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~地域活力を促す経営改革をめざして~
【第1章 策定の背景と位置づけ】
第1節 策定の背景
(1)行革をめぐる社会動向
世界同時不況に端を発する日本経済の悪化から、全国の自治体では税収の落ち込
み等が顕著に表れ、危機的な行財政運営となっている。
一方で、少子高齢化社会の到来、急速な情報化の進展、様々な分野における規制
緩和や官から民への潮流など、社会情勢が大きく変化する中、環境対策、定住化対
策、子育て支援、バリアフリー化、耐震化などの重要課題が山積し、新たに発生す
る行政需要に対する行政負担はますます重くなってきた。大胆な経費削減と財源の
確保が急務となっている。
平成19年4月の「地方分権改革推進法」の施行により、第2期地方分権改革が
スタートしたことから、今後さらに、国と地方公共団体のあるべき姿を明確にし、
とりわけ基礎自治体の自主性・自立性を高めていくことが求められている。
(2)町政運営の現状と課題
町を取り巻く環境でも、前述のような地域経済の低迷から町財政が大きく好転
することは期待できない状況にある。
本町の歳入の根幹をなす町税、特に法人町民税は、景気後退を背景に企業収益
の悪化による大幅な減収が見込まれ、国の経済対策の効果などにより景気の持ち
直しの動きが多少見られたものの、依然として厳しい状況にある。これらは地域
雇用や個人所得にも深刻な影響を及ぼしている。
歳出においては、少子高齢化に対応して、社会保障関係費が年々増加し財政の
硬直化が心配される。
1
そうした中で、職員の大量退職の時代を迎え、今後、職員構成が大きく変化す
ることになる。
効果的かつ持続可能な町政運営に向けて財政基盤が持ちこたえられるよう、組
織のスリム化、経費の節減、職員の意識改革、民間活力の導入、地域協働などを
強力に進め、質の高い行政サービスを確保することが求められている。
<平成20年度決算額>
2
(3)第3次大綱及び集中改革プランの成果と課題
平成15年に第3次行政改革大綱(計画期間:平成15年度~平成19年度)の
策定以降、地方行政改革のさらなる推進に向けたあらたな手法が制度化されるなど、
地方分権の進展によって、行政を取り巻く環境は大きく変化してきた。
こうした状況の中、本町は平成18年3月第3次行政改革大綱を引き継ぐ集中改
革プラン(計画期間:平成17年度~21年度)を策定し、事務事業の見直しや窓
口サービス改革などを行って、住民の皆様に良好な行政サービスを提供できるよう
努めてきたところである。
≪集中改革プランの主な成果≫
・行政評価制度導入による事務事業の再編・整理・廃止・統合
・指定管理者制度の導入(6施設)
・職員の定員管理の適正化
・職員の特殊勤務手当等の見直し・廃止
・新たな財源の確保(町ホームページ、広報等への有料広告掲載)
・コンビニ収納の導入
・公共施設予約システム導入
・土曜開庁開始
・電子申告・電子入札システムの導入
・広報みよしと教育だよりの統合
など
しかしながら、前プランで積み残した課題もあり、また、行政改革の進捗状況や
取組に対する評価や改善の効果がわかりにくいことも指摘されている。本大綱には、
引き続き検討すべき項目を引き継ぐとともに、各改革項目の推進に当たっては、改
革の達成状況をわかりやすく説明できるよう工夫が必要である。
第2節 大綱の位置づけ
(1)総合振興計画の政策実現に向けた実効性の確保
「総合振興計画」
(平成18年4月~平成27年3月)は、総合的・体系的に町の
進むべき方向を示しており、町の最上位計画として位置づけられている。本行政改
革大綱は、この総合振興計画の基本理念や各種重要政策を効率的かつ効果的に実現
するために有効な行政経営手法を示すものである。
3
(2)経営改革による重要政策の推進(選択と集中、メリハリのある投資)
今後、町は国や県への依存から脱却し自己判断・自己責任によって行政を経営し、
自主性・自立性を高めていかなければならない。一方で、住民ニーズは高度化・多
様化し、行政として解決すべき課題は複雑で多岐にわたっている。
これらのことから、町は、住民や団体・企業と協働することによって、特色をも
った魅力あるまちづくり、きめ細かで質の高いサービスの提供が可能になると考え
られる。行政改革は、従来の「量の改革」のみに固執することなく、新たに「質の
改革」を進め、両輪として進めていくことが必要である。
厳しい財政状況の中で町の重要政策を遂行していくためには、限られた行政経営
資源を有効に活用し、真に必要な行政サービスを提供する「選択と集中」が求めら
れる。その上で「新公共経営」
(NPM)の理念や「官民協働」(PPP)の手法を
..
意識的に取りこみ、行政経営の視点を持ってメリハリのある資源の投資をしていく
ことが必要となる。
(3)計画期間
平成22年度~平成26年度(5年間)
「第4次行政改革大綱」の推進期間は、平成22年度から平成26年度までの5
年間とする。
本大綱を具現化するために「経営改革実行プラン」を策定し、年度ごとに実施す
べき項目を明らかにするとともに、自治体をめぐる様々な制度改正、社会情勢の変
化に対応するため、必要に応じて実行プランの見直しを行うこととする。
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【第2章 基本理念と改革方針】
第1節 基本理念
地域の元気
スリムな行政
~「地域の活性化」と「行政の減量化」を両輪とした経営改革~
第2節 改革方針
改革方針Ⅰ
元気で活力あるまちの創造(地域活力型経営改革)
(1)元気が出る経営改革
…p7
①協働のまちづくり
②まちづくり情報の共有
③経済成長型行政改革
(2)オンリーワン自治体へのチャレンジ
…p10
①住民が自ら誇りをもてるまちの魅力創出
②環境保全と経済活力のバランスのとれたまちづくり
③住民と職員の協働による独自政策の形成
(3)身近な行政に向けた改革
~住民サービスの向上~
①ワンストップサービスへの移行
②電子自治体の推進
③窓口サービス機能の拡大
④高齢者や障がい者等にやさしい住民窓口
5
…p13
改革方針Ⅱ
行政経営感覚と手法の転換(行政減量型経営改革)
(1)事業型行政から政策型行政への転換
…p18
~選択と集中/新公共経営(NPM)と官民協働(PPP)~
①選択と集中
②事務事業の見直し
③民間活力の導入
④行政が行うべき業務の絞り込み
(2)持続可能な自立財政基盤の確立
…p21
①財政見える化改革
②歳入改革
③歳出改革
(3)組織のスリム化と職員の意識改革
…p25
①行政機構改革と定員管理
②職員の意識改革と職員制度の見直し
(4)町有財産の効率運用及び公共施設改革
…p28
①ストックマネジメントへの転換
②公共施設の統廃合や民間化
③公共施設のバリアフリー化、耐震化及びエコ対策
④公有財産の有効活用
⑤公共調達改革
(5)公営企業、出資団体、審議会、外郭団体等の改革
①公営企業・特別会計事業・公社・出資団体等の改革
…p33
②審議会・委員会・協議会等の改革
③外郭団体・補助団体・任意団体等への行政関与に関する改革
6
【第3章 改革推進項目】
◆◆◆
改革方針Ⅰ
元気で活力のあるまちの創造◆◆◆
(地域活力型経営改革)
改革方針Ⅰは、町の活力の源である住民やコミュニティ、団体や企業がまち
づくりの主体者としてその力を発揮し、元気で魅力的なまちを創造していくた
めの「地域活力型経営改革」である。
第1節 元気が出る経営改革(住民や企業が主役のまちづくり)
住民や企業が主役のまちづくりに向けた項目として「①協働のまちづくり」
「②まちづくり情報の共有」
「③経済成長型行政改革」に整理し、それぞれ現状と
課題及び改革項目(戦略)を掲げる。
①協働のまちづくり
【現状と課題】
ワークショップ等住民参画によって策定した第 4 次総合振興計画における施
策の基本方針「パートナーシップのまちづくり」及び重点施策「協働プロジェ
クト」に基づき、次のような取り組みを実施してきた。
・平成 18 年度/協働のまちづくり研究員公募(協働のしくみ提案)
・平成 19 年度/協働推進本部設置、協働推進計画策定
淑徳大学との連携協力に関する包括協定
協働のまちづくり準備委員公募
・平成 20 年度/協働のまちづくり条例施行
協働のまちづくりネットワーク(まちづくりネット)設立
・平成 21 年度/協働アクションプラン掲載の分野モデル事業スタート
今後、協働のまちづくり条例の理念の実現に向けて、さらに住民のまちづく
り参加を促進し、住民と行政とのパートナーシップ(協働)によって、多様化す
る地域ニーズに対応するきめ細かな公共サービスを創出する必要がある。
7
【重点改革事項】
●地域自治(行政区)と分野協働(まちづくりネット)の連携促進
●まちづくり活動相互の連携・協力促進
●(仮称)協働のまちづくり基金の検討(分野指定寄付等)
●協働の拠点づくりの検討(地域拠点としての公民館・集会所を含む)
【改革項目】
○協働のまちづくり推進計画の進捗管理と計画更新、推進体制の強化
○地域コミュニティの活性化促進
○大学の地域貢献及び学生のまちづくり参加促進
○企業の地域貢献促進(子育て・防犯防災等各分野まちづくり協定等)
○住民と行政の相互提案に基づく協働事業メニューの整備
(協働アクションプランのほか担当課ごとの住民活力導入推進)
○まちづくり人材登録制度の検討
○まちづくり団体のNPO法人化促進
○女性(子育て中含む)や障がい者、外国人らが社会参加しやすい環境づくり
②まちづくり情報の共有
【現状と課題】
町ではこれまでも行政情報の透明化を図るため、
「情報公開条例」や「パブリ
ックコメント条例」
「審議会等の会議の公開に関する指針」を制定し、住民の知
る権利等を保障してきたところである。今後は、さらに一歩進めて、住民がま
ちづくりの主役として参画できるよう、知りたい情報を分かりやすく、かつ積
極的に発信していくことが必要である。
広聴機能に関しては、「まちづくり懇話会」「町長への手紙・メール」を実施
してきたが、今後も住民の声を聞く多様な機会の創出に努める必要がある。
住民学習については従来から公民館を中心に行われてきたが、今後は、住民
の主体的なまちづくり活動を意識した学習機会の充実が望まれる。
8
【重点改革事項】
●テーマごとの住民懇談会・出前講座・ワークショップ等の開催
●町政モニター制度等住民提言のしくみづくり
●審議会等の委員公募及び女性参画の促進(選任指針等の検討)
●住民主体のまちづくりに向けた学習の推進(公民館等の活用)
【改革項目】
○まちづくり懇話会、町長への手紙等における住民提案の政策活用
○町ホームページ掲示板等まちづくり情報交換ページ開設(子育て等)
○パブリックコメント制度の効果的運用
(意見提出しやすい環境づくり)
○行政情報の職員共有と住民への積極的かつ分かりやすい公表
○まちづくり学習情報の一元化(法人等主催の学習情報を含む)
○教育委員の公募検討
③経済成長型行政改革
【現状と課題】
町では藤久保地区の土地区画整理事業等によって都市基盤整備や宅地開発誘
導を行い、快適な住環境の整備に努め、住民の定住定着を図ってきた。また、
竹間沢地区では、工業団地が形成され経済活力に貢献してきたところである。
今後、持続可能なまちとして自立し、元気で活力あるまちを創造していくた
めに、町内企業の育成・定着促進と併せ、物流拠点性という町の立地条件を活
かした適正な開発誘導によって、地域経済の活性化と雇用の拡大を促していく
ことが必要である。
また、都市近郊農業の活性化や商店街のにぎわいの創出など、地域の特性を
活かした戦略が必要とされている。
9
【重点改革事項】
●新たな開発ゾーンの創出等、企業立地誘導と住工混在解消の促進
●秩序ある宅地開発、住環境整備による定住しやすいまちづくり
●都市近郊のメリットを活かした農業戦略(観光型農業など)と販路拡大
●商店会イベント(空き店舗有効活用等)や商店経営手法改革の促進
●庁舎・公共施設スペースを活用した地域産業展及び広報・HP等による
情報発信(商工会等との協働)
【改革項目】
○土地区画整理事業による都市基盤整備の推進
○商店や企業、地元産品等の紹介パンフレット作成
○地域産業資源を活用した中小企業の事業促進と雇用拡大
○新規就農者への農地あっせんの促進(農業委員会・県等連携)
第2節 オンリーワン自治体へのチャレンジ
三芳町の特色をみんなが共有し、ローカルプライドとして育て、発信できる「オ
ンリーワン」の魅力をもったまちづくりに向け、「①住民が自ら誇りをもてるまち
の魅力創出」
「②環境保全と経済活力のバランスのとれたまちづくり」
「③住民と職
員の協働による独自政策の形成」に整理し、それぞれ現状と課題及び改革項目(戦
略)を掲げる。
①住民が自ら誇りをもてる
まちの魅力創出
【現状と課題】
三芳町は東京近郊にも関わらず武蔵野の雑木林が色濃く残り、まちの魅力とな
っているが、立地条件の良さから、開発等による樹林の伐採が進んでいる。みど
りへの関心の高まりは、近年、住民による雑木林の整備管理活動の動きとなって
表れている。
産業・観光分野では、三富新田開発等の歴史遺産を訪ねて多くの来訪者があり、
10
そこで育まれた富の川越いもなどの地場産品や加工商品も人気を集めている。さ
らに、高度な特殊技術を誇る企業など、町には多くの地域特性があり、今後は、
こうした特色を住民自身の誇り、町の宝・顔として共有し、住み続けたくなるま
ちづくりをめざして、協働で町の魅力や賑わいの創出、イメージアップ戦略につ
なげていくことが必要である。
【重点改革事項】
●三富新田や富のさつまいも、伝統文化等を活用した観光政策の導入
●武蔵野の雑木林や歴史遺産を活かした散策路づくりの検討
●地域ブランドを活用した住民協働によるイメージアップ戦略
(特産商品開発、ご当地企画等)
●住民団体・地権者・町等の協定による雑木林保全活動の促進
●農家と消費者の交流、地産地消の促進及び地場産安全安心野菜のPR
●体験農園や農産物直売所の促進と遊休農地の有効活用(景観作物含む)
●町の歴史文化等の魅力を伝えるボランティアの育成
(三富塾ボランティア、市民学芸員、市民観光ガイド等)
【改革項目】
○スマートICを活用した地域活性化策の検討
○小型バイク等の独自ナンバープレートの検討(地域ブランドの形状)
○地域通貨(エコマネー)、ボランティアポイントカード等の研究
○子どもや高齢者、障がい者を地域で見守り支えあう環境づくり
②環境保全と経済活力のバランス
のとれたまちづくり
【現状と課題】
第1節に掲げた「元気が出る経営改革」には、まちの活性化に向けてその有利
な物流拠点性を活かした企業の立地が欠かせないが、一方で、本節の「オンリー
ワンの魅力創出」に目を向けたとき、近年の開発に伴うみどりの減少や歴史景観
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の変容が危惧されるところである。
土地利用計画や開発指導による適正な誘導によって、環境保全と経済活力のバ
ランスがとれた持続可能なまちづくりが求められる。また、住民や事業所の環境
保全への取組を奨励し、まちぐるみで環境にやさしく美しいまちづくりを進めて
いく必要がある。
【重点改革事項】
●環境保全エリアと開発促進エリアの棲み分けなど土地利用の見直し検討
●開発面積に応じた公園・植栽地確保の事業者義務付け等緑化推進
●緑地の保全と公園用地の確保(保存樹林等指定、区画整理による公園整備)
●地球温暖化防止に向けたエコライフや事業所エコ活動の促進
(環境対策の取組への助成等の検討)
【改革項目】
○雑木林等緑地の公有地化検討
○景観形成施策の充実
(街路景観づくり、建築物デザイン統一、景観条例や屋外広告物条例の検討)
③住民と職員の協働による
独自政策の形成
【現状と課題】
オンリーワンの政策を創出するためには、その手法が重要となる。①に掲げ
た「住民自らが誇りをもてるまちの魅力」は、住民自らの柔軟な感性や発想を
活かして職員がコーディネートし、形にしていく協働の取組が必要である。
総合振興計画策定や協働のまちづくり推進では、公募住民と分野担当職員が
ワークショップ手法により、協働で施策・事業を立案してきた実績がある。一
方で、職員のスキルアップを図るためのグループ演習やテーマ設定による職員
提案募集等も行ってきた。
今後は、オンリーワンの自治体をめざして、さらに職員の政策形成能力を高
め、住民とともにまちの魅力を創出できるよう、合同立案の機会の充実が求め
られる。
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【重点改革事項】
●住民・団体・企業からの事業提案のしくみ検討
【改革項目】
○優れた職員提案が活かされる環境づくり
(インセンティブの高揚、提案のプロジェクト化)
○住民・職員合同のワークショップによる政策立案・合意形成機会の拡充
第3節 身近な行政に向けた改革(住民サービスの向上)
元気なまちづくりの基礎となる住民窓口の経営改革に向け、
「①ワンストップサ
ービスへの移行」
「②電子自治体の推進」
「③窓口サービス機能の拡大」
「④高齢者
や障がい者等にやさしい住民窓口」に整理し、それぞれ現状と課題及び改革項目
(戦略)を掲げる。
①ワンストップサービスへの移行
(総合窓口化)
【現状と課題】
住民が来庁した際、目的の窓口の場所や業務がすぐに分かりにくい場合があり、
町ではこれまでも、必要な手続をスムーズに行えるよう届出、証明、相談など
についてホームページや窓口案内等の工夫を行ってきた。
国では、情報ネットワークを駆使して複数の窓口手続を一元化する「ワンス
トップサービス」を推進しているが、そのまま町が実施するには課題も多い。
今後は、利用者の立場に立った総合案内サービスや負担軽減について組織横
断的に検討を進め、窓口情報システムの導入を視野に入れながら、町に適した
ワンストップサービスを構築していく必要がある。
【重点改革事項】
●ワンストップサービスへの移行推進
(証明発行・福祉総合相談等、一元化窓口の組織的な検討)
●総合窓口案内(フロアマネージャ)の設置検討
●窓口業務の電算化による利用者の負担軽減(時間短縮、記入の簡素化 等)
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【改革項目】
○窓口業務関係課の接遇スキルの向上と連携強化
(窓口マニュアル、連携体制の検討)
②電子自治体の推進
【現状と課題】
従来は、公共施設の予約時間帯が限定されていたが、第3次大綱に基づき、公
民館・文化会館・体育施設等9施設に、24時間ホームページから予約可能な「公
共施設予約システム」が導入され、定着化してきた。窓口での記入で住民にスト
レスがかかっていた申請書・届出書については、事前にホームページから「申請
書等のダウンロード」(100 種類以上)が可能になっている。また、法人町民税
等一部電子申告や競争入札参加資格審査申請が可能になっているほか、各種庁内
情報システムの改良で事務改善も図られてきた。
今後は、住民が行政情報を入手しやすく、容易に活用でき、情報交換ができる
よう更なる情報化の推進が求められる。
【重点改革事項】
●ホームページへの多様なまちづくり情報掲載
(民間活動を含むまちづくり情報の交換など)
●双方向型・情報交換型ホームページの検討
(メールマガジンやアンケート等)
●電子申請・電子申告等ASP※サービスの拡充
※ASP=(Application Service Provider)ビジネス用アプリケーションソフトを
インターネットを通じて顧客にレンタルする事業者のこと。ユーザは Web ブ
ラウザを使って ASP の保有するサーバにインストールされたアプリケーショ
ンソフトを利用する。
【改革項目】
○公共施設予約システムの拡充(学校開放施設等)と登録手続の簡素化
○KIOSK端末※の機能拡充検討(情報配信等)
※KIOSK端末=人の集まる場所に置かれた汎用性のある情報機器で、様々な情報の
入手や行政サービス利用ができる。町では公民館や体育館等に置き、インター
ネット環境がない人でも、公共施設予約やホームページ閲覧を可能にしている。
14
○統合型GIS※の検討
※GIS=(Geographic Information System)地理情報システム。デジタルデータ化
した地図上に、水道管などのライフラインや土地所有情報など多様な情報
を蓄積するシステム。防災マップ等にも活用される。
③窓口サービス機能の拡大
【現状と課題】
第 3 次大綱に基づき、住民窓口のサービス向上に向けて、庁舎と出張所におけ
る「土曜開庁」を平成 19 年度に本格導入し定着してきた。また、平成15年度
以降、コンビニエンスストアでの公金収納(コンビニ収納)を進め、一定の成果を
あげている。
今後は、土曜開庁のより効果的な利用に向けて改善したり、コンビニ収納の対
象税目等を拡大するとともに、新たな手続システムの開発や窓口拠点の拡大・見
直し等、民間活力導入を視野に入れた住民窓口の利便性・効率性の向上が必要で
ある。
<土曜開庁取扱い件数の推移>
<コンビニ収納導入の推移>
・H15
水道料金・下水道使用料
・H18
軽自動車税
に導入
に導入
町県民税・固定資産税・都市計画税・国民健康保険税(再発行分)
15
に導入
・H21
介護保険料(再発行分)
に導入
【重点改革事項】
●コンビニ収納の対象税目の拡大検討
(町県民税・固定資産税・都市計画税・国保税の全面実施及び保育料等新規導入)
●新たな公金収納システムの検討
(クレジットカード納付、マルチペイメントシステム※等)
※マルチペイメントシステム(ネットワーク)=(Multi-Payment Network)公共
料金や税金、行政手数料をパソコンや携帯電話、ATM など
を通じて納めることができる電子決済インフラのこと。
●窓口サービス拠点の拡大検討
(公共施設の窓口機能拡充、コンビニ委託内容の拡充、保健福祉サービス拠点等)
【改革項目】
○住民基本台帳カードの有効利用の検討
(住民票等のコンビニ発行など)
○土曜開庁の効果的な運用(取扱い業務等の見直し等)
○各出張所の業務内容や配置の見直し
(支所等地域複合拠点の検討)
④高齢者や障がい者等に
やさしい住民窓口
【現状と課題】
庁舎や出張所、公共施設において建設当初バリアフリーの配慮がなされていな
かった施設は、可能な限り高齢者・障がい者等が利用しやすいよう改修が行われ
てきた。
長年の懸案であった藤久保公民館にエレベーターが設置されたほか、多目的ト
イレやオムツ換えシートが既存施設にも順次導入されてきた。こうした考え方は、
新規の施設では標準となっている。しかし、ローカウンターや点字ブロック等一
部で採用されるに留まる設備も多い。障がい者の緊急避難設備についてもバリア
16
フリーな配慮が必要である。また、駅のバリアフリー化については、鉄道会社や
近隣自治体と共同で、鶴瀬駅やみずほ台駅のエレベーター設置や多目的トイレ整
備を実施してきた。
一方、情報のバリアフリー化については、住民の協力により広報紙の朗読サー
ビスや点訳サービスも取り組まれてきた。
今後は、利用者の高齢化も進むことから、誰にもやさしく、安心して利用でき
る窓口となるよう、全庁的な方針のもとで、ハード(施設・設備)とソフト(情報)
両面のバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入が求められる。
【重点改革事項】
●庁舎・公共施設のバリアフリー化・ユニバーサルデザイン方針の策定
→Ⅱ 4 節③参照
(耐震化にあわせた改修等)
●公共施設の「赤ちゃんの駅」指定等、授乳・オムツ換えスペースの確保
【改革事項】
○高齢者、障がい者等に配慮した庁舎・公共施設環境の見直し
(ローカウンター、トイレ、段差等)
→Ⅱ 4 節③参照
○高齢者・障がい者・子育て世代等への情報の充実とバリアフリー化
(分野情報発信、窓口相談、事業参加環境づくり等)
17
◆◆◆ 改革方針Ⅱ
行政経営感覚と手法の転換 ◆◆◆
(行政減量型経営改革)
改革方針Ⅱは、地方分権が進展し自治体の責任が重くなる中で、従来型の行
政運営から民間型の経営手法へと転換し、スリムで機能的な行政組織のもと、
施策や事務事業の徹底した点検・評価を実施して行政コストの最小化を図り、
限られた財源を選択と集中によって有効に政策活用しようとする「行政減量型
経営改革」である。
第1節 事業型行政から政策型行政への転換
~選択と集中/新公共経営と官民協働~
「新公共経営(NPM※1)
」
「官民協働(PPP※2)
」の考え方のもと、行政が行うべき
業務を絞り込み、事業型行政から政策型行政への転換を図る経営改革に向け、
「①
選択と集中」
「②事務事業の見直し」
「③民間活力の導入」
「④行政が行うべき業務
の絞込み」に整理し、それぞれ現状と課題及び改革項目(戦略)を掲げる。
※1 NPM=(New Public Management)新公共経営。公共サービスに民間の経営手
法などを取り入れ、経済性や顧客満足度等の最大化を目指す行政運営理念。
※2 PPP=(Public Private Partnership)官民協働又は公民連携。従来、行政が行
ってきた事業に、事業者やNPOなど多様な主体が参画・連携する手法。
①選択と集中
【現状と課題】
第4次総合振興計画(基本構想)には、ワークショップ等の住民参画を経て定
められた5つの基本方針と5つの重点施策(プロジェクト)が掲げられ、3か年実
施計画によって実現に向けた実効性を確保することとされている。しかし、政策
の実現より個別事業の継続性が優先されるなど、財政事情から平均的に抑制せざ
るを得ない状況になっている。
今後は、第三者が関与しつつ、公共領域の民間開放を視野に、優先すべき施策
事業を選択し、集中投資できるシステムを確立していく必要がある。
18
【重点改革事項】
●政策の重点化システムの確立(基本構想に基づく事業の集中化)
【改革項目】
○公共サービス領域の民間開放の推進
(NPO法人や企業等、新たな担い手“協働パートナー”の発掘・育成)
○まちづくりにおける地域コミュニティと行政の役割分担
②事務事業の見直し
~事務事業の無駄を省く~
【現状と課題】
町では平成 19 年度に行政評価の 1 手法である「事務事業評価制度」を導入し、
3か年実施計画掲載事業(平成21年度で239事業)について、個別の指標に基
づき事業の効率性や効果等について評価を行ってきた。評価結果は政策と財政の
観点からヒアリングを行って、今後の方向性(廃止・縮小・統合等)を導き出し、
結果は公表してきたところである。しかし、内部評価に過ぎず評価に温度差や甘
さが見られることから、制度の効果的活用が進まない問題がある。
今後は特に事務事業の方向性判断ツールとして、「事業仕分け」手法など第三
者(住民や学識者)の関与のしくみを検討する必要がある。さらに、総合振興計画
(指標設定)の導入を推進することが求めら
をはじめ各分野の計画に「施策評価」
れる。
【重点改革事項】
●「行政評価」の改良と「事業仕分け」手法の研究
(施策評価・第三者評価の導入、教育評価との連携等)
●慣例化、形骸化した事務事業の廃止・休止・終期設定・統合・縮小検討
●総合振興計画進行管理、事業見直しへの行政評価結果の活用
●分野基本計画への「指標」や「評価」の導入検討
19
【改革事項】
○指定管理者事業と町主催事業との棲み分け
○町主催イベントや学習講座の内容見直し
(趣味娯楽・動員型事業から課題解決型事業への転換など)
○事務の合理化・事務量の軽減(電子化・手続簡素化・一元管理等)
○事務の新たな広域共同処理の研究(国保事務や税滞納整理等)
③民間活力の導入(官民協働)
【現状と課題】
近年、行政需要の多様化に対応するため、民間企業やNPO、住民等の多様な
主体の参画・連携を促し、行政と民間の協働により効率的に公共サービスの提供
を行うPPP(官民協働手法)の活用が求められてきている。
町では第 3 次大綱に基づき、平成 17 年度に「外部委託ガイドライン」
「指定管
理者制度導入方針」を策定し、アウトソーシングの対象となる業務や施設管理に
ついて方向性を示してきたところである。指定管理者制度については、平成 18
年度より「老人福祉センター」
「三芳太陽の家」
「みよし工房」の福祉関連 3 施設
について導入し、平成 22 年度からは文化・スポーツ関連施設(文化会館・総合
体育館等)において新たに導入する。
今後は、②「事務事業の見直し」の結果を受けて、民間の優れた公共サービス
の担い手を発掘・育成し、指定管理者制度の計画的な導入と効果的な運用、民間
公共サービス施設の誘致、包括的業務委託等を進めるとともに、窓口業務・専門
的業務・定型的業務等の新たなアウトソーシングを検討していく必要がある。
【重点改革事項】
●アウトソーシング基準の確立と町責務の明確化
●民間化対象業務のリスト化、移行工程の明確化及び第三者評価の導入
(サービス維持・向上、効率化、公共性担保等)
●施設管理の民間化移行推進(指定管理者制度、民間施設誘致など)
→Ⅱ 4 節②参照
●企業提案型公共サービス改革及び住民協働型公共サービス改革の検討
(住民参加の広報紙編集、NPOやコミュニティによる施設管理等)
20
【改革項目】
○定型的業務の外部化推進
(窓口受付・証明書発行、福祉サービス請求処理等の外部化と育成研修)
○専門的業務の外部化推進
(相談業務等の外部化による専門的人材やノウハウの活用)
○教育等行政委員会の業務全般点検に基づくアウトソーシングの推進
○市場化テストの研究
→Ⅱ 4 節⑤参照
○PFI※・リース方式による公共施設整備の研究・検討
※PFI=(Private Finance Initiative)公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間
の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。
④行政が行うべき業務の絞込み
(政策型行政への転換)
【現状と課題】
従来型の行政運営では、行政が基本的に全ての公共サービスを担い、一部の個
別業務を民間事業者に振り分けて委託してきた。今後は、将来への危機意識と
自治体「経営」感覚をもって、③「民間活力の導入」に掲げた公共サービスの
民間移行を図る前提として、町の責務を明確にし、行政でなければできない業
務を絞り込んでいく必要がある。
【重点改革事項】
●政策形成・計画策定への職員能力の集中化
(地域ニーズの分析、判断、政策立案)
【改革項目】
○必要性が薄れた業務、慣習化した業務の洗い出しと廃止(スクラップ&ビルド)
第2節 持続可能な自立財政基盤の確立
選択と集中によって財源の有効活用を図る経営改革に向け、
「①財政見える化改
革」
「②歳入改革」
「③歳出改革」に整理し、それぞれ現状と課題及び改革項目(戦
略)を掲げる。
21
①財政見える化改革
(財政事情の分かりやすい公表)
【現状と課題】
全国的に厳しい経済情勢の中で、自治体が破綻するという事態も生じており、
自治体財政の内情が住民に見えづらいため、十分なチェック機能が働かないこと
が起因しているとの指摘もある。
町は長期にわたって地方交付税不交付団体(H20 財政力指数 1.242)であり、
「財政健全化法(H19~)」に基づく指標でも健全財政を保っていると判断され
るが、今後は世界同時不況の影響から安定した税収確保が困難な状況が予想され
る。財政事情を分かりやすく公表し、住民理解のもとで、歳入・歳出改革を実施
していくことが求められる。
【重点改革事項】
●計画財政の推進(3か年実施計画の適正化による事業年次の明確化)
●住民にわかりやすい財政制度に向けた改革(事業別予算等)
【改革項目】
○新公会計制度による財務諸表4表の公表ほか財政事情の公表
(バランスシート、行政コスト計算書、キャッシュフロー計算書、純資産変動計算書)
○特別職(町長・教育長等)の交際費公表と支出基準の明確化
<財政健全化判断比率>
(平成 20 年度決算データより)
指 標
三芳町
の比率
実質赤字比率(一般会計)
-
13.64%
20%
連結実質赤字比率(全会計)
-
18.64%
40%
35%
国の早期健全化基準
実質公債費比率(借入金)
6.9%
25%
将来負担比率(借入や負債)
84.9%
350%
国の財政再生基準
-
※実質赤字、連結実質赤字がないため「-(該当なし)」の表示。国の基準を上回ると国
が自治体財政に関与することになる。
22
②歳入改革(自主財源の確保)
【現状と課題】
地方分権が進展する中、自治体は自らの知恵と資源を駆使して財源を確保する
必要性が増してきた。
町では、平成 19 年から新たな財源として「広告収入」を取り入れ、ホームペ
ージバナー広告(H19.2~)、広報みよし広告掲載(H19.8~)ほか、文化会館
のイベントチラシや総合体育館のフィットネスパンフレットにも有料広告を掲
載し、平成 20 年度決算で 1,845 千円となっている。
税収確保については、従来から悪質滞納者に対し不動産・債権の差押えにも取
り組んできたが、財源確保と公平性の観点から対策の強化が求められる。
使用料収入に関しては、公民館使用は有料原則だが、減免規定によりほとんど
が団体登録等によって全額免除されており、公平性の観点から受益者負担の原則
に立ち、他の公共施設との整合性を図りながら、施設使用料設定の見直しと膨大
な団体登録事務の改善が必要である。
公有財産の活用については、遊休の普通財産の売払い(施設の廃止や残地処分
など)や一部財産の民間への有料貸付を行ってきた。
国・県の補助金交付金は減少傾向だが、各分野で町の方向性に合致した補助メ
ニューがあるか常に動向をチェックする必要がある。
【重点改革事項】
●広告収入の拡大(公共施設ネーミングライツ、封筒広告、公共物広告等)
●新たな財源の検討(新税等独自財源の研究、寄付制度の充実等)
→Ⅰ 1 節①参照
●公共施設利用の受益者負担及び料金設定のあり方検討
(公民館・体育館等の減免規程の見直し、料金の平準化など)
●財産の有料貸付け検討
→Ⅱ 4 節④参照
【改革項目】
○各種利用者負担金の適正化
(学習事業等参加料、福祉施設サービス料、事務手数料、下水道使用料等)
23
○滞納者対策の充実と納税者理解の促進(高額滞納や新たな滞納の抑制、動産差押
えとネット公売の検討、広報・HPの税コーナー開設など)
○普通財産の売払い検討
(遊休財産の売却、水路・里道等法定外公共物の払い下げ等)
○新規事業、大規模事業、地域協働事業における国・県・民間資金の活用促進
◇決算統計より◇
※「その他」には、地方消費税交付金や地方譲与税、使用料・手数料、国・県支出金などを含む。
◇決算統計より◇
※「その他税」には、都市計画税、軽自動車税、たばこ税等がある。
24
◇決算統計より◇
※自主財源比率=歳入全体に占める自主財源(町税・使用料手数料・分担金負担金・寄付金等)の割合
③歳出改革(無駄の削減)
【現状と課題】
毎年の予算編成においては、総合振興計画及び行政改革推進プランに基づいて
「予算編成方針」を策定し、一定のルールのもと、慣習にとらわれない効率的な
予算計上に向け、各課の意識改革を促しているところである。
行政経営は貴重な税金でまかなわれているという認識を常に持ち、経常経費ほ
か支出の無駄を省いて効率的に執行しなければならない。
【重点改革事項】
●公共施設経営指針の策定検討(収入を含む)
●施設維持管理コストの効率化に向けた検討
(電気・空調等エネルギーコスト、清掃・エレベーター等管理コスト)
●経常経費に係る各課削減プラン提示の取組(需用費等の全庁的な無駄削減)
●形骸化したサービスや儀礼的慣習に係る公費負担の廃止又は一部負担検討
(食糧費、協力者謝礼、各種助成金等)
●団体補助、補助形式の見直し及び補助金公表の検討
→Ⅱ 5 節③参照
(公共性や効果の検証、自己財源確保・法人化等自立促進、事業補助又は委託移行)
25
【改革項目】
○補助金公募制度の検討(提案型事業、第三者審査)
○業務委託のありかた等の見直し(仕様や契約の形態、委託の必要性)
○町単独扶助や他制度との重複サービスの見直し(福祉等)
○特別会計・企業会計に係る一般会計からの繰出基準の見直しと経営改善促進
※経 常収支比 率=地方税等 の経 常的収入 に 占める 、人
件 費 ・ 扶助 費 ・ 公 債 費 等 の 固 定 し た 経 常 的 支 出 の 割
合。高いほど財政が硬直化するといわれる。
◇決算統計より◇
第3節 組織のスリム化と職員の意識改革
本大綱記載の各種改革を推進するため、効率的で機能的な組織形態と職員の資
質向上に向け、「①行政機構改革と定員管理」「②職員意識の改革と職員制度の見
直し」に整理し、それぞれ現状と課題及び改革項目(戦略)を掲げる。
①行政機構改革と定員管理
【現状と課題】
行政改革推進プラン(集中改革プラン)に基づき、平成 18 年度に地域の現代的
課題に対応するため、大幅な機構改革を実施、その後も効果的な行政機能、分か
りやすい機構をめざして改革を進めてきた。一方、第 3 次定員適正化計画では、
平成 17 年度当初職員数(335 人)に対し、平成 22 年 4 月当初までに 16 人減(319
26
人)を目標とした改革を進めた結果、目標値を上回る良好な達成状況にある。
なお、職員定員管理は、行政機構や事務事業の規模に連動したものであり、
本町の現状をみると他自治体に比較して公共施設への職員配置状況に特徴があ
る。
今後も続く職員の大量退職を踏まえ、公共サービスの質に配慮しつつ組織の
簡素化を図り、政策実現に向けた無駄のない機能的な体制を構築していくこと
が求められる。
【重点改革事項】
●将来ビジョンの実現に向けた機能的な機構改革
●統合・再編による組織のスリム化と階層ピラミッドの適正化
●職員定員管理の適正化(第 4 次定員適正化計画の進行管理)
●関連業務の一元化、出先機関を含む命令系統の簡素化
【改革項目】
○組織統合に伴う副課長制度導入と分野政策の重点推進
○組織が最大限に機能する職員配置
○多様な地域ニーズに的確に対応できる組織の検討
○再任用制度その他雇用制度の活用促進
<第 4 次定員適正化計画における定員管理の数値目標>
平成 22 年 4 月 1 日
平成 27 年 4 月 1 日
313 人
301 人
職員数
増減数
(増減率)
12人 減
(▲3.8%)
②職員意識の改革と
職員制度の見直し
【現状と課題】
町では、職員の能力開発と組織の活性化を図るため、「研修に関する基本的な
方針(H17)」に基づき計画的研修事業を進めてきた。さらに、地方分権時代にお
27
ける職員像に向け、能力や業績を評価するツールのひとつとして、平成 21 年度
には人事評価制度を試行した。また、簡素化する組織体制に対応すべく、平成
21 年度より再任用制度を導入した。給与等の改革については、給与構造改革を
はじめ、費用弁償や出張時の日当の廃止、特殊勤務手当の見直しなどを実施して
きた。
今後も、国依存の受身から自立志向の自治体経営戦略へと転換を図るため、大
胆な職員の意識改革や制度改革が求められる。
【重点改革事項】
●人事評価制度の導入と職員のモチベーション向上へのしくみづくり
(適材適所等人事管理ツール、意欲を引き出すツールとしての評価制度活用)
●人材育成基本方針の策定
(意識改革や自己啓発、能力と個性を発揮できる環境など)
●職員能力向上と組織ポテンシャル(潜在能力)向上の相乗効果を図る取組
●地域課題を分析し住民の力を引き出す政策形成能力の育成
【改革項目】
○少数精鋭の組織に向けた人材の確保と育成・活用
○職員給与の適正化(給料・手当・非常勤報酬の見直し検討)
○経営改革に向けた職員研修の実施
○職種に応じた効果的な業務の検討
○職員のエコ感覚、人権・バリアフリー意識の向上
(エコ通勤、社会的弱者への企画配慮など)
○現場職員と事務職員の課題の共有化
第4節 町有財産の効率運用及び公共施設改革
公共施設をはじめとする町有財産の維持管理の効率化と現代的課題への対応、
資源の有効活用と公共調達の適正化を図る経営改革に向け、
「①ストックマネジメ
ントへの転換」「②公共施設の統廃合や民間化」「③公共施設のバリアフリー化、
耐震化及びエコ対策」「④公有財産の有効活用」「⑤公共調達改革」に整理し、そ
れぞれ現状と課題及び改革項目(戦略)を掲げる。
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①ストックマネジメントへの転換
【現状と課題】
町では経済成長期に多くの公共施設が地域配置され、近年、老朽化によって維
持管理費が増大傾向にある。平成 21 年度、行政改革の一環で設置された「公共
施設の整備等のあり方検討部会」では、「地域経済の悪化に鑑み、当面の個別施
設の建設は見送り、既存施設の将来にわたる必要性を検証した上で、緊急度要件
を満たす建替え以外は、維持補修によって長寿命化を図る」という方向性を提案
している。
今後、町有施設については、従来の「スクラップ&ビルド」※1 から「ストッ
クマネジメント」※2「ファシリティマネジメント」※3 の考え方に移行し、残す
べき既存施設は計画的に維持補修し、住民の共有財産として戦略的に有効活用し
ていく必要がある。
※1 スクラップ&ビルド
=老朽化した建築物や設備を取り壊して、最新のものに建替えること
※2 ストックマネジメント
=既存の建築物(ストック)の有効活用、コスト削減、長寿命化を図ること
※3 ファシリティマネジメント
=土地・建築物等を合理的・効率的又は戦略的に総合管理すること
【重点改革事項】
●緊急な建替えを要する施設と長寿命化を図るべき施設の方針の明確化
●老朽施設の劣化診断と維持保全計画(庁舎・公共施設等)の策定
【改革項目】
○施設維持管理マニュアルの作成検討
(維持管理方針の統一による長寿命化、維持補修コストの効率化)
○町有施設の営繕・維持管理指導部門の一元化
29
②公共施設の統廃合や民間化
【現状と課題】
公共施設の中には、社会の変化の中で、当初目的とされた公的使命が終了した
り、民間施設が同様のサービスを行うようになるなど、時代に見合った見直しを
する必要が出てきた。
前出の「公共施設の整備等のあり方検討部会」では、当該施設サービスが「将
来に渡って必要不可欠」「民間施設等の代替手段がない」などの妥当性を満たさ
ない場合は、その需要(利用度)や地域配置状況、行政負担等を勘案して、統廃
合や民営化、新たな目的による有効活用等を提案している。さらに、施設管理に
ついては、
「指定管理者制度」
「包括的業務委託」等の民間活力導入を基本とした
上で、行政組織に分野政策機能を置いて監督責任を担うことを提案している。
今後は、こうした提案をもとにしながら、施設を政策実現のためのツールとし
て有効に活用していくことが求められる。
【重点改革事項】
●公共施設の役割・使命の検証、統廃合・別用途活用の検討→Ⅱ 4 節④参照
●施設管理の民間化移行推進(指定管理者制度、民間施設誘致など)→Ⅱ ③
●民間公共サービス施設の誘致促進(保育所等)
●包括的業務委託の推進(給食センター等)
●新たな指定管理者制度導入施設の選定と移行計画の策定
(社会教育施設・集会所・児童施設・福祉施設等)
●指定管理者制度導入施設における適正経営の監督・指導
(文化会館・体育施設・福祉施設)
【改革項目】
○直営複合拠点と民間サテライトの地域配置検討(児童・子育て関連施設等)
○民間化による効率化とサービス向上の促進(民間化効果の検証)
○指定管理者選定の透明化及び協定期間・評価の適正化(モニタリング等)
○公益協働パートナーの育成による指定管理者制度の多様性確保
(NPO法人、地域コミュニティ、保護者団体等)
30
③公共施設のバリアフリー化、
耐震化及びエコ対策
【現状と課題】
公共施設については、高齢者・障がい者・乳幼児連れに配慮したバリアフリー
化(道路を含む)が急務となっている。また、日常利用時も災害時の避難場所と
しても安全を確保するための耐震化、地球温暖化防止対策として自然エネルギー
利用等の環境にやさしい設計も、公的な施設の標準的な考え方となってきている。
町関連施設のバリアフリー化では、新規施設はもちろん、既存の藤久保公民館
や東上線各駅へのエレベーター設置、資料館・運動公園トイレのバリアフリー化、
オムツ替えシートの設置、公共施設ゾーンの点字ブロック設置、歩道の段差解消
などに取組んできた。
耐震化については、三芳町建築物耐震化計画(H21~H27 年度)を策定、三芳
町公立学校施設耐震化計画(H19~H25 年度)に基づく診断・改修も進んでい
る。
公共施設のエコ対策では、庁舎屋上の緑化に取組、体育館建設時には太陽
光・風力等自然エネルギーを一部に採用した。
【重点改革事項】
●庁舎・公共施設のバリアフリー化・ユニバーサルデザイン方針の策定
→再掲Ⅰ 3 節④
(耐震化にあわせた改修等)
●建築物耐震化計画に基づく公共施設耐震化工程の検討
(H27 年度末で耐震化率 100%目標、水道施設を含む診断と改修)
●庁舎・公共施設のエコ対策検討
(太陽光・風力発電・雨水利用等自然エネルギー活用、緑のカーテン等)
【改革項目】
○高齢者、障がい者等に配慮した庁舎・公共施設環境の見直し
(ローカウンター、トイレ、段差等)
→再掲Ⅰ 3 節④
○道路・歩道設計時のユニバーサルデザイン・防災・緑化方針の位置づけ
○小中学校耐震化の進捗管理
○指定管理者への日常的なバリアフリー対策・災害対策・エコ対策の指導
31
④公有財産の有効活用
【現状と課題】
地方自治法改正に伴い、公有財産の活用の可能性が広がってきた。町でも庁舎
駐車場の余裕部分を民間に有料で貸付けるなど有効活用に取組んでいる。今後は、
①に掲げた「ストックマネジメントへの転換」を推進するため、出先機関を含め
てさらに活用できる財産がないか点検し、既成概念を排して現代の地域需要に見
合った有効な取組を進めることが必要である。
【重点改革事項】
●遊休財産(普通・行政)の有料貸付けの検討
(庁舎・公共施設駐車場の時間外貸付け、有料化等)
→再掲Ⅱ 2 節②
●公共施設の廃止や余裕スペースに伴う別用途・多用途での有効活用の検討
→Ⅱ 4 節②参照
(小中学校を含む)
⑤公共調達改革
【現状と課題】
町では、従来の指名競争入札に加え、発注業務の規模や性質に応じて、一般競
争入札(制限付一般競争入札)、総合評価制度、プロポーザル方式を採用するなど
の入札・契約改革を行ってきた。
今後も随意契約を含め、公共調達の一層の透明化・適正化に向けた改革が必要
である。
【重点改革事項】
●公共調達改革推進計画の策定
●一般競争入札の拡大
【改革項目】
○総合評価方式、プロポーザル方式の推進
○郵送入札、電子入札方式の推進
→再掲Ⅱ 1 節③
○市場化テストの研究
32
第5節 公営企業、出資団体、審議会、外郭団体等の改革
行政改革大綱の理念の実現を全町的に推進するため、町が関与する団体等につ
いても経営改革を促進するため、「①公営企業・公社・出資団体等の改革」「②審
議会・委員会・協議会等の改革」
「③外郭団体・補助団体・任意団体等への行政関
与に関する改革」に整理し、それぞれ現状と課題及び改革項目(戦略)を掲げる。
①公営企業・特別会計事業・
公社・出資団体等の改革
【現状と課題】
公営企業等についても、一般行政と同様、地域の活性化と経営の合理化に向け
た改革を促進しなければならない。
【重点改革事項】
●公営企業等の経営合理化計画の策定(独立採算の確保など)
●公営企業等の業務点検に基づくアウトソーシングの推進
●公営企業等の受益者負担の適正化
【改革項目】
○公営企業等の健全化及び財務状況の公表
○公営企業等が所有する施設の耐震・バリアフリー・防災・エコ対策
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◇決算統計より◇
②審議会・委員会・協議会等の改革
【現状と課題】
附属機関や協議会等も、社会動向や町行政のスリム化にあわせ、地方自治法等
関係法令に照らした上で、見直しを検討する必要がある。
【重点改革事項】
●審議会・委員会等の整理見直し、統廃合等の検討
(関連審議会の統合による包括的審議など/法令必置を除く)
【改革項目】
○形骸化した広域協議会の必要性検討の提言(休廃止・再編等)
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③外郭団体・補助団体・任意団体等
への行政関与に関する改革
【現状と課題】
外郭団体等についても、従来からの慣習やしがらみによって行政関与を続ける
ことのないよう、関与の終期設定、団体の経営改革促進、事務の担い手育成等に
より、自立を促していくことが必要である。
【重点改革事項】
●団体事務の請負、儀礼的会議参加の廃止検討
●団体補助、補助形式の見直し及び補助金公表の検討
→再掲Ⅱ 2 節③
(公共性や効果の検証、自己財源確保・法人化等自立促進、事業補助又は委託移行)
【改革項目】
○外郭団体等の法人化その他経営努力・自立の促進
(文化・スポーツ・福祉団体等の社団、財団又はNPO法人化など)
○外郭団体等への職員派遣の見直し
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【第4章 大綱の進行管理】
第1節 大綱に基づく「経営改革実行プラン」の策定
本大綱に掲げる各改革項目の実効性を確保するため、本大綱に基づいて「経営
改革実行プラン」を策定する。同プランは制度改正や社会情勢の変化により、必
要に応じて見直しを行う。
経営改革実行プランには次の内容を具体的に盛り込むこととする。
(1)各項目の年次検討計画
(2)目標の設定
(3)達成度評価の実施
(4)総合振興計画への大綱貢献度評価
第2節 改革実行体制の構築
本大綱に掲げる各改革項目について効果的に推進するため、下記のとおり、組
織的な検討体制、進行管理体制を構築する。
(1)「行政改革・協働推進本部」(本部長:町長)による全体進行管理
(2)行政改革懇談会(外部委員)によるチェック機能
(3)「経営改革推進検討部会」の設置(課横断的項目の検討)
(4)本部長から各課への検討指示(課別検討項目)
36
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