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新品種・早生の青ナシ「なつしずく」の特性
花 き及 び果樹分科会 新品種・早生の青ナシ「なつしずく」の特性 (栽培技術部 背 落葉果樹 グループ )○明田郁夫・ 田中 守* 景 袋かけによって果面 が美し く仕上 げられた青ナ シは消 費 者に人 気があるが、 早 生の 青ナシ には品 質 面で消費者を 満足させる品 種はない 。山 口 県における早 生 の 日 本 ナシ で は 、 赤 ナシ の 「 愛甘水 」、「幸 水 」 が 主体 と な っ て お り 、盆 前 に 収穫できる早生 の青ナシ 品種が 求められている。 「な つ しずく」は(独)農業 ・生物系特定産業技術研究機構果樹研究所 におい て 育成さ れ 、系統適応性検定試験 の結果 、優良であることから平 成 17 年 9月 15 日 付 け で 、「 なつしずく 」( なし 農 林 23号 ) と命 名 登 録さ れ た 。来 歴 は (幸 水 × 菊水) ×(筑水 )である 。 目 的 新品種を 導入・ 普及する 上での基礎資料 とする。 成 果 1 .開花始期は「 幸水 」 より1日 、「 八里 」より 3日早い 。収穫始期は「 幸水 」 より4 日早く、 盆までに 収穫をほとんど 終える( 表1 )。 2 . 果 重 は「 幸 水 」、「 八 里 」 より 大 き く 、糖 度 ・ 果 肉 硬 度 は 同 程 度 である 。 酸味 は「幸 水」と同程度である。 概して 品質は 「幸水」 と同 程 度であるが、 香りがわずかにあるのが 特徴である(表 2 )。 3 .えき花芽着生 は「 幸水 」と同程度 、短果枝着生は「 幸水 」よ り良い( 表3 )。 4 . 結実初期 か ら大 果が 確保 でき ( 図2 、表 4 )、密 植による 早期成園化 が可 能で あ る。 以 上よ り 、「な つ し ず く」 は盆 までに 収穫 で き る品 質の 良い 青 ナシ で あ り、 県 内での 普及性は 大きいと 考えられる。 留意点 1 .収 穫は着 色3∼3.5(カラーチャート )で 実施したが、酸 味が少 ないため、も う少し 早く収 穫できると考えられる。 2 .今後 、ジベレリン処理 による 熟期促進 と品質を 検討す る。 * - 51 - 現大島柑きつ試験場 花 き及 び果樹分科会 図1 表1 品 なつしずくの果実 開花期・ 収穫期 表3 種 開花始 収穫始 収穫終 なつしずく 八 里 4/ 8 4/11 8/ 4 8/ 3 8/14 8/ 8 幸 水 表2 枝の形質 品種 発生 なつしずく 4/ 9 8/ 8 8/16 2002∼2004年 平 均 八 幸 花芽着生 密度 中 え き花芽 中 中 中 中 中 里 水 短果枝 中 ∼ヤ多 中 ヤ少 果実品質 品種 果 重 糖度 (g) (Brix) pH 硬度 (lbs) 香り なつしずく 八 里 351 316 12.7 12.8 5.2 4.9 4.6 4.6 微 無 無 微 ∼多 幸 真 312 352 12.6 11.2 5.3 4.6 4.4 5.3 無 無 無 無 水 寿 みつ症 果 皮 色 備 考 青 青 年によりみつ症多発 中間 青 糖度低い、果肉硬 い 400 果重(g) 375 350 表4 325 収穫日 8/1 2 300 現地試験 (下関市豊田、H17) 果重 (果 数) 糖度 372g (9) 1 1.7 注)H16春高接ぎ 275 H17長果枝 に初結実 250 なつしずく 高接 ぎ 225 コ ゙ールド 幼木 なつしずく 幼木 幸水 幼木 200 1 図2 2 3 初結実からの 年数 4 5 初結実からの 果重推移 - 52 -