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8月中の水稲の管理について
8月中の水稲の管理について 平成 28 年 8 月 安足農業振興事務所 1.今年度の作柄 普通植あさひの夢の作柄は平年並みで推移し、目標とする茎数(360~380 本/㎡)を確保できています。 中山間地など一部地域でいもち病の発生が見られます。気象庁発表の「関東 甲信地方 1か月予報」 (7月30日から8月29日までの天候見通し)によ ると、平均気温は平年並または高い確率がともに40%となっていますが、日 照時間は平年並または少ない確率が40%です。今後もいもち病に注意してく ださい。 降水量は平年並となる確率が高いですが、出穂前の多雨は稲こうじ病の発病 を助長させます。今後の気象に注意し、必要なほ場では防除を行いましょう。 関東甲信地方 1か月予報 (7月30日から8月29日までの天候見通し) 平成28年7月28日 気象庁地球環境・海洋部 発表 2.今後の水管理 必要茎数が確保されたら、間断かん水に切り替えましょう。穂ばらみ期(出 穂10~7日前)から出穂期はイネが水と酸素を最も必要とする時期です。 出穂後も間断かん水を続け、完全落水は出穂後30日以降とします。早期落 水は品質・食味の低下を招きます。 3.追肥について 6月移植のあさひの夢の出穂期は8月中~下旬と予測されます。 作型 早植 普通植 品種 コシヒカリ コシヒカリ とちぎの星 あさひの夢 追肥時期 出穂15日前 出穂15日前 出穂15日前 出穂18~20日前 追肥窒素量 2~3kg/10a 2kg/10a 前後 2~3kg/10a 2~3kg/10a ※肥料の名前が「ひとふりくん○○」と書かれているものは緩効性窒素を含む 全量基肥肥料で、追肥の必要はありません。 4.高温対策 前述のとおり、8月の平均気温は平年より高い確率が40%の見込みです。 高温でイネが弱らないよう対策をしましょう。 ①水管理 適切な水管理により地温の上昇が抑えられます。 気温の低い夜間の入水が効果的です。日中の暑い時間の入水や高温時の常時 湛水管理は水が温まって根腐れが起こりやすくなります。足跡に水が溜まって いる程度まで自然落水してから入水しましょう。 (※水が豊富な地域であれば掛け流しも有効です) ②出穂後の高温・乾燥対策 出穂期から登熟期(特に出穂~15日後)にかけての高温・乾燥はイネを衰 弱させ、乳白米や胴割米の発生を助長します。出穂後も地温を低下させる水管 理に努めましょう。 高温のほか、台風襲来時の強風・通過後の乾燥した強風(フェーン)による 急激な湿度低下も被害粒や未熟粒・枯れ上がり(白穂)の発生原因となります。 強風が予想される場合は入水し、やや深水にしておきましょう。 ③適期刈取り 今後の暑さによっては熟期が早まる可能性があります。刈り遅れて胴割米が 出てしまわないよう、収穫期が近付いたら注意しましょう。 5.刈取り適期について 品質低下予防のため、刈取り適期の見極めが必須で 帯緑色籾:穂の下の方に す。帯緑色籾率10%で刈り始め、3%になるまでに 残っている黄緑色の籾 刈り終えます。籾水分20~25%の適正水分で収穫 のこと。 を行い、速やかに乾燥作業に入りましょう。 収穫後の急激な乾燥は胴割粒の発生を助長します。高水分籾は通風乾燥を行 ってから35℃程度の低い温度で乾燥しましょう。 夜間休止乾燥や二段乾燥により、胴割れの発生防止や燃料節減になります。 出穂後の日数による刈取り適期目安 品種・作型 コシヒカリ あさひの夢(早植) あさひの夢(普通植) 出穂期 8月上~中旬 8月中旬 8月下旬 刈取り適期幅 40~46日 43~49日 45~51日 ※日数ではなくイネの帯緑色籾率を見て判断しましょう! 6.病害虫について (平成28年度 病害虫発生予報 第4号 平成28年7月22日 栃木県農業環境指導センター) ① いもち病 発生予測:やや多い 対 策:発生が見られる場合は速やかに治療効果のある薬剤を使用します。 感染源となる取り置き苗は処分しましょう。 中山間地の常発地や、いもち病に効果のある箱施用剤を使用してい ないほ場は特に注意が必要です。 ② イネ縞葉枯病 発生予測:やや多い 対 策:刈り取り後、再生イネで発病している株は次年度の感染源となるた め早急に秋耕を行います。抵抗性品種であるあさひの夢・とちぎの 星の作付も効果的です。 ③ 稲こうじ病 昨年、飼料用米を中心に多く見られました。前年に発生した稲こうじの菌核 が発生源となるため、昨年発生したほ場では注意が必要です。 対 策:出穂20~10日前までに薬剤による防除を行います。 ④ 斑点米カメムシ 発生予測:やや多い 対 策:耕種的防除(草刈り)と化学的防除(殺虫剤)を併用すると防除効 果が高まります。イネ科雑草やホタルイがカメムシを誘引します。 雑草管理をしっかり行いましょう。穂揃い期後の水田を観察してカ メムシが見られるようであれば、薬剤防除を行いましょう。 【カメムシ対策:2回連続草刈り】 ❶出穂2~3週間前+❷出穂期頃の2回、畦畔や水田周辺の除草作業をしま しょう。 ❶のみでは雑草が再出穂してカメムシを呼び込みます。 ❷のみでは雑草に集まっていたカメムシを出穂したての水田に追い込むこ とになり、集中加害を招きます。 必ず❶❷両方で除草を行いましょう。間隔は2~3週間で、間隔を開けすぎ てはいけません。2回の除草ができない場合は、遅くても水稲の出穂10日前 までに除草を済ませましょう。 カメムシ対策は地域ぐるみでの取組が重要です。 BLASTAM による葉いもち感染好適条件判定結果(平成28年度7月) ●:感染好適条件 ○1~4:準感染好適条件 -:感染好適条件なし ※BLASTAM:気象庁のアメダスデータを用いて葉面の湿潤時間を計算し、いもち病の感染 しやすい条件を推定するシステム。栃木県農業環境指導センターホームページにて閲覧可能。