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平成28年度 社会福祉施設等における食中毒予防講習会資料
社会福祉施設等における 食中毒予防講習会 1 本日のテーマ 食中毒の予防について • 食中毒について • 食品衛生の基礎(DVD上映) • 食品表示法について 2 食中毒とは 食品や飲料を口にすることによって おこる腹痛や下痢、嘔吐、発熱など の健康被害 3 食中毒の分類 感染型 ・細菌性食中毒 腸炎ビブリオ、ウエルシュ菌、 カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、 少量発症菌 サルモネラ・エンテリティディス、 食品内毒素型 黄色ブドウ球菌、セレウス菌など ・ウイルス性食中毒 ノロウイルス、サポウイルスなど ・自然毒食中毒 フグ毒、貝毒、毒キノコなど ・化学性食中毒 農薬、微量重金属、油脂の酸敗など ・寄生虫 アニサキス、クドア・セプテンプンクタータなど 4 平成27年 食中毒発生状況(全国) 発生件数:1202件 患者数 :22718人 5 平成27年 病因物質別 食中毒発生状況(全国) 順位 発生件数別 患者数別 1 ノロウイルス 481件 ノロウイルス 2 カンピロバクター 318件 カンピロバクター 2089人 3 アニサキス 1918人 4 植物性自然毒 58件 ぶどう球菌 619人 5 動物性自然毒 38件 ウエルシュ菌 551人 127件 サルモネラ属菌 14876人 6 平成27年 月別 食中毒発生状況(全国) 5,000 160 患者 死者 事件 4,000 140 120 100 患 3,000 者 数 2,000 事 80 件 数 60 40 1,000 20 0 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 発生月 7 平成27年 月別 食中毒発生状況(全国) 140 120 細菌 ウイルス 100 患 80 者 数 60 40 20 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 発生月 8 ノロウイルスについて 特徴 ・小さい(直径約35~40nm) 細菌の1/2~1/100 しわ、指紋、爪と皮膚の間に入り込み、洗浄等で落ちにくい 飛散しやすい 長時間浮遊 ・宿主(ヒト)の小腸上皮細胞のみで増殖 食品中で増えない ・自然界での抵抗力が強い 酸に強く胃を通過 60℃30分で感染性保持 温度は低いほど安定 アルコールが効きにくい 乾燥に強い、室温で20日以上感染性保持 9 凍結しても不活化しない ノロウイルスについて 特徴 ・培養できない 消毒剤の有効性を調べられない ・遺伝子に1本鎖RNAをもつ 遺伝子が変異しやすい 平成18年度の大流行は変異型が急速に全国に広がった 昨年以降、検出例の少ない 遺伝子型(GⅡ.17)が検出されており、注意が必要 ・宿主側の要因により、感染・発症に差がある 感染しても症状が出ない不顕性感染がある → 1つの理由として同じ型に感染した場合、免疫が作用 不顕性感染でもふん便に大量のノロウイルスを排出 ふん便109個/g(嘔吐物106/g) 感染力が強い、10~100個程度で感染 10 ノロウイルスについて 特徴 ・症状消失後もウイルスを排出 一般に2週間、長いときは1か月程度 症状 ・潜伏期間は24~48時間 ・主症状は、嘔吐、吐き気、下痢、腹痛、発熱 ・幼児は嘔吐、成人は下痢が多い ・3日程度で回復 ノロウイルス食中毒予防の4原則 1持ち込まない 2拡げない 3加熱する 4つけない 11 ノロウイルス食中毒予防4原則 1 持ち込まない 従業員 ・自己の健康管理 ・体調不良の時は休む (症状は正確に管理者に伝える) ・家族の健康状態の把握 ・普段の食事から気をつける (カキ等の二枚貝の生食は控える) ・職場復帰のタイミング ・手洗いの励行 施設管理者 ・職員の健康状態の組織的な把握 ・研修会の開催 ・職員以外の関係者等からの持込防止対策 ・利用者からの持込防止対策 ・定期的なノロウイルス検便の実施 ・ノロウイルス流行状況の把握 ・作業着等の衛生的な管理 12 ノロウイルス食中毒予防4原則 2 拡げない 汚染時の迅速・適切な処理 施設・器具の定期的な清掃・消毒と検証 トイレ後の手洗い 定期的な清掃・消毒と検証 細菌性食中毒予防の3原則 1 つけない 2 増やさない 3 加熱する 3 加熱する 中心部まで85~90℃で90秒以上 カキ等の二枚貝は、原材料が汚染しているので、加熱が唯一の予防法 食品取扱者、施設環境からの2次汚染防止(加熱後は、素手で食品に触れない) 4 つけない ノロウイルスを保有していることを前提にした取扱い 調理前の手洗いの励行 素手で食品に触れない(非加熱食品、加熱後の食品の取扱に注意) 手袋、帽子、マスクの着用 余裕のある業務体系 13 アニサキスについて 特徴 ・寄生虫 ・体長:約2cm~3cm ・色調:半透明白色 ・アニサキス幼虫が寄生している魚介類 サバ、サンマ、カツオ、ツバス、イワシ、イカ、アジなど ・内臓に寄生し、鮮度が落ちると内蔵から筋肉に移行 症状 ・2~8時間後に激しい腹痛、吐気、嘔吐 →胃アニサキス症 ・10時間後以降に激しい腹痛、腹膜炎症状→腸アニサキス症 幼虫が胃壁や腸壁にもぐり込んで症状を引き起こす。 予防方法 ・加熱:60℃で数秒、70℃以上は瞬時に死滅 ・冷凍:-20℃で24時間以上 14 ・新鮮な魚を選び、内臓を除去する。内臓は食べない 植物性自然毒による食中毒 有毒植物による食中事例(疑いを含む) 植物 事件数 患者数 死者数 スイセン 7 26 0 バイケイソウ 4 6 0 イヌサフラン 2 3 1 トリカブト 1 1 1 ハシリドコロ 1 2 0 15 38 2 事件数 患者数 死者数 8 21 0 平成28年5月3日現在 合計 昨年度同時期 15 植物性自然毒による食中毒 厚生労働省ホームペジより スイセン、スノーフレーク(スズランスイセン) 【中毒症状】 食後30分以内で、吐き気、嘔吐、頭痛など ※スイセンは、悪心、下痢、流涎(りゅうぜん)、 発汗、昏睡、低体温など 【間違えやすい植物】 ニラなど ※スイセンは、ノビルやタマネギとも間違えやすいので特にご注意 イヌサフラン 【中毒症状】 嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難 重症の場合は死亡することもあります。 【間違えやすい植物】 《葉》ギョウジャニンニク、ギボウシ 《球根》ジャガイモ、タマネギ 16 植物性自然毒による食中毒 厚生労働省ホームペジより バイケイソウ 【中毒症状】 嘔吐、下痢、手足のしびれ、めまいなどの症状が現れ、 死亡することもあります。 【間違えやすい植物】 オオバギボウシ、ギョウジャニンニク グロリオサ 【中毒症状】 口腔・咽頭灼熱感、発熱、嘔吐、下痢、背部疼痛などが発症し、 臓器の機能不全などにより、死亡することもあります。 【間違えやすい植物】 《根》ヤマイモ 17 植物性自然毒による食中毒 厚生労働省ホームペジより チョウセンアサガオ 葉と花 【中毒症状】 八重のチ ョ ウ セ ン ア サガ オ ( 写真提供: 中根孝久) 口の渇き、瞳孔の散大、意識混濁、興奮、麻痺、心拍数 の増加 種 【間違えやすい植物】 《葉》モロヘイヤ、アシタバ 《種》ゴマ 《根》ゴボウ チ ョ ウ セ ン ア サ ガ オ( 写 真 提 供 : 磯 田 進 ) ヨ ウ シ ュ チ ョ ウ セ ン ア サガ オ ( 写真提供: 磯田進) トリカブト 【中毒症状】 食後10~20分以内で、口唇、舌、手足のしびれ、嘔吐、 腹痛、下痢、不整脈、血圧低下、けいれん、呼吸不全に至っ て死亡することもあります。 【間違えやすい植物】 ニリンソウ、モミジガサ 18 植物性自然毒による食中毒 食用と確実に判断できない植物は絶対に 採らない! 食べない! 売らない! 人にあげない! • 家庭菜園や畑などで、野菜と観賞植物を一緒に栽培する • 有毒植物が山菜に混じっていることがあります。食用と確 実に判断できない植物を食べる • 食用の植物だと思っても、植えた覚えのない植物を食べる 野草を食べて体調が悪くなったら、 すぐに医師の診断を! 19 サルモネラ属菌について 特徴 ・乾燥につよい ・少量発症(100個程度) 原因食品 ・鶏卵、鶏肉、二次汚染 症状 ・12~48時間後に腹痛、下痢、高熱、嘔吐 予防方法 ・十分な加熱(75℃以上、1分間以上) ・低温保存 20 黄色ブドウ球菌について 特徴 ・ブドウの房状 ・粘膜の常在菌 ・毒素エンテロトキシン産生(食品中で増殖過程で産生) 熱に強い、分解酵素にも抵抗性、 標的臓器は胃、十二指腸、迷走神経を刺激し嘔吐 ・増殖への影響因子:温度、水分活性、pH 原因食品 ・生菓子、米飯(お握り、弁当)、牛乳、乳製品、ハムなど 症状 ・潜伏期間は30分~6時間、嘔吐が必発、発熱は伴わない 予防方法 ・手荒れや化膿巣のある人は、食品に直接触れない ・防虫、防鼠対策 21 ・低温保存(増殖可能な環境にしない) 堺市内の食中毒発生状況 22年 23年 24年 25年 26年 27年 件数 3 6 4 患者数 31 1183 51 2 1 4 57 10 85 平成28年 堺市の食中毒発生状況(5月現在) 発生件数:2件 患者数 :100人 22 事例1 発生年月日 患者数 原因食品等 病因物質 平成28年1月5日 95人 1月5日の夕食 ウエルシュ菌 市内の高齢者福祉施設から複数の入居者が下痢症状 などの食中毒症状を呈していると届出 同日に下痢症状、患者の共通食は1月5日の夕食 保存食と患者の便からウエルシュ菌を検出 23 ウエルシュ菌による食中毒 菌の特徴 ヒトや動物の腸管内、土壌、下水など自然界に広く存在 偏性嫌気性 耐熱性の芽胞を形成 症状 潜伏期間は6~18時間、症状は腹痛、下痢など 原因食品 カレー、あんかけ、煮物など 大量調理され、長い時間室温放置された食品に多い 予防のポイント 調理した食品は速やかに喫食 調理した食品を保管する場合、小分けして速やかに冷却 保管した食品は、十分に再加熱 24 事例2 発生年月日 患者数 原因食品等 病因物質 2月29日 5人 2月27日の食事 カンピロバクター・ジェジュニ 27日に市内の飲食店を利用 29日から腹痛、下痢、頭痛を発症 患者の共通食は当該施設のみ 患者の便からカンピロバクター・ジェジュニを検出 25 カンピロバクターによる食中毒 菌の特徴 鶏や豚などの腸管内に分布 少量の菌で発症 微好気性で新鮮な肉ほど危険 症状 潜伏期間は2~5日間、症状は発熱、頭痛など 原因食品 食肉の生食や加熱不十分な食肉 (鶏タタキ、刺身、レバーなど) 予防のポイント 食肉の生食をさける、十分に加熱する 26 豚の食肉の取扱いについて 平成27年6月12日より 豚の食肉(内臓を含む)の基準が追加されました 生食用としての販売、提供禁止 背景 平成24年に牛レバーの生食用としての提供が禁止されて以 降、一部の店舗で豚レバーを提供していることが判明。豚の食 肉について、厚労省の専門家調査会は、 ・E型肝炎ウイルス、食中毒菌、寄生虫に汚染されてる可能性 ・内部までの加熱以外にリスクを低減できる方法が考えられな い 27 本日のテーマ 食中毒の予防について • 食中毒について • 食品衛生の基礎(DVD上映) • 食品表示法について 28 大量調理施設衛生管理マニュアル 集団給食施設等における食中毒を予防するために、 HACCPの概念に基づき、調理工程における以下の 重要管理事項を示したもの • 原材料の受入れ及び下処理段階における管理 • 加熱調理済食品については、中心部まで十分加熱 し、食中毒菌等を死滅させる • 加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染 防止 • 食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、 原材料及び調理後の食品の温度管理 29 HACCPについて 原材料の受入から最終製品までの各工程であらかじめ危害を予測し、 危害防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録 継続的な監視・記録 HACCP方式 工 原 程 例 料 入 荷 温度・時間の管理 保 管 加 熱 冷 却 従来方式 異物の検出 包 装 出 荷 抜取検査 一定率の製品を抜取検査 検査により不合格が出た時は一連の製品を破棄 従来の管理方法に比べ、より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防止 30 管理運営基準 食品取扱設備等における衛生管理 食品取扱者等の衛生管理 食品取扱者等に対する衛生教育 運搬に係る衛生管理 施設基準 販売に係る衛生管理 一般的衛生管理プログラム HACCPを効果的に機能させるために必要 衛生標準操作手順 いつ、どこで、だれが、何を、どのようにするか 31 本日のテーマ 食中毒の予防について • 食中毒について • 食品衛生の基礎(DVD上映) • 食品表示法について 32 食品表示法 概要 食品衛生法 JAS法 健康増進法 食品の表示に係る規定を一元化 施行期日 平成27年4月1日~ 経過措置期間 ①加工食品及び添加物の全ての表示については5年 ②生鮮食品の表示については1年6か月 ③業務用生鮮食品については経過措置なし 33 加工食品の事例 堺北中食品株式会社 堺市堺区○○町1-1-1 製造所 西南美食品(株) 堺市西区△△町2-2 34