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JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告

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JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
JOGMEC
技術ソリューション事業グループ
テクノフォーラム2015 推進チーム
エッセー
JOGMEC Techno Forum 2015
開催報告
代表としてフランスの Total S.A. をお
3 1 団体の皆様に出展頂いた。各展示
招きし講演頂いた。また、日本企業か
ブースの前では活発な議論を交わす様
らも技術戦略等の発信を行い、2 9 日
子が随所で見られ、初日 2 8 日(水)の
JOGMEC は、2 0 1 5 年 1 0 月 2 8日
(水) (水)
の午後には、他分野技術の資源開
昼の休憩時に実施された招聘者と
~ 29日
(木)
の2日間の日程で
「JOGMEC
発現場への適用可能性を模索するセッ
JOGMEC 幹部の見学ツアーでは、企
Techno Forum 2 0 1 5」をパレスホテル
ションとして日本のロボット技術につ
業担当者の説明を真剣に聞き入った
東京で主催開催した。本フォーラムは、
いても発信を行った。
り、展示された大型ドローンの実機の
今年で 3 回目の開催となる日本で唯一
今回も多方面から多大な関心を寄せ
前で目を見張る海外講演者らの姿が印
の石油天然ガス・資源開発に関する国
て頂き、資源開発企業のみならず、エ
象的であった。同時に、JOGMEC の活
際イベントであり、日本企業が有する
ンジニアリング企業や、化学・素材メー
動紹介と資源開発技術の概要ポスター
先端技術を幅広く産油・産ガス国等に
カー、IT・エレクトロニクス企業、重工・
展
(JOGMEC 展示)
も開催し、資源開発
紹介すること、および資源開発分野を
造船、大学・研究機関、商社、報道関係、
業界はもちろんのこと、他業種・他分
専門としていない他業種・他分野企業
官庁並びに各国大使館等、他業種・他
野の来場者の方々にも業務内容や技術
等の方々との「出会いの場」を広く提供
分野の多くの方々にご来場頂いた。
について紹介し、意見交換を行った。
することを目的としている。本フォー
また、前回初の試みとして実施した
本稿では、講演の内容や企業展示、
ラムを通じて、産油・産ガス国等にお
企業展示が大変好評であったため、今
JOGMEC 展示など、JOGMEC Techno
ける技術課題の解決に向けた技術開発
回は規模を拡大して開催し、2 3 ブース
Forum 2 0 1 5 の開催内容全般について
はじめに
プロジェクト組成のきっかけをつくり、
併せて他業種・他分野の日本企業が資
源開発分野に新規参入するための後押
しをするという狙いがある。
し、近著
『探究』
などでも知られる著名
なエネルギーコンサルタントである
産油国の
技術課題
ネルディスカッションのモデレータも
務めて頂いた。また、産油国であるオ
④: (1)資源国招聘
②技術開発
Phase1
国内技術
技術開発
の午後に講演頂いたほか、その後のパ
④テクノフォーラム:
資源国ニーズ・企業シーズ紹介
による情報交換・マッチング
マッチング
Dr. Daniel Yergin を招聘し、
28日
(水)
①ニーズシーズ収集/分析:
課題と技術の分析
(1)Phase2/3案件組成の事前調査
(2)実証/共同研究契約締結
Phase2
即戦力技術
海外現場実証
実証準備
マーンの石油・ガス大臣をはじめ、ア
Phase3
(国内実証等)
・個別技術
・パッケージ化
ブダビ国営石油会社(ADNOC)
、マ
レーシア国営石油会社(Petronas)
、カ
ナダ・ブリティッシュコロンビア州石
油ガス委員会およびオイルサンド技術
協会からも講演者を招聘するととも
に、IOC(International Oil Company)
61 石油・天然ガスレビュー
企画
ニーズ
シーズ(フォローアップ)
技術
ニーズ
(フォローアップ)
③:(1)資源国招聘、(2)フォローアップ
③技術ソリューション研修(人材育成):
JOGMEC技術開発等の紹介/成果普及、ニーズ・シーズ収集、技術と日本に対する親密度向上
出所:JOGMEC
図1 ニーズ・シーズ収集から資源国との関係強化まで
国営石油会社等との関係強化
『石油の世紀』
でピュリツァー賞を受賞
日本企業関与
①: (1)ニーズ:技術ミッション(資源国訪問)
(2)シーズ:企業ヒアリング/公募調査
②: (3)Phase2/3案件組成の事前調査
油ガス田の権益交渉︵自主開発比率向上︶
3 回目の開催となった今回は、著書
エッセー
オ マ ー ン で は、 現 在 多 く の EOR
報告するとともに、ご来場の皆様より
さまざまな立場や視点からのご意見を
アンケートでお寄せ頂いた声を簡単に
頂いた。
紹介し、今後の資源開発業界の活況に
2日目(1 0 月2 9日)の講演は、
「環境
採油法を導入し、増産を図っているほ
向けた取り組みの一助としたい。
と効率向上」
をテーマに、より具体的な
か、ソーラーなどを用いた新しい技術
技術面にフォーカスし、産油・産ガス
を積極的に導入しようとしている。た
国等の講演者より操業・開発現場にお
だ現在の油価では、複雑な地質条件を
ける課題について述べて頂く一方で、
もつオマーン国内の油ガス市場の維持
国土交通省・日本企業からの講演者に
向上や収支の安定も非常に難しくなっ
は世界に誇る日本のシーズ技術の現状
ている。
1 日目(1 0 月 2 8 日)は、JOGMEC 理
と今後の取り組みについて講演頂い
現在、市場で大きなシェアを獲得し
事長河野博文の挨拶により開会した。
た。さらに、今後資源開発分野でも活
ているのは、より商品価値の高い油・
1 日目の講演は、
「国際油価低迷時代
躍が期待されるロボット技術につい
ガスを生産しているところではなく、
を乗り切るために」をテーマに、資源
て、日本の産学官よりそれぞれにおけ
より安い価格で市場に提供できるとこ
開発分野を牽引している国内外の石
る現状と将来的な展望について講演頂
ろで、その点に懸念がある。生産コス
油・ガス開発企業や産油・産ガス国等
いたほか、Total 社からは、ロボット技
トの低い一部の国がマーケットシェア
の幹部の方々より、石油天然ガス開発
術による操業現場の無人化や少人数化
を争っている現在の状況が、倫理的に
の潮流や各国企業の戦略、今後の情勢
の実現可能性等について講演頂いた。
正しいのかを問いたい。私の観点から
に関する見通しを中心に大所高所から
以下に、各講演者の講演概要を紹介す
は、石油天然ガス市場でシェアを争う
の講演を頂いた。また午後からは、日
る。なお、講演タイトルについては章
のは根本的に間違っている。日本をは
本を代表する団体・企業の方々および
末の表を、講演資料等の詳細について
じめとする一部の消費者にとっては好
IHS 社 Vice Chairman の Dr. Daniel
は、JOGMEC Techno Forum 2 0 1 5 の
条件かもしれないが、低コストの生産
Yergin より油価低迷の厳しい現状下
公式ホームページをご覧頂きたい。
者がシェアを独占し、高コストの生産
JOGMEC Techno
Forum 2 0 1 5 開催概要
(1)
プログラム講演詳細
における事業戦略について講演頂くと
(Enhanced Oil Recovery)技術や人工
者を押しのけることは間違っていると
ともに、同氏をモデレータに据え、パ
<1 日目:基調講演 >
考える。
ネリストとして迎えた日本企業および
・オマーン国 石油・ガス大臣:H.E.
世界経済はさまざまな要因で苦しん
政府有識者の方々より、停滞する油価
Dr. Mohammed bin Hamad Al
でいるが、その一つは油価の下落にあ
市場で求められる技術と事業戦略等、
Rumhy
る。油価が下落すれば、世界の経済も
停滞する。需要量以上に原油を供給す
ることは非常に危険であり、限りある
資源を活用するためには責任ある開発
が必要となる。
油価下落は産業を停滞させるだけで
なく、投資をも後退させ将来の石油天
然ガスの供給への影響も出かねない。
エネルギーを生産し輸出するのは、エ
ネルギーに恵まれた者の責任である。
この責任は自国民だけでなく、世界に
対してある。エネルギーにアクセスで
きることは人間一人ひとりの権利であ
り、真剣に取り組むべき課題である。
・アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ
国営石油会社(ADNOC), Deputy
出所:JOGMEC
写1 講演会場
Director, Exploration &
P r o d u c t i o n D i r e c t o r a t e:M r .
2016.3 Vol.50 No.2 62
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
Yasser Saeed Al Mazrouei
ADONC では R&D にも力を入れてお
Technological Innovation,
ADNOC は、世界の石油供給の 7 %、
り、 例 え ば JOGMEC と は 2 0 0 9 年 よ
Research & Development,
ガス供給の 3.2 %を生産しているアブ
り下部ザクム油田での CO2-EOR 技術
Exploration & Production:Dr.
ダビ首長国連邦の国営石油会社であ
の研究を行っている。R&D を行うに
Yves Guenard
り、 上 流 か ら 下 流 ま で 一 貫 し た バ
あたっては、世界で最も HSE(Health,
Total での技術開発には長い歴史が
リューチェーンを構築している。現在
Safety & Environment)を考慮して革
ある。
多くの巨大プロジェクトが進行中であ
新をもたらすことを目標にしている。
一言に技術革新といっても、単に新
り、そのなかの一つが中東地域でも高
ADNOC は日本をはじめとした世界
技術の開発にとどまらず、ロボティク
濃度酸性ガスを有している Shah ガス
中のパートナーとの強固な関係を持続
ス技術の移転に見られるように他の業
田の開発である。
し、生産を向上させるための最先端の
界で使われている技術の適用も含む、
また、グループ全体で 5 万人もの従
技術にも注目している。これからも
資源開発分野への初適用ということが
業員が働き、特に人材育成には力を注
UAE 発展のため、野心的にクリーン
革新の意味である。現下の情勢におい
いでいる。石油エンジニアを輩出する
かつ安全な開発生産技術を研究開発
て、技術革新の醸成はこれまでになく
Petroleum Institute をはじめとしたこ
し、操業現場で活用したい。
重要となっている。
EOR 技術が時間とエネルギーの効
れらの人材育成は、日量 3 5 0 万バレル
の目標を達成するために重要である。
・ T o t a l 社 , S e n i o r M a n a g e r , 出所:JOGMEC
写2
率化を可能としたかつての例をとって
出所:JOGMEC
JOGMEC理事長河野博文による
フォーラム開会の挨拶
出所:JOGMEC
オマーン国、H.E. Mohammed bin Hamad
写3 Al Rumhy氏
出所:JOGMEC
アブダビ国営石油会社(ADNOC)、
写4 Yasser Saeed Al Mazrouei氏
63 石油・天然ガスレビュー
写5 Total 社、Yves Guenard氏
エッセー
・ JX 日鉱日石開発株式会社 常務執
も、技術革新はビジネスに新たな価値
化するにつれて、エネルギー消費も当
を生み出し、HSE を向上させ、コス
然鈍化してくる。しかし、それ以外の
トを削減できることが分かる。Total
世界、中東やインド、東南アジアでの
現在 JX 石油開発(株)は、JOGMEC
では、ロボティクス技術を用いてこれ
エネルギー需要が大きく伸びると予測
とともに CO2-EOR の技術開発を行っ
を実現しようとしている。しかし、ビ
される。2 0 4 0 年時点でもエネルギー
ている。2 0 1 0 年前後からベトナムで
ジネスに革新をもたらすことは非常に
供給の 4 分の 3 は化石燃料によると予
の CO 2 -EOR プ ロ ジ ェ ク ト や
大きなチャレンジとなる。また、大き
想され、エネルギーの獲得競争が安全
Hydrocarbon Gas EOR のプロジェク
なリスクを取ることにもなるので、そ
保障上大きな課題になる。特に油価が
ト、そして昨年からアメリカの CO2-
のため組織体制も整え、さらに技術を
今のように下がると、長期的には投資
EOR プロジェクトにも参加している。
売り込めるマーケティング能力を重要
不足によって供給不足が起こる可能性
ベトナム・ランドン油田では、さら
視しながら、最先端技術の導入を推進
が十分あり得る。
にケミカル EOR を対象に、2 0 0 7 年よ
している。
また IEA の技術予想は、二酸化炭
り Petrovietnam、JOGMEC、JVPC(日
素(CO2)の排出を抑えて大気温の上昇
本ベトナム石油)の3社で共同スタディ
< 特別講演 >
を 2 度以内に抑えるというシナリオを
を行っている。3 倍以上の原油回収量
・公 益財団法人 笹川平和財団 理事
実現するためには、技術開発と大変な
が 期 待 で き る が、CAPEX(Capital
努力が必要であると示している。エネ
Expenditure:設備投資関連の資本的
油価の下落は、世界経済にとってよ
ルギー政策の転換点にある今、他国と
支出)が非常に大きくなってしまうこ
い面もあるかもしれないが、世界情勢
の電力融通が難しい日本では、自給率
とがネックである。低油価下でもプロ
が不安定である上に、温暖化対策の枠
向上のため原子力発電の復権があると
ジェクトが推進できるように、CCS
組みについて話し合う COP2 1(気候
しても、日本のエネルギーミックスに
(C a r b o n d i o x i d e C a p t u r e a n d
変動枠組み条約 第 2 1 回締約国会議
おいては大規模な再生エネルギーの創
Storage:二酸化炭素の回収・貯留)コ
生が必要になってくる。
スト、回収装置コストを低減し、また
での決定事項の内容によっては、エネ
二酸化炭素を減らすため、エネルギー
設備の配置や流体の掃攻効率について
ルギーの供給、消費に非常に大きな制
安全保障のためにも、IEAは原子力が
もさらなる検討を重ねている。
約を与える可能性がある。
非常に重要だと言っている。また、使
IEA の World Energy Outlook 2 0 1 4
用済み燃料、原子力廃棄物をどう処理
・千代田化工建設株式会社 代表取締
に示された将来のエネルギー需要によ
するのかなどについても話し合わなけれ
役副社長 執行役員:中垣 啓一氏
ると、OECD、先進国のエネルギー需
ばならない。とはいえ、原子力だけでな
LNG ガス分野は千代田化工建設(以
要は今後頭打ちになる。中国もこれま
く、メタンハイドレートなど、エネルギー
下、千代化)のコア事業であり、千代
で大きく伸びてきたが、経済成長が鈍
自給率を高める政策が必要である。
化 は 全 世 界 の LNG プ ロ ジ ェ ク ト の
長:田中 伸男氏
〈2015年11月30日~ 12月11日:パリ〉
)
出所:JOGMEC
写6 公益財団法人笹川平和財団、田中 伸男氏
行役員 技術部長:上田 善紹氏
出所:JOGMEC
写7 JX日鉱日石開発株式会社、上田 善紹氏
2016.3 Vol.50 No.2 64
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
40%強に携わっている。現在、
オフショ
開発。技術を実証するデモプラントを
演、各パネリストより講演頂いた後、
ア・アップストリーム分野への進出、
建設し、将来の本格的な水素社会の到
事前に来場者より受けた質問を含めた
および水素ビジネスを含む新規分野の
来に向け、これら技術開発や実証実験
ディスカッションパートに移った。モデ
取り組みを新たな柱として据えている。
を 行 う こ と に よ り、 水 素 バ リ ュ ー
レータ、パネリストの各講演内容およ
海洋技術については日本企業の存在
チェーンに貢献していく。
び質疑応答について、以下に紹介する。
< パネル・ディスカッション:モデレー
・ IHS 社 Vice Chairman:Dr. Daniel
感が極めて小さいというのが実情であ
る。日本政府が策定した海洋基本計画
(内閣府総合海洋政策本部がおおむね 5
タ・パネリスト講演 >
Yergin
年ごとに策定する政府計画)のなかで
1日目最後のセッションとして、
「停滞
技術は、低迷している油価と開発コ
も日本企業の海洋プラント事業参入を
する油価市場で求められる技術および
ストのギャップを埋める重要な役割を
促している。
事業戦略」をテーマに、パネル・ディス
果たすため、本フォーラムの意義は大
千代化は 2 0 1 3 年にイギリスのコン
カッションを設けた。
きい。今回の油価下落の原因の一つと
サ ル テ ィ ン グ 会 社 で あ る Exodus
モデレータには IHS 社の Dr. Daniel
して、米国のシェール革命が挙げられ
Groupと資本提携し、その後イタリア
Yerginを、パネリストには経済産業省
るが、これは技術革新の賜 物。一方、
のSaipem社、
シンガポールのEzra社と、
資源エネルギー庁より藤井資源・燃料
探鉱開発には巨額な投資が必要となる
オフショア・海洋の EPCI(Engineering,
部長、国際石油開発帝石(株)より佐野
ので、新たな技術の導入によって開発
Procurement, Construction and
取 締 役 副 社 長、
Installation:設計・資材調達・建造・
日揮(株)より川
据え付けの請負工事)を行う合弁会社
名代表取締役社
の EMAS CHIYODA Subsea 設立の基
長と、各界を代
本合意に至った。同社の経験を千代化
表する有識者の
のプロジェクト推進能力に加味するこ
方々に登壇頂く
とにより、海洋開発にも長けた総合エ
と と も に、
ンジニアリング企業を目指す。
JOGMEC 理 事
エネルギーセキュリティ、環境、経
長の河野も参加
済性、安全の面で重要な役割を果たす
し た。 本 セ ッ
可能性を秘めている水素エネルギーに
ションは、モデ
関しては、千代化は常温・常圧で水素
レ ー タ の Dr.
を液体の状態にして、大量に輸送・貯
Daniel Yergin
蔵を可能にする“SPERA 水素”技術を
による特別講
た
出所:JOGMEC
たまもの
出所:JOGMEC
写8 千代田化工建設株式会社、中垣 啓一氏
出所:JOGMEC
写9
IHS社、Daniel Yergin氏
65 石油・天然ガスレビュー
写10 経済産業省資源エネルギー庁、藤井 敏彦氏
エッセー
や生産の効率化が求められている側面
の効率を最大 7 5 %向上させ、生産単
にすることである。
価も下げることができた。忍耐強く、
もある。
油価の見通しとしては、しばらく供
給 過 剰 が 続 い た 後 や が て 解 消 し、
・経 済産業省資源エネルギー庁 資
源・燃料部 部長:藤井 敏彦氏
効率的で安全かつ持続可能な体制を整
えるには技術戦略を導入する“INPEX
2 0 1 7 ~ 2 0 1 8 年頃に高水準になると
政府は 2 0 3 0 年度の電源構成を、原
way”
が必要である。これは、過去から
考える。
ペルシャ湾岸地域の産油国は、
子力 2 0 ~ 2 2 %、再生可能エネルギー
学び、あらゆる環境の変化にも耐え得
1 バレル 7 0 ~ 8 0 ドルを見据えている。
の割合を 2 2 ~ 2 4 %にする目標を掲げ
るための最も効率的な方法と考える。
IHS 社ではさまざまな要素を考慮した
ている。これを可能にする技術には、
いくつかのシナリオを考えているが、
低油価によって推進されるものと、低
各企業も同様にシナリオに対して今後
油価のために開発が停滞するものとに
の計画を当てはめて想像してみること
分けられるが、政府としては後者を支
今後必要なのは、
コンベンショナル、
が重要。往々にして、予想外の事態が
援すべきだ。
コストカット、コンサバティブの
“3C”
起こり得るものである。なお、エネル
省 エ ネ 技 術 を は じ め、CCS や CO2
への回帰ではなく、新たな価値の創造
ギー問題解決の根本的なブレイクス
-EOR な ど の 技 術 を 国 内 外 の パ ー ト
につながる革新である。ビッグデータ
ルー(breakthrough:打開策)は今後
ナーと共同で技術開発を行っている。
や IoT(Internet of Things:モノのイ
続くと思われる。
油価の大きな変動を経験している民
名 浩一氏
ンターネット)を利用しながら、より
必ず生じるが、現時点では見通すこと
はできず、しばらく化石燃料の時代が
・日 揮株式会社 代表取締役社長:川
・国 際 石 油 開 発 帝 石 株 式 会 社
効率的な形でのマネジメントや人材育
(INPEX) 取締役副社長執行役員
成も重要。地球環境、生物多様性や新
技術本部長:佐野 正治氏
興国の経済成長、世界の都市化を見据
間企業は、タイムリーかつ速やかな意
これまで、石油開発業界は油価が下
えたエンジニアリングによる対応が求
思決定を重視しているため、情勢の変
落するたびに短期的な目線に立って計
められる。
化を適切に捉え柔軟な対応を取ること
画の変更や人員整理を行ってきた。た
のできる産油国へ投資を増やすに違い
だ、
そのような短期的な目線ではなく、
<パネルディスカッション:質疑応答 >
ない。これからの上流投資には、新技
もっと長期的な視野に立ってあらゆる
■政府の見解として、現在の油価低迷
術の導入により初期コストを減らす取
環境の変化にも耐え得る忍耐強い組織
は日本にとって利益があるか。さら
り組みが重要である。注力すべきこと
になる必要がある。
に民間企業の対応はいかに?
は、I O C や N O C(N a t i o n a l O i l
INPEX では国内の油田開発につい
新しい権益を獲得するいいチャン
Company)が既に成果を上げている規
て T P M(T o t a l P r o d u c t i v e
スであるが、企業は財政的に苦し
格の標準化と、低油価の時代において
Maintenance)
を導入した。危険が発生
い時期なので、そのギャップを政
必要とされる技術の優先順位を明らか
する前に検知し、対応することで生産
府が埋めるべき。(藤井氏)
出所:JOGMEC
写11 国際石油開発帝石株式会社、佐野 正治氏
出所:JOGMEC
写12 日揮株式会社、川名 浩一氏
2016.3 Vol.50 No.2 66
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
価
格が下がると、産油国が提示す
を利用して、輸送パフォーマンス
の見直しも行われているが、そのよう
る参入の条件が有利に変更されて
の理解促進、コスト削減に新しい
な厳しい状況のなかにおいてもやはり
くる傾向が徐々に見える。その際
サービスを、例えば石油会社と
技術は重要だということを参加者は再
は、政府および政府機関としては、
サービス会社が共同でつくってい
認識されたと思う。技術の進歩に向
できるだけ 経 済 的な側面からサ
くよいタイミング。(佐野氏)
かってあくなき挑戦をしていくこと自
ポートして、この機会を長期的な
■イ ランに対する制裁解除は日本に
体が石油天然ガス権益へのアプローチ
視点から生かしていきたい。
(河野)
とってどのような影響があると考え
を図る上で必要不可欠である。
新しい技術開発も必要だが、一方
られるか。
権益確保の参入機会を得るために要
求される資源開発分野の革新的な技術
術やシステムのコストを下げるこ
どを本当に必要としている。大き
は 今 後 よ り 重 要 視 さ れ て い く。
とも長い目で見ると非常に重要。
なビジネス機会であるがため、ア
JOGMEC は日本が誇るさまざまな産業
メリカとの良好な関係が 2 0 1 6 年
の最先端技術を結集し、産油国への技
春に向かってうまく醸成されるか
術開発支援を行うことを目的として、
どうかを注視。(川名氏)
技術ソリューション事業を一昨年に立
(佐野氏)
多様化する LNG の specification に
対応したい。また逆にLNGのマー
ケットをどう考えているか、Dr.
Yergin にお聞きしたい。
(川名氏)
財政状況、人材などを総合して考
えていく。(佐野氏)
・ JOGMEC 技術ソリューション事
上流の事業についても協力できる
業グループ グループリーダー:吉
IHS は 4 ~ 5 年は過剰供給が続く
可能性を探っていくのがわれわれ
澤実
と指摘している。また、このまま
の役割。(河野)
技術ソリューション事業の一つであ
のペースだとアメリカが LNG の
制裁解除がされた場合に、イラン
る研修事業では、産油国の技術者が課
最大の供給者となる公算が非常に
のマーケットに参入しようと考え
題を持ち寄り、それに対してディス
大きい。
(Dr. Yergin)
ている企業に対してできる限りの
カッションやワークショップを通じて
長期契約で輸入することも必要で
支援を行う予定でいる。(藤井氏)
解決策を検討してソリューションを提
あるが、その量が過剰供給になっ
示する。
た場合のリスクも考えなければな
<2 日目:ニーズ・シーズ講演 >
JOGMEC は今後とも石油業界の発
らない。アメリカの動向について
・ JOGMEC 理事 石油開発技術本部
展に資する技術開発を環境に配慮しな
は注意深く見守っていくつもりで
ち上げた。今後も支援を継続していく。
油田参入に関して、再びイランと
■ LNG マーケットの展望は?
イランは、資金、テクノロジーな
で既にあたり前に使われている技
長:市川 真
がら継続して行っていきたい。また、
ある。
(藤井氏)
1 日目の講演を通して、多くの石油
NOC、IOC が直面している技術課題
IoT、あるいはビッグデータなど
会社では投資額の削減や新規事業計画
を、日本の技術を使って解決する動き
出所:JOGMEC
写13 パネルディスカッション「停滞する油価市場で求められる技術および事業戦略」
67 石油・天然ガスレビュー
エッセー
を加速させていきたい。技術開発、人
大 の LNG プ ラ ン ト も 保 有 し て い る。
面積で導入することが可能になった。
材開発なども、今後とも NOC、IOC
また現在は世界初の FLNG(Floating
一方で H2S(硫化水素)の含有濃度が高
との協力的なパートナーシップを強化
LNG)の建設も行っており、2 0 1 6 年
いガス田もあるので、今後これらのガ
しつつ推進していきたい。
初頭に完成予定である。今後も生産量
ス田を開発するため中長期的な視野に
を維持するためには、豊富な未開発の
立って技術を探している。
・ P etronas 社 , General Manager,
CO2 ガス田に着手せざるを得ず、CO2
Development – Sarawak, PRD,
を除去する技術の導入が不可欠。
Malaysia Petroleum Management
Sarawak ガス田では、生産されるガ
プロジェクト部 技術理事 LNG プロ
スの 9 0 %以上が CO2 を 1 0 %以上含ん
ジェクト部 部長:石崎 裕幸氏
(MPM)
:Mr. Handan Ramli
・日 揮株式会社 第 1 事業本部 LNG
Petronas は 1 9 7 4 年に創立されたマ
でおり、LNG として出荷するために
日揮では 1 9 6 0 年から LNG 事業に携
レーシアの国営石油会社で、現在は
は CO2 除去が必要。そのため最新の技
わってきた。昨年 3 月より、Petronas
6 0 カ国で事業を行っている。主な事
術 が 必 要 と さ れ て い る。 こ れ ま で
向けの FLNG プロジェクトに取り組ん
業内容は天然ガスの生産。生産したガ
Petronas では膜技術により CO2 濃度
でいる。FLNG は高額であるが、陸上
ス を LNG と し て 処 理 し て お り、2 9
を低減させてきた。さらなる技術開発
にプラントを建設する場合に生じる地
MTPA(million tons per annum:年
の結果、膜を改良することに成功し、
域住民との交渉が不要といったメリッ
間 1 0 0 万トン)の処理量を誇る世界最
オフショアのプラントにも少ない占有
トもある。安全性要求は厳しいが、考
出所:JOGMEC
出所:JOGMEC
写14 Petronas社、Handan Ramli氏
出所:JOGMEC
写16 国土交通省海事局、前田 崇徳氏
写15 日揮株式会社、石崎 裕幸氏
出所:JOGMEC
Canada’s Oil Sands Innovation
写17 Alliance(COSIA)、John Brogly氏
2016.3 Vol.50 No.2 68
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
え得る全ての事態を想定したシミュ
かに掘り起こすかが課題として見えた。
を自社で使うことができるということ
レーションを実施し、要求に応えてき
実際に海洋支援開発分野に参入しよ
である。これまでの研究開発の結果、
た。 プ ロ ジ ェ ク ト を 通 し て 日 揮 は
うという企業に対しては、技術開発支
COSIA 発足時に設定した各分野にお
FLNG に係る経験を得たので、今後は
援や他国とのトップセールス的なサポー
ける目標数値は、現在はおおむね達成
この経験を基にさらなる難しい FPSO
トを行う予定である。民間企業にはぜ
されている。
(Floating Production, Storage and
ひ海洋開発に積極的に参入してほしい。
オイルサンド業界ではこれまで環境
Offloading System)
、FLNG を進める
意向である。
対策として多くの改善策を講じてきた
・ C anada’s Oil Sands Innovation
が、まだなすべきことは残っている。
今後は FLNG と周辺の設備をまとめ
A l l i a n c e(C O S I A), D i r e c t o r ,
このような改善を促すのは革新的技術
てパッケージとして建造する必要があ
Water:Mr. John Brogly
であるのはもちろんだが、それ以上に
り、また深海開発についても考慮しな
COSIA は 2 0 1 2 年に発足したカナダ
コラボレーションが重要となる。この
がら進めていかなければならないと考
でオイルサンド事業を行う 1 3 企業で
ため、COSIA は世界中から革新的な
えている。
構成される団体で、環境技術の性能向
ソリューションを探し求めている。
上を目指した技術革新・コラボレー
・国土交通省海事局 海洋・環境政策
ションを推進している。カナダは世界
・ BC Oil & Gas Commission, Chief
課 海洋開発戦略室 課長補佐:前田
第 3 位の埋蔵量を有し、その多くはオ
Executive Officer and
崇徳氏
イルサンドによるものだが、資源開発
Commissioner:Mr. Paul Jeakins
海洋資源開発分野や海洋新産業には
に伴う環境への影響が取りざたされる
British Columbia 州(BC 州)は、技
日本政府全体として取り組んでおり、
ようになった。そのため、オイルサン
術革新によりこれまでとは全く異なる
そのうち国交省は、海事関係企業が海
ド企業のトップは、環境技術で競合す
進化を遂げた。1 0 年前は天然ガスを
洋資源開発市場に参入することを支援
ることは業界全体にとって喜ばしい結
輸入する立場にあったが、現在は輸出
する。内容としては、人材育成、国立
果を生まないという結論に至り、その
する立場にある。このような技術の変
の研究開発法人を通した研究や、調査
結果として COSIA が結成された。
化に対して、規制委員会としても柔軟
事業による情報提供などの支援を行っ
現在、水処理・温室効果ガス・廃棄
に対応する必要がある。BC 州では、
ている。
物処理・土地利用の 4 分野で技術開発
現在と将来の展望に基づき新しい法規
海事局では、
各事業の市場規模やシェ
を行っており、特に水処理分野への関
制を制定し、これを継続的に見直し改
ア、世界の主要プレーヤーを分析した
心が高い。COSIA の特徴として、上
訂している。
技術マップを作成した。その結果、ラ
記の 4 分野について開発された技術を
BC 州には未開発の非在来型ガスが
イザーやロープなどには潜在的競争力
参加企業全員で共有できることが挙げ
賦存するため、LNG のポテンシャル
があることが分かり、それらを今後い
られる。つまり、他社が開発した技術
は非常に高い。来 る時のために、BC
出所:JOGMEC
写18 カナダBC州石油ガス委員会、Paul Jeakins氏
69 石油・天然ガスレビュー
きた
出所:JOGMEC
写19 カナダBC州石油ガス委員会、Ken Paulson氏
エッセー
州でもその準備を進めている。今後数
と行った共同スタディの結果から、今
フォームに設置したセンサー間におい
年のうちに推進される技術革新分野は
後 BC 州がガスの生産量を 3 倍に増や
て、正常時の応答モデルを作成し、求
水質・大気に関するものと考えており、
す場合にどのような開発が必要になる
めた予測値と現状値を比較することで
これらプロジェクトは大学とともに取
かが明らかになった。BC 州が他の地
異常の発生を早期検知することが可能
り組んでいる。
今後も政府機関として、
域と特徴的に違う点は、生産水を自然
となる。また、複数のリグ間でデータ
BC 州住民の生活や環境向上のための
環境に戻すことができず、リサイクル
を共有することで、他のリグにおける
技術を確実に導入するための支援を
するかまたは全て地下圧入して廃棄す
不具合の早期検知も可能となる。この
行っていく。天然ガス開発に必要なの
ることになっていることである。その
ように、IT を駆使し設備の異常を早
は BC 州の産官学の協力である。技術
ため、増産に対応できるよう、Oil &
期に検知することにより、掘削や生産
ソリューションは産業のニーズばかり
Gas Commission は 大 学 等 と 連 携 し、
停止による損失を防ぐことができる。
でなく、社会や環境のニーズについて
将来的に生産した水を処分できる地層
も言及する必要がある。
の特定を行っている。
<2 日目:ニーズ・シーズ講演…ロボ
ティクス講演 >
・ BC Oil & Gas Commission, Chief
・日 本電気株式会社(NEC)
執行役
・国 立研究開発法人 新エネルギー・
O p e r a t i n g O f f i c e r:M r . K e n
員 交通・都市基盤事業部長:受川
産業技術総合開発機構(NEDO)
ロ
Paulson
裕氏
ボット・機械システム部 主査:柿
元 祐子氏
シェールガスをはじめとする非在来
NEC では電力や交通関係、金融や
型資源を地下から取り出すときに用い
通信キャリア企業向けのソリューショ
ロボット市場は2035年には9兆7,000
る水圧破砕法では、大量の水を使用す
ンを展開している。技術的には、単に
億円になり、その半分がサービス分野
る。BC 州では、資源開発を行う際の
IT やネットワーク単体ではなく、IT
であると予想される。日本では産業ロ
水の使用量を制限し、真水の使用量を
とネットワークとセンサーの三つの技
ボットから始まりヒューマノイドロ
削減するための方策を常に検討してい
術を融合している。
ボットが盛んに研究されてきた。現在
る。随伴水や地層水、水圧破砕に用い
現在全てのものがネットワークでつ
は、そこから発展しサービスロボット
た水をリサイクルすることで新たな真
ながって、知識や情報の集約のもと新
やフィールドロボットなど、多くの製
水の使用を制限している。また、各事
しい価値を生み出していく IoT という
品に転用されつつある。
業者がフィールドでどれだけの水を使
大きな流れが生じている。一方、資源
現在世界では、ドイツの
「インダスト
用しているかをモニタリングできる
開発分野では大水深や極地など厳しい
リー 4.0」
(Industrie4.0:ドイツ政府が
ウェブサイトも開設した。
環境での活動が増えており、コスト競
推進する製造業の高度化を目指す戦略
一 方、Oil & Gas Commission が
争が激しいなかでより一層の安全性、
的プロジェクト)とアメリカの「インダ
Ministry of Natural Gas Development
高可動性、低コストが要求されている。
ストリアルインターネット」
(Industrial
出所:JOGMEC
写20 日本電気株式会社、受川 裕氏
NEC が 開 発
Internet:エネルギーなど産業の 5 分
し
た SIAT
野を対象としてコンピュータと現実世
( S y s t e m
界をネット上につなぎ産業革命を起こ
Invariant
そうとする動き。企業連合が中心と
A n a l y s i s
なって推進)などの大きな潮流がある。
Technology)技
日本でも、政府主導のもとロボット新
術を活用し、複
戦略がとりまとめられた。NEDOでは、
数のプラントを
ロボット新戦略の一環で、特にものづ
一元管理するこ
くり、サービス事業分野と、インフラ
とで石油・ガス
災害対応分野に注力している。
のプラントの安
NEDO が進める「次世代ロボット中
全性、高可動性、
核技術開発プロジェクト」では、次世
低コストに貢献
代人工知能技術分野、AI(Artificial
できる。例えば
Intelligence:人工知能)の高度化を図
リグやプラット
る技術など、大きなインパクトを与え
2016.3 Vol.50 No.2 70
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
得る重要な要素技術を開発して、新た
予定。適用される分野としては、意思
東日本大震災をさかのぼること 1 0
な分野のロボット需要創出につなげる
決定支援、予測、言語理解などがある。
年前から、日本ではレスキューロボッ
また、プラント
トの研究が盛んに行われていたが、東
メンテナンス分
日本大震災が発生した際、実際に現場
野では、点検作
で活用できるロボットはまだ少なかっ
業や補修改修工
た。そのため産業分野で先端ロボット
事のロボット化
の市場を形成し、そのなかでロボット
が期待される分
が活用されるというサイクルを通じて
野である。
信頼性を獲得することが必要となる。
今後、ドローンの市場が爆発的に伸
出所:JOGMEC
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術
写21 総合開発機構(NEDO)、柿元 祐子氏
出所:JOGMEC
・信州大学繊維
び、2 0 2 2 年までには約 2,0 0 0 億円規模
学 部 機械・
の市場が形成されるという予測がある。
ロボット学系
その主な活躍分野は構造物の老朽化等
機能機械学課
の点検業務である。また、無人航空機
程 准 教 授:
が活用される現場として、農業分野も
鈴木 智氏
考えられる。そういった観点から石油
出所:JOGMEC
写22 信州大学、鈴木 智氏
出所:JOGMEC
写24 三井造船株式会社、永橋 賢司氏
71 石油・天然ガスレビュー
写23 三菱重工業株式会社、大西 献氏
出所:JOGMEC
写25 Total社、Kris Kydd氏
エッセー
業界への応用を考えると、例えばオフ
表
ショアへの生活物資等の運搬や、油田
における大規模な設備やパイプライン
等の点検業務に使えるのではないか。
・三菱重工業株式会社 エネルギー・環
境ドメイン 原子力事業部 機器設計
部 装置設計課 主席技師:大西 献氏
ロボットの開発は 1 9 7 0 年に日本で
最初の原子力発電所が建設された時か
ら続けられている。
現在、三菱重工業では、通常のプラ
ント運転時にも人が近寄れない部分の
補修やメンテナンスを行うことを想定
したロボット開発を行っている。石油
業界への応用を考えると、例えば海底
パイプラインの検査や補修作業があ
る。また、磁石や真空の力で壁をよじ
登るロボットなどは、船舶のような構
造物の外壁などの検査や補修作業に利
用できると考えられる。また、特に防
爆ロボットのもつ技術を組み合わせ
10月28日(水)
■オープニング
10:00~10:10 ▶開会の挨拶
JOGMEC・・・理事長:河野 博文
■セッション1:基調講演
▶オイルマーケットシェア-それは公平な議論なのか
オマーン国・・・Minister of Oil and Gas:H.E.Dr. Mohammed bin Hamad Al Rumhy
▶ADNOCによる持続可能な発展への貢献
・・・Deputy Director, Exploration &
10:10~11:25 アラブ首長国連邦 アブダビ国営石油会社(ADNOC)
Production Directorate:Mr.Yasser Saeed Al Mazrouei
▶Total E&P部門における技術革新
Total社・・・Senior Manager, Technological Innovation, Research & Development,
Exploration & Production:Mr. Yves Guenard
11:25~13:00
可能と考える。
・三井造船株式会社 船舶・艦艇事業
本部 艦船・特機総括部 特機・水中
機器部 昭島分室 主管:永橋 賢司氏
三井造船では、水中ロボット、特に
ケーブルを用いない自律型海中ロボッ
ト、AUV の開発を行っている。
AUV は電源を供給するケーブルが
なく機動性に富むが、活動時間に制限
が出る。このため、事前に航行パター
ンをプログラミングして自律航行す
る。調査や監視作業に適しており、完
全自動で海底敷設パイプの常時監視が
可能となる。搭載した高解像度カメラ
の撮影を画像処理しながら、敷設パイ
プの不具合を抽出できる。充電が必要
となれば、自動お掃除ロボットのよう
に海中ステーションに戻り、充電と
データ伝送を実施する。また、オイル
漏れの検知などの機能も想定される。
昼 食
■セッション2:特別講演
▶嵐の中のエネルギー戦略:持続可能な原子力とは
公益財団法人笹川平和財団・・・理事長:田中 伸男氏
▶JX開発のGas EORへの技術的挑戦~低油価環境への対応~
13:00~14:30 JX日鉱日石開発株式会社・・・常務執行役員 技術部長:上田 善紹氏
▶千代田化工建設の新事業分野への取り組み
・オフショア・アップストリーム事業
・水素事業
千代田化工建設株式会社・・・代表取締役副社長 執行役員:中垣 啓一氏
14:30~15:00
休 憩
■セッション3:Special Speech
15:00~15:40 ▶低油価環境下における技術・事業革新の役割
IHS社・・・Vice Chairman:Dr. Daniel Yergin
■パネル・ディスカッション
▶停滞する油価市場で求められる技術および事業戦略
モデレータ・・・IHS社Vice Chairman:Dr. Daniel Yergin
15:40~17:00 パネリスト・・・経済産業省資源エネルギー庁 資源・燃料部部長:藤井 敏彦氏
JOGMEC理事長:河野 博文
国際石油開発帝石株式会社 取締役副社長 執行役員 技術本部長:佐野 正治氏
日揮株式会社 代表取締役社長:川名 浩一氏
17:30~19:00
て、
プラットフォームの巡回点検など、
災害の時に対応するロボットの開発も
JOGMEC Techno Forum 2015 プログラム
ネットワーキング レセプション
10月29日(木)
■オープニング
▶本講演の趣旨
10:00~10:30 JOGMEC・・・理事 石油開発技術本部長:市川 真
▶技術ソリューション事業の紹介
JOGMEC・・・技術ソリューション事業グループ グループリーダー:吉澤 実
■セッション1:ニーズ・シーズ講演(1)
▶マレーシア・サラワク州での高濃度酸性ガス開発の推進について
Petronas・・・General Manager, Development – Sarawak, PRD, Malaysia Petroleum
Management(MPM)
:Mr. Handan Ramli
10:30~11:50 ▶FLNGプロジェクトへの取り組み
日揮株式会社・・・第1事業本部LNGプロジェクト部 技術理事 LNGプロジェクト部 部長:
石崎 裕幸氏
▶海洋石油ガス開発に関する日本企業のポテンシャル
国土交通省海事局・・・海洋・環境政策課 海洋開発戦略室 課長補佐:前田 崇徳氏
11:50~13:00
昼 食
■セッション2:ニーズ・シーズ講演(2)
▶カナダ・オイルサンド開発における環境負荷低減の促進
Canada’s Oil Sands Innovation Alliance(COSIA)
・・・Director, Water:Mr. John Brogly
▶ブリティッシュコロンビア州非在来ガス開発の成功と課題
BC Oil & Gas Commission・・・Chief Executive Officer and Commissioner:Mr. Paul
Jeakins
13:00~14:40
▶ブリティッシュコロンビア州非在来ガス開発における水利用マネジメント
BC Oil & Gas Commission・・・Chief Operating Officer:Mr. Ken Paulson
▶石油・ガス生産施設向け IoTソリューション ~プラントモニタリングにおけるビッグデータ分
析技術の活用~
日本電気株式会社・・・執行役員 交通・都市基盤事業部長:受川 裕氏
14:40~15:10
休 憩
■セッション3:ロボティクス講演
▶日本でのロボティクス分野開発戦略および開発の現状
・・・ロボット・機械シ
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
ステム部 主査:柿元 祐子氏
▶日本の大学におけるロボティクスの動向-ロボット市場の形成に向けて-
信州大学・・・繊維学部 機械・ロボット学系 機能機械学課程 准教授:鈴木 智氏
▶三菱重工業のロボット技術への取組み状況および当社ロボット技術のE&P分野への適用可能性
15:10~16:50 三菱重工業株式会社・・・エネルギー・環境ドメイン 原子力事業部 機器設計部 装置設計課
主席技師:大西献氏
▶三井造船の水中ロボット
三井造船株式会社・・・船舶・艦艇事業本部 艦船・特機総括部 特機・水中機器部 昭島分室
主管:永橋賢司氏
▶資源開発におけるロボット技術の取組みと戦略
Total社・・・Head of Prospective Lab Robotics, Research & Development, Exploration &
Production:Mr. Kris Kydd
出所:JOGMEC
2016.3 Vol.50 No.2 72
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
一方、パイプライン内では、小型のパ
え、自律型ロボットの製作を競うコン
Techno Forum 2 0 1 5 では規模を拡大
イプ内点検ロボットによる内部からの
ペの開催に踏み切った。これまでロ
し、さらに展示会場を講演会場の隣に
検査や肉厚計測など、詳細な調査が可
ボットはこのようなステップを踏んで
配置することにより利便性を向上させ
能である。
開発されてきた経緯があり、チャレン
た。昨年と比較して、展示ブース数は
ジをすることでコラボレーションを生
1 9 から 2 3 ブースに、出展企業数は 2 3
んできた。
社から 3 1 社に、展示会場もほぼ 2 倍
Lab Robotics, Research &
ロボットは既に医薬業界、製造業で
の広さに拡張し、日本の誇る最新かつ
Development, Exploration &
用いられているが、石油産業での実績
バラエティに富んだ技術力を結集した
Production:Mr. Kris Kydd
がない。その大きな理由として、防爆
展示会となった。
Total では 2 0 1 3 年にロボティクス
仕様に対応していないことが挙げられ
今 回 は JOGMEC Techno Forum
研究に対するニーズを特定した。ロ
る。日本の方々には、このことを真剣
2 0 1 5 の公式ホームページ上で出展者
ボット導入により、作業に従事してい
に考えてほしい。そうすれば、他国よ
を募集し、技術ソリューション事業の
る人員のリスク軽減を目的としてい
り一歩先に進むことができると考え
プロジェクト実施企業を中心とする、
る。また、操業面でコストを削減した
る。石油業界へのロボティクス導入に
公募に応じた企業の展示エリア16ブー
り、効率や生産性を上げることが可能
は非常に大きなポテンシャルを感じて
ス(2 4 社)に加え JOGMEC プレゼンツ
になる。現在既にフレア検査に用いら
いるが、防爆仕様にすることは初期デ
として、ロボティクス特設コーナーを
れており、将来的には人間が従事でき
ザインの時点で考慮に入れるべき要素
7 ブース(7 社)設け、ポスター展示のほ
ないような環境においてロボットが自
である。日本では、東日本大震災と福
かに、模型や実機等、視覚、聴覚に訴
律したシステムにのっとって操業して
島第 1 原発での事故以来、放射能に関
えた多様な展示物で、来場者の興味を
いる姿も見据えている。
する事項がロボットデザインの重要な
引き付けた。とりわけ、講演者による
また、Total では、大水深での開発
ファクターになっていることから、こ
見学ツアーも実施した初日の昼休みの
におけるロボット適用を考え、特にパ
の例を防爆にも適用できないかと考え
時間帯は身動きもできないほどの大盛
イプライン検査や漏れ検知などへの適
ている。
況となり、なかでも、大型のドローン
・ T otal 社、Head of Prospective
用を想定している。かつて、北海の生
産現場で緊急事態が発生した際、全て
を目の当たりにした Dr. Daniel Yergin
(2)
企業展示
の驚いた表情が印象的であった。
の人員を避難させ検査に入るまでに
昨年のフォーラムで新たに導入した
ロボティクスコーナーでは、空・陸・
1 1 日間を要した。ロボットを投入す
企業展示は、来場者より好評を博し、
海で活躍するさまざまなロボットを展
ることでこの期間を大幅に短縮できる
大変盛況であった。
示。2 0 1 1 年 3 月に発生した東日本大
と考えている。
企業展示の継続と規模の拡大を希望
震災による福島第 1 原発事故の際にも
Total では、このような背景を踏ま
す る 声 も 聞 か れ た た め、JOGMEC
現場で活躍したロボットや超高感度カ
出所:JOGMEC
出所:JOGMEC
写26 企業展示会場
73 石油・天然ガスレビュー
写27 企業展示会場でのブースの様子
エッセー
メラ、非接触給電等の要素技術も展示
来場者はもちろんのこと、展示者サ
している。これは、JOGMEC の活動の
した。
イドからも、本展示会場がニーズと
PR 等を目的としており、毎年多くの来
シーズの「出会いの場」となった
場者の関心を集め、初回の一昨年は、
だけでなく、
“シーズ×シーズ”
石油天然ガス部門の紹介を実施。2 回
のコラボレーションによる、よ
目の昨年は、石油天然ガス部門に加え、
り付加価値の高い技術の発展に
金属・石炭・地熱部門がそれぞれ独立
もつながり、非常に有意義で
したテーマで各部門の事業および技術
あったとのコメントが多数寄せ
開発の紹介を行った。そして、3回目と
られた。その一方で、展示ブー
なる今回はJOGMEC各部門の技術の種
スのスペースを広くしてほしい
類や特徴を横並びに展示することで、
とのリクエストや、講演のオマ
外部からの来場者だけでなくJOGMEC
ケ的位置づけではなく展示その
職員にもそれぞれの技術の違いや、転
ものにも重点を置くべきとのご
用の可能性について気づきを得るきっ
意見も頂いた。
かけとなることを目指し、JOGMEC 全
次回開催時には、これらのコ
体の事業概要および「探査技術」
「水処
メントを吟味し、さらにグレー
理」
「操業支援」を大きなテーマとして、
ドアップした展示会にすべく工
ポスターを作成、掲示した。
夫を重ねていきたい。
主に講演時間の休憩中に来場頂いた
方々と、資源開発における自社技術の
(3)JOGMEC 展示
出所:JOGMEC
写28 JOGMEC展示前での意見交換
適用についてディスカッションするこ
初回開催の JOGMEC Techno
と が で き た。JOGMEC Techno
Forum 2 0 1 3 より、講演会場横
Forum は石油天然ガスを対象とした
のホワイエで「JOGMEC 展示」と
フォーラムではあるものの、それぞれ
銘打ったポスター展を同時開催
の資源を対象とした技術を横断的に転
用することで、資源開発現
場における課題解決を目指
しており、その一つのきっ
かけとなれば幸いである。
Resource Exploration Technologies
(Sea)
(4)アンケート結果
冒頭で紹介したとおり、
Remote Sensing
Oil slick analysis by satellite images
shows oil spills from the seabed.
Electrical /
Electromagnetic Survey
Seismic /
Acoustic Survey
Structures beneath the seabed are
surveyed by bouncing sound waves
off the seabed before receiving them
with several streamer cables.
Drilling / Sampling
AUV / ROV
Survey
Rock and ore samples on or under the
seabed are collected to confirm the extent
of deposits and mineral resources.
The states of the sea and
seabed are surveyed using
underwater robots.
Oil / gas reservoirs are surveyed by
controlled-source electromagnetic method.
りながらも、対象を特定分
Onboard
drilling
machine
system
Air gun
Offshore
drilling rig
AUV
ROV
survey
野の関係者にとどめず、業
種・分野の垣根を越えた幅
Benthic
multi-coring
system
Acoustic wave
Receivers
(OBEM)
Oil / gas reservoir
の石油天然ガス・資源開発
に関する国際イベントであ
Streamer cable
Oil slick
Transmitter
本フォーラムは日本で唯一
広い層の方々に門戸を開い
Mineral
deposit
ている点が大きな特徴と言
Methane hydrate
Mineral deposit
Oil / gas reservoir
える。来場者の方々にとっ
て、この点が本フォーラム
JOGMEC Techno Forum 2015
の魅力の一つであると捉え
て頂けているのではないだ
出所:JOGMEC
図2 展示ポスターの一例…海洋資源探査技術
ろうか。毎回実施している
参加者アンケートの集計結
2016.3 Vol.50 No.2 74
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
果やコメントからは、年々「リピー
・ H ighlights on the links between
ター」が増えており、その方々のクチ
needs and solutions were clearly
コミにより新たなニーズ・シーズの原
explained.
う。今後も続けてほしい。
< 講演者・出展者からの主なご意見・
石となり得る新規参加者が増加してい
・石油開発への適用、ないしはそのヒ
ることが見て取れる。そして、そのこ
ントが示されている講演を評価した
とが開催目的の一つでもある「出会い
いと思う。
コメント >
・ J OGMEC conference in Tokyo:
Technology for low cost oil world.
の場」の提供に大きく寄与し、講演者
Great discussion. Importance
や展示出展者にとってもより魅力を感
■企業展示会・ロボット展示会について
underlined by over 1,0 0 0 people
じて頂けるようなフォーラムとして、
・ロボットからケミカルまで、幅広く、
registered.
回を重ねるごとに成長を実感できてい
興味深かった。
・さまざまな分野の企業が展示してお
ることをありがたく思う。
この場をお借りして、本フォーラム
り、当社の needs に合う技術に出会
の成功を支えてくださっている来場
うことができ、よかった。
者・講演者・出展者の方々に改めて感
・石油ガス関連とは言いながら、トピッ
クスが多岐にわたっており、こうした
国際会議はなかなかないと思う。
・大変盛大なフォーラムで、業界のト
レンドや各国の動向などを把握する
謝の意を表するとともに、アンケート
■ JOGMEC ポスター展示について
よい機会になった。また、関連企業
等で頂戴したご意見・コメントの一部
・ JOGMEC の技術・ノウハウ・取り
との交流の場ともなり、今後の業務
をご紹介したい。
組みなどを紹介する場として活用さ
れており好感がもてた。
< 来場者からの主なご意見・コメント>
・説 明の方が丁寧に話してくれたの
■講演 / パネルディスカッションにつ
で、理解しやすかった。
いて
の一助になると考えている。
・講演において石油業界最新の情報収
集などができ、今後の製品開発と新
規ビジネス開拓で役に立つと考える。
・普段の業務ではお会いできない方々
・低油価環境における技術革新の必要
性が時勢にあったテーマで非常に考
■フォーラム全体について
や、接点を持つすべもない業界の
・ 2 0 1 4 年も参加したが、このフォー
方々との交流を持つことができ、感
ラムは大変勉強になる。今後も続け
え深い内容であった。
・パネルディスカッションを含め大変
内容の濃いものであった。講演の進
てほしい。
謝している。
・こ れまで直接 PR できなかった企業
・他業者の技術が融合する機会を与え
とも接触することができ、自社の技
る本フォーラムは貴重であると思
術をさらに多数の分野に紹介する非
行も大変スムーズに行われた。
常に貴重な機会となった。
その他
11%
資源開発
9%
これらの他にも、改善すべき点や要
サービスカンパニー
6%
マスコミ(報道・出版)
2%
望、今後のフォーラム開催に向けた各
種提案まで、非常に多岐にわたる貴重
な意見やコメントを多数頂いており、
官公庁・団体
7%
エンジニアリング企業
7%
本フォーラムの運営と成長がこのよう
な声に支えられていることをしみじみ
大使館
3%
新素材メーカー(化学)
6%
あったが、いずれも真摯に受け止め、
研究機関・大学
7%
IT、エレクトロニクス
5%
今後の企画立案に生かしていきたい。
次回の開催についての詳細は今後協
商社
6%
議・検討を進めていくことになるが、
コンサルタント
7%
宇宙
1%
出所:JOGMEC
と感じている。なかには厳しい意見も
水処理・ガス処理
2%
造船・重工
3%
電力・ガス
4%
その他メーカー
(製薬、精密機器、産業機器等)
14%
図3 参加者内訳(業種別)
75 石油・天然ガスレビュー
今回もっとも多く頂いた「今後もこの
フォーラムを継続してほしい」という
ご要望こそが、運営担当者の背中を押
し、次期開催の原動力となる。
エッセー
実施している企業も多くなっており、
石油天然ガス・資源開発分野を対象と
JOGMEC として何らかの情報発信を
する国際フォーラムとして JOGMEC
企図したものであるが、上流事業に携
Techno Forum を推進し、また、技術
3 回 目 を 迎 え た JOGMEC Techno
わるものは、短期的な油価の価格変動
ソリューション事業を通じて産油国・
Forum 2 0 1 5 は、Dr. Daniel Yergin
に影響を受けることは避けがたいとし
産ガス国等との関係のさらなる強化を
をはじめとする講演者陣および企業展
ても、将来的な供給量減少を見越して
図り、日本企業のビジネスチャンスを
示各社の協力のもと、多くの方々に来
投資判断は長期を見据えてなされるべ
拡大すると同時に、資源・エネルギー
場頂き、成功裏に終了することができ
きと考えている。また、厳しい状況の
の安定供給のために貢献していく所存
た。特にフォーラム初日のパネルディ
打開にはやはり技術がベースにあり、
である。今回来場頂いた皆様のみなら
スカッションでは、モデレータの 経済性の向上や権益の獲得・維持には
ず、他分野を含む多くの方々に、今後
Dr. Daniel Yergin を中心に中身の濃
絶え間ない技術への挑戦が必要である
も JOGMEC Techno Forum をご自身
い議論が展開され、他の講演と併せ、
ことを再認識している。今回フォーラ
のコミュニケーションの場として利用
聴講した来場者には満足して頂けたと
ムに来場頂いた方々が本フォーラムを
して頂けることを願うとともに、今回
感じている。
通じて現状のビジネス環境の理解と何
のフォーラムに協力頂いた講演者およ
今回のフォーラムでは、テーマとし
らかの前向きなヒントを得てくだされ
び企業関係者の皆様に厚く御礼申し上
て低油価環境を取り上げた。一昨年来
ば幸いである。
げたい。
の油価下落を受け、
投資の削減を検討・
JOGMEC は、今後も日本で唯一の
おわりに
※役職名、肩書は開催当時のもの。
【参考】
1. JOGMEC ニュースリリース 2 0 1 3 年 8 月 5 日 「技術ソリューション事業 技術開発テーマの決定~平成 2 5 年度技術
ソリューション事業公募採択のお知らせ~ http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_1 0_0 0 0 0 3 2.html
2. JOGMEC ニュースリリース 2 0 1 4 年 8 月 2 9 日 「技術ソリューション事業 技術開発テーマの決定~平成 2 6 年度技術
ソリューション事業公募採択のお知らせ~」
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_1 0_0 0 0 1 3 2.html
3. JOGMEC ニュースリリース 2 0 1 4 年 1 0 月 7 日 「技術ソリューション事業 技術開発テーマの決定~平成 2 6 ~ 2 7
年度技術ソリューション事業フェーズ 2 公募採択と事業開始のお知らせ~」
http://www.jogmec.go.jp/news/
release/news_0 1_0 0 0 0 6 5.html
4. JOGMEC ニュースリリース 2 0 1 5 年 6 月 1 9 日 「技術ソリューション事業 技術開発テーマの決定~平成 2 6 ~ 2 8 年
度フェーズ 2 案件公募採択と事業開始のお知らせ~」
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_1 0_0 0 0 2 1 8.
html
5. 石油・天然ガスレビュー 2013.7 Vol. 47 No. 4 p.1 ~ 13 「JOGMEC 技術ソリューション事業の紹介 ―わが国の先端・
先進技術を取り込んだ産油ガス国等との関係強化―」(末廣能史、増子芳範、水谷健亮) https://oilgas-info.jogmec.
go.jp/report_pdf.pl?pdf=2 0 1 3 0 7_0 0 1a % 2epdf&id=4 9 3 3
6. 石油・天然ガスレビュー 2 0 1 4.7 Vol. 4 8 No. 4 p.3 7 ~ 5 3 「技術ソリューション事業の今後の展望:カナダ環境技術
展示会 GLOBE2 0 1 4 への出展を通じて」
(水谷健亮、加藤是威) https://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.
pl?pdf=2 0 1 4 0 7_0 3 7a % 2epdf&id=5 3 1 5
7. JOGMEC ニュースリリース 2 0 1 4 年 1 1 月 7 日 平成 2 6 年度技術ソリューション研修「Zero Emission コース」開講報
告~ 3 カ国、8 名の技術者が参加~ http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_1 0_0 0 0 1 5 8.html
8. JOGMEC NEWS Vol.4 1 2 0 1 5 年 6 月号 http://www.jogmec.go.jp/library/recommend_library_1 0_0 0 0 0 7 9.html
9. JOGMEC ニュースリリース 2 0 1 5 年 1 1 月 1 0 日 「JOGMEC Techno Forum 2 0 1 5 開催報告」 http://www.
jogmec.go.jp/news/release/news_0 6_0 0 0 0 6 7.html
1 0. JOGMEC NEWS Vol.4 1 2 0 1 5 年 1 2 月号 http://www.jogmec.go.jp/content/3 0 0 2 7 1 2 2 5.pdf
1 1. JOGMEC Techno Forum 2 0 1 5 公式ホームページ http://techno-forum.jogmec.go.jp/index.html
2016.3 Vol.50 No.2 76
JOGMEC Techno Forum 2015 開催報告
執筆者紹介
三好 啓介(みよし けいすけ)
学 歴:1995年3月、神戸大学大学院 工学研究科 化学工学専攻修了。
職 歴:同年4月、日揮株式会社入社。主にプロセス設計を担当した後、2007年10月、石油天然ガス・金属鉱物資源
機構(JOGMEC)入構。東シベリアプロジェクトチームに配属。2011年4月、JX日鉱日石開発(現・JX石
油開発)に出向し、マレーシア洋上開発プロジェクトに従事。2014年10月、JOGMEC復帰後、技術ソリュー
ション事業グループに配属(技術部開発技術課併任)。主に重質油改質技術開発等に関わるとともに、
JOGMEC Techno Forum 2015運営担当。
趣 味:近所の山をランニング、映画。
近 況:運動後に飲むお酒がおいしいです。飲むために走っているようなものかも。
都築 真理子(つづき まりこ)
学 歴:1999年3月、国際基督教大学教養学部語学科卒業。
職 歴:金融・メーカー等他社勤務を経て、2014年7月、JOGMEC入構。技術ソリューション事業グループ企画チー
ムに配属。2015年4月、テクノフォーラム2015推進チーム併任。JOGMEC Techno Forum 2015運営事務局
担当。
趣 味:リラクゼーションサロンに行くこと、クラシックバレエ。
近 況:年々衰えゆく体力にあらがいつつ、家事育児と仕事の両立に悪戦苦闘中。リラクゼーションサロンでのつ
かの間の癒やしタイムが自分へのご褒美です。
西山 和男(にしやま かずお)
職 歴:1971年4月~2009年11月、日本航空(JAL)。羽田・アテネ・伊丹・羽田・クウェート・成田・本社・シドニー・
福岡・本社。主に空港勤務。最後はオペレーション・コントロール・センターで1日約800便以上の航空機
の運航可否の最終決定者を担当。一番の思い出は大喪の礼・即位の礼の各国VIP特別機の受け入れを担当
したこと。
2009年12月~2014年4月、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO ※組織名称は在籍
当時)
。クリーン・コール部・環境部で契約・検査を担当。
2014年5月、JOGMEC入構。技術ソリューション事業グループ企画チーム。契約・精算担当およびテクノ
フォーラム2015推進チーム、また、ロボットに関する業務に従事。
趣 味:鉄道(内外問わず)。大学時代は鉄道研究会に所属し、D51三重連等を追っかけていました。
近 況:ロボット関連の展示会や企業面談を通じ、若い人に交じって日々リフレッシュ!?「ホルムズ海峡砂景色」
を歌う機会は減ってきました!
今井 利矩(いまい としのり)
学 歴:2014年3月、東北大学大学院 理学研究科 地学専攻 修士課程修了。
職 歴:同年4月、JOGMEC入構。総務部戦略企画室に配属。2015年4月、テクノフォーラム2015推進チーム併任。
技術ソリューション事業グループとJOGMECテクノフォーラムの企画・運営、ニーズ・シーズ調査、水処
理(随伴水・坑廃水)技術調査に従事。
趣 味:吹奏楽、読書、お酒。
おい
めい
近 況:どの楽器を購入しようか、いつ甥と姪をディズニーに招待しようか思案中。
河野 裕人(こうの ゆうじん)
学 歴:2015年3月、早稲田大学大学院 先進理工学研究科 応用化学専攻 修士課程修了。
職 歴:同年4月、JOGMEC入構。技術ソリューション事業グループ 技術開発チームに配属。重質油改質・ロボッ
トに関する業務に従事。
趣 味:バイオリン演奏(オーケストラ)、読書、旅行。
近 況:既に花粉症に寝つきを妨害され悩んでいる今日この頃。
芝 正啓(しば まさよし)
1991年生まれ。東京都出身。
学 歴:2014年、慶應義塾大学経済学部卒業。
職 歴:2014年4月、JOGMEC入構。総務部戦略企画室配属。JOGMEC Techno Forum 2014、同2015の企画運営、
LNGやレアアースなどエネルギー市場の調査分析、重質油改質業務等を担当。2015年2月、調査部エネル
ギー資源調査課併任。
趣 味:野球・テニス等スポーツ全般(観戦含む)、旅行(国内・海外問わず)、音楽・映画鑑賞。
近 況:昨年より一人暮らしを始め、1日3食で健康に生きることのありがたさを痛感している。
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