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突然ですが「家族」って何ですか?

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突然ですが「家族」って何ですか?
〈第52号〉
平成27年6月19日(金)
岩美町立岩美南小学校
濵津良輔
突然ですが「家族」っ て何ですか?
児童の虐待死,家庭内暴力(DV)など,
最近,家族にかかわる事件が多く報道される
ように感じます。わかりきったことかも知れ
ませんが「家族」って何なのでしょうか。
人間以外のほ乳動物では,子が生まれて巣
立ってしまうと親子関係が消滅してしまう
のが一般的ですが,人間は,子が成長し大人
になってからも原則として家族を大切にし
て生きて行きます。これにより,人には他の
動物には見られない生命の連続性を大切な
ものと考える意識が形成されるそうです。た
とえば先祖祭祀(先祖を大切にまつること)
や子孫繁栄を重要なことととらえる意識で
す。家族を生活の基本単位として,私たち日
本人は,盆や彼岸には墓参りをして先祖を祭祀し,日常では父母や祖父母を大切にし,子を愛情
を持って育ててきました。
このように生命の連続性を大切なものと考える私たちですが,それ以外にも、「家族には子ど
もの自己抑制力を育てる働きがあるのではないか」という持論を加地伸行氏(大阪大学名誉教授)
は展開しておられます。加地氏の見方は、こうです。
欧米などのキリスト教文化圏において,人は神(ゴッド)という絶対的な存在を前にして自
制する力(自己抑制力)が育まれてきた。日本にはそのような意味での神(ゴッド)は存在し
ない。しかしそれに代わるものとして家族の力がある。「ご先祖様に申し訳ない」という言葉
があるように,先祖を畏敬し大切に思う気持ちと,わがままな気持ちを抑えて生活を送ろうと
する気持ちとは深く関わり合っている。日本の家庭には,子どもの自己抑制力を育む見えない
力があるのではないか・・・
(参考:加地伸行『沈黙の宗教-儒教-』筑摩書房,1994年)
子どもの自己抑制力の育つ根拠が、欧米では「神(ゴッド)」であり、日本では「家族」であ
ると、そう簡単には単純化はできないと思うのですが、ひとつの重要な視点ではあると思います。
私たちは,自分の家族を心から愛し,現在の自分の存在根拠である先祖を畏敬し,子孫の健康
と繁栄を願いながら家族とともに生きています。家族の中で,子どもたちは温かく育まれる喜び
ややすらぎ,充実感を感じとるとともに,自己を適度に抑制することの大切さなどを学んでいく
ものと考えられます。また、家族は単に寝食のみならず喜怒哀楽をも共有する場であることを考
えると,子どもの価値観形成に家族は絶大な影響を及ぼすと考えられます。
「家族は子どもたちの成長にとって、とても大切です。」全くその通りなのですが、たまには
「家族って、なぜ大切なんだろう?」とその理由を考えてみることで、見えてくる何かがあるよ
うに思います。
あなたにとって、「家族」って、何ですか?
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