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融雪用放熱管を有する舗装の 設計・施工の合理化例 - J

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融雪用放熱管を有する舗装の 設計・施工の合理化例 - J
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
融雪用放熱管を有する舗装の
設計・施工の合理化例
宮本
重信1・西澤
辰男2・武市
靖3・野田
悦郎4・高島
浩一5
1正会員
福井県 雪対策・建設技術研究所(〒918-8108 福井市春日3丁目303)
E-mail: [email protected]
2正会員 石川工業高等専門学校教授 環境都市工学科(〒929-0392 河北郡町北中条タ1)
E-mail: [email protected]
3正会員 北海学園大学教授 工学部社会環境工学科(〒064-0926 札幌市中央区南26西11)
E-mail: [email protected]
4正会員 日本道路株式会社 技術研究所(〒146-0095 東京都大田区多摩川2-11-20)
E-mail: [email protected]
5正会員 福井県 三国土木事務所(〒913-0043 坂井市三国町錦4丁目2-68)
E-mail: [email protected]
本稿では低温な自然熱源では融雪用放熱管のかぶりを7cmから4cmにすると最大残雪深は約半分になる
事例を最初に示した.次に,輪荷重走行載荷試験と3次元有限要素法の解析から,かぶり3.5cmと浅く放熱
管を埋設しても放熱管の影響は版厚換算で2%程度の影響にすぎないことを示した.ついで,放熱管をコ
ンクリート舗装表面から浅い位置に埋設し,かつ連続鉄筋敷設で乾燥収縮目地を無くすことで鋼管放熱管
を曲げずに直線的に長く設置する構造とした.そこでは,放熱管上面までは通常コンクリートで,その上
に膨張材,鋼繊維など混入のコンクリートを"WET ON WET"で打設した.こうした舗装と放熱管の融合で,
経済的で耐久性と融雪能力の高い設計・施工を実現した.
Key Words : SFRC, CRCP, snow melting, accelerated load test, pavement
1. はじめに
の1構成として研究する機会が得られたので,構造と熱
の解析を行い,施工法を検討し,福井市内と札幌市内の
2箇所の構内駐車場で試験施工を行った.その後,福井
パソコンなどに比べて自動車技術は各要素技術の融合
が重要だとされている.融雪用放熱管と舗装についても, 県の県道で,橋梁基礎杭を熱交換に兼用しての夏の熱を
その融合が重要であるが,その取り組みは専門分野の違
地中蓄熱する融雪システムの舗装と放熱管として,新清
いなどが障壁となって従来不十分であった.本研究では, 永橋の前後を含む延長240m,融雪面1,896m2を施工した3).
地中や海,湖などで加温された熱媒体液を舗装内に埋設
更に,福井市内の鋼床版橋橋幸橋で,延長140m,融雪
した放熱管内に流す融雪・凍結抑制システムを対象に,
面積4,174m2の放熱管埋設の融雪システムを施工し,知
融雪と舗装の横の融合,研究・設計・施工の縦の融合を
見を得た4).
行うことでコスト縮減と省エネルギーを目指した.具体
なお,放熱管を埋設する道路舗装にアスファルト舗装
的には,舗装や放熱管の耐久性を損なうことなく低温の
を用いると,将来のオーバーレイ補修により放熱管の埋
熱媒体液の循環でも融雪能力が得られるように,舗装と
設位置が舗装表面から深くなり融雪能力が損なわれる.
放熱管の材料には熱伝導の大きなものを用いながら融雪
オーバーレイ補修を避けてアスファルト舗装表層を切削
用放熱管を舗装の浅くに埋設する技術とそれに相応しい
すると放熱管の切断が懸念される.そこで,セメント・
施工法を確立する.そのことで,舗装と融雪設備の全体
コンクリート舗装を用いることにした.
でのライフ・サイクル・コストとCO2を同時に縮減でき
本稿では,まず,従来は車道ではかぶり70mmほどで
ると考えた.
埋設することが多かった融雪放熱管を40mmと浅くに埋
幸いにも,熱交換杭を密に設置して杭相互の熱干渉を
設することによる融雪能力の向上を熱解析から明らかに
利用して地中に夏の熱を冬まで保存するという技術開発
した.次に,有限要素法を用いて,かぶりを35mmとし
276
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
,0 0
0
管
)
33
熱
管
(鋼
150
放
40,70
21.7
16.7
コンクリート舗装
路盤
単 位mm
図-2 降雪量と融雪量の積算値
図-1 検討対象とした放熱管埋設の融雪装置
た放熱管とその周辺の応力解析を行い,次に放熱管の存
在が舗装構造全体の挙動に及ぼす影響を室内試験舗装に
おける走行試験と3次元有限要素法による解析で検討し,
構造的な耐久性を明らかにした.次に,実際の車道等で,
連続鉄筋コンクリート舗装(CRCP)を用いることで,
鋼管放熱管の曲げ加工の削減と放熱管の据え付け精度の
高い施工を実現した.更に,その舗装表層のみに鋼繊維
や膨張材等を用いる"WET ON WET"を行い,放熱管と舗
装の耐久性を高めると同時に建設費を全体として縮減し
た.
図-3 残雪深(かぶり 40mm v.s. 70mm)
2. 放熱管を浅くに埋設することによる融雪能力
への効果
ここでは低温な自然熱の利用を前提に,放熱管を浅く
に埋設することによる融雪能力への効果を明らかにする.
(1) 融雪のモデルと気象条件
対象とした融雪装置は,図-1に示すように,鋼管放熱
管(外径21.6mm,内径16.7mm)を15cm間隔に33.3mまで
図-4 舗装表面での上向き熱流束
直線設置し,そこでUターンさせて戻すものである.コ
ンクリート舗装は熱伝導率を1.7W/m/Kとして,10℃の水
を融雪面積当たり0.53L/min/m2流す条件で,放熱管のか
置のそれぞれの路面平均の融雪積算値を雪の深さで示し
ぶりを40mmと70mmに変えたことによる融雪能力の違い
た値を示した.図-2の積算降雪深と積算融雪深の差が,
を数値シミュレーションで求めた.数値シミュレーショ
その時刻における融雪路面での残雪深となる.その残雪
ンは,流水の流れに沿って3次元で5分ごとに後進差分で
深を図-3に示す.図-2では,40mmと70mmの装置のいず
計算するもので,そのモデルは既に実測によって検証さ
れも降雪量の多くをかなりの速度で溶かした.また,か
れている1) , 2).ここでは,2001年1月1日からの気象データ
ぶり40mmの融雪装置はかぶり70mmの装置に比べて,路
を用いて福井市内で最大積雪深が93cmとなった1月中旬
面利用者からの評価となる残雪深(図-3)に関して,最
までを計算した.
初のピーク(14日6 時)では約1/4,二度目のピーク(15
日14時)では約1/2少ない.各々の舗装表面での上向き
(2) 融雪の計算結果
の熱流束の変化を示した図-4でも,路面が雪で覆われて
図-2に,積算降雪量,かぶりが40mmと70mmの融雪装
277
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
3.放熱管とその周辺コンクリートの破損に対する
検討
放熱管
前章から放熱管をコンクリート舗装に埋め込む場合,
融雪能力の点からは浅くに放熱管がある方が良いことが
コンクリート版
路盤
確認できた.一方,舗装と放熱管の耐久性の点からは,
路床
あまり浅くに放熱管を埋設すると,周辺のコンクリート
全体モデル
舗装が早期に破損する恐れがある.そこで,放熱管を浅
くに埋設した場合,交通荷重によって放熱管と周辺のコ
ンクリートに発生する応力がどの程度になるかについて
部分モデル
数値シミュレーションによって検討した.
(1) 構造モデル
図-5 放熱管を有するコンクリート舗装のモデル化
放熱管とその周辺のコンクリートに生ずる応力を解
析するために,図-5に示すようにコンクリート版の1部
表-1 全体モデルの舗装構造
分を取り出して考えることにした.3DFEMにより舗装
層
弾性係数(MPa)
ポアソン比
厚さ(mm)
全体の構造モデルを考え,部分モデル周辺に生ずる曲げ
コンクリート
23000
0.2
250
モーメントを計算した.次に,その曲げモーメントを部
路盤
500
0.35
250
分モデルに作用させて,放熱管周辺の応力状態を再現す
路床
100
0.35
2500
ることとした.
全体モデルとしては,表-1に示すような構造とし,コ
ンクリート版表面に49kNの荷重を作用させた.コンク
単位:mm
リートの弾性係数は危険側を想定しやや小さい値を採用
35
した.計算された荷重直下のコンクリート版の曲げモー
メントを2DFEMによる部分モデルに外力として作用さ
せ,放熱管およびコンクリートに発生する応力を算定し
250
た.
部分モデルとして図-6に示すような構造とした.放熱
100
管は,外径21.7mmの鋼管と外径21.5mmのポリエチレン
管(以下PE管)の2種類を想定した.それぞれの弾性係
数は200,000MPa,390MPaとし,ポアソン比は0.30および
0.46とした.かぶりは35mmとし,放熱管を100mm間隔で
図-6 部分モデル
配置するとして,100mmの幅のみを取り出してモデル化
表-2 放熱管の応答値
した.放熱管は薄肉のため曲げ要素でモデル化し,周辺
管種
鋼管
PE管
最大応力(MPa)
9.8
0.07
(μ)
49
171
のコンクリートは8節点の2次元アイソパラメトリック要
素に置き換えた.
(2) 解析結果
鋼管およびPE管に生ずるひずみおよび応力は表-2のよ
うであった.応力,ひずみとも非常に小さく,放熱管自
体の耐久性には問題ないと考えられる.
いる13日16時から14日9時までは,かぶり40mm,かぶり
70mmの熱流束は各々約165W/m ,約125W/m である.こ
次に周辺のコンクリートの応力について検討した.図
のように,放熱管のかぶりを70mmから40mmにすれば,
-7は部分モデルの水平応力の分布である.図の左側は放
舗装表面での上向きの熱流束は約30%大きくなり,融雪
熱管なし,右側が放熱管(鋼管)ありの場合である.放
が追いつかない大雪での最大残雪深を最大で約1/2にす
熱管なしの場合には上面が圧縮,下面が引張の曲げの状
る事例となった.
態にある.放熱管があっても基本的には同じ応力状態で
2
2
あるが,放熱管のまわりの圧縮応力は小さくなる.図中
278
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
写真-1 走行試験装置
の矢印は,表-3にまとめられた最大応力が発生している
点を示す.図-8は鉛直応力の分布である.放熱管の側面
図-7 水平応力の分布(左:放熱管なし,右:鋼管あり)
に非常に小さな引張応力が生ずる.図-9はせん断応力で
ある.放熱管がなければ曲げの状態にあるためせん断力
は全体的に小さいが,放熱管があるとその周囲にせん断
力が集中する.
表-3はこれらの応力の最大値を比較したものである.
放熱管の存在によって変わるのはせん断力であるが,そ
の値はコンクリートの強度に比べて小さく,放熱管周辺
からの破壊の可能性は低い.
4.放熱管を埋め込んだコンクリート舗装版の舗装
構造としての挙動
前章では,数値シミュレーションで放熱管とその周
図-8 鉛直応力の分布(左:放熱管なし,右:鋼管あり)
辺のコンクリート内に発生する応力を求め,この部分の
破壊の可能性は低いことを明らかにした.本章では舗装
全体の挙動に放熱管の存在が影響するかについて,室内
舗装走行試験の結果から検討した.
(1) 試験方法
試験方法としては,室内走行試験装置を使用し,実際
に放熱管を埋設したコンクリート舗装に対して繰返し走
行試験を行った.本試験装置では大きな荷重を作用でき
ないが,室内の制御された環境の下での挙動を正確に把
握できることから,コンクリート舗装模型による走行試
験を実施したものである.
本研究で使用したコンクリート舗装模型の形状を図図-9 せん断力の分布(左:放熱管なし,右:鋼管あり)
10,走行試験装置を写真-1 に示す.図-10 の黒丸はひず
みゲージ,及び土圧計の位置を示している.また,ひず
みゲージの設置位置は,タイヤ走行中心位置から横方向
表-3 コンクリート版の最大応力 (MPa)
管種
なし
鋼管
PE管
水平
1.6
1.6
1.6
鉛直
-1.12
-1.19
-0.7
に 15mm 離れた位置である.舗装体内に埋設された放熱
せん断
0.09
0.66
0.32
管については,長さ 2200mm のものを 100mm 間隔,か
ぶり 30mm で各 6 本ずつ埋設しており,それぞれの外径
は,鋼管が 13.8mm,PE 管が 13.0mm のものを使用して
279
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
2500mm
2500mm
<断面図>
1250mm
330mm
走行位置と方向
430mm
放熱管
85mm
路盤部
400mm
(土圧計)
コンクリートスラブ
PE 管埋設部
鋼管埋設部
舗装部
図-10 使用したコンクリート舗装模型の形状
50
表-4 試験条件
2m
輪荷重
5.0kN
接地圧
0.794MPa
走行速度
27.8cm/s
走行回数
48回
土圧(kPa)
40
走行距離
30
20
10
0
-10
0
50
100
150
200
250
300
350
600
700
時間(sec)
図-13 鋼管埋設部における土圧
<PE管埋設部>
30
20
20
50
10
40
10
0
-10
-20
-30
150
175
時間(sec)
土圧(kPa)
30
ひずみ(με)
ひずみ(με)
<鋼管埋設部>
0
-10
-20
-30
300
200
30
20
10
0
350
時間(sec)
400
-10
0
100
200
図-11 舗装表面における走行方向のひずみ
<鋼管埋設部>
500
図-14 PE管埋設部における土圧
30
20
ひずみ(με)
ひずみ(με)
400
時間(sec)
<PE管埋設部>
30
300
10
0
-10
-20
-30
150
175
時間(sec)
200
20
10
ひずみと土圧の測定結果から,各舗装の示す力学的挙動
0
の違いを比較した.
-10
-20
-30
300
(2) 試験結果
350
時間(sec)
400
試験結果を図-11~図-14 に示す.ここで図はすべて
計測データの 10 点ごとに移動平均をとったものであり,
ひずみに関しては安定した部分について示した.図-11
図-12 舗装表面における横断方向ひずみ
は 舗装表面における走行方向ひずみであり,引張を正
で表現している.輪荷重がゲージ真横を通過したときに
いる.本研究における繰返し走行試験装置の試験条件を
おける最大圧縮方向ひずみは鋼管と PE 管で多少の違い
表-4 に示す.直径 58cm,タイヤ接地幅 10cm のソリッ
は見られるが,その値は 20×10 - 6 程度とほぼ同じ値を示
ドタイヤ 1 本で 5.0kN の荷重を作用させた.表において
している.また,PE 管埋設部において引張方向ひずみ
接地圧とは荷重をタイヤ接地面で割った値である.なお, が発生している理由としては,PE 管埋設部では試験装
置端部まで荷重が移動して縁部載荷状態になり,版中央
室内温度は温度応力の生じないように一定(20℃)に保
部が逆曲げの状態になったためと考えられる.
った.ひずみは,舗装表面に接着したひずみゲージで測
図-12 は舗装表面における横断方向ひずみである.横
定した.また,路盤底部に土圧計を設置し,土圧の測定
断方向では鋼管,PE 管ともに最大圧縮方向ひずみが
も行った.挙動が安定するまで 48 回の走行を行った.
280
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
0.76m
表-5 解析に用いた材料定数
2.5
2.5
コンクリートの弾性係数(MPa)
30,000
コンクリートのポアソン比
0.2
3
移動荷重
0.085
0.4m
コンクリート
コンクリートの密度(g/cm )
2.4
鋼管の弾性係数(MPa)
200,000
路盤の弾性係数(MPa)
30, 50, 100
路盤のポアソン比
0.35
3
路盤の密度(g/cm )
1.8
路盤
に埋め込まれた鋼管や PE 管については,それらを考慮
した曲げ剛性と等しくなるような換算版厚 h' を用いて
図-15 実験解析用の要素分割
解析した.すなわち,管を有するコンクリート版の換算
版厚 h' を以下のように計算した.
図-16 を参照して,断面内の力のつりあいより,
d’
As
x1
放熱管
h
コンクリート版
1
1
2
Ec x 2f = Es x1fAs + Ec x2 f - Ec x1fAc
(1)
2
2
ここに,Ec, Es:コンクリートおよび鋼管の弾性係数,
x2
D
f
h’
Ac, As:管の穴および管の面積,f:曲率,x:下面から
x
中立軸までの距離,x1=h-d'-D/2,x2=h-x,D:管の外
径,d':管のかぶり(30mm)である.式(1)を x について解
き,h'=2x の関係より次式が得られる.
Dö
æ
h 2 + 2( nAs - Ac )ç h - d '- ÷
2ø
è
h' =
h + nAs - Ac
図-16 換算コンクリート版厚
(2)
10×10 - 6 程度であることがわかる.また,横断方向ひず
ここに n=Es/Ec である.今回の計算では,管のない場合
みが走行方向ひずみより小さい理由は,舗装模型が縦長
(断面 A),外径 13.9mm(内径 9.4mm)の鋼管を 6 本
の形状をしているためである.
配置した場合(断面 B)および外径 13mm の PE 管を 6
本配置した場合(断面 C)を想定した.
図-13 および図-14 の土圧に関しては,走行距離の違
いによるグラフの形状の違いはあるが,計測値は両者と
計算に必要な定数は,表-5 に示すように仮定した.
も 20kPa 程度とほぼ一致しており,鋼管埋設部と PE 管
コンクリート版,鋼管の弾性係数は単体の曲げ試験より
埋設部で違いはないと考えられる.また,走行回数によ
求めた.路盤の弾性係数については,小型 FWD によっ
る変化も見られず,終始一定の値を保っていることがわ
て計測されたたわみを逆解析して 50MPa を得た.計算
かる.
ではその値を中心に表に示す 3 種類を設定した.この表
から,断面 A,B,C に対する h' は,式(2)より,それぞ
以上,ひずみと土圧の試験結果から,鋼管のような剛
性の大きい放熱管と,PE 管のような剛性が小さい放熱
れ,85mm,85.7mm,84.8mm となる.荷重条件としては,
管を埋設した舗装における力学的挙動に大きな違いはみ
実験に用いたソリッドタイヤの接地面 50mm×100mm に
られず,剛性の違いがコンクリート版に与える影響はほ
5.0kN の荷重を 1km/h(27.78cm/sec)で走行させた.
図-17 はコンクリート版表面の走行方向ひずみ ex の経
とんどないものと考えられる.
時変化である.ひずみの計算値はすべての断面で同じと
なり,1 つの曲線に重なってしまう.路盤の弾性係数に
(3) 走行実験の FEM 解析
よる違いは明瞭で,路盤の弾性係数が大きいほどひずみ
実験で放熱管の影響がわずかであることを理論的に確
は小さい.実験結果と計算結果はほぼ一致している.
認するために,解析には舗装の構造解析用に開発された
動的な 3 次元有限要素プログラム DynPave3D を用いた.
図-18 はコンクリート版表面の横断方向ひずみ ey の経
実験に用いられたモデル舗装を 3 次元的に再現するため
時変化である.コンクリート版は縦に長いため,横断方
に,図-15 のような要素分割を行った.コンクリート版
向のひずみは走行方向に比べかなり小さい.路盤の弾性
281
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
−6
ひずみ ex [10 ]
10
路盤の弾性係数が大きいほど応力は小さくなる.
5.融雪用放熱管埋設に相応しい舗装の選定,設計
施工と管理
0
3DFEM
路盤弾性係数
−10 100 MPa
2 章から 4 章によって,融雪用放熱管を浅くに埋設し
実測(鋼管)
ても,構造的耐久性を損なうことなく融雪能力は高まる
実測(ポリ管)
50 MPa
ことが確認された.本章では,放熱管を浅くに埋設する
30 MPa
ことを前提に,放熱管と舗装の技術の融合という視点で
−20
0
設計・施工の合理化を検討した.本章ではそれを実際に
5
10
時間 [sec]
図-17 コンクリート版表面の ex の経時変化
施工・供用したことで得られた知見を含め述べる.
10
(1) 連続鉄筋コンクリート舗装の選定
PE 放熱管は,その変形追随性から破断することが少
−6
ひずみ ey [10 ]
なくて更に腐食しないので,駐車場等では PE 管を目地
の手前で U ターンさせずに目地を通過して配管する事
0
例も少なくない.しかし,PE 管は熱伝導率が小さいこ
とから,鋼管と同じ熱抵抗にするには,設置間隔を 1/2
にすることが必要となる.もし,コンクリート舗装から
−10
実測(鋼管)
実測(ポリ管)
目地をなくすことができれば,放熱管に鋼管を用いても
目地がないため U ターンする必要が無くなるので,鋼
管を曲げずに長く直線的に設置できるので,配管工事費
−20
0
が縮減できる.
5
10
時間 [sec]
図-18 コンクリート版表面の ey の経時変化
0
コンクリート舗装には,異形鉄筋を縦方向に多数配置
することで乾燥収縮ひび割れを分散させ,ひび割れ幅を
小さくし無害にする連続鉄筋コンクリート舗装という方
実測(鋼管)
実測(ポリ管)
法がある.この CRCP は目地が無くて走行性がよく,耐
久性にも優れているが,工事費がやや高いことから十分
路盤応力 sz [kPa]
100 MPa
な普及には至っていない.しかし,鋼管放熱管の設置を
50 MPa
30 MPa
前提にすると,鋼管放熱管の曲げ加工が削減でき,更に
連続鉄筋は放熱管の固定として利用できるので,舗装と
−10
配管を含めた全体としての施工費は縮減できる.また,
放熱管が埋設された舗装では,切削補修やオーバレイな
どの修繕は困難となるので,耐久性を上げておくことは
−20
0
ライフ・サイクル・コストの視点からも望ましい.そこ
5
時間 [sec]
で鋼管放熱管の埋設には CRCP を用いた.
10
(2) 舗装の設計
図-19 路盤下面の鉛直土圧の経時変化
CRCP の設計では特にひび割れ幅やひび割れ間隔を想
定していないが,鋼管放熱管は安全側に無視して縦方向
鉄筋比は一般に道路で用いられる 0.64%に準じてび割れ
係数の影響は小さい.計算値と実測値はよく一致してい
幅の開きを小さくする設計とした.
る.
さて,CRCP の舗装区間とアスファルト舗装の接続区
図-19 は路盤底面の鉛直応力の経時変化である.実験
間では段差が生じる可能性が高い.そこで無筋コンクリ
結果と計算結果の変化の様子はほぼ同様であるが,大き
ートの緩和区間を設けたが,その後新たに設計した福井
さは実験結果のほうがかなり大きい.路盤の鉛直応力に
県の上中インターチェンジと勝山市駅前の 2 箇所では隣
ついてもコンクリート断面の違いによる影響はないが,
282
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
160(110) 40
200(駐 車場:150)
鋼管外径=21.7mm間隔15cm(福井)10cm(札幌)
鋼繊維補強膨張材混入コンクリート
鉄筋D16 間隔15cm(福井)
鉄筋D13 間隔10cm(札幌)
鉄筋D13 60cm間隔
コンクリート舗装
路盤
写真-2 どの放熱管上もほぼ同じ融雪(札幌市内)
図-20 舗装断面図
融 雪 施 工 区 間240m
35,000
35,000
35,700
31,450
31,250
35,775
35,775
車道
鋼製放熱管
送水管
ヘッダー管50A
歩道PE放熱管
循環ポンプ
送水管
交差点拡幅車道
PE放熱管
歩道
積雪センサ感知域
3,500
路面温度センサ
7,500
橋
橋脚
N
杭24本
左岸橋台
杭12本 右岸橋台
河川
単位 :mm
融雪時冷水
融雪時温水
図-21 全体の配管と舗装の平面模式図(新清永橋)
接のアスファルト舗装の路盤をセメント安定処理とする
は,膨張材 30kg/m3 と関連した研究で最も曲げ強度が高
ことで段差の抑制とした.
かったインデント型鋼繊維 1.0vol%を混入した 7).他に,
さて,CRCP でのひび割れの発生は雨水の浸入により
夏の熱の集熱効率を高めるために,セメント着色用無機
顔料をセメント重量比で 3~5%用いた.日射吸収率は,
鉄筋と放熱用鋼管の腐食が懸念される.その対応として
膨張材をコンクリートに用いれば,ひび割れ発生の可能
材料メーカーによってかなり異なるが,その顔料を 3%
性は小さくなる.更に,このコンクリートに鋼繊維を用
混入することで 3 年経過で混入なしに比べて約 1 割大き
れば,放熱管周囲の電場が鋼繊維の界面効果によって不
い 0.88 を得た.更に,上層のコンクリート舗装には熱
連続になり腐食時のマクロセルの形成・維持が起こりに
伝導率に優れる骨材として産地の近さから,福井では珪
くくなることと酸素が表面近くの鋼繊維で捕捉されるこ
石,札幌ではカンラン石を最大寸法を 10mm とした上で
とによって埋設放熱管や連続鉄筋の腐食耐久性が向上す
粗骨材として用いた.それぞれのコアから得られた熱伝
る
5),6)
.また鋼繊維の使用で熱伝導率は約 2 割向上する. 導率は 2.9W/m/K,2.5W/m/K であった.ただし,福井県
しかし,膨張材や鋼繊維をコンクリート舗装の全層に用
の新清永橋では,熱源杭を橋梁基礎杭と兼用したため安
いることは経済的ではない.そこで,既往の CRCP のひ
価にやや高温の熱源が得られたので,黒色化のための顔
び割れは外気の影響を受けやすい舗装表面側で主に発生
料や高熱伝導骨材は使わなかった.
することから,放熱管より上面側のコンクリートにだけ
(3) 放熱管とヘッダー管の設計
に用いた.これらの検討結果から実施した断面を図-20
に示す.
前述の通り,CRCP の選定で,鋼製放熱管を長く直線
下層コンクリートは舗装用曲げ強度 4.4N/mm2 に相当
配置できる.そこで,札幌市内の駐車場では 28m で U
する JIS A 5308 36-8-25-N を用いた.上層コンクリートに
ターンさせた.1 経路長が 28m 往復の 56mと短いと管路
283
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
ヘヘッダ
ッ ー
ダ 管
ー
管
送水
ヘ
送 水 ッダ
管
管
2層目SFRC
管
ヘッ
ー
管
熱
放 鉄筋 管
形 熱
異 放
ダー
管
異
1層目のコンクリート
形
筋
鉄
鋼管放熱管と
異形鉄筋の交互設置
写真-3 へッダー管と放熱管の CRCP への設置状況(新清永橋)
写真-5
配管と Wet On Wet の施工状況(新清永橋)
写真-4 交差点拡幅部分の耐熱 PE 管設置状況(新清永橋)
写真-6 自然熱による放熱管埋設での融雪(新清永橋)
内の空気だまりが押し切れなくて熱媒体液が流れない経
路が生じる可能性が高まる.しかし,自然積雪深約
(4) 地盤部での簡易フィニッシャーによる施工
120cm の降雪で一時的に積雪となった時の写真-2 が示す
ように,いずれの U ターンの放熱管経路も放熱管真上
CRCP の施工では,連続鉄筋をまず設置し,その鉄筋
の舗装表面からほぼ同じように雪が溶けており,熱媒体
に放熱管を番線で結わえて固定した(写真-5).連続鉄
液が流れない経路がなく,ほぼ同じ流量が流れているこ
筋の施工精度を高めることで,放熱管の施工精度は高ま
8)
とが推測される .新清永橋では橋梁の 1 径間長 35m に
った.放熱管の設計との施工誤差は,延長 20m 毎に一
合わせて地盤部でも 35m で U ターンさせた.全体の配
車線の道路横断の左右端と中央 2 点の 4 箇所全てで,高
管等の平面模式を図-21 に示す.この札幌市内の駐車場
さについては±5mm 以内,水平方向については±20mm
と同様に,新清永橋でも写真-3 に示すように路盤内や
以内にできた.配管工事は 1 人が 1 日で,鋼管放熱管を
コンクリート舗装の下面に各放熱管と接続するヘッダー
駐車場では 200m,道路では 94m 施工した.この結果,
管を埋設した.各放熱管がヘッダー管と接続する箇所毎
道路では鋼管の放熱管敷設は 5,400 円/ m2 となった.連
に,空気抜きと流量調整のバルブを設け,それを操作で
続鉄筋と表層への鋼繊維・膨張材と使用によって通常の
きるように道路横断のバルブ・ボックスを設置すること
コンクリート舗装より 6,200 円/ m2 の増,維持補修の多
は車の走行の支障となる.そこで札幌市と福井市の駐車
いアスファルト舗装より 11,800 円/m2 の増となったが,
場を含めてバルブ等は設けなかったが,流量の不均一に
これまでの曲げ加工を多数施す鋼管放熱管の施工とコン
よる溶け斑は生じなくて,管理上の支障は生じなかった. クリートの舗装との組み合わせに比べ,全体施工費で約
1500 円/m2 縮減し,同時に耐久性・融雪能力が向上した.
県道交差点への取り付け道路の曲線拡幅区間では,鋼管
上層コンクリートは,下層コンクリート打設後,写真
放熱管では曲げ加工が多くなり施工性が劣るので,放熱
ON
管に耐熱 PE 管を用いた(写真-4).そのことで熱抵抗は
-5 のように簡易フィニッシャーを用いて,WET
増えるが,耐熱 PE 管の設置間隔を鋼管の 1/2 の 75mm
WET で施工した.その際には,コールドジョイントと
とすることで,熱伝導率の低下を補った.
ならないように打ち継ぎ時間間隔は最大 2 時間としたが,
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土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
(5) 鋼床版橋面での大型フィニッシャーによる施工
上記の施工後,鋼床版橋(福井市幸橋)で舗装内に鋼製
放管を鋼床版にスタッドで固定して厚さ 10cm の舗装を
施工した(写真-7).この橋はたわみの大きな鋼床版
橋であることから厚さ 10cm の舗装の全てを SFRC とし
た.また,施工規模が大きなことから大型フィニッシ
ャーを用いて施工した.施工完成後 1 年半経過で,ひ
び割れ度 50~60cm/m2 ,最大幅 0.2mm のひび割れが生
じた.その後更に 1 年経過しても,ひび割れ度は 2%の
増加に止まり,進行していないことが確認された.施
写真-7 鋼床版(幸橋)上の放熱管と
工時とその後に降雨のあった施工区間にはひび割れが
大型フィニッシャーによる SFRCの施工
生じなかったことと膨張材には十分な散水養生が必要
との既往研究から 9),このひび割れは散水養生の不十
分さによる乾燥収縮ひび割れであると究明された
10),11)
.
膨張材の効果を確実にするには,岩城らの提案のよう
にゴアテックスで保護された湿度センサによる散水養
生管理を行うことが必要である
12)
.なお,その同じ橋
面で放熱管に並行して連続鉄筋を設置した区間では,
同じ散水養生であったにも拘わらず乾燥収縮ひび割れ
は生じなかった.
更に,この鋼床版橋では放熱管真上の多くにコンク
写真-8
リート表面に深さ 3mm のゆるやかな凹が生じた(写真-
放熱管真上に生じた凹(幸橋)
8) .大型フィニッシャーのスクリードの押さえで圧縮
されたコンクリートはスクリード通過後に反発して盛
り上がったが,放熱管真上の舗装表面は放熱管が遮蔽
となって盛り上がりが抑制されて相対的に低くなり,
この凹が生じた
10),11)
.施工時の鋼尺による表面凹凸の
チェックと十分なタンピングが必要であった.一方,
WET ON WET の施工では,放熱管の上面高さまでコン
クリートが打設され,その後やや時間経過後に薄層コ
ンクリートを打設するため,このような表面凹凸は発
生しないと思われる.
写真-9 放熱管内水の凍結による舗装破損
(6) 放熱管内残留水の凍結による舗装と配管の破損
全層 SFRC 舗装の中に管頂上からのかぶり 3cm で埋
途中簡易フィニッシャの故障により 2 時間 50 分の打ち
設した鋼管放熱管内の水を凍結させると放熱管上に沿っ
継ぎ間隔の箇所も生じた.しかし,その箇所の硬化後の
て 0.1mm 幅のひび割れが生じた.PE 放熱管内の水が凍
音調査とコア採取では,界面剥離の徴候は見られなかっ
結すると SFRC を挿入しないコンクリート舗装は写真-9
た.また,その後の施工では貫入針を用いたコンクリー
のように隣接する放熱管同士がつながる面で剥がれるよ
トの凝結時間の管理を実施した.
うに破損した.溶接金網で補強されたコンクリートに浅
福井市と札幌市の駐車場,福井県の県道での施工後,
く PE 放熱管を埋設したケースでは,管上に約 0.2mm の
それぞれ 6 年,5 年,3 年経過したが,全延長にわたっ
ひび割れが生じた.いずれのケースでも変形追随性の高
て CRCP の特徴である微細なひび割れも生じていない.
い PE 放熱管は破損しなかった.鋼管放熱管では,L 字
ひび割れがまだ生じていない理由は,CRCP の延長が最
継手部などで破損し漏水が生じた.不凍液を入れるか,
大でも約 100m で路盤からの拘束が小さいためと表面舗
融雪時や凍結抑制時の後には放熱管内に水が残らないよ
装には膨張材混入の SFRC を用いていることが考えられ
うにする,あるいは管内の水が凍結しないように運転す
る.福井県新清永橋での融雪状況を写真-6 に示す.
ることが必要となる.
285
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
6.結論
学会論文集 B 編,74 巻,739 号,pp.640-647,2008.3.
宮本重信,永井二郎,竹内正紀,山崎三知朗,山端
信也:橋梁基礎杭を用いた季節間蓄熱融雪の実測と
本稿によって,以下の結論が得られた.
数値シミュレーション,土木学会論文集 VII,投稿中.
1. 放熱管のかぶりを 70mm から 40mm にすれば,舗装表
3) 宮本重信,中川毅信,竹内正紀,永井二郎,藤井政
志:橋梁基礎杭を利用した地中への季節間蓄熱融雪
面での上向きの熱流束は約 30%大きくなり,そのこ
-福井県の新清永橋,橋梁と基礎,pp.13-21,2006.4.
とは融雪が追いつかない大雪での最大残雪深を最大で
4) 宮本重信,竹内正紀,永井二郎,菅原桂一郎:熱交
約 1/2 倍にする事例となる.
換杭群を用いた合成鋼床版橋での季節間蓄熱融雪の
2. 実験と解析の結果,35mm のかぶりで鋼管放熱管や PE
一設計,土木学会論文集 G,Vol.64,No.1,pp.10-25,
2008.3.
放熱管を埋設しても放熱管と舗装への力学的な影響は
5)
小林一輔,星野富夫,辻恒平:海洋環境下における
小さく構造耐久性の点では問題が無い.
鋼繊維補強コンクリートの鉄筋防食効果,土木学会
3. 横目地を省ける CRCP を用いた施工法では,鋼管放熱
論文集,No.414/V-12,pp.195-203,1990.2.
管の曲げを削減し,連続鉄筋は放熱管の固定に利用し, 6) 坂下真司,中山式典,杉井謙一,濱崎義弘,杉本克
久:鋼片添加によるコンクリート中鋼材の腐食抑制,
配管と舗装の全体で建設費を縮減した.放熱管と接続
神戸製鋼技報,No.2,pp.61-64,1999.9.
するヘッダー管を流量計やバルブなしで舗装下層に埋
7) 梅原秀哲:鋼繊維補強コンクリートのひび割れ抑制
設したが,熱媒体の流れに斑は生じなくて管理上問題
効果に及ぼす鋼繊維の種類に関する研究,NEDO エ
は生じていない.また,安価に,腐食と構造の耐久性
ネルギ-有効利用基盤技術先導研究開発「技術融合
による地中熱融雪システムのコスト縮減と省エネ化
を高めるために,放熱管より上面だけに SFRC,顔料,
の研究開発」,pp.64-72,2002.9-2005.3.
膨張材を用いる WET ON WET を数例施工した.鋼床
8) 永井二郎,宮本重信,大澤良和,五十嵐俊介,広松
版橋上での施工では,膨張材が養生散水の不足で効果
淳,竹内正紀:季節間蓄熱を援用した地中熱融雪の
を発揮せずに乾燥収縮ひび割れが生じ,大型フィニッ
数値シミュレーション,日本機械工学会論文集 B 編,
投稿中
シャーの施工では放熱管上面に凹が生じた事例を示し
9)
保利彰宏ほか:日本コンクリート工学協会,膨張コ
た.
ンクリートによる構造物の高機能化/高耐久性化に関
本稿が目指した舗装と放熱管の技術融合が,低温の自
するシンポジウム,pp.112,pp.28,2003.8.
然熱利用という環境負荷の少ない融雪・凍結抑制システ
10) 岩城圭介,平間昭信,加藤淳司,寺澤正人:コンク
リート内部の相対湿度計測による湿潤養生管理の提
ムの開発や普及に役立つことを願う.
案 コ ン ク リ ー ト 工 学 年 次 論 文 集 , Vol.30 , No.2 ,
pp.211-216,2008.
謝辞:本研究は,NEDO の省エネルギー基盤先導研究と
11) 宮本重信,堀川都志雄,長谷川信二,菅原桂一郎,
して実施され,その後の実施工は福井県の道路事業とし
川崎敏明,野田悦郎:鋼床版上の融雪用放熱管と鋼
繊維補強コンクリートの施工,日本道路会議,
て実施されたものである.その際に,NEDO 省エネルギ
No.32081,2009.12.
ー部,福井県の道路建設課,三国土木事務所,福井県消
12) 幸橋 床版・舗装のひび割れ調査委員会:幸橋(合成
雪設計協同組合,(株)日新テクノ,(株)道端組には協力
鋼床版橋)における床版・舗装のひび割れ等につい
を頂いた.記して感謝の意とする.
て,福井県雪対策・建設技術研究所 年報 地域技術,
第 22 号,pp.52-58,2009.8.
2)
参考文献
1)
(2009. 10. 20 受付)
永井二郎,宮本重信,西脇昌哉,竹内正紀:放熱管
埋設路面融雪の数値シミュレーション,日本機械工
286
土木学会論文集E Vol.66 No.3,276-287,2010.8
RATIONALIZATION OF DESIGN AND CONSTRUCTION OF CONCRETE
PAVEMENT WITH HEAT DISSIPATION PIPES
TO ENHANCE EFFICIENCY OF MELTING SNOW
Shigenobu MIYAMOTO, Tatsuo NISHIZAWA, Kiyoshi TAKEICHI,
Etsuro NODA and Koichi TAKASHIMA
In order to melt snow on a road by relatively low temperature heat source, it is cleafied that embedding
steel heat dissipation pipes shallowly in pavement is necessary. Also, a loading test, where a load traveled
on pavement surface back and forth, was conducted on a model concrete pavement to examine effects of
heat dissipation pipes on entire pavement responses. The test results were analyzed using a dynamic
3DFEM program. It revealed that the effect of heat dissipation pipes on the overall behavior of the pavement is negligible.
Therefore, after heat dissipation pipes were pre-set at the depth of 4cm from surface, the special concrete, that included expansive admixture, steel fiber, and/or pigment was used for upper-layer of the slab,
following the fresh lower-layer concrete to prevent the steel pipes from rust. Furthermore, continuously
reinforcement pavement was adopted for the type of concrete pavement, which aimed cost-effective techniques because of saving plumbing work of reversing the heat dissipation pipes at the joints.
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