」については当然銘柄は付いていません が、実際にきちんと対応できると思います。それにこれは県も関わってくるかと思いますが、全農と してはそれぞれ新たな品種ということで、栽培についても講習会なりをそれぞれが計画して、今後対 応していくことになっているので、その辺も心配がないかと思っています。 北つくば農業協同組合:宮本 北つくば農業協同組合です。今回申請させていただきました「あさひの夢」については平成21年か ら取り組んでいるわけですが、その時点から全地区において取り組みがされていて、管内には現在20 名の検査員がいますが、見ていないという検査員はいません。ただ、今回の選択銘柄を設定していた だいたとすれば、あらためて20名に目合わせ会なりを実施していきながら、確実に鑑定ができるよう な状況にしていきたいと思います。 株式会社茨城農栄:金久保 茨城農栄ですが、当社はあくまでも個人の小経営で、現在検査員は私一人です。今後、社員を検査 員にしようという考えもあります。「はえぬき」にしろ、当社は県西地方で「あきたこまち」も収穫 が早い方ですし、先ほど言ったように「あきだわら」も晩生の品種ですし、生産者からの集荷期間が 長丁場です。8月20日、放射能の検査が終わり次第、すぐに検査が始まるような状態から、10月上旪 までは検査している状況なので、今現在検査員は私一人しかいませんが、今後増やしていく予定もあ - 25 - ります。予定ですが、自分としてもなるべく検査だけに携わる時間も作ったり、当社で検査の資格を 持っていない従業員たちにも、検査品の見方の指導など今後も強化していきます。 座長:田渕 それでは、よろしいでしょうか。4品種について聴取を行ってきました。特段、銘柄設定について は反対であるとか、無理であるといったような意見はなかったと思いますので、最後に申請された品 種ごとに確認していきたいと思います。まず最初の潮来市長様から申請がありました水稲うるちもみ 及び玄米の「一番星」について、茨城県産産地品種銘柄として設定することについて、皆様ご異議は ないでしょうか。 出席者一同 異議なし。 座長:田渕 それでは、異議なしということですので、「一番星」については農林水産省生産局長の方へ進達して いきたいと思います。続きまして、全農茨城県本部様から申請のありました「ふくまる」について、 茨城県産の産地品種銘柄として設定することについて、ご異議はないでしょうか。 出席者一同 異議なし。 座長:田渕 異議なしということですので、「ふくまる」についても農林水産省生産局長へ進達していきたいと 思います。続きまして、北つくば農協様から申請のありました「あさひの夢」について、茨城県産の 産地品種銘柄として設定することについて、ご異議はないでしょうか。 出席者一同 異議なし。 座長:田渕 異議なしということですので、「あさひの夢」についても農林水産省生産局長へ進達していきたい と思います。最後に茨城農栄様より申請のありました「はえぬき」について、茨城県産産地品種銘柄 として設定するということで、ご異議はないでしょうか。 出席者一同 異議なし。 座長:田渕 異議なしということですので、「はえぬき」についても農林水産省生産局長へ進達していきたいと 思います。 - 26 - それでは次第5「その他」ですが、事務局の方から何かありますか。 事務局:大島 あくまでも生産局長へ銘柄設定の申請を行っていくということについてご意見はありませんかとい うことで確認させていただきました。この場で銘柄として決まったということではありません。最終 的には生産局において判断しますので、よろしくお願いします。 座長:田渕 続きまして、次第6「座長及び書記の解任」とですが、長時間にわたり、意見聴取をありがとうご ざいました。本日申請のありました4銘柄、4品種について、関東農政局から生産局へ申請の手続き をしたいと思います。それでは、座長を解任させていただきます。書記も合わせて解任させていただ きます。どうもありがとうございました。 事務局:大島 非常に長時間にわたり、熱心なご審議ありがとうございました。これをもちまして、平成25年産茨 城県国内農産物銘柄設定等意見聴取会を終わりにします。ご協力ありがとうございました。 - 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