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HO C HO O
【問題の解と解説】H23.07.06 問 1 a:誤,b:誤,c:正,d:誤,e:誤,f:正,g:正,h:正,i:正,j:誤,k:誤, l:誤,m:正,n:誤 問2 bとd 問3 N 原子の価電子の電子配置は 2s22p3 であるが,NH4+の N では電子が1個欠けている ので,電子配置は 2s22p2 である。これは C 原子の電子配置と同じである。したがって, NH4+の立体構造はメタン CH4 の立体構造と同じで,正四面体となる。 問4 CO2 は直線分子であるから,中央の C 原子は sp 混成によってσ結合の骨格を形成し ていると考えられる。残りの2つの p 軌道は互いに直交している(分子軸を x 軸方向 とすると,2つの p 軌道は y 軸方向と z 軸方向に広がっている)。これらの p 軌道は それぞれ左右の O 原子上の p 軌道とπ結合を形成しているが,互いに直交して y 軸方 向と z 軸方向に広がっている。 [C 原子][He] ⇅ ↑ ↑ 2s 2p 問5 [O 原子][He] ⇅ ⇅ ↑ ↑ 2s 2p ⇩昇位 ⇩昇位 ↑ ↑ ↑ ↑ sp 混成軌道 ⇅ ⇅ ↑ sp2 混成 ↑ H2CO3 は H+と CO32−が結合した分子である。 C 原子は sp2 混成軌道によって3つの O 原子と結合し,平面三角形となり,∠OCO は それぞれ 120°である。H-O-C 結合の O 原子は sp3 混成軌道で,H−O と O−C のσ結 合を形成する。一方,-C=O の O 原子は sp2 混成軌道によって,σ結合およびπ結合を 形成している。 σ結合と π結合 HO σ結合 C HO 1 O 問6 ホウ素 B の電子配置は 1s22s2p1 である。B 原子の価電子の電子配置が 2s22p1 のままで あれば,2s 電子はスピンが対になった非共有電子対で,水素との化合物は BH となる はずである。BH3 となるには,B 原子の 2s 電子が1個 2p 軌道に昇位して sp2 混成軌道 を形成しなければならない。よって,BH3 の立体構造は平面三角形で,∠HBH は全て 120°,B-H の結合は全てσ結合である。 H H B H 問7 P 原子の価電子の電子配置は 3s23p3 で,基底状態では 3p 軌道電子 3 個が不対電子と なっている。一方,Cl 原子の価電子の電子配置は 3s23p5 で 3p 軌道電子1個が不対電 子となっている。このままで,P 原子の 3p 軌道不対電子3個が Cl 原子の 3p 軌道不対 電子と共有結合を形成すると PCl3 となる。PCl3 の立体構造は AX3E 型,アンモニアと 類似のピラミッド形と考えられる。また,sp3 混成軌道を形成しても孤立電子対を含ん だ形で正四面体となり,PCl3 分子はピラミッド形を形成する。P-Cl 結合はいずれもσ 結合,結合角は 109.5°と推定される。 P 原子:[Ne] ⇅ ↑ ↑ ↑ 3s 3p Cl 原子:[Ne] ⇅ ⇅ ⇅ ↑ 3s 3p ⇩昇位 ⇅ ↑ ↑ ↑ sp3 混成軌道 PCl5 となるためには,3s 軌道電子がスピン対を解除しなければならない。第 3 周期 の原子では 3d 軌道が空いており,PCl5 の P 原子の電子配置は次のようになる。 P 原子:[Ne] ⇅ ↑ ↑ ↑ 3s 3p 3d ⇩昇位 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ sp3d 混成軌道 sp3d 混成軌道は三角両錐体であるから,PCl5 の立体構造は下図の様になる。P-Cl 結合 はいずれもσ結合である。 2 問8 SO2 のルイス構造は右図の様に表される。 O S O S 原子の電子配置は,[Ne] 3s23p4 で,3p 軌道に2つの不対電子をもつ。同様に,O 原子 の電子配置は [He] 2s22p4 で,p 軌道に2つの不対電子をもつ。そのため,S 原子が2個 の O 原子と結合するのに4つの不対電子が必要となる。3p 軌道のスピン対を解除して, 3d 軌道に昇位させると, S 原子 [Ne] ⇅ ⇅ ↑ ↑ 3s 3p ⇩昇位 ↑⇓ ↑⇓ ⇅ ↑↓ ↑↓ sp2 混成軌道 3p 3d ↓:O 原子からの電子→σ結合の形成 ⇓ :O 原子からの電子→π結合の形成 各 O 原子の価電子の1つは S 原子の sp2 混成軌道の電子とσ結合を形成し,もう1つは 混成軌道から外れた電子とπ結合を形成する。 O 原子 [He] ⇅ ⇅ ↑ ↑ 2s 2p ⇩昇位 ↑⇓ 2p ⇅ ⇅ ↑↓ 2 sp 混成軌道 ↓:S 原子からの電子→σ結合の形成 ⇓ :S 原子からの電子→π結合の形成 つまり,S 原子の sp2 混成軌道により平面三角形となるため,SO2 は AX2E 型の水分子 と類似の非線形構造となる。S-O はそれぞれ2重結合(σ結合とπ結合),∠OSO は 120°となる。S 原子は1つの非共有電子対,O 原子はそれぞれ2つの非共有電子対を もつ。 S S O O O 3 O 問9 O リン酸 H3PO4 のルイス構造式を最初に描いてみよう。 2 3 P 原子の電子配置は [Ne] 3s 3p で,価電子は昇位して H O P O H 3 sp 混成軌道となり,4個の O 原子から不対電子を受け入れ,σ結 O 合を形成する。 H [P 原子] ↑⇩ 3d ↑↓ ↑↓ ↑↓ ↑↓ 3s 3p 3 sp 混成軌道 ↓:O 原子からの電子→σ結合の形成 ⇩:O 原子からの電子→π結合の形成 O 原子の電子配置は [He] 2s2 2p4 で,2p 軌道に2つの不対電子をもつ。 P−O−H の O 原子の価電子は,昇位して sp3 混成軌道となり,P 原子の sp3 混成軌道 の電子および H 原子の 1s 軌道電子とσ結合を形成する。 [O 原子] ⇅ ⇅ ↑↓ ↑⇩ 2s 2p ↓:P 原子からの電子→σ結合の形成 sp3 混成軌道 ⇩:H 原子からの電子→σ結合の形成 P→O の O 原子の価電子は,昇位して sp2 混成軌道となり,P 原子の電子とσ結合お よびπ結合を形成する。 O [O 原子] ↑⇩ ----π結合 2p ⇅ ⇅ ↑↓ ----σ結合 sp2 混成軌道 P つまり,P 原子の sp3 混成軌道により四面体となるため,H3PO4 の立体構造は AX4 型で CH4 分子と類似の構造となる。 問 10 B 原子の電子配置は [He]2s22p1 で,sp2 混成軌道をとることか ら,BF3 は平面三角形である。N 原子の電子配置は [He]2s22p4 で, sp3 混成軌道によって NH3 はピラミッド形である。各分子のルイ ス構造式は右図に示す。 B 原子の空の 2p 軌道と N 原子の 2p 軌道の非共有電子対が配位 結合をする。その結果,B 原子も N 原子も4対の電子をもち,CH4 と同じように sp3 混成軌道を形成すると考えられる。実際,付加化 合物 BF3-NH3 はエタン CH3-CH3 と同じ立体構造をしている。 4 HO OH OH F H F H B N F H H H B N H H H H