Comments
Description
Transcript
鋼コンクリート接合部に鋼材腐食が 生じた港湾・海岸及び空港施設の
鋼コンクリート接合部に鋼材腐食が 生じた港湾・海岸及び空港施設の 健全度評価手法の構築 東北大学 鈴木基行 ○内藤英樹 研究の背景 港湾施設は厳しい塩害環境下にあり, 桟橋等の点検や健全性評価の高度化が望まれる. (参照元:横浜市港湾局web) 局所振動試験 部材の局所的な共振を励起し,剛性 低下によって内部の損傷を調べる. 2 研究の背景 共振周波数比 これまで鋼コンクリート接合部の電食試験を実施し, 腐食ひび割れと共振周波数の関係を整理してきた. 1 供試体1 0.8 供試体2 0.6 0 10 20 腐食率 [%] 振動試験と超音波試験を実施し,適用条件を整理した. 3 研究の目的 はり供試体の上面から振動試験を実施し,損傷同定の 妥当性を検討する. RCとSRCはり供試体の載荷試験 曲げひび割れ 鋼コンクリートの付着損失 供試体実験 4 振動試験のシステム 加振器 測定加速度 (電磁コイル) センサ 高い 制御加速度 センサ 周波数 増幅 コントローラ 低い パワーアンプ ノートPC 加振力 50 N, 重さ 2 kg 5 提案技術のポイント 局所振動 加振器まわり が揺れる 部分的な共振を励起し, ローカルな剛性評価に 基づいて損傷を調べる 高い 周波数 全体振動 低い たわみ振動 構造物や部材 全体が揺れる 縦振動 構造物や部材 全体が揺れる 共振周波数を測定し,部材全体の平均剛性を調べる 6 実験概要 ①供試体を作製 RC, SRC, CFTはり ②曲げ載荷試験 ③非破壊試験 4点載荷試験を行う 段階的に載荷荷重を上げる 強制加振試験×2種類 超音波試験×2方向 結果を整理,有用性を考察 7 RCとSRCはり供試体の概略図 RC 3500 400 400 400 1200 SRC 軸鉄筋D13 腹鉄筋D10 3500 H形鋼 200×200×8×13 400 400 軸鉄筋D13 400 1200 腹鉄筋D10 8 載荷試験の概要 荷重変位関係(SRC) 載荷荷重[kN] 500 400 2 δy … 300 6 δy 1 δy 200 100 0 0 10 20 30 中央変位[mm] 40 降伏変位 δy の整数倍ごとに除荷し,振動試験を行う. 9 ひび割れ図 (6δy 時) RC供試体 SRC供試体 10 400mm RCはりの損傷評価 共振周波数比 400mm 400mm 1δy 3δy 曲げひび割れの範囲において,共振 周波数が対称に低下した. 1 0.8 0.6 6δy 載荷位置 -1000 -500 0 ひび割れによる剛性低下を検知した. 500 1000 測定位置[mm] 11 共振周波数を指標にした損傷度評価式 共振周波数比 f/f0 1 0.8 白丸:模擬空隙と切欠き 青丸:1 y 載荷のひび割れ 黒丸:2 y 載荷のひび割れ 0.6 0.4 f f0 0.2 1 D 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 波長に対するひび割れ長さの割合D/ f f0 1 D f :共振周波数 f0:健全時の共振周波数 D:ひび割れ長さ λ :波長 加振方向に投影したひび 割れ長さと共振周波数は 線形関係にある. 12 400mm RCはりの損傷評価 50mm 共振周波数比 400mm 400mm 1δy 3δy 6δy 加振方向に投影したひび割れ長さ と共振周波数は線形関係にある. 1 0.8 0.6 載荷位置 -1000 -500 0 500 1000 測定位置[mm] 共振周波数比0.7のとき, 投影ひび割れ長さ50mm ひび割れ角度 83 主筋にほぼ直交するひび割れを捉えている. 13 SRCはりの損傷評価 H形鋼 200×200×8×13 3500 400 400 b=200 共振周波数比 400 加振方向の投影ひび割れ長さと 共振周波数は線形関係にある. 1 0.8 0.6 0.4 -1000 -500 0 500 1000 測定位置[mm] 共振周波数比0.5のとき, 空隙長さは200mmになる. 鉄骨フランジ幅と一致する. 付着切れが広い範囲に及んでいる. 14 道路橋RC床版の現場試験 道路橋の現場試験 1953年に竣工された3径間単純鋼鈑桁橋 橋長77m,幅員8m,床版厚さ250mm (+舗装厚さ50mm) 15 床版下面は鋼板によって補強されている. 15 共振曲線の実測データ 加速度センサ 加振器 応答倍率の振幅 ( 10-3) 鋼板接着補強 0.6 劣化:3089Hz 健全:6686Hz 0.4 0.2 0 2000 4000 6000 8000 周波数(Hz) 車両走行による振動影響下でも測定できた. 鋼板の上からでも床版内部の点検・調査ができる. 16 損傷マップ(剛性分布) 剛性分布 (損傷マップ) 0~0.5~ 0.7~ 0.85~1.2 劣化 健全 共振周波数比 1径間 (252点) を8時間で測定した. 床版の剛性分布と損傷箇所を示すことができ た. 17 まとめ 加振器によって構造物の上面から局所的な共振を 励起する試験方法を提示した. RCはり供試体の検討では,降伏後の塑性変形にお いて,下面から生じた曲げひび割れを検知できた. SRCはり供試体の検討では,載荷に伴う鋼コンク リート付着欠損を捉えることができた. 今年度は,塩害を受けた桟橋上から現場試験を行い, 点検および健全性評価の効率化を検討する. 18