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『本当の友達と孤独の価値』 ~「友達といつもいっしょ」はやめよう ~
『本当の友達と孤独の価値』 - 「友達といつもいっしょ」はやめよう - 校 長 武 田 義 治 友達は,子供にとって大きな存在です。 確かに友達がいないと寂しいかもしれませ ん。でも,一人だからと言って寂しい とは限りません。また,いつもお喋りしたり, 遊んだりしているから,友達というわけでもありません。 いったいどんな関係の場合,本当の友達と言えるのでしょうか。 ゲーム集会などで「誰とでもいいから三人組を作ってください」 と言うと,二人組 がお互い見合ったままでいることがあります。これは,精神的に一人になることを学 習するゲームです。仲良しの友達と離れて, 初めての人と組になったり,仲のいい友 達の中に新しい人を入れたりできるかどうかが試されます。 子供の中に時々,友達を独占しようとして,その友達が他の子と遊 ぶと意地悪をす る子供がいます。また,閉鎖的な仲間に入り ,その仲間から排除されないためにいつ もいっしょに行動したり,時には他の仲間をいじめたりする 子供がいます。それらの 行動の裏には「いつも友達といっしょでないと不安」 という気持ちが働いています。 ここが問題なのです。 自分が孤独に耐えられないために求めるような友達は,本当の友 達ではありません。 ただワイワイと騒いでおもしろがったり,自分を守るために人をいじめたりするよう な関係の仲間に確かな友情が生まれるでしょうか。 友情は,孤独に耐えられる,精神的に自立できる者同士が出会うことで生まれます。 なぜなら,孤独に耐えられる人は,自分を愛し,認めることができるからです。そん な人は,人が伸びようとしている時に足を引っ張るようなことはしません。新しい仲 間を求めている人を妨害するようなことはしません。友情は,お互い磨き合い ,伸ば し合うことができる切磋琢磨の友達関係から生まれるのです。大事なことを本気で語 り合えるかどうか,これが友情の証です。 人は誰でも,成長の過程で孤独になって自分に向き合い,じっくり考える ことが必 要です。孤独が寂しいというのは一面的な見方で,本当は豊かな時間なのです。 自分 を磨き,力を蓄える絶好の機会と言えます。ちなみに,そんな時間を一番豊かにして くれるのは読書です。テレビやゲーム,スマホではありません。 孤独の大切さに気付いたら,学校という狭い人間関係の中だけで, 「いつも友達とい っしょでないと不安」と思うことが取るに足らないことが分かってきます。仲間はず れにされても,つまらない友達から離れて 孤独を楽しむチャンスが来たと考える見方 ができます。「メールが来ないから友達がいない」「ゲームを持っていないから友達と 遊べない」などと心配する必要もありません。 友達はいらないと言っているわけではありません。 お互いレベルを低め合うような 友達と過ごすことは空虚な時間であることに気付いてほしいのです。 孤独を恐れず, 一人で自分を磨き続けていると,きっとお互いに成長していけるような関係の友達が 現れます。一人で輝いている人には人が集ま るのです。例えば,イチロー選手です。 小さい頃から友達と遊ぶ時間を削ってまでも,自分の目標を持って激しい練習を続け, 一人で自分を磨き続けてきた代表的な人です。 つまらない友達といっしょに過ごすつまらない時間より,人生や将来についてひた すら考える,自分と心ゆくまで語り合う孤独な時間に価値があります。 うわべの付き合いの友達より,本当の友情でつながる友達を見つけてください。