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樹状細胞ワクチン療法の新展開 - 樹状細胞ワクチン療法のテラ株式会社

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樹状細胞ワクチン療法の新展開 - 樹状細胞ワクチン療法のテラ株式会社
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第47回日本癌治療学会学術集会 イブニングセミナー 3
樹状細胞ワクチン療法の新展開
日時
2009年10月22日(木)17:10∼19:00
会場
パシフィコ横浜 第8会場(418)
東北大学/大泉中央クリニック院長
座長
砂村 眞琴
演題 1
先生
樹状細胞ワクチン療法 ∼最新の治療成果∼
武蔵野大学薬物療法学研究室 客員教授
岡本 正人
演題 2
先生
メラノーマの免疫学と
樹状細胞ワクチン療法の臨床試験
信州大学医学部 名誉教授
斎田 俊明
演題 3
先生
信州大学先端細胞治療センターの取り組み
信州大学医学部附属病院輸血部 准教授 同院先端細胞治療センター 副センター長・分子細胞診療室 室長
下平 滋隆
共催
先生
第47回日本癌治療学会学術集会/テラ株式会社
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メラ
座長のことば
砂村 眞琴
東北大学/大泉中央クリニック院長
信州
メラ
1990年代初頭にヒトのメラノーマにおいて癌特異抗原が発見されて以来、
多くの癌種で免疫応答に
関わる抗原が同定されてきました。それに伴い、
抗原ペプチド、
タンパク質、
核酸、
あるいは腫瘍細胞など
を用いる癌のワクチン療法が開発、試行されました。
また、細胞療法においても、NK細胞、LAK細胞等
の非特異的免疫細胞療法から、
プロフェッショナル抗原提示細胞である樹状細胞を利用したワクチン療
法へと進化しました。
味深
BCG
単クロ
定的
化抗体
これまでのがん免疫療法の試行錯誤から現在もっとも受け入れられているがん免疫療法はペプチド
ワクチン療法と樹状細胞ワクチン療法と言えるでしょう。ペプチドワクチン療法は患者への負担も少なく、
比較的容易に処方できることから臨床試験が活発に行われています。一方、
基礎研究および臨床試験
で期待できる結果が得られている樹状細胞ワクチン療法は、
セルプロセッシングセンター等の設備や細
胞培養部員等の人員が必要でありコストもかかることがスタンダードな治療となるための問題点となって
います。
応す
良好
gp10
ける腫
各HL
己腫瘍
今回のセミナーでは、
まずテラ株式会社が展開している樹状細胞ワクチン療法について最新データを
含めて、
この治療法の開発者の一人である岡本正人先生からご紹介して頂きます。次に斎田俊明先
生に免疫療法の研究がもっとも進んでいるメラノーマについて、
これまでの知見のオーバービューをして
頂いたうえで、
自ら実施した樹状細胞ワクチン療法のデータをご報告頂きます。そして、
下平滋隆先生か
ら、本邦で初めて自由診療による樹状細胞ワクチン療法を国立大学附属病院へ導入した経緯と現状、
成果と問題点をご紹介頂きます。本セミナーは、癌樹状細胞ワクチン療法の今後の展望を見据えるうえ
で大きな意義を有するものと期待されます。
メラノ
ノーマ
施した
2例で
anhy
開発
た米国
ぎない
な問題
樹状細胞ワクチン療法 ∼最新の治療成果∼
武蔵野大学薬物療法学研究室 客員教授 岡本 正人
信州
信州大
同院先
標準治療に抵抗性を示す難治性の悪性腫瘍に対し、
「第4の癌治療法」である「免疫療法」が期待されてきた
200
が、現状では必ずしも期待された治療効果は得られていない。
しかし、近年、免疫研究技術の進歩に伴い多くの
組織と
癌抗原が明らかになり、
さらに、professionalな抗原提示細胞である樹状細胞の培養法が確立され、癌抗原を標
に則り
的とした「特異的免疫療法」である、
樹状細胞ワクチン療法が開発された。
200
樹状細胞ワクチンは、
チン療
1)癌抗原パルス樹状細胞ワクチン
(癌抗原として、
自己組織あるいは人工抗原ペプチド等を使用する)、
究の基
2)樹状細胞局所投与療法、
を得て
に、大別される。特に、
1)
においては、品質の良い抗原、
すなわち①多くの癌細胞に強発現している、②免疫学
して、一
的エスケープされ難い、
そして当然ながら③CTL(細胞傷害性T細胞)誘導能が高い抗原を使用する事が治療
援する
効果の向上に必須である。WT1は、
Clin Cancer Res,15:2009にて、
「現在最もpriorityの高い癌抗原」に選ばれ
連携し
たが、我々は人工抗原ペプチドとして主にこのWT1を用いて良好な治療効果を得ている。我々は、現在、信州大
他治
学病院、
愛媛大学病院を含め全国14ヵ所の医療機関に技術を提供し、
既に1,600例以上の標準治療無効の再発・
の医学
進行癌症例に対して樹状細胞ワクチンを行ってきており、
臨床反応はRECIST基準に基づいてCR+PR+SDで50
究登録
%以上である。延命に寄与している事を強く示唆するデータも得られた。
モデル
本講演では、樹状細胞ワクチン療法の基礎を簡単に説明した後、臨床における樹状細胞ワクチンの最新の治
療成績を報告する。
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メラノーマの免疫学と樹状細胞ワクチン療法の臨床試験
信州大学医学部 名誉教授 斎田 俊明
メラノーマはヒトにおける腫瘍免疫に関する先進的研究がもっとも精力的に行われてきた腫瘍であり、
多数の興
味深い基礎的、
臨床的データが蓄積されている。米国UCLAのMortonらは1970年代初頭にメラノーマ転移巣へ
BCGを局注すると高率に消失することを見出した。1980年代に入るとメラノーマ抗原を認識する多種類のマウス
単クローン抗体が作製された。
とくにFerroneらのHMW-MAAは進行した段階のメラノーマ細胞に高率かつ安
定的に発現する抗原として注目され、
この単クローン抗体の臨床応用を目指して、
その後F(ab') 2 fragmentやヒト
化抗体の作製へと展開した。同じく1980年代前半、
UCLAのIrieらはメラノーマ患者血清中にメラノーマ細胞に反
応するIgM抗体が存在し、
それがGD2, GM2などのガングリオシド抗原を認識し、
その抗体価の高い患者は予後
良好なことを見出した。そして1990年代初頭、
メラノーマ患者からBoonらがMAGEを、
KawakamiらがMART-1,
gp100抗原を認識するCTLをクローニングし、
HLA分子に結合するペプチドが明らかにされた。このことはヒトにお
ける腫瘍免疫学の画期的研究成果として特筆される。その後、各種の分子生物学的研究手法の進歩もあって、
各HLA拘束性の多種類のメラノーマ抗原とそのエピトープが明らかにされた。そして、
これらの抗原ペプチドや自
己腫瘍融解液を樹状細胞にパルスして患者へ接種する樹状細胞ワクチン療法が開発された。1998年Nestleらは
メラノーマ抗原ペプチドあるいは自己腫瘍融解液をパルスした樹状細胞をリンパ節へ注入する方法で進行期メラ
ノーマに長期完全寛解例も含め、
31%の奏効率がえられたと報告した。われわれが東大医科研の山下教授らと実
施した進行期メラノーマ患者への自己腫瘍融解液を用いる樹状細胞ワクチン療法では10例中1例でstable disease、
2例でmixed responseがえられた。これらの反応した患者血清中に新生血管の内皮細胞に発現するcarbonic
anhydrase IIに対する抗体の誘導が証明された。現在、
WT-1やglypican-3などのペプチドを用いる免疫療法の
開発が進められている。
しかし、
1990年代初頭からIL-2や遺伝子治療など、
多数の先進的臨床研究を主導してき
た米国NCIのRosenbergは、
1994年に固形癌に対する免疫療法のメタアナリシスを行い、
奏効率が3%程度に過
ぎないことから、
その臨床的意義を疑問視している。
とくに、
近年明らかにされた各種免疫抑制機構の存在が大き
な問題と考えられ、
その適切な制御が今後の重要な課題といえる。
信州大学先端細胞治療センターの取り組み
信州大学医学部附属病院輸血部 准教授 同院先端細胞治療センター 副センター長・分子細胞診療室 室長
下平 滋隆
2005年11月、信州大学に探索的臨床研究を支援する先端医療推進センターが設置。2006年12月、
その中核
組織として先端細胞治療センター(CPC)が稼動した。骨・軟骨再生や顎骨再生療法は、
ヒト幹細胞臨床研究指針
に則り厚生労働大臣の承認を得て、
実施支援をしている。
2008年7月、本院とテラ株式会社とは共同事業契約を締結し、GMP準拠の製造技術に基づいた樹状細胞ワク
チン療法が本院に移入された。メラノーマの樹状細胞ワクチン療法は、
東大医科研と本学皮膚科との共同臨床研
究の基盤があり、2例について院内調製による安全性が確認された。2009年1月から、本学医倫理委員会の承認
を得て、
あらゆるがん、
肉腫、造血器腫瘍に対して本療法の適応拡大する準備を行った。院内の診療科とは独立
して、一元的に樹状細胞ワクチン療法を担うべくCPC内に分子細胞診療室を立ち上げた。CPCが臨床研究を支
援する箱物としてだけではなく、
ベンチサイドからベッドサイドへ自由診療の役割を持たせ、
院外の保険医療機関と
連携して、
混合診療を回避する外来運用とした。
他治療無効のがん患者の実地医療を行うだけでなく、
期待されるWT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法
の医学的な意義を得るための臨床評価を行う一方、
難治性白血病に対する同種樹状細胞ワクチン療法の臨床研
究登録をして実施を進めている。本院での取り組みは、樹状細胞ワクチン療法の実地医療、技術開発、人材育成
モデルになる。
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砂村 眞琴(すなむら まこと)
■所属学会
日本外科学会(専門医・指導医)、
日本消化器外科学会(評議員・専門医)、
日本消化
器病学会(評議員・専門医)、
日本膵臓学会(評議員)、
米国癌学会会員、
米国臨床腫
瘍学会会員、
米国消化器外科学会会員
■略歴
1981年 弘前大学医学部卒業
青森県立中央病院勤務
1983年 東北大学医学部第一外科入局
1990年 カナダ国McGill大学留学
1997年 米国Pittsburgh大学癌研究所出張(文部省在外研究員)
1999年 東北大学医学部第一外科 講師
2002年 英国Imperial大学Cancer Research UK研究員兼任
東北大学病院集中治療部副部長兼任
2005年 東北大学消化器外科 助教授
2007年 大泉中央クリニック 院長就任
英国Imperial大学外科客員教授
東北大学医学系研究科分子病理非常勤講師
京都大学再生医科学研究所非常勤講師
帝京大学外科非常勤講師
■研究分野
1.発がん機構の解析 2.がん免疫 3.樹状細胞ワクチン療法
■学術論文
・Pancreatology 2008; 8(6): 577-82.
・Pancreas 2007; 35(4):348-52.
・World journal of gastroenterology 2007; 13(34): 4593-7.
・Surgery 2007;141(6): 764-76.
・Pancreas 2007; 34(4): 458-65.
・Journal of hepato-biliary-pancreatic surgery 2007; 14(5): 522-5.
・Pancreas 2006; 33(4): 391-6. ・Cancer gene therapy 2006; 13(3): 242-52.
・Clinical cancer research 2006; 12(1): 191-7.
・Clinical cancer research2005; 11(8): 3094-101.
・Cancer research 2005; 65(7): 2899-905. 他多数
樹状
日時
会場
岡本 正人(おかもとまさと)
■略歴
1988年 徳島大学歯学部卒業
1992年 徳島大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1992年 徳島大学歯学部助手
1994年∼1997年 米国ノースウェスタン大学医学部病理学講座
Research Associate 2004年 徳島大学大学院口腔科学教育部 講師
2006年 武蔵野大学薬物療法学研究室 客員教授
テラ株式会社 取締役CSO(最高科学責任者)
■所属学会
米国癌学会、米国臨床腫瘍学会、
日本癌学会、
日本癌治療学会、
日本免疫学会、
日本
頭頸部癌学会、
日本バイオセラピィ学会、癌免疫外科研究会、
日本がん免疫学会、
アジ
ア口腔顎顔面外科学会、
日本口腔科学会、
日本口腔外科学会、
日本口腔腫瘍学会、
日
本放射線腫瘍学会
■研究分野
1.癌の樹状細胞療法の研究・開発 2.T自然免疫と癌治療
3.放射線・化学療法の免疫系に及ぼす影響と免疫療法への応用
4.新規癌関連抗原の同定と癌ワクチンの開発
座長
■学術論文
・J Natl Cancer Inst, 95(4): 316-326, 2003. ・Cancer Res, 64(15): 5461-5470, 2004.
・J Immunother, 27(6): 432-441, 2004. ・Clin Cancer Res, 11(7), 2713-2719, 2005.
・J Immunother, 29(1): 78-86, 2006. 他多数
演題
斎田 俊明(さいだ としあき)
■所属学会(歴任役職)
日本皮膚科学会(東部支部支部長)、
日本皮膚悪性腫瘍学会(理事長)、
日本皮膚病
理組織学会(理事、
監事)、
日本癌治療学会(評議員)、
日本癌学会(評議員)、
日本臨
床腫瘍学会(評議員)、
International Dermoscopy Society(Continental
Representative), Society for Melanoma Research(Committee on
Membership), American Academy of Dermatology, Society for Investigative
Dermatology, American Society of Dermatopathology, International Society
of Dermatopathology, International Society of Dermatology, International
Society of Teledermatology(Board Member)
■略歴
1971年 東京大学医学部卒業
1972年 東京大学医学部助手(皮膚科)
1975年 埼玉がんセンター皮膚科医長
1983年 東京大学医学部助教授(分院皮膚科科長)
1984年 Harvard大学医学部(Massachusetts総合病院)
皮膚科客員研究員
1989年 信州大学医学部皮膚科教授
2006年 信州大学評議員
2007年 信州大学医学部附属病院副病院長
2009年 信州大学を定年退職、
信州大学名誉教授、
同大学医学部特任教授(診療、
教育)
■研究分野
1.皮膚腫瘍学とくにメラノーマの診断と治療 2.発癌過程論 3.ダーモスコピー
4.皮膚病理組織診断学
演題 2
■学術論文
・Cancer 1989;63:556-560, ・Arch Dermatol 1995;131:298-304,
・Arch Dermatol 2007;143:1423-1426, 他多数
下平 滋隆(しもだいら しげたか)
■略歴
1990年 信州大学医学部医学科卒業
1997年 信州大学大学院医学研究科修了(医学博士)
1999年∼2001年 米国南カリフォルニア大学研究員
(分子微生物・免疫学講座)
2002年 信州大学医学部附属病院輸血部講師
2007年 信州大学医学部附属病院先端細胞治療センター
副センター長
2008年 信州大学医学部附属病院輸血部准教授、
松本歯科大学非常勤講師
2009年 信州大学医学部附属病院分子細胞診療室室長
■所属学会
日本輸血・細胞治療学会、
日本癌治療学会、
日本血液学会、
日本内科学会、
日本再生
医療学会、
日本組織適合性学会、
日本循環器学会、
AABB(米国血液銀行協会)、
ISBT(国際輸血学会)
■研究分野
1.樹状細胞の製造・品質に関する研究
2.自動培養ロボットシステムを用いた再生療法の開発研究
3.院内製剤のプロセスバリデーションに関する研究
4.日本の輸血副作用監視体制(ヘモビジランス)の構築
演題 3
■学術論文
・Br J Haematol 90: 578-584, 1995 ・Thromb Haemost 76: 545-548, 1996
・N Engl J Med 343: 1124-1125, 2000 ・J Virol 77:2134-46, 2003
・Proc Natl Acad Sci U S A 101:4262-4267, 2004
・Cur Med Res Opi 22:793-8,
2006 他多数
テラ株式会社
東京都千代田区麹町四丁目7番2号 サンライン第7ビル7F
TEL:03-6272-6477 Fax:03-6272-6466
http://www.tella.jp/
共催
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