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工賃向上達成のためのモデル事業実施報告

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工賃向上達成のためのモデル事業実施報告
資料 4-1
平成26年度京都府「ほっとはあと製品」応援事業
工賃向上達成のためのモデル事業実施報告
【採択事業所】
平成24年度(実施期間:平成24年4月~平成26年3月)
・社会福祉法人亀岡福祉会
かめおか作業所
・社会福祉法人よさのうみ福祉会
野田川共同作業所
・社会福祉法人京都身体障害者福祉センター 京都市だいご学園
平成25年度(実施期間:平成25年4月~平成27年3月)
・社会福祉法人同胞会 どうほうの家
・社会福祉法人オリーブの会 オリーブホットハウス
平成26年度(実施期間:平成26年4月~平成27年3月予定)
・社会福祉法人よさのうみ福祉会
リフレかやの里
・社会福祉法人いづみ福祉会 ワーキングセンターいづみ
・社会福祉法人むく福祉会
障害福祉センターうじたわら
【平成24年度からの全体の成果】
社会福祉法人亀岡福祉会
かめおか作業所の事例
~自然豊かな亀岡の未来をつなぐ地域協議会の設立による地域連携事業への発展~
「HJC2015 国際ホテル・レストランショー」「FOODEX
JAPAN2015」出展
◆自然豊かな亀岡の未来をつなぐ地域協議会◆
佐伯町自治会
社会福祉法人
かめおか福祉会
保津町自治会
事務局
亀岡福祉会
竹岡醤油
株式会社
稗田野町自治会
NPO 法人
ふるさと保津
奥条営農組合
※今後、少しずつメンバーを増やす予定
【地域協議会設立の経緯と目的】
モデル事業スタート当初工賃向上は「かめおか作業所食品加工班」の課題として
捉えられていた。これまでの障害福祉の流れからこの考え方は当たり前であったが
障害者自立支援法から障害福祉のあり方は大きく変化。変化に対応し、事業所内で
商品を製造し販売する「目的は何か」「どんな方法で目的を達成するのか」を深く
考え事業の軸を確立しなければ、助成金などを活用し新たな事業を始めても、売上
が上らない、担当職員が離職などの理由で簡単に事業をやめ、違う事業を始める
などの状況を変える必要がある。
地元の企業、自治会とともに行うことで、事業の継続性が高くなるだけでなく
障害者に限らない雇用の創出、生活に根付いた地産地消の消費文化を創り、小規模
循環型経済による地域活性化につなぎ、誰もが住みやすい地域を再生することで
障害者にとっても働きやすい、住みやすい環境を創る。
【地域協議会の活動内容】
・「丹亀」商品開発、販路の拡大など
モデル事業によって立上げたブランド
亀岡市の鳥獣被害課題を解決することがブランドとしての事業軸を持つ
第一弾商品「鹿の生ふりかけ」
2014 年度 「国際レストランショー」「フーデックスジャパン」出展
約200社との名刺交換、引き合いも多く商談中が数社あり
・「おらがまち・むらのすごいところ大発見」の開催
地域の歴史、文化などを知り、魅力を再発見することで地域力を再生
住みやすい地域をともに考え、そこに暮らす人たちが皆で地域を創る会
【平成25年度採択事業所の成果】
◆社会福祉法人オリーブの会 オリーブホットハウス◆
山科東野の住宅に囲まれた休耕地を活用した農業を事業軸とした展開
「山科ナス」
「山科唐辛子」などを地元農家さんから教わり栽培。
地元のお婆ちゃんから、古漬け、芋づるの佃煮などを教わり商品として販売する
だけでなく、昔ながらの料理を教わるワークショップを開催するなど、山科という
地域を大切にした活動を行ってきた。
また、地元スーパーと連携し、高齢者へのお弁当宅配事業の立上げ、京都市の
助成を受けてコンポストを設置し、ご近所の落葉の回収を実施。
「働く」ことの意味を事業所として明確にし、「農」を通した地域再生によって
誰もが住みやすい、人と人との繋がりがあり、文化を継承できる暮らしづくりを、
地域とともに創る事業計画を作成。2015 年度、就労継続支援 A 型事業所を開設。
【平成26年度採択事業所の経過】
◆社会福祉法人よさのうみ福祉会 リフレかやの里◆
リフレかやの里を中心として、地域農家、企業、行政とともに地域再生事業を計画
地元農家さんの農作物をリフレかやの里で加工し、商品として販売するという
現事業を軸として、さらに拡大する予定。その際、リフレかやの里の持つ宿泊施設、
レストラン、お風呂という活用しきれていない資源を活かす加悦への観光集客仕組、
仕掛け、農産加工品地産都消の販売計画の他、限界集落にしない地元の維持、継続
のための地域協議会を立上げる方向で、現在計画作成中。
CAS 冷凍の導入による農産加工品の拡大、それによる仕事起こしを模索中
※和歌山 コスモス福祉会視察写真
◆社会福祉法人いづみ福祉会 ワーキングセンターいづみ◆
隠れ里のような歴史、史跡の宝庫「加茂」を地域とともに発信する計画
木津川市の障害福祉事業を一手に担っていると言える法人であり、将来構想を
十分に検討したうえでの地域起こしを計画中。
地元からの信頼の厚さ、協力関係が良い形でできているが、地域の文化による
外部との交流が弱く、加茂の自慢になるようなお土産として開発した商品を今後
どのように展開するか課題となっている。
パンの事業は過疎化していく地元のお客さんニーズを把握したうえでの生産、
販売をしているため、さらに地元密着事業に発展させ過疎化の課題解決になる
事業を計画中である。
一方、歴史と史跡、寺院など、観光資源がたくさんありシーズン中の観光客も
多いため、今後さまざまな団体、行政などに働きかけを行い地域連携事業を模索
している段階である。
浄瑠璃寺、岩船寺などの寺院があり、宿坊として賑わった時代がある。
吊り売りは、この地域特有の販売方法。地域資源掘り起し調査中の写真。
【その他採択事業所】
現在同じようにモデル事業を進めているものの、法人内部でのコンセンサスを得る
ための段階の踏み方の違い、法人規模の違いなどがある。年度末までに事業計画を
全ての事業所から提出予定。
【成果】
数字として目に見える効果は、モデル事業単独での検証は難しい。
その理由として、モデル事業として関わった事業の売上が上がったとしても全体で
売上を工賃として振り分ける事業所が多く、売上アップ = 工賃アップになり
にくいと言える。例えば、製菓事業の売上はアップしたが、下請け班の売上は減少。
その場合、下請け班のマイナス分を製菓事業が補うことになるため、全体の工賃
向上につながらない。
ということは、この構造を変える勇気を事業所側に持ってもらう必要がある。
それに加え、複数の作業を同時進行で行うのではなく、事業の軸(柱)を立て、
戦略的に展開をしていく仕組みと、そのための知識、自信が必要不可欠であると
言える。モデル事業を通してその知識を学びさまざまな経験を積むことで、自信を
持つことにつながり、自信を持って社会と関係を築けることで今後の工賃向上の
鍵になると考えている。
資料 4-2
平成26年度京都府「ほっとはあと製品」応援事業
経 営 力 強 化 講 座 実 施 報 告 書
【参加事業所】
社会福祉法人かめおか福祉会 かめおか作業所
2名(事務長、施設長)
特定非営利活動法人エンデバー・ジャパン
1名(主任)
特定非営利活動法人フォーライフ
2名(施設長)
特定非営利活動法人アイ・コレボレーション京都
1名(施設長)
【目的】
リーダーとして事業所経営に必要な「経営理念」や「経営方針」、「経営計画」の
必要性を学ぶとともに、
「視察研修」や「座学」を通して「経営の目的」を深く掘り
下げ、事業所の「固有の役割」を見いだし組織力の強化、経営力の強化に繋げる。
【実施内容】
・視察研修
視察研修先:
(社福)八身福祉会
(社福)甲賀市社会福祉協議会 甲賀福祉作業所
・オリエンテーションセミナー
『「経営理念」
「経営方針」
「経営計画」はなぜ必要か』
・第1講 「働くとは」
」
・第2講 「固有の役割」
・第3講 「何を目指すのか」
・最終講
成果発表
これらのテーマ講義と、毎回提出する課題シートをもとにしたコーチングにより
「障害者支援の成果」とは何か、どこに向かって何を支援するか、それぞれから
引き出し施設の職員を引っ張る立場としてのビジョンを明確する、ビジョン経営の
基礎を知る、学ぶ。
【参加者の感想】
日々の業務に追われ、どこに向かって何のために支援しているのか考えたことが
なかったが、この講座に参加することで障害者支援事業所の役割、支援者の役割を
考えるきっかけとなった。目指すものが何かを明確にすることで職員が同じ方向に
向きながら、自ら考え行動できるようになることも理解できた。
社会のなかでの障害者支援事業所の役割を、今後職員と一緒に考えながら日々の
支援のあり方を見直していきたい。
※参加者の感想をまとめたものです。
【総括】
今年度はじめての内容で、企業の経営者にもご協力いただき開催。
障害福祉という業界にいると、企業の経営者に会う機会、さらに様々なことを聞く
機会もほぼなく、社会経験が乏しくなりがちである。その乏しさが、工賃向上にも
大きく影響していると、以前から思っていた。商品を作って売ること、仕事をとって
くることなどの大変さ、考えなければいけないこと、超えるべき壁など、身を持って
体験することも、知識として得ることもないなかで、障害者の支援の一つである工賃
向上がある。
社会経験が乏しいと、自信のなさから諦めが早くなりがちである。その結果が、
これまでの障害福祉にありがちな、事業を立ち上げてはやめるの繰り返しに繋がって
いるのではないだろうか。技術的な方法論をいくら学んでも、諦めない強い気持ちが
なければ同じことの繰り返しになる可能性が高い。まずは、諦めない強さ、仕事に
対するプライドと自信を持つことが必要であり、それが支援の軸となり、工賃向上の
ための事業の軸となる。
工賃向上のために、まずは支援者のプライドを育てることが必要ではないかと
強く感じた講座となった。
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