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ASTD2005& - eラーニング情報ポータルサイト | 日本eラーニング
ASTD2005& 人材育成の動向と業績に貢献する eラーニング活用調査報告 2005年6月5日~12日 NTTラーニングシステムズ株式会社 日本イーラーニングコンソシアム 小松 秀圀 1 訪問スケジュールの概要 今回はフロリダ州オーランドのOrange County Convention Centerで開かれたASTD2005 International Conference & Expositionのeラーニング関連の商品、サービスを調査するとと もにシカゴ、サンフランシスコの先進eラーニングユーザー7社 を訪問した。ASTDのテーマが“A Global Assembly of Workplace Learning and Performance Professionals”とあ るように、教育の目標がビジネスニーズに合わせることに何の違 和感も異論もなく収斂している。 情報化社会で知識や知的財産の重要性が増すなかで、情報システ ムを活用して、業績や個人のプロフェッショナリズムを上げる人 材育成、情報共有システムを構築することの重要性を強く印象づ けられたeラーニングユーザー調査であった。 2 訪問先 ASTD 2005 (オーランド) ○企業訪問 ◆Abbott Laboratories(シカゴ) ◆ALLstate(シカゴ) ◆McDonald’s(シカゴ) ◆Solectron(サンフランシスコ) ◆Cisco Systems(サンフランシスコ) ◆San Francisco State University(サンフランシスコ) ◆Academy Of Art University (サンフランシスコ) 3 ユーザー訪問の概要 ◆Abbott Laboratories(シカゴ) 製薬、ヘルスケア商品の販売で社員60000人の大企業、 2003年に事業部の要請により、eラーニングのインフラも、プ ロセスも、ツールも、そして戦略すらもなかったが、139コー スを10ヶ月で作った。 その後コスト効率、Training時間短縮、生産性の向上を目指し、 IDプロセスにより、eラーニングを普及させ2000コース、 45000時間、全教育量の60%近くをeラーニングで教育してい る。 4 ◆ALLstate(シカゴ) • 全米No.1の保険会社、10万人近い学習対象者に対して、現在 4,000コースのコンテンツを配信している。eラーニングは教 育全体の50%を占め、事業部からのビジネスニーズに対応す るコース開発の要請が続いており、好評を博している。 6年が経過した時点でLMSの切り替え作業を進めている。 eラーニングを広く学習に活用した結果、eラーニングという特 性を生かした内容のものを、時間をかけずに自分が今学びたい 内容を受講できるものが要求されるようになり、すぐに情報を 得て学びたいというニーズが定着しつつある。 学習効率を上げるためのシミュレーション型のコンテンツの開 発も多くなっている。 5 ◆McDonald’s(シカゴ) • e-Learningは2001年から取り組み、従業員が膨大な数に上る • ため、研修が大きな課題であり、eラーニングをそのソリュー ションとして考えている。 eラーニングの対象は主にレストランの店員向けである。すべ てをeラーニングで教育しているわけではなく、従来から行わ れているOJTでの教育も残っている。 eラーニングの戦略策定は、各国からメンバーを集めたeラーニ ングチームの中で行っている。 環境が様々で全レストランにネットワークを設置できないこと から、 インターネットベースも現在検討中であるが現在は CBTで提供している。 6 ◆Solectron(サンフランシスコ) EMSのリーディングカンパニーで15ヶ国で教育、情 報を提供するためにeラーニングを導入、『Online Books』と一般書籍や技術資料などを電子化してWeb で閲覧できる企業内電子図書館を構築し、 EPSSを実現しオフィスの生産性向上を狙っている。 7 ◆Cisco Systems(サンフランシスコ) • CISCO社が、注力しているのは、以下の3つである。 社員向け・・・ Cisco University パートナー向け・・・Partner E-Learning Connection – 学生向け・・・ Networking Academy 社員だけではなく、パートナー企業、学生にまで学習対象 者として考えている。 – – 8 ◆San Francisco State University (サンフランシスコ) • インターネット学習を学生への講義のほか、ファカルティー・ メンバーへの教授法研修として活用している。 • 22,000人~23,000人がなんらかの形でeラーニングを活用し ている。オープンソース・ソフトウェアを組み込んで開発さ れており、LMSはMOODLEベースであるほか、マルチメディ ア・オーサリング・ツールとしてPachydermを利用 • 技術的には富士ゼロックスと共同研究のかたちとなっている。 “CENIC”を使用して、実証実験している。 9 ◆Academy Of Art University (サンフランシスコ) 一般通学生とOnlineクラスのみのCyber campusを展開してお り、Onlineになって海外の学生も増えてきている。 Cyber campusは導入して3年目で、導入当初は小規模から始まっ た。 現在では「300クラス-4000人」の規模に急速に拡大成長。 学生はオンキャパスとOnlineクラスのブレンディッドもしくは Onlineクラスの受講のみで学士および修士の学位を取得可能。 2005年秋には、Onlineクラスを100クラス増加させ400クラスを 提供予定。 将来はすべてのクラスをOnline化する計画を持っている。 10 ASTD 2005 International Conference & Exposition 平成17年6月 (平成17年6月6月訪問) 11 ASTDのEXPO出展社350者の内、純粋なeラーニング関連企業は 30社ほどで、ユーザーでのeラーニングの浸透ぶりに比較する とイベント会場の地味さが日本とは大きく異なる。 アメリカではeラーニングは成長段階に入り、かっての優秀なベ ンチュアー企業も大手に吸収されたり、合併して大企業になった りして、eラーニング業界がかってのような揺籃期を脱している ことが読み取れる。 事業も大型eラーニングシステムを構築するトータルソリューショ ンやシミュレーションコンテンツのような特徴のある事業のプレ 12 ゼンテーションがその比率を高めている。 調査記録 ◆概要 ・訪問日:平成17年6月6日(月) ・訪問先:米国フロリダ州Orange County Convention Center ・テーマ:A Global Assembly of Workplace Learning and Performance Professionals ・EXPO出展企業数:約350社(eラーニング関連:約70社) ・レポート担当:中西孝二、東田中延幸 ◆訪問ブース企業 ・PLATEAU ・SumTotal Systems ・ORACLE Corporation ・THOMSON PROMETRIC ・BOSTON UNIVERSITY Corporate Education Center ・ROOT learning ・THOMSON NETg ・Web soft ・RWD Technologies ・ePath Learning ・geo Learning ・KEN BLANCHARD Companies ・VTN Technologies 13 PLATEAU ・生産性やオペレーション力の向上を図るため、組織的なスキル・ 能力の開発、管理を効果的に行う拡張型Webソフトウェアを提供 しているリーディング会社。 ・大型で安定しているLMSを提供。 ・Human Resourceにおけるプロセスを効率的に自動化。 ・ニーズを的確に把握することでパフォーマンスが向上。 ・組織に合わせたカスタマイズが可能。J2EEを使用。 ・日本では丸紅が代理店。 14 SumTotal Systems ・ビジネスにおける課題を解決するため、学習の配信・管理・測 定を行う統合型パフォーマンス管理アプリケーションを提供。 ・Click2learn社とDocent社が合併した会社。 ・eラーニングに必要な全ての機能を搭載。 ・カスタマイズも容易に対応。 ・SCROM2004に対応。 ・ToolBookもSCROM2004に対応。 15 ORACLE Corporation ・オンライン、集合研修ともに、学習の配信、管理、測定を行う ことができる企業向け学習管理システム(Oracle Learning ManagementとPeople Enterprise Learning Management) を提供。 ・将来のキャリア開発をサポートするための各種履歴を保存。 ・HRMとの連動ができることが特徴 16 THOMSON PROMETRIC ・筆記試験、インターネット試験やコンピュータ試験といったア セスメントサービスを提供している世界的な企業。テスト開発、 テスト配信、テストデータ管理当を統合型テスティングシステム にて提供。 ・テスティング内容のカスタマイズも可能。 ・テスト自身の評価、分析に関するコンサルティングも実施。 ・PDAやCellularでのテスト配信は現在実施していない。 17 BOSTON UNIVERSITY Corporate Education Center ・一般向けのマネジメント開発、ITといった研修を提供している。 企業、官公庁に対して研修提供している最大手。完全カスタマイ ズの研修ソリューションや費用対効果のある研修を提供。 ・社会人のキャリアアップを対象としたプログラムを提供。 ・プロジェクトマネジメントの単位取得も可能。 18 ROOT learning ・戦略的な研修会社。ビジネス課題に対し創造的な手法で従業員 のレベルアップを図っている。 ・インタラクティブなコンテンツ(シミュレーション等)を制作。 ・上司と部下のコミュニケーションにおいて会話しにくいことを シミュレーション化。 ・XML、FLASHにて制作。30カ国以上の言語に対応。 ・クライアントとして、GM、FORD、SONY、NINTENDO等。 ・ポイントは、Very visual、Engagement※、Interactive、 Funとのこと。 ・将来は、ゲームのようなシミュレーションを目指す。 ※ROOT learningが考える Engagementは次ページの通り。 19 Engagementの5つのLevel Level Example Level 1 Observation TV,large lecture halls Level 2 Participation Books,small classes Level 3 Action Activities,exercises,Root iMAP module Level 4 Agency Simulation,games,lab,experiments Level 5 Ownership Living the consequences 20 THOMSON NETg ・世界的な企業にオンデマンドで膨大なナレッジを提供している。 多くの柔軟性のあるナレッジのリソースは、35年以上もの経験か ら、組織における業務改善、スキルの底上げに貢献している。 ・Knowledge Net社と合併し、“Virtual Classroom”を取得。 ・数年間学んだこととして、ブレンドラーニングの提供が必要と 考えている。 ・テクノロジーの発揮が一番。いかにはやく配信するか、いかに はやく学ぶか。⇒NETgの独自色。 ・今後はフルソリューション(カスタマイズ)をしていく。 ・クライアントが様々なベンダーにいくことなく、NETgで全て インテグレートするビジネスを狙う。 21 Websoft ・Web Softが提供するKnowledge Bridgeは、Web学習 から集合研修まで、学習配信、コラボレーション、情報共 有、教材作成、学習管理、レポーティング等のサービスを 提供。 ・アセスメントの履歴をトラッキング。得点、時間、グルー プ管理等、マネージャーが把握しやすい。レポーティング も可能。 ・SCORM1.2に対応。 22 RWD Technologies ・組織のパフォーマンス向上、ITコンサルティング、教育ソリュー ションを提供するための商品・サービスを開発、提供、サポート している会社。 ・一般トレーニングと、SAPトレーニングを実施 ・University360°Ⓡにてコンテンツを制作 LMS、コラボレーション、コンテンツマネジメント、カンファレ ンス、Mobile、Certification programを提供している。 ・Mobile用にコンテンツをKey Tip単位で分割。 23 ePath Learning ・オンラインによる教育マネジメント、コースウェア開発を提供 している。ePath社の統合型LMSのiMSは、デロイトによって最 も急成長を遂げた会社として認定されている。 ・Integrated ManagementをASPにて提供している ・教育コースのポータルを作れるサービスを提供しており、コー ス作りには何人もの人がコラボレートして作成できる。 24 geo Learning ・世界350企業に選ばれているLMSやASPサービスを提供してい るリーディング企業。 ・学習インターフェイスが3D(通常のリンクも可能)。 ・集合研修やオンラインも含むBlended Learningに対応。 ・カンファレンスやライブミーティングも可能。 ・カストマイズの個人用学習ポータルの作成もするIntegrated serviceを提供。 25 KEN BLANCHARD Companies ・個人、リーダー、チーム、組織のパフォーマンスや生産 性を最大限にするリーダシップ研修やリーダシップ開発を 行っている世界のリーダー企業。 ・MBA in Six Sigmaを提供。 26 VTN Technologies ・世界で最も拡張性のあるLMS/LCMSを開発している。YUM!D フード、ボーイング、CAF、米海軍、エアーカナダ等にて採用さ れている。 ・LMS、LCMS用のテクノロジーを提供。 ・バーチャルアシスタント(CODE BABY)にて学習をナビゲー ト。 ・キャラクターは音声に合わせて口や表情が変化する。 27 ASTDも10年程前の賑やかな、EXPO会場などは一日中人であふ れていたような雰囲気とは変わって、Conferenceの合間に EXPO会場が賑やかになり、 Conferenceの開催時間中は人がま ばらというような現象を呈している。 ASTDが教育商品の展示の場ではなく、教育関連の情報提供の場 28 であることの傾向を強めている。 訪問レポート 29 Abbott Laboratories Diagnostics Division (6月7日訪問) 30 訪問先記録 訪問先:Abbott Laboratories Diagnostics Division 所在地:100 Abbott Park Road,Abbott Park,IL 60064-6011 TEL: (847)937-○○○○ FAX: (847)938-○○○○ 面談者:Jeff Flesher,Ph.D. , Susan Dodt 他10名 E-Mail:○○○○@abbott.com URL:http://www.abbott.com/ レポート担当者:伊藤 健太郎、箱田浩幸 31 訪問先概要 企業名:Abbott Laboratories 事業業容概要 ●製薬、栄養、病院向け製品、診断領域に渡るヘルスケア商品の 販売 ●事業拠点 : 世界に130拠点 ●従業員数 : 60000人 32 ラーニングの導入概要 e ● 各事業部から要請が有り、専門要員を配置し対応 ● ビジネスニーズに必要なインフラを整備 ● WBT,OJT,集合研修を実施し展開 ● 導入に要した時間 : 45000時間 33 e-ラーニングの活用状況 ★eラーニング導入当初はバラバラに始まった 2000年 eラーニングを導入開始したが、 初めは小さい規模で始めCD-ROMやビデオをベンダーで制作 し、使ったが教育システム全体の維持に苦労した。 >’00’01’02’03’04’05 34 Standard Operating Proceduresの設定 ● 2003年に我々の所属するAbbot Diagnostics Division (ADD)に各事業部から事業ニーズに密着したCritical Needsのサポート要請により、139コースを10ヶ月で 作ったが、その時にはeラーニングのインフラも、プロセ スも、ツールも、そして戦略すらもなかった ● その時事業部サイドからTrainingをやるなら ・コスト効率 Training時間短縮 生産性の向上 を考えよとのリクエストがあった 35 事業ニーズに合うeラーニング の開発を目指して 外部から3人のインストラクショナル・デザイナーを 採用し、インフラを作り、システム、プロセスを整え、 2003年には2000コースを開発し、45000時間分のコ ンテンツをDeliveryした。 Critical Business Need >’00’01’02’03’04’05 36 eラーニングでビジネスニーズに合う eラーニングインフラ作りができた Web-based Training (WBT) • Instructor-led Training (ILT) • Other – Structured OnThe-Job Training (S-OJT) – Communication packages – Job-Aids Other ILT WBT WBT ILT Other eラーニングによる教育が過半数を占 める中、さらにeラーニングシステム でOJTツールやJob Aidsも開発した。 37 成功のための6条件 ★適切な人に ★適切なプロセスで ★適切なテクノロジーの採用 Rewards Recognition People Process Environment Support をして適切な広報活動やイン ストラクショナル・デザイン プロセスの踏襲、優れたサポー ト体制の確立で、事業部の期 待に応えてきた。 Technology 38 インストラクショナル・デザイン Lesson のプロセスで開発 Learned – A D D I E – – – – – – – – Learned Request For Training from business teams Rapid Analysis / Scope (levels) Training Contracts Best Design Document Practice Storyboards Authoring Template Implementation のプロセスはま Evaluation だまだ勉強中 39 Rapid Learning Analysisと ブレンデッドラーニング ★事業部ニーズに合う教育は誰に何を提供すれば良いのか を質問を通して分析していった。 ★またナレッジレベルの教育は、マネジメントレベルと実 務家レベルとは教授法を変えている。 40 Best Practice 事業部との契約 事業部の要請によりTraining Needsを速やかに分析した のち事業との間で教育の 目的や成果などの契約 を交わし、事業に役立つ 教育の意識を徹底しよう としている。 Training Contract Overview Objectives X X 41 テンプレートと経験、知識の共有 • Authoring Software • • – Trainersoft ready-made template – PowerPoint web-enabled presentation w/ Trainersoft Quiz – Work instructions Graphics development – PhotoShop, Visio, Illustrator, SnagIt Knowledge sharing – Lessons learned document – User group virtual monthly meetings (HeLP) 制作段階ではテンプレートを用意し、お互いの経験、知 識を共有するバーチャルミーティングをすることにより、 チームのレベルを上げる努力をしている。 42 質疑応答 Q1.コスト負担はどのように行っているのか。 A1.開発依頼元により、3パターンがある。 (全社負担、研修部負担、各事業部負担) Q2.コース見直しのタイミングは定期的に実施している のか A2.ビジネスのゴールに合わせて見直しを行っている。 もう一つの視点としては、各事業部の評価、アン ケート結果による。 43 質疑応答 Q3.受講者のeラーニングの使用タイミングはいつか A3.勤務時間帯に実施している。 Q4.コース導入の効果把握はどのようにしているのか A4.アンケート(毎月)を取り把握している。 また、オンラインによる質問の回答、各事業部マ ネージャからの継続依頼も判断となる。 Q5.携帯端末を使用しているか A5.未使用である。 44 7.入手資料 ○ Abbott社 プレゼン資料 ○ Abbott社 企業パンフレット 45 Allstate Corporation 1 訪問先記録 2 訪問概要 3 e ラーニングの活用状況 4 先方の発表内容 5 質疑応答 6 CLOのspeech 7 入手資料 46 訪問先記録 訪問先: Allstate Corporation 所在地:275 Sanders Road Northbrook, IL 60062 Tel: (847) 402 - ○○○○ 発表者: Karen Scott HR Senior Manager Human Resource Education E-Mail Address : ○○○○@allstate.com URL:http://www.allstate.com レポート担当者: 伊藤 健太郎 47 訪問先概要 企業名 : AllState Corporation 事業業容概要 : 米国最大の個人向け保険会社 ・設立 1931年 ・収入 33,936 ($ in millions) ・ 営業収入 3,091 ($ in millions) ・従業員数/エージェント他専門家 約70,000人 (うち、従業員 39,000人、エージェント13,000以上) ・顧客 約1700万件世帯 ・個人向け保険の他、銀行業務、年金、投資等のビジ 48 ネスも 行っている e ラーニングの活用状況概要 AllStateは、全米No.1の保険会社を誇るだけあり、全米に広がる 10万人近い学習対象者に対して、現在4,000コースのeコンテン ツを配信している。 このコースは教育全体の50%を占め、さらに事業部からの要請 が続いており、好評を博している。 eラーニングを導入し、6年が経過した時点でLMSの見直しの時 期で、現在切り替え作業を進めている。 また、広く学習に活用した結果、eラーニングという特性を生か した内容のものを、時間をかけずに自分が今学びたい内容を受講 できるものが要求されるようになり、すぐに情報を得て学びたい というニーズが定着しつつある。 一方、シミュレーション型のコンテンツの開発も多く、社内の IDerだけでは追いつかず、アウトソーシングによる開発が進めら れている。 49 e ラーニングの活用状況概要 2 社内の文化としては、教育の専門役員CLO(Chief Learning Officer)が存在し、教育とビジネスとの関 係を専門的に管理する体制がある。 社内においてはコンテンツの内容の専門家であるSME も多くの時間を費やさなければならないという問題を かかえつつも、時間を効率的に使うノウハウも持ち、 ベストプラクティスの共有という全社的な努力もして おり、社内文化がeラーニング成功の後押しをしている といっても過言ではない。 50 先方の発表内容 (Agenda) 1. Allstate のバックグランド 2. 学習者について 3. なぜ、eラーニングなのか 4. Learning Management System について 5. 開発リソースについて 6. オンラインで配信されるコンテンツの例 7. 今後の課題(チャレンジ) 8. CLOから 51 Allstateのバックグランド 全米No.1 個人向け保険会社 You’re In Good Hands With Allstate® - 我々に任せてくれれば大丈夫です。 - 約1,700万世帯をカバー 社員の営業のほかに特に地方で、個人で契約したエー ジェントが支店の代わりに営業している。 損害保険以外に、年金、銀行業務、健康保険等のビジ ネスも行っている。 52 eラーニングの歴史 eラーニングを利用し始めたのは、 6年前(CBTを含めず) なぜeラーニングなのか? 全米に広がっている受講対象者を全て効率的にカバーできる 学習の質、一貫性を持たせることができる 現場や家でいつでも学習ができる環境を提供できる “営業”を担当する人の生産性を落とさないで学べる環境を 提供できる オンラインに参考資料を入れることにより、どこでも情報を 入手できる環境を提供できる 53 eラーニングの学習対象者 ・ 38,000人 社員 ・ 13,600人 エージェントおよび金融関係の専門家 ・ 34,000人 サポートスタッフ(ライセンスの有無 に関わらず) ・ 12,000人を超える 地方のエージェント 54 Learning Management Systemについて ・Learning Resource Network(略:LRN)と社内で呼んで いる現在 Learning.net社のパッケージをカスタマイズして 使っているが、機能の更 新やカスタマイズ毎に費用がかかる ため、フルファンクションの別のLMSに切 替える予定 1,000,000以上のオンラインコース受講者をトラッキングでき、 現在4,000コースが走っている。 昨年このコースにアクセスした件数は、 78,592件。 教育全体の50%がeラーニング。 ダイナミックにコースを検索できる。(GoogleやYahooの検 索と同様イメージ) 55 デザイン(コンテンツの設計)について アウトソーシングの利用 社内にInstructional Designer (IDer) として修士課程を とった社員もいるが、社員だけではまかないきれなくなってき たので、昨年6月頃からアウトソースを利用するように なった。インドのTata社、Cognitive art社など 専門家以外でも開発できるツールを利用している。 アウトソーシングとは別に、IDのバックグランドが無くても コンテンツを作りたい人達(SME-内容の専門家)がオン ラインに簡単に載せることができるように、ツールを用意し ている。 56 テンプレートの例 • <例)> • • • • コースウェアディベロッパー ・・30個のテンプレート ( Macromedia Dreamweaver のもの) ・PowerPoint Converter ・・・ 即この問題に対する解決策を知りたいという人、 即 学びたい人 達用のコンテンツ作成ツール。 PowerPointを簡単にHTML化してオンライン化するツー ル。 ただし、PowerPoint自体インタラクティブ性がないの で、長期に利用というより、短期間だけ置いておくもの に利用するもの向け。 57 デモストレーション ・Developer Tool and Resources コンテンツ開発のためのツール (前述 Courseware Developer等) 理解度チェックのためのテンプレート PowerPoint Converterで作った、IDの知識がない人が作っ たシミュレーション型コンテンツ “Do Not Call ”のコンテンツ(アウ ト ソーシング制作) -営業のために電話をかけてはいけない人への対応を学ぶ -シナリオ形式で、選択によってパスが変わり、間違った選 択を選ぶと自分にとってよくない結果がでる。このことによ り、単に教えられるより、具体的にかつ面白く学ぶことがで きる。 アプリケーション関係の利用の仕方のコンテンツ -業務プロセスに関連して、アプリケーションを利用を教育 するのに効果的。 -ある程度知識や情報を得たら、練習してみる構成になって いるものもある。 58 eラーニングの長所 ・ 便利性 ・ コストの効率性 ・ 一貫性 ・ タイムリーにリリースできる ・ パフォーマンスサポートを継続的に実施できる 59 今後の課題 “Bitz” - 小さいモジュールのものが求められる。 学習者は時間をかけず、自分の学びたい情報だけを効率的に見た いと思っている。 市場へのスピードを高めるために役立てる。 フォーマルなコースはいらない。 今必要なものだけを学びたいという思考が定着しつつある コラボレーションの大切さ メンターや経験者から学ぶことが多く、貴重な情報が多いので、 もっと効率的に学ぶことができるかを検討中。 開発期間の短縮 シミュレーションを作る時に時間もコストもかかる。もっと早く 作るためにうしたよいかを模索している。 研修部のあり方 制作をアウトソーシングしていく上で、研修部の役割は何かを考 60 え、今後の見直しを計る。 質疑応答(1) Q. 学習者がコースを選ぶのは、自分で決めるのか? A.自分が決める場合も、また年頭に上司とのミーティングして今後計画をて ることもある。 Q. コンピテンシーモデルをeラーニングに利用しているか? A. 2年間位コンピテンシーモデルを使おうとしているが、現在全体のサク セスファクターのところを大きく変えようとしている。 Q. アウトソースするものとインハウスで制作するコンテンツの違いは? A. コンテンツ制作のニーズが高まり、社内のリソースでは間に合わなくなっ てきている事情から、今後は社内のIDerがリーダーになって、アウトソー スする形になっていくと思う。 Q. 制作におけるコストパフォーマンスのポイントは? A. 詳細は事業部によって違うが、各事業部と話し合い、研修後の見返り(成 果)の合意が取れれば“良し”としている。 61 質疑応答(2) Q. コンテンツに対する質問はどのように受けているのか? A. タイプにより違うこともある。 ・e-Mail ・FAQ ・ブレンディング学習において、eラーニング受講後、インストラクタやファ シリテータが集合研修時に時間をとって、質疑応答を受ける Q. SMEは通常忙しいが、複雑なコンテンツ等を制作する時の時間的な問題は ないか? A. SMEが多くの時間を費やすことは確かだが、時間を無駄にしないように 短時間で必要な情報を得るための手法を使い、少しずつ効率的になっている。 また、コラボレーションと言う意味で、15分間のベストプラクティスの共有 という全社的な努力もしており、社内文化としては問題はない。 Q. eラーニングが活用されている秘訣は何か?(広報活動など) A. 制度として各自事業部に学習関係の代表者が1人いて、開発に関すること、 広報等、その担当者から情報とかをお互いに伝え会う。3ヶ月に1度研修部と 彼らでミーティングを開催している。 彼らの同意をとり、次にアクションを取ること(コンテンツの公開等)は有効 62 である。 質疑応答(3) Q. コンテンツでシミュレーションを複雑にするとコストが増え るのでは? A、代理店の業務効率化に役立てば、コスト分の回収は容易だ。 Q コンテンツの傾向に関して? A、小さなモジュールにして、短い時間で意味があるものだけ学 びたいというニーズがある。 Karen Scott さんからCommunicationと Q. 発表者の Educationの違いに関して問いかけあり Ms. Scottさんは、 Communicationは理解までであるが、 Educationは相手が学んだことを使用できるまでであると考えて いると説明。 63 CLOのSpeech Allstate社のeラーニング成功の鍵 企業にとってクリティカルなニーズに合っているかど うかを明確にする。 最初は考えずに集合研修をe化していたが、今はニー ズを検討してからe化している。 テクノロジーに頼らない 学習への効果があるかどうかをフォーカスする 適切な学習方法を明確にする どんなものがeラーニングに合うかどうか検討する 64 CLOのSpeech CLOについて David A Groff(Chief Learning Officer) 全米的には5-6年前からCLO(Chief Learning Officer)という言葉が出てきた。 Allstate社では2年前からスタート CLOという名前は、新しい役職ができたと同時に、教育 がビジネスの成功につながる というスピリッツ面から出てきたのではないかと思う。 一番のタスクとしては、限られたリソースを、どう 使っていくかを判断することで、これは大変難しいこと だ。また、教育のビジネスへの貢献をみんなに広める ことも必要であり、難しいことである。 65 McDonald’s Corporation 米国視察報告 2005年6月 (6月8日訪問) 箱田 浩幸、 川瀬 智子 66 訪問先記録 • • • 訪問先:McDonald’s Corporation (Hamburger University) 所在地:2715 Jorie Boulevard Oak Brook, IL 60523 面談者 – G.Michael Hendon (Director, Design, Curriculum and eLearning Worldwide Training, Learning & Development) • • • • ○○○○ @mcd.com Tel:(630)623-○○○○ Fax:(630)623- ○○○○ Voice Mail:(630)623- ○○○○ Box 4652 – Yukiko Miyashita (International Field Implementation Manager, WorldWide Training Learning & Development) • • • • • • ○○○○ @mcd.com Tel:(630)623- ○○○○ Fax:(630)623- ○○○○ Voice Mail:(630)623- ○○○○ Box 5888 URL:http://www.mcdonalds.com/ レポート担当者:箱田 浩幸、 川瀬 智子 67 訪問先概要 • 企業名 McDonald’s Corporation (Hamburger University) • 事業業容概要 1955年設立(今年50周年)。日本法人1971年設立。 ハンバーガー・レストラン・チェーンの経営並びにそれに付帯する一切 の事業 – 30000以上のレストランを約120カ国(28言語)に展開 (日本3800レスト ラン) – 顧客数:約5000万人/日 Hamburger University:世界に日本を含む7大学。日本は日本法人設立直 後に設立。 売上 – 190億ドル(Worldwide) – 4959億円(日本。世界で2番目に大きな市場) 収益: – 23億ドル(Worldwide) – 28億円(日本) 従業員数 – 160万人(Worldwide)。うち140万人がレストランの店員。 68 – 96274人(日本)。うち正社員4477人。(2004年12月31日現在) – – • • • • eラーニングの活用状況概要 • Hamburger Universityは、コーポレート・ユニバーシティとして • • • • • • 集合研修やeラーニングを推進している。 eラーニングは2001年から取り組んでいる。 アルバイトを含めた従業員が膨大な数に上るため、会社全体として 研修が非常に大きな課題であり、eラーニングをそのソリューショ ンとして考えている。 eラーニングの対象は主にレストランの店員向けである。すべてを eeラーニングで教育しているわけではなく、従来から行われている OJT(Shoulder to Shoulder)での教育も残っている。 eラーニングの戦略策定は、各国からメンバーを集めたeラーニング Teamの中で行っている。 国やレストランによる状況が様々であり全レストランにネットワー クを設置できないことから、現在のコンテンツはWBTではなく CBTで提供している。ただし、Internetベースも現在検討中である。 非常に多くの国にレストランを展開していることからコンテンツの Localizationが大きなテーマのひとつになっている。 69 訪問先の発表内容 • Where We Were (過去) • Where We Are (現在) • The Need for Localization (ローカライゼーションの必要性) • Lessons Learned Along the Way (学んだこと) • e-Learning Content Demonstration (デモ) 70 発表内容 • Where We Were – – – – – – – 2001年からeラーニングに取り組み始めた。 2001年から2002年にかけて、 6ヶ月、6カ国、4言語のパイロットプロ ジェクトを実施した。 その後、コースを作成し、各国言語に展開した。 2002年:クルー(店員)用11コース、マネージャ用3コース。2言語。 2003年:Made for You(注文を受けてから作る)用10コース 2004年: Grill Direct(作り置き)用20コース 追加10言語に展開 – アメリカ 8000レストランで eラーニング (CD-ROM) – カナダ 30レストランで eラーニング (Internetベース) そのほか、オンラインのマネージメントデヴェロップメントコースウェ アや、eラーニング インプリメンテーション ツールキット等、必要なツー ルを開発し、各言語で展開。 71 Where We Are – 2005年 • グローバルのInternetベースのパイロット プロジェクトを実施 – eラーニング検討開始時は各国の状況を調 査してCBTという判断をした。当時とネッ トワークの状況が変わってきているため、 Internetベースを検討している。 • e-Toolkit(マネージャがレストランで使用 • • • している携帯型デバイス)と連動 LMS パイロットプロジェクトを開始 世界中のレストランにPCを設置できるか を調査 CMSについて調査 72 LMS、CMS、GMS(Globalization Management System)の関係の図 Home Office Country Office Restaurant LMS GMS CMS 73 The Need for Localization – Globalizationについて • 再設計の必要なく、世界中のローカルマーケットに簡単 に適用できるように、設計、製造すること。 • 特に必要なこと – 言語の要素 – 地域と文化の要素 – ビジネスと法律の要素 • 言語だけではなく、文化を意識している。 • レストランの外装等から各国・地域の文化に合わせて変 えており、文化を意識するというのが会社の方針である。 74 The Need for Localization (続き) – Localizationについて • Language Standardization • • – US以外のEnglishとSpanishは統一しようとしている。 International English International Spanish – ただし、統一した専門用語について同意をとることが必要であ り、それがなかなか大変である。 Localizationのキー – コンテンツの正確な説明と翻訳。 – 社会的・ビジネス的・経済的背景への理解。 – Instructional Integrity 言語や文化が違っても変えてはいけない、教えないといけな いことをきっちり定義する。 Localizationのレベル – カスタマイズの程度に応じて、Basic~Highまでの4段階を定 義している。Basicでは単なる翻訳レベル。Highになると内容 (手順/製品/機器等)の大規模なカスタマイズとなる。 75 The Need for Localization (続き) – Vendor expectation • 高いプロジェクトマネジメントスキル • 多言語対応 • 翻訳メモリアプリケーション利用の承諾 • 全ての言語への適応 • 多くのローカライゼーション経験 • オープンな開発ツール • テスト品質 • 言語の専門家・・・両方の言語でマクドナルドの 業務の用語をよく知っているということ 76 Lessons Learned Along the Way – プロダクトの開発に必要なコスト、プロセス、 時間を説明できるように。 – できる限り早くeラーニングを全社標準とする。 – 全ての過程(ガバナンス、設計、開発、ロー カライゼーション、展開)でオーナーシップ を発揮し全てを把握する。 – 明確な戦略を持つ。 77 コンテンツ例 78 質疑応答 Q:ビデオがコスト高という説明があったが、アニメのほ うが高くはないのか? A: – ビデオの場合は、一度作成したものを利用できる期 間が短くなるので、トータルとしてコスト高になっ てしまう。 – ビデオの場合は、何かが少しでも変わると(ユニホー ムやオペレーション手順など)撮り直さないといけ なくなる。 – 撮り直しの場合に、前と同じ役者を集めなければい けない。 – 国ごとにあわせた背景で撮影しなければいけない。 79 質疑応答 Q:どこでeラーニングをすることを想定しているのか? A: – レストランにある。レストランでの空き時間に学習し てもらうことを標準としている。 Q:1つのモジュールのサイズは? A: – 2~15分である。 – ちょっとした空き時間でできるように1モジュールは 短時間で構成している。 80 質疑応答 Q: オフィスワーカーや、マネージャへのeラーニングは行ってい るのか? A: –まだ行っていない。 –eラーニングを実施したいとは考えているが、店舗の店 員への教育のほうが圧倒的に人数が多く優先度が高いため、 オフィスワーカーやマネージャ向けのeラーニングはやって いない。 –マネージャ研修では、事前研修としてオンラインのeラーニング を利用している。93%の正答率を超えないと研修を受けられなく なるという30分程度の事前知識確認テストを実施している。 81 質疑応答 Q: 効果測定はどのように実施しているか? A: –困っている部分である。 –今のLMSでは一貫性のあるトラッキングがで きない。 –センターで集中管理する新しいトラッキング システムを3,4か月後にリリースする予定であ る。 82 質疑応答 Q: ボトムアップで(例えば店舗の店員から)ノウハウを 集めてトレーニングに反映するような仕組みはあるか? A: –World Wideのトレーニング委員会があり、各国のマ ネージャ同士で知識共有をしている。 –ただし、ボトムアップで集めたノウハウがトレーニン グになるようなナレッジベースのシステムは存在しない。 83 質疑応答 Q:日本のeラーニングは世界と比べて進んでいる と思うか? A: –進んでいると思う。他に進んでいると思う国は、 ブラジル、オーストラリア、台湾。 –思ったよりも進んでいないのは、ドイツ、イ ギリス。 84 入手資料 • プレゼン資料 85 SOLECTRON 平成17年6月9日 訪問 86 1 訪問先記録 訪問先:SOLECTRON California Corporation CorporateHeadquarters 所在地:847 Gibraltar Drive Milpitas,California 95035 USA Tel:(408) 957 ○○○○ 面談者:Ms Virginia Itani 他2名 E-Mail Address: URL: http://www.solectron.com/ レポート担当者:中西 孝二、 下道 英樹 87 2 訪問先概要 企業名:SOLECTRON Corporation 事業業容概要:コンピュータ機器の受託生産の世界最大の EMS企業(プリント基盤をはじめとした部品 からOEM製品まで一貫製造) ・1977年設立 従業員数57,000人 事業拠点は世界20カ国以上 Malcolm Baldrige Award を2回受賞 88 3 eラーニングの活用状況 ● 2000年 eラーニング導入 ● 従業員57,000人の研修ツールとして活用 ● 20カ国以上の事業拠点に対してグローバル展開 ● 多言語対応 ● 集合研修との併用でブレンド研修も実施 ● 2種類の使い方 フォーマルトレーニングとして研修に使う方法、 インフォーマルトレーニングとして情報共有に使う Online Booksのような活用法) 89 4 先方の発表内容 1.会社概要 2.eラーニングを活用するメリット 3.現在の課題 4.Online Books 5.デモンストレーション 90 5 発表内容 1. 会社概要 ● 1977年設立 ● 従業員数57,000人 ● 事業拠点は世界20カ国以上 ● Malcolm Baldrige Awardを2回受賞 ● EMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)の リーディングカンパニーとして世界の大手エレクトロニクス・メーカ に対して総合的なSCMソリューションを提供。サービス内容は 新製品の設計・開発サービスから部品調達、製造と工場の運営、 さらには製品の保守や製造完了後のサポートに渡る。 91 5 発表内容 2. e-ラーニングを活用するメリット ●グローバルに人材情報の調査やトラッキングが可能 ●受講者毎のニーズに沿った研修が提供できる ●24x7いつでもどこでもアクセスできる ●キャリアアップ等に活用できる個人管理ができる ●現在の集合教育の弱点を補える ●ビジネスニーズに合うカスタム メイドコースを開発しやすい 92 5 発表内容 3. 現在の挑戦テーマ ● 修了率を上げるための時間を創造すること ● 学習者の好みのスタイルの学習法を開発すること ●15ヶ国語という多言語に対応していくこと ●全社員の75%を占める工場勤務者が使えるようにす ること ● eラーニングの活用を促進するモチベーションを維 持させること 93 5 発表内容 4. Online Books ● 『Online Books』とは? 一般書籍や技術資料などを 電子化してWebで閲覧できる 企業内電子図書館 社員は、一般書籍や社内技術資料、マニュアルなどの 情報を入手することができる!! アプリケーションソフトはSkill Soft社のSkill Port上にカストマイズ コンテンツとして開発されている。 eラーニングシステム上で実務情報を共有する先進的事例である 94 6 質疑応答 Q1. eラーニング導入のきっかけは? Ans. グローバルに教育を展開する必要があったから Q2. 全研修コースに占めるeラーニングの割合は? Ans. 約25%(Online Booksはのぞく) Q3. 一年間に開催するeラーニングコースは? Ans. 約900コース( Online Booksは約3,000コース ) Q4. 工場労働者(製造ライン担当)に対する教育は? Ans. 集合教育が中心(PCアクセスが難しいから) 95 6 質疑応答 Q5. Skill Soft社と業務提携したきっかけは? Ans. グローバル対応が可能な事とRFP通りの対応が可能 だから Q6. Just in Time Individualized Learningを実現するには スキル把握が必要だが全社員を対象にするために システムやツールはあるのか? Ans. ナビゲーションツールのようなものはないが、受講履 歴を把握しているのでそれをコース選択時に提示する ことで対応している 96 7 入手資料 1.SOLECTRON 社 プレゼン資料 2.SkillSoft 社 プレゼン資料 3.SkillSoft 社 books24x7資料 97 Cisco Systems, Inc. 平成17年6月 (6月9日訪問) 98 訪問先記録 • • • 訪問先 : Cisco Systems, Inc. 所在地 : 170 West Tosman Drive. San Jose, CA 95134-1706 面談者 : • Shirley Wong (Senior IT Manager) • • • • – Ketan A Karkhanis 他 E-Mail Address : – ○○○○ @cisco.com – ○○○○ @cisco.com Tel : – 408 526- ○○○○ (Shirley Wong) – 408 525- ○○○○ (Ketan A Kaarkhanis) URL : http://www.cisco.com レポート担当者:川瀬 智子 99 訪問先概要 • • • • • • 訪問先 : Cisco Systems, Inc. 事業業容概要: インターネットのためのネットワークビジネス ・設立:1984年 (コンピュータ学者のグループによりスタンフォード大学 か ら設立された) ・従業員数 :37,050人( Worldwide 2005年4月30日在) ・売上 :$22.0 billion ( 2004年度) フォーチュン誌 2004年「アメリカの最も賞賛された会社No.2 フォーチュン誌 2004年「フォーチュン500社で、従業員にとっ 100 て最も良い職場 環境」 No. 3 Executive Briefing Center 訪問した Executive Briefing Centerは、年に2000件の顧客 を迎える特別な場所で,東京を含む、世界中に9つある。 • ここでは、Ciscoのテクノロジーを紹介し、ミーティングが行 われ、約70%の役員が関わっている。 展示:4つのセクションに分かれており、デモが見られる。 • ○リーダーシップ • ○カスタマー・パートナー • ○シスコの歴史 • ○グローバルシチズン • シスコ社として、グローバルシチズンという目的があり、企業 と社会との関係、シスコがどのように社会に貢献するかという 目標がある。 4ヶ月20時間を社会貢献に使うことになっている。 101 eラーニングの活用状況概要 • フルタイムの社員9名に加え、コンサルタント、オフショアメンバも含めた • • • • e-Learning IT Teamという組織でeラーニングを行っている。 特に注力しているのは、以下の3つである。 – 社員向け・・・ Cisco University – パートナー向け・・・Partner E-Learning Connection – 学生向け・・・ Networking Academy 社員だけではなく、パートナー企業、学生にまで学習対象者として考えて いるのが特徴的である。特に学生に対する教育は、社会貢献として非常に 大切にしている。 当初、どんなコンテンツを展開するかということを中心に考えていたが、 今では学習者が何を求めているかということに焦点をあて、ラーナーセン トリックという考え方をビジョンにしている。 e-Learningのシステムは独自に開発しており、以下をガイドラインとして いる。 – Open, Scalable, Global, Integrated, Flexible, Rapid and Timely, Optimize total Cost of ownership 102 先方の発表内容 Agenda: 1. Cisco E-Learning Organization ( 組織 ) 2. Cisco E-Learning Areas of Focu(重点プロジェクト) 3. Target Audience(対象者) 4. Cisco University(シスコ・ユニバーシティ) 5. E-Learning Application Architecture – Overview (アプリケーション構造-概要) 6. Networking Academy (ネットワーキングアカデミー) 7. Partner E-Learning Connection(パートナー教育) 8. Recommendations(総評) 103 発表内容 • Organization シスコ社のラーニングについて、社内外のニーズに対応できるよ うにして ラーニングの対象者としては、世界中のシスコ社員だけでなくお 客様もいる。 対象としている。 • eラーニングチームは、フルタイムの社員9名、オンサイトの コンサルタントと呼ばれる人 12名、インドでのオフショア開 発13名で構成される。 • 組織でサポートしている「鍵」となる部署は、マーケティング 部、営業部、製造関係などである。 104 発表内容 Areas of Focus 手がけているプロジェクトの中で特に力をいれているのは以下3つである。 1. Cisco University 主に社員に対象としたキャリアアップにつながるとか、自分の仕事がもっ と効率よく出来るようになるとか、その手助けになるものをやるようにと CEOのJohn Chambersもいつも言っている。 • また、いい職場環境を作ることもとても大事と考えている。 (フォーチューン誌の成長企業 職場環境アンケート No.3 ) 2.パートナーとeラーニングコネクションと呼ばれるプロジェクトパートナー にあたる人達に対して、学習環境としてeラーニングのPortalを提供するこ と。 3. Networking Academy 将来のITのプロフェッショナルを育成するためのもので、高校や大学、その 他教育機関に対し、シスコの教育コースを提供するプログラムである。 105 発表内容 • Target Audience ・一般的な社員 ・マネージャー ・コンテンツプロバイダー ・アドミニストレータ- ・顧客 ・パートナー/リセラー ・学生(Networking Academy の対象者) 106 Cisco University • 必要性 • • • • • • シスコの社員を対象としたもので、社員である人達が互いにネッ トワーキングしながら学んでいける環境。 早く仕事をやっていく、新しいチャンスを掴む、自分のキャリ アにつながるトレーニングがここに入っている。 生産性を高める。 プロセスの効率性を出す 変化への対応が出来るようになる。 コンテンツセントリック ⇒ ラーナーセントリックへ。 導入当初はどんなコンテンツを展開するかということを中心に 考えていたが、それよりも、学習者が何を求めているのかを フォーカスしなくてはならないことがわかってきて、今はラー 107 ナーセントリックという考え方をビジョンにしている。 The Focus Is on the Learner Learner-Centric Unlimited Content Sourcing Dynamic Prescription High Vision Performance-Centric Dynamic RoleRole-Based Content Updating Learning Assessment Business Outcomes • Productivity Module-Centric • Chunking of Content Dynamic Processes Costs Portal-Centric • Employee retention Content-Centric Dispersed Content Catalogs Generic Audience AudienceAudience-Specific Content Competencies and Roadmaps Establishing the Foundation Low Low F0_7630_c1 © 2000, Cisco Systems, Inc. Creating Learner Accountability for Results Learning Outcomes • Absorption • Time to competency • Penetration/audience High 108 108 Design Guideline eラーニングでインフラを作っていくために重要なこと オープンな環境 スケーラブル グローバルアクセス・活用できること インテグレイティド HRやファイナンス等に連動している フレキシブル 学習スタイルの違いに対応できるかどうか 早く・タイムリーなもの コストの効率化 109 Cisco’s E-Learning Solution architecture Access Employee Field Partner Customer Application Platform Business Operations Service Content Management Service E-Learning Solution Learning Management Services Delivery Management Services Network Infrastructure ・アーキテクチャで特に重要なのは、Application Platform のところの4つ の機能で、それぞれが独立 しているのではなく、関連しあっている。 110 Cisco’s E-Learning Solution architecture 前ページApplication Platform の4つの機能の関連を見てみると、 Business Management Operations Operations from/to Content Management Services CMS Desktop or API Content Authoring Tools export feedbac k Portal API Learning Management Services API Delivery Management Services API Delivery Systems 111 Networking Academy ・”グローバルシチズン”の一環として、将来のIT業界をになう プロフェッショナルを育成 することを目的に、1997年に設立 された。 • 現在教育プログラムを1万以上の教育機関に展開していて、米 国内50州と150ケ国以上で43万人以上の学生がこの教育プロ グラムに参加している。 ここでやろうとしていることは、 ①「使えるスキル」を持った人材を育成する。 • ②世界中でのデジタルデバイドの差を縮める。 • ③継続的な教育により、ITへの関心を高める。 ④“Cisco”の戦略的価値を提供する • ⑤教育を受けられない環境にある人達に高い教育を受ける チャンスを与える。 112 Partner E-Learning Connection (PEC) シスコ社のビジネスは、世界中のパートナー約40万人が営業を している。 そのパートナーに質のいい教育をすることはシスコ社にも重要 なことで、高い教育環境にアクセスできることが必要である。 2003年3月にこのプログラムを開始。 • できる多くの人たちにアクセスできるようにする。 • コンピテンシーが短い時間で上がるように作った。 113 Partner E-Learning Connection (PEC) ポータルサイトの実現 One stop でパートナー教育にアクセスができ、必要な情報を より早く 簡単にアクセスできる。 パーソナル化した学習環境 学習履歴やトラッキング 検索機能 (自分用の)コースマップ アセスメント プロフィールに合わせたコンテンツの表示 トレーニング情報やリソースの入手ができる 114 Recommendations ★大きなシステムを導入していく場合、ニーズ把握が大事で、ITチームと早い 段階で話し合いながらやっていくことが大切である。 ★ビジネスがかかえている課題が何であるかということを把握して、それに 合わせたものを提供する。 ★ラーニングだけでなく、コミニュケーションも教育であるととらえている。 このようなことからCiscoではLearning=Communicationという考え方を している。 ★チームを作る時に学習(内容)だけ、技術だけという狭い範囲で人を集め のではなく、広い範囲でリソースをとらえてチームを作っていく。 115 質疑応答 Q.良いコンテンツの定義は? A. 何を対象にしているかによって違いもあるが、学習目標にあっているか、 全体的にコンテンツ自体が理解しやすいか、ナビゲーションがしやすいか、 という要素も含まれる。 Q.将来のeラーニングチームの展望を教えてほしい。 A. 社員から見て、eラーニングを利用することが単に学習のためだけでな く、自分のキャリアアップ、将来の自分のためになるものにしたいと思ってい る。また、現在は3つの別々のプラットフォームに分かれているものを1つ に統合し、共有できるリソースも1つとして無駄をなくし、コスト削減をした い。 Q.ベンダーには、無料で教育を提供しているか? A.ほとんどが無料で提供しているが、集合研修では無料でないものも ある。但し、パートナーとの契約により違う場合もある(例:CCNA) 116 入手資料 Cisco Systems社プレゼン資料 117 San Francisco State University 視察報告 平成17年6月 (6月10日訪問) 118 訪問先記録 ◆ 訪問先: ◆ 所在地: ◆ ◆ Tel: ◆ Fax: ◆ 面談者: ◆ e-mail: ◆ ◆ URL: ◆ ◆ レポート担当者: San Francisco State University (SFSU) 1600 Holloway Ave., LIB 435 San Francisco CA 94132 415 / 338- ○○○○ 415 / 338- ○○○○ Kevin Kelly (SFSU), Sandeep Casi ほか ○○○○ @sfsu.edu ○○○○ @fxpal.com http://www.cel.sfsu.edu http://www.fxpal.com 江川 良裕 甲 圭太 119 面談者詳細 Kevin Kelly Assistant Director Center for the Enhancement Sandeep Casi of Teaching FX PALO ALTO LABORATRY, INC (SFSUの共同開発パートナー) Business Development - Emerging 120 Technologies 訪問先概要 ◆ 企業・団体名 San Francisco State University (SFSU) ◆ 事業業容内容 カリフォルニア州立大学(CSU)のひとつ 1899年開学 学生約30,000人、スタッフ約3,000人 121 eラーニング活用状況概要 • SFSUはインターネット学習を“iLearning”と称して、 学生への講義のほか、ファカルティー・メンバー(教授 とスタッフ)への教授法研修として活用している。 • 22,000人~23,000人がなんらかの形でe-ラーニング を活用している。オープンソース・ソフトウェアを組み 込んで開発されており、LMSはMOODLEベースである ほか、マルチメディア・オーサリング・ツールとして Pachydermを利用 • 技術的には富士ゼロックスと共同研究のかたちとなって いる。研究の内容としては、次世代インターネットであ る“CENIC”を使用して、いくつかのプロジェクトを 実証実験している。 122 先方の発表内容 1. iLearningの概要と実践例( Kevin Kelly ) 2. iLearningに実装されているLMS “iLearn”など 3. 4. 5. のソフトウェア、技術、サービス( Kevin Kelly, Sandeep Casi ) その他の教育関連プロジェクト( Kevin Kelly, Sandeep Casi ) コラボレーション・プラットフォームとしての “GigaMap” と“Digital Cinema” ( Sandeep Casi ) 質疑応答 123 1.“iLearning”の概要 ◆ SFSUで開発・利用されているインターネット利用学習の総称 で、以下の視点で開発されている。 ① 学習目標に対して、どのような学習活動を設計するか。 ② テクノロジー・ベースの学習活動が、学生のLearning Successを増幅できるか。 ③ 技術を利用したパフォーマンスをどのように評価するか。 ◆ 既存の集合教育とは異なる形態の授業が可能になる。 ◆ 就労学生の増加などにより多様化している学習スタイルに対応 できる。 ◆ 教員に対する教授法の研修・指導ツールとしても利用している。 124 1-1.“iLearning”の実践例(対学生) ◆ 多様な学習スタイルへの対応という点では、例えば、ビデオと テキストの授業を受けながら、画面上でノートを取るといった こともできるため、「書く」ことで学習効果が上がる学生には 適している。 ◆ 学習の結果としてのスキルの測定にも適している。 • 化学の授業において実験をおこなうスキルを習得させる際には、 従来におけるペーパー・テストでは理解レベルを測定すること が難しかったが、iLearning上でビデオを使ってテストをおこ なうことで、測定が容易になる。 125 ◆ 最近のトレンドとしては、iLearnigに実装されているコラボレー ション・ツールを利用して、複数の遠隔学習者が協力して問題 解決を図るProject Based Learningという学習方法が増えて おり、実際のミーティングなどと併用しておこなう。 • イメージ的には、Doug Engelbartが開発したCollective IQ やWikipedia、I Love Beesのようなものである。 I Love Bees Collective IQ http://www.bootstrap.org/ Wikipedia http://ja.wikipedia.org/ http://www.ilovebees.com / 126 1-2.“iLearning”の実践例(対教員) ◆ 教授法を学んでいる大学の教員は少ないため、それをカ バーするためにiLearningを利用している。 • 例えば、哲学の教え方に関するコンテンツでは、テキスト、 ビデオとデータベースを利用して教授法を学習する。 Introduction Course Design Course Development Course Implementation Assessment 127 2.オープンソースを中心とした “iLearning”の技術 ◆ “iLearning”はオープンソースのソフトウェアを中心として 開発されており、海外からコンテンツを利用する学生にも単位 認定をおこなっている。 ◆ LMSである“iLearn”はMOODLEと、 Learning Object Authoring(マルチメディア・オーサリングの仕組み)には Pachydermが使われている。 ◆ 配信システムは Course Streamを用いて作られており、テキ 128 ストによる映像検索に対応している。 2-1.MOODLEとPachyderm ◆ MOODLEはオープンソースのLMSであり、 Quiz(試験)な どをインストラクターが設計することができるほか、コラボレー ション・ツールが備わっている。 ◆ Learning Object Authoring(マルチメディア・コンテンツ のオーサリング)にも、オープンソースであるPachydermが 使われている。 MOODLE http://mo odle.org/ Pachyderm http://www.cdl.edu/p rojects/pachyderm.h tml 129 2-2.コンテンツにもオープンソース化の波 ◆ システムだけではなく、授業内容のコンテンツもオープンソー ス化が進んできており、MITの Open coursewareのようなプ ロジェクトもある。このような仕組みを利用すれば、授業用の コンテンツを学校間で共有できる。 • SFSUはこのような仕組みを使えば、世界中の学習者に単位が 出せると考えている(筆者注:MIT Open coursewareは、学 位や資格を取得できるものではない)。 MIT Open courseware http://ocw.mit.edu/index.html 130 2-3. 配信プラットフォーム“Course Stream” ◆ ライブ・キャスティングとオンデマンドによる配信の両方に対 応したストリーミング・システムで、富士ゼロックスの技術に より動画の検索技術を実装している(筆者中注:Course Stream自体はWeb Study Inc.の製品と思われる)。 ◆ Course Streamを利用し、現在、登録者数1,500名、150のク ラスに対して講義を配信している(筆者注:現在のコースは Businessのみ)。 • ビデオを自動的にシーンごとに切り出し、シーンに含まれる音 声をテキストで検索し、該当箇所を表示することができる。 Online SFSU http://coursestream.sfsu.edu/# 131 3. その他の教育関連プロジェクト ◆ “Hybrid Classes Initiative”において、ブレンディッド・ラー ニングに取り組んでいる。 ◆ “ePortfolios” では、学習履歴をデータベース化し、学習者 のパフォーマンス評価やコース・プログラムの効果測定をおこ なっている。 ◆ “College of Extended Learning” と称して、企業と共同 で、資格取得コースを運営している。 • Apple社とApple Software Certificationのコースを運営し ている(受講後定められた会場でテストを受ければ、日本や中 国でも資格取得が可能)。 132 4. コラボレーション・プラットフォーム ◆ “GigaMap”や”Digital Cinema”といった 試みを通じて、コラボレーションによる教育・ 研究環境にトライしている。 ◆ このようなコラボレーション環境をもつことで、 他大学や企業と協力でき、多様化する学習ニー ズへの対応やより良い教育・研究環境の実現を 図ることが可能になる。また、実践結果をパー トナーにフィードバックすることでお互いに運 用の効率性を高めることができる。 133 4-1. “GigaMap” ◆ GigaMap” とはGiga Bit Media Application Platformの略 で、次世代インターネットである”CENIC“上で、サンフランシ スコ市、ゼロックスと共同で実証実験をおこなっている。 ◆ 従来のPowerPointなどを使った片方向のコンテンツのやりと りではなく、インタラクティブ性の高いマルチメディア多用し たライブ空間でコラボレーションをおこなうことを想定したプ ラットフォームで、現状では以下のようなことが可能である。 ① マルチスクリーンを用いた遠隔講義や遠隔地のカメラのコント ロール ② アーカイブされた情報の検索 ③ 受講者同士でのドキュメント共有(他拠点のファイルをドラッ グし自分のクライアントにダウンロードすること等) 134 ◆ GigaMapを利用することで、大学と企業が効率的なコラボ レーションをおこなうことが可能になり、大学がプロダクト やサービス開発の「インキュベーター」として機能すること が期待できる。 • 例えば、バイオテクノロジーやナノテクノロジーの分野で、大 学や企業研究所などをネットワークすることで、最新のテクノ ロジーの情報を共有できる。 135 4-2. “Digital Cinema” ◆ コラボレーション型の映画制作システムで、Apple社のFinal Cut Studio(ビデオ・オーディオ制作)やAlias社のMaya (3D制作)などをネットワーク上でコラボレーションしなが ら利用できる。 ◆ 映画制作だけではなく設計などの業務で利用することが可能で ある。 • 動画のインデックスを自動生成し、重要なコマの視覚的指定や 複数のコマをひとつのパッケージとして扱い、ノートを追加す ることも可能 136 ◆ Digital Cinemaを、指導分析や教員養成教育など の教育分野で利用することができる。 • 例えば、スーパーバイザーとインストラクターがペアになり、 教員養成課程の学生(Student Teacher)の授業内容を分析 し、その結果をフィードバックする、といったように使える。 • VoIPやチャットも利用できるため、家庭での学習も可能であ る。 137 質疑応答 Q1. 遠隔地学習者への単位認定は? ◆ 認定テストを遠隔地にある会場にて行なうケースと、他大 学との単位互換協定を結び、パートナー大学の責任で認定 する場合がある。 鑑識のスキルに関する教育において大阪大学とのコース を運営している。 Q2. 教授法研修の利用状況は? ◆ 20~25人の教授は熱心に利用している。 Q3. 研究から生まれた技術を販売する場合はどこ が行なうのか? ◆ 富士ゼロックスと大学 138 Q4. これらの技術は日本で売れるか?また日本で のeラーニング発展の可能性は?(先方より) ◆ 大学などの教育機関においては、今後生涯教育が重視され ると思われるため、販売ができると思う。 ◆ 基本的には、米国に少し遅れる形で発展していくと思われ る。 139 入手資料 1. 大学案内 140 Academy of Art University 平成17年6月 (6月10日訪問) 141 訪問先記録 訪問先 : Academy of Art University – Cyber campus 所在地 : 2300 Stockton Street, San Francisco, California 94133 Tel : 415.263. ○○○○ Fax : 415.263. ○○○○ 面談者 : Mr. Mark Daugherty E-Mail Address : ○○○○ @academyart.edu URL : http://online.academyart.edu レポート担当者 : 山下裕行、相馬峰高 142 訪問先概要 企業名 Academy of Art University 事業業容概要 美術・芸術・広告分野の専門教育機関 ・広告、アニメーション、CG、ファッション、 イラスト、インテリア、動画映像、写真などの コースを展開 ・学生及び社会人に教育を実施し、全てのコースで オンラインによって学士・修士の学位取得が可能 ・現在、キャンパス内の学生総数は約7000人 ・サンフランシスコ市内に22の校舎が点在 143 eラーニングの活用状況概要 Academy of Art Universityでは、一般通学生キャンパスと OnlineクラスのみのCyber campusを展開しており、学生は約 7000人が在籍している。 Onlineになって海外の学生も増えてきている。 Cyber campusは導入して3年目。 導入当初は「7クラス-140人」の比較的小規模から始まった。 現在では「300クラス-4000人」の規模に急速に拡大成長。 学生はオンキャパスとOnlineクラスのブレンディッドもしくは Onlineクラスの受講のみで学士および修士の学位を取得可能。 2005年秋には、Onlineクラスを100クラス増加させ400 クラスを提供予定。 将来はすべてのクラスをOnline化する計画を持っている。 144 • このOnlineクラスは24時間・365日いつでもどこからで • • • • • • も受講可能。 ・ 学生はビデオ・オーディオ・Flashなどを利用した臨場感 のある教材を利用して オンライン学習可能。 ・ Onlineクラスでは24時間体制のヘルプデスクを用意、e メールや掲示板、電話 などでQ&Aが可能。 ・ 掲示板システムでは先生と1対1あるいは複数の学生とディ スカッション可能。 ・ 学生の課題成果物をアップロードしてインストラクターに 145 添削してもらう機能あり。 訪問先の発表内容 1.Cyber campus内見学 Academy of Art University HP 2.Onlineクラス・デモストレーション 3.質疑応答 Online Education HP 教材の一例 146 Cyber campus内 見学 ・Cyber campus 内には約80名のフルタイムスタッフが在籍。 ・Web Team、Content Managers/Editors、Instructional Designers などの役割分担がなされている。 ・それぞれのスタッフがクラス毎に数名のチームを編成し、イン ストラクター(先生)と協力して教材の制作、およびクラスの運 営に従事している。 スタッフの作業風景(右・中・左) 147 Online Education http://online.academyart.edu/ ・上記URLからAcademy of Art University – Cyber campus が提供する Onlineクラスにアクセス可能である。 ・実際のOnlineクラスへはログインを必要とするが、「Online Course Spotlight」から実際のOnlineクラスの一部を見ること ができる。 148 Online Education トップページ Flashを使用した教材の一部 Online Education の運用システム システムは主に、クラスホーム・クラスシラバス・クラス配信 を提供する「デリバリーシステム」と学生およびインストラクター がコミュニケーションを行う「ディスカッションシステム」から 構築されている。 • デリバリーシステムはベンダーから購入し、ディスカッション システムは学内のプログラマーによって独自構築されたものを運 用している。 • システムはシンプルなGUIで構成されており、無駄を一切排除 し、オンラインで「授業」を運営するために必要な機能が適切に 集約されている。 • 洗練されたデザインも手伝って、システムの完成度には目を奪 われるものがある。 149 Online Education ディスカッションシステム 独自に構築したシステムを運用しており、学生とインストラクター の密なコミュニケーションを行うことが可能である。 大きな特徴として、学生の作品(絵や写真)をデジタルファイル 化してシステム上に公開し、個々に添削することが可能な機能が 備わっている。 ディスカッション ページ 150 コメントや修正により 作品添削可能 ディスカッションに アップされた学生作品 151 Online Education オンラインヘルプデスク ・24時間体制でヘルプデスクをサポートしており、Eメールや 掲示板、電話などでの質問が可能となっている。 Eメールで質問 オンライン・メールボックス 152 Online Education 学習用教材 学習教材は主にFlashやビデオを利用したもので構成されており、 概念を学ぶFlash教材や実際の作業工程ごとに構成された作業ス テップに対応したインストラクターのビデオ教材がオンライン、 もしくはCD-ROMにて提供されている. ビデオ教材制作のための専用レコーディングスタジオは3室用意 されている。 Flashやビデオを用いてコンポーネント(部品)化された教材は 1クラスに約30~40個使用して、テキストの説明文章ととも にHTMLモジュール化されている。 153 Online Education 学習用教材の一例 絵の具解説ビデオ教材 構図分析のビデオ教材 カリグラフィのビデオ教材 カメラの構造を学ぶ 154 Flash教材 Online Education 学習用教材の一例 建築の歴史を学ぶFlash教材 仮面制作の作業ステップ毎の ビデオ教材 デザイン文字に関する講義教材 155 Online Education 学習用教材の制作体制 教材制作は80名のフルタイム勤務のスタッフとインストラク ターがチームを組んで制作に取り組んでいる。全体の約50% の仕事量はア ウトソーシングしている。制作期間は教材によっ ても異なるが、1ヶ月程度で完成するものもあれば、1年かか るものもある。 (Ex)歴史教材と3Dアニメ教材とでは制作期間が倍以上異なる 1クラスの教材制作に関わるスタッフ構成図 普通の教材 ビデオを多く使う教材 インストラクター(先生) ディレクター 1クラス(約3名) エディター デザイナー ビデオ撮影(約3名) ビデオエディター カメラクルー 教材によってはビデオ制作チームが加わることもある 156 質疑応答 Q)学生の受講割合? A) ・明確な数字はわからないが、通常のキャンパス通学とOnlineク ラスの複合型の受講スタイルがほとんどである。 通常のキャンパス授業は800クラスを展開しており、現在は 300クラスがOnlineクラスとして受講可能であり、2005年秋か らは合計400クラスを提供予定である。 更に、将来的には全800クラスを全てOnlineクラス化して通常の キャンパス授業と併行して提供していきたいと考えているが、そ れにはもっと時間がかかる。 157 質疑応答 Q)実技や作品提出が必要となるクラスもあると思うが、対応状 況は? A) 彫刻やフィギュアモデリングなどを扱うクラスは、確かに最初は 懐疑的であり、実際にクラスとして提供可能かどうかという議論 もあったことは事実である。 実際にOnlineクラスとして提供してみると、予想を反してよい結 果を得ることができ、Onlineながら通常の授業と同じように学生 も素晴らしい作品を提出してきた。 複雑な作業や特別な作品を扱うクラスは対面授業とのブレンディッ ド形式を予定しており、それ以外のものは基本的にOnlineのみで 運営している。 ともかく、やってみたことが正解だった。 158 158 質疑応答 Q)学生に実習を含む単位を取得させるための課題確認および評 価は? A) 学生は課題成果物に関して、自分の作品をあらゆる角度から写真 を撮り、ディスカッションシステムにアップロードし、インスト ラクターに課題作品の評価をしてもらう。 評価結果については、インストラクターが個々の学生の評価をシ ステム上で行うことができ、学生は自分への評価をシステム上で 確認することができるようになっている。 また、大学院コース(修士課程)では、現在20カ国以上からの 学生が学んでおり、学部長やインストラクターなどとWeb上でコ ンファレンスを開き、評価を行っている。 159 質疑応答 Q)Onlineクラスを受け持つインストラクターは負担が増えると 思うが? A) 現在、300クラスをOnlineで提供しており、それを受け持つイ ンストラクターは300~350名いる。 それぞれのインストラクターには、通常のキャンパス授業を受け 持つのと同じようにOnlineクラスを受け持つ分だけの給与を別に 支払っている。 確かに、教材を作るまではインストラクターにも過度の負担はか かるが、一旦、教材を作ってしまえば、後はディスカッションに 参加するだけとなるので、その後の負担は減り、運用上も大きな 問題は発生していない。 160 質疑応答 Q)Onlineクラスのアクセス環境は? A) インターネットに接続できる環境であれば、家庭でも仕事場でも 受講が可能。 ビデオ教材などのメディア閲覧に関しては接続するネットワーク 環境によっては受信が困難となるので、その場合は、別にCDROMを配布。 (Onlineクラスの教材解説文中に「CD-ROMのこのビデオ教材 を見てください」というような指定がされている) 161 質疑応答 Q)Onlineクラスについてのユーザー評価は? A) 学生に対して、4ヶ月に2回のアンケートを定期的に実施、講義 内容やインストラクターへの評価を行っているが、良い悪いとい う評価は分かれる。 ベテランインストラクターが初級インストラクターに対してメン ターとなって教育を行い、質は向上している。インストラクター の中には展開のスピードが速すぎてついていけないという意見が ある一方で前向きに取り組んでいる場合もある。 Onlineクラスは従来の対面授業とは異なる授業スタイルであり、 人によって合わない人が出てくるのは仕方のないことである。又 これはどの授業スタイルについても言えることである。 大学としてはOnlineクラスはOnlineクラスとしてうまく使って いけば良いという考え方である。 162 入手資料 1.学校案内パンフレット 2.学校紹介ビデオCD-ROM 163 ASTD2005& 人材育成の動向と業績に貢献する eラーニング活用調査報告 NTTラーニングシステムズ株式会社 日本イーラーニングコンソシアム 小松 秀圀 164