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多機能`ー生蛋白質 NDPキナ~ゼ/ nm23 の分子

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多機能`ー生蛋白質 NDPキナ~ゼ/ nm23 の分子
● 総 説●
多機能性蛋白質NDPキ ナーゼ/nm23の 分子機構
木村成道 ・島田信子 ・福田
貢 ・石井章雄 ・瀬戸
Database Center for Life Science Online Service
ヌクレオシドニ リン酸キナーゼ(NDPK)は
洋 ・安友佳朗 ・高木洋子 ・石川
直
ヌクレオシド三 リン酸プールの形成を介し
て広範な生体構成物質の産生にかかわるハウスキーピング酵素として知 られてきた。最近
数年間に蛋白質,遺 伝子構造の解明が進み,偶 然にも,が ん転移抑制因子nm23,転 写因
子PuFな ど,い くつかの機能分子との同一性が判明した。その結果,NDPKは
酵素の範疇
に限ることなく,多 彩な細胞機能の調節にかかわる多機能性蛋白質と捉えるべき段階を迎
えている。保存性が高 く,生 命の基本反応を担う蛋白質が多機能性と調節的機能を備える
分子基盤をめぐり,新 たな展開がくり広げられつつある。
Key
words
【NDPキ
ナ ー ゼ 】 【nm23】
【Awd】
【PuF】
【I因 子 】
【ハ ウ ス キ ー ピ ン グ 酵 素 】 【多 機 能 性 蛋 白 質 】
は じめ に:NDPK概
維 持,保
観
生 命 の 特 徴 の1つ
存 に 必 要 な エ ネ ル ギー をATPと
は,自
らの
い う化 学 エ ネ
シ グ ナ ル 伝 達 系 に お け る調 節 因 子 と して 広 範 な 生 体 反
応 に 利 用 さ れ る。 す な わ ち,NDPKはATPの
化 学エ
ル ギ ー の 形 で 蓄 積 す る能 力 を も つ こ と に あ る。 こ の 化
ネ ル ギ ー を類 似 の 他 の 化 学 物 質 に 転 移 し,生 命 活 動 に
学 エ ネ ル ギ ー を有 効 に利 用 す る た め 生 命 は さ ま ざ ま な
利 用 しや す い 形 で 提 供 す る 役 割 を担 っ てい る とい え る。
工 夫 を取 り入 れ た と推 定 さ れ る が,本
稿 の主題 であ る
ヌ ク レ オ シ ドニ リン 酸 キ ナ ー ゼ(以 下NDPK)は
その
反 応 式(3)の
平 衡 定 数 は ほ ぼ1,タ
は お よそ3×105/分
ー ンオ ー バ ー 数
と速 い 反 応 速 度 を示 す 。 この 高 い活
筆 頭 に あ げ ら れ る べ き存 在 と い え る か も しれ な い 。 下
性 と基 質 特 異 性 の 低 い 性 質 は他 の ヌ ク レ オ チ ド代 謝 関
記 の リン酸 転 移 反 応 を触 媒 す るNDPKは
連 酵 素 群 と異 な る特 徴 で あ り,律 速 酵 素 で な い とす る
で はATPを
生理 的条 件下
リ ン酸 基 供 与 体 と し て リボ お よび デ オ キ シ
リボ 体NDPか
ら対 応 す るNTPを
生 成 し,そ れ ら は
N1TP十E=N1DP十E-P
N2DP十E-P=N2TP十E
N1TP十N2DP=N1DP十N2TP
考 え方 の 根 拠 に な っ て きた1)。 発 見(1953年)か
年 代 前 半 まで に6量
(1)
(2)
な 生 物 界 に お け る存 在 と,動 物 各 組 織 に お け る分 布 な
核 酸 の 構 成 要 素 と し て,多 糖 類 ・リ ン脂 質 の 前 駆 体 の
活 性 化 因 子 と して,さ
(p.769)]と
Takagi**,
Kimura*,
Naoshi
Nobuko
区 栄 町35-2)[*Department
Tokyo
Molecular
Metropolitan
Mechanism
Shimada*,
Ishikawa***,東
of Molecular
Institute
of
小 管 重合 や
Mitsugu
Fukuda*,
京 都 老 人 総 合 研 究 所*分
Multifunctional
Sakae-cho,
Protein,
NDP
物 に至 る広範
Akio
ハ ウ ス キ ー ピ ン グ 酵 素[→ 今 月 のKey
Hiromi
Seto*,
疫 病 理 部 門,***分
of Immunopathology,***Department
Itabashi-ku
Kinase/nm
Words
位 置 づ け ら れ て きた 背 景 とし て 十 分 理 解 さ
Ishii*,
子 生 物 学 部 門,**免
Biology,**Department
of Gerontology,
物,動
ど多 岐 に わ た る 知 見 が 集 積 され た1)。 こ れ ら の事 実 は,
NDPKが
Narimichi
エ ネル ギー 中間体 形成
な ど の 物 理 化 学 的 性 質 や 細 菌,植
(3)
ら に 蛋 白 質 合 成,微
体 構 造,高
ら1970
Tokyo,/73,
Yoshiro
Yasutomo*,
子 病 理 部 門(〒173東
of Molecular
Yohko
京 都 板 橋
Pathology,
Japan]
23
745
Database Center for Life Science Online Service
42
図1 蛋 白質
核酸
NDPKお
よ び 相 同 蛋 白 質 の1次
図 下 段 の*は
酵素
Vol.42
No.5(1997)
構造
完 全 に保 存 され た ア ミノ酸 を 示 す 。
理 と将 来 へ の 展 望 に つ な が る こ と を念 願 して い る。
れ る。
NDPK研
究 は90年
代 に 入 り,遺 伝 子 の 単 離 と 蛋 白
質 高 次 構 造 の 解 明 が 相 次 い だ 。 これ と歩 調 を あ わ せ る
よ う に,が ん転 移 抑 制 因 子nm23な
分 子 がNDPKと
白質 の構造と酵 素活性
ど,い くつ か の 機 能
同 一 で あ る こ とが判 明 した。 その 結 果,
この 蛋 白質 は酵 素 と い う性 格 を こ え,複
持 す る 多 機 能 性 蛋 白 質 として,増
I.NDPK蛋
殖,分
数 の 機 能 を保
化,情
報 伝 達,
1.1次
図1に
こ れ ま で に 決 定 さ れ たNDPKお
質 単 量 体 の1次
が ん 転 移 な ど,多 彩 な細 胞 機 能 の 調 節 に 関 与 す る実 態
150ア
が 明 らか に な り つ つ あ る。 種 間 で 高 度 に 保 存 さ れ,生
植 物(ホ
命 維 持 の た め の 基 本 反 応 を 担 う蛋 白 質 が 多 機 能 性 と調
構 造
構 造 を 示 し て あ る 。 大 部 分 は,お
ミ ノ 酸 残 基 か ら な る 。 哺 乳 動 物 で は2種
ウ レ ン ソ ウ)に
(Dictyostelium
は3種
discoideum)に
節 的 機 能 を あ わ せ もつ 分 子 的 基 盤 は い か な る も の か,
フ ォ ー ム が 存 在 す る 。N末
NDPKを
discoideumのNDPK-Mは
め ぐ っ て 新 た な 問題 が わ れ わ れ の前 に提 起 さ
本 稿 で はNDPKに
総 括 的 に 概 説 し,さ
関 す る基 礎 的 研 究 を 中 心 に現 状 を
まざ まな 現 象 をNDPK分
子 の構 造
腸 菌(Escherichia
端 側 に 延 長 配 列 を も つD.
葉 緑 体15)に
coli)17),出
と機 能 に即 して理 解 す る こ とを 目指 した 。NDPK/nm23
とが ん 転 移 の 問 題2∼5)は関 心 の 高 い領 域 で あ る に もか か
melanogaster)19)のNDPK遺
移抑 制 の分子 機構 に関連 す る部分 に限定 せ
胞 性 粘 菌
類13,14)の ア イ ソ
ウ
局在 す る といわれ
て い る 。 ヒ トで は 新 た にDR-nm2316)が
cerevisiae)18)お
わ ら ず,転
類11,12),細
は2種
よそ
類6∼10),
ミ ト コ ン ド リ ア に14),ホ
レ ン ソ ウ のNDPK-IIは
れ てい る。
よび 相 同 蛋 白
報 告 され た。 大
芽 酵 母(Sacchayomyces
よ び シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ(Dyosophila
伝 子 は1種
類 とさ れ て い
る 。 活 性 部 位 の 近 傍 を 含 め て 全 体 に 構 造 保 存 性 が 高 く,
ざ る を え な か っ た こ と を あ ら か じ め お 断 り し て お きた
生 命 活 動 の 基 本 的 部 分 を 担 う こ と を 裏 づ け て い る。
い 。 本 稿 が複 雑 化 しっ つ あ るNDPK研
Doolittleら20)は
746
究 の問 題 点 の整
真 性 細 菌 か ら真 核 生 物 にか けて 分 布 す
多機能 性蛋 白質NDPキ ナーゼ/nm23の 分子機構
43
した(松 崎 ら:投 稿 準備 中)。 真
核 生 物 で は6量 体 構 造 を とり,
単 量 体(分 子 量 約17K)は
β 型 で,4本
α/
の逆 平 行 β シ ー
トの 周 囲 に α ヘ リ ック ス が 配
置 して い る。Kpn(killer
prune)ル
ー プ,C末
of
端 領 域,
α1お よ び α3ヘ リ ック ス を介
し て3分
子 が 会 合 し,こ
量 体 が2層
の3
に 重 な り6量 体 構
造 とな る 。 原 核 生 物 の 場 合 は
4量 体 を形 成 し,Kpnル
ープ
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はサ ブ ユ ニ ッ ト相 互 作 用 に 関
与 せ ず,外
周 に沿 っ て 存 在 し
て い る。
4量 体,6量
体 どち らの場 合
も,基 質 結 合 部 位 は 多 量 体 構
造 の 外 側 に 配 置 す る 。Janin
ら21)の グ ル ー プ はD.discoideum
素 に つ い て β4鎖
上 の 活 性 部 位His122の
側鎖
の 位 置 関 係 か ら,αAと
α4
ヘ リ ッ ク ス で 囲 まれ た 空 間 に
基 質 結 合 部 位 が あ る と推 定 し
たが,そ の 後,Williamsら24)
に よ っ て 訂 正 さ れ た。 彼 ら は
M.xanthus素
図2
(a)ラ
NDPKの
し,基 質 結 合 部 位 はJaninら
高次構造
ッ トNDPKβ
(b)NDPKの2次
の 結 晶 構 造 。 実 際 に は この3量
構 造,機
体 が2層
に 重 な り6量 体 を 形 成 して い る。
能 ア ミノ酸 お よ び ア イ ソ フ ォ ー ム 非 相 同 領 域(V1,V2)。
(His118)は 活 性 部 位 。 ア ミ囲 み の下 段 にB,P,Rと
が 最 初 に 示 し た 個 所(Wil-
太 字 のH
記 した も の はそ れ ぞ れ基 質 の塩 基,リ
リボ ー ス部 分 との 結 合 に関 与 。 白抜 き 四 角 はPuFのDNA結
セ リン残 基 。V1領 域(α
につ い て解 析
合 部 位 。 灰 色 四 角 は リン酸 化 される
ア イ ソ フ ォー ム)は 情 報 伝 達 系 との 相 互 作 用部 位 。*は
図1と
liamsに 従 う とB'チ
ャ ンネ ル)
で はな く,α2とKpnル
ープ に
ン酸,
同様 。
挟 まれ たBチ
ャ ンネ ル で あ る
こ と を 示 し た 。 保 存 性 ア ミノ
る 蛋 白質 の 分 子 進 化 に関 す る論 考 の な か で,57種
対 象 蛋 白 質 の1つ
にNDPKを
類の
酸 残 基 の う ちAsn114は
リ ボ ー ス 部 分 と,Lys11,
Tyr51,Arg87,Arg104,Gly118は
採 用 して い る。
β リ ン酸 と水 素 結
合 な ど を介 し て 結 合 し て い る。 塩 基 部 分 は そ う した 結
2.高
合 を もた ずPhe59と
次構 造
D.discoideum21∼23),粘
thus)24,25),
D.
液 細 菌(Myxococcus
melanogaster26)由
nm23-H2(NDPK-B)27,28)に
つ い てX線
が 報 告 さ れ て い る 。 最 近,筆
2a)お
よ びNDPKα
来NDPKお
xanよびヒ ト
結 晶 解析 結果
者 ら は ラ ッ トNDPKβ(図
組 換 え体 蛋 白 質 の結 晶 構 造 を 解 明
ス タ ッ キ ン グ す るの みで,こ
の酵
素 の 基 質 特 異 性 の 甘 さ を よ く説 明 し う る 。
図2bに
は2次 構 造 をア ミノ酸 配 列 に対 応 させ て 示 し
た。 囲 み で 示 し たV1,V2領
域 は ア イ ソ フ ォー ム 問 で
相 同 性 の 低 い部 分 を 示 す 。 ラ ッ トNDPKα
ノ酸 残 基 の 相 違 は わ ず か に16/152で
と βのア ミ
そ の う ち の13残
747
44
蛋 白質
核酸
基 がV1,V2領
約1/3の
酵素
Vol.42
No.5(1997)
域 に集 中 し て い る 。V1はN末
位 置 に,V2はC末
端か ら
端 部 分 に あ り,こ れ らの 非
5.Kpnル
ープ
す で に 述 べ たKpnル
ー プ は6量 体NDPKの
相 同性 領 域 は ア イ ソ フ ォ ー ム 独 自 の 役 割 を 担 う と推 測
され る。V1領
は,D.melanogasterのawd(abnormal
域 に つ い て は,情 報 伝 達 系 との相 互 作 用
wing
部 位 で あ る可 能 性 が 最 近 明 らか に な っ た(VIII節 参 照)。
遺 伝 子 変 異 の 一 種 で,prune遺
ラ ッ トの2種
致 死 効 果 を現 わ す こ と に よ る33)。Pro97がSerに
の ア イ ソ フ ォー ム は 基 質 特 異 性 に 大 き な
違 い は な い28a)。
3.活
性 部位
NDPKが
共 存 下,
高 エ ネ ル ギ ー リ ン酸 化 中 間 体 を形 成 す る際,リ
哺 乳 動 物 酵 素 のHis118に
ン酸化
相 当 し,こ れ ま
で に 構 造 決 定 さ れ た す べ て の分 子 種 で 保 存 さ れ て い る。
M.xanthus29),D.discoideum21)お
こ のHis残
変換
素活 性 に顕著 な差 は
が ん遺 伝 子Tum-1の
ん 遺 伝 子 の 作 用 はprune変
awd,Tum-1,prune遺
異 に よ っ て も 抑 制 さ れ,
伝 子産 物 問の相互 の関連が推
定 され る。
D.discoideum
NDPKのPro105をGlyに
改 変 した
よび ヒ ト30)の酵 素 で
蛋 白 質 に つ い て 野 生 型 と比 較 す る と,野 生 型 で は サ ブ
基 を別 の ア ミノ 酸 に改 変 した 変 異 蛋 白 質 は,
ユ ニ ッ ト解 離 と酵 素 活 性 の消 失 を伴 う非 可 逆 的 変 性 が
自 己 リ ン酸 化 能 を もた ず,酵
Tm62℃
素 活 性 を 消 失 す る。
で 生 起 す る が,変
異 型 は38℃ で 可 逆 的 な 単 量
体 へ の 解 離 と活 性 の 消 失 が 生 じ,さ
4.酵
discs)
造 血 細 胞 にお け る造 腫 瘍 作 用 を抑 制 す る36)。Tum-1が
ヌ ク レ オ シ ド三 リ ン酸(ATP)の
され るHisは
の 由来
伝 子 変 異 に合 併 す る と
し,熱 安 定 性 の 低 下 を示 す が,酵
認 め られ な い35)。 このawdKpnは
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サブユ
ニ ッ ト間 相 互 作 用 に 関 与 す る 領 域 の 呼 称 で,そ
素活 性発 現 に必須 の アミ ノ酸
ら に47℃(Tm)で
非 可 逆 的 に変 性 した37)。両 者 の 結 晶 構 造 は酷 似 す るに も
原 核 ・真 核 生 物 を 問 わ ず 完 全 に 保 存 さ れ た ア ミ ノ酸
あ る い は保 存 性 の 高 い ア ミ ノ酸 は,NDPKの
酵素活 性
か か わ らず 異 な る物 理 的 性 状 を 示 す こ と は,多 量 体 構
造 の 謎 を 解 く鍵 と い え る か も し れ な い 。
(あ る い は 他 の機 能)に と り重 要 性 を もつ と推 定 され る。
M.xanthus酵
素29)で は,Gly21,Gly91は
必 須 で,His117と
同様,改
活性 維持 に
変 す る と自 己 リ ン酸 化 能,
6.化
学修飾
哺 乳 動 物 由 来NDPKのN末
端 ア ミノ酸 の α ア ミノ
ヌ ク レ オ チ ド結 合 能 と もに 失 わ れ る。Lys22,Asp88,
基 は ブ ロ ッ ク さ れ て い るが,詳
Ser110の
ン酸 化 中 間 体 形 成 に 関 与 す るHis残
改 変 の 影 響 はほ とん どない 。D.discoideum酵
細 は 明 らか で な い8)。 リ
基 以 外 に,Ser残
素 で保 存 性 の 高 い ア ミノ 酸 の改 変 の 影 響 が 検 討 され31),
基 の リ ン酸 化 の 報 告 が あ る38∼40)。セ リン リ ン酸 化 に は
Lys16,Tyr56,Arg92,Thr98,Arg109,Asn119,
自 己 リ ン酸 化 に よ る も の38,39)と他 の 蛋 白質 キ ナ ー ゼ40)
Ser124,Glu133が
活 性 維 持 に必 要 で あ る こ とを示 した 。
これ らの う ち,Lys16,Arg109,Asn119は
構造 安定 性
に よ る も の が あ り,前 者 は活 性 部 位 で あ るHis残
改 変 す る と検 出 され な い。Ser44の
基を
リン酸 化 はが ん転 移
あ る い はサ ブ ユ ニ ッ ト相 互 作 用 な ど,構 造 保 持 に も寄
抑 制 活 性 と相 関 す る と提 唱 され て い る もの の41),リ ン酸
与 し て い る と い わ れ る。 ヒ ト神 経 芽 細 胞 腫 で 観 察 され
化 に 占 め る割 合 は低 く,正 確 な 役 割 は は い ま ひ とつ 明
るnm23-H1分
確 で ない。
子 のSer120のGlyへ
の 変 異 は,酵 素 活
性 と構 造 安 定 性 を低 下 さ せ る32)。
一 方,D.melanogaster
awd Kpn変 異 はprune変
に合 併 す る と致 死 とな る33)が(次 項 参 照),こ
異 体 に由 来 す るAwd変
を 示 し,遺
異
の復 帰変
異 蛋 白 質 は どれ も低 い 酵 素 活 性
伝 子 欠 失 変 異 の ほ か,Awd翻
II.遺 伝子破壊の影響
訳 領域 の
S.cerevisiaeの
も増 殖 速 度,胞
遺 伝 子 は単 一 とい わ れ るが,破
子 形 成,接
合 能,形
Asp15,Arg89,Arg106,Asp122,Ala127,Glu130
変 化 は な い18)。注 目 す べ き点 は,NYK(NDPK)遺
の どれ か に第2変
子 破 壊 細 胞 の 細 胞 抽 出 液 中 に はNDPK酵
異 が 導 入 され て い る のが 発 見 され た34)。
これ らの ア ミノ 酸 は い ず れ も保 存 性 の 高 い ア ミノ 酸 残
10%残
基 に属 し,酵 素 活 性 維 持 に必 須 で あ る こ とを支 持 す る。
で あ る 。 分 裂 酵 母(Schizosaccharornyces
ndk1遺
748
存 し て い る こ とで,こ
壊 して
態 な ど に ほ とん ど
伝
素 活 性 が約
れ が 何 に起 因 す るか 不 明
pombe)で
も
伝 子 破 壊 に よ る表 現 形 質 の 変 化 は ほ とん ど認 め
多機能性蛋白質NDPキ ナーゼ/nm23の 分子機構
られ な い42)。しか し興 味 深 い 点 は,Cys116変
異 蛋 白質
発 現 株 は優 性 ネ ガ テ ィブ 効 果 に よ っ て性 成 熟 に 対 して
のNDPK活
阻 害 的 に 作 用 す る。 接 合 ホ ル モ ン で 誘 導 さ れ る べ き
い。
mat1-Piやsxa2が
E.coliの
殖,形
単 一NDPK(ndk)遺
態 に変 化 は な く,や
株 の約15%の
異 体(null
mutant)は
正 常 体 の2%程
性 を保 持 して い るが,そ
度
の 理 由 は定 かで な
減 少 して お り,こ の シグ ナ ル伝 達 系
III.相 同蛋白質 と新規機能
に何 らかの方 法 で干渉 してい る らしい。
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な い。awd変
45
伝 子 を破 壊 し て も増
は り細 胞 抽 出 液 中 に は野 生
酵 素 活 性 が 検 出 され る43)。この 遺 伝 子 破
NDPKの
相 同 遺 伝 子 産 物 と してnm23,Awd,PuF,
I因 子,DR-nm23が
壊 株 で は野 生 株 に比 べ 突 然 変 異 誘 発 率 の 充 進 が 観 察 さ
者 はNDPKと
れ,ヌ
知 られ て い る。 これ ら の う ち前3
構 造 的 に 同 一 で あ る。Awdの
機能 は
クレ オ シ ド三 リン酸 プー ル の うちdCTPとdGTP
NDPK酵
素 活 性 に よ る と結 論 して ほ ぼ 間 違 い な い が,
の レベ ル が 著 増 して い る。 したが って,E.coliのNDPK
nm23の
転 移 抑 制 作 用 の 分 子 メ カ ニ ズ ム は依 然 と して 不
は突 然 変 異 誘 発 遺 伝 子 と して 機 能 し て い る こ とに な る。
詳 で あ る。nm23に
E.coliで
はNDPKと
相 同 蛋 白質 の新 規 機 能 に つ い て 述 べ る。
1.PuF(転
写 因 子 活 性)
は ピル ビ ン酸 キナ ー ゼがNDPKの
し う る が44),こ
pykF−)が
れ ら2つ
機 能 を代 替
ス ク シ ニ ルCoAシ
ン テ タ ー ゼ は クエ ン酸 回 路 中 に位 置
し,GTP,ATP生
成 能 を もつ こ とが 知 られ,緑
aeruginosa)で
成 し う るが,E.coliで
はNDPKと
この遺 伝 子 とndk遺
膿菌
おい て ピル ビ ン酸 キ ナー ゼ,ス
シ ン テ タ ー ゼ 以 外 にNDPKの
探 索 が 行 な わ れ,そ
ボ体 お よ び デ
応 す るヌ
分 子 量 約17Kの
もっ105bp
myc遺
PuFの
Pheに
お い て,
遺 伝 子 を破 壊 し た場 合 は 致 死 的 で あ る 。 前 者
が 致 死 と な る 原 因 は 不 詳 で あ る。D.melanogasterの
幼 虫3齢
翻 訳 産 物 を 生 成 す る47)。精 製 標 品,組
NHEフ
転 写 因 子 活 性 はNDPKの
改 変 して も消 失 せ ず,酵
ま た,DNAと
増
・触 角 原 基 や 脚 原 基
に も分 化 異 常 が 認 め られ る 。 変 異 体 幼 虫 の 脳 神 経 芽 細
胞 分裂 異 常 が予想 され
微 小 管 に 結 合 し て い る と い わ れ,D.
素 活 性 と区 別 さ れ る49)。
3ア ミノ酸 残 基 の どれ もが 必 須 と され50),転 写 因 子 活 性
の な いnm23-H1/NDPK-Aで
期
活 性 部 位His118を
の 結 合 に はArg34,Asn69,Lys135の
は後2者
の も の に置 換 して い る 。PuFのDNA結
す る2量 体 が 関 与 し,6量
お け るAwd(NDPK)は
伝子
強 制 発 現 させ る とCATの
が2列
melanogasterに
vitroでC-
伝 子 発 現 調 節 領 域 を含 むCAT遺
時 にPuFを
と,翅 原 基 の成 長 抑 制 の ほ か,目
る 。NDPKは
合 配 列(GGGTGGG)を
ラ グ メ ン トに結 合 し,in
まで 正 常 に発 育 す る が,そ の 後 死 滅 す る。3齢 期 にな る
胞 で 染 色 体 凝 集 が 観 察 され,細
cDNA
加 が 観 察 さ れ た48)。
反応 を示 す こ
とはな い。
伝 子 欠 損 ホ モ 接 合 体(awdb3)は
element;
伝 子 の転 写 因 子 活 性 を示 す 。 マ ウ ス線 維 芽 細 胞
を 導 入 し,同
NDPK遺
ロモ
同一 の 翻 訳 領 域 を もち,
換 え体 蛋 白 質 い ず れ もPuF結
に ヒ トc-myc遺
一 方,M.xanthus46),D.melanogaster19)に
hypersensitive
は ヒ トnm23-H2/NDPK-Bと
け で な く,ブ タ,ニ
す とい う。ほ か の ヌ ク レ オ シ ドー リ ン酸 キ ナ ー ゼ(CMP
伝 子 のP1プ
位 置 す るヌ ク レ ア ー
の 結 合 活 性 を指 標 に 単 離 さ れ た 。PuF
ク レオ シ ド三 リン酸 に変 換 す る こ とが で き る。E.coliだ
ワ ト リ由 来 酵 素 も 同 様 の 性 質 を 示
トc-myc遺
ゼ 高 感 受 性 領 域(nuclease
NHE)へ
ク シニルCoA
オ キ シ リボ 体 の ヌ ク レ オ シ ドニ リ ン 酸 を,対
NDPKの
vitroで の転 写 調 節 能 が 確
伝 子 を同時
の 本 体 は ア デ ニ ル 酸 キ ナ ー ゼ とつ
ナ ー ゼ)はNDPK様
唯 一in
ー タ ー領 域 中 の-142∼-115bpに
き と め られ た45)。 この酵 素 は定 説 に反 し,プ リン お よび
キ ナ ー ゼ,UMPキ
写 調 節 領 域 に結 合 す る蛋 白質 は十 数 種
認 さ れ て い る。 ま た,ヒ
機 能 を代 替 しう る酵 素 の
ピ リ ミ ジ ン塩 基 を 区 別 す る こ とな く,リ
ヒ トc-myc転
に の ぼ る が,PuFは
複 合 体 を形
に 破 壊 して も,表 現 形 質 に はみ か け上 何 も変 化 はな い 。
E.coliに
こで
の 遺 伝 子(ndk-,pykA-,
と も に破 壊 さ れ て も増 殖 可 能 で あ る。 ま た,
(Pseudomonas
つ い て は後 述 す る こ とに し,こ
の ア ミノ酸 は別
合 能 に は隣 接
体 で は これ ら3種 の ア ミノ酸
に並 走 して い る事 実 が 提 示 さ れ た 。
PuFに
よ るc-myc遺
が,Burkittリ
Burkittリ
伝 子 調 節 の 生 理 的 意 味 は不 詳 だ
ン パ 腫 と の 関 連 が 示 唆 さ れ て い る51)。
ンパ 腫 で は第8染
色 体 上 のc-myc遺
伝子 と
核 酸 合成 よ り
免 疫 グ ロ ブ リ ン遺 伝 子 と の転 座 に よ り,細 胞 性 が ん遺
も細 胞 分 裂 装 置 と の 関 係 に影 響 が 出 や す い の か も し れ
伝 子 の活 性 化 が 起 こ る。in vivoゲ ル 移 動 度 シ フ ト法 に
749
46
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.42
よって,転 座 したc-myc遺
No.5(1997)
伝 子 のPuF結
合 部 位 に蛋 白
質 の付 着 が 検 出 され,そ れ はヒ ト抗nm23抗
る分 子 量17K蛋
体 と交 差 す
白 質 で あ っ た 。 正 常c-myc遺
との併 発 が急性 転化 の始動 シグ ナル にな る と推 定 され
る。
伝子へ
のPuFの
結 合 はない らしい。
4.NDPKの
蛋 白 質 リ ン酸 化 酵 素 活 性
2.I因
子(分
質 透 析 画 分 と を艀 置 す る と120K蛋
ラ ッ トNDPKの
化 誘 導 抑 制 活 性)
マ ウ ス 骨 髄 性 白 血 病 細 胞(M1)は
マ ク ロ フ ァー ジ 様
胞 の細 胞
白質 の リ ン酸 化 が
起 こ り,そ の 部 分 ア ミ ノ酸 配 列 か らATP-ク
エ ン酸 リ
細 胞 へ の 分 化 能 を 示 す 。 分 化 誘 導 抑 制 因 子(I因
子)は
ア ー ゼ と同 定 され て い る54)。D.melanogasterの
分 化 誘 導 耐 性 亜 株 の 培 養 上 清 か ら単 離 さ れ,部
分ア ミ
モ ジ ネ ー ト上 清 中 に,NDPKを
ノ酸 配 列 は マ ウ スnm23-M2/NDPKの
そ れ と酷 似 す
され,酸
Asn69がI因
確 認 さ れ た55)。awd欠
子 で はHisに
な っ て お り,同 一 で な い 可
種 々 のNDPK標
位Hisを
品 お よび組 換 え体 蛋 白質 の 分 化 抑 制
乳 動 物 由 来 酵 素 だ け で な く活 性 部
改 変 した 変 異 蛋 白質 やN末
端 ペ プ チ ドに も分
化 誘 導 抑 制 能 が 認 め られ る の で,酵
素 機 能 と峻 別 され
る30,53)。
細 胞 膜 を経 由す る作 用 様 式 が 推 定 され るが 詳 細
は不 明 で あ る。M1細
リ ン リ ン酸 化 と
失 変 異 体 で は起 こ らな い の で,
媒 介 した現 象 とみ な し うる。 一 方,セ
リン,ス
レオ ニ ン残 基 へ の非 触 媒 的 な リン酸 転 移 反 応 の報 告 例56)
で は,い
っ た ん 反 応 が 起 き る と ヒ ス チ ジ ン は再 リ ン酸
化 され な い。 関 連 の 話 題 と して,NDPKリ
ン酸 化 中 間
体 に 脱 リ ン酸 化 酵 素 を作 用 さ せ る と酵 素 活 性 を消 失 さ
せ る とい う奇 妙 な 現 象 も あ る57)。
胞 以 外 に も何 種 類 か のマ ウス お よ
び ヒ ト由 来 白 血 病 細 胞 の 分 化 誘 導 が 抑 制 さ れ る。
IV.遺
3.DR-nm23(分
1.遺
化 誘 導 抑 制 活 性)
慢 性 骨 髄 性 白血 病(CML)は
いて 相 互 転 座t(9;22)の
多 能性 造血 幹細 胞 にお
結 果 として,慢 性 期 か ら急 性
転 化 を経 て 急 性 期 に 至 る 。 相 互 転 座 は第9染
c-abl遺 伝 子 と第22染
色 体 上 のbcy遺
色体上の
伝 子 上 で 生 じ,
強 い チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ 活 性 を示 すBcr/Ablキ
メラ蛋 白
質 が形成 され る。
最 近,急
性 加 熱 条 件 下 で も安 定 で,セ
NDPKを
活 性 が 調 べ られ,哺
頭部ホ
介 す る と思 わ れ る細 胞
可 溶 性 蛋 白質 お よ び卵 白 ア ル ブ ミ ン の リ ン酸 化 が 検 出
る52)。しか し,判 明 して い るア ミノ酸 配 列 を比 較 す る と,
能 性 が あ る。
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リン酸 化 中 間 体 とPC12細
伝子構造と転写機構
伝 子構 造
高 等 動 物 で は ラ ッ トNDPK染
子59,60)の報 告 が 行 な わ れ た 。 ラ ッ トの2つ
性 転 化 後 に特 異 的 に 発 現 され る遺 伝 子 の1
伝 子 が 単 離 され た16)。遺 伝 子 産
物 本 来 の機 能 は未 知 だ が,推
長 配 列 を も つnm23-H1/H2相
定1次
の アイ ソフ
ォ ー ム 遺 伝 子 は タ ン デ ム に配 列 し,α 遺 伝 子 は全 長 約
5.7kb,そ
の3kb上
流 に β 遺 伝 子 が10kbの
布 して い る 。 どち ら も5エ
っ と してDR一nm23遺
色 体 遺 伝 子 が 最 初 に単
離 ・構 造 決 定 さ れ9,58),ひ き 続 い て ヒ ト染 色 体 遺 伝
範 囲で分
ク ソ ン で構 成 され,エ
クソ
ンーイ ン トロン構 造 の 保 存 性 は高 く,翻 訳 領 域 は2∼5番
目 の エ ク ソ ン に 存 在 す る。 両 遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー 領 域
構 造 はN末
端 に延
の 近 傍 に はCGア
同 蛋 白 質 で,酵
素活 性
伝 子 と し て の 性 格 を 有 して い る。awd遺
イ ラ ン ドが あ り,ハ ウ ス キ ー ピン グ遺
伝 子 な ど との
を保 持 し て い る 可 能 性 も あ る 。 この 遺 伝 子 座 は第6染
比 較 か ら,ラ ッ トで はNDPKα
色 体 に あ り,エ
ら れ る 。 ラ ッ トに は プ ロ セ ス さ れ た偽 遺 伝 子 の 存 在 が
ク ソ ンーイ ン トロ ン構 造 を もつ とい わ れ
てい る。
知 られ て い る。
ヒ ト末 梢 血 中 のCD34+細
化 誘 導 す る と,DR-nm23の
胞 をIL-3とG-CSFと
発 現 は刺 激 後12日
に は著 減 す る。 正 常 マ ウ ス 骨 髄 由 来 の32Dc13細
DR-nm23遺
伝 子 を 強 制 発 現 させ る と,G-CSFに
分 化 誘 導 に 抵 抗 性 を 示 す 一 方,ア
る 。 慢 性 期CML細
胞 はBcr/Ablキ
で も分 化 能 を もつ た め,DR-nm23遺
750
遺 伝 子 が 祖 先 型 と考 え
で分
目以降
胞 に
よる
ヒ トnrn23-H1/H2遺
に変 わ らず,エ
ム 間 お よ び ラ ッ ト,ヒ
伝 子 座 は第17染
伝 子 の 配 置 は ラ ッ トと基 本 的
ク ソ ンーイ ン トロ ン構 造 もア イ ソ フ ォ ー
ト間 で 一 致 し て い る。 ヒ トの 遺
色 体(17q21)に
位 置 す る。
ポ トー シ ス を招 来 す
メラ蛋 白質存在 下
伝 子 の発現 充進
2.転
写 開 始点 と転 写産 物の 多型 性
NDPK遺
伝 子 の5'上 流領 域 の構 造 と発 現 調 節機 構
多機能性蛋白質NDPキ
ナーゼ/nm23の 分子機構
グ ル ー プ1型
47
のス プ ライス受
容部 位 をみて いた可 能性 が 高
い。
NDPKα
の2つ
のmRNAの
の グループ
発 現 は独 立 に 調
節 さ れ て い る61)。RNAase阻
止 法 に よって各 グルー プ ご と
の 発 現 量 を 調 べ る と,グ ル ー
プ1型mRNAは
程 度 の違 い
は あ る も の の ど の 組 織 に も発
現 し,グ
ル ー プ2型
は筋組 織
に 特 異 的 で あ る(図4)。
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ー プ2型
グル
の み を発 現 して い る
ケ ー ス は これ ま で 見 つ か っ て
な い 。in situハ イ ブ リダ イ ゼ
ー シ ョン法で各 グル ープ の組
織 発 現 を検 索 す る と,組 織 に
よ っ て 細 胞 の種 類 ご と に発 現
様 式 が異 な るケー スが認 め ら
れ る。
NDPKα
図3
ラ ッ トNDPK遺
aア
イ ソ フ ォ ー ムmRNAは
型)エ
伝 子 の5'非
翻 訳 領 域 の 構 造 と転 写 開 始 点 の 多 様 性
転 写 開 始 点 の 違 い に よ って4(グ
ク ソ ン 型 の も の が で き る。 β ア イ ソ フ ォ ー ム(グ
ル ー プ2型)な
ル ー プ1∼3型)は
い し5(グ
どれ も5エ
遺 伝 子 の5'上
流
合 部 位(GCボ
ッ
域 に はSp1結
ル ー プ1
ク ス)が
クソン型
と な る。
約400bpの
個 点 在 し,さ
はE2F結
の概 略 が 明 ら か に な っ て きた(図3)。
恒 常 的 発 現 を保
る。TATAボ
範 囲 に5
らにその上 流 に
合 部 位 が 配 置 して い
ッ ク ス やCAATボ
ッ ク ス が な い の はハ
証 す る 機 構 や が ん 化 とそ の悪 性 化 な ど病 態 に 伴 う発 現
ウ ス キ ー ピ ン グ 遺 伝 子 一 般 に認 め られ る性 質 とい え る 。
変 化 の メ カ ニ ズ ム を 理 解 す る に は必 須 の課 題 で あ る 。
プ ロ モ ー ター 領 域 をCATア
A.NDPKa/nm23-H2/NDPK-B
い プ ロ モ ー ター 活 性 は-568∼-366の
a.ラ
グ ル ー プ1型mRNAの
ッ トNDPKα
ラ ッ トNDPKα
遺 伝 子 の転 写 開 始 点 は複 数 あ り,そ
れ ら の 転 写 産 物 は構 造 的 特 徴 に基 づ い て2グ
大 別 さ れ る61)。RNAase阻
流 約400bpの
ル ー プに
止 法 に よ り翻 訳 開 始 点 の 上
範 囲 に 多 数 の転 写 開 始 点 の 存 在 が 予 想 さ
れ た が,5'RACE法
で 確 認 し た と こ ろ,第1イ
ン トロ
ンの5'ス プ ラ イ ス部 位(翻 訳 開 始 点 を起 点 と して-206)
の 上 流 か ら転 写 さ れ る も の は ス プ ラ イ ス さ れ5エ
ン型(グ ル ー プ1型mRNA)に
クソ
な り,そ れ よ り3'側 か
ッセ イ 法 で 解 析 す る と,強
間 に存 在 した61)。
転 写 活 性 は こ の プ ロモ ー ター で
制 御 さ れ る と判 断 され る が,グ
ル ー プ2型
の転 写 も こ
の 支 配 下 に あ る の か 明 瞭 で な く,さ ら に解 析 を 要 す る 。
この 実 験 に は ラ ッ ト線 維 芽 細 胞3Y1を
ル ー プ2型mRNAは
使 用 した が,グ
前 述 した よ うに筋 組 織 特 異 的 な発
現 様 式 を示 す の で,使
用 す る宿 主 細 胞 も考 慮 す る 必 要
が あ る。
5'非 翻 訳 領 域 に 多 型 性 を もつ 転 写 産 物 が 生 成 さ れ る
意 味 と し て,転
写 調 節 機 構 の 多 様 性 やmRNAの
安定
ら開 始 す る も の は ス プ ラ イ ス さ れ ず に そ の ま ま第2エ
性 の 相 違 の ほ か,N末
ク ソ ン に連 続 して転 写 され4エ
産 物 の 産 生 な どが 考 え ら れ る。 筆 者 ら は グ ル ー プ1,2
mRNA)を
生 成 す る(図3)。
ク ソ ン型(グ ル ー プ2型
当初 翻 訳 開 始 コ ド ン の 数
塩 基 上 流 に あ る と推 定 し た 主 要 転 写 開 始 点 は,お
もに
型mRNAの
ー プ1型
端 側 に延 長 配 列 を もつ 関 連 翻 訳
翻 訳 効 率 に注 目 して み た 。 そ の 結 果,グ
に比 べ グ ル ー プ2型mRNAが
ル
高 い効 率 で 翻 訳
751
48
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.42
No.5(1997)
b.
ヒ トnm23-H2/NDPK-B
Postelら47)に
れ たPuF
よ っ て報 告 さ
cDNAはSteegら7)
の ヒ トnrn23-H2
cDNAと
翻 訳 領 域 で は塩 基 配 列 は完 全
に 一 致 し て い た が,翻
訳 開始
点 の 数 塩 基 上 流 か ら5'側 の 配
列 が 異 な り,当 時 理 由 が 不 明
で あ っ た 。 筆 者 らの 成 果 を 参
考 にす る と,PuF
cDNAの
短
い5’ 非 翻 訳 部 位 に はス プ ライ
ス 受 容 部 位(AG)が
あ るので
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ラ ッ トに お け る グ ル ー プ2型
図4
ラ ッ トNDPKα
グル ー プ1型
型mRNAは
グ ル ー プ1型,2型mRNAの
用 プ ロー ブ(183b)を
短 い 断 片(Fr.2)と
断 片 。 レ ー ン1∼4は
mRNAお
腸,12:睾
長 い 断 片(Fr.1) ,グ ル-プ2
して 検 出 され る。 小 矢 印 は過 剰 消 化 で 細 分 化 さ れ た と 思 わ れ る
そ れ ぞ れ標 準 と して 使 用 したtRNA,グ
よび β(1)mRNA。
腎 臓,11:小
に 相 当 し,Steegら
種 々 の組 織 に お ける発 現
使 用 。 グ ル ー プ1型mRNAは
以 下 レ ー ン5:大
丸,13:骨
脳,6:脾
格 筋,14:ラ
ル ー プ1型,グ
臓,7:心
nm23-H2ク
臓,8:肺,9:肝
ロー ン は5エ ク ソ
ン タ イ プ の グ ル ー プ1型
ルー プ2型NDPKα
と推
定 さ れ る。 し た が っ て,ラ
臓,10:
ッ ト骨 肉 腫 細 胞UMR106,15:ラ
が 得 た
ッ ト線 維 芽
ト,ヒ
細 胞3Y1。
ッ
ト問 に は転 写 開 始 様 式
に高度 の類 似性 が存 在 す る と
思 わ れ る。
B.
NDPKβ/nm23-H1/NDPK-A
a.ラ
ッ トNDPKβ
ラ ッ トNDPKβ
く と も3種(グ
は択 一 的 ス プ ラ イ シ ン グ に よ り少 な
ル ー プ1∼3型)の5エ
が 生 成 さ れ る。 こ れ ら の 第1エ
訳 開 始 点 を含 む 第2エ
400bpの
ク ソ ン型mRNA
ク ソ ン(a,b,c)は
ク ソ ン の 約2.3kbp上
翻
流 お よそ
範 囲 に分 布 し,そ れ ぞ れ の グ ル ー プ に つ い て
複 数 の 転 写 開 始 点 の存 在 が 認 め られ る(図3)(石
川 ら:
投 稿 準 備 中)。 これ ら の う ち 発 現 量 の 高 い の は グ ル ー プ
1型,す
図5
ラ ッ トNDPKα
1型mRNAのin 各mRNAの
グ ル ー プ1型,2型
お よび β グルー プ
ら転 写 され るmRNAで,
りわ
け大 脳 に お い て 顕 著 で あ る 。 一 方,グ
よび
3型mRNAは
ル ー プ2お
わ ず か に 大 脳 に お い て検 出 され るの みで,
ほ か の 組 織 で の 発 現 は ほ と ん ど な い 。 グ ル ー プ1型
vitro翻 訳 効 率
翻 訳 は ウ サ ギ 網 状 赤 血 球 ラ イ セ ー トを用 い て 行 な い,
合 成 さ れ たNDPKをSDS-PAGEで
な わ ち,エ クソ ン1aか
調 べ た 限 りで は ラ ッ トの ど の 組 織 に も分 布 し,と
分 離 後ECL法
で 検 出 した。
mRNAの
発 現 調 節 領 域 に はSp1お
よびAP-1結
合 モチ
ー フが あ る
。
b,nm23-H1/NDPK-A
産 物 の合 成 を 行 な う こ とが 明 らか に な った(図5)61)。
のmRNA多
型 性 と翻 訳 効 率 の 問 題 は,NDPK転
こ
写・
ヒ トnm23-H1遺
か ら な る が,択
伝 子 は ラ ッ ト と同様5エ
ク ソ ン型
一 的 スプ ライ シ ング につ いての記 載 は
翻 訳 産 物 相 互 の 量 的 評 価 を論 ず る際 に考 慮 す べ き問 題
い ま まで の と こ ろ見 あ た らな い 。Chenら62)は5'上
とな りうる。
調 節 領 域 にTFIID,AP-1,CTF/NF1な
流
どの結合 モ
チ ー フ の 存 在 を 報 告 し て い る。 こ の 報 告 で は転 写 開 始
752
多機 能性蛋 白質NDPキ
点 を翻 訳 開 始 点 の-136と
し て い るが,第1イ
ン トロ ン
ナーゼ/nm23の 分子機構
分 裂 停 止 細 胞 に お け る分 化 マ ー カ ー(ア
が 脱 落 し て い る の で こ の 数 値 は無 意 味 で あ る 。 これ に
ァ タ ー ゼ)の 出 現 と同 調 してNDPK免
対 し,De
が 観 察 され る(安 友 ら:投 稿 中)。
La Rosaら63)は
を考 慮 した う えでChenら
約2kbpの
第1イ
よ りも約20bp上
始 点 を 同 定 した 。CTF/NF1結
ン トロ ン
流 に転 写 開
合 モ チ ー フ を含 む95bp
ん化 初 期 過 程 で のNDPKの
フ ラグ メ ン トを用 いた ゲル 移 動 度 シフ ト法 によ ってHeLa
定 さ れ る。nm23/NDPK遺
細 胞 の核 抽 出 液 中 に 結 合 蛋 白 質 を 見 い だ し,こ
デ ノ ウイ ル ス2型Elaの
ー フ の転 写 調 節 に お け る 関 与 を推 定 して い る
伝子発現と発生,増 殖,分 化,が ん化
マ ウ ス の発 生 過 程 に沿 っ てnm23/NDPK発
関与 が推
伝 子 発 現 がc-Ha-rasや
ア
制 御 を受 け る ほか,SV40T抗
原 や コバ ル ト60照 射 に よっ て 不 死 化 した ヒ ト線 維 芽 細
。
胞(造
V.遺
ルカ リホス フ
疫 染 色 性 の増 加
が ん 組 織 で は 周 辺 の 非 が ん部 に比 べ し ば し ば 高 い 発
現 が 観 察 さ れ,が
のモ チ
49
腫 瘍 性 は な い)が
正 常 細 胞 に比 べ 高 い 発 現 レ ベ
ル を 示 す 事 実73)は こ う し た 推 量 を支 持 す る。
現 を免疫
VI.細
胞内局在
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組 織 学 的 に観 察 す る と,器 官 形 成 前 に は全 体 に 低 く,
E10.5で
れ,そ
最 初 に 形 成 され る神 経 と心 臓 で 発 現 増 加 が み ら
の 後,各
々 の器 官形 成 期 に発 現 の充 進 が 起 こ
NDPK/nm23の
胞 核,ミ
大 部 分 は細 胞 質 に存 在 し,少 量 が 細
トコ ン ド リア,細 胞 膜 に も結 合 し て い る1)。局
る64)。出 生 後 に 分 化 を とげ る乳 腺 や 卵 巣 な どで はそ の時
在 化 シ グ ナ ル を も つ 少 数 例14,15)は別 に して,ほ
期 に一 致 し て 増 加 す る。 全 体 に上 皮 系 細 胞 に 強 く発 現
くの場 合 に お け る局 在 化 の メ カ ニ ズ ム は解 明 さ れ て い
して い る。D.melanogaster65)で
な い 。 微 小 管74)や 細 胞 膜75,76)に 結 合 し た 哺 乳 動 物
は酵 素 活 性 は発 生 初 期
か らか な りの量 が 存 在 す るが,mRNA産
生 は幼 虫3齢
NDPKは
細 胞 質 性 酵 素 と生 化 学 的 に 区 別 さ れ な い。 細
期 以 降 に な って か ら成 虫 原 基 と脳 で検 出 可 能 とな る。 こ
胞 質 性NDPKの
の ケー ス で は転 写 ・翻 訳 産 物 量 問 に顕 著 な 乖 離 が あ る。
定 さ れ る が,一
ラ ッ ト成 獣 組 織9)で は,α
ア イ ソ フ ォ ー ム はだ い た い
どの 組 織 に も発 現 す る が,心 臓,腎
肺,脾
臓 で と りわ け 高 く,
臓 で は低 い 。 β ア イ ソフ ォー ム は大 脳,睾
丸 に比
かの多
大 部 分 は 自 由 分 散 状 態 で 分 布 す る と推
部 の細 胞 骨 格 系 蛋 白 質 と の 結 合 に つ い
て 議 論 が 継 続 し て い る 。 こ の 問 題 は精 製 法 や 実 験 法 に
よ っ て 解 釈 が 分 か れ,最
近 にお い て も,NDPKの
微小
管 重 合 反 応 に お け る機 能 的 関 与 を否 定 的 に み る 知 見77)
較 的 高 い レ ベ ル で 存 在 し,ほ か の 組 織 で は お お む ね 低
と と もに,そ
い。
組 織 化 学 的19)報 告 も存 在 す る。 両 者 の 物 理 的 結 合 の 有
通 常,細
胞 レベ ル に お け るNDPK発
も増 殖 相 で,静
止(G0/G1)期
現 は分 化 相 よ り
よ り もDNA合
成(S)
期 に 高 い こ とが,S.pombe66),D.discoideum67),ヒ
無 の 問 題 と機 能 的 関 連 の 問 題 を当 面 区別 して 検 討 す べ
き と思 わ れ る 。 筆 者 らが 免 疫 組 織 学 的 手 法 を用 い て 検
ト
末 梢 血 リンパ 球68,69),前 立 腺 がん 由来 細 胞 株70),ヒ
れ らの 局 在 の一 致 を示 唆 す る生 化 学 的78),
ト乳
討 した と こ ろ(安 友 ら:投 稿 準備 中),常
固 定 後 免 疫 染 色 す る と,NDPKは
法 に従 い 細 胞 を
細 胞 質 に ほ ぼ一 様 に
腺 上 皮 細 胞69)な ど,多 数 の 細 胞 種 で 観 察 さ れ て い る。
分 布 し,線 維 状 の 染 色 像 は得 られ な い 。 一 方,細
細 胞 増 殖 能 は抗NDPK抗
構 造 体 に結 合 したNDPKを
さ れ るが,DNA合
る 。 ま た,ア
体 を細 胞 内 に注 入 す る と阻 害
胞内
観 察 す る 目 的 で細 胞 固 定 前
成 へ の 影 響 はない とい う報 告71)も あ
に界 面 活 性 剤 を 用 い て 細 胞 膜 に小 孔 を 開 け,細 胞 可 溶
ン チ セ ン ス オ リ ゴ ヌ ク レオ チ ド に よ っ て
性 蛋 白質 の 大 部 分 を 除 去 し た の ち,固 定 ・染 色 を行 な
増 殖 阻 害 が 起 こ る こ とを筆 者 らは観 察 して い る(島 田 ら:
う と,NDPKは
投 稿 準備 中)。I因 子,DR-nm23の
小 管 構 造 の 分 布 と一 致 す る こ とが 抗 チ ュ ー ブ リ ン抗 体
細 胞 へ のNDPK遺
話 と は別 に,白
血病
伝 子 導 入 に よっ て分 化 誘 導 の 阻 害 が
線 維 構 造 様 の染 色 像 を示 し,そ れ は微
との二重 免疫 染色 に よって確認 され た。分裂 期 の細胞
起 き る場 合 と誘 導 が さ ら に増 強 さ れ る例 が 報 告 さ れ て
で は紡 錘 体 構 造 に一 致 した 染 色 像 が 得 られた 。 今 後,化
い る72)。
学 量 論 的 関 係,機
一 方,増
殖 能 を喪失 した脳 や心臓 な どで高発 現 して
い る事 実 は,分 化 機 能 に関 連 したNDPKの
役割 を推測
させ る 。 ラ ッ ト胎 仔 骨 由来 骨 芽 細 胞 の 初 代 培 養 系 で は,
能 的 関 連 を 究 明 す る こ とが 重 要 で あ
る。
ア イ ソ フ ォー ム 特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 に よ り細
胞 内 局 在 を免 疫 組 織 化 学 的 に検 索 す る と,α
アイ ソフ
753
50
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.42
No.5(1997)
転 移 形 質 に 対 して 抑 制 的 に働 き,高 転 移 性 が ん 細 胞
に お い て 発 現 の消 失 あ る い は低 減 す る よ うな 性 質 を も
つ 転 移 抑 制 遺 伝 子 の概 念 が 提 出 さ れ,そ
な か で 米 国NIHのSteegら
(nonmetastatic,23番
れ た79)。nm23遺
うした流 れの
に よ っ てnm23遺
伝 子
目 の ク ロ ー ン の意 味)は 発 見 さ
伝 子 に よ る転 移 抑 制 作 用 が い くつ か
の 動 物 モ デ ル 系 で 確 認 さ れ た ほ か,予
後 因子 として ヒ
ト臨 床 材 料 へ の応 用 も検 討 さ れ て い る 。 高 等 動 物 に は
nm23遺
伝 子 産 物 は2種 類 存 在 し,い ず れ もNDPKの
2つ の ア イ ソ フ ォ ー ム と完 全 に一 致 し て い る。 本 稿 で は
動 物 転 移 モ デ ル で 得 ら れ た 結 果 を 中 心 に述 べ,ヒ
ト臨
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床 報 告 例 は誌 面 の 都 合 で 割 愛 す る 。
2.nm23/NDPKの
転 移抑 制作 用
マ ウス メ ラノー マK-1735高
転 移 性 亜 株 へのnm23遺
伝 子 導 入 に よ る肺 転 移 能 の 低 下 が 最 初 に 報 告80)さ れ て
以 来,少
数 で はあ るがnm23/NDPK遺
伝 子 に よ る転 移
抑 制 効 果 の 追 試 が 進 み つ つ あ る 。ヒ ト乳 が ん細 胞MDAMB-43581)で
は,nm23-H1遺
較 してnm23-H2遺
図6
ラ ッ トNDPKの
細 胞 内局在
ラ ッ ト初 代 培 養 骨 芽 細 胞 を α ア イ ソ フ ォ ー ム(A)お
ソ フ ォ ー ム(B)特
伝 子 の効 果 が 判 然 とせ ず,ア
ラ ノー マ
細 胞 株 に お い て はnm23-M1,nm23-M2遺
伝子のど
ち ら も転 移 抑 制 効 果 が 認 め られ るの に対 し,ヒ
トnm23-
H1,nm23-H2遺
とnm23-M2問
オー ム は お も に細 胞 質 に,β
は核 お よび そ の 周 辺 に分 布
友 ら:投 稿 準 備 中)。 各 ア イ ソ フ ォ ー ム
伝 子 は無 効 で あ っ た82)。nm23-M1
で は152ア
る が(M1/M2=18/152),マ
ウ ス,ヒ
は細 胞 内 局 在 部 位 を 異 に し,機 能 分 担 し て い る可 能 性
さ らにnm23-M2/nm23-H2問
H2で
て,こ
がん 転 移
は す べ てM1型
ん 転 移 の プ ロセ ス と 転 移 抑 制 遺 伝 子nm23
が ん の 遠 隔 転 移 は 原 発 巣 か ら の 遊 離,浸
へ の 侵 入,血
流 中 で の 移 動,血
基が異 な
トホ モ ロ グ 問 の
で 異 な る3残 基 はnm23-
へ の変 異 とな っ て い る。 した が っ
の 結 果 か ら転 移 抑 制 に 関 与 す る領 域(ア
ミ ノ酸
残 基)を 特 定 す る こ と は 困 難 で あ る 。一 方,nm23-H1
遺 伝 子 がB16F10細
1.が
ミノ酸 残 基 中18残
変 異 率 は 少 な く(M1/H1=9/152,M2/H2=3/152),
が 考 え られ る 。
VII.nm23/NDPKと
イソ
フ ォー ム 特 異 性 が うか が え る 。 マ ウ スB16メ
よび β アイ
異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 で 免 疫 染 色 した 。
す る(図6)(安
伝 子 の 転 移 抑 制 能 と比
胞 に対 し転 移 抑 制 的 に働 くとい う報
告83)も あ る 。 最 近,MacDonaldら84)はnm23-H1変
潤,血
管 内
異 蛋 白質 の転 移 抑 制 作 用 を ヒ ト乳 が ん 細 胞 の運 動 能 を
管 外 へ の 脱 出,さ
らに
指 標 と して 評 価 し,Pro96,Ser120(Gly)の
改変 に よ
新 た な臓 器 に お け る増 殖 プ ロ セ ス な ど を経 て 成 立 す る。
っ て 正 常 蛋 白 質 の もつ 運 動 能 抑 制 効 果 が 消 失 す る と報
が ん の発 生,進
告 して い る 。 彼 ら は 以 前 にSer44リ
展 の過 程 に は が ん 遺 伝 子 や が ん 抑 制 遺
ン酸 化 に よ る転 移
伝 子 な ど,細 胞 増 殖 関 連 遺 伝 子 の ほ か に,周 辺 組 織 へ
抑 制 作 用 を提 唱 したが41),こ の運 動 能 評 価 系 で はSer44
の 浸 潤 ・転 移 に 関 与 す る 因 子 と して,接
改 変 の影 響 は認 め られ て な い 。
着 因 子,蛋
白
質 分 解 関 連 因 子[タ イ プIVコ ラゲ ナー ゼ,TIMP(tissue
inhibitor of metalloproteinase)な
性 因 子 な ど が 注 目 さ れ て い る2∼4)。
754
ど]あ
る い は運 動
高 転 移 性 ラ ッ ト乳 が ん細 胞(MTLn3)は
胞(MTC)に
比 べNDPKα
も に グ ル ー プ1型mRNA量
低転 移性 細
の 減 少 が 著 し い 。 これ はお
の低 下 に よ る。MTLn3細
多機 能性蛋白質NDPキ
胞 にNDPKα
H2/nm23-M2ホ
ナーゼ/nm23の 分子機構
51
遺 伝 子(nm23モ ロ グ)を 導
入 す る と 自発 転 移 能 は抑 制 さ
れ た が,NDPKβ
遺 伝 子 は無
効 で あ る こ と を筆 者 ら は 確 認
し た(図7)85)。
こ の転 移 抑 制
傾 向 は ヌ ー ドマ ウ ス へ の 尾 静
脈 注 射 に よ る肺 転 移 形 成 能 に
つ い て も再 現 され た(福 田 ら:
未 発表)。 リンパ 節 転 移 に対 す
る抑 制 効 果 が な い こ と を 考 え
Database Center for Life Science Online Service
あ わ せ る と,nm23/NDPK
(α)は 転 移 の 後 期 プ ロセ ス で
抑 制 作 用 を発 揮 し て い る 可 能
性 が あ る。 しか し,以 下 の 疑
問 点 も 残 さ れ て い る 。(1)
NDPKα
発 現 レベ ル が 転 移 抑
図7
高 転 移 性 ラ ッ ト乳 が ん 細 胞MTLn3へ
のNDPK遺
遺 伝 子 導 入細 胞 の 転 移 能 を同 系 ラ ッ トフ ィ ッシ ャ ー344の
伝 子導 入 に よる転 移 抑 制 効果
自発 転 移 モ デ ル に よ っ て 評 価 し た。
制 能 と必 ず し も相 関 せ ず,(2)
NDPKβ
高発現 細胞 で高 い酵
素 活 性 を示 しな が ら転 移 抑 制 能 を示 さ ない 例 が あ った 。
nm23/NDPK遺
伝 子 に よ る転 移 抑 制 メ カニ ズ ム に関
くつ か の事 例 を紹 介 しつ つ,NDPKの
連 して シ グ ナル伝 達80,86),運 動 能87),基 底 膜 形 成 を介 し
い91∼93).
た 増 殖 能88)な どへ の 影 響 な どが 考 察 され て い るが,こ
A.GDPの
れ ら を決 定 要 因 と断 定 す る の は時 期 尚早 で あ る 。
評価 を め ぐる問 題
細 胞 膜 標 品 を使 用 して ホ ル モ ン作 用[ア
ク ラ ー ゼ(AC)活
VIII.NDPKと
情 報 伝達 系
性 化]を
G蛋
景
白 質 介 在 型 情 報 伝 達 系 で は,G蛋
白質 は 結 合 す
る グ ア ニ ン ヌ ク レ オ チ ドに よ っ て 活 性 型(GTP)と
活 性 型(GDP)に
不
な り,ス イ ッチ の役 割 を して い る89,90)。
受 容 体 が 刺 激 され る と,G蛋
白 質 はGTP-GDP交
応 に よっ て細 胞 質 可 溶 成 分 で あ るGTPを
換反
結 合 し,活 性
化 さ れ る と一 般 に 考 え ら れ て い る。 と こ ろ が,こ
換 反 応 に利 用 され るGTPは
指 標 にGDPの
う と必 須 の 調 節 因 子 で あ るGTPと
し94),ATPやGDPの
1.背
の交
どの よ うに供 給 さ れ るの か,
リ ン転 移 抵 抗 性 ア ナ ロ グ を使 用
用 を発 現 さ せ る(G蛋
果 が あ るよ うな
白 質 活 性 化)効
結 果 が 得 られ る 。 しか し,こ
NDPKに
害 剤(UDP)に
活 性 で,GTPに
度 がGTPに
それ 自 身 不
ル モ ン存 在 下 で は拮 抗 阻
変 換 す るだ けでG蛋
質 は ほ ぼ最 大 限 に活 性 化 さ れ る。 第3に
白 質 近 傍 のGTP/GDP量
ち ろ ん,ホ
節 機 構 は一 般 に 信 じ ら れ て い る ほ ど単 純 で は な い 。 い
評価 問題 で は
対 し強 力 な拮 抗 阻 害 作 用 を有 す る 。 第
れ に もか か わ らず,ホ
性 化 能 は溶 液 中 のGTP/GDP比
白質 の 調
よる ものであ るこ
よって その活性 をほ ぼ
以 下 の3点 が 解 明 され た 。 第1は,GDPは
い と み ら れ る。 し か し 実 際 に そ う な の だ ろ うか 。G蛋
か し さ は改 め て 指 摘 す る ま で も な い が,G蛋
用 が膜 結合 性
完 全 に抑 制 す る と明 瞭 に な る95)。GDPの
害 剤GDPの1%程
を厳 密 に評 価 す る こ との む ず
のGDP作
よ っ て 産 生 さ れ るGTPに
と は,NDPK阻
に はGTPはGDPよ
考 え て い る研 究 者 も多
評価 を行 な
ほぼ 同 等 の効 果 を示
身 に ホ ル モ ン作
2は,そ
り も高 濃 度 に存 在 す る か ら こ の交
デニ ル酸 シ
して も消 失 し な い 。 あ た か も,GDP自
と い う点 に な る と必 ず し も答 え は明 瞭 で な い 。 細 胞 内
換 反 応 は ス ム ー ズ に 起 こ る,と
情報 伝達 系 にお
け る 役 割 に つ い て の 筆 者 ら の 考 え 方 を紹 介 し て み た
白
ホ ルモ ンの活
に直 接 依 存 しない 。 も
ル モ ン非 存 在 化 で はGDPに
よ る み か けの 活
性 化 現 象 は起 きな い 。 これ らの 実 験 結 果 か ら推 測 さ れ
るNDPKの
役 割 は,受 容 体 刺 激 に よ るG蛋
白質 の 活
755
52
蛋 白質
核酸
酵素
Vol.42
No.5(1997)
性 化 を効 果 的 に行 な わ せ る た め,G蛋
白質 近 傍 のGTP
プ ー ル を確 保 す る こ とに あ る と想 像 さ れ る。 こ う し た
巧 妙 な メ カ ニ ズ ム は慎 重 な解 析 に よ っ て 初 め て 明 らか
に さ れ た。 ち な み に,1994年
Rodbellら
はGTP要
の ノ ーベ ル賞 に輝 い た
求 性 の 問 題 ば か りか このGDP評
価 の 点 で も誤 っ た 見 解 に 転 落 し た こ と を 指 摘 し て お き
たい。
B.受
容 体 刺 激 に依 存 したNDPKと
情 報 伝 達 系 との相
互 作用
NDPKの
産 生 す るGTPがG蛋
白 質 へ 供 給 さ れ るメ
カ ニ ズ ム は,ホ ル モ ン 受 容 体 刺 激 に 共 役 し て 起 こ る と
予 想 さ れ る。 この 点 は次 の2つ の 実 験 で確 認 され た。 第
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1の 実 験 は コ レ ラ 毒 素 が ホル モ ン受 容 体 非 依 存 性 にAC
活 性 化 能 を もつ こ とを利 用 して い る96)。す な わ ち,あ
か じ め 細 胞 膜 内G蛋
る と,AC(G蛋
白 質(Gs)をADPリ
白 質)はGTPの
れ る よ う に な る。GDPは
も た な い が,ホ
す 。GTP産
ら
ボ シル化 す
み に よって活性 化 さ
同 一 条 件 化 でAC活
ル モ ン を追 加 す る とAC活
性 化能 を
性 化 能 を示
生 量 は ホ ル モ ン添 加 に 影 響 さ れ な い の で,
受 容 体 刺 激 が 引 き金 に な っ てNDPKに
のGTP供
よるG蛋
白質へ
給 効 率 を増 加 さ せ た と考 え られ る。
第2の
実 験 は,G蛋
白 質 とNDPKと
の相 互 作 用 の動
態 を 追 跡 し た もの で あ る97,98)。
細 胞 膜 内G蛋
白質(Gs)
を あ らか じめ 放 射 標 識 し て お き,可 溶 化 後,抗NDPK
抗 体 を用 い て 免 疫 沈 降 を行 な う と,受 容 体 非 刺 激 時 に
はGsの
沈 降 が 認 め られ る の で 両 者(の 一 部)は 複 合 体
を形 成 して い る こ とが 確 認 さ れ る 。 ホ ル モ ン刺 激 が 加
図8
ラ ッ ト組 換 え 体NDPKの
(a)G蛋
わ る とGsの
沈 降 量 は減 少 し,複 合 体 の解 離 が 起 きて い
る こ とを 示 し た。 こ の ホ ル モ ン に よ る 複 合 体 解 離 作 用
は ア ン タ ゴ ニ ス トが 共 存 す る と抑 制 さ れ る の で,GsNDPK複
合 体 形 成 が 受 容 体 の 調 節 下 にあ る こ とが 支 持
ウシ網 膜 桿体 外 節 膜 への結 合
様 式 の解 析
白 質(Gt:ト
ラ ンス デ ュ ー シ ン)依 存 的 α ア イ ソ フ ォ ー
ム の結 合 。Gt不 含 膜 に精 製 したGtを 添 加す る と膜 への 結 合 能 が 回
復 し,そ れ と とも にGTPγSに
よ る結 合 阻 害 効 果 が 現 われ る。(b)
α お よび β ア イ ソ フ ォ ー ム の 膜 結 合 親 和 性 の 比較 。 膜 蛋 白量[光
照 射 し た ロ ドプ シ ン(R*)量
で表 示]を
変 化 させ て観 察 した 。
さ れ る。
ROSに
2.視
覚 情 報 伝 達 系 とNDPK
ウ シ網 膜 桿 体 外 節(ROS)視
体 ロ ドプ シ ン(R),3量
ン(Gt)お
体G蛋
構 成 され
白 質 トラ ン ス デ ュ ー シ
性 側 で は そ の ほ と ん どが 膜 画 分 に 移 行 し,中 性 付 近 で
ス ポ ジエ ステ ラ
,ほ か の ホ ル モ ン情 報 伝 達 系
は中 間 的 な分 布 を示 す 。 酸 性 条 件 下 に起 こ るNDPKの
膜 へ の 結 合 はGTPや
AppNHpな
体RとG蛋
部 位 は高 親 和 性GTP感
含 量 が 高 く,生 化 学 的 解 析 に適
し た 材 料 とい え る。 最 近ROSのNDPKに
あ る結 果 が 得 られ た100)。
756
大部 分
は ア ル カ リ性 領 域 で は可 溶 性 画 分 に 回 収 さ れ るが,酸
と基 本 的 に変 わ らな い99)。 しか しほか と比 較 す る と受 容
白質Gtの
濃度 依存 性 に
へ の結 合 性 を示 す 。 す なわ ち,NDPKの
覚 情 報 伝 達 系 は光 受 容
よ び 効 果 器 で あ るcGMPホ
ー ゼ(PDE)で
存 在 す るNDPKはpH,塩
ROS膜
つ い て興 味
そ の ア ナ ロ グ で 抑 制 さ れ る が,
どの 効 果 は弱 い 。ROS膜
上 のNDPK結
合
受 性 の もの と低 親 和 性GTP非
感 受 性 の も の が あ る 。Gtを
除 去 し たROS膜
で は高親
和 性 結 合 が 失 わ れ る こ とか ら,高 親 和 性 結 合 にGtが
関
多機能性蛋白質NDPキ ナーゼ/nm23の 分子機構
53
(GDP)複
合 体 に高 い 結 合 親 和 性 を示 し,Gt活
性 化[Gt
(GTP)の
形 成]を 効 果 的 に 達 成 す る た め に機 能 し て い
る と す る考 え 方 を 支 持 す る も の と い え る 。 今 後,結
相 手 と相 互 作 用 部 位,さ
らに,生
合
理 的条 件下 で の相互
作 用 の 意 味 を 明 らか に す る 必 要 が あ ろ う。
おわ りに
NDPKを
ハ ウ ス キ ー ピ ン グ酵 素 の範 疇 で の
み捉 える時 代 は終 焉 しっ っあ る。PuF,DR-nm23,I因
子 な どの 出 現 は そ の こ と を 如 実 に物 語 っ て い る。 最 初
に 述 べ た とお り,本 稿 で は 多 様 な 現 象 と の か か わ り を
口 肌 ヘ ノ ノ .、!辰
反 、μ-Vワ
NDPK分
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図9
ウ シNDPKのROS膜
結 合 能 に対 す る各 種 部 分 配列 ペ
プ チ ドの 阻 害 効 果
ラ ッ トNDPKα
のV1領
域 相 当 ペ プチ ド(α1)の み 結 合 阻 害 作 用 を
子 の構 造 と機 能 の面 か ら理 解 す る こ とに 努 力
した つ も り だ が,す
べ て を統一 的 に把握 す るこ とは困
難 で あ っ た 。 こ う し た状 況 は現 在 進 行 形 の 学 問 に は必
示 し,他 の ペ プ チ ドは無 効 で ある。a1,β1:NDPKα,β(37∼50)
然 的 と も い え る が,筆
配 列 ペ プ チ ド,α2,R2:NDPKα,β(141∼152)配
α/β:NDPK(86∼104)共
通 配 列 ペ プ チ ド,X:対
機 能 性 と調 節 的 機 能 の分 子 基 盤 を理 解 す る こ と は,今
列 ペ プチ ド,
照 ペ プチ ド。
後 のNDPK研
者 らの 力 量 不 足 も否 め な い 。 多
究 の発 展 に と り不 可 欠 の プ ロセ ス で あ る。
改 変 蛋 白質 を作 製 し て分 子 上 の 責 任 配 列 や ア ミノ 酸 残
基 の 特 定 に 成 功 し つ つ あ る の で,今
与 す る こ とが 示 唆 さ れ た 。
NDPKと
ウ シROS膜
との 相 互 作 用 を さ ら に解 析 す
る に あ た り,NDPKの
用 し て,ラ
哺 乳 動 物 問 で の高 い 相 同 性 を利
ッ ト組 換 え体 酵 素 を用 い て 行 な っ た100)。予
想 ど お り,ラ
ッ ト酵 素 は ウ シ 内 在 性 酵 素 と類 似 の 挙 動
を 示 し,そ の結 合 にGtが
8a)。2種
関 与 す る こ とが 証 明 され た(図
の ア イ ソ フ ォー ム の結 合 能 を比 較 した とこ ろ,
意 外 に も,α ア イ ソ フ ォ ー ム のROS膜
は β に比 較 し て約2桁
高 い こ とが わか った(図8b)。
合 親 和 性 の 違 い はNDPKア
相 同 領 域(V1,V2領
れ た の で,相
へ の結 合 親 和 性
結
イ ソ フ ォ ー ム の2カ 所 の 非
域,図2b)に
由来 す る と推 定 さ
同 お よ び 非 相 同 配 列 を 含 む ペ プ チ ドを 数
種 類 作 製 し,ウ シ 内 在 性NDPKのROS膜
へ の結合 に
対 す る競 合 阻 害 効 果 の 有 無 を検 討 し た(図9)。
果,NDPKα
特 異 配 列(V1領
み 阻 害 作 用 が 認 め ら れ,ほ
で あ った 。V1領
その結
域)を も つ ペ プ チ ドに の
か の ペ プ チ ドは す べ て 無 効
域 は結 晶 構 造 で は β2と αAを 含 み,6
量 体 の 外 側 に位 置 し て い る た め 相 互 作 用 に適 した 部 位
と考 え られ る。 ま た,こ
の 主 鎖 の ず れ が1Aを
の 領 域 で は両 ア イ ソ フ ォ ー ム
こ え る事 実 が 判 明 して い る。 アイ
ソ フ ォー ム 特 異 性 を考 え る う えでV1領
の 発 展 を待 ち た い 。 と くに,い
いnm23に
後 もそ う し た 研 究
ま だ に解 明 さ れ て い な
よ る転 移 抑 制 の分 子 機 構 の究 明 が焦 眉 の課 題
とい え る だ ろ う。
NDPKを
め ぐ る 新 し い 問 題 の な か で,リ
ン酸 化 と蛋
白 質 リ ン酸 化 酵 素 活 性 の 生 理 的 意 味 が い ま だ 不 明 で あ
る 。 この 点 で,植
起 こるNDPKリ
物 の光 信 号 伝 達 系 で 光 刺 激 依 存 性 に
ン酸 化101)に 今 後 注 目 して い きたい。 ま
た,NDPK/nm23を
タ ー ゲ ッ トと した が ん転 移 抑 制 法
の 開 発 や 立 体 構 造 と酵 素 反 応 機 構 に 基 づ く抗 が ん 剤,
抗 ウイ ル ス 剤102)の 創 製 な どの 臨 床 的 応 用 課 題 の 展 開 に
も注 意 を払 う必 要 が あ る。NDPK/nm23研
究 は将 来 の
展 開 が 読 み 取 り に く く複 雑 化 しつ つ あ り,そ れ だ け に
興 味 深 い対 象 と い え る 。 若 い 研 究 者 の積 極 的 な 参 画 と
活 躍 を期待 した い。
本 研 究 中,ウ シ光 情 報 伝 達 系 にお け るNDPK研
究,ア イ ソ フォ
ー ム特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル抗 体 作 製 ,ラ ツ トNDPKのX線
結晶
解 析 研 究 はそ れ ぞれ,N.Y.Orlov,T.G.Orolva両
博 士(ロ
ア理 論 実 験 生 物 ・物 理 学 研 究 所),花
和醗酵 工業
東 京 研 究 所),松
井 陳 雄 博 士(協
シ
崎 尹 雄 博 士(三 菱 化 学 横 浜 総 合 研 究 所)と の 共 同
研 究 に よ る も ので あ る こ と を記 して,深
謝 する。
域 の重 要 性 が 浮
き彫 り に さ れ た とい え る。
以 上 の 結 果 は,NDPKが
GTP供
給 機 構 と し て,光
情報 伝 達系 に内在 す る
照 射 で 生 成 さ れ るR*-Gt
文
献
(文 献 番 号 を太 字 に した も の は と くに重 要 で あ る こ とを示 す)
757
54
蛋白質
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