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経営者が突然夜逃げした

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経営者が突然夜逃げした
労働相談Q&A
③賃金・賞与・退職金に関する相談
3-14.経営者が突然夜逃げした
経営者が突然夜逃げをし、給料をもらえなくなった。
当座の生活費もないがどうすればよいか。
事業主が行方不明の場合は、事実上の倒産と見なし、国が一定限度の賃金を立て替える「未払賃金立替
払制度」を利用することができます。また、当面の生活費の工面については、労働金庫の無担保融資制度な
どがありますので、利用について相談をされるとよいでしょう。
もっ
知りたい方は・・
ポイント 未払賃金立替払制度
(1)「事実上の倒産」の場合の労務債権は、原則として次のような保護を受けます。
◇労務債権の法的な保護の概要
①賃
金:商法等で、株式会社・有限会社・総合会社の場合は、賃金総額が会社の総財産の上
般先取特権を有しており、また、個人企業の場合は、最後の6か月間の賃金について一
般取特権が認められています。
②退 職 金:支給条件当について就業規則等で定められている場合は、賃金と同様の保護を受けま
す。なお、個企業の場合は、未払い賃金も含めた最後の6か月分を限度とすると解されて
います。
③社内預金:労働者が返還を求めた場合は、使用者は延滞なく返還しなければなりませんが【労働基
準法第18条】、この返還請求は、一般債権として先取特権は認められないと解されてい
ます。
(2)しかし、実際には貸金の担保となる会社の資産は、金融機関や大口債券者による抵当権の設定、債権
譲渡や相殺契約などでほとんど失われてしまいます。
また、残った資産があっても、労働債権よりも優先権のある税金や社会保険料の未払いで国や地方自治体
が事前に差し押さえていることが多く、さらに、他の債権者による実力処分があれば、法律の規定があったとし
ても、事実上、労働者には全く保障されないことが往々にして起こり得ます。
(3)そのような場合に、労働者自らが行う手続きとして、倒産した企業に代わり、国が一定限度の賃金を立て
替える「未払賃金立替払制度」があります。
(4)未払賃金立替払制度について
◇制度の内容
①未払賃金立替払制度は企業が「倒産」したために、賃金が支払われないまま退職した労働者に対し
て、その未払賃金の一定の範囲[未払賃金総額の80%。但し、対象となる未払賃金の総額には、
退職の時期と年齢により、上限(退職日が平成14年1月1日以降の場合110万円、220
万円、370万円。平成13年12月14日一部改正)]について労働福祉事業団が事業主に
代わって支払う制度です。
②立替払いをしたときは、民法第499条第1項の規定により、労働福祉事業団が立替払金に相当
する額について、立替払いを受けた労働者の賃金債権を代位取得します。そして破産等の場合は裁判
所に対して債権者名義変更届出等を行うとともに、管財人等に対して弁済請求をし、事実上の倒産の
場合は事業主に対して弁済請求します。
◇立替払いを受けることができる人
次に掲げる用件に該当する人が立替払いを受けることができます。
①労災保険の適用事業で1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業(法人、個人を問わない)
に「労働者」として雇用されてきて、企業の倒産に伴い退職し、「未払賃金」が残っている人であること
(但し、未払賃金の総額が2万円未満の場合は立替払いを受けることはできない)。
②「裁判所に対する破産等の申立日(破産等の場合)」、または「労働基準監督署長に対する倒産
の事実についての認定申請日(事実上の倒産の場合)」の6か月前の日から2年間の間に当該企業
を退職した人であること。
※「定期賃金」とは、労働基準法第24条第2項に規定する毎月、一定期日に支払われる賃金
(税金・社会保険料など法定控除額を控除する前の額)をいいます。
※「退職手当」とは、退職手当規定に基づいて支給される退職一時金及び退職年金をいいます。
※定期賃金及び退職手当以外の賃金、支給金等は立替払の対象にならない。例えば、「賞与その
他臨時に支払われる賃金」「解雇予告手当」「慰労金・祝金等の支給金」「年末調整による所得税の
還付金」「法人の役員であったときの報酬・賞与その他の支給金及び退職手当」
※未払賃金の額は、賃金台帳及び退職手当規定により確認できるものに限られます。
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