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家系図の重要性

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家系図の重要性
家系図の重要性
家重
9 代将軍
つぐとも
継友
再興
むねなお
宗直
はるもり
治保
むねかつ
宗勝
尾張家8 代
治紀
はるとし
水戸家7 代
宗将
むねのぶ
紀伊家7 代
むねはる
宗春
尾張家7 代
いえしげ
吉宗
8 代将軍
ごろうた
五郎太
よしむね
吉宗
むねもと
宗翰
よしむね
家継
7 代将軍
いえつぐ
家宣
6 代将軍
いえのぶ
綱吉
5 代将軍
綱豊
甲州家2 代
よしみち
吉道
尾張家4 代 尾張家5 代 尾張家6 代
(家宣)
つなとよ
甲州家初代
つななり
みちあき
(継友)
通顕
みちはる
通春
染川松平家初代
通春
染川松平家3 代
(宗春)
みちはる
染川松平家2 代
義真
よしざね
染川松平家初代
義方
よりもと
むねたか
宗堯
水戸家4 代 水戸家5 代 水戸家6 代
頼職
(宗勝)
紀伊家4 代 紀伊家5 代 紀伊家6 代
義淳
よしあつ
高須松平家3 代
よしたか
よしかた
義昌
義孝
高須松平家2 代
ともあき
つなのり
つなえだ
綱条
水戸家3 代
綱教
紀伊家3 代
友著
よしゆき
よしまさ
義行
高須松平家初代
綱誠
尾張家3 代
綱吉
つなよし
館林家初代
つなしげ
綱重
つなよし
家綱
4 代将軍
みつとも
光友
みつさだ
光貞
みつくに
光圀
いえつな
家光
3 代将軍
いえみつ
秀忠
2 代将軍
ひでただ
初代将軍
いえやす
家康
よしなお
義直
尾張家初代 尾張家2 代
よりのぶ
頼宣
紀伊家初代 紀伊家2 代
よりふさ
頼房
水戸家初代 水戸家2 代
もりすけ
保右
(義和)
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家系図作成はなぜ重要なのであろうか? また臨床の現場で通常行う
家族歴や既往歴の問診とはどこが違うのであろうか? 一般の方が家系
図としてまず頭に思い描くのは大名や皇室の系譜図ではないだろう
か 図 1-1 .しかしながら遺伝医学にて作成する家系図はこれらとは
まったく違うものである 図 1-2 .
家系図作成は,いろいろな遺伝医療,遺伝カウンセリングのテキスト
において,遺伝疾患の①診断,②予後判定,③診療方針決定,④家系内
のメンバーに対する情報提供や心理的サポートにはなくてはならないも
のであるとしている1-3).では家系図作成は一般診療には関係なく,ゲ
図 1-1 一般社会における家系図のイメージ(例: 徳川幕府の系譜図)
図 1-2 医療で用いる家系図
ノム医療だけに特化して行うものであろうか?
一般診療では疾患の理解と今後の治療方針を考える上で,家族歴・既
往歴などを重要な医療情報として扱うが,家系図情報はこの家族歴・既
往歴に相当する情報,あるいはそれを凌駕するものであると理解いただ
きたい.また意外に思われるかもしれないが,家系図作成はなにも単一
遺伝子疾患だけに必要なものではない.現在各種 common disorder の
ほとんどが多因子遺伝病として,環境要因に加え遺伝要因の関与がある
とするのが常識である.したがってこれら common disorder における
診療においても家系図情報の取得は必須であるといえよう.家系図が実
際の臨床に役立った例を紹介しよう.従来遺伝的要因の関与がまったく
考えられなかった「とある」腫瘍性疾患が,詳細な家系図情報より実は
遺伝性疾患であることが新たに明らかとなり,それに続いて原因遺伝子
の同定,さらにはサーベイランスおよび治療法の開発までが実現可能に
なった.これは一つの家系図作成が疾患の克服につながった好例である
が,我々も地道に家系図を作成することで,新たな医療の展開を可能に
することができるかもしれない.さらに家系図の作成は,疾患の診断,
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第
治療,予後などを取り扱う臨床医学はもとより,遺伝的要素を考慮しな
章 家系図の重要性
1
ければならないゲノムコホート医学研究においても必須であるといえよ
う.
家系図作成の意義や問題点,それらを解決すべくこのたび開発された
「f-tree®」の特徴を以下にまとめる.
❶ 臨床遺伝において正確な遺伝学的診断を得るには,遺伝子検査情報
のみならず家系図情報は必要欠くべからざる重要な医療情報である.
❷ 医療者(説明者)
,検査対象者双方において遺伝医学的情報を正確に
理解する上で正確な家系図作成は必要である.
❸ 遺伝情報回付にあたっては,検査対象者である一般市民の遺伝に対
する正しい理解が求められるが,家系図情報はその最大の補助とな
るため,正確な作成が求められる.
❹ 家系図作成は個別対面で直接の遺伝情報聴取によって手作業で作成
されるため,完成までに時間と手間を要する.
❺ 家系図作成には臨床遺伝医学の専門知識と作成スキルが必要であり,
やはり完成までに時間と手間を要する.
❻ 大規模ゲノムコホート研究では一度に多くの家系からの遺伝情報聴取
と家系図作成を行わねばならず,従来の家系図作成方法では対処困
難である.
❼ 上記❶〜❻を解決するには,研究に必要な家系図情報を網羅した
「遺伝情報問診票」を用いた新たな自動家系図作成ソフト開発が必要
であったが,
「f-tree®」はそれらの要件をすべて満たし,臨床・研究
に耐えうるものである.
❽ 家系図作成は臨床遺伝医学のみならず,今後遺伝的要素を考慮して
いかねばならない各種 common disorder を取り扱う一般の医療現場
においても必須となる.またこれからの国民健康を考えていくには
個別化予防医学の観点が重要であるが,その個別化予防医学の普
及・発展には遺伝学的要素の理解が必須となってきている.国民一
人ひとりにこの流れを理解してもらうには成人教育もさることなが
ら,幼・小・中学校からの早期遺伝教育が重要となる.この新たな
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家系図作成ソフトは一部フリーウェアとして医学の臨床・研究のみ
ならず,このような教育現場においても自由に利用可能な仕組みと
なっている.
家系図の標準的記載方法は 1995 年の米国人類遺伝学会誌にて報告さ
れ,その後世界共通のルールとして採用されている4)が,これについて
は次の 2 章にて詳しく述べていく.
参考文献
1) 新川詔夫,監修.遺伝カウンセリングマニュアル.改訂第 2 版.東京: 南江堂;
2003.
2) 新川詔夫,阿部京子.遺伝医学への招待.改訂第 4 版.東京: 南江堂; 2008.
3) 福島義光,編.遺伝カウンセリングハンドブック.大阪: メディカルドゥ; 2011.
4) Bennett RL, Steinhaus KA, Uhrich SB, et al. Recommendations for standardized
human pedigree nomenclature. Pedigree Standardization Task Force of the
National Society of Genetic Counselors. Am J Hum Genet. 1995; 56: 745-52.
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