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システム認証事業本部 環境活動を事業活動の推進

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システム認証事業本部 環境活動を事業活動の推進
システム認証事業本部
環境活動を事業活動の推進エンジンとする TOTO
TOTO 株式会社
ISO14001 認証と ISO9001 認証を同時に統一化
(福岡県北九州市)
http://www.toto.co.jp/
■ 同時統一化の経緯
衛生陶器や温水洗浄便座など住設機器製品のトップメーカーTOTO 株式会社は、
2014 年 3 月、国内における ISO9001 認証と ISO14001 認証を、グループ全体で
統一する「統一認証(認証のマルチサイト化)」を図った。これによって、同社の国内
工場、国内製造グループ会社、そして本社統括部門の ISO9001 認証と ISO14001
認証は、それぞれ一本化(一元管理)されることになり、同社のマネジメントシステム
北九州市小倉にある TOTO 本社
は新しい局面に入った。
まずは、2 種類の認証を同時に統一した経緯から聞いてみよう。
「最初に全社会議で統一してはどうかと話題になったのは ISO14001 認証でした」と総務部 環境推進グループ グ
ループリーダーの飛松浩樹さんは言う。
同社は 2017 年に迎える創立 100 周年に向けて、2005 年から「TOTO グリーンチャレンジ」という環境ビジョンを立
ち上げ、あるべき環境活動について模索していたが、その模索の過程の中で、「ISO14001 認証をグループ全体で
統一することでガバナンスの強化を図り、より強力な環境活動と環境貢献を実現させてはどうか」という提案があっ
たのだ。
この提案を受けて ISO14001 認証のマルチサイト化が決定しかけたときに、「ISO14001 認証だけでなく、ISO9001
認証も同時に統一すべきではないか」という追加提案が社内で持ち上がった。その理由は、「TOTO は水を切り口に
した環境企業であり、環境活動は事業活動の推進エンジンである。従って、この 2 つを切り離すことはできない」とい
う認識が社内に深く根ざしていたからだ。
こうして同社では、ISO14001 認証だけでなく、ISO9001 認証をも同時に統一することとなったのである。
■ 個別から統一への調整に苦心
しかし、この同時統一にはクリアしなくてはならないハードルがいくつかあった。
まずは、それまで工場ごとに個別に認証を取得し、ルールづくりがなされていたものを、いきなり統一ルールに切
り替え、複数あった認証機関も 1 社(ビューローベリタス)に集約するとなると、現場が混乱し、かつ不満が出るこ
とが予測された。
そこで事務局は、できる限り、サイトごとに設定された既存の個別ルールを保ちながら、最初は緩くガバナンスを
設定し、統一ルールづくりをするという方針を立てた。そしてこの基本方針に則った上で、3 カ月に 1 度ずつ、各
サイトとテレビ会議を開き、不備や困っている点などをヒアリングしながら調整を重ね、1 年間をかけて慎重に統
一ルールづくりを進めていった。
「これは当然のことですが、現場は自分たちで構築してきたやり方を変えたくないし、統括部門側は強いガバナン
スを効かせたい。この調整が最も大変でした」と飛松さんは言う。
しかし同社には海外生産拠点を拡大したい意向があり、ガバナンスを強化したり、拠
点間の情報の共有化を図ったりすることは、経営戦略上でも欠かせない課題だった。
そのため、事務局は、会社のこれからを担う事業としての認識を持って、粘り強く認証
統一を推進していったのである。
ちなみに認証統一にあたり、認証機関としてビューローベリタスを選んだ理由には、今
後海外拠点まで対象を拡大することを視野に入れていることから、グローバルな実績
と対応力をもつ認証機関との取り組みが必要だという判断があったそうだ。
認証統一を推進してきた
飛松浩樹さん
■ 統一後、内部監査が威力を発揮
では、2 つの認証の同時統一から 2 年目を迎えている今、社内にはどんな変化が起きているだろうか。
「まず全社の内部監査の仕組みができて、内部監査員が育ち、有効性を発揮するようになりました」と町田光義
さん(お客様本部 お客様企画部 お客様企画グループ 技術主査)は言う。
認証統一以前は、工場ごとに認証を取得し、それぞれのルールに基づいて運用していたために、「自分のサイト
は自分たちでチェックする」というスタイルだったが、統一後は全てのサイトを共通ルールに基づきチェックするよ
うになったため、全社的な「内部監査」の仕組みが生まれた。そして内部監査の結果発表を受けて、各工場の違
いや、各工場におけるやるべきこと・改めるべきことなどが可視化されるようになった。見通しと風通しが良くなっ
たのである。事務局としては各工場や事業部の比較対象が容易となったことで、「人や資源をどの工場のどこに
どれだけ投入すればより効果が上がるか」が明らかになり、適切な対策を取れるようになったという。
また、統一した視点で行われる審査によって、適合性と有効性の問題にもメスが入るようになった。「できてはい
るが、有効ではない」もしくは「部分最適だが全体最適ではない」といった点が浮き彫
りになっているという。
こうしたメリットは、特に ISO14001 認証の統一において顕著に見られるそうだ。「そも
そも ISO14001 は順法を促す側面が強い規格ですから、マニュアルを統一し、ガバナ
ンスを効かせて管理することに適しているのです」と、飛松さんはその理由を分析す
る。
一方 ISO9001 は、製品に応じてマニュアルを適宜変更した方が、効果が上がりやす
いという側面がある。よって統一効果を出せるかどうかは今後の課題だそうだ。
「ちょうど今年(2015 年)、ISO9001 が改訂されますので、この機会を利用してメリット
飛松さんと共に認証統一の
効果改善に取り組む
町田光義さん
をより感じられるマニュアルづくりを進めたいと思っています」と町田さんは言う。「そして創立 100 年を迎える
2017 年までには、『明らかな成果が見られて、ISO9001、ISO14001 共に認証統一は成功だ』というお墨付きを
もらえるようにしたい」と考えているそうだ。
■ ガバナンス強化と統括部門の仕事の見える化
では最後に、認証統一を検討している組織へのアドバイスを聞いてみよう。
「認証統一により特に効果が出たのはガバナンスでした。ですからガバナンスを強化したい組織には非常に有効
だと思いますし、言い方を変えると、ガバナンスが効きやすい規模の、むしろ小規模の組織のほうが統一の効果
が実感しやすいかもしれません」と町田さん。
一方、飛松さんは、「ISO9001 認証の統一によって、現場だけでなく統括部門の仕事の見える化が図れることも
メリットですよ。実は、統一以前、統括部門は ISO9001 認証を取得していませんでした。従って統括部門の業務
のクオリティーに関する規定がなく、『統括部門(人事部や経営企画部など)って、いったいどんな仕事をしている
の?』や、『統括部門の業務の品質とは何?』などといった疑問が社内にありました。しかし統一を通じて統括部
門にも品質マネジメントシステムが適用されたことで、統括部門と現場の相互理解が進み、統括部門が自分たち
の仕事をクオリティーという切り口で見直すきっかけになるという効果もありました」と言う。
現場の声を尊重しながらも、堅実なスケジュールに則り、目標に到達するという同社における認証統一のプロセ
スは、それ自体が優れたマネジメントシステム事例のように感じられた。
(2015 年 8 月 6 日取材)
TOTO 株式会社:品質と安全のこだわり/環境へのとりくみ
ビューローベリタスのサービス:グローバル認証プログラム(統一認証/統合認証)
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