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発熱性好中球減少症 - My Schedule

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発熱性好中球減少症 - My Schedule
−臨
床
血
液−
第 75 回日本血液学会学術集会
EL-60
その他
ガイドライン(標準治療)
発熱性好中球減少症
高 松
泰
Key words : Febrile neutropenia, Empiric therapy, Prophylaxis
ンパ腫では,がん薬物療法の DI が弱くなると生存率が
1.はじめに
低下する5, 6)。がん薬物療法の安全性および有効性を高
好中球は,生体内に侵入した細菌などの異物を貪食・
殺菌する。炎症巣から出される遊走因子により血管外へ
めるには,FN に対して適切な治療を行うこと,さらに
FN の発症を予防することが重要である。
遊出し,抗体や補体を介して Fc レセプターや C3 レセ
1990 年 に ア メ リ カ 感 染 症 学 会(The Infectious
プターと結合した異物を細胞内に取り込み,細胞質内の
Diseases Society of America, IDSA)を中心に FN のマ
顆粒から放出される酵素や活性酸素により殺菌する。末
ネージメントに対するガイドラインが作成7),2010 年に
梢血中を循環している好中球は,体内に存在する好中球
改訂された3)。海外のガイドラインに記載されている
の約 3%にしか過ぎない。大半の好中球は骨髄内(骨髄
FN の治療薬の用法・用量は必ずしも日本の保険診療に
プール)に貯留しており,血管壁や脾臓(辺縁プール)
適合していない。そこで日本の日常診療の実態に適した
にも存在している。細菌感染症が起こった際は貯留プー
FN の対処方法を明らかにすることを目的に,日本臨床
ル内の好中球が動員され,末梢血中の好中球数は速やか
腫瘍学会ガイドライン委員会の下部組織として FN 診療
に増加する。好中球の寿命は末梢血中では半日程度,組
ガイドライン部会を設置し,FN 診療ガイドラインを作
織内では 2∼5 日である1)。
成した8)。
が ん 薬 物 療 法 を 行 う 場 合,最 も 問 題 と な る dose-
2.FN の定義
limiting toxicity は,骨髄抑制に伴う血球減少である。特
に好中球数が減少すると発熱する危険が高く,好中球減
IDSA では口腔内温の測定が推奨されており,発熱と
少を伴うがん薬物療法を 1 サイクル以上受けた場合,固
は「1 回の口腔内温 38.3℃以上または口腔内温 38℃が 1
形がんでは 10∼50%,血液腫瘍では 80%以上の患者で
時間以上持続する状態」と定義されている3)。しかし日
発熱が起こると言われている 。発熱の原因となる感染
本の病院では口腔内温を測定することは稀で,腋窩温が
巣が消化管や肺,皮膚などに明らかに認められる割合は
用いられている。腋窩温は口腔内温に比べて 0.3∼0.5℃
20∼30%,静 脈 血 培 養 で 菌 血 症 が 証 明 さ れ る 割 合 は
低いため,日本では「1 回の腋窩温 37.5℃以上(口腔内
10∼25%で,多くの場合発熱の原因は不明である 。好
温 38℃以上)」が発熱と定義された9)。好中球減少とは,
中球減少時に発熱すると急速に重症化して死に至る危険
当初は「好中球数 1,000/ml 未満」と定義されていたが7),
があるが,発熱後直ちに広域スペクトラムの抗菌薬を投
2010 年に発表された IDSA のガイドラインでは「好中
与すると症状が改善し,死亡率が低下することが経験的
球数 500/ml 未満,あるいは 48 時間以内に 500/ml 未満
に知られている。そのため発熱性好中球減少症(febrile
に 減 少 す る と 予測さ れ る 状態」に修 正さ れ て いる3)。
neutropenia; FN)という病名が提唱された4)。がん薬物
JSMO のガイドラインでは,
「好中球数が 500/ml 未満,
療法の効果は投与する抗がん薬の dose intensity(DI)
または 1,000/ml 未満で 48 時間以内に 500/ml 未満に減少
に相関する。FN を来すと次サイクル治療の延期,ある
すると予想される状態で,かつ腋窩温 37.5℃以上(口腔
いは抗がん薬減量を余儀なくされることがある。悪性リ
内温 38℃以上)の発熱を生じた場合」を FN と定義し
2)
3)
た8)。
福岡大学病院
(2014)468
腫瘍・血液・感染症内科
臨
3.FN の初期検査
FN を起こした場合は,感染巣がないか症状の問診お
よび診察を行う。口腔,鼻腔,肛門など体外と通じてい
床
血
液 54:10
減少持続期間が長期にわたる場合は,カンジダ属,アス
ペルギルス属など真菌感染症を考慮する。
FN を起こす頻度は低いが死亡率が高い微生物とし
て,バ チ ル ス 属 菌,Corynebacterium
jeikeium,
る部位やカテーテル穿刺部は十分に観察する。白血球分
Stenotrophomonas maltophilia がある。真菌ではムーコ
画および血小板数を含む全血球計算,腎機能(BUN,
ル目,フザリウム属,トリコスポロン属,スケドスポリ
クレアチニン)
,電解質,肝機能(トランスアミナーゼ,
ウム属などは抗真菌薬投与下でも発症し,重症感染症を
総ビリルビン,アルカリホスファターゼ)を含む血清生
起こす。多剤耐性菌の分離頻度は世界的に増加傾向にあ
化学検査を行う。
り,日本では多剤耐性緑膿菌・カルバペネム耐性緑膿菌
抗菌薬開始前に 2 セット以上の静脈血培養検査を行
う。中心静脈カテーテルが留置されている場合はカテー
テル内腔から 1 セットと末梢静脈から採取した 1 セッ
の分離頻度が比較的高い13)。
6.FN に対する経験的治療(エンピリック治療)
ト,中心静脈カテーテルが留置されていない場合は末梢
FN を発症した場合は,グラム陰性桿菌を抗菌スペク
静脈の異なる部位から 2 セット採取する。呼吸器症状・
トラムに含む b-ラクタム薬を単剤で経静脈的に投与す
徴候を伴い感染が疑われる場合は,胸部 X 線写真を撮
る。推奨される薬剤は,セフェム系薬のセフェピム(1
影する。感染が疑われる症状・徴候を示す身体部位での
回 2 g を 12 時間毎),セフタジジム(1 回 1 g を 6 時間
培養検査を行う。
毎)
,カルバペネム系薬のイミペネム・シラスタチン(1
4.FN のリスク分類
回 0.5 g を 6 時間毎),メロペネム(1 回 1 g を 8 時間
毎),もしくは抗緑膿菌ペニシリン薬のタゾバクタム・
がん薬物療法を受ける患者が FN を起こすリスク因子
ピ ペ ラ シ リ ン(1 回 4. 5 g を 6 時 間 毎)で あ る(図
として,IDSA ガイドラインでは,7 日以上持続する高
1)14∼20)。第 3 世代セフェム系を分解する其質特異性拡
度な好中球減少(100/ml 以下),嚥下障害や高度な下痢
張型 b ラクタマーゼ(ESBL)やカルバペネム系を分解
を伴う消化管粘膜障害,腹痛・悪心・嘔吐・下痢などの
するメタロ b ラクタマーゼを産生する多剤耐性菌が出
消化器症状,新たに出現した神経学的異常または精神症
現しており,各施設での分離菌の抗菌薬感受性プロファ
状,カテーテル関連感染症,肺浸潤影の出現または慢性
イルを考慮して抗菌薬を選択することも重要である。セ
肺 疾 患 を 伴 う 場 合 を あ げ て い る 。ま た American
フピロム(1 回 2 g を 12 時間毎)
,セフォゾプラン(1
Society of Clinical Oncology(ASCO)のガイドラインで
回 1 g を 6 時間毎)
,ビアペネム(1 回 0.6 g を 12 時間
は,患者の背景,基礎疾患(がんの種類)
,がん薬物療
毎),パニペネム/ベタミプロン(1 回 0.5 g を 6 時間毎),
3)
法の種類に応じて FN を起こすリスクを提示している
(表 1)10)。
ドリペネム(1 回 1 g を 8 時間)など本邦で使用可能な
抗緑膿菌作用を有する b ラクタム系薬剤は,FN に対す
FN が起こった場合に重症化する危険性を評価するに
る臨床研究は十分に行われておらず,IDSA のガイドラ
は,Multinational Association of Supportive Care in Can-
インにも記載されていないが,前出の薬剤と同等の効果
cer(MASCC)スコアが広く使用されている。スコアの
があると推測される21∼27)。日本で経験的治療に用いら
合計が 21 点以上の場合は低リスク,20 点以下は高リス
れる静注抗菌薬の用法・用量を示す(表 4)8)。
クと判断される(表 2)11)。ただし MASCC スコアだけ
FN に対する初期治療として,全ての症例にアミノグ
で FN に対する外来治療が可能かどうかを判断するのは
リコシドもしくは抗 MRSA 薬を併用することは推奨さ
困難で,ASCO ガイドラインでは,MASCC スコアが 21
れない。b ラクタム薬単剤と b ラクタム薬 +アミノグ
点以上であっても FN に対して外来治療を行うべきでな
リコシド併用,もしくは b ラクタム薬単剤と b ラクタ
い臨床的基準を提示している(表 3)10)。
ム薬 +抗 MRSA 薬(バンコマイシンまたはテイコプラ
5.考慮すべき原因微生物
ニン)併用を比較したメタアナリシスでは,ともに両群
間で全死亡率に有意差は認められず,併用療法の方が腎
FN 患者の血液培養分離菌として,以前は緑膿菌,大
機能障害などの毒性が多く出現した28∼30)。アミノグリ
腸菌などのグラム陰性菌が優位であったが,近年はコア
コシドの併用は,敗血症や肺炎を伴う重症患者,緑膿菌
グラーゼ陰性ブドウ球菌,黄色ブドウ球菌,レンサ球菌
感染症の場合に行う。キノロンの予防内服をしていない
などグラム陽性菌の頻度が高い。緑膿菌による菌血症は
症例では,静注キノロンも選択肢の一つである。血行動
死亡率が高く,適切な抗菌薬治療が 24 時間以内に開始
態が不安定または重症敗血症,血液培養でグラム陽性菌
されなかった場合の死亡率は 40%に達する12)。好中球
を認めその感受性が判明するまで,重症のカテーテル感
469(2015)
−臨
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血
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表 1 がん薬物療法を受ける患者で FN を起こすリスク因子(文献 10 より引用)
ASCO のガイドラインで提示されているがん薬物療法を受ける患者で FN を起こすリスク因子を示す。
因子
FN 発症率(95% CI)
リスクへの関与
患者の背景
高齢
年齢≧65 歳は高リスク
ECOG の PS
PS≧2 は高リスク
栄養状態
血清アルブミン<3.5 g/dl
FN の既往
1 サイクル目に FN を起こすと次サイクル以降の FN 発症率は 4 倍
併存症
併存症を 1 つ,2 つ,3 つ以上もつ場合,FN の発症率はそれぞれ 27%,67%,125%高くなる。
基礎疾患
癌種
急性白血病/骨髄異形成症候群
85∼95
軟部肉腫
27(19∼34.5)
非ホジキンリンパ腫/多発性骨髄腫
26(22∼29)
胚細胞腫瘍
23(16.6∼29)
ホジキンリンパ腫
15(6.6∼24)
卵巣癌
12(6.6∼17.7)
肺癌
10(9.8∼10.7)
結腸・直腸癌
5.5(5.1∼5.8)
頭頚部癌
4.6(1.0∼8.2)
乳癌
4.4(4.1∼4.7)
前立腺癌
1(0.9∼1.1)
臨床病期
進行期(臨床病期≧2 期)は高リスク
寛解状態
非寛解期は高リスク
治療の反応
CR の場合は低リスク
PR の場合は,急性白血病患者は固形癌より高リスク
治療を行っても腫瘍が残存,難治性,進行性の場合は高リスク
がん薬物療法の種類
細胞傷害性抗がん薬
以下の薬剤を含むレジメン治療は高リスク
アントラサイクリン≧90 mg/m2
シスプラチン≧100 mg/m2
イホスファミド≧9 g/m2
シクロホスファミド≧1 g/m2
エトポシド≧500 mg/m2
シタラビン≧1 g/m2
治療強度を強めた治療(CHOP-14 など)
乳癌に対するアントラサイクリン+タキサン±シクロホスファミドまたはアントラサイク
リン+ゲムシタビン療法
治療強度
予定された治療量の 85%を超える投薬が行われた場合は高リスク
消化管および口腔粘膜障害の
NCI の grade≧3 の粘膜障害または最悪時に OMAS スコア≧2 の場合は高リスク
程度と持続時間
血球減少の程度と持続時間
好中球減少
好中球<500/ l が 7 日以上
リンパ球減少
リンパ球<700/ l
単球減少
単球<150/ l
予防的 G-CSF の投与
低リスク
CI, confidence interval ECOG, Eastern Cooperative Oncology Group PS, performance status FN, febrile neutropenia
CR, complete response PR, partial response CHOP, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisone
NCI, National Cancer Institute OMAS, Oral Mucositis Assessment Scale
(2016)470
臨
表 2 発熱時のリスクを判定するための MASCC スコアリ
ングシステム(文献 11 より引用)
重篤な感染症に移行する危険因子 7 個について、そ
れぞれの因子に与えられた点数を加える。全ての因
子が当てはまる場合は 26 点となる。21 点以上は低
リスク群、20 点以下は高リスク群として対処する
ことが推奨される。
危険因子
スコア
床
血
液 54:10
培養など微生物学的検査および CT など画像検査を行う
(図 2)。血清検査での b-D グルカンやガラクトマンナン
抗原の上昇,胸部 CT での halo サインや air crescent サ
イ ン は,侵襲 性 ア ス ペ ルギ ル ス 症 の診 断 に 有 用 で あ
る32∼34)。原因菌が同定された場合は,感染部位と薬剤
感受性結果に基づいて抗菌薬を変更する。口腔潰瘍や食
道炎の症状があれば単純ヘルペスやカンジダ感染が疑わ
れるため,アシクロビルや抗真菌薬(フルコナゾールな
ど)を投与する。肺炎,特に重症例では抗 MRSA 薬や
症状(次の中から 1 つ選ぶ)
症状なし
5
抗真菌薬の併用を検討する。右下腹部痛と下痢を伴う場
軽度の症状
中等度の症状
5
3
合は好中球減少性腸炎(neutropenic enterocolitis)を考
低血圧なし
5
慢性閉塞性肺疾患なし
固形腫瘍/真菌感染の既往のない血液疾患
脱水なし
4
4
3
腸管壁の肥厚 ,横断面で 4 mm 以上の壁肥厚が長軸方
発熱時外来
60 歳未満
3
2
慮する。診断には CT または腹部超音波検査が有用で,
向に 3 cm 以上の長さにわたって見られることが特徴的
である35)。主な原因菌は好気性グラム陰性桿菌と偏性嫌
気性菌で,単剤療法を行う場合はカルバペネム系薬また
はタゾバクタム・ピペラシリン,併用療法を行う場合は
抗緑膿菌作用を持つセフェム系薬にメトロニダゾールあ
るいはアミノグリコシドを併用する。Clostridium diffi-
染が疑われる,皮膚・軟部組織感染症を伴う,MRSA
cile による偽膜性腸炎の鑑別も重要である。
やペニシリン耐性肺炎球菌を保菌している,あるいはフ
原因菌や感染巣は不明だが血行動態が不安定な場合
ルオロキノロンが予防投与されている患者で重症の粘膜
は,耐性グラム陰性菌,耐性グラム陽性菌,嫌気性菌に
炎を伴う場合は,グリコペプチド系薬のバンコマイシン
効力をもつ抗菌薬を追加する(図 2)。初期治療がセファ
(1 回 0.5 g を 6 時間ごと)もしくはテイコプラニン(初
ロスポリン系薬単剤の場合はカルバペネムに変更する。
日は 1 回 400 mg を 12 時間ごと,以後 1 回 400 mg を 24
アミノグリコシドやキノロン,抗 MRSA 薬の追加も考
時間ごと)を併用する。経験的に抗 MRSA 薬を併用し
慮する。一方,発熱は遷延するものの全身状態が良好の
た場合,グラム陽性菌が検出されなければ 2∼3 日で中
場合は,必ずしも抗菌薬を変更・追加する必要はない。
止する。
9.抗真菌薬の経験的治療
7.初期治療(経験的治療)により解熱した場合の
対応
抗菌薬の治療期間は,感染巣の有無,起因菌の種類,
好中球減少が 7 日以上遷延する場合は,酵母や糸状菌
による真菌感染症のリスクが高くなる。酵母ではカンジ
ダによる血流感染症,糸状菌ではアスペルギルスや接合
患者の全身状態,抗菌薬治療に対する反応,好中球数の
菌による肺感染症が代表的である。FN に対して 4∼7
回復速度などの条件により異なる。感染巣症状・徴候が
日間広域抗菌薬を投与したが解熱しない高リスク患者で
ない不明熱としての FN の場合は,好中球数が 500/ml
は,経験的抗真菌療法が推奨される。使用する薬剤は,
以上に回復し 48 時間以上解熱していれば抗菌薬は中止
アムホテリシン B リポソーム(1 回 2.5 mg/kg を 24 時
してよい。感染巣症状・徴候を伴う場合はより長期間の
間ごと)
,ミカファンギン(1 回 100∼150 mg を 24 時間
治療が必要で,例えば細菌の血流感染症の場合は 7∼14
ごと)
,カスポファンギン(初日は 1 回 70 mg を 24 時
日間,肺炎では 10∼21 日間の治療が必要である。
,イトラコナ
間ごと,以後 1 回 50 mg を 24 時間ごと)
解熱したものの好中球減少が持続する場合は,原則と
ゾール(2 日間は 1 回 200 mg を 12 時間ごと,3 日目以
して好中球数が 500/ml 以上に回復するまで抗菌薬治療
降は 1 回 200 mg を 24 時間ごと)
,ボリコナゾール(初
を継続する(図 2)。低リスク患者では,全身状態が安
日は 1 回 6 mg/kg を 12 時間ごと,以後 1 回 4 mg/kg
定していれば経口抗菌薬(シプロフロキサシン +アモ
を 12 時間ごと)のいずれかを選択する36∼42)。一方,好
キシシリン・クラブラン酸など)に変更してもよい31)。
中球減少期間が短い低リスク患者では,深在性真菌感染
8.FN が遷延する場合の対応
の頻度は低く,経験的抗真菌療法は推奨されない。
初期治療開始後 3∼4 日経っても発熱が続く場合は,
471(2017)
−臨
床
血
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表 3 MASCC スコアが 21 点以上であっても FN に対して外来治療を行うべきでない臨床的基準(文献 10 より引用)
ASCO のガイドラインで提示されている MASCC スコアが 21 点以上であっても FN に対して外来治療を行うべきでな
い臨床的基準を示す。
カテゴリー
心血管
判定基準
意識消失発作/失神
高血圧の急速な進行
低血圧の出現もしくは増悪
コントロールされていない心不全,不整脈,狭心症
臨床的に重大な出血
心嚢液貯留
血液
重度な血小板減少(<10,000/ l)
貧血(Hb<7 g/dl または Ht<21%)
7 日以上続くと予想される好中球減少(<100/ l)
深部静脈血栓症または肺梗塞
消化管
経口薬を内服できない
対処困難な嘔気・嘔吐
下痢の出現もしくは臨床的に重大な増悪
下血,血便(痔出血を除く)
,吐血
腹痛
腹水
肝臓
肝トランスアミナーゼ>正常上限値の 5 倍,もしくは臨床的に重大なほど増悪した肝トランスアミナーゼ上昇
ビリルビン>2.0 mg/dl もしくは臨床的に重大なビリルビン上昇
感染症
明らかな感染巣がある(肺炎症状,蜂窩織炎,腹腔内感染症,画像検査もしくは微生物学検査が陽性)
重症敗血症の所見あり
外来で投与された抗菌薬にアレルギー反応あり
72 時間以内に抗菌薬を投与されている
血管内留置カテーテル関連の感染症
神経
精神/意識レベルの変化または痙攣
中枢神経感染症や無菌性髄膜炎もしくはその疑い
脊髄圧迫もしくはその疑い
神経障害の出現もしくは増悪
肺/縦隔
頻呼吸もしくは浅呼吸
低酸素血症,高炭酸ガス血症
気胸もしくは胸水貯留
空洞性の肺結節もしくは活動性の胸腔内病変を疑う画像所見
腎臓
腎機能障害(クレアチニンクリアランス≦30 ml/min)
,乏尿または臨床的に重大なほど腎機能が増悪(治療
担当医の判断)
肉眼的血尿の出現
尿路閉塞もしくは尿路結石
臨床的に重大な脱水
臨床的に重大な電解質異常,アシドーシスまたはアルカローシス(治療介入を要する)
他の重要な併存症
臓器障害,併存症,バイタルサイン,臨床徴候や症状,検査値,画像所見に大きな異常がある
臓器障害,併存症,バイタルサイン,臨床徴候や症状,検査値,画像所見に臨床的に重大な増悪がある(治
療担当医の判断)
妊娠中もしくは授乳中
静注薬を使った鎮痛が必要
骨折,外傷もしくは緊急放射線治療が必要
(2018)472
臨
図1
床
血
液 54:10
FN 患者に対する経験的治療(文献 8 より引用,一部改変)
FN 患者に対する経験的治療のアルゴリズムを示す。
表 4 FN の経験的治療として使用される静注抗菌薬の用法・用量(文献 8 より引用)
日本で経験的治療に用いられる静注抗菌薬の用法・用量を示す。
日本で FN への適応を有する薬剤
セフェピム 1 回 2 g 12 時間毎 静注
メロペネム 1 回 1 g 8 時間毎 静注
日本では FN を適応症として有しないが十分なエビデンスの集積のある薬剤
イミペネム・シラスタチン 1 回 0.5 g 6 時間毎 静注
タゾバクタム・ピペラシリン 1 回 4.5 g 6 時間毎 静注
セフタジジム 1 回 1 g 6 時間毎 静注
日本では FN への適応はなくエビデンスも集積途上であるが,日常臨床では使用されて
いる薬剤
セフピロム 1 回 2 g 12 時間毎 静注
セフォゾプラン 1 回 1 g 6 時間毎 静注,もしくは 1 回 2g 12 時間毎 静注
ドリペネム 1 回 1 g 8 時間毎静注
ビアペネム 1 回 0.6 g 12 時間毎 静注,もしくは 1 回 0.3 g 6∼8 時間毎 静注
パニペネム・ベタミプロン 1 回 0.5 g 6 時間毎 静注
10.中心静脈カテーテルが挿入されている患者の
FN に対する治療
中心静脈カテーテルが挿入されている好中球減少患者
は,カテーテル関連感染症を起こしやすい。カテーテル
挿入部の感染,血栓性静脈炎,心内膜炎,血行動態が不
安定な敗血症を合併している,または適切な抗菌薬治療
を 72 時間以上行っても改善しない場合は,カテーテル
473(2019)
−臨
床
血
液−
図2
FN 患者に対する経験的治療開始 3∼4 日後の再評価(文献 8 より引用,一部改変)
FN 患者に対して経験的治療を開始した 3∼4 日後に再評価を行う際のアルゴリズムを示す。
を抜去する。カテーテルを抜去しない場合は,静脈血液
をもつ患者は,G-CSF の予防投与が推奨される。FN の
培養をカテーテル内腔から 1 セットと末梢静脈から 1
発症率が 10%未満の場合は,G-CSF の予防投与は推奨
セット採取する。カテーテル血液培養の方が末梢血培養
されず,FN による重篤な経過が予測される患者に対し
より 120 分以上早く陽性となった場合は,カテーテル関
てのみ G-CSF の予防投与を検討する。
連感染症と診断する43)。培養で黄色ブドウ球菌,緑膿
好中球減少が 7 日以上続くと予想される場合は,キノ
菌,バチラス,真菌が検出された場合はカテーテルを抜
ロンの予防内服が有用である。キノロンを予防投与する
去して適切な抗菌薬投与を行う。
とプラセボ群に比べて発熱のエピソードが減少,感染症
11.FN の予防
関連死亡率が低下し,全生存率が上昇する45)。レボフロ
キサシン(1 回 500 mg を 1 日 1 回),もしくはシプロフ
がん薬物療法後に G-CSF を投与すると,FN の発症率
ロキサシン(1 回 200 mg/日を 1 日 3 回)を内服する。
が低下し,感染症関連の死亡を含む早期死亡率が減少す
また,急性白血病,好中球減少を伴う骨髄異形成症候群,
る。ASCO のガイドラインでは,急性リンパ性白血病に
口内炎を伴う自己造血幹細胞移植患者,同種造血幹細胞
対する寛解導入療法や地固め療法など FN の発症率が
移植患者など高リスク患者では,抗真菌薬の予防投与が
20%を超える高リスクの抗がん薬治療を行う場合は G-
推 奨 さ れ る。フ ル コ ナ ゾ ー ル(1 回 200 mg を 1 日 1
CSF の予防投与を推奨している 。急性骨髄性白血病の
回)
,イトラコナゾール内用液(1 回 200 mg を 1 日 1 回)
場合は G-CSF により白血病細胞の増殖が刺激される可
の内服,もしくは造血幹細胞移植時はミカファンギン(1
能性があるが,実際には再発率が高くなるなど予後に対
回 50 mg を 24 時間毎)の静注を行う。好中球減少期間
する悪影響はないと考えられる。悪性リンパ腫に対する
が 7 日未満と予想される場合は,抗菌薬および抗真菌薬
CHOP 療法など FN の発症率が 10∼20%のがん薬物療
の予防投与は不要である。
44)
法では,65 歳以上,進行期,FN の既往などの危険因子
(2020)474
細胞性免疫が低下した患者では,ニューモシスチス肺
臨
床
血
液 54:10
炎を発症する危険がある。発症すると急速に低酸素血症
Multinational Association for supportive care in cancer risk
が進行し死亡率が高いため,急性リンパ性白血病患者,
index: a multinational scoring system for identifying low-risk
同種造血幹細胞移植後および副腎皮質ステロイド(プレ
febrile neutropenic cancer patients. J Clin Oncol. 2000; 18:
ドニゾロン換算で 30 mg 以上)投与時は,スルファメ
トキサゾール・トリメトプリム(ST 合剤)の予防内服
が推奨される。ST 合剤(400 mg/80 mg)の投与量は,
1 日 1 錠の連日投与,1 日 2 錠の週 3 日投与,1 日 4 錠
の週 2 日投与など様々な方法が実施されている。
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