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レインボープラン視察報告書
レインボープラン視察報告書 実施日 :平成 20 年 11 月 20 日,21 日 視察場所:山形県長井市 参加者 :長岡技術科学大学 佐野可寸志,熊倉俊郎,高橋一義 (NPO)特定非営利活動法人 地域環境ネットワーク 高橋松二,関政雄,山田隆之 I レインボープランの概要説明 [致芳地区公民館(20 日 13:20~15:25)] 対応者:レインボープラン推進協議会公認市民ガイド レインボープラン推進協議会会長 緒形純夫氏,横山さん 江口忠博氏 レインボープラン解説 ○長井市の説明 ・S29.11 1町5村合併 現在 30,554 人 人口増加率-3.31% 高齢化率 27.4% ・実質公債費率 26% 第1次産業比率 9.1% 第2次産業比率 44.4% 第3次産業比率 50.3% 長井市のキャッチフレーズ:「水と緑と花のながい」 環境に配慮したまちづくりが,長年実施されてきた. ○レインボープラン 写真1 ゴミ収集所 ・地域づくり事業,循環の事業,住民自治の事 業の3つの事業から構成される. ・レインボープランとは,まちとむら,台所と農業,現在と未来との間に信頼と希望 の架け橋をかけようと願い,これらのシンボルとして「虹」を愛称とした. (1)レインボープランのシステム 一般家庭 分別と水切りされた生ゴミ→ゴミ集積所 稲作農家 籾殻 →市営コンポストセンター 畜産農家 家畜の糞 →JA ふれあいセンター(直営店)→農家→(野菜)→一般家庭 まちの台所<=>村の田畑 収集箇所 市内に 230 カ所 年間 1,000 トン コンポストセンター H9.2 より本格稼働,建設費 4 億 3 千万円 オペレーション:4名(NPO 法人),2名(シルバー人材センター) :合計6名 異物の混入も半分になった(1世帯あたり8g/年間) #土への影響を考慮し,漬け物は燃焼させる. (2)レインボープラン推進協議会 構成メンバー:市民,行政,女性団体,農業団体,商工団体および個人 機能:レインボープランに関わる全てがここで協議・決定される.市民と行政が対等 の精神で,プロセスをともにし,決定を行う. (3)三つの理念 ① 地域循環 「 土から生ま れたものを土に 戻す循 環」「まちとむらをつなぐ人の輪(和) の循環」 ② ともに(共創・協働) 行政主導ではなく,ともにつくる. ③ 土はいのちのみなもと 背景と経緯 ・土地が危ない(S30 年代) ・食への不安 ・焼却場の老朽化 写真 2 レインボープラン概説状況 (4)取り組みの成果と波及効果 ①まちの 5000 世帯の生ゴミが,全量地域の田畑に戻っている. ②環境保全型農業の意義を明確にした. ③まちづくりへの市民参加が促進された. ④市民の食と農業,まちとむらが近づいた. ⑤環境学習,地域学習への貢献 ⑥異業種間の連携による商品づくり,まちづくり ⑦環境保全へ与えた影響(生活可燃ゴミが 33%減少) ⑧海外への広がり(循環型社会) (5)課題 ①理念と理想と現実のギャップ解消 理念と利益の調整 組織活動の信頼性の向上(レインボープランの理念や現状の浸透) 生産・流通・消費との相互理解をはかる(広報の充実) 市民運動と行政との連携のあり方を探る ②虹の駅を軌道に乗せ市民農場の機能発揮を支援 ③コンポストセンターの老朽化対策 ④生ゴミ以外の地域資源(伐倒木,畜産糞尿)の堆肥化 レインボープランの最終目標:堂々たるいなかまちづくり(環境,農業,食料,教育,福祉) 【質疑応答】 <質問>酪農農家は1軒だけか? <回答>畜産農家は多数あるが,必要糞尿は1軒分で十分. <質問>水切りゴミ箱の値段は? 補助金はあ るのか? <回答>水切りゴミ箱:2400 円(10 年以上持 つ),補助金はなし. <質問>コストの5%ほどしか回収できていな いが,どのような議論を経て,実施することが できたのか? <回答>教育の場,まちづくりの場として位置 づけている.焼却ゴミの減少分も含めると市の 持ち出しは一人 500 円ほどで,それ以上の効果 があると考えている. 写真 3 レインボープランに関する質疑応答 Ⅱ.コンポストセンター見学[コンポストセンター(20 日 15:35~16:00)] 対応者:レインボープラン推進協議会公認市民ガイド 緒形純夫氏 生ゴミ受け入れホッパ,畜糞受け入れホッパ,供給コンベヤ,一次発酵槽,二次発酵槽, 乾燥機,磁選機,トロメルンスクリーン,後熟槽,袋詰め装置等の見学を行った. 写真 4 レインボープランコンポストセンター 写真5 コンポストセンター輸送トラック 写真 6 生ゴミ受け入れホッパ 写真 7 一次発酵槽 写真 8 二次発酵槽 写真 9 二次発酵槽見学 写真 10 供給コンベアー 写真 11 生ゴミに混入していた金属類 写真 12 堆肥(山積み) 写真 13 堆肥(袋詰め) Ⅲ.レインボープラン市民農場見学[市民農場(20 日 16:10~17:00)] 対応者:NPO 法人レインボープラン市民農場 理事長 竹田義一氏,横山さん 農地法により,NPO 法人が耕作することは不可能.特区の申請を行い,農家が市に貸与し, その土地を NPO 法人に貸与することにより,対応(貸与する額は同額で,市の持ち出しはない) . 時給 300 円のボランティアを 30 余名雇用. 2 年は単年度黒字 現在 700 万円,目標を 1 億円 規格外品を加工し,付加価値を高めて,売り上げを増加させたい. 写真 14 市民農場 写真 16 レインボープラン認定証 写真 15 市民農場見学 写真 17 レインボープラン認定野菜 Ⅳ.レインボープラン直売所見学[虹の家(20 日 17:05~17:20)] 対応者:レインボープラン推進協議会公認市民ガイド 緒形純夫氏,横山さん レインボープランの直売所を見学した. 写真 18 レインボープラン直営所(虹の家) Ⅴインタビュー調査(21 日 9:20~12:15) ○レインボープラン推進協議会会長 江口忠博氏 企業法人は採算ベースに乗らないので,尻すぼみ.企業の出す生ゴミを対象とする. レインボープランは地域内の家庭から排出される生ゴミを対象なので,上記の企業とは協力 しない. 10 万円/月で(他でアルバイトもする),若手を募集してるが,なかなか集まらない. 市民が買い手.確実に売れるという安心感がある. (この上のない喜び) 認証農家を増やして耕作地(生産量)を増やすことは? 完全農薬は難しい(流通に乗せる上では,形,虫喰いはダメ)ので,減農薬・減化学でやろ う.最初はランク付けでやろうと思ったが難しい.圃場認証制度:圃場に投入したコンポスト の量で認証する(多品種少量生産農家に好評) 地元の物を地元に人に(以前は大量に買って貰える処を歓迎していたが,地元に売れるのなら ば地元に向けて作るようになった) レインボープランは農業振興策ではない(消費者が離れていく) レインボープラン大使の会(長井に来て,味噌造りや芋煮会を楽しむ) 就域(地域に就く)雇用という形態は取らないが, (小さな)仕事は与えられる. 企業誘致のためにインフラ整備:これからは難しい,これからは地域の風土を生かした/アピー ルして,活性化する. 森林ボランティア:平成元年,長井市が不伐条例を制定.市が財政支援をしていたが財政危機 で傾く.平成 12 年,ボランティア設立.年4回山にはいる. 家庭教育アドバイザー;県の教育委員会から委嘱されて講演会を行う. 支え合っていける地域を目指す. 技術作品里親制度 ○有機農家 レインボープラン推進協議会副会長生産販売部会長若林和彦氏(52 歳) 「こんなに農薬を使って良いものか?」 レインボープランの初期から参加. 農村部に居住 そば作り:コンポストを入れて,オーナー制 (そば蒔き+花見,天童・東京からも参加) 本人+ご両親が農業に従事,加工までは手が 回らない. 12ha 耕作 3ha(転作,大豆,そば) 売り上げは1千万程度,収入は数百万. 生ゴミの堆肥を使ったから作物が良くなる保 証はない(塩分があり問題?) まちづくりはお金にならない.「お金を持って 写真 19 関係者インタビュー(若林和彦氏) いる余裕のある人がやっている」とか「TV に出たり...」とか言う人もいる. 小作料:最高 2 万 3 千円~1 万円/10 アール ○ 長井市役所レインボープラン担当 長井市農林課 レインボープラン推進主査 蒲生雅之氏 堆肥の値段(10kg<241 円>,バラ済み<4200 円/t>農協に販売委託)は,周りの値段(同じ ような仕組み<民間企業ではない>) 3月まで企画調整課に推進係に所属し,事務局機能も行政にあった.4月から事務局機能が NPO に移った.蒲生氏はコンポストセンター(平成7年の補助事業で建設)の運営担当.本来 は,レインボープランのまちづくりの部分は企画調整課が担当. まちづくりのツールとして,活用していく必要性は高い. 9700 世帯のうち市街地(中央地区)の 5000 世帯の生ゴミを回収しているので,中央地区 の市民と堆肥を利用している農家の関心は低 くはないが,他の人の参加意識は低いかもし らない.名前を知らない人はいない. 地方部の生ゴミを集めると収集コストが馬 鹿にならない. ゴミ収集場所(ポスト)は,生ゴミだけで なく,可燃物・不燃物も曜日を変えて使用. 生ゴミ置き場に関するにおいの苦情はない. (夏場に家に2~3日置くのは問題) 以上 写真 20 関係者インタビュー(若林和彦氏)