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下請中小企業の最近の動向 - 全国中小企業団体中央会

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下請中小企業の最近の動向 - 全国中小企業団体中央会
下請中小企業の最近の動向
全国中小企業団体中央会
【調査の概要】
下請中小企業を取り巻く環境は、親企業の海外移転、コストダウン要請、選別・
集約化、海外からの部品調達、原材料価格の上昇など厳しい状況が続いている。
本会では、このような状況下における下請中小企業の最近の動向等を把握するた
め、5月初旬から5月中旬にかけて、主要な下請業種団体に書面調査及びヒアリン
グ調査を実施した。
【調査対象】
自動車、電気等の下請分業体制を構成する以下の下請業種9団体
「ダイカスト」「プレス」「メッキ」「産業用機械」「輸送用機械(自動車主体)」
「電気部品(家電主体)」「金型」「鋳物」「ビルメンテナンス」
【調査結果のポイント】
① 下請中小企業の最近の動向
<ポイント>
単価が下落、採算は悪化
最近の景況感は、「好転」した業界は6業界、「横這い」が2業界、「悪化」
が1業界だった。「好転」したという回答が前回と比べ増加した。(前回は2業
界が「好転」)
6業界で受注量の「増加」が見られるものの、単価は4業界で「下落」してお
り、採算は全業界とも「悪化」又は「横這い」となっている。
②
今後(3ヶ月後)の見通し
<ポイント>
単価の下落、止まらず
3ヶ月後の景況見通しは、「好転」が4業界、「横這い」が5業界、「悪化」
がなしと、全ての業界が好転又は横ばいを予測した。今後3ヶ月で、4業界が受
注の「増加」を見込むが、単価は6業界で「下落」又は「横這い」を予想してお
り、採算が「好転」すると答えたのは皆無であった。
③
原材料等の価格上昇の影響
<ポイント>
価格転嫁できず、採算は悪化
原材料価格の上昇幅は「10∼30%」が5業界、「30∼50%」が2業界。具体的
影響は「採算の悪化」が7業界、「原材料調達の悪化」が4業界、「資金繰りの悪化」が
2業界であった。価格転嫁がどの程度できているかは、「1∼10%」が3業界、「40
∼60%」が2業界、「全くできない」が2業界あった。親企業の対応は厳しく、価格転
嫁は進んでいない。
- 1 -
④ 景気回復の兆し
<ポイント>
回復の兆し
景気回復の兆しが「ある」と答えたのは7業界、「ない」と答えたのは2業界
であった。「ある」と答えた業界は受注量が増加していることによるもの。自動
車関連・情報通信関連・産業機械関連等の一部業種唐の受注が増加している。
⑤
設備投資の見通し
<ポイント>
設備投資には依然慎重
設備投資の見通しについては、「増加」が4業界、「横這い」が5業界で、
「減少」の業界はなかった。新たな設備は、景気の回復が見定まらない限り、引
き続き慎重にならざるを得ないという回答が多かった。
⑥ 最近の親企業の動向
<ポイント>
コストダウン要請は益々激化
「コストダウン要請」は6業界で行われており、下請企業へのしわ寄せが引き
続き厳しい状況が窺える。「下請企業の選別・集約化」は8業界とほぼ全ての業
界で進んでおり、一段と厳しさが増している。「系列外からの部品調達」「海外
からの部品調達」「下請組合の解散」が増加し、「内製化の推進」「工場廃止・
集約化・海外移転」といった動きは減少傾向にある。
⑦
下請中小企業の対応策
<ポイント1>
経費削減・雇用調整は限界
「経費削減」「雇用調整」等のリストラは、これまでほぼすべての業界で行っ
てきたが、もう限界との回答が多く「生産調整」「合理化・省力化投資」ととも
に減少している。
<ポイント2>
新規受注先の開拓を重点
「新規受注先の開拓」「新商品の開発・新分野展開」がほぼ全ての業界で実施
されている。「ISOの取得」による差別化は7業界が既に実施済又は実施中で
ある。
⑧
下請中小企業が目指す方向と、その対応策
<ポイント>
5業界が脱下請企業を志向
「脱下請企業を志向する」と回答した業界は1業界、「下請企業として生き残
りを志向」と回答した業界は4業界、両方を志向すると回答した業界が4業界。
対応策として、「新規受注先の開拓」を挙げた業界が8業界と最も多く、「親
企業との情報共有化」と「親企業への依存度引き下げ」が6業界と次いで多かっ
た。
- 2 -
⑨
最近の円高及び株価推移の影響
1ドル110円台(調査時点4月30日)の為替レートの影響
<ポイント>
急激な円高による親企業の対応悪化を懸念
110円程度なら大きな影響はないが、急激な円高により親企業の収益悪化か
らさらにコストダウン要請が厳しくなること、親企業が海外からの部品調達をさ
らに高めるため、受注が減少する等の影響が出てくることを懸念している。
株価11,761円(調査時点4月30日)程度の株価の影響
<ポイント>
株価上昇は銀行・親企業の対応改善にメリット
親企業等の大企業及び取引銀行は、株価が決算に直接影響を及ぼすが、下請企
業にとっては直接の影響はない。むしろ、親企業や銀行が株価上昇により好決算
となることで、下請企業への融資や価格転化等の対応が改善されることを期待し
ている。
⑩
下請代金支払遅延等防止法に関する政府への要望等
金型業界では、受注から製造、完成まで2ヶ月から5ヶ月間かかり、納品後支払ま
で最長6ヶ月かかる。その間支払は全くない。一方、人件費・材料費は前払いである。
建設業界のような、前払金制度の社会的ルール化を希望。
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