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あゆみ2

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あゆみ2
第3学年1組
国語科学習指導案
指導者
1
単元名
宮本
佳奈
気持ちがつたわる手紙を書こう
(教材名)「ありがとう」をつたえよう
2
単元について
本単元は,学習指導要領第3学年及び第4学年の【B 書くこと】指導事項(1)「ウ 書こうとする
ことの中心を明確にし,目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこと。」
「エ 文章の敬体と常体と
の違いに注目しながら書くこと。
」を受けて設定されている。
本教材では「礼状」を扱う。
「お礼の気持ちが伝わる手紙」を書くためには,「何に感謝しているの
か」について,事例や理由を挙げて書くことが必要である。感謝の気持ちを伝えるために,相手のし
てくれた事や行動が自分にとってどのように役立ったのか,それによってどのような思いを抱いたの
かなどを具体的に述べることが大切である。また,手紙の場合は相手への敬意を表すために,敬体で
書くことが多い。相手への感謝の気持ちを伝えるという視点から,礼状ではどのような言葉遣いや書
き方が適しているのかに気付く機会となる教材である。
2学年時に学習したアーノルド=ローベル「お手紙」の中で,手紙を書いたり,もらったりする喜
びや良さに触れ,相手に自分の思いや気持ちを伝える文を手紙として書く活動も経験している。児童
がここで学習する手紙は,基本的な手紙の形式に沿ったものである。
「はじめのあいさつ」
「本文」
「む
すびのあいさつ」
「後付け」の形に沿った書き方を学びながら,「本文」で自分の気持ちが伝わるよう
文章を練っていく。何に感謝しているかを明確にした「本文」を書くことをねらいとする。
指導にあたっては,社会科と関連させて進めていく。社会科校外学習の見学先では,有意義な体験
ができた。自分たちの質問に手を止めて答えてくれたり,笑顔で楽しく説明をしてくれたりした見学
先の方々に感銘した児童も多い。そこで,見学させて頂いた施設の方々に向けた封書の礼状を送るこ
とを最終目標とし,学習の最後まで意欲をもてるようにする。児童は見学した3カ所の施設の中から
礼状を送る先を自分で決め,
校外学習のしおりやメモを元に学習を進めていく。書き上がった手紙は,
近くの郵便ポストに投函しに行くこととした。本教材で扱う礼状の「はじめのあいさつ」
「むすびのあ
いさつ」
「後付け」については,使う言葉をいくつか挙げ,書くことが苦手な児童もその中から選んで
書けるようにする。
「本文」
を考える場面では,見学時に質問に答えていただいた事や初めて知った事,
驚いた事などを想起させながら進めることで,自分が何に感動し感謝したいのかを明確にさせていき
たい。お世話になった相手に対して,感謝の気持ちを自分の言葉で書き表し実際に伝える機会を持つ
ことで,気持ちを言葉で表す手紙というコミュニケーションの良さやもらった相手の気持ちを想像す
るといった楽しさを感じられるとともに,自然に生きた敬語を使うよい機会が持てるのではないかと
考える。
3年生でのこの学習を通して,児童自らが今後の実生活に役立つ学習という事を実感できるように
したい。
≪ユニバーサルデザインの視点を取り入れた指導のポイント≫
①手紙の形式を捉えるための工夫
○ 「礼状」の形式を正しく捉えるために「はじめのあいさつ」
「本文」
「むすびのあいさつ」
「後付
け」を適切な順番に並べる活動をすることで,正しい形式を捉えられるようにする。
(焦点化)
○ マス目が書かれたワークシートを用意し,下書きで段落毎に一字下がりが意識できるようにす
る。
(視覚化)
○ 分かった事,驚いた事,不思議に思った事,感じたこと,さらに知りたくなった事を色別の付
箋に書き出すことで,視覚的に分類できるようにする。(視覚化)
②伝えたい事を明確にする工夫
○
手元に校外学習のしおりを置き,見学した時に感じた事や考えたことを確認しやすくする。
(焦点化)
○
同じ施設の方に手紙を書く児童同士で下書きを読み合う。(共有化)
○
順番を入れ替えた文を例示し,それぞれどのような役割があるのか考えながら間違いを探すこ
とで,効果的な文の並びを理解できるようにする。(焦点化)
③適切な言葉遣いを考えるための工夫
○
友達や先生方,家族などとの会話をロールプレイさせ,言葉遣いの違いから手紙を送る相手に
適した書き方を意識できるようにする。(焦点化)
4
単元の目標
○ 感謝の気持ちを伝えたいという思いをもって,手紙を書こうとする。
【関心・意欲・態度】
○
手紙を書くときに必要な事柄を把握して書くことができる。
【書く能力】
○
○
敬体と常体に気をつけて手紙を書くことができる。
【書く能力】
気持ちや要件を適切な言葉で表すことができる。【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項】
5
次
第
1
次
課
題
を
も
つ
指導計画(5時間扱い)
主な学習活動
時配
1
○
手紙の役割について学
指導上の留意点
◎
ぶ。
実際の手紙を見せ,手紙には様々
○ 「礼状」を出す施設を
選ぶ。
手紙の構成を捉える。
○ 誰に,どんなことでお
世話になったか,どんな
手紙の良さが分
かり,感謝の気持ち
を伝え る手 紙につ
◎
今回は見学させていただいた施設
へ「礼状」を書くことを知らせ,意
丁寧に説明してくださった方々を
思い起こし,どこに感謝をするか明
○
☆
な種類があることが分かるようにす
る。
欲をもたせる。
2
主な評価規準と
評価方法
いて,書く相手を明
確にしている。
(ノート・発表)
◎
☆
手紙に書く内容
を明確にしている。
確にできるよう支援する。
◎ 順番の配置を考えさせ,適切な配
置を捉えられるようにする。
◎ 色の付箋に書き出させ,分類しや
すくさせる。
(ノート・付箋・発表)
◎
☆
気持ちをもったかを付箋
に書き出し明確にする。
第
2
次
書
く
3
○
「はじめのあいさつ」
「むすびのあいさつ」
「後付け」
には何を書くのかを知
り,下書きする。
○ 敬体と常体の違いを理
解し,適切な言葉遣いを
意識する。
文の中の言葉を隠したり,違う言
葉を入れたものを例示したり,自分
ならどんな言葉を入れるか考えさせ
ながら正しい構成を捉えさせる。
◎
ロールプレイをして,場面や相手
によって適切な言葉を使うことを意
識させる。
手紙の型を知り,
どんな 事を 書くの
か理解している。
(ノート・発表・ワ
ークシート)
4
本
時
○ 「本文」の構成を捉え, ◎
気持ちを伝える文を考え
下書きする。
3つの文に分解し,短冊にしたも
○ 全体を読み直し,見直
しをする。
☆
のを並べ替えながらそれぞれ何が書
かれているのか分析させる。
伝えたい気持ち
をもっ て必 要な事
柄を選 んで 書いて
◎
付箋から,伝えたい気持ちに沿っ
た内容を選んで書くよう助言する。
いる。
(付箋・ノート・ワ
ークシート)
第
3
次
ま
と
め
5
○ 互いに読み合い,見直
しをする。
○
清書用紙に清書する。
推敲し,封書の宛名を書
く。
◎
下書きと同じレイアウトの清書用
紙を用意する。
☆
宛名の書き方を
理解し,正確に宛名
を書いている。
(手紙)
6
本時の指導(4/5)
(1) 目標
○
自分の伝えたい気持ちに沿って,「本文」に必要な事柄を選んで書くことができる。
【書く能力】
(2)展開
時配
形態
15 分
主な学習活動と内容
1
個別
「本文」の内容を分析する。
○
全体の支援(◎)
評価(☆)
◎
3つの文それぞれに書かれている
「本文」を3つの文に分け,並
べ替えパズルをする。
〈感謝〉
個別の支援(※)
UD の視点(U)
内容が違うことを実感できるように
計画表
短冊
する。
U 順番を入れ替えた文を例示し,それ
〈初めて知った事〉
ぞれどのような役割があるのか考え
〈学校で発表したときの感想〉
ながら間違いを探すことで,効果的な
・感謝を最後にする。
資料
教具
並びを理解できるようにする。
(焦点化)
・最初に「クラスで―」はおかし
い。
「はじめのあいさつ」と合わせ
◎ 「はじめのあいさつ」と合わせて読
んでみると分かりやすいことを助言
て声に出して読んでみる。
○ 例文を使い〈感謝〉
〈初めて知っ
た事〉〈学校で発表したときの感
する。
※ 悩んでいる児童には,傍で教師が声
に出して読む。
○
一斉
2
想〉という順番で読むと伝わり易
い事を知る。
◎
それぞれの文の内容は違い,効果的
な並べ方がある事を説明する。
本時の課題をつかむ。
※
集中することが苦手な児童には,支
援員が寄り添い,一緒に読んで課題を
つかめるようにする。
自分の気持ちを文にして「本文」を完成させよう。
15 分
個別
3
付箋から選ぶ。
○ 〈感謝〉の文に続き,自分の伝
えたい気持ちを選んでワークシー
トに並べる。
・青は青の所に入れると良いな。
・最後はもっと知りたくなった事
にしようかな。
ペア
4
ペアで見合う。
○ 同じ施設に書く友達同士でペア
になり,読み合う。
U
付箋に書いてある,分かった事・驚
いた事・不思議に思った事・感じたこ
と・さらに知りたくなった事の中から
ワークシート上の同じ色の所に貼り
ながら考えることで,視覚からも分類
ができるようにする。(視覚化)
伝えたい事の付箋を選ぶことが難
しい児童には,色別に整理しながら一
緒に選ぶようにする。
※ 選ぶことに難しさを感じている児
※
童には,支援員が寄り添い,気持ちを
聞き出しながら伝えたいことを決め
られるようにする。
◎ 自分が感謝したいことは何だった
か,もう一度確認させ,相手に気持ち
が伝わるかという視点をもたせる。
色付箋
ワーク
シート
・自分だけが思ったことを入れた
U
いな。
・友達と使っている言葉が違って
同じ施設の方に手紙を書く児童同
10 分
面白いな。
下書きする。
5
個別
士で下書きを読み合い,アドバイスや
良い所を伝え合う。(共有化)
◎
○
敬体に直しながら,3つの文を
下書きする。
前時に学習した適切な言葉遣いに
カード
ついて思い出させ,敬体を意識するよ
うポイントカードを提示する。
U
マス目が書かれたワークシートを
ワーク
用意し,下書きで段落毎に一字下がり
シート
が意識できるようにする。(視覚化)
※ 意欲的に書ける児童には,罫紙を用
5分
個別
6
意する。
◎ 提示してあったポイントカードを
まとめをする。
○
全体を通して読み,気持ちが伝
わる手紙になっているか見直す。
○
見せながら,書く時に注意するポイン
トがしっかり書けているかどうか確
「はじめのあいさつ」
「本文」
「むすびのあいさつ」
「後づけ」
を通して読み,気持ちが伝わる手
紙になっているか確認する。
・全部丁寧な言葉遣いでそろえて
書けた。
カード
認させる。
※
直したい部分や誤字・脱字があった
場合には直して良いことを伝える。
※
句読点の位置が違う児童には,マス
目を意識して書くよう声をかける。
☆
自分の伝えたい気持ちに沿って,
「本文」に必要な事柄を選んで書くこ
・文字を間違えた。
・句読点の位置はここで合ってい
とができたか。
(付箋・ノート・ワークシート)
るかな。
○
次時は友達同士で読み合い,さ
らに見直しをしてから清書するこ
◎
次時の計画を確認し,意欲をもたせ
る。
とを確認する。
(3)板書計画
学
○
<
手
紙
を
書
く
た
め
に
3
つ
の
文
の
短
冊
>
気
を
つ
け
る
こ
と
か
ん
せ
い
さ
せ
よ
う
。
自
分
の
気
持
ち
を
文
に
し
て
「
本
文
」
を
計画表
【ユニバーサルデザインの視点を取り入れた指導の工夫】
① 手紙の形式を捉えるための工夫
U
マス目が書かれたワークシートを用意し,下書きで段落毎に一字下がりが意識できるようにした。
(視覚化)
「初めの挨拶」
「結びの挨拶」
「後付け」
は,例文やいくつかの手紙を読み,児童
が自分で選んで下書きした。
の場所は空ける約束として意識でき
るようにした。
本文も手紙の便箋と同じ行の幅のワーク
シートに下書きをした。
U
分かった事,驚いた事,不思議に思った事,感じたこと,さらに知りたくなった事を色別の付箋
に書き出すことで,視覚的に分類できるようにした。(視覚化)
ピンク・水色・黄色の付箋を用意し,
それぞれに見学で感じた事を書き出した
て分類した。
ピンクは感謝したい事。
水色は驚いたり,初めて知ったりした事。
黄色はもっと知りたくなった事や不思議
に思った事。
どれを選べば自分の伝えた
書き出した付箋から,ワークシートの色に合
わせて1枚ずつ選ぶ。
い事が伝わるかな。
<本文を下書きしたもの>
②伝えたい事を明確にする工夫
U
同じ施設の方に手紙を書く児童同士で下書きを読み合った。
(共有化)
自分が伝えたい感謝の気持ちが文面から
伝わるかお互いに聞いてアドバイスし合っ
た。
敬語を使っていない所は,敬語に直し
た方が良いと思うよ。
手紙をもらう相手の気持ちになって聞
き合うようにした。
最後に「お仕事頑張って下さい。
」と
いう文が入っていてとても良いね。
U
順番を入れ替えた文を例示し,それぞれどのような役割があるのか考えながら間違いを探すこと
で,効果的な文の並びを理解できるようにした。(焦点化)
「この間は」から始まって
いる短冊カードが始まりか
な。
本文を3つの文に分けた。児童には短
冊カードを用意し,操作しながら考えら
れるようにした。
次はどっちだろう。
③適切な言葉遣いを考えるための工夫
U
友達や先生方,家族などとの会話をロールプレイさせ,言葉遣いの違いから手紙を送る相手に適
した書き方を意識できるようにした。(焦点化)
家族との会話と,お客様や先生
方との会話の仕方の違いから,言
葉使いや敬語を意識させた。
そこで挙がった事を次の時間か
ら板書するようにした。
<児童作品>
【成果と課題】
○
マス目が書かれたワークシートを用意し,下書きで段落毎に一字下がりが意識できるようにした
ことにより,清書でほとんどの児童がスムーズに書くことができた。
○
分かった事などを色別の付箋に書き出して分類したことで,何をどこに書くのか迷わずに下書き
を書くことができた。
○
同じ施設の方に書いた児童同士で読み合ったことで,互いに助言しながら手紙を通して相手に気
持ちを伝えるという事を意識できた。
○
「はじめのあいさつ」「本文」「むすびのあいさつ」「後付け」を並び替える活動を行ったことで,
手紙の形式を楽しみながら身に付けることができた。
○
ホワイトボードを使って,1時間の流れが分かるようにしたため,集中することを苦手とする児
童でも1時間の授業に見通しをもって取り組むことができた。
●
視覚的に理解する場面を増やす必要があった。教師から口頭での指示よりも,文を書くときのポ
イントを板書できるような物にして,児童がいつでも視覚的に確認できるようにすると良かった。
●
しおりを見返しながら付箋に書き出したり,付箋から下書きに書き換えたりする活動では,進ん
で書くことができる児童と,支援を必要とする児童との差がかなりあるので,個別の支援を意識し
た仕掛けをさらに研究していく必要がある。
第5学年1組
国語科学習指導案
指導者
青木
紀子
1
単元名 筆者の考えの進め方をとらえ,自分の考えを発表しよう
(教材名)
「見立てる」「生き物は円柱形」
2
単元について
本単元は,小学校学習指導要領第5学年及び第6学年の【C読むこと】指導事項(1)
「ウ目
的に応じて,文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり,事実と感想,意見などとの関係
を押さえ,自分の考えを明確にしながら読んだりすること。」を受けて設定したものである。
本単元は,プレ教材「見立てる」と本教材「生き物は円柱形」のどちらも典型的な双括型の
文章構成を持つ説明文で構成されている。プレ教材「見立てる」は,あや取りの名づけ方を通
して,人の想像力と地域性の関係について考えさせる文である。
「初め」の段階で早々に「見立
てる」ということの本質について述べ,さらに終末でも結論を述べている。本教材「生き物は
円柱形」も同様に双括型の構成になっており,
「初め」の段階で結論を述べている。生物は多様
であるが,同時に,円柱形という共通性をもつという主張である。どちらも本論の展開部分で
「あや取り」や「生き物」など親しみやすい具体例を取り上げている。しかもそこに新たな視
点をもたらし,児童の知的好奇心をくすぐる教材になっている。
児童は,4年生「アップとルーズで伝える」の学習において,事例を挙げ,それを踏まえて
最後に結論を示すという尾括型の構成を学んだ。また先に結論を示して,その後,論証すると
いう頭括型の構成は,
「大きな力を出す⁄動いて,考えて,また動く」で学習した。中心となる
語や文に注目して要点をまとめたり,小見出しを付けたりするなど,段落相互の関係や事実と
意見との関係を考え,文章を読む学習を経験してきている。ここでは,双括型の文章構成を理
解しながら,的確に筆者の主張を読み取る力を身に付けたり,読み取ったことを基に,自らの
意見を持ち,表現したりする力が求められる。
そこで指導にあたっては,プレ教材「見立てる」において,挿絵を利用した導入を行い,本
文との対応をとらえさせる。そして,双括型の構成を把握するため「初め」「中」
「終わり」に
分類し,それぞれの関係を押さえる。また,結論を繰り返したり,根拠を挙げたりすることに
より,読者を納得へと導く技法の良さを確認し,筆者の主張を読み取らせたい。次に本教材「生
き物は円柱形」では,プレ教材で学んだことを生かして,文章構成や譲歩を伴う構文の良さを
理解し,要旨をとらえるようにする。さらに,筆者の考えや考えの進め方に対する自分の意見
を持てるようにするため,
「生き物は円柱形新聞」を作成し,友達と交流するというゴールを設
定する。前単元「新聞の編集のしかたや記事の書き方に目を向けよう」での学習を生かして,
読み取った要点を基に,要旨をリード文としてまとめさせたり,コラム欄に自分の考えを書か
せたりする。そして,互いの表現を交流することで自分の考えが深まることの価値を実感させ
たい。このような学習を通して得られる能力や態度は,事実と意見との関係を押さえ,自分の
考えを明確にしながら読んだり,文章構成を考えながら表現しようとしたりする態度へと結び
ついていくものと考える。
≪ユニバーサルデザインの視点を取り入れた指導のポイント≫
①視覚的にイメージさせるための工夫
○ 導入時に挿絵のアップを利用したり,挿絵から題名を予想したりする活動を取り入れる
ことで内容への関心を高める。
(視覚化)
○ 「初め」と「終わり」の文を色画用紙に印刷することで,二度結論が述べられている様
をとらえやすくする。
(視覚化)
②文章構成をとらえ,要旨を読み取るための工夫
○ 双括型の構成を把握するため,学習材を「初め」「中」「終わり」の文に分けて配布し,
適切に配置する活動を取り入れる。(焦点化)
○ 文章構成を意識できるようペアで担当を分けて音読する。(共有化)
○ 段落の配置やキーワードの使われ方をペアやグループで説明し合う。
(共有化)
○ 掲示されたキーワード,キーセンテンスに着目し,マス目が書かれたワークシートに要
旨をまとめる。(視覚化)
③効果的な説明の仕方を読み取るための工夫
○ 譲歩構文を用いた文章作成に取り組み,その効果や汎用性を学ぶ。
(焦点化)
○ 譲歩を用いた主張の文を,ペアで工夫して作る活動を取り入れる。(共有化)
④筆者の考えに対して自分なりの考えを持つための工夫
○ 新聞のモデルを提示し,学習のゴールを明確にする。(焦点化)
○ 新聞を交流することで,自分の考えを深める。
(共有化)
4
単元の目標
○ 文章構成を考え,話題と筆者の考えの進め方に対して自分なりの考えを持とうとする。
【関心・意欲・態度】
○ 文章構成を把握することで,筆者が話題としていることや主張していることを読み取るこ
とができる。
【読む能力】
○ 筆者の考えや,考えの進め方について感じたことを引用したり内容を要約したりしながら
まとめることができる。
【読む能力】
○ 文章構成に関する知識や概念を身に付けたり,主張のための筆者の工夫について理解した
りすることができる。
【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項】
5 指導計画(9時間扱い)
次 時配
主な学習活動
指導上の留意点
第 1 ○ 挿絵のアップ画像が ◎ 挿絵をアップからルーズに移
1
何に見えるか話し合
行しながら,児童を引きつけ,
次 本
う。
興味をもたせるようにする。
時 ○ 配付された二つの文 ◎ 「中」のセンテンスカードの
見
を「初め」と「終わり」
み先に読ませることで物足りな
立
に分類する。
さを感じさせてから「初め」と
て
○ 双括型であることを
「終わり」を読ませる。
る
知る。
◎ 色画用紙を用いて視覚的に結
論が繰り返されていることを確
認させる。
2
○ 「中」の順序性,
「中」 ◎ キーワードを○で囲んだり,
と「終わり」の関係を
線でつなげたりすることで,文
話し合い,文章構成を
章構成がより良く理解できるよ
とらえる。
うにする。
主な評価規準と評価方法
☆ 色別段落カードを並
び替えることを通し
て,結論が繰り返され
ることに気づき,文章
の組み立てを考えてい
る。
(カード・ワークシー
ト・発表)
☆
文章構成や例の挙げ
方に着目して読み,筆
者が話題にしているこ
とや主張していること
を読み取っている。
(ノート・発表)
3
第
二
次
生
き
物
は
円
柱
形
第
三
次
ま
と
め
4
○
双括型の良さを話し ◎ 「初め」と「終わり」のキー
合い,要旨をまとめる。
ワード,キーセンテンスに着目
させ,60字程度でまとめさせ
る。
○ 挿絵から題名を予測 ◎ 新聞を作成し,友達と交流す
する。
るというゴールを設定し,目的
○ 学習計画を立てる。
意識を持たせる。
○ 「初め」と「終わり」 ◎ 「初め」と「終わり」を先に
を読み比べる。
読ませ,共通性に気づくように
する。
☆ 「初め」と「終わり」
に着目して要旨をまと
めている。
(ノート・ワ
ークシート)
☆ 「初め」と「終わり」
を読み比べ,共通性に
気づき,双括型の特徴
をとらえている。
(ノート・発表)
5
○ 「中」を二つに分け, ◎ 「前半」
「後半」を「具体例」 ☆ 「中」の文章構成に
構成をとらえる。
と「良さ」という観点で内容を
気づき,それを生かし
○ 構成を意識しながら
整理し,筆者の考えの進め方を
て音読している。
役割音読をする。
読み取るようにする。
(ノート・発表・音読)
6
○
7
○ 「終わり」の文から, ◎ 多様性と共通性の使われ方を
多様性と共通性の使わ
ペアで説明し合ったり,キーワ
れ方を話し合う。
ードに線を引いたりすることを
○ 要旨をまとめる。
通して,筆者の考えを理解でき
るようにする。
☆
8
○
◎
要旨はリード文に書く。各割
付の小見出しを考え,要点をま
とめるようにする。
◎ 筆者の考えや考えの進め方に
賛成か否か,自分の考えを位置
づけてから,コラム欄に書くよ
うにする。
☆
9
○
◎
☆
譲歩の文の必要性を
話し合う。
○ パターンを用いて例
文を作る。
筆者の考えや考えの
進め方について,自分
の考えを持ち,新聞に
まとめる。
「生き物は円柱形新
聞」を交流し,学習を
振り返る。
◎ 「たしかにA」
「しかしB」と ☆ 譲歩の文の良さに気
いう「歩みよりの文」と「主張
づき,例文を書いてい
の文」を色別で提示し,良さを
る。(ノート・発表)
話し合うことで,説得力を持た
せる説明の工夫であることに気
づくようにする。
友達の新聞を読み,良かった
点を付箋に書いて交流できるよ
うにする。
多様性と共通性への
筆者の考えについて理
解し,要旨をまとめて
いる。
(ワークシート・
発表)
筆者の主張について
感じたことを,文章を
引用したり要約したり
しながら表現してい
る。
(新聞)
自分の考えと比べな
がら読んでいる。
(観察・付箋・発表)
6 本時の指導(1/9)
(1) 目標
○ 色別段落カードを適切に並び替えることを通して,結論が繰り返されることに気付き,
双括型の文章構成をとらえることができる。
【読むこと】
(2)展開
時配
形態
10 1
一斉
全体の支援(◎) 個別の支援(※) 資料・教具
評価(☆)
UDの視点(U)
あや取りの挿絵を見て話し合う。 ◎ やりとりを通して「見立てる」
という行為を体験させる。
○ 挿絵が何か想像する。
・漁業の網かな。
U 挿絵をアップからルーズに移 挿絵
・布かな。
行したり,あや取りの実物も見 あや取り
・あや取りの田んぼだ。
せたりすることで,児童を引き
○ 別のものとして見る行為を「見
つけ,興味をもたせるようにす
立てる」ということを知る。
る。
(視覚化)
5
一斉
個別
学習活動と内容
2
「中」の部分を読み,話し合う。 ◎
「初め」
「中」「終わり」に分
けた色別段落カードを,用意す
る。
「中」のみを先に配付し,読
ませることで物足りなさを感じ
させ,内容から構成への関心へ
と持ち込むようにする。
○
あや取りについて,詳しく説明
されている文を読む。
・文が足りない気がする。
・
「初め」がないよ。
・まとめもないよ。
段落カード
「中」(黄
色)
「初め」
「終
わり」
(ピン
ク)
◎
初めて出会う教材なので,教
師が先に音読し,読みの抵抗を
軽減できるようにする。
U
5
一斉
3
本時の課題をつかむ。
○
◎
どちらが「初め」で,どちらが
「終わり」の段落か,構成に関心
を持つ。
まとめは,どっち?
20
読みの苦手な児童には,スラ
ッシュ(/)を入れたシートを
用意する。
(視覚化)
さらに,指でなぞってもよい
ことを伝える。
「初め」と「終わり」の同色
段落カードを,順序を変えて渡
し,まとめが「終わり」にくる
はず,と尾括型文章のような揺
さぶりをかけるようにする。
文章の組み立てを考えよう。
「初め」と「終わり」の二つの部 U 段落カードを適切に配置する
分を比べて話し合う。
活動を取り入れることで,文章
構成をとらえるようにする。
4
ワークシー
ト
個別
○
色別段落カードを動かしながら
文章構成を考えて,適切に配置す
る。
U
(焦点化)
ペア
ペアで話し合うことにより, ホワイトボ
考えを持ったり,深めたりでき ード
るようにする。
(共有化)
※
読み取りの方法が分からない
児童には,二つの段落カードか
ら,同じことばを探して○で囲
んだり,指でつないだりするよ
う助言する。
一斉
○
どんな順になったか,理由も含 ※ 発表が苦手な児童には,
「まと
めて発表する。
めは~です。なぜなら~だから
・両方に同じことばがある。
です。」という発表の仕方を提示
・似ている。
する。
・
「見立てる」にかっこがついて
いるのとついてないのがある。 ※ 発言が消極的な児童には,配
置順と理由をペアの友達と分担
し,前項を発表することで,発
言に自信を持たせていきたい。
◎
迷った理由や気付きも発表さ
せるようにする。
○
「見立てる」のかぎかっこから ◎ 「終わり」の一文目を切り離
「初め」を確定し,話し合う。
し,
「初め」の各文の横に並べて
比べることにより,
「初め」にも
結論が入っていることに気づく
ようにする。
結論を最初と最後の二回述べる U 結論を最後に述べる構成(尾
構成(双括型)をとらえる。
括型),最初に述べる構成(頭括
型),最初と最後の二回述べる構
成(双括型)のイメージ図を提
示することで,視覚的にもとら
えやすくする。
(視覚化)
○
5
個別
5
本時の振り返りをする。
U まとめをフォーマットで書く
段落カードをワークシートに貼
ようにする。
(焦点化)
り,本時の学習について分かった
ことを書く。
☆ 色別段落カードを並び替える
ことを通して,結論が繰り返さ
○ 次時は,
「中」と「終わり」の
れることに気づき,文章の組み
関係を読み取ることを確認する。
立てを,とらえることができた
か。
○
イメージ図
(段落カード・ワークシート・発
表)
(3)板書計画
ま
○
(
結
論
)
を
述
べ
て
い
る
。
終 わ り
中
学
○
初 め
文 の 形
こ
の
文
は
、
(
初
め
)
と
(
終
わ
り
)
の
二
回
、
ピ
ン
ク
ピ
ン
ク
ピ
ン
ク
ピ
ン
ク
(
文
章
)
黄
色
(
空
欄
)
ピ
ン
ク
(
文
章
)
ピ
ン
ク
結 論
説 明
結 論
文
章
の
組
み
立
て
を
考
え
よ
う
。
ま
と
め
は
、
ど
っ
ち
?
見
立
て
る
と
は
・
・
・
別
の
物
に
た
と
え
る
こ
と
見
立
て
る
野
口
ひ
ろ
し
【ユニバーサルデザインの視点を取り入れた指導の工夫】
①視覚的にイメージさせるための工夫
U 導入時に挿絵のアップを利用したり,あや取りの実物を見せたりすることで,児童を引き
つけ,興味をもたせるようにした。
(視覚化)
これは,何の絵だと思い
ますか?
・何だろう?
・あみかな?
・ザルじゃない?
・布のアップ?
・アップからルーズになっ
ている!
・わかった,あや取りだ!
たんぼができまし
た。みんな,あや取り,
やったことあるかな?
ぼくもやってみた
いな。
U
色別段落カードや文型イメージ図を用意することで,
「初め」と「終わり」に二度結論が述
べられている様をとらえやすくした。(視覚化)
段落カード
「中」を黄色,
「初め」
「終わり」をピンク
結論を最初と最
後の二回述べる構
成(双括型)
,最初
に述べる構成(頭
括型),最後に述べ
る構成(尾括型),
のイメージ図
結論の部分をピ
ンクに色づけして
提示した。
②文章構成をとらえ,要旨を読み取るための工夫
U 双括型の構成を把握するため,学習材を「初め」
「中」
「終わり」の文に分けて配布し,適
切に配置する活動を取り入れた。
(焦点化)
どっちが,
まとめだろう。
同じ言葉が
どっちにも書
いてあるな。両
方答えみたい。
U
読みの苦手な児童には,スラッシュ(/)を入れたシートを用意し,読みの抵抗を軽減す
るようにした。
(視覚化)
裏面にスラッシュ
(/)を入れた文章を
用意し,自分で選択し
て読めるようにした。
指でなぞって読ん
でも良いことも助言
した。
U
自分の考えを持ったり,深めたりできるようにするため,段落の配置やキーワードの使わ
れ方をペアで説明し合う活動を取り入れた。(共有化)
わたしは,青が
まとめだと思う
けど○○君はど
う思う?
こっちは「見立
てる」に「 」が
ついているよね。
わたしたちは,赤が「初め」で青が「終わり」
だと意見が一致しました。
なぜかというと,文章の最後に「深く関わって
いるのだ」と強い表現で書いてあるからです。
U 掲示されたキーワード,キーセンテンスに着目し,マス目が書かれたワークシートに要
旨をまとめるようにした。
(視覚化)
③効果的な説明の仕方を読み取るための工夫
U 譲歩構文を用いた文章作成に取り組み,その効果や汎用性を学ぶようにした。(焦点化)
U 譲歩を用いた主張の文を,ペアで工夫して作る活動を取り入れた。(共有化)
ホワイト
ボードに,
ペアでアイ
デアを出し
合い,歩み
よりの文を
作成した。
④筆者の考えに対して自分なりの考えを持つための工夫
U 新聞のモデルを提示し,学習のゴールを明確にした。(焦点化)
U 新聞を交流することで,自分の考えを深めるようにした。(共有化)
【成果と課題】
○ 導入時に挿絵のアップを利用したり,あや取りの実演をしたりすることで,児童を引き
つけ,本時の学習に興味を持たせることができた。
○ 学習材を「初め」
「中」
「終わり」の文に分けて配布し,適切に配置する活動を取り入れ
ることにより,児童は主体的に文章を読み取り,双括型の構成に目を向けることができた。
○ 色別段落カードや文型イメージ図を用意することで,
「初め」と「終わり」に二度結論が
述べられている様を視覚的にとらえることができた。
○ 読みの苦手な児童には,スラッシュ(/)を入れたシートを用意したり,指でなぞりな
がら読んでも良いことを助言したりしたことにより,読みの抵抗を軽減することができた。
○ ペアでの活動を取り入れたことにより,自分の考えを持ったり,深めたりすることがで
きた。理解や発表が苦手な児童にとっても友達の協力を得ることで自信へとつながった。
○ 双括型や譲歩構文の良さを理解することで,説得力を持たせるための筆者の工夫に気づ
くことができた。
● 要旨の中心である段落や繰り返されるキーワードなどに着目することはできたものの,
要約する力が不足している児童への効果的な手立てを工夫する必要がある。
【白潟小学校のユニバーサルデザイン】
○ 教室掲示
① 教室前面
児童が学習に集中できるよう教室内の掲示物を統一した。
「1日の予定」をホ
ワイトボードで掲示
学習の中
で必要に応
じて「学習の
流れ」を掲示
した。
し,1日の生活の見通
しが持てるようにし
た。さらに周知したい
内容については右側の
スペースを活用した。
② 教室内の掲示物 ≪視覚化≫
1年生を中心に,教室での整理整頓の見本を写真で掲示した。毎日掲示してあるため,整
理整頓の定着につながった。
<引き出しの中身>
<ぞうきんの干し方>
<ロッカーのしまい方>
ぞうきんの干し方の掲示は全学年に
実施し,全校での定着を図った。
○ 校内掲示
① 安全教育
≪視覚化≫
地震がおきたときの対応をそれぞれの場所ごとに写真で掲示をし,見て行動できるように
視覚化した。
<教室>
<廊下>
<トイレ>
<階段>
<家庭科室>
<図書室>
<理科室>
<体育館>
<音楽室>
② 保健教育
保健コーナーの掲示物について,目で見てわかる,触ってわかる掲示を意識し,掲示物を
作成するようにし,児童の理解を深めた。
<熱中症の掲示物>
<水分補給の掲示物>
答えを隠して,児童の
目が行くようにした。
1日にどれくらいの水
が体から出ていくのか一
<白潟小学校安全マップ>
目でわかるようにした。
また,自分の状態をうまく伝えられない児童に対し,
「意
思表示カード」,
「痛みのものさし(ペインスケール)
」を児
童とのコミュニケーションに活用した。
<意思表示カード>
学校でけがをした場所
を学年ごとに色別シール
に分けて,保健給食委員会
の児童が貼っている。
<痛みのものさし>
③ 清掃関係
≪視覚化≫
清掃用具のしまい方を校内で統一し,見たとおりにしまえるように写真を掲示した。また,
トイレ等の特殊な清掃場所については,清掃の流れを写真付きで掲示し,一目でやり方がわ
かるようにした。
<清掃用具のしまい方>
見たとおり
にしまうこと
ができるので,
清掃用具入れ
の整頓の習慣
づけにつなが
った。
<トイレそうじのやり方>
<なかよし清掃時計>
④ コーナー掲示
≪焦点化≫
各教科等の掲示物をテーマごとにまとめた(焦点化)
。見出しを立体的にし,何のコーナー
か一目でわかるようにした。
<算数コーナー(高学年)>
<読書コーナー>
<体育コーナー>
<理科コーナー>
<委員会・クラブコーナー>
<保健コーナー>
<給食コーナー>
<作品コーナー>
<展示コーナー>
<安全コーナー>
⑤ その他
<教室への入る位置>
入室時の児童の立ち位置に「足マ
ーク」を設置した。学級での声かけ
も行い,入室時の挨拶の立ち位置を
定着させることができた。
<傘のしまい方>
かさのしまい方の見本を写真で掲示
し,全校で統一するようにした。高学年
は声かけのみで定着することができた
ので,低・中学年のみ掲示を続けている。
<右側歩行>
右側歩行を定着させるために,階段
の中心にペンキでラインを引いた。ま
た,低学年の廊下には矢印を示し,右
側歩行が身につくようにした。
<校内案内表示>
校内の案内矢印を場所ごと
に色分けして掲示した。同じ
色をたどれば,目的地へ到着
できるようにした。
Ⅰ学級・校内環境
よくしている
している
あまりしていない
していない
【日野市小中学校・教育委員会が提唱されたチェックリストをベースに
し
たアンケートを全職員に実施し(4月と9月)結果を分析しました。
1.場の構造化
0
① 4月
50
100%
教室内の物の置き場や座席等,先進校の実
践に倣い年度初めから比較的高い意識をもって
行っていった。9月には全職員が「かなりしている」
「よくしている」と回答した。
50
100%
教室前面の掲示物等の配置を全校で統一し
た。掲示物を絞る,学習掲示は簡素化するなど
して視覚的な刺激を減らすことは実行できている。
50
100%
クラスのルールや当番の割り当てなど,一人一
人の役割が明確にわかるような掲示を工夫し,
一目で自分の分担ややるべきことが分かるように
なった。給食当番などで困る場面もほとんど見られ
なくなった。
9月
2.刺激量の調整
0
② 4月
9月
3.ルールの明確化
0
③ 4月
9月
4.クラス内の相互理解の工夫
0
④ 4月
50
100%
9月
特別支援コーディネーターや支援員,外部のア
ドバイザーと連絡を密にし,児童個々の特性につ
いて教師が理解を深める機会が増えた。保護者と
の連携も進んでいる。しかし通級等となると家庭の
理解が進まないところもあるので説明を丁寧にして
よりよい指導の在り方を考えていく必要がある。
Ⅱ授業における指導方法
1.時間の構造化
0
⑤ 4月
9月
50
100%
一日の流れや単元の見通しなどについては,だ
いぶ意識して児童に伝えるようになってきた。これを
知って安心する児童も多い。学習活動をできるだ
けパターン化してボードに書き出すなど一時間の流
れがわかるような工夫も徐々に進めている。
2.情報伝達の工夫
0
⑥ 4月
50
100%
視覚化はだいぶ意識してきた。学習指導や連絡
帳記述など日々の生活場面で心がけている。口
頭での指示も具体的なものにしていくよう努力はし
ているが,児童の理解が不十分なところがある。
訓練としての口頭伝達も行うなど,実態に応じた
取組みをさらに進めていく。
50
100%
どの子も発表できるよう指導者が学習内容に工
夫を進めてきた。全般的に児童の参加意欲も高
まったと感じられる。一方で,困った時に指導者へ
のSOSを安心して発せられるようにしていく工夫が
必要である。また準備も大変だが,課題内容や
取り組み方に少しずつ変化をもたせるなど,集中
を持続させる工夫も更に進めたい。
50
100%
学習活動については手順の明確化,流れのパ
ターン化はだいぶ達成できている。理解の遅い児
童のために,課題をスモールステップ化することにさ
らに注意を払いたい。個別の指導も併せて考えて
いく。
9月
3.参加の促進
0
⑦ 4月
9月
4.内容の構造化
0
⑧ 4月
9月
Ⅲ個別的配慮(気になる児童に対して)
1.つまずき全般
0
⑨ 4月
50
100%
個別指導計画を折々に開き,有効に活用し
た。個別指導計画を作成していない児童に対して
も,支援員やコーディネーターの働きかけにより,
指導の足跡をきちんと残すなど有効な実践を積み
重ねつつある。担任が変わっても指導の質が変わ
らないよう今後も継続する。
50
100%
学習のつまずきに対しての分析がまだ十分でな
い。つまずきの学年レベル判定,ミスの仕方の分
析について,支援員や少人数担当を中心に進め
ている。担任はもちろん,職員全体で共有する機
会を積極的に設けていく必要がある。
50
100%
集団への参加を進める担任の努力は功を奏し
ている。またそうした社会的なスキル(あいさつ,振
舞い,謝り方等)を担任以外の職員も一丸となっ
て身に付けさせようとしている場面を多く見うける。
一方,通級等での指導の検討となるとあまりなさ
れていない。
9月
2.学習のつまずき
0
⑩ 4月
9月
3.社会性のつまずき
0
⑪ 4月
9月
4.注意のつまずき
0
⑫ 4月
50
100%
注意の苦手な児童も楽しく活動できる学習にし
ようと,教師の授業改善への意識は高まってい
る。集中が切れた時にどうすればよいかの具体的
な指導がやや手薄である。支援員や特別支援担
当にアドバイスしてもらうなどして,更なるスキルアッ
プを図りたい。
50
100%
指示理解の弱い子に図示したり個別に説明した
りといった工夫はなされてきた。ただ,日々の細事
に忙殺され,時間を掛けてじっくり聞いてあげること
ができていないと答える教師も見られた。そうした機
会を意識して増やしていきたい。
50
100%
体育的な活動の場面だけでなく,ハサミや糊そ
の他の道具の使用の際も,少しずつ配慮が進ん
できている。ノートにプリントを貼る場面など,作業
に教師が手を貸すことはもちろんだが,児童の苦
手感を払拭する方法を知り,訓練させる方法も
体得していきたい。
50
100%
情緒につまずきのある子に対し,教師たちの意
識は高まってきている。クラス全体を指導する時な
かなか特定の子のためだけにその子の得意な活動
を入れたり,学校が好きになれるようなことを探し
たりすることはできないのは実情である。それでも心
掛けて折を見つけて取り組んでいく必要がある。
9月
5.言葉のつまずき
0
⑬ 4月
9月
6.運動のつまずき
0
⑭ 4月
9月
7.情緒のつまずき
0
⑮ 4月
9月
Ⅳ全体を振り返って
教室や校舎の環境整備などは,全体で歩調をそろえながら順調に進んできている。一方で,
授業時間や内容の構造化など,一朝一夕にはできないものが改善が遅い。長い時間を掛
け,そのあり方を全員で探っていくという作業がこれからも重要になってくると考える。問題意識を
強く持つことで,全体のスキルアップを図っていきたい。
個別の配慮の中でも学習理解のつまずき,注意力・集中力のつまずき,運動のつまずきなど
への対応にやや教師たちの戸惑いが見られる。どれも一人ひとりつまずきの質が違うので,その
子に合った配慮を考えなくてはならない。同時に,担任であればそれを克服するような励ましも
与えたい。一人の教師による全体指導の中での個別指導が難しいときには,少人数担当や学
習支援員が熱心に情報を収集したり,方法を提示したりしている。また複数の外部のアドバイ
ザーを積極的に活用し,その子に寄り添った,適切な指導の在り方を探っている最中である。
まだ目標達成までは遠いが,全職員で一丸となって様々なことに取り組む
ことはお互いに良い刺激となっており,質の高い研修体験ともなっている。
(文責 調査部)
これまでの研究の成果と課題
〔成果〕
○
ユニバーサルデザインの視点を取り入れ,学習計画を立てたり,効果的な資料やしかけを
準備したりしたことで,どの児童も自ら考え,意欲的に取り組む姿が見られるようになった。
○
ユニバーサルデザインの視点を取り入れたことで,誰もが分かる・できる授業が展開でき
るようになってきた。特に共有化の場面では,思考や表現に児童の自信が感じられるように
なった。
○
気になる児童に対する理解と支援のあり方について,専門講師からの指導や助言を受けた
り,事例を研究したりすることにより,理解を深めることができた。
○
一日の生活や学習の流れを掲示したり,教室全面の刺激量を調整したりすることにより,
児童は見通しを持ち,落ち着いて学習に取り組めるようになった。
○
災害時の避難の仕方や清掃用具のしまい方等,視覚的な手がかりとして,写真を活用した
掲示を多く取り入れたことで,児童の理解や意識が高まった。
○
掲示物をコーナー毎にまとめたり,視覚だけでなく触ってわかる工夫をしたりすることで,
児童の興味・関心が高まった。
〔課題〕
●
合理的配慮(個別の支援)について,今後も様々な手法を学び,取り入れていく必要があ
る。
●
少人数指導担当や支援員との協力・連携を図るため,綿密な打ち合わせをする時間の確保
が必要である。
●
全ての授業にユニバーサルデザインを取り入れていく,準備時間の確保が難しい。
●
あると便利なユニバーサルデザインであるが,効率も考え,どこまで必要かを実態に応じ
て判断していく必要がある。
〈参考文献〉
・千葉県総合教育センター 特別支援教育部
『どの子も「わかる」
「できる」をめざす授業や学級づくり』 『ヒント集』
・佐藤愼二 『通常学級ユニバーサルデザイン』 東洋館出版社
・桂
聖
『国語授業のユニバーサルデザイン』 東洋館出版社
『教材に「しかけ」をつくる国語授業10の方法』
・山武市立山武北小学校
東洋館出版社
『研究のまとめ』
・東京都日野市教育委員会 『通常学級での特別支援教育のスタンダード』
東京書籍
おわりに
「なんでできないのだろう」「どうしてわからないのだろう」これは,教員が授業に取り組む
中で誰しも突き当たる壁です。「児童の実態をとらえ,授業を考える」ということも,どの学校
でも行われてきたことで,どの教員もやっていることです。
しかし,今回,文部科学省による「発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期支援研究事
業」の指定を受け,研究を進めてまいりましたことで,今までとは異なる視点で学ぶことができ
ました。それは,これまで「国語が苦手な子」「全く黒板を写さない子」と漠然ととらえていた
子どもの姿とは異なり,「脳の機能のこの部分が未発達なため,この分野とこの分野が苦手であ
る」とか,「この傾向のある子は,黒板を写し取ることは苦手だけれど,このような見方を教え
るとできるようになる」というように,非常に科学的であり,「技術」としてのユニバーサルデ
ザイン化でした。
授業の上手な先生方が呼吸するように自然にやっていることが,経験に裏打ちされた特技では
なく,ユニバーサルデザイン化された授業の系統的な技術として改めて理解できました。それは,
どの子にも必要であり,どの先生でもちょっと意識すればできることなのだということが,本研
究紀要をご覧いただくことで,私たちの経験を共有していただけるものと思います。
ユニバーサルデザイン化された授業とは,「特別な支援を行った授業ではなく,見方を変え,
意識を変えた,子どもの立場に立って考えた授業なのだ」ということを掴んだことが,この研究
での一番大きな成果だと考えております。
最後になりましたが,2年間の研究でご指導・ご講演をいただいた先生方や,千葉県教育庁東
上総教育事務所をはじめとする関係機関の皆様に,深く感謝申し上げます。
白子町立白潟小学校
教頭 髙山 英治
お世話になった先生方
千葉県教育庁教育振興部 特別支援教育科 教育支援室長
千葉県教育庁東上総教育事務所
主席指導主事
千葉県教育庁東上総教育事務所
指導主事
千葉県教育庁東上総教育事務所
特別支援教育アドバイザー
千葉県市原市立湿津小学校
教頭
植草学園短期大学 通常学級ユニバーサルデザインコーディネーター
千葉県茂原市立東部小学校
教諭
畔蒜 秀彦先生
狩野 久志先生
落合 修 先生
西岡 浩史先生
三橋 礼子先生
木内 洋子先生
細井 真弓先生
研究同人
校
長
大場 英昭
教
頭
髙山 英治
教 務 主 任
片岡 啓子
研 究 主 任
青木 紀子
こだま 学級
薦田 晃幹
第 1 学 年
矢部 茂美
第 2 学 年
田中 克己
第 3 学 年
宮本 佳奈
第 4 学 年
宇野
廣
千葉県長生郡白子町教育委員会
第 5 学 年
青木 紀子
〃
萩原 和人
第 6 学 年
濱村比登美
少人数指導
鹿野 拓郎
支 援 員
関
由美
養 護 教 諭
坂間 浩子
技
師
鈴木 陽子
主
事
岩渕 栞里
技術専門員
齊藤 茂美
特別支援教育指導員
川村
平成 26 年度職員
高橋 英司
小出
健
齋藤 友恵
有働 真樹
石井 春樹
幸介・渡辺 郁子
Fly UP