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いま泌尿器がんが注目されている(赤座 英之・特任教授 東京大学先端

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いま泌尿器がんが注目されている(赤座 英之・特任教授 東京大学先端
ドクター赤座の泌尿器がんのお話
平成26年11月1日
NTT関東病院4Fカンファランス・ルーム
いま泌尿器がんが注目されている
赤座 英之・特任教授
東京大学先端科学技術研究センター
総合癌研究国際戦略推進・寄付研究部門
講演の目的・期待される効果
• 目的
• 泌尿器科と泌尿器科で治療される悪性腫瘍について知っていただく
• がん治療の最新の治療法とその開発状況について理解していただく
• がん治療の本来の在り方について、皆さんとともに考えたい
• 期待される効果
• 日本の泌尿器科診療の特色を理解することができ、さらに、今後、
参加者の皆様が、泌尿器科で診療することが、万一生じた場合、あ
るいは、現在、診療を受けている場合、明日からの泌尿器科担当医
との接し方に役立つ。また、担当医の考え方や最新の治療情報を理
解することで、今まで以上に、担当医との会話が深まり、より良い
診療が受けられる。
• 講演の内容を、広く周囲の方々に伝えていただくことで、“泌尿器
科”に対する認知度が増大する。
• 先着30名様に“ドクター赤座の泌尿器がん、最新情報”- 春秋社、
を進呈
今、なぜ泌尿器がん?
• 人口の高齢化に伴い、泌尿器がんは、増加している
• QOL の維持に重要な臓器
• 前立腺;排尿障害、ED
• 膀胱;排尿、蓄尿(自然排尿は、ヒトのQOL の重要な要
素)
• 腎;腎機能(廃絶すると人口透析)
• 高齢者に好発(精巣腫瘍をのぞいて)するため、併発
症や合併症が多い
• 治療の方法、治療の開始時期、目的が多様
• 治療後の管理が重要
なぜ、がんは問題なのか
提供;井上 肇
~3大疾患中 がんのみ死亡率上昇~
300
250
粗死亡率の年次推移
(人口10万対)
悪性新生物
200
150
心疾患
100
脳血管疾患
50
結核
0
厚労省 平成23年人口動態統計月報年計より作成
The Dream
医療技術や様々に専門分化
The survival of the Hippocratic した現代医学において、”ヒポ
oath and patient respect in the complexity of medical technology クラテスの誓い“と患者への
and multiprofessional care remain 尊敬の基本概念は、我々の
an integral part of our civilization 文明と医学的進歩の重要な
and medical progress.
側面として生きている。
Louis Denis/Oncology Centre
Antwepp, 2006
ヒポクラテスの誓い(原文:小川鼎三訳)
•
『医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う、私の能力と判断に
したがってこの誓いと約束を守ることを。この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必
要あるとき助ける。その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。
そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとず
き約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
• ○私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と
知る方法を決してとらない。
• ○頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。
同様に婦人を流産に導く道具を与えない。
• ○純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。
• ○結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。
• ○いかなる患家を訪れるときもそれはただ病者を利益するためであり、あら
ゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷のちがいを考
慮しない。
• ○医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。
• ○この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生き
てすべての人から尊敬されるであろう。
• もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。
6
泌尿器科で診療する疾患は、とても多様
Urology
泌尿器科
女性泌尿
器科学
排尿機
能
泌尿器
悪性腫
瘍学
手術
外傷
老齢泌
尿器科
学
ED
尿路結
石
血管外
科
腎移植
尿路閉塞
小児泌
尿器科
学
尿路感
染症
奇形
副腎腫瘍
男性不妊
症
腹腔鏡手術
ロボット
補助下
手術
内視鏡手
術
泌尿器がん;
これまでの進歩
• 精巣腫瘍
• 白金系抗がん剤を主体とした癌化学療法
• 腎細胞癌
• ネフロン温存手術と分子標的薬、免疫療法の可能性
• 前立腺癌
• ロボット補助下前立腺全摘出術、内分泌療法の展開(含む CRPC
治療薬)、放射線治療
• 膀胱癌
• 臓器温存治療の追求 (Multi-disciplinary treatment)
• 個別化医療; Personalized Medicine
• 新しい概念に基づく新規抗悪性腫瘍薬の開発
• 爆発的進展を見せている、基礎研究
• Translational Medicine
• 紀元前から進歩していないものがあるとすれば?
8
日本の泌尿器腫瘍診療体制は、現状が良いのか?
• 泌尿器科疾患は、QOLに大きく依存する
• 特に、腎、膀胱、前立腺に発生する悪性腫瘍は、その治療法によってQOL
に与える影響は、大きい
• 日本の泌尿器科診療は、外科的治療と内科的治療を泌尿器科が、あわせ
行う
• 内科泌尿器科
• 外科泌尿器科
• トータルな治療が可能
• 近代の診断・治療技術の進歩は著しい
• 一人の泌尿器科医が習得できる知識・技術には限界?
• アメリカ型分化?
• 専門医制度の確立と充実
• 誰が主治医?
(各専門領域との協調は、いづれにおいても不可欠)
生活習慣とがん予防のために!
10
泌尿器科系悪性腫瘍
1. 前立腺がん (Prostate cancer)
2. 尿路上皮がん(Urothelial cancer)
1. 膀胱癌 (Bladder cancer)
2. 腎盂尿管癌、尿道癌 (Cancer of renal pelvis, ureter,
urethra)
3.
4.
5.
6.
腎細胞がん(Renal cell cancer)
精巣腫瘍 (Testicular cancer)
陰茎腫瘍 (Penile cancer)
その他 (副腎、後腹膜臓器、副甲状腺)
米国の場合
がん治療;5年生存率の向上
5 年生存率 (%)
1974‐76 83‐85 95‐01
前立腺
67 75 100
膀胱
73 78 82
精巣
79 91 96
腎
52 56 65
Clinical Cancer Advances 2006
J Clin Oncol 24:146‐62,2007
12
前立腺がん
• 欧米では、全男性の悪性腫瘍死の9%を占めるなど社会的な問題癌(罹患
率1位、死亡率2位;日本罹患率4位,死亡率5位)
• 生物学的には90%以上がandrogen(男性ホルモン)依存性
• 骨転移が特徴
• 遺伝的要因 とともに 生活習慣 が関与(遺伝性要因と生活習慣・環境)
• Gleason スコア(病理組織所見)が重要なリスク因子
• PSA (prostate specific antigen;前立腺特異抗原のよるスクリーニングに関
する議論
• 過剰診断、過剰治療
• 複雑多岐にわたる治療オプション
• 手術、放射線、内分泌療法、積極的監視療法
• 進行癌に対する新薬開発ラッシュ
• 前立腺がんは、ラッキーキャンサー?
がん罹患率、死亡率(年齢調整;日本)の推移
Age‐adjusted incidence (rate/ 100,000)
Age‐adjusted mortality (rate/ 100,000)
5位
4位
Prostate cancer incidence rates for selected registries. 2000‐2004
前立腺がん罹患率の国別グラフ
(西高東低)
前立腺癌 罹患率の地域差
15
日系ハワイ人のがん罹患の形態は、
Cancer incidence in Japanese migrants to Hawaii.
日本在住日本人とアメリカコーカシアンとの中間;
前立腺がん罹患は増大するが、コーカシアンのそれまでには増えない
July 2004
この解剖図を描いたのは誰でしょうか?
1452‐1519
Why no prostate?
40 %
Future
trend of Japanese proportion of 65 years old
65歳以上の年齢構成の急増
35
30
25
日本
米国
現在
20
先進国全体
15
中国
10
途上国全体
5
0
1950
Source : UN Population Prospectus
2000
2050
75歳以上では?
30
%
25
Y1920~2110
65~74 yrs old & over 75 yrs old
20
Japan
15
現在
65~74
10
Population over age 65
Will be > 40% 5
0
Over 75
1920
Source ; 国立社会保障・人口問題研究所(将来予測は中位推計を用いた)
前立腺がんの経過
Treated Natural History
16年~
手術、」放射線
治療など、直
ちに根治治療
を必要としな
いものも少なく
ない
1997 pts
329 pts (16%) +14
144 pts (44%) +31
手術
PSA
>0.2ng/ml
転移
2.3 yrs
Median 7.5 yrs
63%-5yrs
転移予防
Death
Median 6.5 yrs
進行を遅らせる治療
最近の新薬開発ラッシュ
*Pound et al. JAMA 281: 1592, 1999; updated 2003.
20
2010年に診断された前立腺がんの背景(日本)
Age, TNM & Clinical Stage
(JCaP surveillance)
Newly diagnosed PC in 2010 (Japan)
Variable
Age
%
‐ 59
7.0
60 ‐ 64
13.4
65 – 69
22.2
Over 70 =
70 – 74
24.5
57.5%
Over 65 = T factor
79.7%
75 – 79
19.8
80 ‐
13.2
T1
41.6
T2
35.7
T3
18.3
T4
4.3
年齢中央値は71歳であった。
N factor
M factor
Clinical
Stage
Localized cancer > 70%
T1cN0M0 = 40%
N0
91.2
N1
7.7
M0
89.6
M1
10.5
I
58.3
II
16.1
III
11.2
IV
13.6
TNM and Stage were determined by UICC 7th ed.
大部分の症例は限局癌であり、T1cN0M0が約4割であった。
遠隔転移を有する症例は約1割であった。
JCaP surveillance 2010
6%
5%
6%
積極的監視療法
48%
40%
内分泌療法
21%
放射線療法
32%
手術
57%
0.4
0.6
0.8
1.0
前立腺癌初回治療の種類と割合
28%
31%
0.0
0.2
8%
16%
JUA2000
JUA2004
J-CaP2010
主治療の選択は内分泌療法、前立腺全摘除術、放射線療法の順であり、日本泌尿器科学会による2000
年および2004年の前立腺癌患者全国集計と同様であった。
日本泌尿器科学会による2000年および2004年の全国集計と比較して、放射線療法の割合が増加し、内分
泌療法の割合が減少していた。
各治療法別 全生存率 & 前立腺がん特異生存率 (日本泌尿器科学会)
Kaplan‐Meier curves of overall survival(A) and prostate cancer‐specific survival(B) by main treatment adopted in patients with T1‐4 N0M0 prostate cancer (n=8224)
Overall Survival
Prostate cancer specific survival
Int JU (2011) 18: 876‐881
23
1921年
九州大学内藤誠二教授提供
内藤誠二教授提供
九州大学
Comparison of Dose Distribution
200MeV Protos, A-P 2ports
新しい放射線治療; 陽子線治療
10 MV X-ray,
A-P + Oblique 4 ports
臨床試験の現況;
Clinical Trials for CRPC(Mar ’12 update)
1996 palliative
Tannock, ‘89
prednisolone
7.5‐10
Tannock, ‘96
Prednisolone 10
vs
mitoxantrone
+prednisolone 10
CALGB9182, ‘99
hydrocortisone 40
vs
mitoxantrone
+hydrocortisone 40
2004
2010
Docetaxel
post/pre‐ docetaxel 2012
TROPIC, ‘10
TAX327, ‘04
mitoxantrone
+prednisolone 10
vs
docetaxel
+prednisolone 10
SWOG9916, ‘04
mitoxantrone
+prednisolone 10
vs
docetaxel
+estramustine
AFFIRM, ‘12
mitoxantrone
+prednisolone 10
vs
cabazitaxel
+prednisolone 10
placebo
+prednisolone 10
vs
MDV3100
+prednisolone 10
COU‐AA‐301, ‘11
ALSYMPCA, ‘12
placebo
+prednisolone 10
vs
abiraterone
+prednisolone 10
placebo+BSC
vs
Radium‐223
+BSC
ARD6562, ‘08
docetaxel
+prednisolone 10
MDV3100
Pre‐docetaxel
MDV3100
PII pre‐ chemo
Abiraterone
PII pre & post chemo
C21004
TAK700
Pre‐docetaxel
IMPACT,’10
placebo
vs
Sipleucel‐T
PREVAIL
In Japan
C21005
TAK700
Post‐docetaxel
ARD6563, ‘12
docetaxel
+prednisolone 10
Cabazitaxel
PI,II 27
去勢抵抗前立腺がん(CRPC) 治療の現状
化学療法+-
転移+-
アンドロゲン受容体
アンドロゲン代謝
化学療法
When
What
治療コスト
と効果の
バランス
治療の質
How
Who
投与法
投与時期
腫瘍の進行度
患者側の状態
CRPCからHRPC 、M+ から M‐ へ
休憩
次は、膀胱がんと腎細胞がん
膀胱がん(尿路上皮がん)
• 化学発がん
• 喫煙、その他の化学物質
• 筋層浸潤の有無で予後、治療法が著しく異なる
• Non-muscle invasive bladder cancer (筋層非浸潤癌)
• Muscle invasive bladder cancer (筋層浸潤癌)
• 2004 WHO classification
•
•
•
•
Urothelial papilloma
PUNLMP
Low-grade papillary urothelial carcinoma
High –grade papillary urothelial carcinoma
• 膀胱内注入療法 (BCG, Chemotherapeutic agents) 筋層
非浸潤癌
• がん化学療法 Chemotherapy for metastatic UC
• GC, MVAC
• 泌尿器癌領域の治療法の開発は、遅れている(新しい進展が求められている)
Japan, Miyagi
Japan, Osaka
Korea
Hong Kong
Thailand
Egypt
Canada
USA(Black)
USA(White)
30
25
20
15
10
5
0
Male
Female
35
30
25
20
15
10
5
0
Japan, Miyagi
UK
France
Germany
Italia
Spain
Denmark
Australia
New Zealand
Hawaii
膀胱がん罹患率の国際比較(per 100,000) 年齢調節
Male
Female
Data source: Cancer Incidence on Five Continents Vol.7(2007)., IARC
膀胱がん;性別・診断時年齢
900
800
700
600
Total: 2723
pts.
F
M
Total
500
400
300
200
100
0
-9 -19 -29 -39 -49 -59 -69 -79 -89 90-
YRS
膀胱がんの原因
• 喫煙
• Occupation: Dyes, rubber, textile (職業性)
• Aromatic amines
• Long latent period
• Schistosomiasis – hematobium (住血吸虫)
• Chronic cystitis (慢性膀胱炎)
Cyclophosphamide (抗がん剤)
• Radiation therapy (放射線被ばく)
Seiji Togo; Girl of El-Golea b
手で口を隠しているのは何故?
Vincent van Gogh; Skull of skeleton with
burning cigarette
性別・年代別喫煙率の推移
•成人男性
昭和41年:83.7%→平成17年:
45.8%
39年間で45%減少
•成人女性
平成17年: 13.8%。
40年間、14%前後で推移。
年代分布が逆転
(JT・平成17年全国たばこ喫煙者率調査)
膀胱がん;喫煙習慣と発症年齢の関係
JUA data base
500
CPNS
PS
CS
UK
450
400
Mean Age
71.1
70.3
65.0
69.6
SD
11.4
10.9
11.8
11.6
CPNS
PS
CS
UN
350
300
250
200
150
100
50
0
-39
40-44
45-49
50-54
55-59
60-64
65-69
70-74
75-79
80-84
85-89
90-
膀胱癌の浸潤度分類
膀胱がん治療の基本概念
“ガン=臓器摘出”という癌治療一般の基本概念を、
以前から打破してきた。
• 膀胱摘出術によるQOL の著しい低下
• 内視鏡手術 (TURBT) の早期発展
• 表在性癌(NMIBC) と筋層浸潤癌 (MIBC) との生命予後
の比較検討
• 膀胱内注入療法の発展
• 手術術式、尿路変更術の発展
• 化学療法/ 放射線療法の発展
• 浸潤癌に対する温存療法の研究
機能温存治療
BCG 膀胱癌注入療法
Robert Koch
1850s‐ Distinguished M. bovis from M. tuberculosis
In 1890s immunization with M. bovis as vaccine against TB initiated in Italy with disastrous results
Albert Calmette
Camille Guѐrin
1908 ‐ Began serial passage of M. bovis in glycerin‐bile‐potato medium to attenuate
Performed 231 passages at 3‐week intervals (13.34 years through WWI)
1921 ‐ The “bacillus of Calmette and Guerin” (BCG) vaccine was born
Morales A
1972 ‐ Applied for funds to initiate BCG treatment for NMIBC 1976 – published their experience in J Urol
セカンド・オピニオンの重要性
• がんは、多くの場合、慢性的に進行する慢性病の一種
• 治療法が、確立していない分、治療法は多様
• 侵襲性が高い治療が多く、QOL (生活の質)への影響は少なくない
• 治療効果・副作用・治療コストのバランスの評価が、個人(患者)のレベ
ルでも重要
• 医師は、決して自分の好みで、治療法を選んではいけない
• 医師も患者も、自分の考えが、すべて、正しいと思ってはならない
• 複数の意見、情報から、もっとも自分に適すると思う治療方を選ぶ
ことが必要 >> 実は、これは、簡単ではない
• その意味では、セカンドオピニオンも完全ではない
セカンド・オピニオンの一例
腎細胞がん
•
•
•
•
•
•
•
全がんの2-3%
淡明細胞がん(clear cell carcinoma)が多い
60-70歳代が好発年齢で、男性が女性の約1.5倍の罹患率
3主徴をともなう腎細胞がんは現代では、6-10%程度
20-30%は、しかし転移部位の症状が診断のきっかけ
放射線療法、がん化学療法に抵抗
分子標的薬の開発ラッシュが、一段落した2013年
• 多くの課題を残した
• 効果とリスク
• 費用対効果
• 臨床試験の在り方
20
Asia
Western
Female
15
10
Male
Female
5
0
Canada
USA (Black)
USA (White)
Egypt
Argentina
Chile
Austria
France
Germany
Italy
UK
Male
Per 100,000
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
Shanghai
NewDelhi
Miyagi
Osaka
Korea
Manila
Singapore
Chiang Mai
Taiwan
Per 100,000
腎癌罹患率の国際比較(年齢調節)
Data source: Cancer Incidence on Five Continents Vol.7(2007)., IARC
And Taiwan Cancer Registry (2008)
44
転移性腎細胞癌治療薬開発の流れ (FDA)
細胞型、臨床的な
予後因子の評価
アジュバント試験
VHL遺伝子
80s
最初のサイトカイン
製剤の評価
完全ヒト型
抗PD-1抗体
Immune checkpoint
inhibitor
90s
HD IL-2
Ph IIデータ
FDA承認
2014~
2000
抗VEGF製剤
ph II
各種免疫治療の臨床試験
?
FDA承認:
1) Sorafenib
2) Sunitinib
FDA承認:
1) Temsirolimus
2) Bevacizumab
3) Everolimus
FDA承認:
1) Pazopanib
2) Axitinib
Knox. EMUC 2009; session 6 改編・追加
腎細胞がん治療薬の薬価の比較
薬剤カテゴリー
IFN-α
1ヶ月(30日)あたりの 薬価*
160,416 円
IL-2
2,165,800 円
TKI
497,076円 ~ 691,300 円
mTOR阻害剤
561,660円 ~ 762,666円
*:IFN-αは週3回投与、IL-2は週5回投与、スニチニブは6週を1サイクルとして、 1年52週で計算し、
月単位で算出した
高額医療費に対する欧米の対応
• 保険制度
• 厳しい保険承認条件
• 個人保険
• 転移の診断
• 画像診断の制限
• 治療開始時期の制限
• 単一転移巣、無症状の小病巣はすぐには分子標的薬の投与はしない
• 上記は、治療開始の遅れの原因
• 日本では、日本の皆保険制度故のジレンマ
• 対策は?
•
•
•
•
•
腎がん転移には、active surveillance は向かない
個別化医療(薬剤選択の最適化)
的確なバイオマーカー
薬価調整?
Generic?
48
アカデミア、臨床側から見た、問題解決の糸口とは?
• メーカー主導の治験体制に対する積極参加
• プロトコール作成や治験実施まで幅広い参加
• 大学病院は、基礎医学~臨床試験~患者をつなぐ絆
• 大学やがんセンターをつなぐアジア国際連携体制
• 精度の高い医師主導型臨床試験体制の確立
• 教育、支援、実践、インセンティブ
• “臨床試験学”の確立
• 臨床試験・治験に対する評価・意欲
• すべての基礎医学研究は、最終的には“ヒト”が対象
49
医療費の負担に関する意識は先進国の間でも異なる:
国と個人の負担の割合
Prepaid health service- the role of private voluntary
insurance and public finance
自
己
負
担
の
割
合
Health expenditures per person in selected highincome regions, 2010
1.米国は、EUや日本よ
り約2倍の医療費
2.その半分は、個人の
負担(個人保険)
公費負担の割合
Global health 2035: a word converging within a generation Lancet 2013;382:1898-955
精巣腫瘍
• 男性悪性腫瘍の1-1.5%
• 20-30歳代に多い
• ほとんどが胚細胞腫瘍(germ cell tumor)
• 70%以上が診断時 stage I
• がん化学療法や放射線療法 (seminoma) に著明に
反応; 適切に治療すれば治癒率は高い
• First line chemotherapy
• PEB
Uro‐oncology の将来(次の100年への期待);
Looking to the future standing on the shoulders of the century
次の100年への期待(含む、予想)
• 技術的進歩は?
• 予防、診断、治療 >>> 臨床的意味での癌という病は、無くな
る? --癌では死ななくなる?
• 治療の目的は、どのように変化するか?
• 治癒、延命、QOL、がんという病との共存は?
• 増加する医療コスト
• Universal Health Coverage
• Medical resource
• 医療倫理は?
• ヒポクラテスを越えられるか?
• 医師は、ヒポクラテス当時の社会的信頼を取り戻しているか?
• 新たな医療倫理とは?
• 医師と患者が、共に、治療を考える
• 主体は、患者
52
Fly UP