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映像・イメージング基盤技術の重要性
特 集 SPECIAL REPORTS 東芝の映像・イメージング技術を支える基盤研究 特 集 Toshiba's Basic Research Supporting Visual and Imaging Technologies 映像・イメージング基盤技術の重要性 Importance of Advanced Visual and Imaging Platform Technologies 2012 年は,厳しい経済情勢のなかでも,特に映像技術に関連した事業の熾烈 (しれつ)さと変化の激しさが強く印象づけられた一年でした。私が社会人になった 30 年以上前には,テレビ(TV)もビデオカセットレコーダ(VCR)も当時の給料と 比較してかなり高額の商品でした。今は多くのAV・IT(情報技術)機器が生まれ ましたが,made in Japanではなくなり,価格も安価になりました。ここに至るまで 多くの研究者や技術者が既存の技術を乗り越える研究と商品化を行い,たゆまぬ コスト低減を行ってきた結果,誰もがいつでもどこでもその恩恵を受けられるように なりました。 子どもの運動会やピアノの発表会などイベントに付き物の撮影だけではなく,携帯 電話やスマートフォン,デジタルカメラで日常的に写真や動画を撮影し,メモリカード やクラウドシステム上に保存,共有するライフスタイルを楽しんでいます。TV 放送も デジタル化され,TV受像機は薄型で大画面化し,きれいな画質になりました。 VCRの発明から始まった録画文化及びレンタル文化が,テープ媒体からHDD(ハー ドディスクドライブ)やディスク媒体に,更には放送も含めてインターネット経由の サービスへと変化したように,映像を含む技術の変化はライフスタイルを変える一因 でした。 東芝はVCR 技術開発や,DVD の規格化,SDメモリカード,MPEG-2(Moving 下田 乾二 SHIMODA Kenji Picture Experts Group - phase 2)をはじめとする高能率符号化国際標準や,レグザ ブランドのTV受像機やHDDレコーダ,グラスレス3D TV(3D:立体視)の技術開発 と製品化,更には,映像をよりリアルに感じるための高精細化(超解像)技術の実用 化など,この進歩に大きく寄与してきました。 最近のユーザーの皆さまは,購入時の喜びや,使用する満足感,使い勝手の良さ など純粋の新技術だけではない価値観を重要視しており,当社もそのための研究を 行っています。しかし,基盤技術が重要であることは変わりません。映像・イメー ジング技術はデジタルプロダクツだけでなく,映像配信サービスや交通,セキュリ ティなど社会インフラの広範囲の箇所で適用され,日々活躍しています。 この特集では,映像入力系技術,高能率符号化技術,表示技術と,社会インフラ 分野への適用例として映像配信技術を紹介します。当社の先進映像・イメージング 技術に関する基盤研究の現状をご理解いただければ幸いです。 研究開発センター 首席技監 Corporate Research & Development Center 東芝レビュー Vol.68 No.2(2013) 1