Berea College (U.S.A.) 『ベレア大学とキリスト教』 1. ベレア大学とは

Berea College (U.S.A.)
『ベレア大学とキリスト教』
1.
ベレア大学とは
Berea College ベレア大学は、アメリカ合衆国中東部のケンタッキー州に
あり、州で最大の都市 Lexington レキシントンから車で 1 時間ほどの町・
Berea ベレアに位置する、町のシンボル的な存在である。
ケンタッキー州が聖書地帯に含まれることもあって、ベレアの町には教会
が非常に多く、毎週日曜になると多くの人々が礼拝に訪れる。また、ベレ
ア大学自体もキリスト教系の大学であり、学内にキリスト教関連の施設や
催し・団体などを数多く持つ。
2.
聖書地帯とは
聖書地帯とは、アメリカ合衆国の中西部から南東部にかけての複数の州に
またがる、キリスト教とりわけプロテスタントの信仰が盛んな地域のこと
である。
どの州のどこまでを聖書地帯に含めるかについては諸説あるが、テキサス
州から、北はカンザス州にかけて、東はヴァージニア州にかけて、南はフ
ロリダ州北部にかけての地帯だと言われている。ケンタッキー州は聖書地
帯の北の端に位置することになる。
ケンタッキー州では人口の実に 86％がキリスト教徒であり、その内プロテ
スタントの割合は 70 ポイントを占める。
z ケンタッキー州の宗教的人口の分布
・キリスト教・・・86%
・プロテスタント・・・70%
・バプテスト・・・35%
・メソジスト・・・5%
・ペンテコステ・・・4%
・基督教団・・・3%
・ルーテル教会・・・2%
・長老派教会・・・2%
・その他のプロテスタント・・・19%
・ローマ・カトリック・・・15%
・ユダヤ教・・・0.01%
・他のキリスト教・・・1%
・その他の宗教・・・<1%
・無宗教・・・14%
z 聖書地帯の大まかな地図
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聖書地帯の詳細な地図
3.
キリスト教の祝祭日
・St. Valentine's Day ヴァレンタインデイ・・・2 月 14 日
・St. Patrick Day 聖パトリックの日・・・3 月 17 日
・Good Friday 聖金曜日・・・復活祭の前の金曜日
・Easter 復活祭・・・春分の後の満月の次の日曜（3 月 22 日から 4 月 25
日までのいずれかの日）
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・Halloween ハロウィン・・・10 月 31 日
・Thanksgiving Day 感謝祭・・・11 月の第 4 木曜
・Christmas Day クリスマス・・・12 月 25 日
キリスト教には、ハロウィンやクリスマスを始めとして、様々な祝祭日が
ある。この中で私が特に強い印象を持ったのは復活祭である。
復活祭自体を迎えたのは休暇で訪れた友人の故郷であるノースキャロラ
イナ州においてであったが、日の出前の礼拝 Sunrise service・日曜学校・
日の入り後の礼拝 Evening service と、1 日のうちに 3 度も教会へ行って礼
拝に参加したことは貴重な経験になった。
復活祭を祝う飾り付けが施された庭。兎は復活祭の象徴的存在である。
4.
ベレアの町とキリスト教
ベレアの町には数多くの教会が建っている。日本の町並みで例えるならば、
コンビニエンスストアと同じくらいの割合で、100 メートルに 1 件は教会
を見つけることができる。主なものはバプテストの教会だが、私自身はホ
ストファミリーがカトリック教徒であり、また親しい友人がフォースクエ
ア教会に通っていたこともあって、様々な教派の教会を訪れる機会に恵ま
れた。
z ベレアの町の教会
・Baptist バプテスト教会（16 軒）
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・Catholic カトリック教会（1 軒）
・Christian キリスト教会（2 軒）
・Church of Christ 基督教団教会（1 軒）
・Foursquare フォースクエア教会（1 軒）
・Methodist メソジスト教会（1 軒）
・Nazarene ナザレ教団教会（1 軒）
・Non-Denominational 無宗派教会（1 軒）
・Pentecostal ペンテコステ教会（4 軒）
・Presbyterian 長老派教会（1 軒）
・Quaker クエーカー教会（1 軒）
5.
ベレア大学とキリスト教
ベレア大学の庭の噴水の縁には、「God has made of one blood all peoples
of the earth」という言葉が刻んである。これは、人種や信条・肌の色・性・
階級の違いを超えた人類（all persons regardless of race, creed, color,
gender, or class）の平等性を示す言葉であり、これがベレア大学のモット
ーになっている。そして学生も職員も、神の名のもとに（to promote the
cause of Christ）、憎しみを越える愛の力・人間の尊厳と平等・正義の下で
の平和などといったキリスト教の価値観（Christian values, such as the
power of love over hate, human dignity and equality and peace with
justice）を持って、自身の目標と世界の未来のために共に働くものである、
としている。
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以下は、ベレア大学におけるキリスト教関連施設の紹介である。
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Phelps Stokes Chapel
いわゆる講堂として使われている礼拝堂。演奏会や演劇・講演会なども頻
繁におこなわれる。Women's studies と Black studies の主要な授業がおこ
なわれる校舎でもある。
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Union Church
厳密には大学の施設ではないが、創立者はどちらも Rev. John G. Fee であ
る。無宗派教会であり、キャンパスに非常に近い（私が住んでいた Kettering
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寮の隣）ため、毎週日曜日にはたくさんの学生や近隣住民が訪れている。
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Danforth Chapel
この礼拝堂では、毎週 The Campus Christian Center によって礼拝がおこ
なわれている。The Campus Christian Center は他にも、学生たちがつく
るキリスト教関連のグループを管理したり、宗教的カウンセリング、キャ
ンパス外の教会との連絡などをおこなっている。
z ベレア大学のキリスト教関連グループ
・Baptist Student Union
・Black Music Ensemble
・Episcopal Canterbury Fellowship
・Chi Alpha (Assembly of God)
・College Fellowship
・InterVarsity (interdenominational)
・Fellowship of Christian Athletes
・The Newman Club (Catholic)
・Student Chaplains
6.
ICF（International Christian Fellowship）
私は留学中、キリスト教徒である留学生のための組織、ICF に参加し、様々
な活動をおこなった。以下はその数例である。
z Overnight Retreat
キャンパス外の山の麓に建つ宣教師の別荘に皆で泊まりこみ、裏山でゲー
ムをしたり、焚き火を囲んで歌を歌ったり、皆で料理をしたりする。寝る
前には皆でキリスト教童話を読んで思ったことを述べ合う。
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楽器の弾ける学生が演奏して、皆で賛美歌を歌う。
z Mammoth Cave Trip
石灰岩の土壌が豊かなケンタッキー州の Mammoth Cave 国立公園には、
Mammoth Cave という世界最大の洞窟がある。ここに ICF の旅行で訪れた。
夜は新約聖書の「マルコによる福音書」第 4 章第 1－20 節（農夫と種の例
え話）を 3 グループに分かれて読み、その意味を論じ合って、最後にそれ
ぞれのグループで寸劇にしたてて発表するという形での聖書勉強会をお
こなった。
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次の日の昼は、道化師に扮した ICF メンバーによるパントマイム劇を披露。
神の愛が皆に伝わり、広がっていく様子を寸劇にしたもの。
7.
まとめ
ベレア大学における 1 年間の留学は、私に様々な経験を与えてくれた。な
かでも生活の中に深く根ざしたキリスト教の信仰に触れることができた
ことは、大きな意味を持つ。キリスト教を「体験」したくてアメリカ南部
にあるこの大学への留学を希望したが、その期待は全く裏切られることな
く、多大な学問的・宗教的刺激を受け取ることができた。留学に協力して
下さった諸氏に感謝すると共に、この経験を生かしながら、宗教と哲学に
関する勉強を続けていくつもりである。
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