...

低密度ポリエチレンフィルムの大変形領域 における伸長応力緩和挙動

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低密度ポリエチレンフィルムの大変形領域 における伸長応力緩和挙動
1
5
3
低密度ポリエチレンフィルムの大変形領域
における伸長応力緩和挙動
山口拓治・木村
博・柳川昭明
Tens
i
Ie StressRe
laxation Behaviorof Low Density Polyethylene
Fi
I
msat Large Deformation
TakujiYAMAGUCHI. H
i
r
o
s
h
iKIMURA. Teruaki YANAGAWA
(ReceivedS
e
p
.3
0,1
9
6
9
)
S
i
n
c
ev
i
s
c
o
e
l
a
s
t
i
c behavior under l
a
r
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i
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n
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caused on t
h
r
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fm
a
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l
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i
v
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n
swereusedt
oe
x
p
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mentalresu
1
t
s
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t
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v
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b
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l
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u
l
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a
l
c
u
l
a
t
e
dandwerecomparedw
i
t
ha
c
t
u
a
l
d
a
t
a
.
言
1 緒
結晶性高分子材料では常温においてその力学的性質
は
,
1%ほどのひずみを加えた場合に線型粘弾性挙動
からずれて,従来のフック弾性,ニュートン粘性に基
ずし、た線型粘弾性理論で記述することはできなし、。
l
o
nK-3217 (三菱油化製〉の樹脂ベレットを熱プレ
4
00Cで 1
0
分間溶融させて
ス機で 1
250kg/cm2 の圧力
0
5口 Cまで放冷し,ただちに 2
00 C の水中
を加えて , 1
で冷却し厚さ約 3mmのフィルムを成型し,これを図 1
に示すようなダンベル型に打ち抜き作製した。
線型からのずれの比較的少ない変形領域における結
t
2
0
晶性高分子の非線型粘弾性挙動に関する研究は多い
が 1),
2
),8り それ以上の大変形領域における力学的挙動
に関する研究はほとんど報告されていない。
大変形領域で現われる非線型粘弾性挙動は,弾性お
よび粘性の非線型に原因する以外に,材料が 3次元的
広がりを有し,ひずみや応力がテンソル量であること
も大きな原因であると考えられる o 本報では結晶化度
が小さくてかなり大きな変形のできる低密度ポりエチ
レンフィルムでネッキングが生じない変形範囲で 1軸
図1 試 験 片
単位(州 m
)
伸長応力緩和挙動を測定し,そのひずみ依存性をテン
a
p
a
s
りの構成方程式を使用して検
ソル解析を用いた Z
試料の密度はベンゼンと四塩化炭素の液を用いた密
度勾配管で2
00Cで測定した結果,
討した。
0.91319/cm3 であ
こo
っT
2 実
2・
1 試
験
フィルムの結晶化度は,フィルム,結晶および非結
料
本報で用いた試験片は,分l
技状ポリエチレン Yuka持繊維工学科
晶相の比容をそれぞれ V, Vc および~Va として次式に
よって算出した。その結晶化度 Xcは 4
5.4%となっ
1
5
4
た。
e
a
)
4I
、
II-
Xc
=一
y
'
a-V
c=
一
一一
X100
Va-V
c
み e
l に対してプロットしたものが図 2である o 図よ
.Bueche5)の計算式
ただしVa,Vcは F
i
jはひずみ elに大き
り明らかなようにポアッソン比 e
Vα=1.1520+0.000780t
内凶
Vc=1
.0020+0.000300t
実
験
方
く依存し,また巾方向のポアッソン比は厚み方向のポ
アッソン比より大きしいわゆる異方性を示す。これ
を用いた。ここで tは温度 COC) である。
2・
2
試料厚さ方向のひずみ
を 8箇所の標点ごとに算出しその平均値をとり,ひず
はフィルム成型時に厚み方向に大きな圧力を加えるた
めによって生ずる構造の異方性と厚みと巾の大きさの
法
違いによる寸法効果が重なって原因するものと思われ
試験機,記録計はそれぞれ東洋測器製テンシロン 7
る。図中の曲線は材料が非圧縮性でかつ等方性である
SS7 Dを使用した。図 1において両端 17mmを試
と仮定しひずみの 2次項を考患に入れて求めたポアッ
型.
験機のチャックに把持し,ネッキングの生じない変形
ソン比
3
0
酬の間で 5mm
間隔で、 6種の伸びを
範囲すなわち 5
引張速度 100cm/minで与え,
e=~ーí 1J_l_l
その後の張力変化を
7
0
0
0
秒間記録した口また試料の大略の体積変化,断面
e
l 1
,-
・
・
・
・
・
・
・
・(
4
)
r 1+el)
である o いまこころみに e
lと e
2の平均値をプロット
0
伽
積変化を知るため,図 1に示すようにゲージ長さ 4
してみるとほぼ性)式の曲線上にあり,実験試料は大体
の間にあらかじめ 5mm
間隔の標線をマジックインキで
非圧縮性に近い材料と考えて良い。
記入し,変形前後の標線間距離,試料巾そして厚みを
一方対数ひずみを用いてポアッソン比を定義すると
それぞれ遊動顕微鏡とマイクロメータを用いて測定し
e
'
1
9
=_ ~nÇ 1+e 2? 一一 ~n~2
回 一 l
n
(1+el)-- l
n
A1
って行なった口
el.1R=_Jn(1+ea
〕ー
3
L18-
これを図 3に示すと,
ポアッソン比
徴小ひずみに対して定義されているポアッソン比
e2
e12=一
一
一
一
一
,
e
l
e'
R
=
-~
1
3
一
一
一
一
一
一
性と見なすことができる O
手
3・
2 相 対 緩 日
試料長さ方向のひずみ
図 4は時刻 1
0秒を基準とした相対緩和 1
1(
t
)
/
1
1(
1
0
)
.
。
.
匂;試料巾方向のひずみ
のデータの中で、同一変形を加えた実験グループ内の最
0
.
6
。
ヘ'よい・訴窓
﹄ ム ﹀ 下 phkh
噴出}迫 λ
ω
0.
4
03
ooe
<
?
1'
2
<
?
1
3
t
<
e
l
l
+
<
?
'
S
)
0
.
5
延伸比んによらずほぼ一定の
4
9
8となり,試料は非圧縮
値になり,その平均値は 0.
・
・
・
・
・
・
・
但
)
e
l
ただし
e
l
I
l
叫
l
n
(1+ り -- l
n
A
了J
となり,非圧縮性の場合は常に 0
.
5となり便利である。
実験結果と考察
3・
1
1
)にリ
(
20士 10C
. 湿 度 55土 5%R.Hに保
た 。 実 験 は 温 度2
0
.
5
U ずみ
0
.
4
ε
1
図 2 ポアッソン比
0
.
6
+eω)
• • • • •。 •
@
@
電
曹
a
畠
。 。 。 。
@
。
0
.
4
0
2
0
.
2
e
.
tl
孟
e
e
.
1
3
を<e叫
.
1
0
.
1
2
1
.
4
1
.
6
主主伸n, 入 1
図 3 対数ポアッソン比
1
5
5
1
.
0
0
.
9
.
ρ
l室
、
.
J
b
l'o
0
.
6
2
3
logt(sC
?c
)
4
図4 相 対 緩 和 曲 線
大値と最小値のものをプロットしたものである。ほか
って定義された変位テンソルより導
の測定値は矢印の範囲内にある O 図 よ り 相 対 緩 和 量
σ
(
t
)
1一一一ーは印加ひずみに依存し,ひずみ量の増大と
σ
(
1
0
)
ともに減少する傾向があることが分る O これは本研究
かれる C
aachy-Greenの左ひずみテ
Cir(
t,
..)マトリックス !
C
i
j(
t,.
.
)I
の逆マトリ
t,e
)を
,
のような大変形領域での緩和応力 σベ
下のひず、みの場合に観測されたように 1)
u=uCI1,
I
,
t
-.
)
;C
i
j
(
t,
τ
〉の第 1不変量1
1>第 2不変
z
6
γ
(
t,e
)
=
=
F
(
e
)・
G(t)
5 %以
・・
"
(
6
)
H
とひずみ因子 F(
めと時間因子 G(t)に分離できないこ
ンソル成分(附録参照)
1
ックス成分
量1
tーのの関数
2と (
一般に 1軸伸長 A
.1 を与えた場合,
変形前の質点の
座標を X(X1
,Xz
,X3) とすれば変形後の質点の座標
とを示している O
は,非圧縮性を考慮に入れると
X
l
(
t
)=ん (t)X1
構成方程式
ポアッソン比の項で明らかにしたように,本研究に
X
2
(
t
)=.
Az
(
t
)
X
z一一一 1
" X
一〆石百了
用いたポリエチレンフィルムは非圧縮性で,かつ異方
性材料であるが,異方性はそれほど著しくないのでこ
こでは簡単にするため一応等方性として取り扱う o
X
g
(
t
)=
=
ん (t)X一一_1" X
〆訂石了
3-
と書かれる。 I
C
i
j
(
t,
τ
)1,I
C
i
r
1
(
t,
"
)Iを求めると
。
Zapas
のによれば非圧縮性,均質性かつ等方性粘弾性
材料の構成方程式は
rr
A
A
1
1
2
2
(
(
T
t
〉
O
O
A
A
1
1
(
(
t
T
〉
O
O
t
q
i
j
(t
)= -pdij+2J -~l~空旦Cij(t
.
)
8
1 ,
,
,, .
1
I
C
i
j
(
t,.
.
)1=
-v
ー,..,~u
i
}
(
t
,
τ
)
I
d
.
.
8
12 C
_
.
.
J
'
'
/
J
・
・
・
(
7
)
で与えられる。ここで
q
i
j
(
t
)
時刻 tにおける応力テンソルの成分
p
静水圧
d
i
j
単位テンソルの成分
C
i
j
(
t,
.
) 時 刻 tと Tにおける質点の座標によ
。
。
BIll11Jtill--J
‘
、
3・
3
o 1...・ ・"(9)
H
』
A
1
1
(
(
t
τ〉
〉
A
.1
2
(
.
.
)
A
.1
2
(
t
)
l
c
i
r1(
t,
の 1=
A
.1
(
t
)
ん
c
.
)
・
・
・
・
・
・
・
・(
1
0
)
A
.1
(
t
)
C
.
.
)
A1
1
5
6
大変形弾性における物質定数 8W
/
8
11> 8W
/
a
1
2が,緩
となり C
i
j
(
t
;
r
) の不変量は
和弾性率の場合と同様に時間の関数となる点が異なっ
_ .P(t)LOA
.1(
r
)
1
t;
r
)一一
一(
一
一 +2
一一
一
一
一
1(
A
.2
τ
)
.A
.1
(
t
)
ている o
1
t,
t
'
)=~主立 +2企旦L
2(
2
(
t
)
A
.1
ん(
t
'
)
(
1
1
)
・
-.
1
t,
t
'
)= 1
a(
大変形時の緩和弾性率は前項の議論より
となる o (
1
0
)
式を (
7
)
式に代入すると
f
t
t
111(t)=-p+2!∞
r
え2(
t
) 8u
I~一一一一一
と考えられるので,これを算出しその 1部を図 5に示
1
-~主立 2旦ldt'
す。これより延伸比 Aが増大するにつれ,弾性率のひ
・
・ ・・
.
(
1
2
)
H
2
(
t
) 8
A
.1
12 j
t
1(
t
)
/
e
1で
え2
-1/
めで定義するほうが妥当
定義するより σ(t)/(
J- lA
.12(t
'
) 8
11
t
12
2
(
t
)=
3・4 緩和弾性率曲線
H
ずみによる変化が小さくなってくることが分る o
r
f
t A
.1(t
'
) 8u
-p+2 ! 一 一
一一一
J -∞ lA
.1(
t
) δ
11
Y"I
c
I
lI
OI
¥k
-3212IhellChed
i
11
=0
0
U
弘
、
,
,n U 8a
3βρ
A
.1(
t
) θU t
1
.
,
.
A
.1(τ〉 θ
1
2T
・・
.
.
(
1
3
)
H
となる o (
1
2
)
式より pを間式を用いて消去すると
J~oo暗号-士号][岩
7
.
9
ん(τ)=1
'
t
くO
ドA
.
五281
wmMM
虫4
ー
となる口応力緩和の条件
A
.1(τ)=以
前回
4Ea-高
ん(
t
) 8
12T
臥山司
+~lÇ立並 1ι
87
内l
(
t
)=2
t,
t
'
>0
r
・
・
・
・
・
・
・(
1
日
7
.
8''-:!!-------;!:内
a ι l o g
t(
s
e
c
)J
を間式に代入すると
図 5 緩和弾性率曲線
片=叫寸寄)
側
3・5 .:r.ネルギ一関数
大変形の弾性論においては,エネノレギー関数W に対
となる o ここで
して種々の型が考えられているが,非圧縮性・等方性
W =帆W
附
σ
(
伍
刊
1
12
1.
材料に普通よく用いられているのはり
ただし ~=t 一 r でで、ある O
・
・
・
・
・(
1
功
W =I C
i
j(
11- 3ア(12ー 3)
j
またひずみの不変量は旧)式に代入すると
••••••••
4EE4
)nMU
(
土+2
1
2=
で、ある D 本研究の場合はW は時間の関数であるから,
・
い料寸
A
.
となる o (
1
日式は Zapas
のが提唱するように,時刻 Tくt
T におけるひずみエネルギーがおよぼす影響
と等価であり,その影響の大きさは t'
t に依存し時
刻 tの応力は過去の履歴の寄与の和であることを示し
めの唱え
ている O このような現象論は Coleman-Noll
る粘弾性の一般論に含まれるもので,ただ余効関数と
して
U(
11,12 •
1
) を用い,
3
対するプロット
t
1(
t
)
/
(A
.2-
1/
め の 1/
A
.に
(Mooney-R
i
v
l
i
n プロット〉より判
断し,ここでは
に受けた変形が時刻 tにおける応力におよぼす影響
は,時刻
C
i
ji
ウ2
時間の関数となる o
これがエネルギ一関数W
と(
1
司式の関係があるという点が特徴として挙げられる
ものである口
さらに制式は従来の大変形の弾性論7) において導か
れた式と全く同ーの型式を持っているもので,ただ,
W(t)=C1(
t
)(
11- 3)+C
t
)(
12- 3)
2(
+Cs(t)(
11一3)
(
12 - 3)
・・
.
.
側
H
1
印式に代入して,緩和弾性率を計
までにとどめておき (
算すると
」
卑,A
,
=2fcl(t)十 区 立
A
.2-1/
. -1
r
,
t
J
(T
,
.
.)
¥
'+
1 (
1
1- 3)
i
l
+C8(削(1
2- 3
'
1A
v)
=2{C1
(
t
)-3C
(
t
)+[C
2
ω
s
t
-3Cz(t
〕
〉÷+3Cs〈
.
}
〉 十 + 3 ω)A
.
.
.
.
.
.
.
..
(
2
)
1
1
5
7
となる o ここで C1
C
t
),C2C
t
),および C
a
C
t
)は一応物
らに C
1
C
t
)が C2C
t
)に比例する場合は
質関数と考えられる量である。
とすると
変形が非常に小さい場合には,上式において A
:
:
:
:
:
:
:1
として計算され
1
旦ァ==2{
clCt)+皇位
l
A2-l/A - L
え l
ω
-
・・
H
t
)とひずみ因子
と書けるので,時間因子 C1C
{
1
+引
t=1000sec
/
J_./
,
、
.
CF
h,
3
,
札7
τ了
0
.
8
0
.
9
図6 1
0
秒における MooneyR
i
v
l
i
n プロット
~Iち 6
、
CF
h
,
,
3
E
ζ
E
H
長
ペ
│1
.5
1
.
0
Q
5
0
.
6
L
0
.
7
J
ご
0
.
8
0
.
9
図8 1
0
0
0
秒における MooneyR
i
v
l
i
nプロット
t=7000sec
t::100sec
2
.
5
2
.
5
1
品
切
3
3
m
'
。
~
咽
2
b
1
│
4
火
べ
・
凶
2
.
5
、2.
0
G
5
0
E
6
H
形の大きい領域での緩和応力に寄与することがわか
2
.
5
p
・
・
・
に分離することができる o 以上の考察より C
a
C
t
)は変
Mooney-R
i
v
l
i
n プロットは直線となるロさ
となり
f
卑ァ==2C
t
)
f
1+~1
1C
A
“
- 1/A .
'
"
1
え I
aを比例定数
、
-
R
ぜ
1
.0
a
も
L
'
.
6
0
.
7
ム0.
8
0.5~
0
.
9
入
図 7 100
秒における MooneyR
i
v
l
i
nプロット
0
.
6
0
.
7
>:
0
.
8
0
.
9
図 9 7000
秒における Mooney-R
i
v
l
i
nプロット
1
5
8
‘
る
口
した値となるが
Mooney-R
i
v
l
i
nフ。ロットにおいて最小自乗法を用い
て C1
(
t
),C2 (t). および
Ca(t) を求めた。図 6~ 図 9 は
Caの相対緩和は前者の値と差があ
り若干大きくなることが分る。
に比例するが,
t
)は C1(
t
)
これは C2(
C
a
C
t
)は C1
(
t
)に比例しないことを示
Mooney-Rivlinプロットの 1例を示す。図中の実線は
す
。 Ch C2および Caが比例しないので, 変形の全領
t
),および Ca
(
めを使用して計算し
求めた Ct
(
t
),C2(
域において緩和応力を時間因子とひずみ因子に分離し
た曲線で、ある O 時刻 7
0
0
0秒の変形の小さいところ以外
て記述することができなし、。これは 3・
2項で、述べた
では,実験値と計算値はほぼ良好な一致がみられた。
結果と一致する口しかし変形の小さい領域では倒式が
成立するから分離型となる o このことはすでに本研究
ただ Aの大きいところで計算値のほうは最小値が現わ
れるが,一方実験値のほうは飽和してくる傾向は認め
以下の伸長応力緩和挙動において
に供した試料で 5%
られ, それ以降の値が増加して最小値が現われるか
観測されている九その場合の相対緩和
どうかは断定しにく L、。この不一致はエネルギ一関数
図1
1の中にム印で、書きこんである。これをCh C2の
の1
(
司式を高次展開しでも代数的に最小値が表われる
相対緩和と比較すると,実験条件が若干異なるので長
し,また展開の結果は多くの関数が入ってくるため,
時間では差が現われるが,短時間側では良好な一致が
それらの決定がきわめて困難になるので展開は(制式ま
みられる o よって求めた Ch C2 の値が妥当な値であ
1
1(
t
)
/
I
1
(
1
め
を
れ 白1
)
式は微小変形領域の応力緩和挙動も含めて成立
でで十分と考えられる。
図1
0
は横軸に対数時間を取り,
t
),お
ーC
t
(
t
),C2く
するものと考えてよ L。
、
よび C
a
(
t
)をプロットしたものである o C
1
(
t
)は負,
C2(
t
),C
a
(
t
)は正の値となり,それぞれの絶対値は単
4
調減小する。その減小の仕方はあまり大きな差はない
本報においては低密度ポリエチレンフィルムの大変
結
雷
0
秒を基準
ようであるが,もっと明確にするため時刻 1
形領域における応力緩和挙動を,物体の 3次元性に関
1に示
とした Ch C2,および Caの相対緩和を求め図1
する非線型を考慮、に入れた Zapasの構成方程式から
す。図より C1および C2の相対緩和は,ほとんど一致
出発して解析した口計算値は実験値と良好な一致を示
し,小変形では緩和応力はひずみ因子と時間因子の積
(吋
E
u
¥
4
2守も32)dJFE--
で記述されることが示され,大変形になるとエネルギ
一関数の高次の項の時間関数の影響により分離型が成
。
.
.
。
.・
.
。
.
.。.
r
v
は,ほかの変形形式の粘弾性実験によって確める必要
4
司
・
・・
A・
があり,またこれらの関数の分子論的解釈は流動光学
E
4
logt(sec)
-
、
如
たいと思っている O
e
C
混
Ca
録 4) C
anchy.
・
Greenの左テンソル
k
Xk(k=
1.2,3
)
とする口ただし両者とも Euler座標で
る。また時刻 t,τにおける座標はそれぞれ
認
Mea‘
認
・
・
,.
.
.
E
.
--a
・
a
z
m
s
温
M
翼
a
,.
a
-
岨 aa
‘
ゴ司
a
首
,
伊
-
a
。
。nu(OF)υ
とし変形後の座標を
xi(i =1,2.3)
0
.
7
a
-
3
logt(sec)
t
(
t
),C2(
t
),C
a
(
t
)の相対緩和
図1
1 C
λ﹃
2
附
物体内の任意の I点の変形前の座標を
唱
。C
1
・倣崎砂
O.6~
的な実験を行う必要があるが,これは今後の課題にし
5
‘
0
.
9
t
)
.
使用したエネルギー関数に含まれる時間関数 C1(
C2(
t
), および C
a
(
t
)が真の物質関数であるかどうか
図1
0 エネルギ一関数の係数の時間変化
1
.
0
re
立しないことがわかった。
F﹂戸﹂
)))
t(
tt
{
z s(
'
0
.。 .
-e
0
。
.・
.
・
.
••. •••
.••
・
.
。。 ・
.
.
.
.。 .
川崎崎
.。 .
ED
nMRJw-
EEEEEE﹄EB
--
UE3
内
FEμ¥ωchJOF){cda
•••
•••
•••
•.•
•.•
Xi(t)=Xi(Xk. t
)
i
,k=l,2,3
X
iC
'
r)=Xi(Xk,'
t
'
)
i
,k=l. 2,3
上の両式より Xkを消去すると
X
i
(
t
)= Xi
{
Xi('
t
'
)
. t,'
t
'
}
となれ変位テンソルは
1
5
9
玄
a
X
i
(
t
)
i
k
(
t
.τ)=一一一一ー
• .
/ a
X
k
(
'
r
)
で定義される。この変位テンソルとその転置テンソル
、
との積を Canchy-Green の左テンソルと Lぅ
・
Cij(t;r)=Xik(t.
,
r
) X
j
k
(
t;
r
)
上式で kは Einsteinの規約に従う。
なお本報告は昭和4
3
年1
1月日本繊維機械学会北陸支
部研究発表会において講演したものに一部加筆したも
のである o
最後に,本研究の実験に協力された,太田俊晴,高
橋哲夫,前田政見の諸氏に謝意を表する。
文 献
1
) 山口,前回,寺埼; 織機論文集., 2
0,T1(
1
9
6
7
)
2
) 竹村,黒木; 材料., 1
3,3
9
9(19
3
4
)
3
) D. W. Hadleyand1
. M. Ward;J
.Mech. Phys.
S
o
l
i
d
.,1
3,3
9
7(19
3
5
)
4
)L
.J
.Zapas; V
i
s
c
o
e
l
a
s
t
i
c BehaviorunderLarge
Deformation
5
)F
. Buche; J
.Polymer Sci
.
, 2
2,1
1
3(19
5
6
)
6
) B.D. Coleman andW. Noll;Rev.Mod.P
h
y
s
.,
3
3,2
3
9(19
61)
7) A.C
.Eringen;
NonlinearTheoryoZContinuous
l
¥
1e
d
i
a
.,McGraw-Hill,1
7
2(19
5
8
)
(昭和4
4年9月初日受浬)
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