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平成15年度 (その1)

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平成15年度 (その1)
助成事業
競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成しました。
平成15年度
危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書
(その1)
平成16年3月
社団法人 日本海難防止協会
ま え が き
この報告書は、当協会が日本財団の助成金及び日本海事財団の補助金を受け、
平成15年度に実施した「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究」のうち、「HNS
海上輸送事故の典型モデル化調査」及び「HNS環境影響情報調査」の結果につい
て取りまとめたものである。
2000年3月、OPRC条約HNS議定書が採択され、従来、油の海上流出事故への
準備及び対応を内容としていた同条約は、ばら積み輸送される有害・危険物(HNS)
の流出事故も対象とすることとなった。
ところで、HNS輸送中の海上流出事故時の対応策に関しては、輸送されているH
NSの種類及び特性が多種多様であることなどから、世界的にも確立した手法が存在
しないのが現状である。また、緊急時の対応策を支援するための関係情報の整備も十
分になされていない。
本調査はこのような状況に鑑み、HNSの海上流出事故時の対応策を支援するため
の総合的なデータベースを世界に先駆け構築、それが広く一般に公開され積極的に
活用されることにより、海洋環境の保全に資することを目的としたものであり、本報告書
は当該データベースの原案となる予定である。
本調査が、HNS海上流出事故時の準備及び対応能力の向上に資することを切に
期待する。
平成16年3月
社団法人 日本海難防止協会
HNS海上輸送事故の典型モデル化調査
目
次
第 1 章 概要 _______________________________________________________________1
1.1 調査目的 ___________________________________________________________1
1.2 調査手順 ___________________________________________________________1
1.3 報告書の構成 _______________________________________________________1
第 2 章 基礎調査 ___________________________________________________________3
2.1 目的 ________________________________________________________________3
2.2 HNS の調査 __________________________________________________________3
2.3 HNS 輸送船舶の船型の調査_____________________________________________9
2.3.1 HNS 輸送に係る IMO の規則と船型タイプ______________________________9
2.3.2 HNS 輸送船舶の種類_______________________________________________19
2.3.3 HNS 輸送船舶の主要目_____________________________________________26
2.3.4 HNS 輸送船舶の事故による流出_____________________________________27
2.4 HNS 海上輸送の調査__________________________________________________29
2.4.1 HNS 海上輸送の地域特性の調査_____________________________________29
2.4.2 HNS 輸送船舶の関係港調査_________________________________________31
2.4.3 マラッカ・シンガポール海峡 ______________________________________45
2.5 HNS 関連の海難過去事例の調査________________________________________50
2.5.1 日本沿岸域における事故発生状況 __________________________________50
2.5.2 世界における事故発生状況 ________________________________________53
2.5.3 日本における衝突事故の傾向 ______________________________________57
2.5.4 事故事例 ________________________________________________________58
第 3 章 HNS 海上輸送事故の典型モデル_______________________________________65
3.1 目的 _______________________________________________________________65
3.2 HNS 海上輸送事故の典型モデルの考え方________________________________65
3.3 HNS 海上輸送事故の典型モデルの推定手順______________________________66
3.4 海難の種類のモデル化 _______________________________________________67
3.5 HNS 海上輸送事故船舶のモデル化______________________________________68
3.5.1 HNS 海上輸送事故船舶の船種_______________________________________68
3.5.2 HNS 海上輸送事故船舶の船型_______________________________________69
3.6 流出する HNS のモデル化 _____________________________________________72
3.7 HNS 流出量のモデル化________________________________________________75
3.8 HNS 海上輸送事故発生水域のモデル化__________________________________77
3.9 HNS 流出による影響予測のモデル化____________________________________79
3.10 HNS 海上輸送事故の典型モデルのまとめ_______________________________80
第 4 章 HNS 海上輸送事故の典型モデルの活用_________________________________83
4.1 目的 _______________________________________________________________83
4.2 東京湾における典型モデルの活用 _____________________________________83
4.2.1 外航船舶における HNS 海上輸送事故の推定 __________________________85
4.2.2 内航船舶における HNS 海上輸送事故の推定 __________________________93
4.2.3 東京湾における HNS 海上輸送事故の影響予測 ________________________97
4.3 伊勢湾、大阪湾及びマ・シ海峡への応用 ______________________________105
第 5 章 まとめ ___________________________________________________________109
第 1 章 概要
1.1 調 査 目 的
本 調 査 は 、「 危 険 物 の 海 上 輸 送 時 の 事 故 対 応 策 の 研 究 」 の 一 環 と し て 、
ば ら 積 み 輸 送 さ れ る 有 害 危 険 物 ( 以 下 、「 HNS」 と い う 。 ) に 係 る 海 上 輸 送
事 故 の 典 型 モ デ ル 化 を 試 み 、 も っ て 「 HNS 海 上 流 出 事 故 時 の 緊 急 対 策 を 支
援するための総合的なデータベース」の構築に資し、ひいては海洋環境の
保全及び海上災害の防止に寄与することを目的とする。
1.2 調 査 手 順
調 査 は 、 図 1.2-1 に 示 す 手 順 で 行 っ た 。
1.3 報 告 書 の 構 成
本報告書の構成は、次のとおりである。
(1) 第 1 章 概 要
本調査の目的、本報告書の概略についてとりまとめた。
(2) 第 2 章 基 礎 調 査
HNS 流 出 事 故 を 考 慮 す る 際 の 前 提 と な る 海 上 輸 送 さ れ る HNS の 種 類 、
HNS 輸 送 船 舶 に 対 し て IMO が 定 め た 規 則 と そ れ ら 船 舶 の 船 型 等 、 わ が 国
及 び マ ラ ッ カ ・ シ ン ガ ポ ー ル 海 峡 に お け る HNS 海 上 輸 送 の 実 態 等 に つ い
て と り ま と め た 。 ま た 、 わ が 国 周 辺 及 び 世 界 で の HNS 関 連 事 故 の 発 生 状
況、並びに実際の事故事例について整理した。
(3) 第 3 章 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル
第 2 章での基礎調査結果に基づき、事故のモデル化を行う手順を示し、
発 生 事 故 の 種 類 、 事 故 船 舶 、 流 出 HNS の 種 類 、 HNS 流 出 量 、 発 生 水 域 、
流出影響についてそれぞれモデル化の具体的な方法を示した。
(4) 第 4 章 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の 活 用
第 3 章で示した具体的なモデル化に基づき、実際の海域へ活用例を示
し、当該モデルの検証を行った。
(5) 第 5 章 ま と め
本調査のまとめとして、調査全体を考察した。
1
基礎調査
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル 化 に 係 わ る
基礎調査を行うことを目的とする。
HNS の 調 査
HNS 輸 送 船 舶 の 船 型 の 調 査
HNS 海 上 輸 送 の 調 査
HNS 関 連 の 過 去 の 海 難 事 例 の
調査
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル
(モデル化の策定)
発 生 す る 可 能 性 の 高 い HNS 海 上 輸 送 事 故 及
びその影響の推定手順を示す典型モデルを
確立することを目的とする。
海難の種類のモデル化
海難事故船舶のモデル化
流 出 す る HNS の モ デ ル 化
流出量予測のモデル化
海難事故発生水域のモデル化
流出影響のモデル化
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の 活 用
典型モデルを用いて、実際の海域に適用し、
当該モデルの検証をすることを目的とする。
東京湾での典型モデルの活用
伊 勢 湾 /大 阪 湾 /マ ・ シ 海 峡
への応用
図 1.2-1 調査フロー図
2
第 2 章 基礎調査
2.1 目 的
本 章 は 、 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル 化 調 査 を 行 う に あ た り 、 前 年 度
ま で に 行 わ れ た 調 査 結 果 を 整 理 し 、 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル 化 に 係
わる基礎調査を行うことを目的とする。
2.2 HNS の 調 査
HNS は 、 国 内 法 の 「 海 洋 汚 染 及 び 海 上 災 害 の 防 止 に 関 す る 法 律 」、 船 舶 安
全法の「危険物船舶運送及び貯蔵規則」において、その特性に従い、分類
されている。法規ごとの概要を以下に示す。
(1) 海 洋 汚 染 及 び 海 上 災 害 の 防 止 に 関 す る 法 律
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律では、船舶等からの油、
有害液体物質等及び廃棄物の排出を規制しており、有害液体物質に
ついては次の①∼④に示すとおり A 類、B 類、C 類及び D 類物質に大
別されている。
なお、同法律第 3 条第 3 号において、有害液体物質は以下のように
定義されている。
有害液体物質
油以外の液体物質のうち、海洋環境の保全の見地から有害である物
質として政令で定める物質であって船舶によりばら積みの液体貨物と
して輸送されるもの及びこれを含む水バラスト、貨物艙の洗浄水その
他 船 舶 内 に お い て 生 じ た 不 要 な 液 体 物 質 を い う 。( 法 第 3 条 第 3 号 )
① A 類物質
タンクの清掃やバラストの積み下ろし作業によって海に排出された
場合、海洋資源や人間の健康に重大な危険を及ぼし、また、生活環境
やその他合法的な海の利用者に対しても重大な損害を与えるため、厳
格 な 汚 染 防 止 措 置 が 適 用 さ れ る 有 害 液 体 物 質 。( 61 種 類 )
② B 類物質
タンクの清掃やバラストの積み下ろし作業によって海に排出された
場合、海洋資源や人間の健康に危険を及ぼし、また、生活環境やその
他合法的な海の利用者に対しても損害を与えるため、特別な汚染防止
措 置 が 適 用 さ れ る 有 害 液 体 物 質 。( 121 種 類 )
3
③ C 類物質
タンクの清掃やバラストの積み下ろし作業によって海に排出された
場合、海洋資源や人間の健康に軽微な危険を及ぼし、また、生活環境
やその他合法的な海の利用者に対しても軽微な損害を与え、そのため、
特 別 な 作 業 条 件 が 必 要 と さ れ る 有 害 液 体 物 質 。( 153 種 類 )
④ D 類物質
タンクの清掃やバラストの積み下ろし作業によって海に排出された
場合、海洋資源や人間の健康に認識できる程度の危険を及ぼし、また、
生活環境やその他合法的な海の利用者に対してもわずかな損害を与え、
そ の た め 、 作 業 条 件 に 注 意 を 払 う 必 要 の あ る 有 害 液 体 物 質 。( 228 種
類)
注 ) 上 記 の A∼ D 類 物 質 の 定 義 に つ い て は 、 MARPOL73/ 78 条 約 附 属 書 Ⅱ に よ る 。
4
(2) 危 険 物 船 舶 運 送 及 び 貯 蔵 規 則
危 険 物 船 舶 運 送 及 び 貯 蔵 規 則 に お け る 危 険 物 の 分 類 を 図 2.2-1 に
示し、以下にそれらの分類を示す。
総則
危険物の運送
通則
危険物の個品運送等
通則
コンテナによる危険物運送等
危険物を運送する船舶の要件
火薬類
高圧ガス
腐しょく性物質
毒物類
放射性物質等
引火性液体類
可燃性物質等
酸化性物質類
検査
ばら積み液体危険物の運送
通則
液化ガス
液体化学薬品
引火性液体物質
有害性液体物質
危険物の貯蔵
通則
火薬類の貯蔵
火薬類以外の危険物の貯蔵
常用危険物
雑則
罰則
図 2.2-1 危 険 物 船 舶 運 送 及 び 貯 蔵 規 則 の 構 成
5
① 危険物
1) 火 薬 類
火薬、爆薬、弾薬、加工品その他の爆発性を有する物質で、法第
23 条 第 1 項 各 号 に 掲 げ る も の ( 火 薬 類 で 船 舶 に よ り 運 送 し て は な ら
ないもの)及び告示で定めるもの。
2) 高 圧 ガ ス
摂 氏 50 度 で 圧 力 0.30 メ ガ パ ス カ ル を 超 え る 蒸 気 圧 を 持 つ 物 質 ま
た は 摂 氏 20 度 で 圧 力 0.1013 メ ガ パ ス カ ル に お い て 完 全 に 気 体 と な
る物質で、告示で定めるもの。
3) 腐 し よ く 性 物 質
腐しよく性を有する物質で、告示で定めるもの。苛性ソーダ、酢
酸等がある。
② 毒物類
1) 毒 物
人 体 に 対 し て 毒 作 用 を 及 ぼ す 物 質 で 、 法 第 83 条 に 定 め る も の ( 毒
物類で船舶により運送してはならないもの)及び告示で定めるもの。
フェノール、クロロホルム等がある。
2) 病 毒 を 移 し や す い 物 質
生きた病原体及び生きた病原体を含有し、または生きた病原体が
付着していると認められる物質。
③ 放射性物質等
放 射 性 物 質 ( イ オ ン 化 す る 放 射 線 を 自 然 に 放 射 す る 物 質 を い う 。)
及 び 放 射 性 物 質 に よ っ て 汚 染 さ れ た も の で あ っ て 、 毎 グ ラ ム 74 ベ ク
レル以上の放射能濃度を有するもの。
④ 引火性液体類
1) 低 引 火 点 引 火 性 液 体
引 火 点 ( 密 閉 容 器 試 験 に よ る 引 火 点 を い う 。 以 下 同 じ 。) が 摂 氏 零
下 18 度 未 満 の 液 体 で 、 告 示 で 定 め る も の 。 ア セ ト ン 、 シ ク ロ ヘ キ サ
ン等がある。
6
2) 中 引 火 点 引 火 性 液 体
引 火 点 が 摂 氏 零 下 18 度 以 上 23 度 未 満 の 液 体 で 、 告 示 で 定 め る も
の。キシレン、ベンゼン、メタノール等。
3) 高 引 火 点 引 火 性 液 体
引 火 点 が 摂 氏 23 度 以 上 61 度 以 下 の 液 体 ( 引 火 点 が 摂 氏 35 度 を 超
える液体であって、燃焼継続性がないと認められるものを当該液体
の 引 火 点 未 満 の 温 度 で 運 送 す る 場 合 を 除 く 。) ま た は 引 火 点 が 摂 氏
61 度 を 超 え る 液 体 で あ っ て 当 該 液 体 の 引 火 点 以 上 の 温 度 で 運 送 さ れ
るもので告示で定めるもの。スチレン、ブタノール等。
⑤ 可燃性物質類
1) 可 燃 性 物 質
火気等により容易に点火され、かつ、燃焼しやすい物質で、告示
で定めるもの。
2) 自 然 発 火 性 物 質
自然発熱または自然発火しやすい物質で、告示で定めるもの。水
硫化ソーダ等がある。
3) 水 反 応 可 燃 性 物 質
水と作用して引火性ガスを発生する物質で、告示で定めるもの。
⑥ 酸化性物質類
1) 酸 化 性 物 質
他 の 物 質 を 酸 化 さ せ る 性 質 を 有 す る 物 質 ( 有 機 過 酸 化 物 を 除 く 。)
で、告示で定めるもの。
2) 有 機 過 酸 化 物
容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機
物質で、告示で定めるもの。
⑦ 有害性物質
前記に掲げる物質以外の物質であって人に危害を与え、または他の
物件を損傷するおそれのあるもので、告示で定めるもの。コールター
ル、フタル酸ブチルベンジル等がある。
7
⑧ ばら積み液体危険物
ばら積みして輸送される液体の物質であって、次に掲げるもの。
1) 液 化 ガ ス 物 質
摂 氏 37.8 度 で 0.28 メ ガ パ ス カ ル ( 絶 対 圧 力 ) を 超 え る ガ ス 圧 力
を持つ液体及びこれに類似する性状を有する液体であって、告示で
定めるもの。エチレン、塩化ビニル、プロピレン等がある。
2) 液 体 化 学 薬 品
摂 氏 37.8 度 で 0.28 メ ガ パ ス カ ル ( 絶 対 圧 力 ) 以 下 の ガ ス 圧 力 を
持つ次に掲げる性質を有する液状の物質(油を除く)であって、告
示で定めるもの。フェノール、クロロホルム、苛性ソーダ等がある。
3) 引 火 性 液 体 物 質
引 火 点 が 摂 氏 61 度 以 下 の 液 体 ( 液 化 ガ ス 物 質 及 び 液 体 化 学 薬 品 を
除く)であって、告示で定めるもの。パラキシレン、スチレン、ベ
ンゼン等がある。
4) 有 害 性 液 体 物 質
前記までに掲げる物質以外の液状の物質であって危険物であるも
の。コールタール、クレオソート、オクタノール等がある。
(3) 港 則 法
港 則 法 で 規 制 さ れ る 危 険 物 の 種 類 は 、「 危 険 物 船 舶 運 送 及 び 貯 蔵 規
則」に定められている危険物及びばら積み液体危険物のうち、これ
らの性状、危険の程度等を考慮して「港則法施行規則の危険物の種
類を定める告示」で定められている。
8
2.3 HNS 輸 送 船 舶 の 船 型 の 調 査
2.3.1 HNS 輸 送 に 係 る IMO の 規 則 と 船 型 タ イ プ
IMO に お け る HNS 輸 送 に 関 す る 規 則 と し て は 、 以 下 の も の が あ る 。
○ BC Code
( Code of Safe Practice for Solid Bulk Cargoes:
固体ばら積み貨物のための安全な措置に関する規則)
○ IBC Code
( International Code for the Construction and Equipment of Ships
Carrying Dangerous Chemicals in Bulk: 危 険 化 学 薬 品 の ば ら 積 み 輸 送
のための船舶の構造及び設備に関する国際規則)
○ IGC Code
( International Code for the Construction and Equipment of Ships
Carrying Liquefied Gases in Bulk: 液 体 ガ ス の ば ら 積 み 船 舶 の 構 造 及
び設備に関する国際規則)
上記規則について、以下に概要を記す。
① BC Code
輸送中に液状化するおそれのある物質、化学的危険性を有するばら
積みの固体物質、ばら積み時のみ危険となる物質及び船体傾斜により
容易に移動するおそれのある物質の輸送要件を定めたものである。国
内 法 で あ る 「 危 険 物 船 舶 運 送 及 び 貯 蔵 規 則 ( 以 下 、 危 規 則 と い う 。)」
の固体危険物のばら積み輸送に関する規程は、これを取り入れたもの
である。
② IBC Code
500GT 未 満 の 船 舶 を 含 め て 、 そ の 大 き さ に か か わ ら ず 、 次 の 危 険 液
体 化 学 物 質 ( 石 油 製 品 ま た は 類 似 の 引 火 性 製 品 を 除 く 。) の ば ら 積 み
輸送に従事する船舶に適用される規則。
・ 石油製品及び類似の引火性製品より著しく高い火災危険性を有する
物質
・ 引火性以外の著しい危険性を有する物質及び引火性に加えて他の著
しい危険性を有する物質
9
こ の 規 則 は 、 1986 年 7 月 1 日 の 1983 年 改 正 SOLAS 条 約 発 効 に 伴 い 、
危規則第 3 章ばら積み液体危険物の輸送第 3 節液体化学薬品として取
り 入 れ ら れ て い る 。 IBC Code に よ る タ ン カ ー の 種 類 は 、 船 体 損 傷 に よ
る貨物の残存性とタンクの配置条件により次のとおり規定されている。
タ イ プ 1: 環 境 及 び 安 全 に 対 し 非 常 に 重 大 な 危 険 性 を 有 す る た め 、 貨
物の流出を防止する最高の予防措置が要求されるケミカ
ルタンカー。
タ イ プ 2: 環 境 及 び 安 全 に 対 し か な り 危 険 性 を 有 す る た め 、 貨 物 の 流
出を防止する高度の予防措置が要求されるケミカルタン
カー。
タ イ プ 3: 環 境 及 び 安 全 に 対 し 重 大 な 危 険 性 を 有 す る た め 、 損 傷 時 の
残存能力を増大させるある程度の防護が要求されるケミ
カルタンカー。
タイプ 1 船は、最も大きな危険性を有すると考えられる貨物の運送
を予定したケミカルタンカーであり、タンク2船及びタンク3船は、
順次危険性の低くなる貨物の運送に用いられるものである。したがっ
て、タイプ 1 船は、最も厳しい損傷基準から貨物が残存しなければな
らず、また、その貨物タンクは外板から最大の規定距離内側に配置し
な け れ ば な ら な い 。 な お 、 タ イ プ 1、 2、 3 は 次 に 示 す 液 化 ガ ス 船 の 規
定 で あ る IGC Code で の 1G、 2G 及 び 3G に そ れ ぞ れ 対 応 す る 。
IBC Code に よ る 船 型 タ イ プ 別 の 貨 物 タ ン ク の 配 置 を 図 2.3.1-1 に 示
す。なお、タイプ 2 船で輸送することができる貨物はタイプ 1 船で輸
送することができ、また、タイプ 3 船で輸送することができる貨物は、
タイプ 1 船もしくはタイプ 2 船で輸送することができる。
IBC Code の 構 成 を 表 2.3.1-1(1) ∼ (2) に 、 主 た る 要 求 事 項 を 表
2.3.1-2 に そ れ ぞ れ 示 す 。 ま た 、 IBC Code に よ る 液 体 化 学 薬 品 の 船 型
タ イ プ の 例 を 表 2.3.1-3 に 示 す 。
10
B/5又 は11.5mの 小 さ い 方
B/5又 は11.5mの 小 さ い 方
満載喫水線
満載喫水線
貨物タンク
タンクは
外 板 か ら760mm以 上 の
距離が必要
B/15又 は6mの 小 さ い 方
船体中央部の断面
船 首 か ら0.3L の 部分 断 面
タンク底にサクションウェル不許可
(注 B= 船 幅 ,L =船 長 )
船型タイプ1断面図
760mm 以 上
満載喫水線
満載喫水線
貨物タンク
貨物タンク
76
0m
m
B/15又 は6mの 小 さ い 方
タ ン ク 底 に 深 さ350mm以 下
のサクションウェル可
船型タイプ2断面図
船型タイプ3断面図
図 2.3.1-1 IBC Code に よ る 船 型 タ イ プ 別 の 貨 物 タ ン ク 配 置 図
11
表 2.3.1-1(1) IBC Code の 構 成
章
内容
第 1 章
総則
適用、危険性、定義、同等物、検査及び証書
第 2 章
船舶の残存能
総則、乾舷及び非損傷次の復原性、乾舷甲板
力及び貨物タンクの配置
下の船側排出管、載貨状態、損傷の仮定、貨
物タンクの位置、浸水の仮定、損傷の基準、
残存条件
第 3 章
船舶の配置
貨物の隔離、居住区域、業務区域及び機関区
域並びに制御場所、貨物ポンプ室、貨物区域
内の場所に至る通路、ビルジ及びバラスト設
備、ポンプ及び管の識別、船首または船尾荷
役設備
第 4 章
貨物の格納
定義、個々の貨物に対するタンク形式の要件
第 5 章
貨物の移送
管寸法、管の組立及び継手の詳細、フランジ
継手、管に対する試験要件、配管、貨物移送
制御装置、船舶の貨物ホース
第 6 章
構造材料
総則、材料に関する特別要件
第 7 章
貨物温度制御
総則、追加要件
第 8 章
貨物タンク通
適用、貨物タンク通気装置、タンクベントシ
風及びガスフリー装置
ステムの形式、個々の貨物に対するベントの
要件、貨物タンクのガスフリー
第 9 章
環境制御
総則、個々の貨物に対する環境制御要件
第 1 0 章
電気設備
総則、危険場所並びに機器及び配線の形式、
接地、個々の貨物に対する電気要件
第 1 1 章
防火及び消火
適用、貨物ポンプ室、貨物区域、特別要件
第 1 2 章
貨物区域にお
貨物取扱作業中、通常において人が入る区
ける機械通風装置
域、ポンプ室及び通常において人が入る他の
閉囲区域、通常において人が入らない区域
第 1 3 章
計器
計測、蒸気検知
第 1 4 章
人身保護
保護装具、安全装具
12
表 2.3.1-1(2) IBC Code の 構 成
章
第 1 5 章
特別要件
内容
アセトンシアンヒドリン及びラクトニトリル
( 80% 以 下 )、 硝 酸 ア ン モ ニ ウ ム 溶 液
( 93 %
以 下 )、 二 硫 化 炭 素 、 ジ エ チ ル エ ー テ ル 、 過 酸
化水素溶液、自動車燃料用アンチノック剤
( ア ル キ ル 鉛 を 含 有 す る も の )、 黄 リ ン ( 白 リ
ン )、 酸 化 プ ロ ピ レ ン 及 び 酸 化 エ チ レ ン と 酸 化
プ ロ ピ レ ン と の 混 合 物 ( 酸 化 エ チ レ ン が 30 %
以 下 )、 塩 素 酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液 ( 50 % 以 下 )、
硫 黄 ( 溶 融 状 )、 酸 、 有 毒 物 質 、 自 己 反 応 を 制
御 さ れ た 物 質 、 摂 氏 37.8 度 に お い て 1.013 バ
ールより高い蒸気圧を有する貨物、貨物の混
合、強化通風要件、特別な貨物ポンプ室要
件、溢出制御、硝酸オクチル、温度検知器
第 1 6 章
作業要件
タンクあたりの最大許容貨物量、貨物情報、
船員の訓練、貨物タンクの開閉及び出入り、
貨物試料の保管、過度の熱にさらしてはなら
ない貨物、追加作業要件
第 16A 章
海洋環境保護
一般、運送条件、方法と設備のマニュアル
のための追加の方法
第 1 7 章
最低要件一覧
貨物対象品に対する最低要件一覧
第 1 8 章
規則の適用を
品目のリスト
受けない化学品の一覧
第 1 9 章
液体化学廃棄
総則、船舶の残存能力及び貨物タンクの位
物の洋上焼却に従事する
置、船舶の位置、貨物の格納及び焼却炉の基
船舶に対する要件
準、貨物移送、構造材料、タンクの通気装
置、貨物タンクの環境制御、電気設備、防火
及び消火、貨物区域及び焼却炉場所における
機械通風装置、計器及び溢出制御、人身保護
第 2 0 章
物の運送
液体化学廃棄
液体化学廃棄物の運送、化学廃液にかかる要
件
13
表 2.3.1-2 IBC Code の 主 た る 要 求 事 項
項
目
配置等
内
容
貨物タンクを他の区域から隔離し、かつ、居住区域、業
務区域、貨物ポンプ室等を居住区域、業務区域等に危険
なガスが侵入しないように配置する。
消防設備
貨物ポンプ室に固定式鎮火性ガス消火装置、貨物区域に
固定式甲板泡装置を備え付ける。
貨物タンク室
貨物タンク及び管装置等の材料は、一般には鋼とする。
特定の貨物にかかるものには、耐食性材料の使用、ライ
ニングを義務付ける。貨物タンクは構造上独立型タン
ク、一体型タンク、重力式タンク及び圧力式タンクの4
種類に分類し、各貨物ごとに積載することのできるタン
ク形式を定める。
貨物区域内の
貨物ポンプ室その他の貨物区域内にある閉囲区域等に危
通風装置
険なガスを十分に換気できる通風装置を備え付ける。
温度制御装置
貨物の加熱または冷却装置は貨物と危険な反応をしない
ものとする。
貨物タンクの
貨物タンクに過大な圧力を生じさせず、かつ、危険なガ
通風装置
スを居住区域内等に侵入させるおそれのない通気装置を
取り付ける。
計測装置及び
貨物タンクに備え付ける計測装置は、計測する貨物の危
ガス検知装置
険性に応じ計測者に危険を及ぼさない方式のものとす
る。毒性または引火性のガスを発生する貨物を運送する
船舶には、ガス検知装置を備え付ける。
環境制御
貨物の種類に応じ、貨物タンクをイナートガス等により
環境制御する。
電気設備
引火性の貨物を運送する船舶に設ける電気設備は、火災
を起こすおそれのないものであること。
保護装具等
荷役作業時の保護のための耐薬品性の保護装具を備え付
ける。危険なガスを発生する貨物を運送する船舶には、
ガスが充満した区画に入って作業するための安全装具を
備え付ける。
損傷時の復原
貨物ごとに運送する船型を、厳しい要件の順にタイプ
性
1, 2, 3 に 分 類 し 、 各 々 の 損 傷 時 の 残 存 要 件 に 適 合 す る
船体構造とする。
14
表 2.3.1-3 IBC Code に よ る 液 体 化 学 薬 品 の 船 型 タ イ プ の 例
船
品名
国連番号
無水酢酸
1715
S
2
アセトンシアノヒドリン
1541
S/P
2
アセトニトリル
1648
S
2
ア ク リ ル ア ミ ド 溶 液 ( 50%以 下 )
2074
S
2
アクリル酸
2218
S
3
アクリロニトル
1093
S/P
2
アジポニトル
2205
S
3
酢酸ペンチル
1104
P
3
アニリン
1547
S/P
2
塩化ベンゼンスルホニル
2225
S
3
塩化ベンジル
1738
S/P
2
酢酸ブチル
1123
P
3
S/P
2
樟脳油
危険性
型
タイプ
シクロヘキシルアミン
2357
S/P
3
アクリル酸ブチル
2348
S/P
2
n-ブ チ ル エ ー テ ル
1149
S/P
3
ブチルアルデヒド
1129
S/P
3
酪酸
2820
S
3
硫 化 ア ン モ ニ ウ ム 溶 液 ( 45%以 下 )
2683
S/P
2
二硫化炭素
1131
S/P
2
四塩化炭素
1846
S/P
3
ク ロ ロ 酢 酸 (80%以 下 )
1750
S/P
2
クロロベンゼン
1134
S/P
3
クロロホルム
1888
S/P
3
o-ク ロ ロ ニ ト ロ ベ ン ゼ ン
1578
S/P
2
クロロスルホン酸
1754
S/P
1
コールタールナフサ溶液
S/P
3
クレオソート(ウッド)
S/P
2
クロトンアルデヒド
1143
S/P
2
シクロヘキサン
1145
P
3
シクロヘキサノン
1915
S
3
S:安 全 上 の 危 険 性 を 有 す る
P:汚 染 上 の 危 険 性 を 有 す る
S/P:安 全 上 及 び 汚 染 上 の 危 険 性 を
有する
15
(3) IGC Code
500GT 未 満 の 船 舶 を 含 め て す べ て の 大 き さ の 船 舶 に よ り 、 37.8℃ に
お い て 280kPa/cm 2 絶 対 圧 力 を 超 え る 蒸 気 圧 を 有 す る 液 化 ガ ス 及 び 定
められた物質を輸送する場合において、当該船舶の構造、設備等に
ついて規定しており、危規則には、第 3 章第 2 節液化ガス物質とし
て取り入れられている。
IGC Code の 主 た る 要 求 事 項 を 表 2.3.1-4 に 示 す 。 ま た 、 品 名 別 の
輸 送 要 件 を 表 2.3.1-5 に 示 す 。 な お 、 品 名 に よ っ て は 、 表 2.3.1-4
に記載の要求事項について、特別要件が定められているものがある。
(2)で も 解 説 し た よ う に 、 船 型 の 「 1G」、「 2G 」 及 び 「 3G」 は 、 貨 物
の海からの隔離及び損傷時復原性の基準を示すものであり、前述の
ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 船 型 タ イ プ 「 タ イ プ 1」、「 タ イ プ 2」 及 び 「 タ イ
プ 3」 に 相 応 す る 。
な お 、 タ イ プ 2G 船 で 輸 送 す る こ と が で き る 貨 物 は タ イ プ 1G 船 で
輸 送 す る こ と が で き 、 ま た 、 タ イ プ 3G 船 で 輸 送 す る こ と が で き る 貨
物 は タ イ プ 1G 船 も し く は タ イ プ 2G 船 で 輸 送 す る こ と が で き る 。 ガ
ス検知装置の F は引火性ガス検知装置を、T は毒性ガス検知装置を、
O は 酸 素 濃 度 計 を 、 F− T は 引 火 性 及 び 毒 性 ガ ス 検 知 装 置 を 示 す 。
液面計測装置の I は密閉式を、C は密閉式または貫通密閉式を、R
は密閉式または貫通密閉式あるいは制限式を示す。
な お 、 メ タ ン ( LNG) 及 び プ ロ パ ン ( LPG) の 輸 送 船 は IGC Code の
2G に 該 当 す る が 、 こ れ は 貨 物 タ ン ク 位 置 が 船 底 か ら は 過 去 の 事 故 解
析による最大損傷範囲より船内側に、そして船側からは局部損傷の
範 囲 よ り も 船 内 側 に あ る こ と を 示 す 。 こ れ よ り 、 LNG 船 、 LPG 船 に お
いては、貨物タンクを事故による損傷から守る十分なスペースが設
け ら れ て い る の で 、 海 上 輸 送 事 故 に よ り 、 HNS 流 出 が 発 生 す る 可 能 性
は低いと考えられる。
16
表 2.3.1-4 IGC Code の 主 た る 要 求 事 項
項
目
配置等
内
容
船艙区域を他の区域から隔離し、かつ、居住区域、業務区
域、貨物ポンプ室等を居住区域、業務区域等に危険なガスが
侵入しないように配置する。
消防設備
引火性または毒性の貨物を運送する船舶には水噴霧装置、引
火性の貨物を運送する船舶には固定式粉末消火装置を備え付
ける。
貨物格納設備及び
貨物格納設備の材料は圧力用あるいは低温用のものとし、ま
管装置等
た、管装置は居住区域に配置しない。
通風装置
貨物ポンプ室、貨物圧縮機室、電動機室に危険なガスを十分
に換気できる通風装置を備え付ける。
圧力及び温度制御
貨物タンクが設定圧力以上になることを防止することができ
装置
る冷却装置を備え付ける。
貨物タンクの通気
貨物タンクには、当該タンクに過大な圧力を生じさせず、か
装置
つ、危険なガスを居住区域内等に侵入させるおそれのない通
気装置を取り付ける。
環境制御
貨物に応じ貨物タンクまたは船艙区域をイナートガス等によ
り環境制御する。
計測装置及びガス
貨物タンクに有効な液面計測装置、圧力計測装置、温度指示
検知装置
装置を備え付ける。毒性または引火性のガスを運送する船舶
には、ガス検知装置を備え付ける。
貨物を燃料として
貨 物 で あ る LNG を 燃 料 と し て 使 用 す る た め の 設 備 は 、 居 住 区
使用するための設
域、機関区域等に貨物を漏洩または滞留させるおそれのない
備 ( LNG の み )
ものとする。
充てん限度
温度変化による貨物の膨張を考慮して定められた充てん限度
を超えないように貨物を積載する。
電気設備
引火性の貨物を運送する船舶に設ける電気設備は、火災を起
こすおそれのないものであること。
保護装具等
荷役作業時の保護のための保護装具及びガスが充満した区画
に入って作業するための安全装具を備え付ける。
損傷時の復原性
船 舶 の 船 型 を 、 厳 し い 要 件 の 順 に タ イ プ 1G, 2G , 3G に 分 類
し、各々の損傷時の残存要件に適合する船体構造とする。
17
表 2.3.1-5 IGC Code に よ る 液 化 ガ ス 物 質 の 輸 送 要 件
独立型 貨物タン
国連
ガス検
品名
船型 タンク クの環境
番号
知装置
の要求 制御
アセトアルデヒド
1089
2G
−
不活性化
アンモニア(無水)
1005
2G
−
ブタジエン
1010
2G
−
ブタン
1011
2G
ブタンとプロパンの混合物
1011
1978
ブチレン
塩素
液面
計測
制御
F− T
C
−
T
C
−
F− T
R
−
−
F
R
2G
−
−
F
R
1012
2G
−
−
F
R
1017
1G
有
乾燥
T
I
ジエチルエーテル
1155
2G
−
不活性化
F− T
C
ジメチルアミン
1032
2G
−
−
F− T
C
エタン
1961
2G
−
−
F
R
塩化エチル
1037
2G
−
−
F− T
R
エチレン
1038
2G
−
−
F
R
酸化エチレン
1040
1G
有
不活性化
F− T
C
酸化エチレンと酸化プロピレン
との混合物(酸化エチレンの含
有 率 が 30 質 量 % 以 下 の も の )
2983
2G
−
不活性化
F− T
C
イソプレン
1218
2G
−
−
F
R
イソプロピルアミン
1221
2G
−
−
F− T
C
メ タ ン ( LNG)
1972
2G
−
−
F
C
メチルアセチレンとプロバジエ
ンの混合物
1060
2G
−
−
F
R
臭化メチル
1062
1G
有
−
F− T
C
塩化メチル
1063
2G
−
−
F− T
C
モノエチルアミン
1036
2G
−
−
F− T
C
窒素
2040
3G
−
−
O
C
ペンタン
1265
2G
−
−
F
R
ペンテン
1265
2G
−
−
F
R
プロパン
1978
2G
−
−
F
R
プロピレン
1077
2G
−
−
F
R
酸化プロピレン
1280
2G
−
不活性化
F− T
C
−
3G
−
−
−
R
二酸化イオウ
1079
1G
有
乾燥
T
C
塩化ビニル
1086
2G
−
−
F− T
C
ビニルエチルエーテル
1302
2G
−
不活性化
F− T
C
塩化ビニリデン
1303
2G
−
不活性化
F− T
R
冷媒ガス
18
2.3.2 HNS 輸 送 船 舶 の 種 類
HNS 輸 送 船 舶 は 、 化 学 薬 品 を 輸 送 す る ケ ミ カ ル タ ン カ ー と 、 LNG、 LPG
等を輸送する液化ガスタンカーに大別される。これらは貨物の性状、載
荷方式等によりいくつかの種類に分けられる。以下に、ケミカルタンカ
ー及び液化ガスタンカーのそれぞれのタイプについて示す。
(1) ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 種 類
ケミカルタンカーは、大きく分けて次の 3 タイプに分けられる。
① 汎 用 ケ ミ カ ル タ ン カ ー ( Parcel Tanker)
多品目の化学薬品を、多数に分割されたタンクに積み分け、運送す
る こ と が で き る よ う に 設 計 さ れ た タ ン カ ー で 、 20,000∼ 40,000D/W 程
度のものが多く、積荷相互間の混合や汚染などを防止するため、各タ
ンクごとに配管、ポンプ等が独立に使用するよう配慮されている。
通常、このタイプのものは国際航海に従事し、少量多品目の薬品類
を積み分けるのに適し、極めて多目的に使用することができる。また、
30∼ 40 以 上 に も 分 割 さ れ た 貨 物 タ ン ク を 持 ち 、 船 殻 は 二 重 底 を 有 し 、
外板の一部あるいは全部が二重構造になっているものがある。
汎 用 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 例 を 図 2.3.2-1 に 示 す 。
E.R
A.P.T
A.P.T
F.P.T
E.R
F.P.T
図 2.3.2-1 汎 用 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 例
19
② 専用ケミカルタンカー(特殊タンク船)
建造計画の当初から運送する化学薬品が特定されていて、計画に基
づいて一定区間を往復する用途に従事するものがこれに相当し、特定
のプロジェクトに従って、船型、速力、荷役設備、海洋汚染防止設備
等に関し、余剰設備を持たない合理的な設計をすることができる。
ケミカルタンカー(特殊タンク船)の種類を以下に示す。
○ 高圧液化ガス船
ガス状物質を圧縮または加圧液化し、もしくは低温液化した状態
のままで自船の圧力タンクに積載輸送する船舶で、積荷の性状に適
応した圧力タンクを有し、あるいは低温を保持するための冷却・保
冷設備を備えている。
塩 素 ガ ス タ ン カ ー の 例 を 図 2.3.2-2 に 示 す 。
図 2.3.2-2 塩 素 ガ ス タ ン カ ー の 例
○ 高温液体船
固体状のものを工場で溶融して出荷し、船のタンクに積載、液状
の ま ま 60℃ ∼ 200℃ 程 度 の 液 温 に 保 温 し な が ら 輸 送 す る 船 舶 で 、 船
内タンクには保温・加熱装置を備えている。溶融硫黄運搬船の例を
図 2.3.2-3 に 示 す 。
W
・
B
・
T
E.R
TK
TK
TK
W
・
B
・
T
TK
TK
図 2.3.2-3 溶 融 硫 黄 運 搬 船 の 例
20
TK
○ 耐腐蝕船
強酸、強アルカリ性及び過酸化性の液体または水溶液を積載する
船舶で、一般に薬品タンク船と呼ばれている。
これらの船舶は、貨物に対応した耐触性材によるタンク構造を有
し、濃硫酸専用船を除き、ほとんどが二重船殻構造になっている。
苛 性 ソ ー ダ 運 搬 船 の 例 を 図 2.3.2-4 に 示 す 。
E.R
P.R
図 2.3.2-4 苛 性 ソ ー ダ 運 搬 船 の 例
○ 高度品質管理船
毒性、腐蝕性、有害性または引火性を有する物質で、特に危険性
の強いものを輸送する船舶である。品質の保持・輸送・取扱い上の
安全、乗組員及び海洋環境の保護等のため、それぞれの貨物に適応
した特殊構造を要求される専用船である。
③ 一般用ケミカルタンカー
建造計画時は石油精製品またはこれに類した積荷が目的であったも
のが、事情により、随時多品目の化学薬品の輸送に振り分けられた船
舶である。タンク構造、浸水時復原性、荷役諸設備の配置、材質、タ
ンク内塗装等を勘案し同船に適した積荷を積載する形態をとる。
メ タ ノ ー ル 運 搬 船 の 例 を 図 2.3.2-5 に 示 す 。
な お 、 メ タ ノ ー ル は IBC Code ( 危 規 則 ) 上 、 ば ら 積 み 液 体 化 学 薬
品の規制対象となっておらず、石油精製品等を輸送するプロダクトオ
イルキャリアと同様に取り扱われる。
W.B.T
Cargo Tank
A.P.T
E.R
F.P.T
P.R
図 2.3.2-5 メ タ ノ ー ル 運 搬 船 の 例
21
(2)液 化 ガ ス タ ン カ ー の 種 類
液化ガスタンカーは、積荷である液化ガスの貯蔵形態により、化
学薬品等を運搬するケミカルタンカーを含め次の 3 種類に分類する
ことができる。
○ 圧 力 式 液 化 ガ ス タ ン カ ー ( Fully Pressurized Liquefied Gas
Tanker)
○ 低 温 圧 力 式 液 化 ガ ス タ ン カ ー ( Pressurized and Refrigerated
Liquefied Gas Tanker)
○ 低 温 式 液 化 ガ ス タ ン カ ー ( Fully Refrigerated Liquefied Gas
Tanker)
①圧力式液化ガスタンカー
圧力式液化ガスタンカーでは、貨物は温度及び圧力の制御を行なわ
ずに常温において貨物の蒸気圧と等しい圧力を保って液状を維持され
る 。 こ の 船 舶 で は 最 低 設 計 温 度 は 0℃ と さ れ 、 ま た , 設 計 蒸 気 圧 は
18kg/cm 2 G( 19.03kg/cm 2 A) と さ れ る 。
し た が っ て 、 45℃ の 蒸 気 圧 が 19.03kg/cm 2 A 以 下 の 物 質 は 、 こ の 方
式の貯蔵運搬が可能である。なお、設計蒸気圧をいくら高くしても、
臨 界 温 度 が 45℃ 未 満 の 物 質 は 圧 力 式 で は 貯 蔵 運 搬 で き な い 。
圧力式液化ガスタンカーの対象貨物としてもっとも一般的なのが、
プ ロ パ ン 、 ブ タ ン 等 の LPG で あ る 。 そ の ほ か , プ ロ ピ レ ン 、 ブ テ ン 類 、
塩化ビニール、ブタジエン、アンモニア等を運搬できる多目的船も多
くなっている。
②低温圧力式液化ガスタンカー
低 温 圧 力 式 液 化 ガ ス タ ン カ ー で は , 常 温 45 ℃ よ り 低 く 、 か つ 、 沸
点より高い温度に貨物を制御して運搬する。圧力はその温度における
物質の蒸気圧以上であり、当然、大気圧より高くなる。この方式では、
貨物の温度や圧力制御が必要であり、タンクには防熱装置がほどこさ
れ貨物冷却装置も設けられる。
低温圧力式液化ガスタンカーは、特定貨物専用と多目的用に分けら
れる。前者は設計温度・圧力をある狭い範囲に限定したもので、エチ
レン、アンモニア、プロパン等の特定の貨物を対象としている。後者
は設計温度・圧力に幅を持たせ、より広範囲の貨物を扱うことができ
る。
22
多目的圧力式液化ガスタンカーは、タンクは圧力容器とし、形状は
円筒形、球型、双胴円筒型等が採用されている。タンクには防熱装置、
カバー及び温度圧力制御装置が設けられる。
③低温式液化ガスタンカー
低温式液化ガスタンカーは、貨物を大気圧に近い圧力下でその飽和
温度以下に制御して貯蔵運搬する方式である。この場合、最低設計温
度はその貨物の沸点前後とする。
したがって、貨物温度や圧力の制御装置が必要である。
こ の 方 式 の 対 象 貨 物 と し て も っ と も 一 般 的 な の が LNG で あ る が 、 そ
の ほ か LPG や エ チ レ ン 等 も 対 象 貨 物 と な り 得 る 。
液 化 ガ ス タ ン カ ー の う ち LPG 船 に つ い て は 、 設 置 さ れ る タ ン ク の 形
式から次の2種類に分類することもできる。
・ 圧 力 式 LPG 船
・ 低 温 液 化 式 LPG 船
④ 圧 力 式 LPG 船
圧 力 式 LPG 船 で は 、 タ ン ク は 水 平 縦 方 向 設 置 の 円 筒 形 タ ン ク と す る
こ と が 一 般 的 で あ る 。 タ ン ク の 総 容 量 が 3,000m 3 を 超 え る と 、 タ ン ク
形状は円筒形横置き式から球形タンクを複数個備えるようになる。タ
ンクの上半部は一般的に甲板上に暴露され、甲板とタンクとは特別に
設計された防水装置が取り付けられる。タンクには、前述の設計温度
との関係からタンクカバーや防熱装置は設けられないのが一般的であ
る。
圧 力 式 LPG 船 の 例 を 図 2.3.2-6 に 示 す 。
LPG TK
LPG TK
図 2.3.2-6 圧 力 式 LPG 船 の 例
23
⑤ 低 温 液 化 式 LPG 船
プロパンガスやブタンガスは、常温で圧力を加えたり、また冷却す
ると簡単に液化する。従来の輸送では高圧式輸送方式により、船内に
多数のボンベ方式のタンクを設備して行なわれたのであるが、大気圧
下 で プ ロ パ ン は − 42.2 ℃ 、 ブ タ ン は − 0.5℃ を 保 て ば 液 化 状 態 と な る
ので大量の輸送ができるという運搬の経済性に基づき、低温式の運搬
方式が発達した。
LPG は 大 気 圧 下 で 低 温 化 す れ ば 液 状 を 呈 す る の で 、 タ ン ク 形 状 は 方
形かそれに近い形状となるが、タンク形式及び保温のための防熱方式
の選定により、構造が異なる。
低 温 液 化 式 LPG 船 で は 、 冷 凍 装 置 に よ る タ ン ク 冷 却 装 置 は 設 け な い 。
単に、航海中侵入熱により発生したガスを各タンクから管で導き、こ
れを冷却液化して元のタンクに戻すだけの容量の冷却装置が設備され
る。
低 温 液 化 式 LPG 船 の 例 を 図 2.3.2-7 に 示 す 。
E.R
CARGO TK
CARGO TK
CARGO TK
A.P.T
CARGO TK
F.P.T
図 2.3.2-7 低 温 液 化 式 LPG 船 の 例
液 化 ガ ス タ ン カ ー の う ち LNG 船 に つ い て は 、 LNG 専 用 、 LNG と LPG
兼 用 、 LNG 以 外 の LPG・ エ チ レ ン ・ ア ン モ ニ ア 等 の 多 目 的 に 使 用 さ れ
る も の と に 大 別 さ れ る 。 LNG 専 用 や LNG と LPG 兼 用 の 船 舶 は 比 較 的 大
型である。
また、タンクの構造様式から、次の2種類に分類することもできる。
・ 自 立 式 タ ン ク 方 式 ( Self-Supporting Tank Type) LNG 船
・ メ ン ブ レ ン 方 式 ( Membrane Type) LNG 船
そのうち構造面、経済面及び運用面から見て、球型タンクを複数個
設けることが有利であるとされている。
24
⑥ 自 立 式 球 形 タ ン ク 方 式 ( Self-Supporting Sphere Tank Type) LNG 船
LNG を 低 温 液 化 状 態 で 複 数 の 球 形 タ ン ク に よ り 運 搬 す る 方 式 で あ り 、
球形タンクの支持方式により、複数の様式がある。
自 立 式 球 形 タ ン ク 方 式 LNG 船 の 例 を 図 2.3.2-8 に 示 す 。
E.R
図 2.3.2-8 自 立 式 球 形 タ ン ク 方 式 LNG 船 の 例
・ モ ス シ ス テ ム ( Moss System): タ ン ク は 、 船 体 構 造 上 に 設 け ら れ た
円筒状スカートと赤道帯で溶接され支持される。
・ テ ク ニ ガ ス シ ス テ ム ( Technigaz System ): タ ン ク は 、 赤 道 上 に 下
端が取り付けられた平行ヒンジ式吊機によって甲板から吊り下げら
れて支持される。
・ CBI シ ス テ ム ( Chicago Bridge and Iron Co. System ): タ ン ク は 、
鋼製大型ブラケットを使用して、赤道からやや下のタンク外板に接
合された多数の垂直コラムによって支持され、コラムは熱絶縁され
た基礎上に設けられる。
・ セ ナ ー シ ス テ ム ( Sener System): タ ン ク は 、 箱 形 構 造 の ス カ ー ト
上に設置支持される。
⑦ メ ン ブ レ ン 方 式 ( Membrane Type) LNG 船
液化ガスの容器を薄膜(メンブレン)の金属板とし、その外側に防
熱材を配し、液圧による荷重を防熱壁を介して船体構造で受ける方式
である。
メ ン ブ レ ン 方 式 LNG 船 の 例 を 図 2.3.2-9 に 示 す 。
E.R
図 2.3.2-9 メ ン ブ レ ン 方 式 LNG 船 の 例
25
2.3.3 HNS 輸 送 船 舶 の 主 要 目
HNS 輸 送 船 舶 の 主 要 目 を 以 下 に と り ま と め た 。
① ケミカルタンカー
ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 主 要 目 一 例 を 表 2.3.3-1 に 示 す 。
表 2.3.3-1 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 主 要 目
区
分
船型
ー
外
航
ケ
ミ
カ
ル
タ
ン
カ
ー
内
航タ
ケン
ミカ
カ
ル
全長
総トン数 載貨重量トン タンク
タンク数
(m)
(GT)
(D.W.T) 容積(m3)
8
幅
(m)
深さ 満載喫水 主機馬力 航海速力
(m) (m)
(ps) (k't)
1,000 トン型
999.0
1,933.0
1,327
71.86
11.00
5.49
5.10
1,500
11.50
3,000 トン型
3,194.0
5,568.2
6,129
15 104.14
15.02
7.80
6.47
4,500
13.50
5,000 トン型
5,266.0
9,306.1
9,236
13 116.90
18.20
9.80
7.99
4,900
12.70
7,000 トン型
6,738.0
12,010.7
13,485
21 124.80
18.30
10.85
9.06
7,000
14.00
10,000 トン型 10,499.0
16,617.0
21,608
24 149.60
22.81
12.02
8.66
6,200
13.25
15,000 トン型 14,912.0
23,299.0
29,805
36 169.75
24.47
12.50
9.56
11,500
16.25
20,000 トン型 20,760.0
36,501.0
44,238
36 176.82
29.61
15.17
11.56
14,400
15.50
20,000 トン型 22,587.0
39,782.0
47,140
26 179.94
32.00
-
11.20
14,400
15.00
25,000 トン型 25,000.0
36 183.00
41,500.0
50,000
33.00
-
12.00
14,400
15.00
199 トン型
199.8
515.0
611
3
48.80
8.00
3.30
3.20
750
10.50
299 トン型
299.0
695.0
648
3
52.52
8.60
3.90
3.45
900
10.00
499 トン型
499.8
999.5
1,140
4
59.95
9.80
4.30
3.95
1,200
10.50
699 トン型
699.8
1,230.0
1,211
4
67.55
11.00
5.00
4.40
1,800
12.00
1,000 トン型
1,076.1
2,198.5
2,309
5
77.70
11.40
5.00
4.80
1,600
11.00
(出典:
「ばら積み液体化学物質の積替荷役に係わる調査委員会報告書」
:平成 6 年 (社)日本海難防止協会)
② 液化ガスタンカー
液 化 ガ ス タ ン カ ー の 主 要 目 一 例 を 表 2.3.3-2 に 示 す 。
表 2.3.3-2 液 化 ガ ス タ ン カ ー の 主 要 目
区
分
全長
総トン数 載貨重量トン タンク
タンク数
(m)
(GT)
(D.W.T) 容積(m3)
幅
(m)
深さ 満載喫水 主機馬力 航海速力
(m) (m)
(ps) (k't)
306.0
482.0
588
-
51.43
8.80
3.70
3.29
850
10.50
499.0
754.0
955
-
63.10
10.20
4.75
3.76
1,030
12.50
699.0
1,783.5
2,051
-
76.00
11.20
5.00
4.55
1,800
11.40
999.8
1,101.2
1,608
-
67.90
11.20
5.10
4.06
1,600
11.00
1,199.0
1,499.0
1,554
-
69.50
13.00
6.20
4.50
2,400
12.80
1,809.0
1,983.0
2,511
-
85.74
13.50
6.60
5.01
2,800
13.00
42,341.0
49,255.0
75,358
8 224.05
36.00
17.7
11.02
12,400
16.00
47,421.2
49,985.0
80,311
8 224.00
36.00
22.3
11.40
19,080
16.20
20,017.0
LNG
タンカー 111,079.0
12,493.0
23,096
3 151.03
28.00
12.57
7.06
5,734
16.50
72,557.0
135,000
5 297.50
45.75
21.75
11.21
36,440
19.55
LPG
タンカー
( 資 料 :「 船 舶 明 細 」: 2003 年 ( 社 ) 日 本 海 運 集 会 所 」)
26
2.3.4 HNS 輸 送 船 舶 の 事 故 に よ る 流 出
HNS 輸 送 船 舶 は 、 そ れ ぞ れ の 船 舶 が 積 載 す る HNS の 危 険 度 に 応 じ た
IBC Code 及 び IGC Code の 船 体 構 造 要 件 等 に よ っ て 、 海 難 に よ る 流 出 事
故の危険性の軽減が担保されている。したがって、船級協会規則で規定
されている高さの二重底及び二重側壁を設けていれば、事故による流出
の可能性は低いと考えられる。
特 に 、 乗 揚 げ に 関 し て は 、 USCG(United States Coast Guards)の 統 計
に よ れ ば 、 貨 物 タ ン ク ま で 達 す る よ う な 損 傷 は 90%以 上 の 確 率 で 避 け ら
れることが示されている。
ま た 、「 液 化 ガ ス / ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 基 礎 」( 恵 美 洋 彦 : 成 山 堂 書
店)によると、衝突事故時、二重側壁を設けていれば接触による損傷の
ほとんどはこの局部損傷の範囲内にとどまるとのことである。
流出した場合において、液化ガスタンカーは、代表的な船舶である
LNG 船 及 び LPG 船 の 貨 物 が そ れ ぞ れ メ タ ン 及 び プ ロ パ ン で あ り 、 そ れ ら
は一般に揮発性が高く、常温・常圧下では容易に揮発する。そのため、
流出が発生した場合には液体としての拡散源から、海水からの熱流入を
受けて気化しながら広がり、拡散源からある距離のところで液は消失す
るため、液体としての大規模な拡散は発生しないと考えられる。
一方、ケミカルタンカーの貨物は、巻末資料の環境影響データシート
に示すように、海水へ易溶のものから難溶のもの、高揮発性のものから
非揮発性のものまで性状は多岐にわたり、流出時における拡散等の影響
を画一的に論じるのは困難である。
27
【参
考】
メタン流出が発生した場合を、単位時間単位面積あたりの揮発量を
0.2kg/m 2 ・ sec と し て 考 慮 す る と 、 衝 突 後 の 液 化 ガ ス タ ン カ ー の 破 孔 の 大 き
さ が そ れ ぞ れ 5、 10、 15m 2 の 場 合 に は 、 そ れ ぞ れ 初 期 の 液 体 の 最 大 拡 散 半 径
は 219m、 309m、 379m と な る 。 そ し て 、 流 出 量 は 時 間 と と も に 減 少 す る の で 、
拡 散 半 径 も そ れ に と も な い 図 2.3.4-1 に 示 す よ う に 小 さ く な っ て い く 。 同
図 よ り 、 破 孔 が 15m 2 の 場 合 に は 2 分 以 内 、 5m 2 の 場 合 に は 6 分 以 内 に 拡 散 半
径 が 0m、 す な わ ち 液 体 が 消 失 し て い る こ と が わ か る 。 よ っ て 、 HNS の 海 上
流出とその拡散を考慮する場合、液化ガスでは大規模な海上流出は発生し
ないと考えられる。
300
LNG の 拡 散 半 径
(m)
200
5㎡
15㎡
100
0
0
10㎡
100
1
200
2
3
4
300
5
(sec) 400
6 (min) 時
(出典:
「危険物積載船による災害の防止に関する調査研究 報告書」
:昭和 48 年(社)日本海難防止協会)
図 2.3.4-1 LNG 拡 散 半 径 の 時 系 列 変 化
28
間
2.4 HNS 海 上 輸 送 の 調 査
2.4.1 HNS 海 上 輸 送 の 地 域 特 性 の 調 査
(1) HNS 海 上 輸 送 船 舶 航 行 ル ー ト の 調 査
① わ が 国 周 辺 の HNS 海 上 輸 送 船 舶 航 行 ル ー ト
わ が 国 周 辺 の HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 使 用 航 路 を 図 2.4.1-1 に 示 す 。 同
図において、一隻の船舶しか航行しなかった航路も、数百隻の船舶が
航行した航路も1本の航路線で示されている。
同 図 よ り 、 HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 路 の 航 路 線 は 、 特 に 東 京 湾 、 伊 勢
湾及び大阪湾に集中していることがわかる。
N
45°
40°
35°
30°
25°
20°
120°
125°
130°
135°
140°
145°
150°
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)
」
:平成 13 年(社)日本海難防止協会)
図 2.4.1-1 わ が 国 周 辺 海 域 を 航 行 し た HNS 輸 送 船 舶 の 使 用 航 路 ( 1997 年 )
29
② マ ラ ッ カ ・ シ ン ガ ポ ー ル 海 峡 の HNS 海 上 輸 送 船 舶 航 行 ル ー ト
マ ラ ッ カ ・ シ ン ガ ポ ー ル 海 峡 ( 以 下 、「 マ ・ シ 海 峡 」 と い う 。) の
HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 使 用 航 路 を 図 2.4.1-2 に 示 す 。
同図において、シンガポール海峡東方及び南方とマラッカ海峡の西
方を結ぶ航路線、シンガポール海峡東方とマラッカ海峡西方からシン
ガポール等のマ・シ海峡内の諸港間とを結ぶ航路線、マ・シ海峡内の
諸港間を結ぶ航路線が見られる。
なお、マ・シ海峡内には通航分離帯があるがここでは 1 本の航路線
として示している。
5°
0°
95°
100°
105°
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書」
:平成 14 年度(社)日本海難防止協会)
図 2.4.1-2 マ ・ シ 海 峡 を 航 行 し た HNS 輸 送 船 舶 の 使 用 航 路 ( 2001 年 )
30
2.4.2 HNS 輸 送 船 舶 の 関 係 港 調 査
海 上 保 安 統 計 年 報 第 53 巻 ( 平 成 14 年 1 月 1 日 ∼ 平 成 14 年 12 月 31
日)のデータに基づき、わが国における港別危険物荷役状況を荷役量の
高 い 順 に と り ま と め た も の を 表 2.4.2-1(1)∼ (2)に 示 す 。
合 計 の 荷 役 量 は 約 512 百 万 ト ン で あ り 、 そ の う ち 、 低 引 火 性 液 体 、 中
引 火 性 液 体 及 び 高 引 火 性 液 体 を 合 わ せ た も の ( 以 下 、「 引 火 性 液 体 」 と
い う 。) が 80% を 占 め 、 次 い で 高 圧 ガ ス 、 腐 食 性 物 質 と な り 、 そ れ 以 外
の 危 険 物 は 全 体 の 1% 以 下 と な っ て い る 。
港 別 の 荷 役 量 は 、 千 葉 港 が 77 百 万 ト ン と も っ と も 多 く 、 次 い で 喜 入
港 、 京 浜 港 ( 横 浜 区 )、 京 浜 港 ( 川 崎 区 ) が 続 い て い る 。 喜 入 港 に お け
る危険物はすべてが引火性液体である。
港別取扱量を海域別に分類した場合、東京湾、伊勢湾(三河湾を含む。
以 下 、「 伊 勢 湾 」 と い う 。) 及 び 大 阪 湾 の 隻 数 並 び に 荷 役 量 が 多 い 。
上 記 3 海 域 の 全 体 に お け る 荷 役 量 及 び 隻 数 の 関 係 を 図 2.4.2-1 に 示 す 。
東 京 湾 、 伊 勢 湾 及 び 大 阪 湾 の 全 体 に お け る 荷 役 量 の 割 合 は そ れ ぞ れ 31%、
10%、 7%、 全 体 に お け る 隻 数 の 割 合 は そ れ ぞ れ 28%、 9%、 10%と な り 、 こ
の 3 海 域 で 全 体 の 約 半 数 ( 荷 役 量 48% 、 隻 数 47%) を 占 め る 。
東 京 湾 内 の 港 を 抽 出 し た 危 険 物 荷 役 状 況 を 表 2.4.2-2 に 示 す 。
東 京 湾 内 で は 千 葉 港 、 京 浜 港 、 木 更 津 港 及 び 横 須 賀 港 に お い て 159 百
万 ト ン の 危 険 物 荷 役 が 行 わ れ て お り 、 合 計 入 港 隻 数 は 全 国 の 28% 、 危
険 物 荷 役 量 は 全 国 の 31% を 占 め て い る 。
東 京 湾 内 に お け る 危 険 物 荷 役 の 78% は 引 火 性 液 体 と な っ て い る 。
伊 勢 湾 内 の 港 を 抽 出 し た 危 険 物 荷 役 状 況 を 表 2.4.2-3 に 示 す 。
伊 勢 湾 内 で は 四 日 市 港 、 名 古 屋 港 、 衣 浦 港 及 び 三 河 港 に お い て 50 百
万 ト ン の 危 険 物 荷 役 が 行 わ れ て お り 、 合 計 入 港 隻 数 は 全 国 の 9% 、 危 険
物 荷 役 量 は 全 国 の 10% を 占 め て い る 。
伊 勢 湾 内 に お け る 危 険 物 荷 役 の 62% は 引 火 性 液 体 と な っ て い る 。
大 阪 湾 内 の 港 を 抽 出 し た 危 険 物 荷 役 状 況 を 表 2.4.2-4 に 示 す 。
大 阪 湾 内 で は 大 阪 港 、 神 戸 港 、 泉 州 、 尼 崎 西 宮 芦 屋 港 及 び 阪 南 港 37
百 万 ト ン の 危 険 物 荷 役 が 行 わ れ て お り 、 合 計 入 港 隻 数 は 全 国 の 10 % 、
危 険 物 荷 役 量 は 全 国 の 7% を 占 め て い る 。
大 阪 湾 内 に お け る 危 険 物 荷 役 の 68% は 引 火 性 液 体 と な っ て い る 。
31
これらの海域はいずれも狭い内湾であり、狭い水路内を大小含めて多
数の船舶が航行しており、海難事故の件数も多い。また、事故が発生し
た場合には人口密集地に近く、かつ海水の交換率も低いため大規模かつ
長期的な被害が予想される。
東京湾、伊勢湾及び大阪湾の危険物荷役状況として、流出事故発生の
確率の高いケミカルタンカーについて以下に取りまとめた。
32
33
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
千葉
喜入
京浜(横浜区)
京浜(川崎区)
水島
大阪(堺泉北区)
四日市
名古屋
鹿島
大分
徳山下松
室蘭
和歌山下津
仙台塩釜
苫小牧
岩国
姫路
坂出
新潟
木更津
金武中城
伏木富山
宇部
秋田船川
京浜(東京区)
博多
関門(若松)
神戸
清水
小名浜
青森
八戸
釧路
東播磨
新居浜
関門(若松除)
大阪(大阪区)
松山
鹿児島
泉州
柳井
金沢
函館
田子の浦
伊万里
広島
直江津
境
三池
七尾
小 計
種別
港別
高圧ガス
隻数
荷役量(トン)
3,923
11,337,569
0
0
2,717
11,791,927
1,951
2,098,936
2,224
1,264,243
2,647
9,628,816
2,006
7,924,326
1,055
8,243,168
1,172
1,429,896
2,050
3,477,586
2,514
2,465,372
80
54,290
221
102,025
738
1,371,351
318
185,463
283
187,183
669
4,649,736
399
409,681
329
4,437,193
813
6,294,533
164
89,819
86
93,946
572
323,435
90
68,070
847
96,503
1,073
516,056
142
1,769,917
372
290,554
479
479,058
250
216,060
189
693,318
259
90,460
123
74,890
462
428,672
856
422,054
357
167,106
63
1,054
891
27,026
902
252,767
0
30
69
1,268,503
180
159,423
193
48,042
45
19,850
593
824,564
607
387,200
8
94
74
540
52
39,611
140
540,354
36,247
86,742,270
腐食性物質
隻数
荷役量(トン)
1,585
747,268
0
0
1,188
1,211,277
267
109,847
1,911
674,555
1,204
774,389
1,082
610,360
1,602
741,522
1,251
1,298,834
597
276,087
4,598
2,001,334
16
8,542
449
133,310
63
33,540
192
160,325
201
67,513
1,061
572,315
240
74,780
143
102,377
0
0
4
1,198
0
0
1,356
502,667
181
464,110
629
39,525
29
842
725
297,548
524
131,752
497
155,012
253
207,766
24
1,722
222
186,248
99
99,202
1,356
556,373
1,396
735,938
324
111,912
2,240
893,206
246
80,599
3
10
0
0
0
0
11
11,940
135
4,558
199
96,436
51
19,426
1
0
15
9,569
36
34,119
279
156,549
0
0
28,485
14,396,402
低引火性液体
隻数
荷役量(トン)
6,782
48,292,161
380
45,053,191
3,788
16,478,055
3,896
26,817,639
4,110
25,997,336
1,479
16,728,052
1,869
18,678,868
2,991
3,880,812
757
10,738,766
1,575
9,373,164
1,220
7,978,411
322
1,186,777
2,362
8,298,147
400
7,297,562
483
7,252,510
1,058
4,840,923
707
1,201,568
1,173
6,009,333
409
1,082,805
0
0
342
4,829,108
192
2,611,144
1,100
871,639
97
1,372,368
611
581,593
1,617
1,410,719
197
147,325
277
397,622
450
1,121,522
253
500,126
79
321,231
4,477
406,007
94
369,359
389
387,581
205
134,495
545
590,319
687
181,380
573
658,803
299
600,855
0
0
22
4,400
376
624,328
68
170,804
396
438,435
5
118
257
266,738
102
354,570
131
351,794
108
169,510
13
26,560
49,723 287,086,533
高引火性液体
隻数
荷役量(トン)
9,129
13,914,964
89
5,439,143
5,915
7,328,820
3,383
3,870,021
3,665
4,318,067
3,215
2,518,026
2,333
2,812,069
2,270
2,964,259
997
2,233,478
1,466
1,755,889
1,601
2,048,329
785
2,353,817
1,545
2,120,844
1,016
1,882,191
1,008
3,058,284
1,259
2,952,171
900
804,754
802
936,653
465
1,311,354
133
124,300
522
964,915
104
306,701
840
829,840
296
888,768
3,652
2,119,175
893
850,343
107
37,311
1,152
585,004
263
461,366
316
1,272,381
294
710,673
296
878,191
452
1,103,388
414
207,038
441
84,981
577
681,038
1,324
264,843
626
515,320
527
619,719
386
1,357,416
0
0
164
414,855
612
808,234
189
275,714
17
2,632
183
220,338
128
317,394
166
418,335
67
166,019
55
74,912
57,039
82,184,277
合計
隻数
荷役量(トン)
25,363
77,290,145
471
50,616,056
16,266
38,512,061
11,537
34,188,968
14,188
33,955,942
10,189
31,790,631
8,301
30,726,170
9,868
18,178,143
4,958
16,528,047
6,549
15,495,197
11,437
15,352,007
1,496
12,339,742
5,113
12,294,548
2,382
10,906,254
2,524
10,793,202
3,186
8,337,441
4,278
8,283,342
2,895
7,633,271
1,628
7,407,413
1,011
6,477,633
1,093
5,957,389
516
3,158,867
4,632
3,110,824
725
3,045,743
7,222
2,931,947
3,972
2,827,383
1,900
2,751,038
4,479
2,475,682
2,109
2,456,128
1,169
2,290,278
941
1,730,556
5,331
1,730,205
807
1,724,453
2,770
1,712,122
4,206
1,699,527
2,402
1,656,568
5,705
1,587,533
2,588
1,570,418
1,783
1,474,387
386
1,357,446
91
1,272,903
759
1,256,634
1,512
1,057,428
928
911,642
761
897,889
1,145
894,347
324
827,694
407
804,788
765
746,683
210
641,828
205,278 503,666,543
割合
単独
積算
15.1%
15.1%
9.9%
25.0%
7.5%
32.5%
6.7%
39.2%
6.6%
45.8%
6.2%
52.0%
6.0%
58.0%
3.5%
61.5%
3.2%
64.8%
3.0%
67.8%
3.0%
70.8%
2.4%
73.2%
2.4%
75.6%
2.1%
77.7%
2.1%
79.8%
1.6%
81.5%
1.6%
83.1%
1.5%
84.6%
1.4%
86.0%
1.3%
87.3%
1.2%
88.4%
0.6%
89.1%
0.6%
89.7%
0.6%
90.3%
0.6%
90.8%
0.6%
91.4%
0.5%
91.9%
0.5%
92.4%
0.5%
92.9%
0.4%
93.3%
0.3%
93.7%
0.3%
94.0%
0.3%
94.3%
0.3%
94.7%
0.3%
95.0%
0.3%
95.3%
0.3%
95.6%
0.3%
95.9%
0.3%
96.2%
0.3%
96.5%
0.2%
96.7%
0.2%
97.0%
0.2%
97.2%
0.2%
97.4%
0.2%
97.5%
0.2%
97.7%
0.2%
97.9%
0.2%
98.0%
0.1%
98.2%
0.1%
98.3%
98.3%
(資料:
「海上保安統計年報」
:平成 14 年度」
)
その他
隻数
荷役量(トン)
658
637,605
0
0
1,000
637,070
348
254,401
285
253,567
335
234,112
256
262,460
730
449,761
228
177,163
164
103,492
314
145,724
43
88,461
88
52,392
59
120,131
358
74,996
100
59,857
97
44,679
122
77,192
94
3,610
0
0
7
12,000
16
8,631
416
222,644
13
8,067
1,072
70,601
161
7,516
190
152,280
400
93,783
215
39,578
29
10,925
345
3,058
10
476
10
10,813
0
0
837
119,315
407
48,044
620
64,622
14
2,850
48
364
0
0
0
0
0
0
459
3,300
29
19,670
76
48,653
19
12
12
245
0
0
60
28,026
2
2
10,746
4,652,148
平成 14 年 1 月 1 日∼平成 14 年 12 月 31 日
中引火性液体
隻数
荷役量(トン)
3,286
2,360,578
2
123,722
1,658
1,064,912
1,692
1,038,124
1,993
1,448,174
1,309
1,907,236
755
438,087
1,220
1,898,621
553
649,910
697
508,979
1,190
712,837
250
8,647,855
448
1,587,830
106
201,479
165
61,624
285
229,794
844
1,010,290
159
125,632
188
470,074
65
58,800
54
60,349
118
138,445
348
360,599
48
244,360
411
24,550
199
41,907
539
346,657
1,754
976,967
205
199,592
68
83,020
10
554
67
168,823
29
66,801
149
132,458
471
202,744
192
58,149
771
182,428
238
285,820
4
672
0
0
0
0
28
46,088
45
22,490
70
61,537
19
2,496
78
20,059
59
145,822
0
0
199
186,968
0
0
23,038
28,604,913
表 2.4.2-1(1) わが国における港別危険物荷役状況
34
福井
衣浦
福山
むつ小河原
留萌
日立
唐津
酒田
三河
細島
尼崎西宮芦屋
長崎
高知
釜石
高松
阪南
稚内
三島川之江
小松島
小樽
佐世保
三田尻中関
那覇
呉
尾道糸先
横須賀
両津
石巻
浜田
敦賀
三角
宇野
今治
厳原
名瀬
舞鶴
田辺
萩
根室
宮津
小 計
合 計
割合 (単独)
(積算) 順位
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
種別
港別
低引火性液体
隻数
荷役量(トン)
146
380,461
15
60,350
59
130,108
6
536,696
14
104,218
214
330,881
126
109,318
57
133,244
157
164,994
111
201,100
191
223,716
287
249,292
315
257,416
15
90,617
526
218,717
92
142,270
61
32,293
0
0
374
100,696
4
11,507
229
103,248
1
0
263
5,811
0
0
98
12,223
41
41,000
34
23,529
6
80
22
21,699
0
0
0
0
145
2,368
35
53
34
4,017
0
0
0
0
0
0
153
74
0
0
0
0
3,831
3,691,996
53,554 290,778,529
56.8%
56.8%
中引火性液体
隻数
荷役量(トン)
10
14,003
0
0
279
203,423
0
0
0
0
26
157
0
0
0
0
35
3,790
0
0
51
17,270
0
0
0
0
0
0
342
4,053
0
0
0
0
0
0
1
50
0
0
4
0
167
104,998
33
30,091
2
600
0
0
6
10,536
0
226
0
0
0
0
20
13,846
28
14,700
183
1,663
0
246
10
147
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1,197
419,799
24,235 29,024,712
5.7%
62.4%
高引火性液体
隻数
荷役量(トン)
79
162,343
0
0
137
187,334
0
0
126
435,997
92
139,310
25
40,483
181
319,249
175
142,191
81
169,410
173
79,220
74
93,915
38
79,386
76
181,627
358
63,892
212
99,610
313
135,498
61
5,152
175
63,635
85
135,275
87
41,998
9
1,164
133
16,235
27
568
21
8,423
23
6,681
71
23,911
23
197
31
30,331
9
13,000
0
0
433
5,464
112
5,268
8
1,950
0
0
0
0
6
1,053
109
91
0
0
0
0
3,563
2,689,861
60,602 84,874,138
16.6%
79.0%
高圧ガス
荷役量(トン)
0
0
312
522,449
83
20,028
0
0
0
0
2
4
203
317,501
12
11
196
135,845
129
61,625
18
6,019
116
36,924
26
12,990
48
30,140
79
3,315
0
1,100
418
5,211
5
6
0
0
6
8,280
96
6,856
125
21
172
26,716
113
186
19
148
13
5
25
5,735
125
24
0
0
1
12
0
0
465
6,604
184
1,490
225
230
161
2,978
0
0
0
0
181
41
0
0
0
0
3,558
1,212,494
39,805 87,954,764
17.2%
96.2%
隻数
腐食性物質
隻数
荷役量(トン)
57
57,584
12
6,900
141
23,684
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
6
1,270
233
73,042
0
0
36
8,345
0
0
24
645
0
0
0
0
534
141,743
63
3,866
0
0
0
0
95
21,575
3
48
251
69,499
150
40,319
0
0
0
132
74
42,500
0
0
22
13,914
17
9,240
118
2,082
78
4,720
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1,914
521,109
30,399 14,917,511
2.9%
99.1%
(平成 14 年 1 月 1 日∼平成 14 年 12 月 31 日)
合計
割合
隻数
荷役量(トン)
単独
積算
292
614,391
0.1%
98.4%
367
602,237
0.1%
98.6%
746
591,310
0.1%
98.7%
41
548,334
0.1%
98.8%
140
540,215
0.1%
98.9%
352
470,693
0.1%
99.0%
354
467,302
0.1%
99.1%
261
452,738
0.1%
99.1%
563
446,820
0.1%
99.2%
343
434,174
0.1%
99.3%
671
399,882
0.1%
99.4%
491
380,207
0.1%
99.5%
415
358,137
0.1%
99.5%
139
302,384
0.1%
99.6%
1,508
297,121
0.1%
99.7%
305
242,989
0.0%
99.7%
800
173,014
0.03%
99.7%
671
169,724
0.03%
99.8%
614
168,247
0.03%
99.8%
96
155,062
0.03%
99.8%
416
152,102
0.03%
99.9%
397
127,758
0.02%
99.9%
624
79,180
0.02%
99.9%
610
73,405
0.01%
99.9%
289
61,114
0.01%
99.9%
290
58,787
0.01%
99.9%
198
53,676
0.01%
99.9%
255
53,567
0.01%
99.9%
53
52,030
0.01%
99.9%
60
48,272
0.01%
99.9%
45
23,940 0.005%
99.9%
1,528
20,538 0.004%
99.9%
410
11,807 0.002%
99.9%
309
6,377 0.001%
99.9%
167
2,997 0.001%
99.9%
86
1,253 0.0002%
99.9%
11
1,055 0.0002%
99.9%
443
206 0.0000% 100.0%
0
0
0.0% 100.0%
0
0
0.0% 100.0%
15,360
8,643,045
1.7%
220,638 512,309,588
100.0%
(資料:
「海上保安統計年報」
:平成 14 年度」
)
その他
荷役量(トン)
0
0
28
12,538
47
26,733
35
11,638
0
0
18
340
0
0
11
234
0
0
16
769
5
615
14
76
0
0
0
0
179
6,499
1
9
8
12
71
22,823
1
0
1
0
0
0
0
0
20
279
217
2,552
1
1
207
565
68
143
27
10,766
0
0
8
7,500
0
0
184
2,357
1
30
32
33
6
19
86
1,253
5
2
0
0
0
0
0
0
1,297
107,786
12,043
4,759,934
0.9%
100.0%
隻数
表 2.4.2-1(2) わが国における港別危険物荷役状況
東京湾
31%
東京湾
28%
荷役量
その他
52%
512,309,58
8トン
隻 数
その他
53%
220,638 隻
伊勢湾
10%
伊勢湾
9%
大阪湾
7%
大阪湾
10%
図 2.4.2-1 東京湾、伊勢湾及び大阪湾の全体における荷役量及び隻数の関係
注)東京湾、伊勢湾及び大阪湾以外の海域を「その他」とした。
東京湾、伊勢湾及び大阪湾の各港は、以下のとおりである。
伊勢湾
四日市
名古屋
衣浦
三河
東京湾
千葉
京浜(横浜区)
京浜(川崎区)
木更津
京浜(東京区)
横須賀
35
大阪湾
大阪(堺泉北区)
神戸
大阪(大阪区)
泉州
尼崎西宮芦屋
阪南
36
3,788
3,896
京浜(横浜区)
京浜(川崎区)
0
46.7%
46.7%
17,673,040
142,270
223,716
(積算)
2,726
92
191
0
181,380
397,622
16,728,052
荷役量(トン)
割合(単独)
大阪湾合計
阪南
尼崎西宮芦屋
0
687
大阪(大阪区)
泉州
277
1,479
大阪(堺泉北区)
神戸
隻数
港別
種別
45.6%
低引火性液体
45.6%
22,785,024
(積算)
5,032
164,994
60,350
3,880,812
18,678,868
荷役量(トン)
割合(単独)
伊勢湾合計
15
157
2,991
名古屋
三河
1,869
四日市
衣浦
隻数
港別
低引火性液体
57.8%
種別
57.8%
92,210,448
41,000
581,593
(積算)
15,118
41
611
26,817,639
16,478,055
48,292,161
荷役量(トン)
割合(単独)
東京湾合計
横須賀
京浜(東京区)
0
6,782
千葉
木更津
隻数
低引火性液体
港別
種別
3,885
0
51
0
771
1,754
1,309
隻数
77.8%
17.2%
27,363,961
6,681
2,119,175
124,300
3,870,021
7,328,820
13,914,964
荷役量(トン)
10,264
13
847
813
1,951
2,717
97.7%
19.8%
31,619,473
5
96,503
6,294,533
2,098,936
11,791,927
11,337,569
荷役量(トン)
高圧ガス
3,923
隻数
3,669
0
629
0
267
1,188
1,585
4,778
175
0
2,270
2,333
62.1%
11.8%
5,918,519
142,191
0
2,964,259
2,812,069
荷役量(トン)
高引火性液体
隻数
3,569
196
312
1,055
95.8%
33.7%
16,825,788
135,845
522,449
8,243,168
7,924,326
荷役量(トン)
高圧ガス
2,006
隻数
2,696
0
12
1,602
1,082
54.8%
8.1%
3,083,901
0
17,270
0
182,428
976,967
1,907,236
荷役量(トン)
6,462
212
173
386
1,324
1,152
3,215
67.8%
13.0%
4,904,119
99,610
79,220
1,357,416
264,843
585,004
2,518,026
荷役量(トン)
高引火性液体
隻数
3,100
0
18
0
63
372
94.0%
26.2%
9,927,573
1,100
6,019
30
1,054
290,554
9,628,816
荷役量(トン)
高圧ガス
2,647
隻数
4,201
0
233
0
2,240
524
1,204
1,361
1
5
0
620
400
1.0%
100.0%
100.0%
1.0%
393,141
9
615
0
64,622
93,783
234,112
荷役量(トン)
100.0%
1.5%
724,759
0
12,538
449,761
262,460
荷役量(トン)
その他
335
隻数
1,014
0
28
730
565
70,601
0
254,401
637,070
1,600,242
その他
256
隻数
3,285
207
1,072
0
348
1,000
637,605
荷役量(トン)
その他
658
隻数
58,787
2,931,947
6,477,633
34,188,968
38,512,061
77,290,145
荷役量(トン)
合計
21,735
305
671
386
5,705
4,479
10,189
隻数
19,099
563
367
9,868
8,301
隻数
100.0%
37,854,163
242,989
399,882
1,357,446
1,587,533
2,475,682
31,790,631
荷役量(トン)
合計
100.0%
49,953,370
446,820
602,237
18,178,143
30,726,170
荷役量(トン)
合計
100.0%
61,689 159,459,541
290
7,222
1,011
11,537
16,266
25,363
隻数
(資料:
「海上保安統計年報」
:平成 14 年度)
99.0%
4.9%
1,872,389
0
73,042
0
893,206
131,752
774,389
荷役量(トン)
腐食性物質
隻数
98.5%
2.7%
1,358,782
0
6,900
741,522
610,360
荷役量(トン)
腐食性物質
隻数
99.0%
1.3%
2,107,917
0
39,525
0
109,847
1,211,277
747,268
荷役量(トン)
腐食性物質
隻数
表 2.4.2-4 大阪湾内の港における危険物荷役状況
50.3%
4.7%
2,340,498
3,790
0
1,898,621
438,087
荷役量(トン)
中引火性液体
2,010
35
0
1,220
755
隻数
22,235
23
3,652
133
3,383
5,915
9,129
隻数
表 2.4.2-3 伊勢湾内の港における危険物荷役状況
60.7%
2.9%
4,557,500
10,536
24,550
58,800
1,038,124
1,064,912
2,360,578
荷役量(トン)
中引火性液体
7,118
6
411
65
1,692
1,658
3,286
隻数
高引火性液体
表 2.4.2-2 東京湾内の港における危険物荷役状況
中引火性液体
① 東京湾
京浜港(横浜)においては、大型の外航ケミカルタンカーに小型の内航ケミカ
ルタンカーが接舷し、ケミカル類を「瀬取り」あるいは「瀬渡し」する「沖荷
役」が行われている。
京浜港(横浜)及び神戸港における外航ケミカルタンカーの船型別入港実績を
図 2.4.2-2 に示す。同図より、京浜港(横浜)における入港隻数のもっとも多い
外航ケミカルタンカーの船型は、4,000∼5,000GT 級であることがわかる。
沖荷役での HNS 貨物取扱量を表 2.4.2-5(1)∼(2)に示す。同表より、京浜港
(横浜)における沖荷役での取扱量最大の HNS はエタノールであることがわかる。
東京湾を代表する千葉港及び京浜港(横浜区)の内航 HNS 輸送船舶の各種船舶
の GT 階級別入港隻数を表 2.4.2-6(1)∼(2)に示す。同表より、両港における入港
隻数がもっとも多い内航ケミカルタンカー(化学薬品タンカー及びその他タンカ
ー・タンク船)の船型は、100∼499GT であることがわかる。また、日本全体にお
ける内航船舶の HNS の GT 階級別輸送量を表 2.4.2-6(3)に示す。同表より、HNS 輸
送量のもっとも多い内航船舶の船型は、100∼500GT 級であることがわかる。
内航船舶の取扱い貨物の詳細は公表されていないが、日本全体における内航船
舶による HNS 取扱量は表 2.4.2-7 に示すとおりである。同表より、内航船舶にお
ける代表的な HNS はキシレンであることがわかる。
(単位:隻)
250
200
150
100
50
0
15,000
20,000
25,000 GT
15,000 GT
20,000 GT
25,000 GT
以 上
∼
10,000
∼
7,000
∼
7,000 GT
∼
5,000
5,000 GT
∼
4,000
4,000 GT
∼
3,000
∼
2,000
3,000 GT
∼
1,000
2,000 GT
∼
1,000 GT
未 満
合計
京浜
21
神戸
68
(4%)
(9%)
20
42
(4%)
(6%)
35
49
(6%)
(6%)
75
97
(14%)
(13%)
165
217
(30%)
(29%)
13
17
(2%)
(2%)
10,000 GT
14
19
(3%)
(3%)
69
75
(12%)
(10%)
62
66
(11%)
(9%)
74
95
(13%)
(13%)
6
11
( )内の数字は、全体からの割合を示す。
(出典:
「ばら積み液体化学物質の積替荷役に関わる調査委員会 報告書」
:
(社)日本海難防止協会)
図 2.4.2-2 平成 3 年度の京浜・神戸港における外航ケミカルタンカーの船型別入港実績
37
(1%)
(1%)
554
756
表 2.4.2-5(1) わが国における沖荷役による HNS 取扱い状況
取扱い量(M/T)
分 類
品 名
横浜
神戸
高引火点引火性液体
Alfol 6
0
569
Aromatic Solvent 100
754
3,681
n-Butanol
8,493
21,752
n-Butyl Acrylate
14,200
40,962
n-Butyl Methacrylate
0
866
C-9
3,380
696
Cellosove Acetate
0
588
Cellosove Solvent
0
1,279
Cumene
0
999
Cyclohexamine
500
11,904
Decene-1(α-Olefin C-10)
6,910
2,351
1,3-Dichloropropene
1,495
1,326
Dicyclopentadiene
0
23,674
Dimethyl Formamide
6,970
1,300
Dipentene
0
7,560
Dimethyl Hydrolozate
1,877
0
Dodecene
0
839
Ethylene GL Monobutyl Ether
665
0
Eg Mono Propyl Ether
606
0
Eg Monotertiary Butyl Ether
700
0
Ethyl-3-Ethoxy Propionate
790
1,996
5-Ethylidene Bicyclohept
0
549
Ethylidene Norbornene
3,750
0
n-Hexanol
449
0
Isobutanol
1,700
7,239
Isoper-H
403
0
1-Methoxy-2-Propanol
10,355
0
α-Methylstyrene
2,645
898
Methyl Isobutyl Carbinol
0
907
Morpholine
305
0
New Brightsol
2,405
0
Nonene
42,052
961
Polysilioxane
0
8,514
PG Methyl Ether Acetate
1,293
10,341
Propylene Tetramer
0
4,400
Styrene Monomer
12,000
2,998
Xylene
1,000
10,644
m-Xylene
1,000
0
小計
126,697
169,793
(出典:「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)」:平成 13 年度(社)日本海難防止協会)
38
表 2.4.2-5(2) わが国における沖荷役による HNS 取扱い状況
分 類
品 名
取扱い量(M/T)
横浜
神戸
0
42,389
0
4,860
4,000
35,435
0
1,749
1,330
0
760
0
0
2,495
1,383
0
0
341
7,473
87,719
腐食性物質
Acetic Acid
Acetic Anhydride
Acrylic Acid
Caustic Potash Solution
2-Dimethylamino Ethanol
Diethylene Triamine
Methacrylic Acid
Ethylene Diamine
Triethylene Tetramine
小計
毒物
Allyl Alcohol
Aniline
o-Cresol
m-Cresol
Diethyl Sulfate
Epichlorohydrin
o-Nitrochlorobenzene
Phenol
小計
0
1,000
0
0
620
8,040
521
32,400
42,581
6,383
5,825
1,078
7,543
0
9,061
10,030
6,907
46,827
低引火点引火性液体
Acetone
Bunkai Gasoline
Cyclohexane
Dimethyl Amine
Hexene-1
n-Hexene
小計
27,608
15,290
34,375
1,200
4,626
0
83,099
18,670
0
12,992
0
0
511
32,173
中引火点引火性液体
Acrylonitrile
Aromatic Solvent(M)
Benzene
n-Butyl Acetate
Diisobutylene
Dimethylamine
Ethanol
Ethyl Acetate
Ethyl Acrylate
Ethylene Dichloride
Isobutyl Acetate
Isopropyl Alcohol
Methanol
Methyl Acrylate
Methyl Ethyl Ketone
Methyl Isobutyl Ketone
Methacrylate Monomer
Octene
n-Propanol
Pyridine
Tetrahydrofuran
Tertiary Butanol
Toluene
Vinyl Acetate Monomer
小計
2,949
0
0
3,126
11,380
0
124,082
2,083
9,574
113,152
0
29,344
4,200
250
50,698
0
0
400
2,530
580
0
1,155
500
3,124
359,127
95,765
910
10,034
7,287
4,409
1,300
89,173
20,788
14,031
4,863
497
11,709
9,943
5,377
4,994
12,070
42,983
826
2,043
0
500
1,919
0
35,514
376,935
(出典:「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)」:平成 13 年度(社)日本海難防止協会)
39
表 2.4.2-6(1) 千葉港における内航 HNS 輸送船舶 GT 階級別入港隻数
単位:隻
平成14年
トン階
船 種
6,000総トン
以上
5,999総トン
∼3,000総トン
2,999総トン
∼1,000総トン
LPG船
96
999総トン
∼500総トン
2,382
499総トン
∼100総トン
99総トン
∼5総トン
合 計
343
2,821
LNG船
0
その他・タンカー
・タンク船
1
合計
2
186
1,267
7,881
3
9,340
2
282
3,649
8,224
3
12,161
(資料:
「千葉県港統計年報」
:平成 14 年 千葉県)
表 2.4.2-6(2) 京浜港(横浜)における内航 HNS 輸送船舶の GT 階級別入港隻数
単位:隻
平成14年
トン階
船 種
5,999総トン
∼3,000総トン
2,999総トン
∼1,000総トン
LPG船
999総トン
∼700総トン
1
275
699総トン
∼500総トン
129
499総トン
∼100総トン
99総トン
∼5総トン
297
合 計
5
LNG船
707
0
その他・タンカー
・タンク船
3
1
185
83
1,167
7
1,446
合計
3
2
460
212
1,464
12
2,153
(資料:
「横浜港統計年報」
:平成 14 年 横浜市)
表 2.4.2-6(3) 国内航行船による HNS の GT 階級別輸送量
単位:千トン
計
石油製品 LPG及びその他のガス
%
化学薬品
%
その他の化学工業品
%
注:貨物船を除く。
100G/T未満
7,855
100.0
19,056
100.0
1,247
100.0
0
0.0
0
0.0
0
0.0
40
100G/T以上 500G/T以上 1,000G/T以上
2,000G/T以上
500G/T未満 1,000G/T未満 2,000G/T未満
451
7,149
255
0
5.7
91.0
3.2
0.0
12,999
4,994
428
635
68.2
26.2
2.2
3.3
563
447
121
115
45.1
35.8
9.7
9.2
(資料:平成14年度内航船舶輸送統計年報)
表 2.4.2-7 わが国内航ケミカルタンカーの輸送品目と輸送量(平成 11 年度)
順位
国連番号
1
1307
キシレン
Xylene
輸送量
(トン)
1,999,866
2
1114
ベンゼン
Benzene
1,503,659
3
2055
スチレン(スチレンモノマー)
Styrene monomer
1,439,635
4
1230
メチルアルコール(メタノール)
Methanol
717,782
5
1294
トルエン
Toluene
604,530
6
1145
シクロヘキサン
Cyclohexane
528,988
7
1093
アクリロニトリル
Acrylonitrile
519,324
8
3082
コールタール(アスファルト)
Coal tar
506,744
9
1184
Ethylene dichloride
418,217
10
3082
Creosote
350,358
11
1170
1,2-ジクロロエタン(二塩化エチレン)
クレオソート
(コールタールより得られたもの)
エチルアルコール(エタノール)
Ethanol
237,594
12
1120
ブチルアルコール(ブタノール)
Butanol
236,113
13
1090
アセトン
Acetone
222,269
14
1247
メタクリル酸メチル
Methyl methacrylate
211,576
15
1715
無水酢酸
Acetic anihydride
201,806
16
1193
メチルエチルケトン
Methyl ethyl ketone
200,839
17
1301
酢酸ビニル
Vinyl acetate
197,900
プロピルベンゼン
Propylbenzene
193,412
3082
2312
2821
オクタノール
Octanol
167,591
フェノール
Phenol
146,735
エチレングリコール
Ethylene glycol
121,374
18
19
20
21
化学品名
(出典:「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)」:平成 13 年度(社)日本海難防止協会)
41
② 伊勢湾
伊勢湾を代表する名古屋港と四日市港における外航 HNS 輸送船舶の GT 階級別入
港隻数を表 2.4.2-8(1)∼(2)にそれぞれ示す。同表より、両港における入港隻数
の多い外航ケミカルタンカーの船型は 1,000∼3,000GT 級のものがもっとも多いこ
とがわかる。なお、外航船舶の HNS 貨物取扱量の詳細については公表されていな
い。
伊勢湾を代表する名古屋港の内航 HNS 輸送船舶の各種船舶の GT 階級別入港隻数
を表 2.4.2-9 に示す。同表より、同港における入港隻数がもっとも多い内航ケミ
カルタンカー(ケミカル船)の船型は、100∼499GT であることがわかる。なお、
内航船舶に関する取扱い貨物の詳細は公表されていないが、日本全体における内
航船舶による HNS 取扱量より、代表的な HNS はキシレンと予想される。
表 2.4.2-8 (1)名古屋港における外航 HNS 輸送船舶 GT 階級別入港隻数(平成 9 年)
単位:隻
船 型(総トン数[GT]) 500∼
1,000∼
3,000∼
10,000∼ 30,000∼ 100,000
合 計
船 種
999
2,999
9,999
29,999
99,999
以上
LPG船
1
3
29
3
36
LNG船
55
26
81
ケミカルタンカー
3
54
42
7
106
合 計
4
57
42
7
84
29
223
(資料:
「日本沿岸域船舶航行環境調査報告書」
:平成 10 年度(社)日本海難防止協会)
表 2.4.2-8(2) 四日市港における外航 HNS 輸送船舶 GT 階級別入港隻数(平成 9 年)
単位:隻
船型(総トン数[GT]) 500∼
1,000∼
3,000∼
10,000∼ 30,000∼ 100,000
合 計
船 種
999
2,999
9,999
29,999
99,999
以上
LPG船
51
12
63
LNG船
10
48
58
ケミカルタンカー
10
45
29
10
94
合 計
10
45
29
10
61
60
215
(資料:
「日本沿岸域船舶航行環境調査報告書」
:平成 10 年度(社)日本海難防止協会)
42
表 2.4.2-9 名古屋港における内航 HNS 輸送船舶 GT 階級別入港隻数
単位:隻
平成14年
総トン数
船 種
3,000トン以上
1,000トン以上
3,000トン未満
LPG船
700トン以上
1,000トン未満
364
500トン以上
700トン未満
300トン以上
500トン未満
100トン以上
300トン未満
100トン未満
合 計
192
556
LNG船
0
ケミカル船
その他のタンカー船
合計
22
248
519
1,908
1,326
4,023
34
17
157
70
123
26
427
34
39
769
781
2,031
1,352
0
5,006
(資料:名古屋港統計年報:平成 14 年 名古屋港管理組合)
43
③ 大阪湾
神戸港においては、大型の外航ケミカルタンカーに小型の内航ケミカルタンカ
ーが接舷し、ケミカル類を「瀬取り」あるいは「瀬渡し」する「沖荷役」が行わ
れている。
前掲した図 2.4.2-2 より、神戸港における入港隻数が多い外航ケミカルタンカ
ーの船型は、4,000∼5,000GT 級であることがわかる。また、表 2.4.2-5(1)∼(2)
から、沖荷役での取扱量最大 HNS は、アクリルニトリルであることがわかる。
大阪湾を代表する神戸港の内航 HNS 輸送船舶の GT 階級別入港隻数を表 2.4.210 に示す。同表より、同港における入港隻数が多い内航ケミカルタンカー(液体
タンカー)の船型は、100∼499GT であることがわかる。なお、内航船舶に関する
取扱い貨物の詳細は公表されていないが、日本全体における内航船舶による HNS
取扱量より、代表的な HNS はキシレンと予想される。
表 2.4.2-10 神戸港における内航 HNS 輸送船舶 GT 階級別入港隻数
単位:隻
平成14年
トン階
船 種
5,999総トン
∼3,000総トン
2,999総トン
∼1,000総トン
999総トン
∼500総トン
499総トン
∼100総トン
99総トン
以下
油タンカー
57
158
140
669
1,170
2,194
液体タンカー
1
178
374
552
4
1,109
その他タンカー
3
総 数
61
合 計
3
336
514
1,221
1,174
3,306
(資料:神戸港 大観平成 14 年 港湾統計:神戸市みなと総局)
44
2.4.3 マラッカ・シンガポール海峡
マラッカ・シンガポール海峡(以下、
「マ・シ海峡」という。)は、太平洋より南
シナ海を通ってインド洋へ達する航路にあたり、現在、世界でもっとも船舶交通の
多い海域の一つとなっている。日本と中東を往復するタンカーをはじめ、コンテナ
船等あらゆる種類の船舶によって輻輳している。
マ・シ海峡及び周辺における主要な寄港地を表 2.4.3-1、図 2.4.3-1 に示す。な
お、シンガポール海峡に近いジュロン島には大小 60 もの石油化学プラントが稼動し
ている。現在、さらなる拡大のために埋め立てが続けられ、すべての工事が終了後、
東南アジアにおける一大ケミカル基地となることが予想される。また、マレーシア
においても複数の港湾でケミカル工場の進出が相次いでおり、今後マ・シ海峡にお
いては HNS 輸送船舶の航行のさらなる増加が見込まれる。
2001 年にマ・シ海峡を航行した HNS 輸送船舶の船種・船型別の船舶数・航海数を
表 2.4.3-2、図 2.4.3-2 に示す。
全体の航海数は 6,253 であり、船種別ではケミカルタンカーが 1,853 航海(約
30%)
、LPG 船が 3,715 航海(約 59%)、LNG 船が 685 航海(約 11%)である。
2001 年にマ・シ海峡を航行した HNS 輸送船舶全体の航海数を、仕出港(O: Port
Origin)別に集計したものを表 2.4.3-3 に、仕向港(D: Port of Destination)別に集
計したものを表 2.4.3-4 にそれぞれ示す。マ・シ海峡を航行する船舶中、日本から
出港したものは 8.3%、また日本へ向け航行するものが 8.0%であることがそれぞれわ
かる。
45
表 2.4.3-1 マ・シ海峡周辺の HNS 輸送船舶の主な寄港地
沿 岸 国
Indonesia
Thailand
Malaysia
Singapore
No.
商
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
(14)
(15)
(16)
(17)
(18)
(19)
(20)
(21)
(22)
(23)
(24)
(25)
(26)
(27)
(28)
(29)
(30)
(31)
(32)
(33)
(34)
(35)
(36)
(37)
(38)
(39)
(40)
業
港
Sabang
Krueng Raya
Sigli
Krueng Geukueh
Blang Lancang(Arun)
Idi
Langsa
Kualalangsa
Pangkalan Suru
Pangkalan Brandan
Belawan
Belawanの石油積載区域
Kuala Tanjung Balai
Tanjung Balai
Labuhanbilik
Bagansiapiapi
Dumai
Bengkalis
Sungei Pakning
Selat Llang
Lalang Marine Terminal
Pulau Sambu
Sekupang
Batu Ampar
Tanjung Uban
Kijang
Phuket
Penang
Lumut
Bagan Datoh
Port Klang
Port Dickson
Sungai Udang
Tanjung Keling
Malacca(Melaka)
Muar
Batu Pahat
Johor Baharu
Pasir Gudang(Johor)
Singapore
(資料:
「マラッカ海峡水路誌」及び「THE SHIPS ATLAS」)
46
(「マラッカ海峡水路誌」及び「THE SHIPS ATLAS」)
図 2.4.3-1 マ・シ海峡周辺の HNS 輸送船舶の主な寄港地
47
表 2.4.3-2 マ・シ海峡を航行した HNS 輸送船舶の船種別の船舶数・航海数(表)
(2001 年)
船種
船舶数
ケミカル
タンカー
船型
LPG船
航海数
LNG船
総計
ケミカル
タンカー
LPG船
LNG船
総計
500∼999 GT
11
4
15
266
25
291
1,000∼2,999 GT
13
17
30
270
283
553
3,000∼9,999 GT
37
121
3
161
487
1,965
17
2,469
10,000∼29,999 GT
95
34
2
131
830
183
15
1,028
30,000∼99,999 GT
99
17
116
1,177
219
1,396
100,000 GT以上
5
28
33
82
434
516
合計
156
280
50
486
1,853
3,715
685
6,253
%
32
58
10
100.0
30
59
11
100.0
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書」
:平成 14 年度(社)日本海難防止協会)
(船種)
156
1,853
ケミカルタンカー
280
3,715
LPG船
50
船舶数
航海数
685
LNG船
486
6,253
HNS輸送船舶
0
5,000
10,000
(航海数/船舶数)
(2001 年)
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書」
:平成 14 年度(社)日本海難防止協会)
図 2.4.3-2 マ・シ海峡を航行した HNS 輸送船舶の船種別の船舶数・航海数(グラフ)
48
表 2.4.3-3 マ・シ海峡を航行した HNS 輸送船舶全体仕出港別 OD 総括表
19
267
1
161
308
4
12
299
2
7
13
1
25
129
1
168
2
1
1
1
総計 割合
W-USA
SouthAmerica
SE.Asia
RedSea
1
3
13
80
167
17
4
9 360
7
1
186
14 230
8
3
38
40 2,783
8
4
1
13
2
4
2
5
264
P-USA
4
336
208
2
Pacific
Japan
Indian
Europe
EastAsia
CentralAmerica
Australia
ArabianGulf
Africa
Origin
Africa
ArabianGulf
Australia
CentralAmerica
EastAsia
Europe
E-USA
Indian
Japan
Pacific
P-USA
RedSea
SE.Asia
SouthAmerica
W-USA
E-USA
(2001 年)
Destination
103 1.6%
774 12.4%
17 0.3%
5 0.1%
593 9.5%
12 0.2%
3 0.0%
195 3.1%
520 8.3%
8 0.1%
3 0.0%
1
76 1.2%
7 3,928 62.8%
9 0.1%
7 0.1%
4
2
(出典:
「平成 14 年度 危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書」
:
(社)日本海難防止協会)
表 2.4.3-4 マ・シ海峡を航行した HNS 輸送船舶全体仕向港別 OD 総括表
1
208
19
267
4
1
336
80
167
2
4
13
9
360
12
7
7
4
1
4
186
25
14
230
8
3
38
1
161
308
13
2
299
13
1
168
129
1
1
40
2,783
2
7
W-USA
SouthAmerica
SE.Asia
RedSea
P-USA
5
3
1
17
Pacific
2
264
2
4
Japan
Indian
E-USA
Europe
EastAsia
Australia
ArabianGulf
Africa
Destination
Africa
ArabianGulf
Australia
CentralAmerica
EastAsia
Europe
E-USA
Indian
Japan
Pacific
P-USA
RedSea
SE.Asia
SouthAmerica
W-USA
CentralAmerica
(2001 年)
Origin
総計 割合
164 2.6%
782 12.5%
13 0.2%
2 0.0%
608 9.7%
18 0.3%
1 0.0%
1 190 3.0%
500 8.0%
1 0.0%
1 0.0%
63 1.0%
4 3,896 62.3%
2 0.0%
12 0.2%
2
1
8
(出典:
「平成 14 年度 危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書」
:
(社)日本海難防止協会)
49
2.5 HNS 関 連 の 海 難 過 去 事 例 の 調 査
2.5.1 日 本 沿 岸 域 に お け る 事 故 発 生 状 況
(1) 一 般 船 舶 ( 貨 物 船 等 ) の 事 故 発 生 状 況
平 成 9 年 か ら 平 成 14 年 ま で の 間 、 日 本 沿 岸 に お け る 100GT 以 上 の
一 般 船 舶 の 原 因 別 海 難 発 生 件 数 と そ の 割 合 を 表 2.5.1-1 に 示 す 。 い
ずれの年においても乗揚げの割合がもっとも多く、次いで衝突の割
合が多く、両者を合わせると全海難の約半数を占めていることがわ
かる。
表 2.5.1-1 原 因 別 海 難 発 生 件 数 と 衝 突 ・ 乗 揚 の 割 合
H9
H10
割合(%)
隻数
単独
累積
H11
割合(%)
隻数
単独
累積
H12
割合(%)
隻数
単独
累積
割合(%)
隻数
単位:隻
H13
単独
累積
H14
割合(%)
隻数
単独
累積
割合(%)
隻数
単独
累積
26.2
衝突
36
16.3
16.3
44
19.5
19.5
36
14.9
14.9
39
16.5
16.5
54
22.6
22.6
53
26.2
乗揚
100
45.2
61.5
90
39.8
59.3
109
45.2
60.2
85
36.0
52.5
82
34.3
56.9
63
31.2
57.4
0
0.0
61.5
26
11.5
70.8
25
10.4
70.5
27
11.4
64.0
25
10.5
67.4
26
12.9
70.3
火災
14
6.3
67.9
11
4.9
75.7
14
5.8
76.3
20
8.5
72.5
14
5.9
73.2
5
2.5
72.8
爆発
1
0.5
68.3
0
0.0
75.7
1
0.4
76.8
1
0.4
72.9
0
0.0
73.2
0
0.0
72.8
浸水
20
9.0
77.4
14
6.2
81.9
23
9.5
86.3
16
6.8
79.7
26
10.9
84.1
13
6.4
79.2
転覆
20
9.0
86.4
7
3.1
85.0
4
1.7
88.0
7
3.0
82.6
3
1.3
85.4
1
0.5
79.7
推進器障害
11
5.0
91.4
14
6.2
91.2
8
3.3
91.3
12
5.1
87.7
8
3.3
88.7
7
3.5
83.2
3
1.4
92.8
4
1.8
92.9
2
0.8
92.1
2
0.8
88.6
7
2.9
91.6
4
2.0
85.1
0
0.0
92.8
0
0.0
92.9
0
0.0
92.1
0
0.0
88.6
0
0.0
91.6
0
0.0
85.1
16
7.2
100.0
16
7.1
100.0
19
7.9
100.0
27
11.4
100.0
20
8.4
100.0
30
14.9
100.0
機関故障
舵故障
行方不明
その他
<運行阻害>
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
<安全阻害>
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
計
221
100
100
226
100
100
241
100
100
236
100
100
239
100
100
202
100
100
( 資 料 :「 海 上 保 安 統 計 年 報 ( 海 上 保 安 庁 )」: 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 )
ま た 、 平 成 9 年 か ら 平 成 14 年 ま で の 間 、 日 本 沿 岸 に お け る 100GT 以
上 の 一 般 船 舶 の 距 岸 別 海 難 発 生 件 数 と そ の 割 合 を 表 2.5.1-2 に 示 す 。 い
ずれの年度においても港内を除く 3 海里未満の海域での海難の発生割合
がもっとも多く、次いで港内での発生割合が多く、両者を合わせると全
海 難 の 7、 8 割 を 占 め る こ と が わ か る 。
表 2.5.1-2 海 難 の 距 岸 別 隻 数 と 割 合
H9
隻数
H10
割合(%)
単独
累積
68 30.1
3海里未満
3-12海里
隻数
H11
割合(%)
単独
累積
30.1
68 30.8
109 48.2
78.3
33 14.6
92.9
12-50海里
13
5.8
20-200海里
3
0
港内
200海里以遠
計
226
隻数
割合(%)
単独
累積
30.8
86 35.7
111 50.2
81.0
114 47.3
27 12.2
93.2
19
7.9
98.7
13
5.9
99.1
16
1.3
100.0
2
0.9
100.0
0.0
100.0
0
0.0
100.0
100
100
221
100
100
隻数
H13
割合(%)
単独
累積
35.7
69 29.2
83.0
90.9
6.6
4
2
241
単位:隻
H12
隻数
H14
割合(%)
単独
累積
29.2
61 25.5
107 45.3
74.6
34 14.4
89.0
97.5
18
7.6
1.7
99.2
4
0.8
100.0
4
100
100
236
隻数
割合(%)
単独
累積
25.5
58 28.7
28.7
112 46.9
72.4
86 42.6
71.3
48 20.1
92.5
41 20.3
91.6
96.6
16
6.7
99.2
14
6.9
98.5
1.7
98.3
1
0.4
99.6
2
1.0
99.5
1.7
100.0
1
0.4
100.0
1
0.5
100
100
239
100
100
202
100
100
100
( 資 料 :「 海 上 保 安 統 計 年 報 ( 海 上 保 安 庁 )」: 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 )
50
(2) HNS 輸 送 船 舶 の 事 故 発 生 状 況
1993 年 か ら 1999 年 ま で 間 、 日 本 沿 岸 域 に お い て 発 生 し た HNS 輸 送
船 舶 の 事 故 の 年 次 別 ・ 事 故 種 類 別 の 状 況 を 表 2.5.1-3 に 示 す 。 乗 揚
げがもっとも多く全体の 5 割弱を占めており、次いで衝突が約 2 割
となっている。
表 2.5.1-3 HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 ・ 事 故 種 類 別 の 事 故 発 生 状 況 ( 日 本 沿 岸 域 )
単位:隻
事故種類
年次
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
計
衝突
乗揚げ
転覆
2
4
5
9
2
8
2
32
1
2
1
5
3
2
14
浸水
火災
1
2
1
機関
故障
推進器
障害
1
5
3
1
1
1
3
2
3
5
7
7
16
13
14
7
69
1
1
1
総計
船体
損傷
2
11
4
1
1
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
こ れ ら 69 隻 の 事 故 に つ い て 、 貨 物 ま た は 燃 料 油 の 流 出 の 有 無 等 に つ
い て と り ま と め た も の を 表 2.5.1-4 に 示 す 。 69 隻 の う ち 、 貨 物 の 流 出
が 3 隻、燃料油の流出が 1 隻となっている。
なお、貨物の流出はすべてケミカルタンカーで発生したもので、液化
ガスタンカーからの流出はなかった。
ま た 、 乗 揚 げ ( 座 礁 ) が 32 件 発 生 し た う ち 、 貨 物 の 流 出 の 発 生 し た
ケ ー ス は ま っ た く な い の に 対 し 、 衝 突 は 14 件 発 生 し た う ち 貨 物 の 流 出
が 1 件発生していることがわかる。これより、貨物の流出が乗揚げによ
り発生する可能性は低く、衝突により発生すると考えるのが妥当である
と思われる。
表 2.5.1-4 HNS 輸 送 船 舶 事 故 に お け る 貨 物 ・ 燃 料 油 流 出 の 有 無 等 の 状 況
( 日 本 沿 岸 域 / 1993 年 ∼ 1999 年 )
被害の状況
貨物流出
の有無
単位:隻
事故種類
衝突
流出等被害なし
燃料流出
な し
な し
12
1
貨物・燃料流出
貨物流出
あ り
あ り
1
その他(浸水、沈没)
計
な し
乗揚げ
転覆
浸水
26
火災
2
機関故障
4
11
推進器
船体損傷
障害
3
計
1
14
1
6
32
1
1
3
4
11
3
1
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
51
58
1
1
2
7
69
積 荷 別 ・ 事 故 種 類 別 の 事 故 発 生 状 況 を 表 2.5.1-5 に 示 す 。 苛 性 ソ ー ダ
が 9 隻ともっとも多く、次いで内航輸送量の多いキシレン、スチレン及
びベンゼンが 3 隻となっている。
表 2.5.1-5 HNS 輸 送 船 舶 の 積 荷 別 ・ 事 故 種 類 別 の 事 故 発 生 状 況
( 日 本 沿 岸 域 / 1993 年 ∼ 1999 年 )
単位:隻
事故種類
積 荷
アクリルアミド
アクリル酸ブチル
アクリロニトリル
アスファルト
アセトン
硫黄
液化カルシウム
液体アンモニア
エタノール
エチレン
塩化ビニルモノマー
塩酸
苛性ソーダ
キシレン
グリーンケロシン
クレゾール
クロロホルム
コールタール
酢酸
酢酸エチル
酢酸ビニルモノマー
シクロヘキサン
水酸化ナトリウム
水酸化マグネシウム
スチレン
スチレンモノマー
炭酸カルシウム
トルエン
菜種油
ナトリウム
パームオイル
廃油
パラキシレン
ビニルアセテート
プロピレン
ベンゼン
ペンタン留分
ポリ液化アルミニウム
無水フタル酸
メタノール
メタル酸エチル
メチルイソブチルケトン
リン酸
硫酸
LPG
計
衝突
乗揚げ
転覆
浸水
1
火災
機関
故障
1
推進器
障害
船体
損傷
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
2
1
2
5
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
1
1
1
1
2
1
1
14
32
1
3
4
11
3
1
計
1
2
1
1
1
2
1
1
1
2
1
2
9
3
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
3
1
1
2
1
1
1
1
2
1
2
3
2
1
1
1
1
1
2
1
1
69
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
52
2.5.2 世 界 に お け る 事 故 発 生 状 況
(1) HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 の 事 故 発 生 状 況
1993
年 か ら
1999
年 ま で の 間 、 LMIU
社 (Lloyd ’ s
Marine
Intelligence Unit)が 各 Lloyd ’ s 代 理 店 か ら 報 告 を 受 け た 世 界 で 発 生
し た HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 ・ 船 種 別 事 故 発 生 状 況 を 表 2.5.2-1 に 示
す。
HNS 輸 送 船 舶 の 事 故 は 、 7 年 間 で 1,071 隻 、 年 平 均 で 約 150 隻 で あ
る 。 な お 、 こ の う ち 17 件 が HNS 輸 送 船 舶 同 士 の 衝 突 で あ る 。
表 2.5.2-1 HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 ・ 船 種 別 事 故 発 生 状 況 ( 世 界 )
年次
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
計
ケミカルタンカー
158
126
125
134
115
97
78
833
LPG船
37
43
31
35
34
26
18
224
LNG船
3
1
1
3
2
2
2
14
単位:隻
計
198
170
157
172
151
125
98
1,071
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
(2) HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 ・ 船 種 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況
HNS 輸 送 船 舶 の 事 故 の 1,071 隻 の う ち 、 報 道 記 事 等 か ら 貨 物 ま た は
燃 料 油 の 流 出 が 確 認 さ れ た も の は 38 隻 で あ り 、 年 平 均 5 隻 強 で あ る 。
当 該 流 出 事 故 の 年 次 別 ・ 流 出 物 別 の 発 生 状 況 を 表 2.5.2-2 に 、 年 次
別 ・ 船 種 別 の 発 生 状 況 を 表 2.5.2-3 に 示 す 。
貨 物 ま た は 燃 料 油 の 流 出 が 確 認 さ れ た 38 隻 の う ち 、 貨 物 ま た は 燃
料 油 の 流 出 事 故 は 、 ケ ミ カ ル タ ン カ ー が 33 隻 、 LPG 船 が 5 隻 、 LNG
船は 0 隻となっている。
LPG 船 に つ い て は 、 5 隻 の う ち 1 隻 が 貨 物 ( LPG) の 流 出 、 4 隻 が 燃
料油の流出となっている。
液化ガスタンカーからの貨物の流出が発生する可能性は低いこと
は前述したが、上記の結果からもそれを裏付けることができる。ま
た、液化ガスは揮発性が高く液体としての大規模な拡散は発生しな
いので、海洋汚染の観点からは大規模な損害をもたらす脅威とはな
らないと考えるのが妥当である。
53
表 2.5.2-2 HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 ・ 流 出 物 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況 ( 世 界 )
単位:隻
年次
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
計
ケミカル・ガス
1
1
1
2
2
3
0
10
貨物
貨物油類
4
1
2
3
1
2
1
14
燃料油
小計
5
2
3
5
3
5
1
24
0
2
1
2
3
2
4
14
計
5
4
4
7
6
7
5
38
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
表 2.5.2-3 HNS 輸 送 船 舶 の 年 次 別 ・ 船 種 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況 ( 世 界 )
単位:隻
事故年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
計
ケミカルタンカー
LPG船
流出
全報告事故 流出 全報告事故
158
5
37
126
3
43
125
4
31
134
6
35
115
4
34
97
6
26
78
5
18
833
33
224
LNG船
全報告事故 流出
0
3
1
1
0
1
1
3
2
2
1
2
0
2
5
14
計
全報告事故
0
198
0
170
0
157
0
172
0
151
0
125
0
98
0
1,071
流出
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
54
5
4
4
7
6
7
5
38
(3) ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 年 次 別 ・ 流 出 物 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況
事 故 発 生 HNS 輸 送 船 舶 の う ち ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 年 次 別 ・ 流 出 物
別 の 流 出 事 状 況 を 表 2.5.2-4 に 示 す 。
貨 物 ま た は 燃 料 油 の 流 出 し た ケ ミ カ ル タ ン カ ー 33 隻 の う ち 、 貨 物
の 流 出 が 23 隻 ( 年 平 均 約 3 隻 )、 燃 料 油 の 流 出 が 10 隻 と な っ て い る 。
表 2.5.2-4 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 年 次 別 ・ 流 出 物 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況 ( 世 界 )
単位:隻
年次
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
計
ケミカル・ガス
1
1
1
1
2
3
0
9
貨物
貨物油類
4
1
2
3
1
2
1
14
燃料油
小計
5
2
3
4
3
5
1
23
0
1
1
2
1
1
4
10
計
5
3
4
6
4
6
5
33
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
(4) ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 貨 物 種 類 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況
ケミカルタンカーからの貨物の流出事故について、貨物種類別の
状 況 を 表 2.5.2-5 に 示 す 。 貨 物 油 14 隻 の う ち 3 隻 は 、 有 害 液 体 物 質
に該当する植物油等である。
表 2.5.2-5 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 貨 物 流 出 事 故 の 貨 物 種 類 別 の 発 生 状 況
( 世 界 / 1993 年 ∼ 1999 年 )
単位:隻
苛性ソーダ
1
キシレン
3
キャノーラ油
1
酢酸エチル
1
重油等
4
潤滑油
3
植物油
1
スチレンモノマー
1
テトラクロロエチレン
1
パーム油
1
分解ガソリン
1
硫酸
1
貨物油 油種不明
4
計
23
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
55
(5) HNS 輸 送 船 舶 の 事 故 種 類 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況
HNS 輸 送 船 舶 の 流 出 事 故 に つ い て 、 事 故 種 類 別 の 状 況 を 表 2.5.2-6
に示す。
ケミカルタンカーについて見ると、船舶同士の衝突と港湾設備等
へ の 接 触 事 故 を 合 わ せ る と 、 燃 料 油 の 流 出 を 含 め た 全 33 隻 中 16 隻
( 48% ) と な っ て お り 、 次 い で 船 体 設 備 の 損 傷 が 8 隻 ( 21% ) と な
っている。
貨 物 の 流 出 23 隻 中 、 衝 突 ・ 接 触 が 9 隻 ( 39% )、 船 体 設 備 損 傷 が 7
隻 ( 30% ) と な っ て い る 。 LPG 船 の 貨 物 流 出 1 隻 は 、 船 体 設 備 損 傷 に
よるものである。
表 2.5.2-6 HNS 輸 送 船 舶 の 事 故 種 類 別 の 流 出 事 故 発 生 状 況
( 世 界 / 1993 年 ∼ 1999 年 )
単位:隻
事故種類
船種
流出物
ケミ カル・ ガ ス
貨物油類
燃料油
ケミ カルタ ンカー 計
ガス
LPG 船
燃料油
LP G船 計
計
ケミカ ルタン カー
衝突
接触
2
4
6
12
0
0
0
12
火 災 ・爆 発
2
1
1
4
0
0
0
4
0
1
0
1
0
0
0
1
船体設備
損傷
沈没
0
0
1
1
0
2
2
3
3
4
1
8
1
1
2
10
乗揚げ
計
その他
1
2
1
4
0
1
1
5
1
2
0
3
0
0
0
3
9
14
10
33
1
4
5
38
注:衝突は船舶同士のものを示し、接触とは船舶以外の施設への衝突・接触事故を示
す。その他とは、人為的ミス等によるものである
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 1)
」
:平成 13 年度 日本海難防止協会)
56
2.5.3 日 本 に お け る 衝 突 事 故 の 傾 向
HNS 輸 送 船 舶 の 貨 物 槽 の 構 造 を 踏 ま え る と 、 乗 揚 げ に よ る HNS の 流 出
の 可 能 性 は 低 い 。 実 際 、 過 去 の HNS 流 出 事 故 に お い て は 、 そ の 多 く の 海
難の原因が、衝突による船体損傷であった。ここで、日本における衝突
事故の傾向に注目する。
港 湾 統 計 に よ れ ば 、 一 般 商 船 の 入 港 隻 数 が 最 も 多 い の は 、 表 2.5.3-1
に 示 す と お り 、 100GT 級 か ら 500GT 級 で あ っ た 。 こ れ は 、 航 行 頻 度 の 高
い船舶と言い換えることができる。
ま た 、 海 上 保 安 庁 の 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 の 「 海 上 保 安 統 計 年 報 」 の
一 般 船 舶 ( 貨 物 船 等 ) を 対 象 と し た 100GT 以 上 の 船 型 別 衝 突 海 難 発 生 件
数 に よ れ ば 、 衝 突 海 難 が 最 も 多 い 船 型 は 、 表 2.5.3-2 に 示 す と お り 、 最
多 入 港 隻 数 ( 航 行 頻 度 の 高 い 船 舶 ) の 船 型 と 同 様 に 100GT 級 か ら 500GT
級であった。
上記より、日本における衝突事故は、航行頻度の高い船舶が起こす傾
向がある。
表 2.5.3-1 入 港 船 舶 総 数 表
単位:隻
一般商船
10,000総トン以上
外航商船
外航自航
内航商船
内航自航
合 計
6,000総トン以上
10,000総トン未満
41,616
190
3,751
18,219
63,776
3,000総トン以上
6,000総トン未満
13,878
495
9,239
24,509
48,121
1,000総トン以上
3,000総トン未満
26,057
42,116
12,166
80,339
500総トン以上
1,000トン未満
20,108
6
63,942
95,622
179,678
100総トン以上
500トン未満
5,979
141,751
247,201
394,931
5総トン以上
100トン未満
11,591
20
715,482
131,492
858,585
合 計
2,311
385,879
11,845
400,035
121,540
711
1,362,160
541,054
2,025,465
注 )「 自 航 」 は 自 動 車 航 送 船 を 示 す 。
( 資 料 :「 港 湾 統 計 ( 年 報 )」: 平 成 12 年 ( 社 ) 日 本 港 湾 協 会 )
表 2.5.3-2 船 型 別 衝 突 海 難 発 生 件 数
H9
H10
割合(%)
隻数
単独
累積
H11
割合(%)
隻数
単独
累積
H12
割合(%)
隻数
単独
累積
H13
割合(%)
隻数
単独
累積
H14
割合(%)
隻数
単独
累積
割合(%)
隻数
単独
累積
100∼500トン
28
48.3%
48.3%
20
45.5%
45.5%
18
33.3%
33.3%
23
46.0%
46.0%
31
48.4%
48.4%
35
53.0%
53.0%
500∼1,000トン
8
13.8%
62.1%
7
15.9%
15.9%
6
11.1%
44.4%
7
14.0%
60.0%
14
21.9%
70.3%
5
7.6%
60.6%
1,000∼3,000トン
8
13.8%
75.9%
9
20.5%
20.5%
12
22.2%
66.7%
9
18.0%
78.0%
9
14.1%
84.4%
13
19.7%
80.3%
3,000トン以上
14
24.1% 100.0%
8
18.2%
18.2%
18
33.3% 100.0%
11
22.0% 100.0%
10
15.6% 100.0%
13
19.7% 100.0%
計
58 100.0% 100.0%
44 100.0% 100.0%
54 100.0% 100.0%
50 100.0% 100.0%
64 100.0% 100.0%
66 100.0% 100.0%
( 資 料 :「 海 上 保 安 統 計 年 報 」: 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 海 上 保 安 庁 )
57
2.5.4 事 故 事 例
HNS に 係 る 世 界 の 事 故 事 例 と し て 、 IMO が 編 集 し た 「 化 学 汚 染 マ ニ ュ
アル」に紹介されている固体危険物を含む事故事例及び海外の報道記事
等 に 基 づ く 事 故 事 例 を 事 例 1,2 に 示 す 。 ま た 、 日 本 沿 岸 域 に お け る 事 故
事 例 と し て 、 報 道 記 事 等 に 基 づ く 代 表 的 な 事 故 事 例 を 事 例 3,4 に 示 す 。
【事例 1
塩化ビニルモノマー事故】
<事 故 概 要 >
塩 化 ビ ニ ル モ ノ マ ー ( VCM) 1,300 ト ン 以 上 を 積 載 し た ガ ス タ ン カ ー が 、
港 外 15 マ イ ル 沖 合 、 水 深 82m の 水 域 で 沈 没 し た 。 沈 没 地 点 は 、 多 数 の
小島に囲まれた半閉鎖水域であり、外側周辺海域には自然保護区があ
った。
<性
状>
VCM は 毒 性 を 有 し 、 大 気 中 で は 広 範 な 濃 度 範 囲 ( 3.6∼ 23.0% ) に お い
て爆発性/可燃性混合気が形成される。また、発癌性を持つと考えら
れ て い る 。 さ ら に 、 VCM は 非 常 に 揮 発 性 が 高 く 、 水 面 に 流 出 し た 場 合 、
一般に水面残留時間は短いと考えられている。
し か し な が ら 、 こ の 事 例 で は 、 水 中 の VCM 残 留 時 間 は 、 水 温 の 異 な る
境 界 層 に VCM の 液 層 が 形 成 さ れ た こ と 及 び 沈 没 水 深 が 深 い ( 82m) こ と
で 長 引 い た 。 VCM の 水 溶 性 は 、 加 圧 下 ( 水 中 の 深 い 位 置 ) で は 高 ま る た
めである。
<対
応>
対応当局では、次のような対応措置が検討された。
・船体を海底の沈没地点においてコンクリート詰めにする。
・ VCM を 不 活 性 物 質 ( PVC) に 変 換 す る 薬 剤 を タ ン ク に 注 入 す る 。
・ タ ン ク を 爆 破 し て 破 壊 し VCM を 放 出 さ せ る 。
・ VCM を 制 御 さ れ た 方 法 で 放 出 さ せ る 。
・ VCM を 水 深 82m の 位 置 か ら 別 の 船 舶 に ポ ン プ 移 送 す る 。
・ 船 体 を 水 深 30m の 位 置 ま で 引 き 上 げ た 後 、 VCM を 別 の 船 舶 に ポ ン プ 移
送する。
諸般の状況から、最後の選択肢が最適であると考えられ、船体を水深
30m の 位 置 ま で 引 き 上 げ た 後 、 VCM700 ト ン が 回 収 さ れ 、 別 の タ ン カ ー に
ポンプ移送された。
58
船体はタンクが空になった後に、海面まで引き上げ、造船所に回航し
た。
海 水 中 及 び 大 気 中 の VCM の モ ニ タ リ ン グ ・ プ ロ グ ラ ム は 、 船 体 と 貨 物
のサルベージが終了するまで続けられた。サルベージ作業は、気象条件
と安全面を考慮しながら夏に開始されたが完了したのは翌春であった。
サルベージ活動の初期段階において、沈没船体はキールが底になるよ
う 姿 勢 を 正 し く 直 し た た め 、 海 面 に お い て VCM が 検 出 さ れ た 。 こ の こ と
か ら 、 少 な く と も タ ン ク 1 基 が 損 傷 し て お り 、 VCM が 漏 出 し て い る と 想
定された。
VCM の 一 部 は 、 タ ン ク 外 に 漏 出 し 、 左 舷 側 と デ ッ キ の 間 に ト ラ ッ プ さ
れている疑いがあった。
サ ル ベ ー ジ 活 動 中 に 大 量 の VCM が 突 然 に 放 出 す る 事 態 を 避 け る た め 、
デ ッ キ プ レ ー ト に 穴 を あ け 、 PVC パ イ プ を 接 続 し て 、 VCM を 海 面 に 導 き 、
自然の分散または焼却処理することになった。
59
【事例 2
アクリロニトリル事故】
<事 故 概 要 >
ア ク リ ロ ニ ト リ ル 547 ト ン 及 び ド デ シ ル ベ ン ゼ ン 500 ト ン を 積 載 し た
小 型 ケ ミ カ ル タ ン カ ー が 、 大 型 船 常 用 航 路 の 近 く 、 海 岸 か ら 52 マ イ ル
の地点で衝突・沈没した。
<性
状>
アクリロニトリルは無色の変質しやすい液体の物質で、流出すると水
に 溶 け て 蒸 発 す る 。 爆 発 範 囲 3∼ 17% で 揮 発 性 が あ り 、 非 常 に 可 燃 性 が
高い。光にさらされると重合爆発を起こすことがある。海洋生物に対
して、中程度の毒性を呈する。生物蓄積性はないと考えられている。
許 容 濃 度 は 2ppm で あ る 。
ドデシルベンゼンは液体で、流出すると水面に浮かび、可燃性はない
と考えられている。海洋生物に対して急性毒性は呈さず、生物蓄積性
はないと考えられている。
<対
応>
ドデシルベンゼンよりもアクリロニトリルの方が海洋環境に対して有
害性が高いと考えられ、対応において優先されることになった。した
がって、対応責任当局は、船舶からのアクリロニトリルの回収を命令
した。
沈 没 船 体 の 周 囲 に は 、 海 上 18km、 空 域 200m の 立 入 禁 止 ゾ ー ン が 設 け ら
れた。サルベージ活動は、半没水型バージの水中メインデッキの上に
船舶を引き上げ、この状態で港湾に移送することになった。最初の姿
勢直し及び引き上げの試みでは、ケーブルが切れ船は再び沈んでしま
った。
このため、船体を 2 つに切断し、水中で漏出しているタンクからアク
リルニトリルを抜取り移送した後、2 分された船体を別々に引き上げる
という方法が採られることになった。
船体及び化学物質の回収を担当するサルベージ会社は、宿泊基地とな
る浮遊クレーン、半没水バージ及び緊急医療設備を備え、医療搬送ヘ
リコプターを持つ船舶並びに技術サポート/化学物質モニタリング船
舶からなる船隊を編成した。サルベージ人員は、保護器具(すなわち、
保護衣及び自給式呼吸装置)を装備した。クレーンには、自動ガス検
知警報システムが取り付けられた。
サルベージチームには化学専門家も加わり、また、海軍のフリゲート
艦 が 周 辺 海 域 一 帯 の 警 戒 に 当 た っ た 。 作 業 は 延 べ 73 日 に 及 び 、 う ち 25
60
日は生産的な活動が実施できた。悪天侯と大気中の化学物質濃度が高
いことで、作業に遅れが生じた。沈没地点の周辺では、海水及び大気
のサンプルが採取され、危険な高濃度のアクリルニトリルが検出され、
タンクが破損している可能性が示唆された。
61
【事例 3
アクリロニトリル事故】
<事 故 概 要 >
濃 霧 注 意 報 発 令 中 ( 視 程 500m∼ 1 k m ) の 来 鳥 海 峡 航 路 内 に お い て 、
1986 年 ( 昭 和 61 年 ) 7 月 14 日 21 時 45 分 頃 、 大 分 か ら 神 戸 に 向 か う
日 本 の フ ェ リ ー ( 6,378GT、 34 名 乗 組 ) と 水 島 か ら 松 山 に 向 か う 日 本 の
ケ ミ カ ル タ ン カ ー ( 199GT、 5 名 乗 組 ) が 衝 突 し た 。
フェリーの船首がケミカルタンカーの右舷 2 番タンク付近に食い込ん
だ 状 態 で 漂 流 し 、 ケ ミ カ ル タ ン カ ー か ら 積 荷 の ア ク リ ロ ニ ト リ ル 400
ト ン の う ち 一 部 ( 100∼ 150 ト ン ) が 流 出 し た 。 両 船 の 衝 突 後 、 さ ら に
フ ェ リ ー に 貨 物 船 ( 699GT、 8 名 乗 組 ) が 追 突 し た 。
<性
状>
アクリロニトリルは前述のとおり、無色の変質しやすい液体の物質で、
流出すると水に溶けて蒸発する。揮発性があり、非常に可燃性が高い。
<対
応>
今 治 海 上 保 安 部 等 は 巡 視 船 艇 11 隻 を 出 動 さ せ 、 船 主 手 配 船 と と も に フ
ェリーの乗客等の救出活動を実施し、事故発生から約 3 時間半後に救
出 が 完 了 し た 。 ま た 、 今 治 海 上 保 安 部 は 、 付 近 海 域 半 径 500m に わ た っ
て船舶航行を制限した。
流出したアクリロニトリルは、無色透明の液体で引火性、爆発性及び
有毒性がある危険性の大きな物質であった。事故発生が夜間で濃霧で
あったため、流出状況の確認はできず、二次災害が懸念されたが、流
出物は翌朝までに大部分が海水に溶解または自然拡散したものと思わ
れ、大事には至らなかった。
爆発の危険及び引き離した場合の沈没の危険があるため、フェリーと
ケミカルタンカーの引き離しは実施せず、翌朝からタグボート 4 隻で
両船を付近海岸まで曳航し、ケミカルタンカーからアクリロニトリル
の抜き取り作業を開始した。
な お 、 沿 岸 の 波 方 消 防 署 で は 、 海 岸 約 30km に わ た っ て 広 報 車 に よ る
「火気の使用厳禁」の広報を行った。
62
【事例 4
スチレンモノマー事故】
<事 故 概 要 >
1988 年 ( 昭 和 63 年 ) 6 月 23 日 午 前 2 時 頃 、 濃 霧 ( 視 程 300m 以 下 ) の
津軽海峡東口において、バンクーバーから台湾の高雄に向けて台風を
避けるため津軽海峡を抜けて日本海を南下しようと航行していたパナ
マ 籍 の ケ ミ カ ル タ ン カ ー ( 13,539GT、 21 名 乗 組 ) と 、 鋼 材 を 積 載 し 室
蘭 か ら 川 崎 に 向 け て 航 行 し て い た 日 本 の 貨 物 船 ( 661GT、 6 名 乗 組 ) が
衝 突 し た 。 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 船 腹 海 面 上 約 2m の 位 置 に お お よ そ 縦
40cm 横 1m の 亀 裂 が 入 り 、 タ ン カ ー の 7 番 船 倉 か ら 積 荷 の ス チ レ ン モ ノ
マ ー 約 235KL が 流 出 し た 。 そ の 後 、 ス チ レ ン モ ノ マ ー を 他 の 船 倉 に 移
送したことから流出は止まった。
<性 状 >
スチレンは無色の特有の強い臭いを有する液体で水に不溶である。流
出すると水面に浮かんで蒸発する。有害液体物質の B 類物質である。
<対 応 >
当該物質は無色透明で引火性があり、また、有毒であることから、函
館海上保安部は巡視船等多数を派遣し警戒にあたるとともに、ただち
に付近航行船舶に対し、安全通信による注意喚起を行った。さらに、
流出地点を中心とする半径 6 海里の円内海域を危険海域と定め、船舶
の立ち入りを禁止した。第 3 管区海上保安本部の特殊救難隊も、ヘリ
コプターにより現場に派遣された。防除活動は、防爆型で放水能力の
あるタグボート及び防災船により危険海域内のガス検知を行いつつ、
ガス濃度の濃い部分に海面放水を行い拡散を促進させることを内容と
し た 。 当 該 活 動 は 24 時 間 に わ た っ て 行 わ れ た 。 こ の 間 、 大 き な 被 害 は
なかったが、付近航行中の漁船乗組員が目の痛み、息苦しさなどの体
調不良を訴えたのをはじめ、下北半島尻屋埼から北部沿岸部の住民が
目の痛みや臭気を感じている。
本件事故による問題点として、次のことが挙げられた。
・直接事故対応にあたる者の中に、ケミカルについての知識(スチレ
ンモノマーの性状等)をもった者がいなかったため、対処方針がなか
なか決まらなかったこと。
・流出した物質が無色透明であったことや現場海域が濃霧であったこ
とから、流出範囲の特定や漂流予測・監視が難しかったこと。
・スチレンモノマーが大量に流出した割には被害が少なかったのは、
流出事故が発生した場所が、沿岸部や東京湾等の人口密集地帯近郊で
63
なく沖合いであったこと。
・火災が発生しなかったこと。
・流出物質が 1 種類であったこと。
・作業可能な船舶や呼吸器具等の保護具が近くにあり、早期手配が行
えたこと等が要因と考えられている。
なお、海上災害防止センターでは、有害液体物質の防除関係では初の
2 号 業 務 を 発 動 、 24 日 ま で 警 戒 監 視 を 実 施 し た 。
64
第 3 章 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル
3.1 目 的
本章は、2 章での基礎調査をもとに、どの海域においても、発生する可
能 性 の 高 い HNS 海 上 輸 送 事 故 及 び そ の 影 響 の 推 定 手 順 を 採 用 す る た め の 典
型モデルを確立することを目的とする。
3.2 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の 考 え 方
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル は 、 上 記 の と お り 、 発 生 す る 可 能 性 の 高
い HNS 海 上 輸 送 事 故 及 び そ の 影 響 の 推 定 手 順 を 確 立 す る こ と が 目 的 で あ り 、
こ れ に 続 く HNS 海 上 輸 送 事 故 に 対 す る 影 響 を 考 慮 す れ ば 、 以 下 の 3 項 目 に
ついて推定することが重要である。
○ 流 出 す る HNS
○ HNS の 流 出 量
○ 流出の発生する水域
「 流 出 す る HNS」 及 び 「 流 出 の 発 生 す る 水 域 」 を 推 定 す る た め に は 、 対
象となる海域の特性を調査する必要があり、調査項目としては、以下のも
のが挙げられる。
○ 対 象 海 域 を 航 行 す る HNS 輸 送 船 舶 の 航 行 実 態
○ 対 象 海 域 を 航 行 す る HNS 輸 送 船 舶 の 船 型
○ 対 象 海 域 を 航 行 す る HNS 輸 送 船 舶 の 貨 物
ま た 、 海 上 輸 送 事 故 に よ る HNS の 流 出 を 想 定 す る こ と か ら 、 海 難 の 種 類
について調査を行う必要があり、以下の項目についても調査する必要があ
る。
○ 対象海域を航行する一般船舶の航行実態
○ 海難の実態(対象海域を含む)
「 HNS の 流 出 量 」 に つ い て は 、 貨 物 の 種 類 が 多 く 、 そ の 性 状 等 も 大 き く
異 な り 、 そ れ ら に 対 応 す る HNS 輸 送 船 舶 の 船 型 等 も 多 い 。 よ っ て 、 HNS の
流 出 量 に つ い て 画 一 的 に 推 定 す る こ と は 困 難 と 考 え ら れ 、 HNS の 流 出 量 は 、
既往資料をもとに推定することとする。
「 流 出 影 響 」 に つ い て は 、「 環 境 影 響 デ ー タ シ ー ト 」 及 び 「 沿 岸 域 環 境
保全リスク情報マップ」をもとに推定することする。
65
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル は 、 上 記 を 踏 ま え て 、 系 統 的 に 調 査 し て
いくこととする。
3.3 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の 推 定 手 順
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の 推 定 手 順 は 、 前 記 「 3.2 HNS 海 上 輸 送 事
故 の 典 型 モ デ ル の 考 え 方 」 に 基 づ き 、 図 3.3-1 に 示 す と お り 行 う こ と を 基
本とする。
ま た 、 図 3.3-1 に 示 す 各 項 目 に つ い て は 、 発 生 す る 可 能 性 の 高 い も の を
推定していくことを基本とする。
海難の種類のモデル化
・海難の種類の特定
対象海域の特性調査
海難事故船舶のモデル化
・ HNS 輸 送 船 舶 の 船 種 の 特 定
・ 対 象 海 域 に お け る HNS 輸 送 船 舶 の 船 型 の 推 定
流 出 す る HNS の モ デ ル 化
・ 海 難 事 故 の 対 象 と さ れ た HNS 輸 送 船 舶
の貨物の特定
流出量予測のモデル化
・既往資料による流出量の特定
・ 対 象 海 域 に お け る HNS 輸 送 船 舶 の 貨 物 の 推 定
海難事故発生水域のモデル化
以下の調査より、海難事故発生水域の推定
・ 対 象 海 域 を 航 行 す る HNS 輸 送 船 舶 の
航行実態調査
・対象海域を航行する一般船舶の航行実態調査
・対象海域の海難の実態調査
流出影響予測のモデル化
以下の資料による流出影響の予測
・「 HNS 環 境 影 響 デ ー タ シ ー ト 」
・「 沿 岸 域 環 境 保 全 リ ス ク 情 報 マ ッ プ 」 等
図 3.3-1 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の 推 定 手 順
66
3.4 海 難 の 種 類 の モ デ ル 化
海 上 保 安 庁 の 平 成 9 年 か ら 14 年 の 「 海 上 保 安 統 計 年 報 」 よ り 、 一 般 船
舶 を 対 象 と し 、 総 ト ン 数 100 ト ン 以 上 の 原 因 別 海 難 発 生 件 数 と 衝 突 ・ 乗 揚
の 割 合 を 表 3.4-1 に 示 す 。
本 表 に よ れ ば 、「 衝 突 」 及 び 「 乗 揚 」 が 多 く 、 両 者 を 合 わ せ る と 、 お よ
そ 50%を 占 め る 。
ま た 、 第 2 章 基 礎 調 査 か ら 、 乗 揚 げ に よ る HNS の 流 出 の 可 能 性 は 低 く 、
「 過 去 の HNS 流 出 事 故 」 に お い て も そ の 多 く が 衝 突 に よ る 船 体 損 傷 で あ っ
たことが明らかとなった。
上 記 よ り 、 海 難 の 種 類 は 、「 衝 突 」 と 特 定 す る こ と が 妥 当 と 考 え ら れ る 。
表 3.4-1 原 因 別 海 難 発 生 件 数 と 衝 突 ・ 乗 揚 の 割 合 (単 位 : 隻 )
( 表 2.5.1-1 の 再 掲 )
H9
H10
割合(%)
隻数
単独
累積
H11
割合(%)
隻数
単独
累積
H12
割合(%)
隻数
単独
累積
H13
割合(%)
隻数
単独
累積
H14
割合(%)
隻数
単独
累積
割合(%)
隻数
単独
累積
26.2
衝突
36
16.3
16.3
44
19.5
19.5
36
14.9
14.9
39
16.5
16.5
54
22.6
22.6
53
26.2
乗揚
100
45.2
61.5
90
39.8
59.3
109
45.2
60.2
85
36.0
52.5
82
34.3
56.9
63
31.2
57.4
0
0.0
61.5
26
11.5
70.8
25
10.4
70.5
27
11.4
64.0
25
10.5
67.4
26
12.9
70.3
火災
14
6.3
67.9
11
4.9
75.7
14
5.8
76.3
20
8.5
72.5
14
5.9
73.2
5
2.5
72.8
爆発
1
0.5
68.3
0
0.0
75.7
1
0.4
76.8
1
0.4
72.9
0
0.0
73.2
0
0.0
72.8
浸水
20
9.0
77.4
14
6.2
81.9
23
9.5
86.3
16
6.8
79.7
26
10.9
84.1
13
6.4
79.2
転覆
20
9.0
86.4
7
3.1
85.0
4
1.7
88.0
7
3.0
82.6
3
1.3
85.4
1
0.5
79.7
推進器障害
11
5.0
91.4
14
6.2
91.2
8
3.3
91.3
12
5.1
87.7
8
3.3
88.7
7
3.5
83.2
3
1.4
92.8
4
1.8
92.9
2
0.8
92.1
2
0.8
88.6
7
2.9
91.6
4
2.0
85.1
0
0.0
92.8
0
0.0
92.9
0
0.0
92.1
0
0.0
88.6
0
0.0
91.6
0
0.0
85.1
16
7.2
100.0
16
7.1
100.0
19
7.9
100.0
27
11.4
100.0
20
8.4
100.0
30
14.9
100.0
機関故障
舵故障
行方不明
その他
<運行阻害>
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
<安全阻害>
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
計
221
100
100
226
100
100
241
100
100
236
100
100
239
100
100
202
100
100
( 資 料 :「 海 上 保 安 統 計 年 報 」: 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 海 上 保 安 庁 )
67
3.5 HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の モ デ ル 化
HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の モ デ ル 化 に つ い て は 、 以 下 の 2 点 に つ い て 検 討
した。
○ HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の 船 種
○ HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の 船 型
3.5.1 HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の 船 種
HNS 輸 送 船 舶 の 船 種 は 、 第 2 章 基 礎 調 査 で 述 べ た よ う に 、 大 き く ケ
ミ カ ル タ ン カ ー 、 LPG 船 及 び LNG 船 に 分 類 さ れ る 。
液 化 ガ ス を 運 搬 す る LPG 船 及 び LNG 船 に つ い て は 、 基 礎 調 査 を 踏 ま え 、
事故件数が少なく、衝突による当該貨物の海中への漏洩及び拡散は予想
されない。
ケ ミ カ ル タ ン カ ー に つ い て は 、 LPG 及 び LNG 船 と 比 較 す る と 事 故 件 数
が多く、輸送する貨物の性状にもよるが、衝突による海中への漏洩及び
拡散の発生が予想される。
上 記 よ り 、 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 船 舶 は 、「 ケ ミ カ ル タ ン カ ー 」 と 特 定
することが妥当と考えられる。
68
3.5.2 HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の 船 型
海難の種類を「衝突」に限定すれば、事故発生の可能性の高い船舶は、
一般的に、当該水域を航行する頻度の高い船型と考えられる。
港 湾 統 計 に よ れ ば 、 一 般 商 船 の 入 港 隻 数 が 最 も 多 い の は 、 表 3.5.2-1
に 示 す と お り 、 100GT 級 か ら 500GT 級 で あ っ た 。 ま た 、 海 上 保 安 庁 発 行
の 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 の 「 海 上 保 安 統 計 年 報 」 の HNS 輸 送 船 舶 を 対 象
と し た 総 ト ン 数 100 ト ン 以 上 の 船 型 別 衝 突 海 難 発 生 件 数 に よ れ ば 、 衝 突
海 難 が 最 も 多 い 船 型 は 、 表 3.5.2-2 に 示 す と お り 、 100GT 級 か ら 500GT
級であった。これらは、航行する頻度の高い船舶が衝突海難に遭う可能
性が高いことを裏付けるものと考えられる。
上 記 よ り 、 HNS 海 上 輸 送 事 故 船 舶 の 船 型 を 推 定 す る 場 合 は 、 航 行 頻 度
の高い船型を推定とすることが妥当と考えられる。
表 3.5.2-1 入 港 船 舶 総 数 表 ( 表 2.5.3-1 の 再 掲 )
単位:隻
一般商船
6,000総トン以上
10,000総トン以上
10,000総トン未満
外航商船
外航自航
内航商船
内航自航
合 計
41,616
190
3,751
18,219
63,776
3,000総トン以上
6,000総トン未満
13,878
495
9,239
24,509
48,121
1,000総トン以上
3,000総トン未満
26,057
42,116
12,166
80,339
20,108
6
63,942
95,622
179,678
500総トン以上
1,000トン未満
100総トン以上
500トン未満
5,979
141,751
247,201
394,931
5総トン以上
100トン未満
11,591
20
715,482
131,492
858,585
合 計
2,311
385,879
11,845
400,035
121,540
711
1,362,160
541,054
2,025,465
注 )「 自 航 」 は 自 動 車 航 送 船 を 示 す 。
( 資 料 :「 港 湾 統 計 ( 年 報 )」: 平 成 12 年 日 本 港 湾 協 会 )
表 3.5.2-2 船 型 別 衝 突 海 難 発 生 件 数 ( 表 2.5.3-2 の 再 掲 )
単位:隻
H9
H10
割合(%)
隻数
単独
累積
H11
割合(%)
隻数
単独
累積
H12
割合(%)
隻数
単独
累積
H13
割合(%)
隻数
単独
累積
H14
割合(%)
隻数
単独
累積
割合(%)
隻数
単独
累積
100∼500トン
28
48.3%
48.3%
20
45.5%
45.5%
18
33.3%
33.3%
23
46.0%
46.0%
31
48.4%
48.4%
35
53.0%
53.0%
500∼1,000トン
8
13.8%
62.1%
7
15.9%
15.9%
6
11.1%
44.4%
7
14.0%
60.0%
14
21.9%
70.3%
5
7.6%
60.6%
1,000∼3,000トン
8
13.8%
75.9%
9
20.5%
20.5%
12
22.2%
66.7%
9
18.0%
78.0%
9
14.1%
84.4%
13
19.7%
80.3%
3,000トン以上
14
24.1% 100.0%
8
18.2%
18.2%
18
33.3% 100.0%
11
22.0% 100.0%
10
15.6% 100.0%
13
19.7% 100.0%
計
58 100.0% 100.0%
44 100.0% 100.0%
54 100.0% 100.0%
50 100.0% 100.0%
64 100.0% 100.0%
66 100.0% 100.0%
( 資 料 :「 海 上 保 安 統 計 年 報 」: 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 海 上 保 安 庁 )
69
一方、当地の「船舶航行実態観測資料」の資料等がないなど、推定が
困難な場合は、わが国全体の統計資料を参考することとし、以下の理由
に よ り 、 外 航 船 舶 は 5,000GT 級 の 船 舶 、 内 航 船 舶 は 500GT 級 の 船 舶 を 対
象とする。
外航船舶については、京浜港及び神戸港において沖荷役が行われ、
「ばら積み液体化学物質に積替荷役に係わる調査委員会報告書」によれ
ば 、 図 3.5.2-1 に 示 す と お り 、 4,000∼ 5,000GT 級 の 船 舶 が も っ と も 多
い。
内 航 船 舶 に つ い て は 、「 平 成 14 年 度 内 航 船 舶 輸 送 統 計 年 報 」 に よ れ
ば 、 表 3.5.2-3 に 示 す と お り 、 100∼ 500GT 級 の 船 舶 が も っ と も 多 い 。
上記より、当地の「船舶航行実態観測資料」の資料等がないなど、推
定が困難な場合、被害が大きくなることを想定し、内航船舶については
500GT 級 の 船 舶 、 外 航 船 舶 に つ い て は 5,000GT 級 の 船 舶 を 対 象 と す る こ
とが妥当と考えられる。
70
(単位:隻)
250
200
150
100
50
0
15,000
20,000
15,000 GT
20,000 GT
25,000 GT
25,000 GT
∼
10,000
∼
7,000
∼
7,000 GT
∼
5,000
5,000 GT
∼
4,000
4,000 GT
∼
3,000
∼
2,000
3,000 GT
∼
1,000
2,000 GT
∼
1,000 GT
未 満
合計
京浜
21
神戸
68
(4%)
(9%)
20
42
(4%)
(6%)
35
49
(6%)
(6%)
75
97
(14%)
(13%)
165
217
(30%)
(29%)
(2%)
(2%)
13
17
10,000 GT
14
19
(3%)
(3%)
69
75
(12%)
(10%)
62
66
(11%)
(9%)
74
95
(13%)
(13%)
以 上
(1%)
(1%)
6
11
554
756
( )内 の 数 字 は 、 全 体 か ら の 割 合 を 示 す 。
(出典:
「ばら積み液体化学物質の積替荷役に関わる調査委員会報告書」
:平成 6 年 日本海難防止協会)
図 3.5.2-1 平 成 3 年 度 の 京 浜 ・ 神 戸 港 に お け る
外 航 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 船 型 別 入 港 実 績 ( 図 2.4.2-2 の 再 掲 )
表 3.5.2-3 内 航 船 舶 に よ る HNS の 総 ト ン 数 階 級 別 輸 送 量 ( 表 2.4.2-6(3)の 再 掲 )
単位:千トン
計
石油製品 LPG及びその他のガス
%
化学薬品
%
その他の化学工業品
%
注:貨物船を除く。
7,855
100.0
19,056
100.0
1,247
100.0
100G/T未満
0
0.0
0
0.0
0
0.0
71
100G/T以上 500G/T以上 1,000G/T以上
2,000G/T以上
500G/T未満 1,000G/T未満 2,000G/T未満
451
7,149
255
0
5.7
91.0
3.2
0.0
12,999
4,994
428
635
68.2
26.2
2.2
3.3
563
447
121
115
45.1
35.8
9.7
9.2
(資料:平成14年度内航船舶輸送統計年報)
3.6 流 出 す る HNS の モ デ ル 化
流 出 す る HNS の モ デ ル 化 は 、 前 節 で 推 定 し た 船 舶 の 貨 物 を 対 象 と し 、 取
扱量の多いものを推定することとする。
一方、当地の「船舶航行実態観測資料」等がなく、推定が困難な場合に
は、わが国全体の統計資料を用いることとし、以下の理由により、流出す
る HNS を 取 り 扱 い 量 の 多 い キ シ レ ン 、 パ ラ キ シ レ ン ( キ シ レ ン )、 メ タ ノ
ールとする。
内 航 に お け る 取 扱 量 最 大 の 化 学 物 質 は 、「 日 本 海 難 防 止 協 会 危 険 物 海 上
輸 送 時 の 事 故 対 応 策 の 研 究 報 告 書 ( そ の 1 )」 に よ れ ば 、 表 3.6-1 に 示 す
とおり、キシレンである。
外 航 に お け る 取 扱 量 最 大 の 化 学 物 質 は 、 平 成 12 年 の 我 国 に お け る 主 な
HNS の 品 目 別 の 輸 出 入 量 に よ れ ば 、 表 3.6-2、 表 3.6-3 に 示 す と お り 、 輸
出 で は パ ラ キ シ レ ン ( キ シ レ ン )、 輸 入 で は メ タ ノ ー ル で あ る 。
上 記 よ り 、 内 航 及 び 外 航 船 舶 に お い て 、「 船 舶 航 行 実 態 観 測 資 料 」 等 が
無 く 、 推 定 が 困 難 な 場 合 に は 、 流 出 す る HNS を キ シ レ ン 、 パ ラ キ シ レ ン
(キシレン)及びメタノールとすることが妥当と考えられる。
マ・シ海峡に関しては、通航船舶中のケミカル輸送船舶の輸送品目の内
訳とその割合に関する詳細なデータはない。しかしながら、マ・シ海峡を
航 行 す る HNS 輸 送 船 舶 の 約 1 割 が 日 本 を 入 出 し て い る こ と か ら 、 我 国 に お
け る 輸 出 入 HNS の 品 目 別 取 扱 量 を 参 考 に で き る 。 し た が っ て 、 や は り キ シ
レン、パラキシレン(キシレン)及びメタノールを対象とすることが妥当
と考えられる。
72
表 3.6-1 わ が 国 内 航 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 輸 送 品 目 と 輸 送 量 ( 平 成 11 年 度 )
( 表 2.4.2-7 の 再 掲 )
順位
国連番号
1
1307
キシレン
Xylene
輸送量
(トン)
1,999,866
2
1114
ベンゼン
Benzene
1,503,659
3
2055
スチレン(スチレンモノマー)
Styrene monomer
1,439,635
4
1230
メチルアルコール(メタノール)
Methanol
717,782
5
1294
トルエン
Toluene
604,530
6
1145
シクロヘキサン
Cyclohexane
528,988
7
1093
アクリロニトリル
Acrylonitrile
519,324
8
3082
コールタール(アスファルト)
Coal tar
506,744
9
1184
Ethylene dichloride
418,217
10
3082
Creosote
350,358
11
1170
1,2-ジクロロエタン(二塩化エチレン)
クレオソート
(コールタールより得られたもの)
エチルアルコール(エタノール)
Ethanol
237,594
12
1120
ブチルアルコール(ブタノール)
Butanol
236,113
13
1090
アセトン
Acetone
222,269
14
1247
メタクリル酸メチル
Methyl methacrylate
211,576
15
1715
無水酢酸
Acetic anihydride
201,806
16
1193
メチルエチルケトン
Methyl ethyl ketone
200,839
17
1301
酢酸ビニル
Vinyl acetate
197,900
プロピルベンゼン
Propylbenzene
193,412
3082
2312
2821
オクタノール
Octanol
167,591
フェノール
Phenol
146,735
エチレングリコール
Ethylene glycol
121,374
18
19
20
21
化学品名
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)
」
:平成 13 年度(社)日本海難防止協会)
73
表 3.6-2 わ が 国 に お け る 主 な HNS の 品 目 別 の 輸 出 量 ( 平 成 12 年 )
順位
国連番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
1307
1830
1824
2055
1077
1114
1038
−
−
1307
−
2078
1093
2821
1247
1193
1145
2303
2218
1919
1917
品 名
パラキシレン
硫酸及び発煙硫酸
苛性ソーダ(水溶液)
スチレン
プロピレン
ベンゼン
エチレン
イプシオン-カプロラクタム
エチレングリコール
キシレン異性体の混合物
酢酸
トリレンジイソシアネート
アクリロニトリル
石炭酸及びその塩
メタクリル酸のエステル
メチルエチルケトン
シクロヘキサン
クメン
アクリル酸及びその塩
アクリル酸のエステル
p-Xylene
Sulfuric acid
Sodium hydroxide
Stylene monomer
Propylene
Benzene
Ethylene
Caprolactam
Ethylene glycol
Xylene
Acetic acid
Tolylene diisocyanate
Acrylonitrile
Phenol
Methyl methacrylate,etc
Methyl ethyl ketone
Cyclohexane
Cumene
Acrylic acid
Methyl acrylate, etc
Ethyl acrylate
輸出量
(トン)
1,754,271
1,223,600
1,059,877
817,581
396,315
272,166
266,595
246,929
223,504
204,763
146,229
137,044
134,497
131,926
111,549
93,995
89,562
84,856
79,658
78,279
( 出 典 :「 化 学 工 業 品 輸 出 通 関 統 計 」: 2001 年 日 本 化 学 工 業 品 輸 出 組 合 )
表 3.6-3 わ が 国 に お け る 主 な HNS の 品 目 別 の 輸 入 量 ( 平 成 12 年 )
順位
国連番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
1230
1184
1294
1093
1114
1888
−
1005
−
2,031
1,796
−
1919
1917
1219
1805
−
1381
1789
1038
1301
品 目
メタノール
二塩化エチレン
トルエン
アクリロニトリル
ベンゼン
クロロホルム
トール油
無水アンモニア
エチレングリコール
Methanol
Ethylene dichloride
Toluene
Acrylonitrile
Benzene
Chloroform
Tall oil
Liquid ammonia
Ethylene glycol
Nitric acid
硝酸及び硫硝酸
Nitrating acid, mixture
ソルビトール
Sorbitol
Methyl acrylate, etc
アクリル酸のエステル
Ethyl acrylate
プロピルアルコール及びイソプロピルアルコール Propanol,Isopropanol
りん酸及びポリりん酸
Phosphoric acid
グリセリン
Glycerin
りん
Phosohorous
塩酸
Hydrochloric acid
エチレン
Ethylene
酢酸ビニル
Vinyl acetate
輸入量
(トン)
2,106,125
416,711
127,873
114,713
89,189
60,773
60,093
52,623
45,007
( 出 典 :「 化 学 工 業 品 輸 入 通 関 統 計 」: 2001 年 日 本 化 学 工 業 品 輸 入 協 会 )
74
40,702
37,339
34,059
31,447
28,833
28,691
26,163
25,768
24,188
20,441
3.7 HNS 流 出 量 の モ デ ル 化
HNS 流 出 量 は 、 海 上 保 安 庁 「 排 出 油 防 除 計 画 」 記 載 の 「 海 洋 汚 染 想 定 の
指 針 」 を も と に 、 衝 突 を 想 定 し た 当 該 輸 送 船 の 載 荷 重 量 ト ン 数 の 9%が 排 出
されるものとすることが妥当と考えられる。
な お 、 推 定 さ れ た 船 舶 の 載 荷 重 量 ト ン 数 は 、 表 3.7-1 に 示 す 「 ば ら 積 み
液 体 化 学 物 質 に 積 替 荷 役 に 係 わ る 調 査 委 員 会 報 告 書 」 記 載 の 「ケ ミ カ ル タ
ン カ ー の 主 要 目 」を 利 用 す る こ と と す る 。
表 3.7-1 ケ ミ カ ル タ ン カ ー の 主 要 目 ( 表 2.3.3-1 の 再 掲 )
区
分
船型
ー
外
航
ケ
ミ
カ
ル
タ
ン
カ
ー
内
航タ
ケン
ミカ
カ
ル
全長
総トン数 載貨重量トン タンク
タンク数
(m)
(GT)
(D.W.T) 容積(m3)
1,000 トン型
999.0
1,933.0
1,327
3,000 トン型
3,194.0
5,568.2
6,129
8
5,000 トン型
5,266.0
9,306.1
9,236
13 116.90
7,000 トン型
6,738.0
12,010.7
13,485
21 124.80
10,000 トン型 10,499.0
16,617.0
21,608
24 149.60
15,000 トン型 14,912.0
23,299.0
29,805
20,000 トン型 20,760.0
36,501.0
20,000 トン型 22,587.0
25,000 トン型 25,000.0
幅
(m)
深さ 満載喫水 主機馬力 航海速力
(m) (m)
(ps) (k't)
71.86
11.00
5.49
5.10
1,500
11.50
15 104.14
15.02
7.80
6.47
4,500
13.50
18.20
9.80
7.99
4,900
12.70
18.30
10.85
9.06
7,000
14.00
22.81
12.02
8.66
6,200
13.25
36 169.75
24.47
12.50
9.56
11,500
16.25
44,238
36 176.82
29.61
15.17
11.56
14,400
15.50
39,782.0
47,140
26 179.94
32.00
-
11.20
14,400
15.00
41,500.0
50,000
36 183.00
33.00
-
12.00
14,400
15.00
199 トン型
199.8
515.0
611
3
48.80
8.00
3.30
3.20
750
10.50
299 トン型
299.0
695.0
648
3
52.52
8.60
3.90
3.45
900
10.00
499 トン型
499.8
999.5
1,140
4
59.95
9.80
4.30
3.95
1,200
10.50
699 トン型
699.8
1,230.0
1,211
4
67.55
11.00
5.00
4.40
1,800
12.00
1,000 トン型
1,076.1
2,198.5
2,309
5
77.70
11.40
5.00
4.80
1,600
11.00
(出典:
「ばら積み液体化学物質の積替荷役に係わる調査委員会」:平成 6 年 日本海難防止協会)
75
【参
考 : 海 上 保 安 庁 「 排 出 油 防 除 計 画 」】
<海洋汚染想定の指針>
排出油事故の発生場所の想定の考え方
油が著しく大量に排出される事故発生の蓋然性の高い海域は、原則とし
て、次の海域を考えるものとする。
港内のタンカー係留施設付近海域
タンカーの常用航路である狭水道及びその周辺海域
外洋域における貨物船の常用航路付近海域
<排出油規模の想定の考え方>
排出油事故の態様としては、他船との衝突、岸壁との衝突、座礁又は底
触、タンクの爆発、バルブ操作のミス、油保管施設からの流出によるもの
等が考えられるが、油が著しく大量に排出された場合における排出油量の
想定をするに当たっては、次のような前提のもとに行うものとする。
○ 港内のタンカー係留施設付近海域
イ 排出油事故の態様として、港内のタンカー係留施設付近海域における
タンカーの他船との衝突に伴う排出油事故とする。
ロ 排出油事故発生船舶の大きさは、当該係留施設を利用する最大級のタ
ンカーとする。
ハ 排出油量の算定に当たっては、排出油量が破口の位置及び大きさ等に
よ り 大 き く 異 な る の で 、 当 該 タ ン カ ー の 載 荷 重 量 の 9% の 油 が 排 出 さ れ
る も の と す る 。(( 社 ) 日 本 海 難 防 止 協 会 「 昭 和 43 年 度 大 型 タ ン カ ー に
よる災害の防止に関する調査研究完了報告書」参照)
○ タンカーの常用航路である狭水道及びその周辺海域
イ 排出油事故の態様として、狭水道及びその周辺海域におけるタンカー
の座礁又は底触に伴う排出油事故とする。
ロ 排出油事故発生船舶の大きさは、当海域を航行する最大級のタンカー
とする。
ハ 排出油量の算定に当たっては、当該タンカーの最大センタータンク 2
個の底部に破口が生じたものとし、喫水線上の油が全量(最大センタ
ー タ ン ク 2 個 の 全 量 の 1/5 が ) 排 出 さ れ る も の と す る 。
○ 外洋域における貨物船の常用航路付近海域
イ 排出油事故の態様として、外洋域の常用航路における貨物船の座礁ま
たは底触に伴う排出油事故とする。
ロ 排出油事故発生船舶の大きさは、当海域を航行する最大級の貨物船と
する。
ハ 排出油量の算定に当たっては、当該貨物船の燃料タンクの船底部に破口
が生じ、載燃料が全量排出されるものとする。
76
3.8 HNS 海 上 輸 送 事 故 発 生 水 域 の モ デ ル 化
海上輸送事故は、海上輸送事故を「衝突」に限定すると、一般的に、船
舶の航行頻度の高い水域において発生すると考えられる。
海上輸送事故発生の例として、東京湾内における航行頻度と海難事故の
関 係 を 図 3.8-1 に 示 す 。 図 中 の メ ッ シ ュ の う ち 、 色 が 濃 い 所 が 航 行 頻 度 の
高い水域を示しており、海難事故発生を示す○印が、航行頻度の高い箇所
と重なっていることが分かる。
こ の 例 か ら 、 HNS 海 上 輸 送 事 故 発 生 水 域 を 推 定 す る 場 合 は 、 当 地 の 「 船
舶航行実態観測資料」等により、航行頻度の高い所と過去の海難事故発生
水 域 を 照 ら し 合 わ せ 、 さ ら に HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 行 ル ー ト を 重 ね る こ と
により推定することが妥当と考えられる。
海難①
海難②⑮
海難⑦⑧⑨
海難⑬
海難③④⑤⑥⑩⑪⑫⑭
( 資 料 :「 東 京 湾 船 舶 航 行 実 態 調 査 報 告 書 」: 平 成 12 年 度 ( 社 ) 日 本 海 難 防 止 協 会 」)
図 3.8-1 東 京 湾 内 の 航 行 頻 度 と 海 難 事 故 の 関 係
77
また、海上輸送事故は、内航船舶を対象として、以下の理由により、
HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 行 ル ー ト 上 、 船 舶 の 航 行 頻 度 の 高 い 水 域 、 さ ら に
3.5.2 で 述 べ た と お り HNS 船 舶 の バ ー ス 付 近 の 3 マ イ ル 以 内 に お い て も 発
生すると考えられる。
海 上 保 安 庁 発 行 の 平 成 9 年 か ら 平 成 14 年 の 「 海 上 保 安 統 計 年 報 」 よ り 、
HNS 輸 送 船 舶 を 対 象 と し 、 総 ト ン 数 100 ト ン 以 上 の 海 難 の 距 岸 別 隻 数 と 3
海 里 未 満 で 海 難 の 発 生 す る 割 合 を 表 3.8-1 に 示 す 。
本 表 に 示 す よ う に 海 難 の お よ そ 70∼ 80%は 距 岸 3 海 里 以 内 の 沿 岸 で 発 生
している。
表 3.8-1 海 難 の 距 岸 別 隻 数 ( 単 位 : 隻 )( 表 2.5.1-2 の 再 掲 )
隻数
H9
H10
H11
H12
H13
割合(%)
割合(%)
割合(%)
割合(%)
割合(%)
隻数
累積
30.1
68 30.8
78.3
111 50.2
単独
累積
30.8
86 35.7
35.7
69 29.2
81.0
114 47.3
83.0
107 45.3
隻数
累積
29.2
61 25.5
74.6
112 46.9
割合(%)
3海里未満
109 48.2
3-12海里
33 14.6
92.9
27 12.2
93.2
19
7.9
90.9
34 14.4
89.0
48 20.1
92.5
41 20.3
91.6
12-50海里
13
98.7
13
99.1
16
6.6
97.5
18
96.6
16
99.2
14
6.9
98.5
99.5
7.6
単独
隻数
68 30.1
5.9
単独
隻数
累積
5.8
累積
隻数
単独
港内
単独
H14
6.7
単独
累積
25.5
58 28.7
28.7
72.4
86 42.6
71.3
20-200海里
3
1.3
100.0
2
0.9
100.0
4
1.7
99.2
4
1.7
98.3
1
0.4
99.6
2
1.0
200海里以遠
0
0.0
100.0
0
0.0
100.0
2
0.8
100.0
4
1.7
100.0
1
0.4
100.0
1
0.5
計
226
100
100
221
100
100
241
100
100
236
100
100
239
100
100
202
( 資 料 :「 海 上 保 安 統 計 年 報 」: 平 成 9 年 ∼ 平 成 14 年 海 上 保 安 庁 )
78
100
100
100
3.9 HNS 流 出 に よ る 影 響 予 測 の モ デ ル 化
HNS 流 出 に よ る 影 響 予 測 は 、 本 年 度 の 調 査 で 作 成 し た 「 HNS 環 境 影 響 デ
ー タ シ ー ト 」、( 社 ) 日 本 海 難 防 止 協 会 の 作 成 し た 「 沿 岸 域 環 境 保 全 リ ス ク
情 報 マ ッ プ 」 等 を 用 い る 。 影 響 予 測 手 順 は 図 3.9-1 に 示 す と お り で あ る 。
HNS 海 上 輸 送 事 故 の 推 定
<推定例>
・ HNS 海 上 輸 送 事 故 発 生 水 域
:東京湾 市原港付近
・ HNS 海 上 輸 送 事 故 の 船 舶
: ケ ミ カ ル タ ン カ ー ( 500GT 級 )
・ HNS 海 上 輸 送 事 故 の 船 舶 の 貨 物 : キ シ レ ン
: 100m 3
・ 流出量
流出する物質の性状から難溶・高揮発性のグループ決定
( 6 グ ル ー プ : A-1、 A-2、 A-3、 B-1、 B-2、 B-3)
※ 影響因子(可燃性・爆発性、毒性、臭気、流出物質の海面漂流)
決定されたグループより以下の項目の影響調査
① 流出源における影響(船舶、乗組員)
② 付近航行船舶への影響(船舶、乗組員)
③ 陸上住民への影響
④ 養殖施設への影響
⑤ 工業施設への影響
⑥ 陸上植物への影響
⑦ 陸上動物への影響
⑧ 海洋生物への影響
⑨ 鳥類への影響
影響調査結果の整理
<調査結果例>
① 流出源における影響
: 損壊、被災・火傷
② 付近航行船舶への影響: 引火・爆発、吸引による被害
③ 陸上住民への影響
: 悪臭によるストレス
④ 養殖施設への影響
: 養殖物被害
⑤ 工業施設への影響
: 工場内プラントへの被害
⑥ 陸上植物への影響
: 水田・畑・果樹園への付着
⑦ 海洋陸上動物への影響: 生態系への影響
⑧ 生物への影響
: 生態系への影響
⑨ 鳥類への影響
: 付着による生体障害
図 3.9-1
HNS 流 出 に よ る 影 響 予 測 の モ デ ル 化 フ ロ ー 図
79
3.10 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル の ま と め
これまでのモデル化について、以下にとりまとめ、調査フロー図を図
3.10-1 に 示 す 。
①海難事故のモデル化
海難事故は「衝突」と特定する。
②海難事故船舶のモデル化
海 難 事 故 船 舶 の 船 種 は 、「 ケ ミ カ ル タ ン カ ー 」 と す る 。
海難事故船舶の船型は、航行頻度の高い船型とする。
なお、当該水域において、資料等がないなど、推定困難な場合は、以
下の通りとする。
○ 内 航 船 舶 に つ い て は 、 500GT 級 の 船 舶
○ 外 航 船 舶 に つ い て は 、 5,000GT 級 の 船 舶
③ 流 出 す る HNS の モ デ ル 化
流 出 す る HNS は 、 推 定 さ れ た 海 難 事 故 船 舶 の 貨 物 と す る 。
なお、当該水域において、資料等がないなど、推定困難な場合は、以
下の通りとする。
○内航船舶については、キシレン
○外航船舶については、メタノール、パラキシレン(キシレン)
④流出量予測のモデル化
流 出 量 は 、 推 定 さ れ た 海 難 事 故 船 舶 の 載 貨 重 量 ト ン 数 の 9%と す る 。
⑤海難事故発生水域のモデル化
海難事故発生水域は、以下の 3 点より推定する。
○船舶航行頻度の高い水域
○海難事故発生水域
○ HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 行 ル ー ト
ま た 、 HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 行 ル ー ト 上 、 HNS 船 舶 の バ ー ス 付 近 の 3
マイル以内の船舶の航行頻度の高い水域も対象とする。
80
⑥流出影響予測のモデル化
HNS 流 出 影 響 予 測 は 「 HNS 環 境 影 響 デ ー タ シ ー ト 」、「 沿 岸 域 環 境 保 全 リ
スク情報マップ」等を用いる。
海難の種類のモデル化
事故の種類は「衝突」
海難事故船舶のモデル化
・ 船種:ケミカルタンカー
・ 船型:航行頻度の高い船型
<資料がない等 船型推定が困難な場合>
内 航 船 舶 → 500GT 級 の 船 舶
外 航 船 舶 → 5,000GT 級 の 船 舶
流 出 す る HNS の モ デ ル 化
・推定された海難事故船舶の貨物等
・取扱い量の多い貨物
< 資 料 が な い 等 流 出 す る HNS 推 定 が 困 難 な 場 合 >
キシレン、パラキシレン、メタノール
流出量予測のモデル化
推 定 さ れ た 海 難 事 故 船 舶 の DWT の 9%
海難事故発生水域のモデル化
・船舶航行頻度の高い水域
・海難事故発生水域
・ HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 行 ル ー ト
・ HNS 船 舶 の バ ー ス 付 近 の 3 マ イ ル 以 内
( HNS 海 上 輸 送 船 舶 の 航 行 ル ー ト 上 、 船 舶 航 行 頻 度 の 高 い 水 域 )
流出影響予測のモデル化
「環境影響データシート」及び「沿岸域環境保全リスク情報
マップ」等を用いて影響を予測する。
図 3.10-1
HNS 海 上 輸 送 事 故 モ デ ル 化 フ ロ ー 図
81
82
第 4 章 HNS 海上輸送事故の典型モデルの活用
4.1 目的
本章は、3 章で提案した HNS 海上輸送事故の典型モデルを用いて、実際の海域に適
用し、当該モデルの検証することを目的とする。
4.2 東京湾における典型モデルの活用
HNS 輸送船舶の航行ルート及び東京湾における沖荷役箇所並びに主要な HNS 関連施
設を図 4.2-1 に示す。
東京湾における HNS 輸送船舶の航行としては、以下の 5 つが挙げられる。
1)東京湾外(国外)から根岸沖荷役錨地及び東扇島沖荷役錨地への航行
2)根岸沖荷役錨地及び東扇島沖荷役錨地から東京湾外(国外)への航行
3)根岸沖荷役錨地及び東扇島沖荷役錨地から東京湾内の各港への航行
4)東京湾内の各港間の航行
5)東京湾内の各港から東京湾外(国内)への航行
上記のうち 1)∼2)については外航船舶に関するものであり、3)∼5)については内
航船舶に関するものである。
東京湾における HNS 海上輸送事故は、外航船舶と内航船舶に分けて推定する。
東京湾における HNS 海上輸送事故の推定に用いる資料を以下に記す。
○「ばら積み液体化学物質の積替荷役に係わる調査委員会報告書(平成 6 年 3 月
社団法人 日本海難防止協会)
」
(以下、
「資料①」とする。
)
○「平成 13 年度 危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書( 社団法人 日本
海難防止協会)
」
(以下、
「資料②」とする。
)
○「平成 12 年度 東京湾船舶航行実態調査報告書 (社団法人 日本海難防止協会)
」
(以下、
「資料③」とする。
)
83
・新日本石油
・昭和シェル石油
・東洋合成
・キグナス石油
・東燃ゼネラル石油
・出光興産
・日本石油化学
・新日本石油ガス
・ゼネラル石油ガス ・旭化成工業
LPGA-1バース
・新日本石油ガス川崎
LPGバース
・昭和シェル石油
・東燃石油化学
・東亜・ジャパンエナジー
LPG本桟橋
・昭和シェル石油
・新日本石油
・昭和シェル石油
・ゼネラル物産
・日本ヴォパック
・エクソンモービル
・三菱液化ガス
・新日本石油
・ジャパンエナジー
・富士興産
・丸紅エネックス
・空港公団
・ジャパンエナジー
・新日本石油
・エヌアイケミカル
・丸紅LPGシーバースNo.1
・チッソ石油化学
・岩谷瓦斯
・コスモ石油
・協和油化
・極東石油LPGバース・極東石油
・三井化学
・出光興産千葉LPG第2桟橋
東扇島沖
荷役錨地
・出光興産
・東電姉崎LPGバース
・住友化学工業
・新日本石油
・コスモ石油
・東京ガス扇島LNGバース
・東電東扇島LNGバース
・宇部興産
・協和油化
・日曹化成
・電気化学工業
・コスモ石油
・丸善石油化学
・住友化学工業
・富士石油
・日本燐酸
・東京ガス袖ヶ浦LNGバース ・東邦化学工業
(LPGと併用)
・富士石油LPGバース
根岸沖
沖 荷 役 錨地
・東京ガス根岸LNGバース
・丸善石油化学
・丸善石油化学
(水路図誌類(海上保安庁)等をもとにして作成)
図 4.2-1 東京湾における HNS 輸送船舶の航行ルートと沖荷役錨地と主要な HNS 関連施設
84
4.2.1 外航船舶における HNS 海上輸送事故の推定
東京湾の外航船舶における HNS 海上輸送事故の推定を以下にとりまとめた。
なお、第 3 章に基づき、海難の種類は「衝突」
、事故船舶の船種は「ケミカルタ
ンカー」とした。
(1) 海難事故船舶の船型
資料①によれば、平成 12 年において、沖荷役に従事した外航船舶の船型は、
図 4.2.1-1 に示すとおり、4,000∼5,000GT 級が約 30%を占め、もっとも多い。
事故船舶の船型は、被害が大きくなるものを想定し、5,000GT 級とする。
(単位:隻)
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
20,000
25,000 GT
∼
15,000
∼
10,000
∼
7,000
∼
5,000
∼
2,000 GT
4,000
∼
未 満
3,000
∼
2,000
∼
1,000
∼
1,000 GT
合計
京浜
21
(4%)
20
(4%)
3,000 GT
35
(6%)
4,000 GT
75
(14%)
5,000 GT
165
(30%)
7,000 GT
13
(2%)
10,000 GT
14
(3%)
15,000 GT
69
(12%)
20,000 GT
62
(11%)
25,000 GT
74
(13%)
以 上
6
(1%)
554
注) ( )内の数字は、全体からの割合を示す。
(出典:
「ばら積み液体化学物質の積替荷役に関わる調査委員会報告書」
:平成 6 年(社)日本海難防止協会)
図 4.2.1-1 平成 3 年度の京浜港における外航ケミカルタンカーの船型別入港実績
(図 2.4.2-2 より京浜港のみ掲載)
85
(2) 流出する HNS
流出する HNS については、資料②の横浜港における取扱量に注目し、表
4.2.1-1 のとおり、単独の物質で取扱い量が最大となっているエタノール、ま
た、次に取扱い量の多い二塩化エチレンが推定される。
表 4.2.1-1 わが国における沖荷役による HNS 取扱い状況 (表 2.4.2-5(1)(2)を編集)
順
品
位
取扱量(M/T)
名
横
浜
1
Ethanol
124,082
2
Ethylene Dichloride
113,152
3
Metyl Ethyl Ketone
50,698
4
Nonene
42,052
5
Cyclohexane
34,375
6
Phenol
32,400
7
Isopropy Alcohol
29,344
8
Acetone
27,608
9
Bunkai Gasoline
15,290
10
N-Butyl Acrylate
14,200
11
Styrene Monomer
12,000
12
Diisobutylene
11,380
13
1-Methoxy-2-Propanol
10,355
14
Ethyl Acrylate
9,574
15
n-Butanol
8,493
16
Epichlorohydrin
8,040
17
Dimethy Formamide
6,970
18
Decen-1(α-01efin C-10)
6,910
19
Hexene-1
4,626
20
Methanol
4,200
21
Acrylic Acid
4,000
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)
」
:平成 13 年度(社)日本海難防止協会)
86
(3) 流出量
流出量については、推定された船型 4,000∼5,000GT 級より、事故による被
害が大きい方を想定し、5,000GT 級を採用し、表 4.2.1-2 のケミカルタンカー
の要目から、載貨重量トン数が 9306.1 トンと推定され、流出量は、その 9%の
838 トンが 推定される。
表 4.2.1-2 ケミカルタンカーの要目(表 2.3.3-1 の再掲)
区
分
船型
ー
外
航
ケ
ミ
カ
ル
タ
ン
カ
ー
内
航タ
ケン
ミカ
カ
ル
全長
総トン数 載貨重量トン タンク
タンク数
(m)
(GT)
(D.W.T) 容積(m3)
8
幅
(m)
深さ 満載喫水 主機馬力 航海速力
(m) (m)
(ps) (k't)
1,000 トン型
999.0
1,933.0
1,327
71.86
11.00
5.49
5.10
1,500
11.50
3,000 トン型
3,194.0
5,568.2
6,129
15 104.14
15.02
7.80
6.47
4,500
13.50
5,000 トン型
5,266.0
9,306.1
9,236
13 116.90
18.20
9.80
7.99
4,900
12.70
7,000 トン型
6,738.0
12,010.7
13,485
21 124.80
18.30
10.85
9.06
7,000
14.00
10,000 トン型 10,499.0
16,617.0
21,608
24 149.60
22.81
12.02
8.66
6,200
13.25
15,000 トン型 14,912.0
23,299.0
29,805
36 169.75
24.47
12.50
9.56
11,500
16.25
20,000 トン型 20,760.0
36,501.0
44,238
36 176.82
29.61
15.17
11.56
14,400
15.50
20,000 トン型 22,587.0
39,782.0
47,140
26 179.94
32.00
-
11.20
14,400
15.00
25,000 トン型 25,000.0
36 183.00
41,500.0
50,000
33.00
-
12.00
14,400
15.00
199 トン型
199.8
515.0
611
3
48.80
8.00
3.30
3.20
750
10.50
299 トン型
299.0
695.0
648
3
52.52
8.60
3.90
3.45
900
10.00
499 トン型
499.8
999.5
1,140
4
59.95
9.80
4.30
3.95
1,200
10.50
699 トン型
699.8
1,230.0
1,211
4
67.55
11.00
5.00
4.40
1,800
12.00
1,000 トン型
1,076.1
2,198.5
2,309
5
77.70
11.40
5.00
4.80
1,600
11.00
(出典:
「ばら積み液体化学物質の積替荷役に係わる調査委員会 報告書」
:平成 6 年(社)日本海難防止協会)
87
(4) 海難事故発生水域
外航船舶における HNS 海上輸送は、根岸沖荷役錨地と東扇島沖荷役錨地の二
箇所の沖荷役錨地があり、このいずれかを拠点として、浦賀水道航路を経て東
京湾を入出している。
資料③によれば、4,000∼5,000GT 級を含む 3,000∼10,000GT の危険物積載船
の航行ルートは、図 4.2.1-2 に示すとおりである。
東京湾内における最近の主な海難事故水域と航行密度の関係として、第三管
区海上保安本部発表による東京湾内における最近の主な海難事故(衝突及び乗
揚)発生箇所、資料③による東京湾内の航行密度の両者を重ねたものを図
4.2.1-3 に、また、海難事故の概要一覧を表 4.2.1-3 に示す。
第 3 章において、流出事故発生水域の推定は、以下のとおりとした。
(a) HNS 輸送船舶の航路上であること
(b) 航行密度の高い水域上であること
(c) 過去に衝突事故の発生している海域
上記(a)∼(c)より、東京湾における外航船舶からの流出事故発生水域を特定
すると、一般船舶の衝突事故が発生している①(中の瀬航路北端付近)、⑦及
び⑨(浦賀水道航路北端付近)の 3 箇所が推定される。
88
N
千葉
東京
浦安
東扇島
沖荷役錨地
根岸沖
沖荷役錨地
川崎
横浜
木更津
君津
横須賀
富津岬
観音埼
浦賀
三浦
金谷
剱埼
富浦
洲埼
(資料:
「平成 12 年度 東京湾船舶航行実態調査報告書」
:
(社)日本海難防止協会)
図 4.2.1-2 3,000∼10,000GT の危険物積載船の航跡
89
海難①
海難②⑮
推定された海難発生水域
外航船舶
(過去に衝突事故の発生した水域)
海難⑦⑧⑨
海難⑬
海難③④⑤⑥⑩⑪⑫⑭
(資料:
「平成 12 年度 東京湾船舶航行実態調査報告書 」
(社)日本海難防止協会)
図 4.2.1-3 東京湾内における最近の主な海難事故水域と航跡密度の関係と
推定された海難事故発生水域
90
表 4.2.1-3 東京湾内における最近の主な海難事故の概要一覧
No.
年月日
事 故 概 要
①
S49.11.9
中ノ瀬航路を北上中のLPGタンカー第10雄洋丸(43,723G/T、日本船籍)の右舷船首部付
近に、木更津航路を出航した貨物船パシフィック・アリス号(10,874G/T、リベリア船籍)
が衝突、両船ともに炎上。貨物船パシフィック・アリス号の乗組員29名中28名、LPGタン
カー第10雄洋丸乗組員38名中5名が死亡した。
②
S50.6.4
中ノ瀬西側を北上中のタンカーE丸(115,667G/T、日本船籍)が座礁し、原油100∼200kl
が流出。事故当時の天候は濃霧で、南航中の貨物船E号(外国船籍)を避けるために右転し
座礁した。
③
S50.11.29
まき網漁船Ⅰ丸(日本船籍)に進路警戒船に誘導されたC号(74,512G/T、外国船籍)が衝
突。まき網漁船Ⅰ丸が転覆し、乗組員22名が海に投げ出されたが、全員救助された。
④
S52.12.2
浦賀水道南航中の貨物船C号(3,309G/T、外国船籍)が第3海堡に座礁。
⑤
S53.9.21
浦賀水道南航中の米軍艦L号(7,800D/T)が第3海堡に座礁。燃料タンクを損傷し、ごく少
量の重油が流出した。
⑥
S58.10.19
タンカーE丸(328G/T、日本船籍)第3海堡に座礁。乗組員4名は無事救助された。
⑦
S60.12.10
横須賀港帰港中の米軍艦R号(3,900D/T)と貨物船S号(3,300G/T、外国船籍)が浦賀
水道No.5ブイ付近で衝突。米軍艦から重油50klが流出。
⑧
S63.7.23
海上自衛隊潜水艦なだしお(2,250D/T)と遊漁船第一富士丸(154G/T)が衝突。遊漁船
第一富士丸が沈没し、乗客28名と乗組員2名が死亡した。
⑨
H1.8.3
自動車運搬船S号(41,600G/T、外国船籍)と貨物船S丸(495G/T、日本船籍)が衝突。
そこへ他の自動車運搬船T丸(1,674G/T、日本船籍)と貨物船T号(1,045G/T、日本船
籍)が次々に多重衝突した。
⑩
H2.3.27
浦賀水道南航中の貨物船O号(3,100G/T、外国船籍)が第3海堡に座礁。
⑪
H2.4.24
浦賀水道南航中の貨物船F丸(500G/T、日本船籍)と貨物船S号(2,800G/T、外国船
籍)が相次いで第3海堡に座礁。
⑫
H5.10.13
浦賀水道南航中の貨物船N号(7,305G/T、外国船籍)が第3海堡に座礁。
⑬
H5.11.19
貨物船H号(3,975G/T、外国船籍)が第2海堡の北側に座礁。
⑭
H6.8.22
浦賀水道航路南下中の貨物船R丸(689G/T、日本船籍)が第3海堡東側に座礁。
⑮
H9.7.2
原油を満載した大型タンカー、ダイヤモンドグレース号(259,999D/T)が川崎シーバース
へ向け中ノ瀬西側を北上中、本牧沖で底触事故を起こし、原油1,500klが流出。
出典:第三管区海上保安本部
(出典:第三管区海上保安本部)
(関東地方整備局
91
港湾航空部ホームページより引用)
(5) 推定結果
推定結果を表 4.2.1-4 に整理する。
本推定結果より、第 3 章で確立されたモデル化の手法が、東京湾における外
航船舶の HNS 海上輸送事故の推定に適用可能であることが確認された。
表 4.2.1-4 外航船舶における HNS 海上輸送事故の推定結果
外航船舶におけるケース
事故船型
5,000GT 級
流出 HNS
エタノール
二塩化エチレン
流出量
838 トン
事故発生水域
中の瀬航路北端付近
浦賀水道航路北端付近
92
4.2.2 内航船舶における HNS 海上輸送事故の推定
東京湾の内航船舶における HNS 海上輸送事故の推定を以下にとりまとめた。
なお、第 3 章に基づき、海難の種類は「衝突」
、事故船舶の船種は「ケミカルタ
ンカー」とした。
(1) 海難事故船舶の船型
資料②によれば、国内航行船による HNS の総トン数階級別輸送量は、表
4.2.2-1 に示すとおりである。うち、化学薬品等を貨物とするケミカルタンカ
ーの船型は、100∼500GT 級がもっとも多い結果となっている。
上記より、海難事故船舶の船型は 500GT 級の船舶とする。
表 4.2.2-1 国内航行船による HNS の総トン数階級別輸送量(表 2.4.2-6(3)の再掲)
単位:千トン
計
石油製品 LPG及びその他のガス
%
化学薬品
%
その他の化学工業品
%
注:貨物船を除く。
100G/T未満
7,855
100.0
19,056
100.0
1,247
100.0
0
0.0
0
0.0
0
0.0
93
100G/T以上 500G/T以上 1,000G/T以上
2,000G/T以上
500G/T未満 1,000G/T未満 2,000G/T未満
451
7,149
255
0
5.7
91.0
3.2
0.0
12,999
4,994
428
635
68.2
26.2
2.2
3.3
563
447
121
115
45.1
35.8
9.7
9.2
(資料:平成14年度内航船舶輸送統計年報)
(2) 流出する HNS
流出する HNS については、沖荷役に従事していない内航船舶の船型の資料は
ないものの、資料②によるわが国内航ケミカルタンカーの輸送品目と輸送量は、
表 4.2.2-2 に示すとおりである。したがって、輸送量が最大となっているキシ
レンが推定される。
表 4.2.2-2 わが国内航ケミカルタンカーの輸送品目と輸送量(表 2.4.2-7 の再掲)
(平成 11 年度)
順位
国連番号
1
1307
キシレン
Xylene
輸送量
(トン)
1,999,866
2
1114
ベンゼン
Benzene
1,503,659
3
2055
スチレン(スチレンモノマー)
Styrene monomer
1,439,635
4
1230
メチルアルコール(メタノール)
Methanol
717,782
5
1294
トルエン
Toluene
604,530
6
1145
シクロヘキサン
Cyclohexane
528,988
7
1093
アクリロニトリル
Acrylonitrile
519,324
8
3082
コールタール(アスファルト)
Coal tar
506,744
9
1184
Ethylene dichloride
418,217
10
3082
Creosote
350,358
11
1170
1,2-ジクロロエタン(二塩化エチレン)
クレオソート
(コールタールより得られたもの)
エチルアルコール(エタノール)
Ethanol
237,594
12
1120
ブチルアルコール(ブタノール)
Butanol
236,113
13
1090
アセトン
Acetone
222,269
14
1247
メタクリル酸メチル
Methyl methacrylate
211,576
15
1715
無水酢酸
Acetic anihydride
201,806
16
1193
メチルエチルケトン
Methyl ethyl ketone
200,839
17
1301
酢酸ビニル
Vinyl acetate
197,900
プロピルベンゼン
Propylbenzene
193,412
3082
2312
2821
オクタノール
Octanol
167,591
フェノール
Phenol
146,735
エチレングリコール
Ethylene glycol
121,374
18
19
20
21
化学品名
(出典:
「危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その1)
」
:平成 13 年度(社)日本海難防止協会)
(3) 流出量
流出量については、推定された事故船舶の船型の 500GT から、ケミカルタン
カーの要目表をもとにして、載貨重量トン数は 999.5 トンとなることから、そ
の 9%の 90 トンが推定される。
94
(4) 海難事故発生水域
300∼500GT 未満の危険物積載船航跡は、資料③より、図 4.2.2-1 に示すとお
りである。海難事故発生水域は、外航船舶と同様に、先に提示した図 4.2.1-3
と照らし合わせ、外航船舶の海難事故発生箇所の他に、以下の 3 つの点が推定
される。
○過去に海難事故の発生した水域(中の瀬航路北端付近)
○航行密度の高い水域(東京アクアライン東水路北方付近)
○バース付近(3 マイル以内)
(5) 推定結果
推定結果を表 4.2.2-3 に整理する。
本推定結果より、第 3 章で確立されたモデル化の手法が、東京湾における内
航船舶の HNS 海上輸送事故の推定に適用可能であることが確認された。
表 4.2.2-3 内航船舶における HNS 海上輸送事故の推定結果
内航船舶におけるケース
事故船型
500GT 級
流出 HNS
キシレン
流出量
90 トン
事故発生水域
・過去に海難事故の発生した水域
(中の瀬航路北端付近)
・航行密度の高い水域
(東京アクアライン東水路北方付近)
・バース付近
(3 マイル以内)
95
N
・新日本石油
・昭和シェル石油
・東洋合成
・キグナス石油
・東燃ゼネラル石油
・出光興産
・日本石油化学
・新日本石油ガス
・三菱液化ガス
・新日本石油
・ジャパンエナジー
・富士興産
千葉
東京
浦安
・ゼネラル石油ガス ・旭化成工業
LPGA-1バース
・新日本石油ガス川崎
LPGバース
・昭和シェル石油
・東燃石油化学
・東亜・ジャパンエナジー
LPG本桟橋
・昭和シェル石油
川崎
・新日本石油
・丸紅エネックス
・空港公団
・ジャパンエナジー
・新日本石油
・エヌアイケミカル
・丸紅LPGシーバースNo.1
・チッソ石油化学
・岩谷瓦斯
・コスモ石油
・協和油化
・極東石油LPGバース
・極東石油
・三井化学
・出光興産千葉LPG第2桟橋
・昭和シェル石油
・ゼネラル物産
・日本ヴォパック
・エクソンモービル
・出光興産
・東電姉崎LPGバース
・住友化学工業
・新日本石油
・コスモ石油
・東京ガス扇島LNGバース
・東電東扇島LNGバース
・宇部興産
・協和油化
・日曹化成
・電気化学工業
・コスモ石油
・丸善石油化学
・住友化学工業
・富士石油
・日本燐酸
・東京ガス袖ヶ浦LNGバース ・東邦化学工業
(LPGと併用)
・富士石油LPGバース
横浜
・東京ガス根岸LNGバース
・丸善石油化学
木更津
君津
横須賀
富津岬
観音埼
推定された海難発生水域
浦賀
内航船舶
過去に衝突事故の発生した水域
三浦
金谷
剱埼
(中ノ瀬航路北端付近)
内航船舶
航行密度の高い水域
(東京アクアライン東水路北方付近)
富浦
内航船舶
バース付近(3マイル以内)
洲埼
(資料:水路図誌類(海上保安庁)及び「平成12年度 東京湾船舶航行実態調査報告書」
:
(社)日本海難防止協会)
図 4.2.2-1 300∼500GT 未満の危険物積載船の航跡と推定された海難事故発生水域
96
4.2.3 東京湾における HNS 海上輸送事故の影響予測
これまでの HNS 海上輸送事故の推定において、衝突事故により流出する HNS は、
外航船舶はエタノール及び二塩化エチレン、内航船舶はキシレンとした。
上記 HNS 品目より、代表的なものとしてキシレンを取り上げ「HNS 環境影響デ
ータシート」及び「東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップ(注)
」から、東京湾
における HNS 海上輸送事故により予測される影響及び事故時の対応を以下に取り
まとめた。
推定された海難事故発生水域(キシレン流出水域)と「東京湾沿岸域環境保全
リスク情報マップ」を重ね合わせたものを図 4.2.3-1 に示す。
注:東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップとは、平成 7 年度 「沿岸域環境保全リスク情報マ
ップ」及び「データブック」
(社団法人 日本海難防止協会)のことをいう。
(1) HNS 海上輸送事故により予測される影響
① 流出源における影響
キシレンは、火災・爆発による影響を特に考慮する必要があると考えられ
る物質であり、HNS 流出船舶は火災・爆発により損壊するおそれがある。
HNS 流出船舶の乗組員は、火災・爆発による火傷等の被災を受けるおそれが
ある。
また、キシレンは揮発性が高いことから大気拡散による影響を考慮する必
要のある物質である。人及びほ乳類に対する毒性は比較的低いものの、大量
に吸引した場合、乗組員は健康に影響を受けるおそれがある。また、芳香族
臭があることから、悪臭によるストレスを受ける可能性も考えられる。
② 付近航行船舶への影響
東京湾は、一日約 670 隻の船舶が往来する輻輳海域であり、発生水域とし
て推定された水域は、特に航行頻度の高い所である。付近を航行する多くの
船舶は、上記①と同様な影響を受けるおそれがある。
また、キシレンは海水への溶解性が低いため、仮に揮発が遅れ海面を漂流
した場合、付近を航行する船舶に対し、機関冷却水取入の障害等により、航
行障害をもたらす可能性が考えられる。
③ 陸上住民への影響
東京湾は、背後に全国の人口の 1/4 を占める東京圏を擁する。また、海水
浴場、海釣り施設、潮干狩場、臨海公園、マリーナ、水族館等があり、これ
らの施設には休日に多くの人が訪れる。
キシレンは前述のように気化して大気拡散し、陸上にも拡散することが予
97
想されることから、拡散した地域の住民及び海水浴場の人に対し、同物質の
吸引による健康被害をもたらす可能性が考えられる。また、気化した同物質
の悪臭により、ストレスをうけることも考えられる。東京圏の人口規模から
考え、東京湾周辺の陸上を大量のキシレンガスが襲った場合には、相当のパ
ニックが起きる可能性が予測される。
④ 養殖施設への影響
東京湾は、千葉県沿岸に 35 ヶ所、神奈川県沿岸に 41 ヶ所の区画漁業権漁場
が認可され、のり・わかめ・こんぶの海藻類及びマダイ・アジ等の魚類の養殖
が行われている。また、千葉県沿岸に種苗生産施設が 2 ヶ所あり、付近の海水
を取り入れて生産を行っている。
キシレンの水生生物への毒性は高いため、流出発生時にはこれら養殖施設に
おける養殖物の死滅等の養殖物被害の可能性が考えられる。また、海水への溶
解性が低いため、海面を漂流することも考えられることから、生簀等の養殖施
設を汚染する可能性も考えられる。さらに、同物質は比較的長期間水環境中に
残留することから、養殖物への長期的な影響も考えられる
⑤ 工業施設への影響
東京湾は、東京都、神奈川県及び千葉県の沿岸沿いに火力発電所及び工業施
設がある。
上記の火力発電所及び工業施設は、冷却水として大量の海水を取水している。
キシレンは海水への溶解性が低いため、海面を漂流し取入口に到達した場合、
同物質を取り入れることにより、同施設のプラント内へ障害をもたらす可能性
が考えられる。
⑥ 陸上植物への影響
東京湾は、千葉県側の館山市から市原市及び神奈川県の横須賀から三浦市に
かけては、農業が盛んに行われている。
キシレンは前述のように気化して大気拡散することが予想されることから、
これら地域の水田・畑・果樹園等の農作物への付着による被害も考えられる。
98
⑦ 陸上動物への影響
上記⑥で示した地域においては、酪農、養豚、養鶏等が営まれている。東京
湾沿岸の山間部には、タヌキ、サル、シカ等の野生生物も生息する。また、神
奈川県及び千葉県の沿岸沿いに水族館があり、そこではイルカ、アザラシ等が
飼育されている。
キシレンは前述のように揮発しやすいことから、大気拡散により、上記の陸
上動物が同物質を吸引することが予想される。同物質はほ乳動物への毒性は比
較的低いものの、悪臭によるストレスに伴う影響も考えられる。
⑧ 海洋生物への影響
東京湾は、海洋ほ乳類の生活の場とはなっていないが、しばしば湾内にスナ
メリ等の海洋ほ乳類が紛れ込んでくることがある。キシレンのほ乳類への毒性
レベルは、図 4.2.3-2 に示すとおり、比較的低い値となっているが、摂取及び
付着等による影響に注意する必要がある。
また、メバル、アイナメ、イシガレイ等の魚類、コウイカ、アサリ、サザエ
等の軟体動物及びガザミ、クルマエビ、シャコ等の甲殻類が生息している。水
生生物への毒性レベルは、図 4.2.3-2 に示すとおり、比較的高い値となってい
ることから、上記の魚類、軟体動物及び甲殻類の水生生物へ深刻な生体影響を
もたらすおそれがあると考えられる。さらに、キシレンは海水への溶解性が低
いため、海面を漂流した場合同物質の付着による生体影響も懸念される。加え
て、生分解性が低いため、比較的長期間水環境中に残留すると考えられ、同物
質による長期的な生体影響にも注意を要する。
⑨ 鳥類への影響
東京湾は、谷津干潟や新浜干潟、羽田州、三枚州、三番瀬等の干潟や浅瀬が
あり、ここは鳥類にとっての貴重なえさ場であり、シギ・チドリ類を中心に多
くの鳥が集まってくる。キシレン流出の際、これら鳥類が、海上を漂流する同
物質を直接または間接に摂取することによる生体影響の可能性も考えられる。
また、キシレンガスの吸引による生体影響にも注意を要する。特に、悪臭に
よりストレスを受ける可能性が考えられる。
さらに、同物質は比較的長期間水環境中に残留するため、特に海鳥に関して
は同物質の摂取又は付着による生体影響を考慮する必要がある。
99
100
中ノ
浦航
路
道
水
航
富津岬
木更
津
航路
東
大房崎
富浦
金谷
君津
木更津
ン
イ
ラ
ア
ク 路 東京湾アクアライン
ア
湾 東水
海ほたる
京
鴎類
猛禽類
渉禽類
水禽類
共同漁業権範囲
区画漁業権範囲
定置漁業権範囲
業務集積地区
種苗放流地点
シーバース
海づり施設
種苗生産施設
サンゴ礁
潜水鳥類
10km
5mile
0
0
内航船舶(バース付近3マイル以内)
内航船舶(航行密度の高い水域)
外航船舶・内航船舶
(過去に衝突事故の発生した水域)
推定された海難発生水域
水族館
マリーナ
臨海公園
潮干狩場
漁港
海水浴場
危険物埠頭
発電所
海面貯木場
食料品取扱埠頭
定置漁業場
その他の取水
工業施設
コンテナ埠頭
塩性群落
浅瀬
例
フェリー埠頭
凡
千葉
参考:平成 7 年度 「沿岸域環境保全リスク情報マップ」データブック(社団法人 日本海難防止協会)
路
図 4.2.3-1 推定された海難事故発生水域と東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップ
剱崎
賀
三浦
浦賀
浦
横須賀
横浜
川崎
東京
航路
富津
101∼102
図 4.2.3-2 環境影響データシート(キシレン)
103
(2) HNS 海上輸送事故時の対応
前記の HNS 海上輸送事故により予測される影響を踏まえ、「有害液体汚染防
止緊急措置手引書 内航用」
、及び「平成 13 年度 危険物の海上輸送時の事故対
応策の研究報告書(その 2)
」をもとに、HNS 海上輸送事故時の当該船舶の対応
について以下に取りまとめた。
キシレンは、大量に吸引した場合、健康に影響を受けるおそれがあり、芳香
族臭があることから、悪臭によるストレスを受ける可能性も考えられる。また、
皮膚へ付着した場合、目に入った場合及び飲み込んだ場合において、健康に影
響を受けるおそれがある。HNS 流出船舶の船上においては、人命の安全確保を
最優先とし、乗組員に呼吸器、手、目及び身体の保護具を着用させ、風上へ移
動させるなど安全確保の措置をとる必要がある。被災者がでた場合には、「平
成 13 年度 危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(その 2)
」等のデー
タシートを活用し、被災者を直ちに新鮮な空気の場所に移動させるなど適切な
措置をとる必要がある。
キシレンは、火災・爆発による影響を特に考慮する必要があると考えられる
物質であり、HNS 流出船舶は火災・爆発により損壊するおそれがある。HNS 流
出船舶の船上においては、
「有害液体汚染防止緊急手引書 内航用」等をもとに、
着火源となるものを取り除く、ガスの発生を抑えるために大量の水で船外へ洗
い流すなどの引き続く流出及び火災・爆発発生の防止の措置をとる必要がある。
流出が推定された水域は、すべて航行頻度の高い水域であり、付近航行船舶
へ上記同様の二次災害を与えるおそれがあり、これを避けるため、現場付近の
船舶への注意喚起を行う必要がある。
また、周囲の陸上住民、養殖施設、陸上動植物、鳥類及び海洋生物へも同様
な影響を与えるおそれがある。
HNS 流出船舶の船上において、退船及び任意座州が必要と判断された場合は、
「有害液体汚染防止緊急手引書 内航用」等に記載された内容に従い適切に行
う必要がある。
104
4.3 伊勢湾、大阪湾及びマ・シ海峡への応用
HNS 海上輸送事故の典型モデルの活用について、伊勢湾、大阪湾及びマ・シ海峡に
応用する場合について以下に取りまとめた。
前記の東京湾で用いた資料を含め、ここで活用した資料を以下に記す。
○「ばら積み液体化学物質の積替荷役に係わる調査委員会報告書(平成 6 年 3 月
社団法人 日本海難防止協会)
」
(以下、
「資料①」とする。
)
○「平成 13 年度 危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書 (社団法人 日本
海難防止協会)
」
(以下、
「資料②」とする。
)
○「平成 12 年度 東京湾船舶航行実態調査報告書 (社団法人 日本海難防止協会)
」
(以下、
「資料③」とする。
)
○「平成 10 年度 日本沿岸域船舶航行環境調査報告書(社団法人 日本海難防止協
会)
」
(以下、
「資料④」とする。
)
○「平成 14 年度
危険物の海上輸送時の事故対応策の研究報告書(社団法人 日本
海難防止協会)
」
(以下「資料⑤」とする。
)
(1) 海難種類
HNS 輸送船舶の貨物槽の構造を踏まえると、HNS 流出事故の原因が衝突による船体
損傷がその主たるものであることから、伊勢湾、大阪湾及びマ・シ海峡についても
海難の種類は衝突とすべきである。
(2) 事故船舶の船種
LPG 船及び LNG 船については事故件数が少なく、衝突による当該貨物の海中への
漏洩並びに拡散は予想されないことから、伊勢湾、大阪湾及びマ・シ海峡について
も「ケミカルタンカー」を対象とすべきである。
(3) 事故船舶の船型
伊勢湾においては、「船舶航行実態観測資料」等を使用し危険物積載船の船型を参
考として設定することができる。資料④によれば伊勢湾の代表港である名古屋港及
び四日市港を合わせると、1997 年には外航ケミカルタンカーの入港隻数のうち
1,000∼2,999GT が約 50%(200 隻中、99 隻)
、3,000∼9,999GT が約 36%(200 隻中、
71 隻)を占めている。
大阪湾においては、「船舶航行実態観測資料」等を使用し危険物積載船の船型、図
2.4.2-2 の神戸港の外航ケミカルタンカーの船型別入港実績を参考として設定する
ことができる。なお、資料④によれば、大阪湾においては神戸港への外航ケミカル
タンカーの入港隻数が大半を占めており、3,000∼9,999GT が約 56%(513 隻中、
285 隻)を占めている。
伊勢湾及び大阪湾の内航船舶については、「船舶航行実態観測資料」等を使用した
105
危険物積載船の船型を参考として設定できる。基礎調査で示した表 2.4.2-9 及び表
2.4.2-10 によれば、伊勢湾及び大阪湾を代表する港へ入港する頻度の高い内航ケミ
カルタンカーの船型は、それぞれ 300∼499GT 及び 100∼499GT であった。これより、
安全側に大きく見込んだうえで 500GT を使用することができることが望ましい。
マ・シ海峡については、資料⑤をもとに船型を設定することができる。資料⑤に
よれば 2001 年には 10,000∼29,999GT の船型の通航が多く、安全側に大きく見込む
ものとして 30,000GT が一つの目安考えられる。なお、メタノールについてはマ・シ
海峡を経由して専用船による輸送が行われており、当該専用船の船型(45,000DWT
程度であるが大型化の傾向にある。
)を考慮する必要がある。
(4) 流出する HNS
HNS の種類については、海域によっては明確な資料がないため、モデル化にあた
ってはさらに調査する必要があるが、次のとおり設定することが考えられる。
伊勢湾においては、外航船舶及び内航船舶ともにキシレンとする。資料④によれ
ば外航船舶の入港頻度が東京湾及び大阪湾と比較して少ない。
大阪湾においては、外航船舶は沖荷役の取扱実績からアクリロニトリルとし、内
航船舶は輸送実績及び事故状況からキシレンとする。
マ・シ海峡については、資料⑤でマ・シ海峡を経由して輸送される代表的な貨物
として指摘されているメタノール及びキシレンとする。
(5) 流出量
各海域において、東京湾同様、載貨重量トン数の 9%とする。
(6) 事故発生水域
海上輸送事故を「衝突」に限定すると、航行頻度の高い所と過去の海難事故発生
水域を照らし合わせ、さらに HNS 海上輸送船舶の航行ルートを重ねることにより事
故発生水域を把握することができる。
内航船舶については、伊勢湾では危険物取扱の多い名古屋港及び四日市港付近、
大阪湾では大阪港及び神戸港付近も対象となる。
伊勢湾及び大阪湾については対象海域の「船舶航行実態観測資料」、「海難統計資
料」等を使用することができる。
マ・シ海峡については、資料⑤に示される航行隻数密度分布図及び「マラッカ・
シンガポール海峡海難の実態と航行安全対策報告書」を参考にすることができる。
これらによればシンガポール港沖の水域が対象となる。
106
(7) 流出影響予測
HNS 流出影響予測は、「HNS 環境影響データシート」、「沿岸域環境保全リスク情報
マップ」等を用いる。
107 (108、欠)
第 5 章 まとめ
本 調 査 は 、「 危 険 物 の 海 上 輸 送 時 の 事 故 対 応 策 の 研 究 」 の 一 環 と し て 、「 HNS
海上流出事故時の緊急対策を支援するための総合的なデータベース」の構築に
資し、ひいては海洋環境の保全及び海上災害の防止に寄与するために、ばら積
み 輸 送 さ れ る HNS に 係 る 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル 化 を 試 み た 。
第 2 章 で は 、 基 礎 調 査 と し て 、 HNS 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル 化 に 先 立 ち 、
こ れ ま で の HNS 海 上 輸 送 に 関 す る 調 査 結 果 を 踏 ま え 、 HNS 輸 送 船 舶 の 船 型 、 わ
が 国 周 辺 に お い て 輸 送 さ れ る HNS の 種 類 、 わ が 国 周 辺 及 び マ ・ シ 海 峡 に お け る
HNS 海 上 輸 送 の 状 況 、 HNS 関 連 の 過 去 の 海 難 事 例 に つ い て 、 HNS 海 上 輸 送 事 故
の典型モデル化のための基礎資料を調査・整理した。
第 3 章 で は 、 基 礎 調 査 に 基 づ き 、 海 難 の 種 類 、 海 難 事 故 船 舶 、 流 出 す る HNS、
流 出 量 、 海 難 事 故 発 生 水 域 、 流 出 影 響 の 各 要 素 に つ い て モ デ ル 化 し 、 HNS 海 上
輸送事故の典型モデル化の手法を確立した。
第 4 章では、確立したモデル化手法を用いて、東京湾へ適用し、当該モデル
が概ね適用可能であることが確認された。また、伊勢湾、大阪湾及びマ・シ海
峡への適用方法についても示した。
本 調 査 の HNS に 係 る 海 上 輸 送 事 故 の 典 型 モ デ ル 化 の 手 法 は 、 ど の 海 域 に お い
て も 、 発 生 す る 可 能 性 の 高 い HNS 海 上 輸 送 事 故 及 び そ の 影 響 の 推 定 手 順 を 採 用
す る た め に 確 立 さ れ た も の で あ り 、 今 後 、 HNS 海 上 流 出 事 故 時 の 緊 急 対 策 を 支
援するための総合的なデータベースの一つとして、多くの海域で活用され、海
洋環境の保全及び海上災害の防止に寄与することができるものと考えられる。
109
HNS環境影響情報調査
目
次
第 1 章 調査概要 _______________________________________________________________1
1.1 調査目的 ________________________________________________________________1
1.2 調査内容 ________________________________________________________________1
1.3 調査手順 ________________________________________________________________1
第 2 章 調査結果 ______________________________________________________________3
2.1 物理化学的特性による HNS のグルーピング __________________________________3
2.2 各グループにおける環境影響等の検討 ______________________________________4
2.3 その他の情報 ____________________________________________________________8
2.3.1 物理化学的特性に関する情報 __________________________________________8
2.3.2 毒性に関する情報 ____________________________________________________9
2.3.3 長期影響に関する情報 _________________________________________________11
2.4 HNS 環境影響データシート________________________________________________12
(参考資料)
HNS 環境影響データシート
−1−∼−100−
第 1 章 調査概要
1.1 調査目的
本調査は、HNS に係る海上事故に伴う具体的な諸影響について基礎調査を実施し、も
って「データベース」の構築に資し、ひいては海洋環境の保全及び海上災害の防止に
寄与することを目的とする。
1.2 調査内容
船舶により「ばら積み」輸送中の HNS が海難等の発生に伴い海洋へ流出、または、
大気中に拡散した際、防除活動や避難活動を有効、かつ、効率的に行い被害を最小限
に抑えるためには、当該流出等によって生じる可能性のある自然環境及び社会・経済
活動に対する諸影響について、あらかじめ把握しておく必要がある。
従って、本調査では現在輸送されている HNS のうち輸送量の多い 92 物質について
個々の物理化学的特性からグルーピングを行い、各グループについて海洋に流出した
場合の自然環境及び社会・経済活動に対する諸影響を、我が国沿岸部等に存在する具
体的事象に即した形で整理を行った。さらに、これらの情報について物質ごとにデー
タシートとして取りまとめた。
1.3 調査手順
調査は以下の手順で行った。
物理化学的特性による
その他の情報の整理
グルーピング
・ 燃焼特性、臭気
・ ほ乳類及び水生生物に対する毒性
・ 生分解性、蓄積性
各グループにおける
環境影響等の検討
データシートの作成
図 1.3-1 調査フロー図
1
等
2
第2章
調査結果
2.1 物理化学的特性による HNS のグルーピング
HNS が海上に流出した場合、その物理・化学的特性によって挙動が異なるため、周辺
の環境に与える影響も異なるものと考えられる。
したがって、物理化学的特性のうち、海上流出後の環境中での挙動に大きく寄与す
ると考えられる揮発性(ヘンリー定数)及び溶解性から、図 2.1-1 の手順に従い HNS
(92 物質群)を 6 グループに分類した。
海上流出
不溶・難溶・微溶
易溶・可溶
溶解性
海面拡散
海水溶解
揮発性
(ヘンリー定数)
揮発性
(ヘンリー定数)
高揮発性
半揮発性
非揮発性
高揮発性
半揮発性
非揮発性
A1 グループ
A2 グループ
A3 グループ
B1 グループ
B2 グループ
B3 グループ
図 2.1-1 HNS の物性による分類手順
上記の手順に従って分類した各グループについては、その物理化学的特性から、海
上流出後に表 2.1 に示すような挙動を示すと考えられる。
3
表 2.1-1 物性による分類
分
溶解性
低い
(不溶・難溶・微溶)
類
揮発性︵ヘンリー定数︶
高揮発性
(2.45 × 10
m3/mol 以上)
− 4
atm ・
半揮発性
(2.45×10− 6 ∼2.45×
10−4 atm・m3/mol)
非揮発性
(2.45 × 10 − 6 atm ・
m3/mol 以下)
高い
(易溶・可溶)
A1 グループ
B1 グループ
海面拡散とともに、ある程度
大気へも移行すると考えられ
る物質(30 物質)
海水に溶解するとともに、あ
る程度大気へも移行すると考
えられる物質(4 物質)
A2 グループ
B2 グループ
海面拡散し、わずかに大気へ
も移行すると考えられる物質
(9 物質)
海水に溶解するが、わずかに
大気へも移行すると考えられ
る物質(17 物質)
A3 グループ
B3 グループ
海面拡散し、ほとんど大気へ
は移行しないと考えられる物
質(4 物質)
海水に溶解し、ほとんど大気
へは移行しないと考えられる
物質(28 物質)
2.2 各グループにおける環境影響等の検討
各グループについて海洋に流出した場合の自然環境及び社会・経済活動に対する諸
影響を、我が国の沿岸部等に存在する具体的事象に即した形で整理を行った。
海上での HNS 流出事故発生時において、流出源及びその周辺地域で考慮すべき環境
影響等の概念を図 2.2-1 に、その内容を表 2.2-1 及び 2.2-2 に示す。
4
5
揮
発
図 2.2-1 HNS 海上流出において考慮すべき環境影響等の概念図
文 化社会 活動影 響
産 業経済 活動影 響
自 然 環 境 影 響
[Off Site]
溶解・沈降
海面拡散(漂流・漂着)
文 化社会 活動影 響
産 業経済 活動影 響
自 然 環 境 影 響
船 舶 へ の 影 響
火災・爆発
[Off Site]
乗組員の健康影響
[On Site]
大気拡散
文 化社会 活動影 響
産 業経済 活動影 響
人 の 健 康 影 響
自 然 環 境 影 響
[Off Site]
6
乗組員の健康影響 乗組員
船舶
船舶への影響
乗組員の健康影響 乗組員
対象
自然環境影響
文化社会活動影響
産業経済活動影響
人の健康影響
文化社会活動影響
海面拡散
産業経済活動影響
(漂流・漂着)
大気拡散
自然環境影響
野生生物1(陸生生物)
植物(海浜植物・マングローブ等)
居住者
非居住者(来訪者・観光客)
事業者
水田、畑、果樹園等
第一次産業
畜産(牛、馬、羊、豚、鶏)
第三次産業 動物園・水族館
史跡、文化遺産
野生生物1(陸生生物)
野生生物2(水生生物)
植物(海浜植物・マングローブ等)
動植物プランクトン
海藻類
特殊な場所(干潟・浅瀬・藻場等)
沿岸漁業(定置網・地引き網等)
貝類採取
漁港施設
第一次産業
種苗生産施設
海面養殖(魚介類・のり)施設
潮干狩り場
海面利用(航路等)
冷却水、工業用水の採取
第二次産業 採鉱採掘施設
港湾施設(発電所、倉庫、ストックヤード、タン
ク、コンテナ、貯木場など)
遊覧船、屋形船
マリーナ、ヨット、ボート
ホテル等宿泊施設
第三次産業 飲食施設、市場
遊園地、公園施設
動物園・水族館
その他の海浜利用行為
海水浴
海洋スポーツ(サーフィン、水上スキー、ダイビングなど)
散策、釣り、潮干狩り等
史跡、文化遺産
伝統行事、イベント
キャンプ
Off Site :大気拡散、海面拡散、溶解・沈降等による影響
火災・爆発
揮発
シナリオ
影響
On Site :流出源における影響
生態系への影響
生態系への影響
居住者の転居
観光客減少等による経済活動への影響
経済活動への影響
出荷停止、生産量減少による経済的影響
出荷停止、生産量減少による経済的影響
閉園等の経済活動への影響
修復の必要
種、個体数の減少(生態系への影響)
種、個体数の減少(生態系への影響)
種、個体数の減少、生息動物の減少(生態系への影響)
生態系への影響
種、個体数の減少、生息動物の減少(生態系への影響)
生息・産卵場所とする動物の減少(生態系への影響)
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
経済活動への影響
経済活動への影響
経済活動への影響
経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
操業停止
船の汚染、操業海域封鎖による操業停止
船の汚染、操業海域封鎖による操業停止
施設の汚染
施設の汚染
施設の汚染による閉園
施設の汚染による閉園
施設の汚染による閉鎖
閉鎖
閉鎖
閉鎖
閉鎖、汚染
中止
閉鎖
事業活動への影響
事業活動への影響、黒煙の発生に伴う影響
事業活動への影響
派生する主な二次的影響
揮発成分の吸引による生体影響、悪臭によるストレス
揮発成分吸着による枯死等
揮発成分の吸引による健康影響、悪臭によるストレス
揮発成分の吸引による健康影響、悪臭によるストレス
揮発成分の吸引による健康影響、悪臭によるストレス
揮発成分吸着による枯死等
揮発成分の吸引による生体影響、悪臭によるストレス
揮発成分の吸引による生体影響、悪臭によるストレス
揮発成分による腐食
生体影響(沿岸域生息生物に限る)
生体影響
生体影響
生体影響
付着等による影響
環境悪化
操業域の閉鎖による操業停止、魚介類の死滅
貝類死滅
港湾閉鎖による操業停止、船舶への付着
種苗の死滅、操業停止
商品の汚染・死滅、施設の汚染
貝類斃死
航路等の封鎖
操業停止
操業停止
吸入による健康影響
損壊、焼損
被災
直接的影響
表 2.2-1 HNS 海上流出において考慮すべき環境影響内容(1)
7
溶解・沈降
シナリオ
対象
野生生物1(陸生生物)
野生生物2(水生生物)
植物(海浜植物・マングローブ等)
自然環境影響
動植物プランクトン
海藻類
特殊な場所(干潟・浅瀬・藻場等)
沿岸漁業(定置網・地引き網等)
貝類採取
漁港施設
第一次産業
種苗生産施設
海面養殖(魚介類・のり)施設
潮干狩り場
海面利用(航路等)
産業経済活動影響
冷却水、工業用水の採取
第二次産業 採鉱採掘施設
港湾施設(発電所、倉庫、ストックヤード、タン
ク、コンテナ、貯木場など)
遊覧船、屋形船
マリーナ、ヨット、ボート
第三次産業
動物園・水族館
その他の海浜利用行為
海水浴
海洋スポーツ(サーフィン、水上スキー、ダイビングなど)
散策、釣り、潮干狩り等
文化社会活動影響
史跡、文化遺産
伝統行事、イベント
キャンプ
影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
観光客の減少等による経済活動への影響
経済活動への影響
操業停止
操業停止
操業停止
閉園
閉鎖
閉鎖
閉鎖
閉鎖
腐食等
中止
閉鎖
種、個体数の減少、生息動物の減少
生息・産卵場所とする動物の減少
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
市場出荷量の減少、風評被害等による経済活動への影響
経済活動への影響
経済活動への影響
経済活動への影響
種、個体数の減少
種、個体数の減少、生息動物の減少
派生する主な二次的影響
生体影響(沿岸域生息生物に限る)
生体影響
生体影響
生体影響
生体影響
環境悪化
操業域の閉鎖による操業停止、魚介類の死滅
貝類死滅
港湾閉鎖による操業停止
種苗の死滅、操業停止
商品の汚染・死滅
貝類斃死
航路等の封鎖
操業停止
操業停止
直接的影響
表 2.2-2 HNS 海上流出において考慮すべき環境影響内容(2)
また、2.1 で分類した各グループについては、その物理化学的特性による環境中での
挙動から影響範囲が異なるため、各グループについて考慮すべき環境影響の優先レベ
ルを表 2.2-3 に示す。
表 2.2-3 各グループにおける考慮すべき環境影響の優先レベル
A1
区 分
A3
B1
B2
B3
揮発
◎
○
△
◎
○
△
火災・爆発 *
◎
○
△
◎
○
△
大気拡散
◎
○
△
◎
○
△
◎
◎
◎
△
△
△
△
△
△
◎
◎
◎
On Site
(流出源)
A2
溶解性:低 溶解性:低 溶解性:低 溶解性:高 溶解性:高 溶解性:高
揮発性:高 揮発性:中 揮発性:低 揮発性:高 揮発性:中 揮発性:低
Off Site
海面拡散
(周辺域) (漂流・漂着)
溶解・沈降
【凡例】
◎:特に考慮する必要があると考えられる物質
○:考慮する必要があると考えられる物質
△:考慮する必要性は低いが、場合によっては考慮する必要があると考えられる物質
【備考】
*:引火性又は可燃性の場合のみ考慮
2.3 その他の情報
2.2 で整理した環境影響を検討するにあたり必要となる以下の関連情報についても整
理した。
○ 物理化学的特性に関する情報
・燃焼特性
・臭気
○ 毒性に関する情報
・ほ乳類に対する毒性
・水生生物に対する毒性
○ 長期影響に関する情報
・生分解性
・蓄積性
・長期影響評価
以下に、上記の項目の内容を示す。
2.3.1 物理化学的特性に関する情報
(1) 燃焼特性
流出現場での流出した化学物質による爆発・火災の危険性の観点から、各物質
の燃焼特性を「引火性」、
「可燃性」
、
「難燃性」及び「不燃性」に分類した。
8
なお、消防法第 4 類に該当する物質については、引火性及び可燃性を表 2 のよ
うに分類し、それ以外の物質については、MSDS 及びその他の化学物質情報データ
ベースの記載に基づき分類した。
表 2.3.1-1 燃焼特性に関する分類
燃焼特性分類
消防法第 4 類物質区分
引火性
第 1 石油類、アルコール類及び第 2 石油類
可燃性
第 3 石油類、第 4 類石油類及び動植物油
(2) 臭気
臭気については、大気中の濃度や個人の感受性等により、その臭いの感じ方が
違うため一概に影響の有無について述べることは困難であるが、船舶乗組員や周
辺沿岸住民の臭気によるストレスの観点から、各物質の一般的な臭気の特徴につ
いて、既存資料から整理した。
2.3.2 毒性に関する情報
(1) ほ乳類に対する毒性
海上に流出した HNS による海棲ほ乳類及び陸生ほ乳類への生体影響、周辺沿岸
住民の吸引による健康影響等の観点から、ほ乳類に対する毒性(急性毒性)につ
いて整理した。
ほ乳動物の各曝露経路(経口、経皮及び呼吸)による毒性値は、以下のデータ
ベースより引用した。
○ 化学物質安全性(ハザード)評価シート(独立行政法人 製品評価技術基盤機
構)
○ 上記評価シートに記載されていない物質については、神奈川県環境科学セン
ター、その他データベースより引用
さらに、各物質の曝露経路ごとの毒性値を、OECD のハザード分類に従い「カテ
ゴリー1∼5」、
「分類基準外」及び「データ無し」に分類し、最も毒性の強いカテ
ゴリーをその物質の毒性レベルとした。
9
表 2.3.2 (1)-1 ほ乳類における OECD 急性毒性ハザード分類
OECD
有害性カテゴリー
カテゴリー
1
毒性 強
カテゴリー
2
カテゴリー
3
カテゴリー
4
カテゴリー
5
分類基準外
毒性 低
経口
5 以下
(mg/kg)
経皮
50 以下
(mg/kg)
ガス(呼吸)
100 以下
(ppm)
蒸気
0.5 以下
(mg/L)
ダスト・ミスト
0.05 以下
(mg/L)
50 以下
300 以下
200 以下
1000 以下
500 以下
2500 以下
2.0 以下
10 以下
0.5 以下
1.0 以下
2000 以下
経口又は経
2000 以下 皮摂取で
>2000-5000
以下、又は
5000 以下
その他の曝
露経路から
20 以下 の摂取で同
等のレベル
5.0以下
経口又は経
皮摂取で
>5000、又は
その他の曝
露経路から
の摂取で同
等のレベル
なお、各カテゴリーの毒性レベルの内容を、以下のように設定した。
表 2.3.2 (1)-2 各カテゴリーの毒性レベル
区 分
カテゴリー 1
カテゴリー 2
カテゴリー 3
カテゴリー 4
カテゴリー 5
分類基準外
毒性レベル
ほ乳類に対して極めて強い毒性を有する物質
ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
ほ乳類に対して毒性が低い物質
ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質
(2) 水生生物に対する毒性レベル
海上に流出した HNS による水生生物(魚類、甲殻類及び藻類)への生体影響の
観点から、水生生物に対する毒性(急性毒性)について整理した。
各水生生物の毒性値については、以下のデータベースより引用した。
○ 化学物質安全性(ハザード)評価シート(独立行政法人 製品評価技術基盤機
構)
○ 生態影響試験(環境省)
○ AQUIER(EPA)
さらに、魚類、甲殻類、藻類または水生植物に関する各毒性値を、OECD のハザ
ード分類に従い「強い毒性を有する(very toxic)」、「毒性を有する(toxic)」
及び「有害性を有する(harmful)」に分類し、最も毒性の強いカテゴリーをその
物質の毒性レベルとして採用した。
10
表 2.3.2 (2)-1 水生生物における OECD 有害性カテゴリー
カテゴリー 1
カテゴリー 2
カテゴリー 3
OECD
有害性カテゴリー
水生生物への強
い毒性を有する
(very toxic)
水生生物への毒
性を有する
(toxic)
水生生物への有
害性を有する
(harmful)
分類基準外
魚類
96hr-LC50(mg/L)
1 以下
10 以下
100 以下
>100
甲殻類
48hr-EC50(mg/L)
1 以下
10 以下
100 以下
>100
藻類又は水生植物
72or96hr-EC50(mg/L)
1 以下
10 以下
100 以下
>100
2.3.3 長期影響に関する情報
長期的な環境影響の観点から、HNS の「生分解性」及び「蓄積性」の情報につい
て整理し、長期影響について評価を行った。
HNS の生分解性、蓄積性及び長期影響について以下に示す。
(1) 生分解性
生分解性については、BOD 分解率から以下のように分類した。
表 2.2.3(1)-1 生分解性における評価区分
BOD分解率
生分解性
40%以上
良分解性
10%以上∼40%未満 低い
0%∼10%未満
生分解性無し、又は非常に低い
(2) 蓄積性
生物への蓄積性については、オクタノール/水分配係数(Log Pow)と生物濃縮
係数(BCF)から、以下のように分類した。
なお、Log Pow と BCF の両方のデータが入手できる場合は、BCF の実測値を優
先した。
表 2.2.3(2)-1 生物蓄積性の評価区分
蓄積性の程度
なし
非常に低い
低い
中程度
高い
非常に高い
Log Pow
<1、又は>約7
(分子量700以上)
1∼<2
2∼<3
3∼<4
4∼<5
5以上
11
BCF
−
1∼<10
10∼<100
100∼<500
500∼<4000
4000以上
(3) 長期影響
生分解性及び蓄積性から、長期的な環境影響について評価を行った。
2.4 HNS 環境影響データシート
各 HNS について、上記で整理した情報を「HNS 環境影響データシート」として取りま
とめた。
「HNS 環境影響データシート」を参考資料に示す。
12
HNS環境影響データシート
No.
物質名:
キシレン
英 名: Xylene
Cas No: 1330-20-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
芳香族臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
-7-
非常に低い
No.
物質名:
ベンゼン
英 名: Benzene
Cas No: 71-43-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
芳香族臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低く、蓄積性も比較的高いことから、水生生物への長期影響に
注意を要する物質
蓄積性
-8-
中程度
No.
物質名:
スチレン
英 名: Styrene
Cas No: 100-42-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特有の強い臭い
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
-9-
低い
No.
物質名:
メタノール
英 名: Methanol
Cas No: 67-56-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
弱い刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
△
◎
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 10 -
なし
No.
物質名:
トルエン
英 名: Toluene
Cas No: 108-88-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
芳香族臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 11 -
低い
No.
物質名:
シクロヘキサン
英 名: Cyclohexane
Cas No: 110-82-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生分解性がほとんど無く、生物への蓄積性が中程度であることから、水環
境における長期的影響に注意を要する物質。
- 12 -
蓄積性
中程度
No.
物質名:
アクリロニトリル
英 名: Acrylonitrile
Cas No: 107-13-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
甘い臭気
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
△
◎
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 13 -
なし
No.
物質名:
ジクロロエタン
英 名: Dichloroethane
Cas No: 107-06-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
クロロホルム臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
◎
△
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 14 -
蓄積性
非常に低い
No.
物質名:
エタノール
英 名: Ethanol
Cas No: 64-17-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
アルコール臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 15 -
低い
No.
物質名:
ブタノール
英 名: Butanol
Cas No: 71-36-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特異の芳香
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 16 -
なし
)
No.
物質名:
アセトン
英 名: Acetone
Cas No: 67-64-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特異な芳香臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 17 -
なし
No.
物質名:
メタクリル酸メチル
英 名: Methyl methacrylate
Cas No: 80-62-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
強い不快臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 18 -
非常に低い
No.
物質名:
無水酢酸
英 名: Acetic anhydride
Cas No: 108-24-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
刺激性酢酸臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 19 -
なし
No.
物質名:
メチルエチルケトン
英 名: Methyl ethyl ketone
Cas No: 78-93-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
アセトン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 20 -
なし
)
No.
物質名:
酢酸ビニル
英 名: Vinyl acetate
Cas No: 108-05-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 高
)
海水に溶解するとともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
エーテル様甘臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 21 -
なし
No.
物質名:
イソプロピルベンゼン
英 名: Isopropylbenzene
Cas No: 98-82-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特異臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 22 -
低い
No.
物質名:
オクタノール
英 名: Octanol
Cas No: 111-87-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
オレンジ様臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 23 -
中程度
No.
物質名:
フェノール
英 名: Phenol
Cas No: 108-95-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
フェノール臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 24 -
非常に低い
No.
物質名:
エチレングリコール
英 名: Ethyleneglycol
Cas No: 107-21-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
甘い刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 25 -
中程度
No.
物質名:
シクロヘキサノール
英 名: Cyclohexanol
Cas No: 108-93-0
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
樟脳様特異臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 26 -
非常に低い
No.
物質名:
アクリル酸ブチル
英 名: Butyl acrylate
Cas No: 141-32-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特有な不快臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 27 -
低い
No.
物質名:
酢酸エチル
英 名: Ethyl acetate
Cas No: 141-78-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特徴的な果実臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 28 -
なし
No.
物質名:
ヘキサン
英 名: Hexane
Cas No: 110-54-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
ガソリン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 29 -
中程度
No.
物質名:
オクテン
英 名: Octene
Cas No: 111-66-0
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
ガソリン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:-
◎
△
( データ無し
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
データ無し
長期影響
生物への濃縮が懸念される物質
蓄積性
- 30 -
高い
No.
物質名:
アルキルベンゼン
英 名: Alkyl benzene
Cas No: 108-67-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特異臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生分解性がほとんど無く、生物への蓄積性が中程度であることから、水環
境における長期的影響に注意を要する物質。
- 31 -
蓄積性
中程度
No.
物質名:
プロパノール
英 名: Propanol
Cas No: 71-23-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
芳香臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 32 -
なし
)
No.
物質名:
水酸化ナトリウム
英 名: Sodium hydroxide
Cas No: 1310-73-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 33 -
なし
No.
物質名:
クロロホルム
英 名: Chloroform
Cas No: 67-66-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
エーテル臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
◎
△
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 34 -
蓄積性
低い
No.
物質名:
アニリン
英 名: Aniline
Cas No: 62-53-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
アミン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
△
◎
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 35 -
なし
No.
物質名:
ノネン
英 名: Nonene
Cas No: 124-11-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
ガソリン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:-
◎
△
( データ無し
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生分解性がほとんど無く、生物への蓄積性が非常に高いことから、特に水
環境における長期的影響に注意を要する物質。
- 36 -
蓄積性
非常に高い
No.
物質名:
エピクロロヒドリン 英 名: Epichlorohydrin
Cas No: 106-89-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
クロロホルム様刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
◎
△
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 37 -
なし
No.
物質名:
ジエチレングリコール
英 名: Diethylene glycol
Cas No: 111-46-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類への有害性が比較的低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 38 -
なし
No.
物質名:
ブチレングリコール
英 名: Butylene glycol
Cas No: 107-88-0
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
△
◎
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 39 -
なし
No.
物質名:
ジイソプロピルベンゼン
英 名: Diisopropylbenzene
Cas No: 25321-09-9
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
データ無し
長期影響
生物への濃縮が懸念される物質
蓄積性
- 40 -
高い
No.
物質名:
アクリル酸2エチルヘキシル
英 名: 2-Ethyl hexyl acrylate
Cas No: 103-11-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
特異臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 41 -
高い
No.
物質名:
1,3-シクロペンタジエン二量体
英 名: 1,3-Cyclopentadiene
Cas No: 542-92-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
樟脳様臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 42 -
低い
No.
物質名:
ジクロロメタン
英 名: Dichloromethane
Cas No: 75-09-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 高
)
海水に溶解するとともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
エーテル臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 43 -
低い
No.
物質名:
酢酸
英 名: Acetic acid
Cas No: 64-19-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 44 -
なし
No.
物質名:
アセトンシアノヒドリン
英 名: Acetone cyanohydrin
Cas No: 75-86-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
甘いアーモンド臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
△
◎
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 45 -
なし
No.
物質名:
アクリル酸
英 名: Acrylic acid
Cas No: 79-10-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
酢酸臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 46 -
なし
No.
物質名:
アリルアルコール
英 名: Allyl alcohol
Cas No: 107-18-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
からし様の刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:1
△
◎
( ほ乳類に対して極めて強い毒性を有する物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 47 -
なし
No.
物質名:
ノナノール
英 名: Nonanol
Cas No: 143-08-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
レモン様芳香
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
データ無し
長期影響
生物への濃縮が懸念される物質
蓄積性
- 48 -
中程度
)
No.
物質名:
ジメチルホルムアミド
英 名: Dimethylformamide
Cas No: 68-12-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
アミン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 49 -
蓄積性
非常に低い
No.
物質名:
エチルベンゼン
英 名: Ethylbenzene
Cas No: 100-41-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
芳香族臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 50 -
非常に低い
No.
物質名:
ジイソブチレン
英 名: Diisobutylene
Cas No: 11071-47-9
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特有臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:-
◎
△
( データ無し
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 51 -
No.
物質名:
トリクロロエチレン
英 名: Trichloroethylene
Cas No: 79-01-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
通常の状態では不燃性
臭 気
クロロホルム臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 52 -
蓄積性
低い
No.
物質名:
アクリル酸エチル
英 名: Ethyl acrylate
Cas No: 140-88-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
強い特異臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 53 -
非常に低い
No.
物質名:
メチルブチルケトン
英 名: Methyl butyl ketone
Cas No: 591-78-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
芳香臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 54 -
非常に低い
)
No.
物質名:
クレゾール
英 名: Cresol
Cas No: 1319-77-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
フェノール臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 55 -
非常に低い
No.
物質名:
塩化アリル
英 名: Allyl chloride
Cas No: 107-05-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
不快な刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 56 -
非常に低い
No.
物質名:
プロピレン四量体
英 名: Propylene tetramer
Cas No: 6842-15-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特有臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 57 -
蓄積性
非常に低い
No.
物質名:
1.1.1−トリクロロエタン
英 名: 1.1.1-Trichloroethane
Cas No: 71-55-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
難燃性
臭 気
甘い臭い
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 58 -
蓄積性
非常に低い
No.
物質名:
アクリル酸メチル
英 名: Methyl acrylate
Cas No: 96-33-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特異な悪臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 59 -
なし
No.
物質名:
アルファメチルスチレン
英 名: α−Methylstyrene
Cas No: 98-83-9
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生分解性がほとんど無く、生物への蓄積性が中程度であることから、水環
境における長期的影響に注意を要する物質。
- 60 -
蓄積性
中程度
No.
物質名:
ヘプタン
英 名: Heptane
Cas No: 142-82-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
石油臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 61 -
高い
No.
物質名:
酢酸ブチル
英 名: Butyl acrylate
Cas No: 123-86-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 高
)
海水に溶解するとともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
バナナ様芳香
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
△
◎
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 62 -
非常に低い
No.
物質名:
ポリシロキサン
英 名: Polysiloxane
Cas No: 9016-00-6
分類区分
燃焼特性
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
引火性
臭 気
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 63 -
なし
No.
物質名:
オルトクロロニトロベンゼン
英 名: o-Chloronitrobenzene
Cas No: 88-73-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
芳香
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 64 -
蓄積性
低い
No.
物質名:
テトラクロロエチレン
英 名: Tetrachloroethylene
Cas No: 127-18-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
クロロホルム臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 65 -
低い
No.
物質名:
トルエンジイソシアネート
英 名: Toluene diisocyanate
Cas No: 584-84-9
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:1
△
◎
( ほ乳類に対して極めて強い毒性を有する物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
データ無し
長期影響
生物への濃縮が懸念される物質
蓄積性
- 66 -
中程度
)
No.
物質名:
フタル酸ジオクチル
英 名: Diocthyl phthalate
Cas No: 117-81-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 低
)
海面拡散し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 67 -
なし
No.
物質名:
ホルムアルデヒド溶液
英 名: Formaldehyde solution(45% or less)
Cas No: 50-00-0
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
△
◎
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 68 -
なし
No.
物質名:
キシレノール
英 名: Xylenol
Cas No: 1300-71-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
フェノール臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 69 -
低い
No.
物質名:
アルキルベンゼンスルホン酸
英 名: Alkylbenzenesulfonic acid
Cas No: 27176-87-0
分類区分
燃焼特性
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
可燃性
臭 気
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 70 -
No.
物質名:
ヘキサメチレンジアミン溶液
英 名: Hexamethylenediamine
Cas No: 124-09-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
アミン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 71 -
なし
No.
物質名:
リン酸
英 名: Phosphoric acid
Cas No: 7664-38-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 72 -
なし
No.
物質名:
ソルビトール溶液
英 名: Sorbitol
Cas No: 50-70-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
△
◎
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 73 -
なし
No.
物質名:
デカノール
英 名: Decanol
Cas No: 112-30-1
分類区分
燃焼特性
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
可燃性
臭 気
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
データ無し
長期影響
生物への濃縮が懸念される物質
蓄積性
- 74 -
高い
)
No.
物質名:
メタクリル酸
英 名: Methacrylic acid
Cas No: 79-41-4
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
特異刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 75 -
なし
No.
物質名:
水酸化カリウム溶液
英 名: Potassium hydroxide
Cas No: 1310-58-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
不燃性。水と激しく発熱反応
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 76 -
)
No.
物質名:
ジペンテン
英 名: Dipentene
Cas No: 5989-54-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
レモン様臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 77 -
No.
物質名:
硫化水素ナトリウム水溶液
英 名: Sodium hydrogensulfite
Cas No: 16721-80-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
腐卵臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:-
△
◎
( データ無し
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 78 -
なし
No.
物質名:
ジフェニルメタンジイソシアナート
英 名: Diphenylmethane-4,4-diisocyanate
Cas No: 101-68-8
分類区分
燃焼特性
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 低
)
海面拡散し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
可燃性
臭 気
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生分解性がほとんど無く、生物への蓄積性が非常に高いことから、特に水
環境における長期的影響に注意を要する物質。
- 79 -
蓄積性
非常に高い
No.
物質名:
ニトロベンゼン
英 名: Nitrobenzene
Cas No: 98-95-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
アーモンド臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
◎
△
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 80 -
蓄積性
非常に低い
No.
物質名:
フタル酸ジブチル
英 名: Dibutyl phthalate
Cas No: 84-74-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 低
)
海面拡散し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
特異臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 81 -
中程度
No.
物質名:
トリエタノールアミン
英 名: Triethanolamine
Cas No: 102-71-6
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
弱アンモニア臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性 低
毒性レベル:分類基準外 ( 水生生物への有害性が比較的低い物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
生分解性無し、又は非常に低い
長期影響
生物への濃縮性は低いが、生分解性がほとんど無いことから、長期にわた
り水環境中に残留するため注意を要すると考えられる物質。
- 82 -
蓄積性
なし
No.
物質名:
硫酸ジエチル
英 名: Sulfuric acid diethyl ester
Cas No: 64-67-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
ハッカ様臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
◎
△
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 83 -
非常に低い
No.
物質名:
シクロヘキシルアミン
英 名: Cyclohexylamine
Cas No: 108-91-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
アミン臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 84 -
非常に低い
No.
物質名:
3-エトキシプロピオン酸エチル
英 名: Ethyl-3-ethoxypropionate
Cas No: 763-69-9
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
エステル臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 85 -
No.
物質名:
メタクリル酸ブチル
英 名: n-Butyl methacrylate
Cas No: 97-88-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 低
)
海面拡散とともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
エステル臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
◎
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
◎
△
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 86 -
低い
No.
物質名:
次亜塩素酸カルシウム溶液
英 名: Calcium oxychloride
Cas No: 7778-54-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
塩素臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 87 -
なし
)
No.
物質名:
硝酸
英 名: Nitric acid
Cas No: 7697-37-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 高
溶解性: 高
)
海水に溶解するとともに、ある程度大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
◎
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
◎
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:-
△
◎
( データ無し
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 88 -
なし
No.
物質名:
フタル酸ブチルベンジル
英 名: Butyl benzyl phthalate
Cas No: 85-68-7
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 低
)
海面拡散し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
特有の芳香
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 89 -
高い
No.
物質名:
ジメチルアミン
英 名: Dimethylamine
Cas No: 124-40-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
強アンモニア臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 90 -
なし
)
No.
物質名:
エタノールアミン
英 名: Ethanolamine
Cas No: 141-43-5
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
アンモニア臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 91 -
なし
No.
物質名:
ジエタノールアミン
英 名: Diethanolamine
Cas No: 111-42-2
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
可燃性
臭 気
弱アンモニア臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 92 -
なし
No.
物質名:
硫酸
英 名: Sulfuric acid
Cas No: 7664-93-9
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
不燃性
臭 気
無臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
△
◎
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 93 -
なし
No.
物質名:
ピリジン
英 名: Pyridine
Cas No: 110-86-1
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 高
)
海水に溶解するが、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特異不快臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:3
△
◎
( ほ乳類に対して中程度の毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 94 -
なし
No.
物質名:
エチレンジアミン
英 名: Ethylenediamine
Cas No: 107-15-3
分類区分
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
アンモニア臭
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
△
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:2
△
◎
( ほ乳類に対して強い毒性を有する物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:2
毒性 低
( 水生生物への毒性を有する物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
低い
長期影響
生分解性が低いことから、比較的長期間水環境中に残留すると考えられる
が、生物への蓄積性は低い。
蓄積性
- 95 -
なし
No.
物質名:
硫酸アンモニウム溶液
英 名: Ammonium sulfate
Cas No: 7783-20-2
分類区分
燃焼特性
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
不燃性
臭 気
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:4
△
◎
( ほ乳類に対して比較的毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:1
毒性 低
( 水生生物への強い毒性を有する物質
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 96 -
)
No.
物質名:
エチレングリコールジアセテート
英 名: Ethyleneglycol diacetate
Cas No: 111-55-9
分類区分
燃焼特性
グループ ( 揮発性: 低
溶解性: 高
)
海水に溶解し、ほとんど大気へは移行しないと考えられる物質
可燃性
臭 気
区 分
環 境 影
響
判 定
△
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
−
△
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
△
◎
毒性レベル:分類基準外 ( ほ乳類への有害性がほとんど無視できる物質 )
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:-
毒性 低
( データ無し
)
水生生物
毒性 高
生分解性
毒性 低
データ無し
蓄積性
長期影響
- 97 -
No.
物質名:
ブチルアルデヒド
英 名: Butyraldehyde
Cas No: 123-72-8
分類区分
グループ ( 揮発性: 中
溶解性: 低
)
海面拡散し、わずかに大気へも移行すると考えられる物質
燃焼特性
引火性
臭 気
特有の刺激臭
区 分
環 境 影
響
判 定
○
揮発による影響
On Site
(流出源) 火災・爆発による影響
○
○
大気拡散による影響
Off Site
海面拡散(海面漂流・沿岸漂着)による影響
(周辺域)
海水への溶解・海中への沈降による影響
毒性レベル:5
◎
△
( ほ乳類に対して毒性が低い物質
)
ほ 乳 類
毒性 高
毒性レベル:3
毒性 低
( 水生生物に有害な物質
)
水生生物
毒性 高
毒性 低
生分解性
良分解性
長期影響
生分解性が高いことから、水環境中に長期的に残留しないと考えられる物
質
蓄積性
- 98 -
なし
HNSの物性・毒性データ一覧
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
品名
CAS番号
キシレン
ベンゼン
スチレン
メタノール
トルエン
シクロヘキサン
アクリロニトリル
ジクロロエタン
エタノール
ブタノール
アセトン
メタクリル酸メチル
無水酢酸
メチルエチルケトン
酢酸ビニル
イソプロピルベンゼン
オクタノール
フェノール
エチレングリコール
シクロヘキサノール
アクリル酸ブチル
酢酸エチル
ヘキサン
オクテン
アルキルベンゼン
s
水酸化ナトリウム
クロロホルム
アニリン
ノネン
CH3(CH)6CH=CH2
エピクロロヒドリン ジエチレングリコール
ブチレングリコール
ジイソプロピルベンゼン
アクリル酸2エチルヘキシル
1,3-シクロペンタジエン二量体
ジクロロメタン
酢酸
アセトンシアノヒドリン
アクリル酸
アリルアルコール
ノナノール
ジメチルホルムアミド
エチルベンゼン
ジイソブチレン
トリクロロエチレン
アクリル酸エチル
メチルブチルケトン
クレゾール
塩化アリル
プロピレン四量体
1.1.1−トリクロロエタン
アクリル酸メチル
アルファメチルスチレン
ヘプタン
酢酸ブチル
ポリシロキサン
オルトクロロニトロベンゼン
テトラクロロエチレン
トルエンジイソシアネート
フタル酸ジオクチル
ホルムアルデヒド溶液
キシレノール
アルキルベンゼンスルホン酸
ヘキサメチレンジアミン溶液
リン酸
ソルビトール溶液
デカノール
メタクリル酸
水酸化カリウム溶液
ジペンテン
硫化水素ナトリウム水溶液(水硫化ソーダ)
ジフェニルメタンジイソシアナート
ニトロベンゼン
フタル酸ジブチル
トリエタノールアミン
硫酸ジエチル
シクロヘキシルアミン
3エトキシプロピオン酸エチル
メタクリル酸ブチル
次亜塩素酸カルシウム溶液
硝酸
フタル酸ブチルベンジル
ジメチルアミン
エタノールアミン
ジエタノールアミン
硫酸
ピリジン
エチレンジアミン
硫酸アンモニウム溶液
エチレングリコールジアセテート
ブチルアルデヒド
1330-20-7
71-43-2
100-42-5
67-56-1
108-88-3
110-82-7
107-13-1
107-06-2
64-17-5
71-36-3
67-64-1
80-62-6
108-24-7
78-93-3
108-05-4
98-82-8
111-87-5
108-95-2
107-21-1
108-93-0
141-32-2
141-78-6
110-54-3
111-66-0
108-67-8
71-23-8
1310-73-2
67-66-3
62-53-3
124-11-8
106-89-8
111-46-6
107-88-0
25321-09-9
103-11-7
542-92-7
75-09-2
64-19-7
75-86-5
79-10-7
107-18-6
143-08-8
68-12-2
100-41-4
11071-47-9
79-01-6
140-88-5
591-78-6
1319-77-3
107-05-1
6842-15-5
71-55-6
96-33-3
98-83-9
142-82-5
123-86-4
9016-00-6
88-73-3
127-18-4
584-84-9
117-81-7
50-00-0
1300-71-6
27176-87-0
124-09-4
7664-38-2
50-70-4
112-30-1
79-41-4
1310-58-3
5989-54-8
16721-80-5
101-68-8
98-95-3
84-74-2
102-71-6
64-67-5
108-91-8
763-69-9
97-88-1
7778-54-3
7697-37-2
85-68-7
124-40-3
141-43-5
111-42-2
7664-93-9
110-86-1
107-15-3
7783-20-2
111-55-9
123-72-8
引火性
可燃性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
可燃性
可燃性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
可燃性
引火性
引火性
可燃性
可燃性
可燃性
可燃性
引火性
引火性
可燃性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
可燃性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
引火性
可燃性
可燃性
引火性
可燃性
可燃性
臭気
芳香族臭
芳香族臭
特有の強い臭い
弱い刺激臭
芳香族臭
刺激臭
甘い臭気
クロロホルム臭
アルコール臭
特異の芳香
特異な芳香臭
強い不快臭
刺激性酢酸臭
アセトン臭
エーテル様甘臭
特異臭
オレンジ様臭
フェノール臭
甘い刺激臭
樟脳様特異臭
特有な不快臭
特徴的な果実臭
ガソリン臭
ガソリン臭
特異臭
芳香臭
無臭
エーテル臭
アミン臭
ガソリン臭
クロロホルム様刺激臭
無臭
無臭
刺激臭
特異臭
樟脳様臭
エーテル臭
刺激臭
甘いアーモンド臭
酢酸臭
からし様の 刺激臭
レモン様芳香
アミン臭
芳香族臭
特有臭
クロロホルム臭
強い特異臭
芳香臭
フェノール臭
不快な刺激臭
特有臭
甘い臭い
特異な悪臭
刺激臭
石油臭
バナナ様芳香
芳香
クロロホルム臭
刺激臭
無臭
刺激臭
フェノール臭
アミン臭
無臭
無臭
可燃性
可燃性 特異刺激臭
無臭
引火性 レモン様臭
腐卵臭
可燃性
可燃性
可燃性
可燃性
引火性
可燃性
引火性
可燃性
引火性
可燃性
可燃性
引火性
引火性
アーモンド臭
特異臭
弱アンモニア臭
ハッカ様臭
アミン臭
エステル臭
エステル臭
塩素臭
刺激臭
特有の芳香
強アンモニア臭
アンモニア臭
弱アンモニア臭
無臭
特異不快臭
アンモニア臭
引火性 特有の刺激臭
ヘンリー定数
(atm・m3/mol)
揮発性 溶解性
6.63E-03
5.55E-03
2.75E-03
4.55E-06
6.64E-03
1.50E-01
1.38E-04
1.18E-03
5.00E-06
8.81E-06
3.97E-05
3.19E-04
5.71E-06
5.69E-05
5.11E-04
1.15E-02
2.45E-05
3.33E-07
6.00E-08
4.40E-06
6.57E-04
1.34E-04
1.80E+00
6.27E-01
8.77E-03
7.41E-06
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
20℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
高
高
高
中
高
高
中
高
中
中
中
高
中
中
高
高
中
低
低
中
高
中
高
高
高
中
3.67E-03
2.02E-06
7.99E-01
3.04E-05
2.00E-09
2.38E-09
2.04E-02
4.32E-04
6.36E-02
3.25E-03
1.00E-07
1.97E-09
3.70E-07
4.99E-06
3.08E-05
7.39E-08
7.88E-03
24℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
高
低
高
中
低
低
高
高
高
高
低
低
低
中
中
低
高
9.85E-03
3.39E-04
9.32E-05
6.19E-07
1.10E-02
7.30E-01
1.72E-02
1.99E-04
2.55E-03
2.00E+00
2.81E-04
3.67E-05
9.30E-06
1.77E-02
1.11E-05
2.70E-07
3.37E-07
6.83E-07
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
24℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
24℃
25℃
25℃
25℃
25℃
高
高
中
低
高
高
高
中
高
高
高
中
中
高
中
低
低
低
3.21E-09
7.60E-15
7.26E-13
3.20E-05
3.88E-07
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
低
低
低
中
低
8.95E-07
2.40E-05
1.81E-06
7.05E-13
6.14E-06
4.16E-06
25℃
25℃
23℃
25℃
20℃
25℃
低
中
低
低
中
中
4.96E-04 25℃
高
2.45E-02
1.26E-06
1.77E-05
3.25E-08
3.87E-11
7.65E-12
1.10E-05
1.73E-09
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
25℃
高
低
中
低
低
低
中
低
1.15E-04 25℃
中
不溶
微溶
微溶
易溶
不溶
不溶
可溶
微溶
易溶
易溶
易溶
微溶
易溶
可溶
可溶
難溶
微溶
可溶
易溶
可溶
微溶
可溶
不溶
不溶
不溶
可溶
易溶
難溶
可溶
不溶
不溶
易溶
易溶
不溶
不溶
不溶
可溶
易溶
易溶
易溶
易溶
不溶
易溶
不溶
不溶
微溶
難溶
可溶
可溶
微溶
不溶
難溶
可溶
不溶
不溶
可溶
不溶
不溶
難溶
易溶
難溶
易溶
可溶
易溶
易溶
易溶
易溶
不溶
易溶
易溶
不溶
易溶
不溶
微溶
難溶
易溶
不溶
易溶
微溶
不溶
可溶
易溶
不溶
易溶
易溶
易溶
易溶
易溶
易溶
易溶
易溶
微溶
物性
区分
A1
A1
A1
B2
A1
A1
B2
A1
B2
B2
B2
A1
B2
B2
B1
A1
A2
B3
B3
B2
A1
B2
A1
A1
A1
B2
B3
A1
B3
A1
A2
B3
B3
A1
A1
A1
B1
B3
B3
B3
B2
A2
B3
A1
A1
A1
A1
B2
B3
A1
A1
A1
B2
A1
A1
B1
A2
A2
A1
B2
A3
B3
B3
B3
B3
B3
B3
A2
B3
B3
A1
B3
A3
A2
A3
B3
A2
B2
A1
A1
B3
B1
A3
B2
B3
B3
B3
B2
B3
B3
B3
A2
経口(mg/kg)
ラット
4300
3000
1000
5628
2600
12705
93
680
7060
790
5800
7872
630
2737
2920
1400
3200
340
4000
1400
900
5620
28700
吸入(ppm/4h)
マウス その他
316
7300
813
27
413
3450
2680
3000
3625
4050
1613
12750
1790
300
5500
14200
ラット
マウス
5000
13700
2770
64000
6770
2030
218
1260(6h)
138
262(6h)
経皮(mg/kg)
その他
ラット マウス その他
15800
14100
12000
5500
2500
110
148
226
5945
4252
4000
6480
2335
10578
>1000
850
10600
8000
5340
4725
3760
1000
1243
4088
1460
2033(7h)
2500
400
1650
5880
4100
660
2730
48000
4300
1870
4872
500
450
250
36
464
9770
250
175
40
12565
18610
5000
6500uL/kg
353
2100
3310
18.65
193
64
1400
2000
3500
195
13300
12980
178
4400
500
780
13.5
240
85
250
71
1200
165
211(2h)
3700
25000
3155
4000
2007
4920
500
2590
121
450
2400
1300
2430
6000
<280
12095
<1000
8000
8450
3950
425
300
1120
1000
6000
227
4900
1400
10768
4900
219
3005
6170
25000
800
296
650
>500
1530
15900
28000
1060
273
5300
4640
826
4500
750
180
994
1448
31690
600
3000
5433
880
156
5000
16000
850
2330
698
1720
675
2140
891
472
2840
6850
195
1400
445
254
250
300
11890
>20000
4400
6000
290
45
<1000
710
5000
>5000
2000
2000
280
26000
660
24750
260
>7800
126
4800
2200
2026
1243
10000
1240
390
135
3005
500
15415
>17600
655
3362
14
5162
10
471
405
400
10000
270
1250
450
1110
2740
17800
1250
4725
590
20000
5846
647
224
2200
12900
6300
4170
316
700
3300
13750
1500
732
640
1981
500
2100
20000
1000(16h)
1150
4910
1000
2200
4000
450 <3137(6h)
708
277
11300
6700
>968(2h)
118 <3137(6h)
>10000
1000
866
500
1250
1121
550
3560
ほ乳類
水生生物毒性
急性毒性
藻類
甲殻類
魚類
レベル (72or96hrEC50)
(48hrEC50)
(96hrLC50)
4
o:25,m11,p:14 o:1.1,m:2.4,p:6.9 o:7.4,m:19,p:11
5
29
18
5.3
3
23
2.5(24h)
分類基準外
>1000
>100
5
>433
19.6
24
4
3.8
4.5
2
7.6
10
2
710
160
116
5
2506
>100
>100
4
1983
100-500
5
5600
23.5
>100
4
170
69
150
3
3400(8d)
55(24h)
265(48-h)
5
570
>1000
>100
3
52
18
3
2.6
4
4.8
3
6.5(48h)
26(24h)
12.2
3
10
0.15
4
18000
16000
4
1.38
4
0.89
5.2
2.4
5
1800
212.5
分類基準外
3.9
2.5
4
25(48h)
6
8.6
4
3200
3644
3000
4
40.38
125
2
560
18.4
2
19
0.17
10.6
2
24
10.6
5
>32000
分類基準外
5
5
4
5
1682
193
5
73.4
65
75
2
0.5
3
765(24h)
1
0.25
0.32
4
1.5
3.9
3.2
3
480
8485
7100
4
4.6
2.1
4.2
5
95
17.6(24h)
42(48-h)
3
48
4.4
4.6
5
428
3
7
10
3
250(24h)
19.8
分類基準外
4
>500
42.3
3
15(72h)
2.2
5
6.94
2.62
7.28
4
375
2
18
5
3
6.8
3.2
0.55
4
504
5
1
164.5
分類基準外
0.133(LC50)
>10
2
0.3
2
73.5
3
4
0.11(48h)
1.7
4
15
23.4
73.5(48h)
4
分類基準外
分類基準外
0.72
1.4
2.8
3
0.59
>130
85
3
80
分類基準外
分類基準外
4
44.1
10
43
5
0.75
3.4
0.85
5
609.98
>1000
3
3
29.3
36.3
33.4
5
分類基準外
31.2
25.4
1.67
4
0.5
0.073
0.037
5
0.13
0.97
1.7
4
6.2
0.4
3
2.8
65
150
4
103
72.92
>100
5
3
0.041
180
93.8
2
71
4.5
115.7
4
59
0.068
分類基準外
5
13.4
水生生物
BOD分解率
急性毒性
分解(%)
期間(日)
レベル
2
39
14
2
39∼41
14
3
100
28
分類基準外
92
14
3
123
14
2
1
28
2
60.7
14
分類基準外
0
14
分類基準外
89
14
分類基準外
3
3
94.3
14
3
分類基準外
3
90
28
2
33
14
3
89
28
1
85
14
分類基準外
90
14
2
96
28
1
61.3
14
分類基準外
94
14
2
100
28
2
0
14
分類基準外
3
3
0
14
1
85
14
0
28
3
68
14
分類基準外
90
28
51.3
14
分類基準外
5∼26
28
3
74
14
1
28
28
分類基準外
68
14
1
85
14
2
分類基準外
4.4
14
2
39
28
3
2.4
14
2
51.5
14
分類基準外
2
49
14
3
62
28
7
28
3
0
14
2
37
14
2
0
14
分類基準外
101
28
3
1
0
14
2
11
28
分類基準外
1
29
14
1
91
14
44
14
2
47
28
3
55.5
14
82
14
1
1
91
14
3
0
28
2
3.3
14
1
69
14
分類基準外
0
14
69
28
3
62
14
2
88
28
1
1
80.9
14
1
2
49.3
14
3
51.4
21
1
62
28
2
39
28
1
3
100
14
- 99∼100 -
社団法人
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東京都港区虎ノ門一丁目15番16号
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