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「遊戯」としてのビデオゲームの研究プロジェクト
3.5.5 研究プロジェクト活動報告 Web 活用技術研究⑤ 「遊戯」としてのビデオゲームの研究プロジェクト (a) メンバー 【事業推進担当者】上村雅之 収録ゲーム:Grand Theft Auto III 対象:立命館大学映像学部有志 19 名 【PD】尾鼻崇 男性:10 名、女性:9 名 【その他】小孫康平、川崎寧生 (b) 研究目的 20 世紀第二次世界大戦後に誕生した「ビデ オゲーム」を新しい「遊戯」として捉え、様々 な角度からその遊びとしての側面を明らかにす ること。 以上の収録では、ビデオゲームの映像・音声 と、コントローラーの操作情報を記録した。同 時にプレイヤーの脈派を測定し、また、収録後 にインタビューを実施することによって、ビデ オゲームの多様なプレイ方法を分析するための 情報の記録を試みた。以下がその手順となる。 (c) 本年度の成果 本年度は、1.ビデオゲームのプレイ情報収 ①収録の目的等を説明し、「同意書」を回収す 録、2.GCOE ビデオゲーム・カンファレン ②「気分プロフィール検査用紙」に記入を依頼 ス開催の二点の活動を行った。 する。 る。 ③ゲームの操作方法の説明を行い、練習を依頼 1.ビデオゲームのプレイ情報収録 昨年度までの研究成果をもとに、立命館大学 映像学部の学生の協力を得て、ビデオゲームを 実際にプレイした際の様々な情報の収録を行っ た。本年度の収録ゲームソフトウェアは、アク ションゲーム、STG、リズムゲーム、パズルゲ ーム、RPG、ネットゲーム等の候補の中から、 シンプルで自由度が高く、ゲーム内における暴 力行動・表現が包含される Grand Theft Auto III(2001/2003)を選択した。収録の概要は以 下のとおりである。 する。プレイ映像、ボタン操作信号記録装置を スタートさせる。 ④脈波装置を人差し指につけ、脈波が正常に取 れているか確認後、2 分間安静の状態で脈波を 測定する。 ⑤18 分間ゲームプレイを依頼し、 収録を行う。 ⑥ゲーム終了と同時にビデオカメラ、ボタン操 作信号記録装置をストップする。再度 2 分間、 安静の状態で脈波を測定する。 ⑦脈波装置を取り外した後、インタビューを行 い録音する。 ⑧「気分プロフィール検査用紙」、 「収録後調査 日程:2008 年 12 月 1 日、8 日、15 日、22 日 時間:12:50~17:50 場所:立命館大学充光館 CG・ゲームラボ 用紙」に記入を依頼する。 以上の収録過程で記録した情報は次のとおり である。 ①ゲーム映像(miniDV テープ、HDD に記録) 概要は以下のとおりである。 ②ボタン映像(miniDV テープ、HDD に記録) ③ボタン操作履歴(csv 形式で HDD に記録) ④脈波データ(HDD に記録) ⑤プレイ前気分プロフィール検査(pdf 形式で HDD に記録) ⑥インタビュー録音(HDD に記録) ⑦収録後アンケート (pdf 形式で HDD に記録) ⑧プレイ後気分プロフィール検査(pdf 形式で HDD に記録) ⑨ゲームボタン映像(①と②の合成映像、HDD に記録) 以上の情報をビデオゲーム研究のための基礎 資料として研究者間で共有するために、データ ベースを現在構築中である。 第一部 シンポジウム 《ビデオゲームをいかに学問するか―》 【パネリスト】 上村雅之(立命館大学大学院教授/任天堂アド バイザー/元・任天堂第二開発部部長) サイトウアキヒロ(立命館大学映像学部教授/ 2.GCOE ビデオゲーム・カンファレンス 第1回ビデオゲーム・カンファレンスは、上 村雅之、尾鼻崇両名をオーガナイザーとして、 2009 年 2 月 2 日に立命館大学アート・リサー 株式会社ダイス取締役) 小孫康平(関西国際大学人間科学部教授) 中島誠一(早稲田大学・東京工芸大学非常勤講 師/元・ニッポン放送) チセンターを会場に開催した。参加者は学内外 【司会】 から約50名が集まった。 細井浩一(立命館大学映像学部教授) カンファレンスの統一テーマは「遊びとして のビデオゲーム」であり、ビデオゲームを遊戯 第二部 ワークショップ 史・遊戯論の中に配置し、教育学や脳科学とは 《ビデオゲームを学問してみる》 異なる文脈からのビデオゲーム研究をめざした。 【コーディネーター】 吉田寛(立命館大学大学院准教授) ターや研究協力者が、ゲームの感性的次元を分 【研究協力者】 析するための視点(空間・運動・音・音楽・対 尾鼻崇(立命館大学衣笠総合研究機構 PD) 戦)を提示し、フロアの参加者からの積極的な 川崎寧生(立命館大学大学院博士前期課程) 意見を取り入れつつ議論を展開した。 以上の構成で、カンファレンスを行うことに 第一部では、 「ビデオゲームをいかに学問す よって、立命館大学を基点としたビデオゲーム るか」をテーマにシンポジウムを催した。4 名 学確立への大きな一歩を踏み出すことに成功し のパネリストが遊戯史・遊戯論、心理学、メデ たと思われる。今後も同規模のカンファレンス ィア論など多様な観点からビデオゲームの「学 を年間 2、3 回開催していく予定である。 問」を提示した上で、フロアを交えたディスカ ッションを行った。 (d) 論文・学会発表以外の活動の記録 特になし。 第二部のワークショップでは、コーディネー (e) 業績一覧 〈論文〉 【審査付き】尾鼻崇「マックス・スタイナーの映画音楽における「ミッキー・マウシング」の手 法」,コア・エシックス, 5, pp.25-34, 2009 年 3 月 【審査付き】尾鼻崇「家庭用ビデオゲームにおける「音楽」の誕生-ファミリーコンピュータと『ド ンキーコング』を中心に-」,コア・エシックス, 5, pp.35-45, 2009 年 3 月 【審査付き】尾鼻崇「ビデオゲーム黎明期におけるゲームサウンドの諸相-『スペースインベー ダー』 (1978)の考察を通じて―」,アート・リサーチ, 9, pp.105-114, 2009 年 3 月 〈招待発表〉 「デジタル映像革命の現場検証~これから何が起こるのか,何を起こすのか?」第 14 回フェロー &マスターズ未来技術研究会シンポジウム, 電子情報通信学会フェロー&マスターズ未来技術 時限研究専門委員会, 大阪科学技術センター(大阪市), 2008 年 6 月 3 日 〈口頭発表〉 尾鼻崇「家庭用ビデオゲームにおける「音楽」の誕生-任天堂「ファミリーコンピュータ」を中 心に-」日本映像学会 第 34 回全国大会, 精華大学(京都市), 2008 年 6 月 7 日 上村雅之、尾鼻崇「遊戯としてのビデオゲーム-ビデオゲームの遊戯情報の記録と保存-」第 25 回 GCOE セミナー, 立命館大学アート・リサーチセンター(京都市), 2009 年 7 月 1 日 尾鼻崇「西洋芸術音楽から「映画音楽」へ ―マックス・スタイナーをめぐる一考察―」美学会 第 59 回全国大会, 同志社大学(京都市), 2008 年 10 月 12 日 尾鼻崇「ビデオゲーム研究のための「ゲームプレイ情報記録システム」 」第 42 回 GCOE セミナー, 立命館大学アート・リサーチセンター(京都市), 2009 年 1 月 13 日 上村雅之「遊戯の歴史からみたビデオゲーム」第一回ビデオゲーム・カンファレンス<遊びとし てのビデオゲーム>第一部シンポジウム,「ビデオゲームをいかに学問するか」立命館大学アー ト・リサーチセンター(京都市), 2008 年 2 月 2 日 〈その他〉 【シンポジウム開催, オーガナイズ, 企画, 講演・イベント実行委員長】 上村雅之, 尾鼻崇「第一回ビデオゲーム・カンファレンス<遊びとしてのビデオゲーム>」立命 館大学グローバル COE デジタル・ヒューマニティーズ拠点上村研究室「遊びとしてのビデオ ゲーム研究プロジェクト」主催, 立命館大学アート・リサーチセンター(京都市), 2009 年 2 月2日 【ワークショップ】 尾鼻崇「ビデオゲームを学問してみる」第一回ビデオゲーム・カンファレンス<遊びとしてのビ デオゲーム>(研究協力者として参画) 【発表要旨】 尾鼻崇 「西洋芸術音楽から 「映画音楽」 へ―マックス・スタイナーをめぐる一考察―」 美学, 223, p.137, 2009